説明

画像形成装置

【課題】 用紙押さえがトップカバー等の装置本体から外れてしまう等の不具合の発生を防止する。
【解決手段】 排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25は、用紙押さえ25が外力により下方側に揺動されたときに、用紙押さえ25が排出ローラ21より先にピンチローラ23に接触するように構成する。これにより、用紙押さえ25に外力Fが作用すると、用紙押さえ25は、ピンチローラ23に接触するとともに、その外力Fは、ピンチローラ23を押圧するコイルバネ23Cの弾性変形により吸収されるので、用紙押さえ25が装置本体をなすトップカバー9から外れてしまう等の不具合が発生することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の画像形成装置では、画像形成が終了した記録シートが、確実に順次、載置トレイに載置されていくように、排出ローラの近傍にシート押さえを設けている。
【0003】
なお、シート押さえは、上端側が揺動可能に装置本体に組み付けられ、自重により下方側に揺動して排出された記録シートを下方側(載置トレイ側)に押圧するものである。
【特許文献1】特開平9−77228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シート押さえは、排出された記録シートを下方側(載置トレイ側)に押圧するものであり、排出ローラ等の近傍にて装置本体に組み付けられているので、載置トレイに載置されている記録シートをユーザが取る際に、誤ってシート押さえを押さえてしまう、又は、一旦、載置トレイから取り上げた記録シートの束を載置トレイに戻す際に、記録シートの束がシート押さえに衝突してしまう、といった状況が発生し易い。
【0005】
このように、シート押さえに対して重力より大きな力が作用すると、シート押さえが装置本体から外れてしまう等の不具合が発生してしまうおそれがある。
本発明は、上記点に鑑み、シート押さえが装置本体から外れてしまう等の不具合の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成手段(3)と、画像形成が終了した記録シートが載置される載置トレイ(7)と、画像形成手段(3)から排出された記録シートを載置トレイ(7)に排出する排出ローラ(21)と、排出ローラ(21)に対して近接又は離間可能とした状態で排出ローラ(21)と対向する位置に設けられ、記録シートを排出ローラ(21)に押し付けるピンチローラ(23)と、ピンチローラ(23)を排出ローラ(21)側に押圧するとともに、弾性的に変形可能な押圧手段(23C)と、ピンチローラ(23)より上方側で上端部(25A)側が装置本体(9)に揺動可能に組み付けられ、排出ローラ(21)より排出された記録シートを下方側に押し下げるシート押さえ(25)とを備え、排出ローラ(21)、ピンチローラ(23)及びシート押さえ(25)は、シート押さえ(25)が外力により下方側に揺動されたときに、シート押さえ(25)が排出ローラ(21)より先にピンチローラ(23)に接触するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、シート押さえ(25)に外力が作用すると、シート押さえ(25)は、ピンチローラ(23)に接触するとともに、その外力は、ピンチローラ(23)を押圧する押圧手段(23C)の弾性変形により吸収されるので、シート押さえ(25)が装置本体から外れてしまう等の不具合が発生することを防止できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、ピンチローラ(23)及びシート押さえ(25)は、排出ローラ(21)より硬度の高い材料にて構成されていることを特徴とする。
これにより、請求項2に記載の発明では、ピンチローラ(23)及びシート押さえ(25)は、硬度の高い材料にて構成された構成となるので、シート押さえ(25)がピンチローラ(23)に接触したときに、ピンチローラ(23)が損傷してしまうことを防止できるとともに、硬度の低いに排出ローラ(21)にてシート押さえ(25)に作用する外力を吸収する必要がないので、排出ローラ(21)が損傷してしまうことを防止できる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、ピンチローラ(23)は、円柱状のコロ部(23D)、及びコロ部(23D)から径方向外側に突出したフランジ部(23E)を有しており、さらに、シート押さえ(25)が外力により下方側に揺動されたときには、シート押さえ(25)は、ピンチローラ(23)のうちフランジ部(23E)に接触することを特徴とする。
【0010】
これにより、請求項3に記載の発明では、コロ部(23D)にシート押さえ(25)が接触することなく、フランジ部(23E)にシート押さえ(25)が接触するので、コロ部(23D)に損傷が発生することを防止できる。
【0011】
