説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置とユーザ端末とプリントサーバとが通信ネットワークを介して接続されたプリントシステムにおいて、各画像形成装置での印刷指示から印刷完了までの時間を短縮するとともに、情報のセキュリティー性も確保しつつ、複数の画像形成装置から同じ画像データを印刷する場合の操作性の向上を図る。
【解決手段】画像形成装置1は、受信した印刷データを印刷可能な画像形式に変換してジョブ蓄積部105に蓄積し、取得したユーザ識別情報とユーザ端末情報とをジョブ一致判断部104で比較し、ユーザ識別情報とユーザ端末情報とが一致した場合に、印刷部106でジョブ蓄積部105に蓄積している受信した印刷データの印刷を行うとともに、ジョブ削除依頼通信部103から、印刷を行った同じ印刷データを持つ他の画像形成装置に対して同じ印刷データの削除要求を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷出力する複数の画像形成装置と、印刷対象となる印刷データを生成するユーザ端末と、ユーザ端末で生成された印刷データを管理するプリントサーバとが通信ネットワークを介して接続されたプリントシステムにおける画像形成装置に係り、より詳細には、印刷指示から印刷完了までの時間を短縮した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予めユーザの端末から印刷データをプリントサーバに送信しておき、実際にユーザがネットワークを介して接続されたプリンタで印刷を行う際に、プリンタがプリントサーバから印刷データをダウンロードして印刷する方式が従来から提案されている。しかし、この方式の印刷システムでは、ユーザがプリンタから印刷データの実行を指示したときに、初めて印刷データをプリントサーバからプリンタへダウンロードしていたため、ジョブ送信時間、印刷装置内でのラスター化処理、印字などのトータルの待ち時間が長いといった問題があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決した画像印字販売システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この画像印字販売システムは、サーバにおいて、携帯電話機から画像ファイル(画像データ)付メールを受信すると、ユーザの利用履歴のある画像自販機に、受信した画像データを事前送信するとともに、印刷を行った画像自販機から印刷した画像データの画像ID等の印刷実施データが受信されると、当該画像IDの画像データが事前送信された画像自販機を特定し、印刷実施データの送信元以外の画像自販機に当該画像データの削除要求を行う構成となっている。
【特許文献1】特開2005−190405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の画像印字販売システムによれば、ユーザの利用履歴のある画像自販機に、受信した画像データを事前送信することによって、何れかの画像自販機でユーザが画像データを印刷する場合に、画像データをその時点でサーバから送信してダウンロードする時間を軽減することができる。しかし、この画像自販機は、画像データを印刷するために、ユーザからの印刷指示を受け取ってから、受信した画像データを印刷可能な画像形式(例えば、ラスター画像化等)に処理するため、印刷指示から印刷完了までの時間短縮という点では、全く問題が解決されていなかった。
【0006】
また、上記従来の画像印刷販売システムによれば、印刷を行った画像自販機から印刷したデータの画像ID等の印刷実施データが受信されると、当該画像IDの画像データが事前送信された画像自販機を特定し、印刷実施データの送信元以外の画像自販機に当該画像データの削除要求を行う構成となっている。これにより、記憶容量の圧迫及び画像データの流出の可能性を回避するようになっている。しかし、削除要求を送信するだけでは、本当に送信元以外の画像自販機において画像データが削除されたという確証が得られないため、ユーザは、画像データの流出を確実に回避できたか否かを確認することができないといった問題があった。
【0007】
