説明

画像形成装置

【課題】装置を大型化することなくシートのループを大きくしてシートに転写される画像が乱れてしまうのを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、検知部120によりシートSの種類を検知可能な位置にシートSを押し付ける押付ローラ75を備えている。また、画像形成装置は、シートSを押し付ける押付位置と、押付位置から退避する退避位置とに移動自在に支持する支持機構90を備えている。支持機構90は、押付ローラ75をスライド自在に支持する揺動部材76と、押付ローラ75をシートSの厚さに応じてスライドするよう付勢する圧縮コイルばね77とを有している。揺動部材76は、シートのループの押圧力により揺動する。これにより、押付ローラ75がシートSを押し付ける押付位置から退避位置に退避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタや複写機、印刷機等の画像形成装置には、微小粉末からなる現像剤を静電的に吸着させて画像形成を行なっているものがある。具体的に説明すると、感光体ドラムや感光ベルト等の像担持体上の表面に静電潜像を形成し、像担持体上の静電潜像を現像剤であるトナーによって現像して可視像化する。そして、現像されたトナー画像を転写装置によりシート上に転写し、定着装置によってシートに熱及び圧力が付与され、トナー画像をシート上に定着させる。これら各工程を順次行なうことによってシートに画像を形成している。この技術をさらに応用して、複数の色の現像剤を使用することによって複数色の画像(いわゆるカラー画像)を得ることが可能である。原理的にイエロー・マゼンタ・シアン色の現像剤を用いれば、混色によってフルカラーの画像を得ることができる(場合によって、前記三種類の色の現像剤に加えてブラック色の現像剤を用いることもある)。
【0003】
画像形成装置に用いられるシートには、いわゆる普通コピー用紙やプロジェクター用透明フィルム(OHTシート)、高画質画像を得るための白色フィルム(グロスフィルム)など、材質の異なるシートが多数ある。さらに普通紙にも色々な厚さのものがあり、例えば、坪量60g/mのものあれば200g/mのものもある。
【0004】
画像形成装置では、定着装置にてシート上に静電吸着された現像剤を熱と圧力によって溶融・定着させている。シートの熱容量は、シートの厚さが増すほど大きくなる。また、シートがプラスチックフィルムであると、紙より大きい熱容量を有している。定着装置における加熱熱量としては、現像剤を溶融するための熱量と、シートを温めるための熱量が必要であり、シートの種類によって熱容量が違うため定着装置における必要熱量が異なる。また、シートの種類によって地の白色が異なるため、得られる画像の色合いが異なることがある。
【0005】
そこで、これら多種のシートのいずれに対しても良好な画像を得るために、シートの種類を検知するための検知部材を備え、シートの種類毎に画像形成条件(転写条件及び定着条件)を変更しているものがある。
【0006】
従来、シートの種類を検知する検知部として、シートの表面の状態を検知する検知部材(センサ)を有し、検知部材の検知結果に基づいてシートの種類を判別するものが知られている(特許文献1参照)。この検知部材は、シートの表面に光を照射する光照射部と、シート表面の光照射領域内を映像として読み取る読取部とを有し、検知部は、検知部材の検知に基づいてシート表面の凹凸の深さ及び間隔を演算し、演算結果に基づいてシートの種類を判別する。これにより、シートの種類に依存せず高画質な画像を得ることができる。
【0007】
このような検知部材は、検知焦点距離精度が高いことが要求され、検知部材から検知対象物であるシートまでの距離にばらつきがあると誤検知が多くなってしまう。そのため、シートが検知部材を通過する際にばたつかないように、シートを押え付ける部材が必要である。シートを押え付ける方法としては、圧縮コイルばね等の付勢部材を利用する方法が知られている(特許文献2参照)。そして、このようなシートを押え付ける部材を検知部材の近傍に配置し、検知部材の検知範囲を通過するシートを押える方法が考えられている。
【0008】
図9は、従来例の画像形成装置の要部を示す説明図である。また、図10は、従来例の画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【0009】
図9及び図10において、画像形成装置は、感光体ドラム1Yと、中間転写ベルト51と、中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム1Yに対向して配置される一次転写ローラ6Yとを備えている。また、画像形成装置は、中間転写ベルト51を張架するテンションローラ52及び二次転写対向ローラ53と、中間転写ベルト51を挟んで二次転写対向ローラ53に対向して配置される二次転写ローラ7とを備えている。これら二次転写対向ローラ53、中間転写ベルト51及び二次転写ローラ7で転写部Eが構成される。なお、テンションローラ52は、その回転軸部材52aが基端を支持部材56に固定した圧縮コイルばね57により付勢されている。また、クリーニングブレード58が中間転写ベルト51の表面に接触するように支持部材59に支持され、中間転写ベルト51の表面に付着している転写残りトナーを除去するよう構成されている。
【0010】
二次転写ローラ7のシート搬送方向上流側には搬送部としてのレジストローラ対61a,61bが配置されており、レジストローラ対61a,61bと転写部との間には、シートSを案内する搬送ガイド72が配置されている。搬送ガイド72のガイド面側の反対側には、シートSの種類を検知するための検知部材74が配置されている。この搬送ガイド72には不図示の開口が形成されており、検知部材74はこの開口を通じてシートSに臨むことができる。
【0011】
