画像形成装置
【課題】 トップカバー等の揺動体を装置本体に近接させるように揺動体を閉じる際に、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止する。
【解決手段】 揺動アーム11のうちダンパー12が接触するスライド端部11Aを、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線と平行とする。これにより、ダンパー12による離間力F3が揺動アーム11に作用するので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【解決手段】 揺動アーム11のうちダンパー12が接触するスライド端部11Aを、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線と平行とする。これにより、ダンパー12による離間力F3が揺動アーム11に作用するので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の装置本体に対して、トップカバー等の揺動体が揺動可能に組み付けられた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、プラテンカバー等の揺動体を作像ユニット等の装置本体に揺動可能に組み付けているとともに、ワイヤにて揺動体が装置本体に対して過度に揺動変位してしまうことを防止している。
【特許文献1】特開2001−281771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、ワイヤにて揺動体が装置本体に対して過度に揺動変位してしまうことを防止しているのみであるので、揺動体を装置本体に近接させるように揺動体を閉じるときに、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じてしまうおそれがある。
【0004】
そして、このように、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じると、揺動体及び装置本体に損傷が発生するおそれが高くなる。
本発明は、上記点に鑑み、揺動体を装置本体に近接させるように揺動体を閉じる際に、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、一端側を揺動中心として装置本体(1C)側に揺動可能に組み付けられ、装置本体(1C)に対して離間した離間状態と、離間状態よりも装置本体(1C)に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体(1B)と、一端側が装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材にスライド可能に連結されたアーム(11)と、装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちアーム(11)の他端側が連結された部材に設けられ、少なくとも揺動体(1B)が近接状態にある場合に、アーム(11)の他端側に接触して、アーム(11)の揺動中心側にアーム(11)を押圧する押圧手段(12)とを備え、アーム(11)の揺動中心線と揺動体(1B)の揺動中心線とは平行であり、かつ、アーム(11)の他端側は、揺動体(1B)の揺動中心に近接又は離間する方向にスライド可能であり、さらに、アーム(11)のうち押圧手段(12)が接触する接触面(11A)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、アーム(11)の揺動中心及び接触面(11A)のうち押圧手段(12)の力が作用する作用点(P1)を結ぶアーム軸線(L3)に直交する仮想平面(S1)に対して傾斜し、かつ、アーム(11)の揺動中心線と平行であることを特徴とする。
【0006】
これにより、請求項1に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に移行していくと、アームの他端側に押圧力が作用するとともに、押圧力が作用する接触面(11A)が傾斜しているので、揺動体(1B)を近接状態から離間状態とする成分の力(以下、この力を離間力という。)がアーム(11)に作用する。
【0007】
したがって、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、接触面(11A)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、作用点(P1)を通り接触面(11A)と直交してアーム(11)の揺動中心側に向かう押圧力の向きが、アーム軸線を挟んで揺動体(1B)と反対側の領域に向かうように仮想平面(S1)に対して傾斜していることを特徴とする。
【0009】
これにより、請求項2に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に移行する際には、前述したように、離間力がアーム(11)に作用する。そして、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、押圧力の向きがアーム軸線を挟んで揺動体(1B)と反対側の領域に向かうようになるので、近接状態にある揺動体(1B)を装置本体(1C)側に更に近接させるような力(以下、この力を近接力という。)が揺動体(1B)に作用することとなる。
【0010】
したがって、請求項2に記載の発明では、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止しつつ、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、その状態が保持されるようになり、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0011】
なお、「揺動体(1B)が完全に近接状態となる」とは、例えば、揺動体(1B)がそれ以上、装置本体(1C)に近接するように揺動変位することができない状態をいう。
また、請求項3に記載の発明では、アーム(11)の一端側は、装置本体(1C)に揺動可能に組み付けられており、さらに、アーム(11)と装置本体(1C)との組み付け位置は、揺動体(1B)の揺動中心からずれた位置であって、かつ、揺動体(1B)が近接状態にある場合において、アーム(11)の他端側より揺動体(1B)の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項3に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に揺動していくと、アーム(11)の他端側は、揺動体(1B)の揺動中心から離間していくようにスライド変位するので、離間力が作用するポイントと揺動体(1B)の揺動中心との距離が、揺動体(1B)の揺動と共に大きくなっていく。
【0013】
したがって、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、押圧手段(12)は、揺動体(1B)の先端側から揺動体(1B)の揺動中心側に向かう向きの押圧力を発生することを特徴とする。