また、上記のような画像印字販売システムを、印刷出力する複数の画像形成装置と、印刷対象となる印刷データを生成するユーザ端末と、印刷データを管理するプリントサーバとが通信ネットワークを介して接続された例えば会社内のプリントシステムに適用した場合、例えば会社内でのミーティング資料として所定枚数印刷した後に、参加者が増える等してさらに追加印刷するような場合も考えられる。このような場合に、任意の1台の画像形成装置で画像データを所定枚数印刷した時点で、他の画像形成装置に保存されている同じ画像データを全て削除してしまうと、追加分を印刷するために、またユーザ端末からプリントサーバに同じ画像データを送信して印刷しなければならず、手間のかかる作業となってしまうといった問題があった。従って、任意の1台の画像形成装置から印刷したとしても、所定の時間は削除せず、所定時間経過後に削除するようにしておけば、このような追加印刷も可能で、かつ、画像データの不測の流出にも対応することが可能となる。また、所定時間削除しないことで、その間に繰り返し印刷を行ったり、他の記憶媒体に記憶して保存したり、他のユーザ端末に画像データを転送して保存したりすることも可能となる。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、各画像形成装置での印刷指示から印刷完了までの時間を短縮するとともに、情報のセキュリティー性も確保しつつ、複数の画像形成装置から同じ画像データを印刷する場合の操作性の向上を図った画像形成装置及びプリントシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、印刷出力する複数の画像形成装置と、印刷対象となる印刷データを生成するユーザ端末と、前記ユーザ端末で生成された印刷データを管理するプリントサーバとが通信ネットワークを介して接続されたプリントシステムにおける前記画像形成装置において、前記プリントサーバから印刷データを受信する受信手段と、受信した印刷データを印刷可能な画像形式に変換して蓄積するジョブ蓄積手段と、前記印刷データを生成したユーザ端末情報を取得するユーザ端末情報取得手段と、ユーザの所持する情報記憶媒体からユーザ識別情報を取得するユーザ識別情報取得手段と、取得したユーザ識別情報と前記ユーザ端末情報とを比較し、ユーザ識別情報とユーザ端末情報とが一致した場合に、受信した印刷データの印刷を行う印刷制御手段と、印刷を行った印刷データと同じ印刷データを持つ他の画像形成装置に対して同じ印刷データの削除要求を送信する削除要求送信手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、画像形成装置は、プリントサーバから送信されてきた印刷データを印刷可能な画像形式(例えば、ラスター画像やベクター画像等)に変換してジョブ蓄積手段に蓄積するので、任意の画像形成装置において印刷指示があると、その印刷データを即座に印刷開始することができる。これにより、印刷指示から印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置によれば、印刷データの削除要求を受け取る削除要求受信手段を備え、印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが前記ジョブ蓄積手段に存在するときは、当該印刷データをジョブ蓄積手段から削除するとともに、削除完了メッセージを前記削除要求の送信元の画像形成装置に送信するように構成してもよい。また、前記印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが既に削除され存在しないときは、削除済みメッセージを送信元の画像形成装置に送信するように構成してもよい。一方、送信元の画像形成装置は、前記削除完了メッセージ及び/または前記削除済みメッセージを受信した場合には、受信したメッセージを表示部に表示するように構成すればよい。
【0012】
このように、印刷データの削除要求を受け取った場合に当該印刷データをジョブ蓄積手段から削除することで、画像データのデータ漏れを防止することができる。また、印刷データをジョブ蓄積手段から削除した場合には、削除完了メッセージを削除要求の送信元の画像形成装置に送信する構成とすることで、削除元の画像形成装置を操作しているユーザは、他の画像形成装置に蓄積されている同じ画像データが削除されたことを確認することができ、他人に印刷内容が漏れることがないことを確認することができる。さらに、対象の印刷データが既に削除され存在しないときは、削除済みメッセージを送信元の画像形成装置に送信する構成とすることで、通信ネットワークに接続されている全ての画像形成装置から画像データに関する何らかのメッセージが送信されてくるので、削除元の画像形成装置を操作しているユーザは、全ての画像形成装置における画像データの削除状況を確認することが可能となる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置によれば、特定のユーザ端末で生成された印刷データの削除動作を禁止するように構成してもよい。このような構成とすれば、任意の画像形成装置で既に印刷データが印刷されていても、特定のユーザ端末から印刷指示された場合には、いつでも印刷することが可能となる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置によれば、前記印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが存在するときは、印刷データの削除要求を受け取った時刻から所定の時間が経過したときに前記印刷データを削除するように構成してもよい。このような構成とすることで、所定時間の間に種々の対応を取ることが可能となる。