そして、搬送ガイド72を通過するシートSがばたつくのを抑制するため、搬送ガイド72のガイド面に対向して押付ローラ75が配置され、この押付ローラ75が回転軸78を中心に回転自在に保持部材176に支持されている。この保持部材176は、装置本体に対して動かないように固定され、押付ローラ75の長孔で回転軸78をスライド自在に支持すると共に、押付ローラ75を付勢する圧縮コイルばね177を支持している。この押付ローラ75がスライド自在に圧縮コイルばね177で付勢されるので、あらゆる厚さのシートSを搬送ガイド72に押し付けることが可能である。図9に示すようにシートSが搬送ガイド72を通過する場合、シートSは押付ローラ75により搬送ガイド72に押し付けられるので、検知部材74とシート表面との距離が略一定であり、検知部材74によりシート表面を正確に読み取ることができる。
【0012】
ここで、二次転写ローラ7のシート搬送速度がレジストローラ対61a,61bの搬送速度よりも速いと、転写部Eとレジストローラ対61a,61bの間でシートSの引っ張り合いとなる。このようにシートSの引っ張り合いとなると、レジストローラ対61a,61bの挟持圧が転写部Eでの挟持圧よりも大きいため、シートSが転写部Eで滑り、転写画像が乱れてしまう。その影響を回避するため、レジストローラ対61a,61bのシート搬送速度よりも転写部Eのシート搬送速度を遅くし、図10に示すように、押付ローラ75と転写部Eとの間でシートSにループ(撓み)を形成させている。これにより、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間でシートSの引っ張り合いが起こるのを防止している。
【0013】
【特許文献1】特開2003−302208号公報
【特許文献2】特開平10−203665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、転写部Eの上流側でシートSにループを形成する構成では、シートSの撓み量が多くなるとシートSが剛性により平面状に復帰しようとする力が大きくなってしまう。そして、シートSが平面状に復帰しようとする力によって、転写部EにおいてシートSが滑ってしまうことがある。このように、シートSが転写部Eで滑ってしまうと、シートSに画像が乱れて転写されて画像不良を発生してしまう。そこで、シートSが平面状に復帰しようとする力を小さくするためには、シートにループを形成する際のシートの撓み量が同じであれば、ループを形成するためのシート搬送方向の範囲を長く設定すればよい。すなわち、シートSに形成されるループをシート搬送方向に長くして高さ(撓んだ最上位の高さ)を低く抑えることによりシートSが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができる。
【0015】
しかし、従来の構成では、図10に示すように、レジストローラ対61a,61bと二次転写ローラ7との間に押付ローラ75を配置したことにより、ループが形成される範囲は押付ローラ75と転写部Eとの間に限定されてしまう。具体的に説明すると、圧縮コイルばね177の付勢力は、種々のシートSに対して確実に搬送ガイド72に押え付けることができるように設定されている。このような構成では、図10に示すように、押付ローラ75と転写部Eとの間でシートSの撓み量が大きくなっていっても、圧縮コイルばね177の付勢力に抗して押付ローラ75を押し上げなければシートのループを大きくすることができない。すなわち、ループが形成されるシート自身によって押付ローラ75を押し上げることにより、ループを形成するためのシート搬送方向の範囲を長くしてループを大きくしなければならない。
【0016】
しかし、例えば、剛性の小さいシートでは圧縮コイルばね177の付勢力に抗して押付ローラ75を押し上げることができないため、ループを大きくすることができない。また、剛性の大きいシートでは、押付ローラ75を押し上げることが可能であるが、逆に押付ローラ75が圧縮コイルばね177でシートを押し付けて平坦にしようとする力がシートに加わる。この平坦にしようとする力は、シートが平面状に復帰しようとする力と同様に転写部EにおいてシートSを滑らせてしまい、画像不良を発生させるというおそれがある。従って、押付ローラ75を設ける構成においてシートSのループを大きくするためには、押付ローラ75と転写部Eとの距離を実質的に長くしなければならない。しかし、この距離を長くすると装置の大型化を招くという問題が生じる。
【0017】
図11は、従来の画像形成装置において等間隔に横線を形成するテスト画像をシートに形成した場合を示す説明図である。図11に示すように、矢印P方向に搬送されたシートSには、始めは等間隔(間隔a)の横線画像が形成され、エリアAのような正常な画像が得られている。しかし、シート搬送が進むに連れて転写部と押付ローラ75との間に形成されるシートSにおけるループが復帰しようとする力が限界値を超えると、転写部においてシートSが滑り、シートに転写される画像に乱れが生じてしまう。すなわち、図11に示すシートSのエリアBにおいて形成される横線画像が間隔aとは異なる間隔bや間隔cとなってしまい、シートSに転写される画像が乱れてしまっていた。
【0018】