なお、コロ部(23D)は、フランジ部(23E)に比べて大きな面積で記録シートに接触するので、コロ部(23D)の外周面に損傷が発生すると、記録シートに形成された画像等に損傷が発生するおそれが高くなるが、フランジ部(23E)は、コロ部(23D)に比べて小さな面積で記録シートに接触するので、仮に、フランジ部(23E)に損傷が発生しても、記録シートに形成された画像等に損傷が発生する可能性は極めて低い。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、シート押さえ(25)に外力が作用していないときに、シート押さえ(25)がピンチローラ(23)に接触する位置まで揺動することを規制する規制手段(9A、25E)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
これにより、請求項4に記載の発明では、外力が作用していない通常時においては、シート押さえ(25)はピンチローラ(23)に接触しないので、ピンチローラ(23)とシート押さえ(25)とが接触することに起因する異音の発生を防止できるとともに、ピンチローラ(23)の損傷を防止できる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、規制手段(9A、25E)は、シート押さえ(25)に設けられた当接部(25E)を装置本体(9)に設けられた被当接部(9A)に当てることによりピンチローラ(23)の揺動を規制しており、さらに、当接部(25E)及び被当接部(9A)のうち少なくとも一方には、弾性的に変形する弾性部(25F)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
これにより、請求項5に記載の発明では、弾性部(25F)にて規制手段(9A、25E)で発生する異音を吸収することができるとともに、シート押さえ(25)に作用する外力を弾性部(25F)においても吸収することができるので、シート押さえ(25)の損傷を確実に防止できる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明では、シート押さえ(25)及び装置本体のいずれか一方には、他方側に突出して嵌合することにより、シート押さえ(25)を揺動可能に支持する揺動軸部(25A)が設けられており、さらに、排出ローラ(21)から排出される記録シートの排出方向と直交する仮想平面(S1)に、排出ローラ(21)、ピンチローラ(23)及びシート押さえ(25)の揺動軸部(25A)が投影されたとき、仮想平面(S1)に投影された揺動軸部(25A)は、仮想平面(S1)に投影された排出ローラ(21)及びピンチローラ(23)のうち少なくとも一方と仮想平面(S1)上で重なることを特徴とする。
【0017】
これにより、請求項6に記載の発明では、仮想平面(S1)に投影された揺動軸部(25A)は、仮想平面(S1)に投影された排出ローラ(21)及びピンチローラ(23)のうち少なくとも一方と仮想平面(S1)上で重なっているので、シート押さえ(25)、つまり揺動軸部(25A)に作用する力を、排出ローラ(21)及びピンチローラ(23)のうち少なくとも一方で受けることができ、揺動軸部(25A)が装置本体(9)から外れてしまうことを防止できる。
【0018】
ところで、外力が作用しても、その外力が過度に大きくない場合には、上述したように、ピンチローラ(23)にシート押さえ(25)が接触し、押圧手段(23C)により外力が吸収されるため、シート押さえ(25)に不具合が発生することはない。しかし、大きな力がシート押さえ(25)に作用したときには、押圧手段(23C)のみで外力を十分に吸収することができず、シート押さえ(25)が損傷してしまうおそれがある。
【0019】
これに対して、請求項7に記載の発明では、排出ローラ(21)は、弾性変形可能な材料にて構成され、シート押さえ(25)の揺動軸部(25A)は、軸方向に変位可能であり、さらに、シート押さえ(25)が排出ローラ(21)より先にピンチローラ(23)に接触した状態から更に下方向きの外力がシート押さえ(25)に作用したときには、シート押さえ(25)の少なくとも一部が変形して、シート押さえ(25)がピンチローラ(23)及び排出ローラ(21)に接触することを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項7に記載の発明では、大きな力がシート押さえ(25)に作用したときには、押圧手段(23C)及び弾性変形可能な材料からなる排出ローラ(21)にて外力が吸収されるので、大きな外力がシート押さえ(25)に作用した場合であってもシート押さえ(25)が損傷してしまうことを防止できる。