【0015】
具体的には、前記削除要求を受け取った対象の印刷データを、その印刷データが削除されるまで操作パネル上での操作で繰り返し印刷可能とすることができる。また、前記削除要求を受け取った対象の印刷データを、その印刷データが削除されるまで本装置に挿入された記憶媒体へ記憶可能とすることができる。また、前記削除要求を受け取った対象の印刷データを、その印刷データが削除されるまで前記通信ネットワークを介して接続されたユーザ端末に転送可能とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プリントサーバから送信されてきた印刷データを印刷可能な画像形式(例えば、ラスター画像やベクター画像等)に変換してジョブ蓄積手段に蓄積する構成としたので、印刷指示があった場合に、その印刷データを即座に印刷開始することができるため、印刷指示から印刷完了までの時間を短縮することができる。
【0017】
また、本発明によれば、印刷後の印刷データを他の画像形成装置からも削除するとともに、削除メッセージを送信元の画像形成装置に送信して表示するように構成したので、情報のセキュリティー性を確保しつつ、印刷データが他の画像形成装置からも完全に削除されたことを確認することができる。
【0018】
また、本発明によれば、印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが存在するときは、印刷データの削除要求を受け取った時刻から所定の時間が経過したときに印刷データを削除するように構成したので、所定時間の間に種々の対応を取ることが可能となり、複数の画像形成装置から同じ印刷データを印刷する場合の操作性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図、図2は、この画像形成装置が適用される本発明のプリントシステムの全体構成を示す説明図である。ここで、画像形成装置は、通信機能を備えた複合機やデジタル複写機等である。
【0021】
本発明のプリントシステムは、印刷出力する複数の画像形成装置1,1,・・・と、印刷対象となる印刷データを生成する1または複数のユーザ端末2,2,・・・と、ユーザ端末2によって生成された印刷データを管理するプリントサーバ3とが通信ネットワークNを介して接続されたシステム構成となっている。
【0022】
このようなシステム構成において、本発明の画像形成装置1は、大別すると、ジョブ受信部101、ジョブ所有者情報取得部102、ジョブ削除依頼通信部103、ジョブ一致判断部104、ジョブ蓄積部105、印刷部106、ジョブID生成部107、操作部108、及びロケーション記憶部109によって構成されている。ジョブ受信部101及びジョブ削除依頼通信部103は、本画像形成装置を通信ネットワークNに接続するためのネットワークカードなどにより構成されており、通信ネットワークNに接続された外部機器と通信を行うネットワークI/F(interface)である。
【0023】
通信ネットワークNは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Netwrok)、電話回線網、専用回線網、インターネット等である。
【0024】
ジョブ受信部101は、パーソナルコンピュータであるユーザ端末2、または外部記憶装置(プリントサーバ3、USB(Universal Serial Bus)メモリなど)から印刷データを受信する。
【0025】
ジョブ所有者情報取得部102は、本実施形態では、ユーザが所持するカード媒体を当該画像形成装置にかざす(若しくは、スティック媒体を装置本体に装着する)ことで、前記媒体に格納されている所有者識別情報(ユーザ識別情報)を取得する。
【0026】
ジョブ削除依頼通信部103は、他の画像形成装置1に削除要求を送信する一方、他の画像形成装置1から削除要求を受信する。
【0027】
ジョブ一致判断部104は、カード媒体を画像形成装置にかざした(若しくは、スティック媒体を装置本体に挿入した)ユーザの印刷データがジョブ蓄積部105に存在するか否かを判断する。
【0028】