そこで、本発明は、装置を大型化することなくシートのループを大きくしてシートに転写される画像が乱れてしまうのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、トナー像をシートへ転写する転写部と、前記転写部のシート搬送方向上流側に配置され、前記転写部にシートを搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部により搬送されてくるシートに前記転写部のシート搬送方向の上流側でループを形成するように構成した画像形成装置において、前記搬送部と前記転写部との間に配置され、通過するシートの種類を検知する検知部と、前記検知部によりシートの種類を検知可能な位置に、シートの厚さに応じてスライドしてシートを押し付ける押付部材と、を備え、シートのループの押圧力により、前記押付部材のスライド方向とは異なる方向に前記押付部材を移動させ、前記押付部材がシートを押し付ける位置から退避するよう構成した、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シートにループが形成されるときに、形成されるループによって押付部材が退避することによって搬送部と転写部との間でシートにループを形成することができる。そのため、ループを大きくすることができて、シートが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができる。この力を小さくすることで、転写部において転写画像が乱れるのを防止できて、良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。なお、本第1実施形態では、画像形成装置が電子写真方式によって画像形成を行なうプリンタである場合について説明するが、これに限るものではなく、画像形成装置が電子写真方式によって画像形成を行なう複写機、ファクシミリ等でもよい。
【0023】
図1において、100は画像形成装置としてのカラープリンタ(以下、プリンタという)である。プリンタ100は、シートSを給送するシート給送部101と、シートSに画像を形成する画像形成部102と、プリンタ全体を制御する制御部110とを備えている。画像形成部102は、形成する色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)毎に画像形成ユニット103(103Y,103M,103C,103Bk)を備えている。画像形成ユニット103は、像担持体として感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1Bk)を有している。
【0024】
また、プリンタ100は、中間転写体としての中間転写ベルト51を有する中間転写部5と、感光体ドラム1上に形成したトナー像を中間転写ベルト51に一次転写する一次転写部としての一次転写ローラ6(6Y,6M,6C,6Bk)を備えている。また、プリンタ100は、中間転写ベルト51上のトナー像を、シートへ二次転写する二次転写部としての二次転写ローラ7と、トナー像をシートに定着する定着部としての定着装置8と、を備えている。また、プリンタ100は、二次転写ローラ7にシートを搬送する搬送部としてのレジストローラ対61a,61b対を備えている。このレジストローラ対61a,61bは、シート給送部101と二次転写ローラ7との間、つまり、二次転写ローラ7のシート搬送方向上流側に配置されている。
【0025】
画像形成ユニット103は、感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電装置2(2Y,2M,2C,2Bk)及び感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光装置3(3Y,3M,3C,3Bk)を備えている。また、画像形成ユニット103は、露光装置3による露光により形成された感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像装置4(4Y,4M,4C,4Bk)を備えている。また、また、画像形成ユニット103は、感光体ドラム1上に残ったトナーを除去するクリーナ9(9Y,9M,9C,9Bk)を備えている。
【0026】
感光体ドラム1は不図示の駆動部によって、例えば図1に示す矢印の如く反時計回りに回転駆動されるようになっている。この感光体ドラム1の回転方向に沿ってその周りに、帯電装置2、露光装置3、現像装置4が順次配設されている。
【0027】
露光装置3は、画像情報に基づいて不図示の光源(例えば、レーザ光やLED光)を点滅させ、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する。現像装置4は、それぞれの色毎にトナーを収容する現像剤収容部41と、表面に現像剤であるトナーを担持するとともに、感光体ドラム1と対向し、現像剤収容部41から感光体ドラム1へとトナーを移動させる現像剤担持ローラ42とを有している。
【0028】
定着装置8は、加熱ローラ8aと、この加熱ローラ8aに圧接する加圧ローラ8bとを有している。
【0029】
画像形成ユニット103は、それぞれ中間転写ベルト51に沿って鉛直方向に並列配置される。感光体ドラム1と共に中間転写ベルト51を挟持する位置には、一次転写ローラ6が対向設置されている。
【0030】
中間転写部5は、テンションローラ52、二次転写対向ローラ53を含む4つのローラ52,53,54,55を備え、4つのローラ52,53,54,55に中間転写ベルト51が張架されている。また、二次転写対向ローラ53と共に中間転写ベルト51を挟持する位置には、二次転写ローラ7が対向配置されている。これら二次転写対向ローラ53、中間転写ベルト51及び二次転写ローラ7で転写部Eが構成されている。
【0031】
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置の要部を示す説明図である。
【0032】
テンションローラ52は、その回転軸部材52aが基端を支持部材56に固定した圧縮コイルばね57により付勢されている。また、クリーニングブレード58が中間転写ベルト51の表面に接触するように支持部材59に支持され、中間転写ベルト51の表面に付着している転写残りトナーを除去するよう構成されている。レジストローラ対61a,61bと二次転写ローラ7との間には、シートSを案内する搬送ガイド72が配置されている。
【0033】
図1において、シート給送部101は、シート収納部である給紙カセット11のシートSを一枚ずつ分離搬送するフィードローラ12aとリタードローラ12bからなるリタードローラ対12a,12bを備えている。
【0034】