【0021】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態は本発明に係る画像形成装置をモノクロ方式のレーザプリンタに適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の外観斜視図であり、図2は画像形成装置1の中央断面図であり、図3はトップカバー9の斜視図であり、図4はトップカバー9側面図であり、図5は図4のA矢視図であり、図6(a)は排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25等の配置関係を上面側見た状態を示す図であり、図6(b)は用紙押さえ25の上面図であり、図7(a)〜図7(c)は、図5のA−A断面図であって、本実施形態の特徴的作動を示す図である。
【0023】
2.画像形成装置の概要
本実施形態に係る画像形成装置1は、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部3(図2参照)を有して構成されており、画像形成部3にて画像形成が終了した用紙は、図1に示すように、筐体5の上面側(以下、この部位をトップカバー9という。)に設けられた排出トレイ7に排出されて載置されていく。
【0024】
なお、本実施形態では、トップカバー9は筐体5に対して着脱自在に組み付けられており、このトップカバー9に後述する排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25等が組み付けられている。因みに、筐体5及びトップカバー9等は、ABS等の樹脂製である。
【0025】
また、画像形成部3は、図2に示すように、筐体5内に収納されており、この電子写真方式の画像形成部3は、周知のごとく、プロセスカートリッジ11、露光器13及び定着器15等から構成されている。
【0026】
すなわち、給紙トレイ17に載置されている用紙は、ピックアップローラ19A、分離ローラ19B及び分離パッド19C等からなるフィーダ部19により1枚ずつ分離して拾い上げられた後、一対のレジストローラ19Dにて斜行が矯正された後、プロセスカートリッジ11に向けて搬出される。
【0027】
そして、プロセスカートリッジ11にて用紙に現像剤像が転写されていき、用紙への転写が完了した現像剤像は、定着器15にて加熱されて用紙に定着し、定着器15から搬出された用紙は、その搬送方向が上方側に略180度転向させられた後、排出部7Aから排出トレイ7に向けて排出される。
【0028】
なお、プロセスカートリッジ11には、現像剤像が担持される感光ドラム11A、及び感光ドラム11Aを帯電させる帯電器11B等が収納されている。そして、帯電した感光ドラム11Aを露光器13にて露光して感光ドラム11Aの外周面に静電潜像を形成した後、現像剤を感光ドラム11Aに供給すると、感光ドラム11Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0029】
3.排出ローラ、ピンチローラ及び用紙押さえ等について
3.1.排出ローラ、ピンチローラ及び用紙押さえ等の構成
排出部7Aには、図2〜図5示すように、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25等が配設されている。
【0030】
そして、排出ローラ21は、画像形成部3から排出された用紙に接触しながら回転して用紙に搬送力を付与することにより用紙を排出トレイ7に排出するものであり、この排出ローラ21のうち少なくとも用紙と接触する円筒部分は、ゴム等の弾性変形可能な材料にて構成されている。
【0031】
なお、排出ローラ21は、図6(a)に示すように、排出部7Aの幅方向(画像形成装置1の左右方向)に離散して複数個(本実施形態では、4個)設けられており、これら排出ローラ21は、トップカバー9に回転可能に組み付けられた1本の駆動軸21Aにより駆動される。
【0032】
また、ピンチローラ23は、図7(a)に示すように、排出ローラ21の下方側のうち排出ローラ21と対向する位置に設けられ、用紙を排出ローラ21に押し付ける円柱状コロ(図6(a)等参照)であり、このピンチローラ23は、排出ローラ21に対して近接又は離間することができるようにトップカバー9に揺動可能に組み付けられている。
【0033】
すなわち、ピンチローラ23の軸方向両端側には支持軸部23A(図6(a)参照)が設けられており、これらの支持軸部23Aは、ピンチホルダ23Bに設けられた凹部又は穴部に回転可能に嵌合している。
【0034】
そして、ピンチホルダ23Bは、ピンチローラ23より用紙搬送方向上流側にてトップカバー9に揺動可能に組み付けられているとともに、コイルバネ23C等の弾性的に変形可能な押圧手段にて排出ローラ21側に押圧されている。このため、ピンチローラ23は、排出ローラ21に対して近接又は離間することができるとともに、コイルバネ23Cにより、常に、排出ローラ21側に押圧される。
【0035】
また、ピンチローラ23は、図6(a)に示すように、円柱状のコロ部23D、及び軸方向一端側にてコロ部23Dから径方向外側に略全周に渡って突出したフランジ部23Eを有して構成されており、このフランジ部23E及びコロ部23Dは、排出ローラ21より硬度の高い樹脂材料(例えば、POM)にて一体形成されている。
【0036】