ジョブ蓄積部105は、ユーザ端末2から送信されてきた印刷データを印刷可能な形式に処理(例えば、ラスター画像処理、またはベクター画像処理等)して各ユーザ毎に整理して蓄積する。
【0029】
印刷部106は、印刷データを印刷するエンジンであり、画像読取部、画像形成部、用紙搬送部などを備えている。
【0030】
ジョブID生成部107は、ユーザ端末2または外部記憶装置(プリントサーバ3、USBメモリなど)から受信された印刷データに対して付与したユーザを特定するジョブIDを保存する。
【0031】
操作部108は、印刷部106で印刷した印刷ジョブに対して追加の印刷枚数などを入力する各種操作ボタンを備えた操作パネルである。各種操作ボタンには、装置本体に直接設けられた機構的な操作ボタンの他、図示しない表示部上に配置されたタッチパネルに表示される操作ボタンも含まれる。また、表示部には、後述する各種メッセージが表示可能となっている。
【0032】
ロケーション記憶部109は、印刷データが外部記憶装置(プリントサーバ3、USBメモリなど)のどのフォルダに保存されているかを記憶する。
【0033】
<印刷データの印刷手順の説明>
次に、印刷データの印刷手順について、図3に示す印刷手順の説明図、図4に示すフローチャート、図5に示すジョブ管理リスト、及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、図4は、印刷データを受信した後の画像処理装置の印刷手順を示すフローチャート、図6は、削除要求を受け取ったときの処理手順を示すフローチャートである。また、図3では、画像形成装置の符号1の横に小文字のアルファベットを付与することで、各画像形成装置を区別している。従って、図3を用いて説明する場合には、アルファベット付きの符号を用いて各画像形成装置を区別することとする。
【0034】
まず、ユーザは、ユーザ端末(クライアントPC)2を使って印刷データを生成し、生成した印刷データをプリントサーバ3に送信しておく。プリントサーバ3は、ユーザ端末2から送信されてきた印刷データ(以下、「ジョブ」とも言う。)を所定の場所に格納する。この後、ユーザ端末2は、ジョブの格納場所とユーザIDとを所定の画像形成装置1aに送信する(図3のA1)。
【0035】
ジョブの格納場所とユーザIDとを受信した画像形成装置1aは、プリントサーバ3の指定されているジョブの格納場所から印刷データをダウンロードし(図3のA2)、その印刷データに対してジョブIDを生成する(図3のA3)。そして、生成したジョブIDとダウンロードした印刷データとを関連付けてジョブ蓄積部105に保存する。
【0036】
また、ジョブIDを生成した画像形成装置1aは、ユーザ端末2から受信したジョブの格納場所とユーザIDと生成したジョブIDとジョブ取得指示とグループ化情報とを、グループ化情報に登録されている他の画像形成装置1b,1c,・・・に送信する(図3のA4)。
【0037】
ここで、画像形成装置1aに格納されているグループ化情報は、グループIDとそのグループに含まれる自装置を含む各装置IDとで構成されたグループ化情報テーブルとなっている。グループは、例えば会社であれば同じ部署や関連する部署、同じ事業を推進中の異なる部署など、その会社の組織形態や事業推進状況等に応じて適宜設定すればよい。
【0038】
また、画像形成装置1aは、ユーザが待ち時間無しで印刷可能なように、ダウンロードしたジョブ(印刷データ)をラスター画像化処理(若しくは、ベクター画像化処理)してジョブ蓄積部105に蓄積保存し、この状態で印刷指示待ちの待機状態となる。
【0039】
一方、他の画像形成装置1a,1b,・・・は、画像形成装置1aから送信されてきたジョブの格納場所とユーザIDと生成したジョブIDとジョブ取得指示とグループ化情報とを受信すると、ジョブの格納場所に基づいてプリントサーバ3の指定場所から印刷データをダウンロードし(図3のA5)、ユーザが待ち時間無しで印刷可能なように、ダウンロードしたジョブ(印刷データ)をラスター画像化処理(若しくは、ベクター画像化処理)してジョブ蓄積部105に蓄積保存し、この状態で印刷指示待ちの待機状態となる。
【0040】
この後、印刷データが保存されている任意の画像形成装置(例えば1c)の所へユーザが行き、所持するカード媒体を当該画像形成装置1cにかざす(若しくは、スティック媒体を装置本体に装着する)ことで、所有者情報取得部102が当該媒体に格納されている所有者識別情報(ユーザID)を取得すると(ステップS01)、取得したジョブの所有者情報を、ジョブ一致判断部104へ転送する。ジョブ一致判断部104は、転送されてきた所有者情報と、ジョブ蓄積部105のジョブ管理リスト内に保持しているジョブの所有者情報とを比較し(ステップS02)、その比較の結果、同一と判断した場合(Yesと判断された場合)は、ジョブ蓄積部105へ印刷指示を行う。