次に、このように構成されたプリンタ100の画像形成動作について説明する。
【0035】
外部の不図示のホストコンピュータから印字命令を受信すると、画像形成動作が開始される。これにより、例えばイエローの画像形成ユニット103Yにおいて、まず感光体ドラム1Yの表面がマイナス帯電され、次に露光装置3Yにより画像露光が行われる。この結果、感光体ドラム1Yの表面には原稿のイエロー画像成分と対応した静電潜像が形成される。
【0036】
次に、この静電潜像は、現像装置4Yによりイエロートナーを用いて現像され、イエロートナー像として可視化される。そして、このようにして得られたイエロートナー像は、転写バイアスが印加された一次転写ローラ6Yにより、中間転写ベルト51上に一次転写される。なお、トナー像が転写された後、感光体ドラム1Yは、表面に付着している転写残りトナーがクリーナ9Yによって除去され、次の画像形成に供される。
【0037】
そして、このようなトナー画像形成動作を、他の画像形成ユニット103M,103C,103Bkにおいて所定のタイミングを持って行う。さらに、各感光体ドラム1M,1C,1Bk上に形成された各色トナー像を、それぞれの一次転写ローラ6M,6C,6Bkで中間転写ベルト51上に順次重ねて一次転写する。このように各色の感光体ドラム1上のトナー像を、対向した中間転写ベルト51に各色順次転写、重ね合わせることにより、中間転写ベルト51上に静電吸着されたひとつのフルカラートナー像が形成される。
【0038】
次に、中間転写ベルト51上に転写された4色のトナー像は、中間転写ベルト51の矢印方向の回転に伴い、二次転写対向ローラ53と二次転写ローラ7とにより形成されるニップに移動される。
【0039】
一方、このようなトナー画像形成動作に伴って、給紙カセット11からシートSが給送され、このシートSはリタードローラ対12a,12bにより1枚ずつに分離された後、レジストローラ対61a,61bに搬送される。このときレジストローラ対61a,61bは回転が停止しており、このレジストローラ対61a,61bのニップに突き当てられることにより、シートSの斜行が補正される。
【0040】
次に、このように斜行が補正された後、シートSはレジストローラ対61a,61bにより所定のタイミングで転写部Eに搬送され、転写バイアスが印加された二次転写ローラ7において中間転写ベルト51上のトナー像がシートS上に転写される。次に、トナー像が転写されたシートSは、定着装置8に搬送される。この定着装置8では、加熱ローラ8a及び加圧ローラ8bに挟持されて熱及び圧力がシートSに付与され、シートS上のトナーを溶融・定着させる。この定着装置8によりトナー像が定着されたシートSは、シート搬送経路20を通過して排紙トレイ10上に排出される。
【0041】
ところで、プリンタ100に用いられるシートSには、普通コピー用紙、プロジェクター用透明フィルム(OHTシート)や高画質画像を得るための白色フィルム(グロスフィルム)など、シートSの種類が多数ある。そこで、制御部110は、これら多種のシートSのいずれに対しても良好な画像を得るために、シートS毎に画像形成条件(転写条件及び定着条件)を変更するようにしている。具体的に説明すると、転写時には、抵抗値の低い普通紙の場合は低く、抵抗値の高いグロスフィルムの場合は高い転写バイアスを二次転写ローラ7に印加する等、シートの抵抗値に合わせて最適な転写バイアスを印加している。また、定着時には、熱容量の小さい普通紙には低い、熱容量の大きいグロスフィルムには高い定着温度が必要になる等、シートの熱容量に合わせて最適な定着温度に設定している。従って、各種のシートSに対してより良好な画像を得るためには、画像の転写や定着を行なう前にシートSの種類を高い精度で検知する必要がある。
【0042】
本第1実施形態では、プリンタ100は、シートSの種類を検知する検知部120を備えている。検知部120は、シートSの表面の状態を検知する検知部材(センサ)74を有し、制御部110が、検知部材74の検知結果に基づいてシートの種類を判別する。つまり、検知部120は、検知部材74及び制御部110で構成されている。
【0043】
検知部材74は、シートSの表面に光を照射するLED等の不図示の光照射部と、シートSの表面の光照射部による光照射領域内を映像として読み取るCMOSセンサ等の不図示の読取部とを有している。そして、制御部110は、検知部材74の読取部の結果から、シートS表面の凹凸の深さ及び間隔を演算し、この演算結果に基づいてシートSの種類を判別している。
【0044】
検知部材74は、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間を通過するシートSの表面を検知するために、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間に配置されている。具体的に説明すると、検知部材74は、搬送ガイド72のガイド面側の反対側であって、搬送ガイド72に形成された不図示の開口を通じて搬送ガイド72を通過するシートSに臨む位置に配置されている。搬送ガイド72のガイド面は、先端部が下方に傾斜しているが、検知部材74に対向する部分は略水平である。
【0045】
ここで、検知部材74は、検知焦点距離精度が高いこと、つまり、検知部材74とシートS表面との距離が略一定に保たれていることが要求されている。
【0046】
従って、本第1実施形態のプリンタ100は、検知部120によりシートSの種類を高い精度で検知可能な位置(シートSの表面の状態が高い精度で検知可能な位置)にシートSを押し付ける押付部材としての押付ローラ75を備えている。さらに、プリンタ100は、押付ローラ75を、シートSを押し付ける押付位置と、押付位置から退避する退避位置とに移動自在に支持する支持機構90を備えている。
【0047】
図3は、図2の矢印C方向に見た画像形成装置の要部を示す説明図であり、図4は、シートを押し付けている状態を示す説明図である。