これにより、請求項4に記載の発明では、離間力を確実に発生させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、押圧手段(12)のうち接触面(11A)に接触して押圧力をアーム(11)に作用させる部位(12B)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合において接触面(11A)と平行となる平面にて構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項5に記載の発明では、接触面(11A)と押圧手段(12)とが面接触するので、近接力を安定的にアーム(11)に作用させることができ、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを確実に防止できる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、記録シートに転写される現像剤像を担持する感光体(3A)と、感光体(3A)を露光するとともに、揺動体(1B)のうち装置本体(1C)側に組み付けられた露光器(4)とを備え、露光器(4)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、感光体(3A)と接触して感光体(3A)から反力を受けることを特徴とする。
【0018】
これにより、請求項6に記載の発明では、揺動体(1B)は、露光器(4)を介して離間状態とする向きの力を受けるものの、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、その状態が保持されるので、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、一端側を揺動中心として装置本体(1C)側に揺動可能に組み付けられ、装置本体(1C)に対して離間した離間状態と、離間状態よりも装置本体(1C)に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体(1B)と、一端側が装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材に設けられた案内部材(13)に摺動可能に接触したアーム(11)とを備え、アーム(11)の他端側は、案内部材(13)の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら離間状態から近接状態に変位し、さらに、案内部材(13)のうちアーム(11)の他端側と摺接する摺接面(13A)は、長手方向一端側から他端側まで連続しているとともに、摺接面(13A)のうち他端側は、一端側に対して傾斜していることを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項7に記載の発明では、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の一端側に接触している場合より、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の他端側に接触している場合の方が、摺接面(13A)とアーム(11)とのなす角が大きくなる。
【0021】
したがって、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の一端側に接触している場合より、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の他端側に接触している場合の方が、摺接面(13A)とアーム(11)の他端側との間で発生する摩擦力が大きくなるので、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明では、アーム(11)の一端側は、装置本体(1C)に揺動可能に組み付けられており、さらに、アーム(11)と装置本体(1C)との組み付け位置は、揺動体(1B)の揺動中心からずれた位置であって、かつ、揺動体(1B)が近接状態にある場合において、アーム(11)の他端側より揺動体(1B)の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする。
【0023】
これにより、請求項8に記載の発明では、請求項3に記載の発明と同様に、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0024】
なお、請求項9に記載の発明では、揺動体(1B)を離間状態とするための弾性力をアーム(11)に作用させる弾性手段(11B)を備えることを特徴とするものである。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の斜視図であり、図2は本実施形態に係る画像形成装置の中央断面図であり、図3はトップカバー1Bが開いた状態(離間状態)を示す図であり、図4はトップカバー1Bの側面図であり、図5はトップカバー1Bが開いた状態を示すトップカバー1Bの下面側斜視図であり、図6〜図11は揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図であり、図12は露光器4と感光ドラム3Aとの関係を示す図である。
【0026】
2.画像形成装置の概略構成
画像形成装置1は、図2に示すように、用紙やOHPシート(以下、用紙という。)に画像を形成する画像形成部2を有して構成されており、この画像形成部2は、4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3C、露光器4及び定着器5等から構成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、画像形成部2として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式を採用している。
【0028】
すなわち、給紙トレイ6に載置されている複数枚の用紙のうち、給紙機構(フィーダ部)7により拾い上げられた積層方最上位に位置する用紙は、紙粉取りローラ8にて紙粉が除去された後、一対のレジストローラ9まで搬送され、この一対のレジストローラ9にて斜行が矯正された後、ベルトユニット10に搬送される。
【0029】
そして、4つのプロセスカートリッジ3K等は、ベルトユニット10の用紙搬送面側において、用紙の搬送方向に沿って上流からプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cの順に直列に配設されており、ベルトユニット10上を搬送される用紙には、4種類の現像剤像が順次、転写されていき、用紙への転写が完了した現像剤像は、定着器5にて加熱されて用紙に定着する。
【0030】
そして、定着器5から排出された画像形成が終了した用紙は、その搬送方向が上方側に転向された後、画像形成装置1の上端面側に位置するトップカバー1B(図1参照)に設けられた排紙トレイ1Aに排出される。
【0031】
また、トップカバー1Bは、図1に示すように、筐体1Cと協働して画像形成装置1の外観意匠面を構成するとともに、装置本体の一部を構成する筐体1Cの上面側後方部に揺動可能に組み付けられている。
【0032】
このため、トップカバー1Bは、筐体1Cに対して離間して筐体1Cの上面側を開放する離間状態(図3に示す状態)と、この離間状態よりも筐体1Cに近接して筐体1Cの上面側を閉塞する近接状態(図2に示す状態)と間で揺動変位することができる。なお、トップカバー1Bを装置本体(筐体1C)に対して揺動(開閉)させるための開閉機構の詳細は、後述する。
【0033】