【0041】
図5は、ジョブ管理リストの一例を示している。このジョブ管理リストは、ジョブIDとユーザID(所有者情報)とからなっている。ジョブ管理リストにおける所有者情報は、ユーザ端末2であるクライアントPC上で入力された個人のID情報が利用されるケース、クライアントPC上でICカードから読み取った所有者識別情報であるケース、クライアントPCに接続された図示しない生体情報取得装置から読み取った生体情報に関連付けた個人のID情報であるケース、また、接続された通信ネットワークN上のIPアドレスなどのネットワーク端末識別情報であるケース、などがある。
【0042】
ここで、印刷データをユーザが指定する方法としては、画像形成装置1の操作部108上から選択する方法や、予め登録されているロケーション記憶部109から取得する方法がある。
【0043】
印刷指示を受けたジョブ蓄積部105は、指定のジョブを印刷部106へ転送し、印刷する(ステップS03:図3のA6)。
【0044】
そして、印刷が完了すると、ジョブ一致判断部104は、他の画像形成装置1に蓄積されている同一ジョブを削除するため、ジョブ削除依頼通信部103へ削除を依頼し、ジョブ削除依頼通信部103は、他の画像形成装置1a,1cに対してジョブID及び削除要求信号とともに、削除依頼メッセージ(例えば、○月○日/12:50に受信された××さんの印刷データを削除してください)を送信する(ステップS04:図3のA7)。
【0045】
一方、他の画像形成装置1a,1bがジョブID及び削除要求信号とともにこの削除依頼メッセージを受信したとき(ステップS11)、初期設定で「1:自動削除、/2:手動削除」のうち、「1:自動削除」が選択されていると、受信したジョブIDをジョブ一致判断部104へ転送し、ジョブ蓄積部105に保持されている該当ジョブIDの印刷データを削除する(ステップS12)。この後、他の画像形成装置1a,1bは、削除依頼のあった印刷データを削除した後、削除完了メッセージ(例:○月○日/12:50に受信された佐藤さんの印刷データを削除しました)を送信元の画像形成装置1cに返信する(図3のA8)。
【0046】
なお、初期設定で「2:手動削除」が選択されている場合には、受信した削除依頼メッセージを図示しない表示部に表示して、手動による削除依頼を通知することになる。
【0047】
また、他の画像形成装置1a,1bは、削除依頼のあった印刷データが既に手動により削除され存在しないときは、削除済みメッセージ(例:○月○日/12:50に受信された佐藤さんの印刷データは既に削除されて存在しません)を送信元の画像形成装置1cに返信する。
【0048】
送信元の画像形成装置1cは、削除完了メッセージまたは削除済みメッセージを受け取ると、図示しない表示部にそれらメッセージを一覧表示する。これにより、印刷データを印刷したユーザは、印刷元の画像形成装置1cにおいて一覧表示された各メッセージを確認することで、印刷データが他の画像形成装置1a,1bに残っていないこと(すなわち、他人に印刷内容が洩れることがないこと)を確認することができる。
【0049】
上記実施形態では、他の画像形成装置が印刷データの削除要求を受け取ったとき、即座に削除する構成としているが、印刷データの削除要求を受け取ったとき、対象の印刷データが存在するときは、印刷データの削除要求を受け取った時刻から所定の時間(例えば、24時間等)が経過したときに、該当する印刷データを自動的に削除するように構成してもよい。なお、この所定の時間は、ユーザが任意に設定できるようにしておけばよい。
【0050】
これにより、任意の画像形成装置で印刷後、印刷部数を増やす必要があった場合には、所定の時間内であれば印刷データが他の画像形成装置に残っているので、他の画像形成装置から印刷データを追加分だけ印刷することが可能となる。例えば、削除要求を受け取った対象の印刷データが会議用の資料であった場合、会議参加者の増員により再度の印刷が必要となるが、所定の時間が経過し自動的に印刷データが削除されるまで、画像形成装置での操作で繰り返し印刷が可能となる。
【0051】
また、削除要求を受け取った対象の印刷データは、印刷データが削除されるまで、画像形成装置に挿入された記憶媒体(例えば、USBメモリ等)へ記憶可能な構成としてもよいし、あるいは、通信ネットワークNを介して接続されたユーザ端末2に転送可能な構成としてもよい。
【0052】