【0048】
支持機構90は、図3に示すように、押付ローラ75を回転自在に支持する支持部材80と、支持部材80及び押付ローラ75を一体にスライド自在に支持する揺動部材76とを有している。支持部材80は略コ字形状に形成されており、支持部材80の両端部の間に押付ローラ75が配置され、押付ローラ75の回転軸78が両端部に支持されている。また、揺動部材76は、略コ字形状に形成されており、揺動部材76の両端部の間に支持部材80と共に押付ローラ75が配置されており、揺動部材76の両端部には長孔が形成されている。そして、揺動部材76の長孔には押付ローラ75の回転軸78が挿通され、押付ローラ75が揺動部材76に回転自在且つスライド自在に支持されている。
【0049】
更に、支持機構90は、押付ローラ75をシートSの厚さに応じてスライドするよう付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね77を備えている。圧縮コイルばね77は、揺動部材76と支持部材80との間に配置され、基端77aが揺動部材76の平坦部の内側に固定されると共に、先端77bが支持部材80の平坦部の外側に固定され、押付ローラ75を支持部材80と一体にスライドするよう付勢している。
【0050】
押付ローラ75は、シートSが搬送ガイド72に搬送される前、自重により搬送ガイド72のガイド面に当接している。そして、図2に示すように、シートSが搬送ガイド72に搬送されたとき、押付ローラ75がシートSに接触してシート搬送に伴ってシート搬送方向に回転する。このように押付ローラ75が回転するので、シート搬送の負荷を軽減することができる。
【0051】
ここで、圧縮コイルばね77は、圧縮コイルばね77による押付ローラ75の付勢方向(図4中、矢印X方向)がシート搬送方向に対して鋭角に傾いて配置されている。つまり、図4に示すように、圧縮コイルばね77の軸線L1と、シートSと押付ローラ75が接触する部分のシート搬送方向の線L2とのなす角θが鋭角となるように、揺動部材76が揺動軸79を中心に傾けられて配置されている。
【0052】
そして、揺動部材76には、シート搬送力によりシート搬送方向に回動しようとする力が作用するが、押付ローラ75がシートSに圧接して揺動部材76のストッパとして作用する。そして、押付ローラ75はシートSの厚さに応じて圧縮コイルばね77の付勢方向とは逆方向にスライドする。これにより、圧縮コイルばね77の付勢方向とは逆方向にスライドした押付ローラ75にシートSが押圧されて、シートSが搬送ガイド72に効果的に押し付けられている。
【0053】
このように押付ローラ75がシートSを押し付けているとき、押付ローラ75はシートSを介して検知部材74に対向する押付位置に移動している。この押付位置に移動した押付ローラ75によりシートSのばたつきが抑制され、シートSの表面と検知部材74との距離を略一定に保つことができ、検知部材74による検知が良好に行なわれ、検知部120におけるシートSの種類の検知精度を高めることができる。検知部材74による検知は1mm四方の面積があれば足り、シートSの先端が二次転写ローラ7に到達する前に検知部材74の検知動作を終えることができる。従って、検知部材74、即ち検知部120による検知終了後、押付ローラ75はシートSを押え付ける必要はない。
【0054】
本第1実施形態では、転写部Eにより搬送されるシートSのシート搬送速度を、レジストローラ対61a,61bにより搬送されるシートSのシート搬送速度よりも遅く設定して、搬送されてきたシートSに転写部Eの上流側でループを形成している。
【0055】
図5は、第1実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【0056】
検知部120による検知終了後、シートSが二次転写ローラ7に到達し、シートSがループ(撓み)を形成し始める。シートSにループが形成されると、シートS自身にはその剛性によってループを解消して平面状に復帰しようとする力が発生する。そして、押付ローラ75には、シートSのループによる押圧力が作用するが、圧縮コイルばね77は、シートSを押し付けるのに必要な付勢力を有しているので、シートSのループの押圧力では圧縮しないか、或いは圧縮しても僅かである。
【0057】
本第1実施形態では、シートSのループの押圧力により、押付ローラ75のスライド方向とは異なる方向に押付ローラ75を移動させ、シートSを押し付ける押付位置から退避位置に退避するよう構成されている。具体的に説明すると、押付ローラ75のスライド方向とは異なる揺動部材76の揺動方向にシートSのループによる押圧力が押付ローラ75に作用するよう、支持機構90を配置している。この揺動部材76の揺動方向は、シート搬送方向とは逆方向であり、ループの押圧力が押付ローラ75に作用することにより、揺動部材76が揺動するものである。
【0058】
ここで、揺動部材76を傾けて配置しているので、押付ローラ75には、シートSのループの押圧力が揺動部材76の揺動方向に作用しやすくなる。従って、揺動部材76を傾けずに配置した場合よりも小さな力で揺動部材76を揺動させることができる。また、押付ローラ75及び支持機構90を重力に抗して押し退けるだけでよく、圧縮コイルばね77を圧縮させる力よりも小さな力で揺動部材76を揺動させることができる。
【0059】
そして、押付ローラ75は、揺動部材76が揺動することでシートSを押し付ける押付位置からシート搬送方向とは逆方向に移動して退避位置に退避する。このように揺動部材76を揺動させて押付ローラ75を移動させるようにしたので、圧縮コイルばね77を圧縮させて押付ローラ75を退避させる場合と比較して小さい力で押付ローラ75を退避位置に退避させることができる。
【0060】