また、各プロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cには、図2に示すように、現像剤像が担持される感光ドラム3A、及び感光ドラム3Aを帯電させる帯電器(図示せず。)等が収納されている。そして、帯電した感光ドラム3Aを露光器4にて露光して感光ドラム3Aの外周面に静電潜像を形成した後、現像剤を感光ドラム3Aに供給すると、感光ドラム3Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0034】
また、露光器4は、図12に示すように、感光ドラム3Aの露光面に向けて光を照射する多数個の発光ダイオード(LED)からなる発光部4A、この発光部4Aを保持する矩形枠状のホルダー4B等から構成されている。
【0035】
なお、感光ドラム3Aの露光面とは、感光ドラム3Aの外周面のうち現像剤像が担持され得る領域をいい、発光部4Aを構成する多数個のLEDは、露光面に近接した位置にて感光ドラム3Aの軸方向に直列に並んで配設されている。
【0036】
また、ホルダー4Bは、その上端側側面に設けられた軸部4Cを介してトップカバー1Bに揺動可能に組み付けられているともに、トップカバー1Bの開閉状態に機械的に連動してトップカバー1Bに対して揺動変位する。
【0037】
具体的には、トップカバー1Bが閉じられて近接状態となったときには、図4に示すように、発光部4Aが下方側に位置して感光ドラム3Aの露光面に近接するようにホルダー4Bとトップカバー1Bとのなす角が大きくなり、一方、トップカバー1Bが開かれて離間状態となったときには、図3又は図5に示すように、発光部4Aがトップカバー1Bに近接するようにホルダー4Bとトップカバー1Bとのなす角が小さくなる。
【0038】
また、ホルダー4Bのうち、トップカバー1Bが近接状態となったときに感光ドラム3Aに面する部位には、図12に示すように、円柱状のコロ4Dが設けられており、このコロ4Dは、露光面より軸方向端部側にずれた位置にて感光ドラム3Aの外周面に接触しながら回転することにより、露光面に対する発光部4Aの距離が所定寸法となるように発光部4Aの位置を保持している。
【0039】
このため、近接状態にある場合においては、トップカバー1Bは、露光器4の一部であるコロ4Dが感光ドラム3Aと接触することにより、トップカバー1Bを開放させる向きの反力を感光ドラム3Aから受ける。
【0040】
また、定着器5は、図2に示すように、現像剤を加熱して現像剤像を用紙に定着させる加熱ローラ5A、及び搬送されてくる用紙を挟んで加熱ローラ5Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ5A側に押し付ける加圧ローラ5B等から構成れている。
【0041】
3.トップカバーの開閉機構
トップカバー1Bは、図4に示すよう、略C字状に形成のヒンジ部1Dが筐体1C(以下、装置本体1Cと記す。)に設けられたヒンジ軸(図示せず。)と回転可能に係合することにより、装置本体1Cに対して揺動可能に組み付けられており、このヒンジ部1Dは、トップカバー1Bの端部側(本実施形態では、後端側)の下面側であって、トップカバー1Bの揺動中心線L1(図5参照)方向両端側に設けられている。
【0042】
なお、揺動中心線L1とは、図5に示すように、トップカバー1Bの左右方向両端側に設けられた2つのヒンジ部1Dの中心O1を通る仮想線であり、この揺動中心線L1は、トップカバー1Bの幅方向(左右方向)と一致する。
【0043】
そこで、以下、揺動中心線L1と直交する方向であってトップカバー1Bの外観意匠面1E(図4参照)と平行な方向をトップカバー1Bの長手方向(図4参照)と呼び、トップカバー1Bの長手方向端部のうちヒンジ部1Dと反対側の端部をトップカバー1Bの長手方向先端側(図4における左側)と呼び、揺動中心線L1と平行な方向をトップカバー1Bの幅方向と呼ぶ。
【0044】
そして、トップカバー1Bの幅方向両端側には、図5に示すように、長手方向一端側が装置本体1Cに揺動可能に組み付けられた直線状の揺動アーム11が設けられており、これら揺動アーム11の長手方向他端は、トップカバー1Bにスライド可能に組み付けられている。
【0045】
すなわち、揺動アーム11の揺動中心線L2とトップカバー1Bの揺動中心線L1とは互いに平行であり、かつ、揺動アーム11の長手他端(以下、この他端をスライド端部11A(図7等参照)という。)側は、トップカバー1Bの長手方向において、トップカバー1Bの揺動中心O1に近接又は離間する方向に平行移動することができる。
【0046】
このため、揺動アーム11のスライド端部11A側は、図11→図10→図9→図8→図7の順に、トップカバー1Bに設けられた案内部材13(図11等参照)の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら離間状態から近接状態に向けて変位し、最終的に、図6に示すように、スライド端部11Aと後述するダンパー12とが接触して近接状態となる。
【0047】
因みに、揺動アーム11の長手方向他端は、その幅方向両に設けられた突起部(図示せず。)がトップカバー1Bに設けられたガイドレール(図示せず。)の溝部に摺接することによりスライド運動が案内される。
【0048】
そして、揺動アーム11は、図4又は図5に示すように、その揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からトップカバー1Bの長手方向先端側にずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態(図4に示す状態)にある場合において、揺動アーム11のスライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接するように設定されている。
【0049】
また、揺動アーム11の長手方向中間部には、図5に示すように、揺動アーム11をトップカバー1Bの揺動中心O1側に引き寄せるような弾性力を揺動アーム11に作用させるコイル状のバネ11Bの一端側が連結されており、このバネ11Bの他端側は装置本体1Cに連結されている。
【0050】
また、トップカバー1Bの幅方向両端側であって、その長手方向先端側には、図4に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合に、揺動アーム11のスライド端部11Aに接触して、揺動アーム11をその揺動中心O2側に向けて押圧するダンパー12が設けられている。
【0051】
このダンパー12は、図9に示すように、バネ12A、キャップ12C及びケーシング12D(図6参照)等から構成されており、バネ12Aは、その軸方向がトップカバー1Bの長手方向に一致したコイル状の弾性手段である。
【0052】
キャップ12Cは、バネ12Aのうちスライド端部11A側を覆うようにしてスライド端部11Aに接触する接触面12Bを形成する略円筒状のものであり、このキャップ12Cは揺動アーム11(スライド端部11A)と同質の樹脂にて形成されている。
【0053】
また、ケーシング12Dは、キャップ12C及びバネ12Aを収納するとともに、トップカバー1Bの長手方向と平行な方向にキャップ12Cが変位することができるようにキャップ12Cが挿入されたものであり、このケーシング12Dはトップカバー1Bに一体化されている。
【0054】
このため、ダンパー12それ自体は、トップカバー1Bの開閉状態によらず、トップカバー1Bの長手方向と平行な方向であって、トップカバー1Bの先端側からトップカバー1Bの揺動中心O1側に向かう向きの押圧力を発生することができる。