用紙押さえ25は、図3に示すように、排出トレイ7側へ露出して排出ローラ21より排出された用紙を下方側に押し下げるシート押さえであり、この用紙押さえ25は、図7(a)に示すように、その上端部に設けられた軸部25Aにてトップカバー9に揺動可能に組み付けられている。
【0037】
すなわち、用紙押さえ25は、図6(b)に示すように、排出ローラ21の軸方向と平行な方向(以下、幅方向という。)に延びて排出ローラ21から排出されてくる用紙に接触して用紙を下方側に押圧する錘部25B、及び錘部25Bの幅方向両端部から揺動中心側に延びるとともに、その先端部に軸部25Aが設けられたアーム部25C等を有して構成されている。
【0038】
なお、軸部25Aは、幅方向においてトップカバー9側に突出して、トップカバー9に設けられた凹部又は穴部(いずれも図示せず。)に回転可能に嵌合し、用紙押さえ25を揺動可能に支持している。そして、用紙押さえ25をトップカバー9に組み付ける際には、2本のアーム部25Cが互いに近接するように、アーム部25Cを弾性変形させて軸部25Aをトップカバー9に設けられた穴部等に填め込む。
【0039】
また、2本のアーム部25C間には、軸部25A側に延出する舌部25Dが設けられており、この舌部25Dの先端側には、図7(a)に示すように、用紙押さえ25に外力が作用していないときにトップカバー9に設けられた被当接部9Aに接触する当接部25Eが設けられている。
【0040】
このため、用紙押さえ25は、その自重により錘部25Bがピンチローラ23に近接するように回転しようとするが、外力が作用していないときには、当接部25Eと被当接部9Aとが接触するので、用紙押さえ25がピンチローラ23に接触する位置まで揺動することが規制される。つまり、本実施形態では、当接部25Eと被当接部9Aとにより、ピンチローラ23に接触する位置まで用紙押さえ25が揺動することを規制する規制手段が構成されている。
【0041】
そして、本実施形態では、当接部25Eのうち被当接部9Aと接触する部分に、ゴム等の弾性変形可能な材料で構成した弾性部25Fを設けることにより、当接部25Eが被当接部9Aと接触(衝突)する際に発生する異音を吸収している。
【0042】
また、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25は、図7(b)に示すように、用紙押さえ25が外力を受けて下方側に揺動したときに、用紙押さえ25が排出ローラ21より先に排出ローラ21のフランジ部23Eに接触するように構成されている。
【0043】
そして、本実施形態では、図6(a)に示すように、複数個の排出ローラ21のうち駆動軸21Aの軸方向両端側に位置する2個の排出ローラ21に対応する部位に用紙押さえ25が設けられているとともに、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25の位置及び外形寸法等が以下のように設定されている。
【0044】
すなわち、排出ローラ21から排出される用紙の排出方向と直交する仮想の平面を仮想平面S1とし、この仮想平面S1に、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25の軸部25Aを投影したとき、仮想平面S1に投影された軸部25Aは、仮想平面S1に投影された排出ローラ21及びピンチローラ23のうち少なくとも一方(本実施形態では、図7(a)に示すように、排出ローラ21)が仮想平面S1上で重なるように、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25の位置及び外形寸法等が設定されている。
【0045】
具体的には、本実施形態では、図6(a)に示すように、排出ローラ21等により搬送される用紙と直交する方向(本実施形態では、画像形成装置1の上方方向)から見て、用紙の搬送方向に沿った方向において、排出ローラ21、ピンチローラ23及び軸部25Aが直列に並ぶように、排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25の位置及び外形寸法等が設定されている。
【0046】
3.2.排出ローラ、ピンチローラ及び用紙押さえ等の作動
用紙押さえ25に外力が作用していないときには、図7(a)に示すように、コイルバネ23Cの押圧力によりピンチローラ23が排出ローラ21に接触しているとともに、当接部25Eと被当接部9Aとが接触することにより、用紙押さえ25はピンチローラ23に対して離間した状態となる。
【0047】
そして、この離間した状態において、画像形成された用紙が搬送されてくると排出ローラ21及びピンチローラ23により挟持された用紙は排出トレイ7へ排出され、用紙後端が用紙押さえ25により押さえられる。
【0048】
ところで、用紙押さえ25は、排出トレイ7に排紙される用紙を押さえる機能を有するため、排出トレイ7において外部へ露出している。そのため、ユーザは、用紙押さえ25に触れる可能性が高く、その場合に用紙押さえ25に下向きの大きな力が作用してしまう。