さらに、本システムに接続されている全ての画像形成装置1は、予め特定ユーザ(例えば、△△部長等)が使用するユーザ端末2のユーザID(端末ID)を登録できるように構成し、登録された特定のユーザ端末2で生成された印刷データの削除動作を禁止するように構成してもよい。このようにすれば、特定ユーザから、印刷データを印刷するように指示された場合には、いつでも印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像形成装置が適用される本発明のプリントシステムの全体構成を示す説明図である。
【図3】印刷手順の説明図である。
【図4】印刷データを受信した後の画像処理装置の印刷手順を示すフローチャートである。
【図5】ジョブ管理リストの一例を示す説明図である。
【図6】削除要求を受け取ったときの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1(1a,1b,1c) 画像形成装置
2 ユーザ端末
3 プリントサーバ
101 ジョブ受信部
102 ジョブ所有者情報取得部
103 ジョブ削除依頼通信部
104 ジョブ一致判断部
105 ジョブ蓄積部
106 印刷部
107 ジョブID生成部
108 操作部
109 ロケーション記憶部
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷出力する複数の画像形成装置と、印刷対象となる印刷データを生成するユーザ端末と、前記ユーザ端末で生成された印刷データを管理するプリントサーバとが通信ネットワークを介して接続されたプリントシステムにおける前記画像形成装置において、
前記プリントサーバから印刷データを受信する受信手段と、
受信した印刷データを印刷可能な画像形式に変換して蓄積するジョブ蓄積手段と、
前記印刷データを生成したユーザ端末情報を取得するユーザ端末情報取得手段と、
ユーザの所持する情報記憶媒体からユーザ識別情報を取得するユーザ識別情報取得手段と、
取得したユーザ識別情報と前記ユーザ端末情報とを比較し、ユーザ識別情報とユーザ端末情報とが一致した場合に、受信した印刷データの印刷を行う印刷制御手段と、
印刷を行った印刷データと同じ印刷データを持つ他の画像形成装置に対して同じ印刷データの削除要求を送信する削除要求送信手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
印刷データの削除要求を受け取る削除要求受信手段を備え、印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが前記ジョブ蓄積手段に存在するときは、当該印刷データをジョブ蓄積手段から削除するとともに、削除完了メッセージを前記削除要求の送信元の画像形成装置に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが既に削除され存在しないときは、削除済みメッセージを送信元の画像形成装置に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記削除完了メッセージ及び/または前記削除済みメッセージを受信した場合には、受信したメッセージを表示部に表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
特定のユーザ端末で生成された印刷データの削除動作を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記印刷データの削除要求を受け取った場合に、対象の印刷データが存在するときは、印刷データの削除要求を受け取った時刻から所定の時間が経過したときに前記印刷データを削除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記削除要求を受け取った対象の印刷データは、前記印刷データが削除されるまで操作パネル上での操作で繰り返し印刷可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記削除要求を受け取った対象の印刷データは、前記印刷データが削除されるまで本画像形成装置に挿入された記憶媒体へ記憶可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記削除要求を受け取った対象の印刷データは、前記印刷データが削除されるまで前記通信ネットワークを介して接続されたユーザ端末に転送可能とすることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−187291(P2009−187291A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26628(P2008−26628)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】