【0055】
そして、揺動アーム11のうちダンパー12が接触する接触面、つまりスライド端部11Aは、図6に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線L2と平行となるように設定されている。
【0056】
ここで、アーム軸線L3とは、揺動アーム11の揺動中心O2、及びスライド端部11Aのうちダンパー12による力Fo(以下、押圧力Foという。)が作用する作用点P1を結ぶ仮想線をいう。
【0057】
また、ここで、作用点P1とは、揺動アーム11とダンパー12との接触点のことをいう。揺動アーム11とダンパー12とが面接触の場合は、近接状態において、接触面の力の分布において最も力の大きな点を作用点とする。
【0058】
そして、スライド端部11Aは、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、押圧力Foによりスライド端部11Aに発生する垂直抗力F1の向きが、アーム軸線L3を挟んでトップカバー1Bと反対側の領域(図6の斜線が付された領域)に向かうように仮想平面S1に対して傾斜している。
【0059】
なお、垂直抗力F1とは、押圧力Foによってスライド端部11Aに発生する力のうち、作用点P1を通り、スライド端部11Aと直交して揺動アーム11の揺動中心O2側に向かう力をいう。
【0060】
また、ダンパー12のうちスライド端部11Aに接触して押圧力Foを揺動アーム11に作用させる接触面12Bは、図6に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合においてスライド端部11Aと平行となる平面にて構成されている。
【0061】
また、案内部材13のうちスライド端部11Aと摺接する摺接面13Aは、図11に示すように、トップカバー1Bの長手方向と略平行な方向に延びて連続しているとともに、この摺接面13Aのうち揺動中心O1側の領域13B(以下、この領域を傾斜領域13Bという。)は、先端側の領域13C(以下、この領域をストレート領域13Cという。)に対して傾斜している。
【0062】
つまり、ストレート領域13Cの摺接面13Aは、トップカバー1Bの長手方向に対して平行であるのに対して、傾斜領域13Bの摺接面13Aは、トップカバー1Bの揺動中心O1に近づくほど、トップカバー1Bの表面(排紙トレイ1Aが形成された面)側に近づくようにストレート領域13Cに対して傾斜している。
【0063】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、揺動アーム11のうちダンパー12が接触するスライド端部11Aは、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線L2と平行となっている。
【0064】
このため、トップカバー1Bが離間状態から近接状態に移行していくと、図8→図7に示すように、押圧力Foがアーム軸線L3を挟んでトップカバー1B側の領域(図8及び図7の斜線を付した領域)に向かうより作用する。
【0065】
したがって、トップカバー1Bが離間状態から近接状態への移行過程においては、図7及び図8に示すように、スライド端部11Aには、トップカバー1Bを近接状態から離間状態とする成分の力F3(離間力F3)が揺動アーム11に作用する。なお、離間力F3は、押圧力Foのうちスライド端部11Aと平行な成分の力F2における、仮想平面S1と平行な成分の力である。
【0066】
つまり、本実施形態では、トップカバー1Bの開度(揺動アーム11とダンパー12との接触後の開度)が25°以下となると(図7及び図8参照)、ダンパー12による離間力F3が揺動アーム11に作用するので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0067】
そして、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、図6に示すように、垂直抗力F1の向きがアーム軸線を挟んでトップカバー1Bと反対側の領域に向かうようになるので、近接状態にあるトップカバー1Bを装置本体1C側に更に近接させるような力F4(近接力F4)がトップカバー1Bに作用することとなる。なお、近接力F4は、垂直抗力F1のうち仮想平面S1と平行な成分の力である。
【0068】
したがって、本実施形態では、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止しつつ、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、その状態が保持されるようになり、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0069】
なお、「トップカバー1Bが完全に近接状態となる」とは、例えば、トップカバー1Bがそれ以上、装置本体1Cに近接するように揺動変位することができない状態をいう。
また、本実施形態では、揺動アーム11の揺動中心O2は、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接した位置であるので、トップカバー1Bが離間状態から近接状態に揺動していくと、図11→図10→図9→図8→図7→図6の順に示すように、スライド端部11Aが、トップカバー1Bの揺動中心O1から離間していくようにスライド変位する。
【0070】
したがって、離間力F3が作用するポイントとトップカバー1Bの揺動中心O1との距離が、離間状態から近接状態への揺動と共に大きくなっていくので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、近接状態においては、図6に示すように、スライド端部11Aとダンパー12とが面接触するので、近接力F4を安定的に揺動アーム11に作用させることができ、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを確実に防止できる。
【0072】
また、本実施形態では、トップカバー1Bは、前述したように、露光器4を介して離間状態とする向きの力を受けるものの、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、その状態が保持されるので、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0073】
また、本実施形態では、摺接面13Aのうち傾斜領域13Bは、ストレート領域13Cに対して傾斜しているので、スライド端部11A側が傾斜領域13Bに接触している場合の摺接面13Aと揺動アーム11とのなす角θ1(図10参照)より、スライド端部11Aがストレート領域13C側に接触している場合の摺接面13Aと揺動アーム11とのなす角θ2(図9参照)の方が大きくなる。
【0074】
したがって、スライド端部11A側が傾斜領域13Bに接触している場合より、スライド端部11A側がストレート領域13Cに接触している場合の方が、摺接面13Aとスライド端部11A側との間で発生する摩擦力が大きくなるので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0075】
つまり、本実施形態では、スライド端部11Aがダンパー12に接触する前においては、案内部材13によりトップカバー1Bが大きな速度で閉じてしまうことが防止され、スライド端部11Aがダンパー12に接触した後においては、ダンパー12によりトップカバー1Bが大きな速度で閉じてしまうことが防止される。