【0049】
また、排出トレイ7には画像形成された用紙が排紙されるので、多数枚画像形成されるなど用紙が束になることもあり、ユーザはその束の中から自分が印刷したものだけ取り出し残りの束の用紙を排出トレイ7へ戻すこともある。その場合にも、束になった用紙が用紙押さえ25へ衝突し、その用紙束の重量によって用紙押さえ25に下向きの大きな力が作用してしまう。
【0050】
このように、用紙押さえ25に下向きに外力Fが作用すると、図7(b)に示すように、用紙押さえ25がピンチローラ23に近接するように揺動変位して、ピンチローラ23のフランジ部23Eに用紙押さえ25が接触する。
【0051】
このとき、外力Fが非常に大きい場合には、用紙押さえ25自身が弾性的に変形することにより、図7(c)に示すように、用紙押さえ25がピンチローラ23及び排出ローラ21に接触する。
【0052】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、排出ローラ21、ピンチローラ23及用紙押さえ25は、用紙押さえ25が外力により下方側に揺動されたときに、用紙押さえ25が排出ローラ21より先にピンチローラ23に接触するように構成されている(図7(a)、図7(b)参照)。
【0053】
このため、用紙押さえ25に外力Fが作用すると、用紙押さえ25は、ピンチローラ23に接触するとともに、その外力Fは、ピンチローラ23を押圧するコイルバネ23Cの弾性変形により吸収される。したがって、用紙押さえ25が装置本体をなすトップカバー9から外れてしまう等の不具合が発生することを防止できる。
【0054】
また、本実施形態では、ピンチローラ23及用紙押さえ25は、排出ローラ21より硬度の高い材料にて構成されているので、用紙押さえ25がピンチローラ23に接触したときに、ピンチローラ23が損傷してしまうことを防止できるとともに、硬度の低いに排出ローラ21にて用紙押さえ25に作用する外力を吸収する必要がないので、排出ローラ21が損傷してしまうことを防止できる。
【0055】
また、本実施形態では、用紙押さえ25が外力により下方側に揺動されたときには、用紙押さえ25は、ピンチローラ23のうちフランジ部23Eに接触するように構成されているので、用紙押さえ25はコロ部23Dに接触することなくフランジ部23Eに接触する。したがって、外力Fが用紙押さえ25に作用したときに、コロ部23Dに損傷が発生することを防止できる。
【0056】
また、本実施形態では、用紙押さえ25に外力が作用していないときに、用紙押さえ25がピンチローラ23に接触する位置まで揺動することが規制されているので、外力Fが作用していない通常時においては、用紙押さえ25はピンチローラ23に接触しない。
【0057】
したがって、ピンチローラ23と用紙押さえ25とが接触することに起因する異音の発生を防止できるとともに、ピンチローラ23の損傷を防止できる。
また、本実施形態では、当接部25Eに弾性部25Fを設けているので、当接部25Eと被当接部9Aとが衝突する際に発生する異音を吸収することができるとともに、用紙押さえ25の損傷を確実に防止できる。
【0058】
また、本実施形態では、仮想平面S1に投影された軸部25Aは、仮想平面S1に投影された排出ローラ21と仮想平面S1上で重なっているので、用紙押さえ25、つまり軸部25Aに作用する力を、排出ローラ21にて受けることができ、軸部25Aがトップカバー9から外れてしまうことを防止できる。
【0059】
ところで、外力Fが作用しても、その外力が過度に大きくない場合には、上述したように、ピンチローラ23に用紙押さえ25が接触し、コイルバネ23Cにより外力が吸収されるため、用紙押さえ25に不具合が発生することはない。しかし、大きな力が用紙押さえ25に作用したときには、コイルバネ23Cのみで外力を十分に吸収することができず、用紙押さえ25が損傷してしまうおそれがある。
【0060】
これに対して、本実施形態では、大きな外力Fが用紙押さえ25に作用したときには、用紙押さえ25は排出ローラ21及びピンチローラ23に接触するので、コイルバネ23C及び弾性変形可能な材料からなる排出ローラ21にて外力が吸収される。したがって、大きな外力Fが用紙押さえ25に作用した場合であっても用紙押さえ25が損傷してしまうことを防止できる。
【0061】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、モノクロ方式のレーザプリンタに適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、カラーレーザプリンタやインクジェットプリンタ等のプリンタ又はファクシミリ装置等にも適用できる。
【0062】
また、上述の実施形態では、レーザ光を走査することにより感光ドラム11Aを露光する露光器を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、多数個のLEDにて感光ドラム11Aを露光する露光器を用いてもよい。