このように押付ローラ75が退避位置に退避することにより、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間でシートSにループが形成される。そのため、押付ローラ75と転写部Eとの間でループが形成される場合と比較してシートSのループの大きさを大きくすることができる。従って、シートSにループを形成させるためにプリンタ100を大型化する必要はない。また、シートSのループを大きくすることで、シートが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができる。
【0061】
そして、ループしているシートSが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができるので、シートSが転写部Eにおいて滑ることがなくなる。従って、転写部EにおいてシートSに形成される転写画像が乱れるのを抑制することができ、良好な画像を得ることができる。
【0062】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、揺動部材が揺動して押付ローラが退避位置に退避する場合について説明したが、本第2実施形態では、圧縮コイルばねが屈曲して押付ローラが退避位置に退避する場合について説明する。なお、本第2実施形態において、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置の要部を示す説明図である。本第2実施形態では、プリンタは、押付部材としての押付ローラ75と、押付ローラ75を、シートSを押し付ける押付位置と、押付位置から退避する退避位置とに移動自在に支持する支持機構190とを備えている。
【0064】
支持機構190は、付勢部材としての圧縮コイルばね77と、圧縮コイルばね77を支持するコイル支持部材81と、押付ローラ75を回転自在に支持する支持部材80と、支持部材80を案内するスライド支持部材82とを有している。
【0065】
支持部材80は略コ字形状に形成されており、支持部材80の両端部の間に押付ローラ75が配置され、押付ローラ75の回転軸78が両端部に支持されている。圧縮コイルばね77の基端はコイル支持部材81に固定され、先端は支持部材80に固定されている。そして、圧縮コイルばね77は、その伸縮により支持部材80と共に押付ローラ75をスライドさせる。また、圧縮コイルばね77は、圧縮コイルばね77による押付ローラ75の付勢方向が傾くように、上記第1実施形態と同じ角度で傾けて配置されている。スライド支持部材82は、支持部材80の両端部のシート搬送方向下流側の面に当接するよう配置されている。これによりスライド支持部材82は、押付ローラ75のストッパとして機能すると共に、圧縮コイルばね77の伸縮方向に押付ローラ75がシートSの厚さに応じてスライドするよう支持部材80を案内する。ここで、圧縮コイルばね77を屈曲させたときの弾性力は、圧縮コイルばね77を圧縮させたときの弾性力よりも小さく設定されている。
【0066】
押付ローラ75は、シートSが搬送ガイド72に搬送される前、搬送ガイド72のガイド面に当接している。そして、図6に示すように、シートSが搬送ガイド72に搬送されたとき、押付ローラ75がシートSに接触してシート搬送に伴ってシート搬送方向に回転する。このように押付ローラ75が回転するので、シート搬送の負荷を軽減することができる。このとき、押付ローラ75を支持する支持部材80がスライド支持部材82に当接して規制されているので、圧縮コイルばね77がシート搬送力によりシート搬送方向に屈曲することはない。そして、押付ローラ75は、シートSの厚さに応じて圧縮コイルばね77の付勢方向とは逆方向に支持部材80と共にスライドする。そして、圧縮コイルばね77の付勢方向とは逆方向にスライドした押付ローラ75にシートSが押圧されて、シートSが搬送ガイド72に効果的に押し付けられている。
【0067】
このように押付ローラ75がシートSを押し付けているとき、押付ローラ75はシートSを介して検知部材74に対向する押付位置に移動している。この押付位置に移動した押付ローラ75によりシートSのばたつきが抑制され、シートSの表面と検知部材74との距離を略一定に保つことができ、検知部材74による検知が良好に行なわれ、検知部120におけるシートSの種類の検知精度を高めることができる。この検知部材74による検知は1mm四方の面積があれば足り、シートSの先端が二次転写ローラ7に到達する前に検知部材74の検知動作を終えることができる。従って、検知部材74、即ち検知部120による検知終了後、押付ローラ75はシートSを押え付ける必要はない。
【0068】
本第2実施形態では、転写部Eにより搬送されるシートSのシート搬送速度を、レジストローラ対61a,61bによるシート搬送速度よりも遅く設定して、搬送されてきたシートSに転写部Eの上流側でループを形成している。
【0069】
図7は、第2実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【0070】
検知部120による検知終了後、シートSが転写部Eに到達し、シートSがループ(撓み)を形成し始める。
【0071】
本第2実施形態では、押付ローラ75に作用するシートSのループの押圧力により、押付ローラ75のスライド方向とは異なる圧縮コイルばね77の屈曲方向に押付ローラ75が移動し、押付ローラ75がシートSを押し付ける押付位置から退避位置に退避する。即ち、圧縮コイルばね77がシート搬送方向とは逆方向に屈曲することで、押付ローラ75がシートSを押し付ける押付位置からシート搬送方向とは逆方向に移動して退避位置に退避する。このように圧縮コイルばね77が屈曲するだけという簡単な構成で押付ローラ75を退避位置に移動させることができる。
【0072】
ここで、圧縮コイルばね77を傾けて配置しているので、押付ローラ75には、シートSのループの押圧力が圧縮コイルばね77の屈曲方向に作用しやすくなる。従って、圧縮コイルばね77を傾けずに配置した場合よりも小さな力で圧縮コイルばね77を屈曲させることができる。
【0073】