【0076】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、トップカバー1Bが特許請求の範囲に記載された揺動体に相当し、ダンパー12が特許請求の範囲に記載された押圧手段に相当する。
【0077】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、揺動アーム11の揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接した位置であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、揺動アーム11の揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの先端側に近接した位置であってもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、揺動アーム11は装置本体1Cに揺動可能に組み付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、揺動アーム11をトップカバー1Bに揺動可能に組み付けてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、カラー方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えばモノクロ方式の画像形成装置にも適用できる。
【0080】
また、上述の実施形態では、LEDを用いた露光器を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレーザ光を走査するタイプの露光器を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、画像形成部2として、4色の現像剤に対応した4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写方式の画像形成装置、モノクロ方式の画像形成装置や2〜3つのプロセスカートリッジからなる画像形成装置にも適用できる。
【0081】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図3】トップカバー1Bが開いた状態(離間状態)を示す図である。
【図4】トップカバー1Bの側面図である。
【図5】トップカバー1Bが開いた状態を示すトップカバー1Bの下面側斜視図である。
【図6】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図7】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図8】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図9】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図10】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図11】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図12】露光器4と感光ドラム3Aとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1…画像形成装置、1A…排紙トレイ、1B…トップカバー、
1C…装置本体(筐体)、1D…ヒンジ部、1E…外観意匠面、2…画像形成部、
3A…感光ドラム、3K…プロセスカートリッジ、4…露光器、4A…発光部、
4B…ホルダー、4C…軸部、4D…コロ、5…定着器、5A…加熱ローラ、
6…給紙トレイ、8…紙粉取りローラ、9…レジストローラ、
10…ベルトユニット、11…揺動アーム、11A…スライド端部、
11B…バネ、12…ダンパー、12B…接触面、12C…キャップ、
12A…バネ、12D…ケーシング、13…案内部材、13A…摺接面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の装置本体に対して、トップカバー等の揺動体が揺動可能に組み付けられた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、プラテンカバー等の揺動体を作像ユニット等の装置本体に揺動可能に組み付けているとともに、ワイヤにて揺動体が装置本体に対して過度に揺動変位してしまうことを防止している。
【特許文献1】特開2001−281771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、ワイヤにて揺動体が装置本体に対して過度に揺動変位してしまうことを防止しているのみであるので、揺動体を装置本体に近接させるように揺動体を閉じるときに、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じてしまうおそれがある。
【0004】
そして、このように、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じると、揺動体及び装置本体に損傷が発生するおそれが高くなる。
本発明は、上記点に鑑み、揺動体を装置本体に近接させるように揺動体を閉じる際に、揺動体が装置本体に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、一端側を揺動中心として装置本体(1C)側に揺動可能に組み付けられ、装置本体(1C)に対して離間した離間状態と、離間状態よりも装置本体(1C)に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体(1B)と、一端側が装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材にスライド可能に連結されたアーム(11)と、装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちアーム(11)の他端側が連結された部材に設けられ、少なくとも揺動体(1B)が近接状態にある場合に、アーム(11)の他端側に接触して、アーム(11)の揺動中心側にアーム(11)を押圧する押圧手段(12)とを備え、アーム(11)の揺動中心線と揺動体(1B)の揺動中心線とは平行であり、かつ、アーム(11)の他端側は、揺動体(1B)の揺動中心に近接又は離間する方向にスライド可能であり、さらに、アーム(11)のうち押圧手段(12)が接触する接触面(11A)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、アーム(11)の揺動中心及び接触面(11A)のうち押圧手段(12)の力が作用する作用点(P1)を結ぶアーム軸線(L3)に直交する仮想平面(S1)に対して傾斜し、かつ、アーム(11)の揺動中心線と平行であることを特徴とする。
【0006】
これにより、請求項1に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に移行していくと、アームの他端側に押圧力が作用するとともに、押圧力が作用する接触面(11A)が傾斜しているので、揺動体(1B)を近接状態から離間状態とする成分の力(以下、この力を離間力という。)がアーム(11)に作用する。
【0007】