【0063】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の外観斜視図である。
【図2】画像形成装置1の中央断面図である。
【図3】トップカバー9の斜視図である。
【図4】トップカバー9側面図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【図6】(a)は排出ローラ21、ピンチローラ23及び用紙押さえ25等の配置関係を上面側見た状態を示す図であり、(b)は用紙押さえ25の上面図である。
【図7】(a)〜(c)は、図5のA−A断面図であって、本実施形態の特徴的作動を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置、3…画像形成部、5…筐体、7…排出トレイ、
9…トップカバー、9A…被当接部、11…プロセスカートリッジ、
11A…感光ドラム、13…露光器、15…定着器、17…給紙トレイ、
19…フィーダ部、19A…ピックアップローラ、19D…レジストローラ、
21…排出ローラ、21A…駆動軸、23…ピンチローラ、23A…支持軸部、
23B…ピンチホルダ、23C…コイルバネ、23D…コロ部、
23E…フランジ部、25…用紙押さえ、25A…軸部、25B…錘部、
25C…アーム部、25D…舌部、25E…当接部、25F…弾性部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像形成が終了した記録シートが載置される載置トレイと、
前記画像形成手段から排出された記録シートを前記載置トレイに排出する排出ローラと、
前記排出ローラに対して近接又は離間可能とした状態で前記排出ローラと対向する位置に設けられ、記録シートを前記排出ローラに押し付けるピンチローラと、
前記ピンチローラを前記排出ローラ側に押圧するとともに、弾性的に変形可能な押圧手段と、
前記ピンチローラより上方側で上端部側が装置本体に揺動可能に組み付けられ、前記排出ローラより排出された記録シートを下方側に押し下げるシート押さえとを備え、
前記排出ローラ、前記ピンチローラ及び前記シート押さえは、外力により前記シート押さえが下方側に揺動されたときに、前記シート押さえが前記排出ローラより先に前記ピンチローラに接触するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ピンチローラ及び前記シート押さえは、前記排出ローラより硬度の高い材料にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ピンチローラは、円柱状のコロ部、及び前記コロ部から径方向外側に突出したフランジ部を有しており、
さらに、前記シート押さえが外力により下方側に揺動されたときには、前記シート押さえは、前記ピンチローラのうち前記フランジ部に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート押さえに外力が作用していないときに、前記シート押さえが前記ピンチローラに接触する位置まで揺動することを規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記規制手段は、前記シート押さえに設けられた当接部を前記装置本体に設けられた被当接部に当てることにより前記ピンチローラの揺動を規制しており、
さらに、前記当接部及び前記被当接部のうち少なくとも一方には、弾性的に変形する弾性部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート押さえ及び前記装置本体のいずれか一方には、他方側に突出して嵌合することにより、前記シート押さえを揺動可能に支持する揺動軸部が設けられており、
さらに、前記排出ローラから排出される記録シートの排出方向と直交する仮想平面に、前記排出ローラ、前記ピンチローラ及び前記シート押さえの揺動軸部が投影されたとき、前記仮想平面に投影された揺動軸部は、前記仮想平面に投影された前記排出ローラ及び前記ピンチローラのうち少なくとも一方と前記仮想平面上で重なることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排出ローラは、弾性変形可能な材料にて構成され、
さらに、前記シート押さえが前記排出ローラより先に前記ピンチローラに接触した状態から更に下方向きの外力が前記シート押さえに作用したときには、前記シート押さえの少なくとも一部が変形して、前記シート押さえが前記ピンチローラ及び前記排出ローラに接触することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−202965(P2009−202965A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44629(P2008−44629)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】