このように圧縮コイルばね77を屈曲させて押付ローラ75を移動させるようにしたので、圧縮コイルばね77を圧縮させて押付ローラ75を退避させる場合と比較して小さい力で押付ローラ75を退避位置に退避させることができる。
【0074】
このように押付ローラ75が退避位置に退避することにより、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間でシートSにループが形成される。そのため、押付ローラ75と転写部Eとの間でループが形成される場合と比較してシートSのループの大きさを大きくすることができる。従って、シートSにループを形成するためにプリンタを大型化する必要はない。また、シートSのループを大きくすることで、シートが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができる。
【0075】
そして、シートSが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができるので、シートSが転写部Eにおいてシート搬送方向に滑ることはなく、シート搬送速度が乱れるのを抑制することができる。従って、転写部EにおいてシートSに形成される転写画像が乱れるのを抑制することができ、良好な画像を得ることができる。
【0076】
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態では、シートの押圧力により押付ローラを押付位置から退避位置に移動させる場合について説明したが、本第3実施形態では、アクチュエータにより押付ローラを押付位置から退避位置に移動させる場合について説明する。
【0077】
図8は、第3実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【0078】
本第3実施形態では、プリンタは、押付部材としての押付ローラ75と、押付ローラ75を、シートSを押し付ける押付位置と、押付位置から退避する退避位置とに移動自在に支持する支持機構290とを備えている。
【0079】
支持機構290は、押付ローラ75を回転自在に支持する不図示の支持部材と、支持部材及び押付ローラ75を一体にスライド自在に支持する保持部材83とを有している。また、支持機構290は、アクチュエータとしてのソレノイド84と、ソレノイド84のシャフト84aの突出動作及び退避動作を保持部材83に伝達する連動部材85とを有している。更に、支持機構290は、押付ローラ75をシートSの厚さに応じてスライドするよう付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね77を備えている。
【0080】
不図示の支持部材は略コ字形状に形成されており、支持部材の両端部の間に押付ローラ75が配置され、押付ローラ75の回転軸78が両端部に支持されている。また、保持部材83は、略コ字形状に形成されており、保持部材83の両端部の間に支持部材と共に押付ローラ75が配置されており、保持部材83の両端部には長孔が形成されている。そして、保持部材83の長孔には押付ローラ75の回転軸78が挿通され、押付ローラ75が保持部材83に回転自在且つスライド自在に支持されている。
【0081】
圧縮コイルばね77は、保持部材83と不図示の支持部材との間に配置され、基端が保持部材83の平坦部の内側に固定されると共に、先端が不図示の支持部材の平坦部の外側に固定され、押付ローラ75を支持部材と一体にスライドするよう付勢している。
【0082】
連動部材85は、連動軸85aを中心に揺動自在に支持されており、一端が保持部材83に固定され、他端がソレノイド84のシャフト84aに固定されている。
【0083】
以上の構成により、ソレノイド84のシャフト84aが突出動作したとき、図8に示すように、連動部材85が連動軸85aを中心に回動して保持部材83と共に押付ローラ75が退避位置に移動する。また、ソレノイド84のシャフト84aが退避動作したとき、連動部材85が連動軸85aを中心に回動して保持部材83と共に押付ローラ75が押付位置に移動する。このようにソレノイド84は、押付位置及び退避位置のいずれかの位置に押付ローラ75を移動させるよう動作する。このソレノイド84の動作は、制御部110により制御される。
【0084】
まず、制御部110は、検知部材74による検知動作時には、ソレノイド84のシャフト84aを退避するよう動作させており、押付ローラ75が押付位置に移動している。この押付ローラ75によりシートSが押し付けられるので、シートSのばたつきが抑制される。これにより、シートSの表面と検知部材74との距離を略一定に保つことができ、検知部材74による検知が良好に行なわれ、検知部120におけるシートSの種類の検知精度を高めることができる。制御部110は、検知部材74、即ち検知部120による検知動作終了後、図8に示すように、ソレノイド84のシャフト84aを突出するよう動作させ、押付ローラ75が退避位置に移動する。
【0085】
このように押付ローラ75が退避位置に退避することにより、レジストローラ対61a,61bと転写部Eとの間でシートSにループが形成される。そのため、押付ローラ75と転写部Eとの間でループが形成される場合と比較してシートSのループの大きさを大きくすることができる。従って、シートSにループを形成するためにプリンタを大型化する必要はない。また、シートSのループを大きくすることで、シートが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができる。
【0086】
そして、シートSが平面状に復帰しようとする力を小さくすることができるので、シートSが転写部Eにおいてシート搬送方向に滑ることはなく、シート搬送速度が乱れるのを抑制することができる。従って、転写部EにおいてシートSに形成される転写画像が乱れるのを抑制することができ、良好な画像を得ることができる。
【0087】