したがって、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、接触面(11A)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、作用点(P1)を通り接触面(11A)と直交してアーム(11)の揺動中心側に向かう押圧力の向きが、アーム軸線を挟んで揺動体(1B)と反対側の領域に向かうように仮想平面(S1)に対して傾斜していることを特徴とする。
【0009】
これにより、請求項2に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に移行する際には、前述したように、離間力がアーム(11)に作用する。そして、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、押圧力の向きがアーム軸線を挟んで揺動体(1B)と反対側の領域に向かうようになるので、近接状態にある揺動体(1B)を装置本体(1C)側に更に近接させるような力(以下、この力を近接力という。)が揺動体(1B)に作用することとなる。
【0010】
したがって、請求項2に記載の発明では、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止しつつ、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、その状態が保持されるようになり、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0011】
なお、「揺動体(1B)が完全に近接状態となる」とは、例えば、揺動体(1B)がそれ以上、装置本体(1C)に近接するように揺動変位することができない状態をいう。
また、請求項3に記載の発明では、アーム(11)の一端側は、装置本体(1C)に揺動可能に組み付けられており、さらに、アーム(11)と装置本体(1C)との組み付け位置は、揺動体(1B)の揺動中心からずれた位置であって、かつ、揺動体(1B)が近接状態にある場合において、アーム(11)の他端側より揺動体(1B)の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項3に記載の発明では、揺動体(1B)が離間状態から近接状態に揺動していくと、アーム(11)の他端側は、揺動体(1B)の揺動中心から離間していくようにスライド変位するので、離間力が作用するポイントと揺動体(1B)の揺動中心との距離が、揺動体(1B)の揺動と共に大きくなっていく。
【0013】
したがって、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、押圧手段(12)は、揺動体(1B)の先端側から揺動体(1B)の揺動中心側に向かう向きの押圧力を発生することを特徴とする。
これにより、請求項4に記載の発明では、離間力を確実に発生させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、押圧手段(12)のうち接触面(11A)に接触して押圧力をアーム(11)に作用させる部位(12B)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合において接触面(11A)と平行となる平面にて構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項5に記載の発明では、接触面(11A)と押圧手段(12)とが面接触するので、近接力を安定的にアーム(11)に作用させることができ、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを確実に防止できる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、記録シートに転写される現像剤像を担持する感光体(3A)と、感光体(3A)を露光するとともに、揺動体(1B)のうち装置本体(1C)側に組み付けられた露光器(4)とを備え、露光器(4)は、揺動体(1B)が近接状態にある場合においては、感光体(3A)と接触して感光体(3A)から反力を受けることを特徴とする。
【0018】
これにより、請求項6に記載の発明では、揺動体(1B)は、露光器(4)を介して離間状態とする向きの力を受けるものの、揺動体(1B)が完全に近接状態となると、その状態が保持されるので、揺動体(1B)が不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、一端側を揺動中心として装置本体(1C)側に揺動可能に組み付けられ、装置本体(1C)に対して離間した離間状態と、離間状態よりも装置本体(1C)に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体(1B)と、一端側が装置本体(1C)及び揺動体(1B)のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材に設けられた案内部材(13)に摺動可能に接触したアーム(11)とを備え、アーム(11)の他端側は、案内部材(13)の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら離間状態から近接状態に変位し、さらに、案内部材(13)のうちアーム(11)の他端側と摺接する摺接面(13A)は、長手方向一端側から他端側まで連続しているとともに、摺接面(13A)のうち他端側は、一端側に対して傾斜していることを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項7に記載の発明では、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の一端側に接触している場合より、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の他端側に接触している場合の方が、摺接面(13A)とアーム(11)とのなす角が大きくなる。
【0021】
したがって、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の一端側に接触している場合より、アーム(11)の他端側が摺接面(13A)の他端側に接触している場合の方が、摺接面(13A)とアーム(11)の他端側との間で発生する摩擦力が大きくなるので、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明では、アーム(11)の一端側は、装置本体(1C)に揺動可能に組み付けられており、さらに、アーム(11)と装置本体(1C)との組み付け位置は、揺動体(1B)の揺動中心からずれた位置であって、かつ、揺動体(1B)が近接状態にある場合において、アーム(11)の他端側より揺動体(1B)の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする。
【0023】
これにより、請求項8に記載の発明では、請求項3に記載の発明と同様に、揺動体(1B)を装置本体(1C)に近接させるように揺動体(1B)を閉じる際に、揺動体(1B)が装置本体(1C)に衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0024】