また、ソレノイド84により押付ローラ75を押付位置及び退避位置のいずれかの位置に選択的に移動させることができるので、検知部材74による検知動作を適正なタイミングで行なうことができる。そして、シートの剛性に関係なく、シートがループするときに押付ローラ75を退避させることができる。
【0088】
なお、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、構成部品の寸法、材質、形状、設置位置などを適宜変更することができる。
【0089】
即ち、上記実施形態では、搬送ガイド72のガイド面を略水平にした場合について説明したが、これに限定するものではなく、搬送ガイドのガイド面を、シート搬送方向下流側が上方に傾斜するように設定してもよい。これによって、押付部材やそれに付随する部材の重力によるシートを搬送ガイドに押圧する力を低減することができる。従って、ループの押圧力が小さい場合でも容易に押付部材を移動させることできる。
【0090】
また、上記実施形態では、シートSを搬送ガイド72に押し付ける場合について説明したが、これに限定するものではなく、搬送ガイド以外の部材に押し付ける場合であってよい。また、シートSが搬送ガイド72に接触するように押し付ける場合について説明したが、これに限るものではなく、非接触状態であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、検知部材74を搬送ガイド72のガイド面側とは反対側に配置した場合について説明したが、これに限定するものではない。つまり、搬送部としてのレジストローラ対と転写部との間であって、シートの種類を判別できる場所であればいかなる場所に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図3】図2の矢印C方向に見た画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図4】シートを押し付けている状態を示す説明図である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【図8】第3実施形態に係る画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【図9】従来例の画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図10】従来例の画像形成装置において、シートがループした状態を示す説明図である。
【図11】従来例の画像形成装置において等間隔に横線を形成するテスト画像をシートに形成した場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
61a,61b レジストローラ対(搬送部)
72 搬送ガイド
74 検知部材
75 押付ローラ(押付部材)
76 揺動部材
77 圧縮コイルばね
84 ソレノイド(アクチュエータ)
100 プリンタ(画像形成装置)
110 制御部
120 検知部
E 転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像をシートへ転写する転写部と、前記転写部のシート搬送方向上流側に配置され、前記転写部にシートを搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部により搬送されてくるシートに前記転写部のシート搬送方向の上流側でループを形成するように構成した画像形成装置において、
前記搬送部と前記転写部との間に配置され、通過するシートの種類を検知する検知部と、
前記検知部によりシートの種類を検知可能な位置に、シートの厚さに応じてスライドしてシートを押し付ける押付部材と、を備え、
シートのループの押圧力により、前記押付部材のスライド方向とは異なる方向に前記押付部材を移動させ、前記押付部材がシートを押し付ける位置から退避するよう構成した、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押付部材をスライド自在に支持する揺動自在な揺動部材を備え、
前記押付部材に作用するシートのループの押圧力により前記揺動部材が揺動し、前記押付部材がシートを押し付ける位置から退避する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押付部材を伸縮によりスライドさせる圧縮コイルばねを備え、
前記押付部材に作用するシートのループの押圧力により前記圧縮コイルばねが屈曲し、前記押付部材がシートを押し付ける位置から退避する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押付部材の付勢方向がシート搬送方向に対して鋭角に傾けられて設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像をシートへ転写する転写部と、前記転写部のシート搬送方向上流側に配置され、前記転写部にシートを搬送する搬送部と、を備え、前記搬送部により搬送されてくるシートに前記転写部のシート搬送方向の上流側でループを形成するように構成した画像形成装置において、
前記転写部と前記搬送部との間に配置され、通過するシートの種類を検知する検知部と、
前記検知部によりシートの種類を検知可能な位置にシートを押し付ける押付部材と、
前記押付部材を、シートを押し付ける押付位置及び前記押付位置から退避する退避位置のいずれかの位置に移動させるアクチュエータと、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−198683(P2009−198683A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38785(P2008−38785)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】