なお、請求項9に記載の発明では、揺動体(1B)を離間状態とするための弾性力をアーム(11)に作用させる弾性手段(11B)を備えることを特徴とするものである。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の斜視図であり、図2は本実施形態に係る画像形成装置の中央断面図であり、図3はトップカバー1Bが開いた状態(離間状態)を示す図であり、図4はトップカバー1Bの側面図であり、図5はトップカバー1Bが開いた状態を示すトップカバー1Bの下面側斜視図であり、図6〜図11は揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図であり、図12は露光器4と感光ドラム3Aとの関係を示す図である。
【0026】
2.画像形成装置の概略構成
画像形成装置1は、図2に示すように、用紙やOHPシート(以下、用紙という。)に画像を形成する画像形成部2を有して構成されており、この画像形成部2は、4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3C、露光器4及び定着器5等から構成されている。
【0027】
なお、本実施形態では、画像形成部2として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式を採用している。
【0028】
すなわち、給紙トレイ6に載置されている複数枚の用紙のうち、給紙機構(フィーダ部)7により拾い上げられた積層方最上位に位置する用紙は、紙粉取りローラ8にて紙粉が除去された後、一対のレジストローラ9まで搬送され、この一対のレジストローラ9にて斜行が矯正された後、ベルトユニット10に搬送される。
【0029】
そして、4つのプロセスカートリッジ3K等は、ベルトユニット10の用紙搬送面側において、用紙の搬送方向に沿って上流からプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cの順に直列に配設されており、ベルトユニット10上を搬送される用紙には、4種類の現像剤像が順次、転写されていき、用紙への転写が完了した現像剤像は、定着器5にて加熱されて用紙に定着する。
【0030】
そして、定着器5から排出された画像形成が終了した用紙は、その搬送方向が上方側に転向された後、画像形成装置1の上端面側に位置するトップカバー1B(図1参照)に設けられた排紙トレイ1Aに排出される。
【0031】
また、トップカバー1Bは、図1に示すように、筐体1Cと協働して画像形成装置1の外観意匠面を構成するとともに、装置本体の一部を構成する筐体1Cの上面側後方部に揺動可能に組み付けられている。
【0032】
このため、トップカバー1Bは、筐体1Cに対して離間して筐体1Cの上面側を開放する離間状態(図3に示す状態)と、この離間状態よりも筐体1Cに近接して筐体1Cの上面側を閉塞する近接状態(図2に示す状態)と間で揺動変位することができる。なお、トップカバー1Bを装置本体(筐体1C)に対して揺動(開閉)させるための開閉機構の詳細は、後述する。
【0033】
また、各プロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cには、図2に示すように、現像剤像が担持される感光ドラム3A、及び感光ドラム3Aを帯電させる帯電器(図示せず。)等が収納されている。そして、帯電した感光ドラム3Aを露光器4にて露光して感光ドラム3Aの外周面に静電潜像を形成した後、現像剤を感光ドラム3Aに供給すると、感光ドラム3Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0034】
また、露光器4は、図12に示すように、感光ドラム3Aの露光面に向けて光を照射する多数個の発光ダイオード(LED)からなる発光部4A、この発光部4Aを保持する矩形枠状のホルダー4B等から構成されている。
【0035】
なお、感光ドラム3Aの露光面とは、感光ドラム3Aの外周面のうち現像剤像が担持され得る領域をいい、発光部4Aを構成する多数個のLEDは、露光面に近接した位置にて感光ドラム3Aの軸方向に直列に並んで配設されている。
【0036】
また、ホルダー4Bは、その上端側側面に設けられた軸部4Cを介してトップカバー1Bに揺動可能に組み付けられているともに、トップカバー1Bの開閉状態に機械的に連動してトップカバー1Bに対して揺動変位する。
【0037】
具体的には、トップカバー1Bが閉じられて近接状態となったときには、図4に示すように、発光部4Aが下方側に位置して感光ドラム3Aの露光面に近接するようにホルダー4Bとトップカバー1Bとのなす角が大きくなり、一方、トップカバー1Bが開かれて離間状態となったときには、図3又は図5に示すように、発光部4Aがトップカバー1Bに近接するようにホルダー4Bとトップカバー1Bとのなす角が小さくなる。
【0038】
また、ホルダー4Bのうち、トップカバー1Bが近接状態となったときに感光ドラム3Aに面する部位には、図12に示すように、円柱状のコロ4Dが設けられており、このコロ4Dは、露光面より軸方向端部側にずれた位置にて感光ドラム3Aの外周面に接触しながら回転することにより、露光面に対する発光部4Aの距離が所定寸法となるように発光部4Aの位置を保持している。
【0039】
このため、近接状態にある場合においては、トップカバー1Bは、露光器4の一部であるコロ4Dが感光ドラム3Aと接触することにより、トップカバー1Bを開放させる向きの反力を感光ドラム3Aから受ける。
【0040】
また、定着器5は、図2に示すように、現像剤を加熱して現像剤像を用紙に定着させる加熱ローラ5A、及び搬送されてくる用紙を挟んで加熱ローラ5Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ5A側に押し付ける加圧ローラ5B等から構成れている。
【0041】
3.トップカバーの開閉機構
トップカバー1Bは、図4に示すよう、略C字状に形成のヒンジ部1Dが筐体1C(以下、装置本体1Cと記す。)に設けられたヒンジ軸(図示せず。)と回転可能に係合することにより、装置本体1Cに対して揺動可能に組み付けられており、このヒンジ部1Dは、トップカバー1Bの端部側(本実施形態では、後端側)の下面側であって、トップカバー1Bの揺動中心線L1(図5参照)方向両端側に設けられている。
【0042】
なお、揺動中心線L1とは、図5に示すように、トップカバー1Bの左右方向両端側に設けられた2つのヒンジ部1Dの中心O1を通る仮想線であり、この揺動中心線L1は、トップカバー1Bの幅方向(左右方向)と一致する。
【0043】
そこで、以下、揺動中心線L1と直交する方向であってトップカバー1Bの外観意匠面1E(図4参照)と平行な方向をトップカバー1Bの長手方向(図4参照)と呼び、トップカバー1Bの長手方向端部のうちヒンジ部1Dと反対側の端部をトップカバー1Bの長手方向先端側(図4における左側)と呼び、揺動中心線L1と平行な方向をトップカバー1Bの幅方向と呼ぶ。
【0044】
そして、トップカバー1Bの幅方向両端側には、図5に示すように、長手方向一端側が装置本体1Cに揺動可能に組み付けられた直線状の揺動アーム11が設けられており、これら揺動アーム11の長手方向他端は、トップカバー1Bにスライド可能に組み付けられている。
【0045】
すなわち、揺動アーム11の揺動中心線L2とトップカバー1Bの揺動中心線L1とは互いに平行であり、かつ、揺動アーム11の長手他端(以下、この他端をスライド端部11A(図7等参照)という。)側は、トップカバー1Bの長手方向において、トップカバー1Bの揺動中心O1に近接又は離間する方向に平行移動することができる。
【0046】
このため、揺動アーム11のスライド端部11A側は、図11→図10→図9→図8→図7の順に、トップカバー1Bに設けられた案内部材13(図11等参照)の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら離間状態から近接状態に向けて変位し、最終的に、図6に示すように、スライド端部11Aと後述するダンパー12とが接触して近接状態となる。
【0047】
因みに、揺動アーム11の長手方向他端は、その幅方向両に設けられた突起部(図示せず。)がトップカバー1Bに設けられたガイドレール(図示せず。)の溝部に摺接することによりスライド運動が案内される。
【0048】
そして、揺動アーム11は、図4又は図5に示すように、その揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からトップカバー1Bの長手方向先端側にずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態(図4に示す状態)にある場合において、揺動アーム11のスライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接するように設定されている。
【0049】
また、揺動アーム11の長手方向中間部には、図5に示すように、揺動アーム11をトップカバー1Bの揺動中心O1側に引き寄せるような弾性力を揺動アーム11に作用させるコイル状のバネ11Bの一端側が連結されており、このバネ11Bの他端側は装置本体1Cに連結されている。
【0050】
また、トップカバー1Bの幅方向両端側であって、その長手方向先端側には、図4に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合に、揺動アーム11のスライド端部11Aに接触して、揺動アーム11をその揺動中心O2側に向けて押圧するダンパー12が設けられている。
【0051】
このダンパー12は、図9に示すように、バネ12A、キャップ12C及びケーシング12D(図6参照)等から構成されており、バネ12Aは、その軸方向がトップカバー1Bの長手方向に一致したコイル状の弾性手段である。
【0052】
キャップ12Cは、バネ12Aのうちスライド端部11A側を覆うようにしてスライド端部11Aに接触する接触面12Bを形成する略円筒状のものであり、このキャップ12Cは揺動アーム11(スライド端部11A)と同質の樹脂にて形成されている。
【0053】
また、ケーシング12Dは、キャップ12C及びバネ12Aを収納するとともに、トップカバー1Bの長手方向と平行な方向にキャップ12Cが変位することができるようにキャップ12Cが挿入されたものであり、このケーシング12Dはトップカバー1Bに一体化されている。
【0054】
このため、ダンパー12それ自体は、トップカバー1Bの開閉状態によらず、トップカバー1Bの長手方向と平行な方向であって、トップカバー1Bの先端側からトップカバー1Bの揺動中心O1側に向かう向きの押圧力を発生することができる。
【0055】
そして、揺動アーム11のうちダンパー12が接触する接触面、つまりスライド端部11Aは、図6に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線L2と平行となるように設定されている。
【0056】
ここで、アーム軸線L3とは、揺動アーム11の揺動中心O2、及びスライド端部11Aのうちダンパー12による力Fo(以下、押圧力Foという。)が作用する作用点P1を結ぶ仮想線をいう。
【0057】
また、ここで、作用点P1とは、揺動アーム11とダンパー12との接触点のことをいう。揺動アーム11とダンパー12とが面接触の場合は、近接状態において、接触面の力の分布において最も力の大きな点を作用点とする。
【0058】
そして、スライド端部11Aは、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、押圧力Foによりスライド端部11Aに発生する垂直抗力F1の向きが、アーム軸線L3を挟んでトップカバー1Bと反対側の領域(図6の斜線が付された領域)に向かうように仮想平面S1に対して傾斜している。
【0059】
なお、垂直抗力F1とは、押圧力Foによってスライド端部11Aに発生する力のうち、作用点P1を通り、スライド端部11Aと直交して揺動アーム11の揺動中心O2側に向かう力をいう。
【0060】
また、ダンパー12のうちスライド端部11Aに接触して押圧力Foを揺動アーム11に作用させる接触面12Bは、図6に示すように、トップカバー1Bが近接状態にある場合においてスライド端部11Aと平行となる平面にて構成されている。
【0061】
また、案内部材13のうちスライド端部11Aと摺接する摺接面13Aは、図11に示すように、トップカバー1Bの長手方向と略平行な方向に延びて連続しているとともに、この摺接面13Aのうち揺動中心O1側の領域13B(以下、この領域を傾斜領域13Bという。)は、先端側の領域13C(以下、この領域をストレート領域13Cという。)に対して傾斜している。
【0062】
つまり、ストレート領域13Cの摺接面13Aは、トップカバー1Bの長手方向に対して平行であるのに対して、傾斜領域13Bの摺接面13Aは、トップカバー1Bの揺動中心O1に近づくほど、トップカバー1Bの表面(排紙トレイ1Aが形成された面)側に近づくようにストレート領域13Cに対して傾斜している。
【0063】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、揺動アーム11のうちダンパー12が接触するスライド端部11Aは、トップカバー1Bが近接状態にある場合においては、アーム軸線L3に直交する仮想平面S1に対して傾斜し、かつ、揺動アーム11の揺動中心線L2と平行となっている。
【0064】
このため、トップカバー1Bが離間状態から近接状態に移行していくと、図8→図7に示すように、押圧力Foがアーム軸線L3を挟んでトップカバー1B側の領域(図8及び図7の斜線を付した領域)に向かうより作用する。
【0065】
したがって、トップカバー1Bが離間状態から近接状態への移行過程においては、図7及び図8に示すように、スライド端部11Aには、トップカバー1Bを近接状態から離間状態とする成分の力F3(離間力F3)が揺動アーム11に作用する。なお、離間力F3は、押圧力Foのうちスライド端部11Aと平行な成分の力F2における、仮想平面S1と平行な成分の力である。
【0066】
つまり、本実施形態では、トップカバー1Bの開度(揺動アーム11とダンパー12との接触後の開度)が25°以下となると(図7及び図8参照)、ダンパー12による離間力F3が揺動アーム11に作用するので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0067】
そして、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、図6に示すように、垂直抗力F1の向きがアーム軸線を挟んでトップカバー1Bと反対側の領域に向かうようになるので、近接状態にあるトップカバー1Bを装置本体1C側に更に近接させるような力F4(近接力F4)がトップカバー1Bに作用することとなる。なお、近接力F4は、垂直抗力F1のうち仮想平面S1と平行な成分の力である。
【0068】
したがって、本実施形態では、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止しつつ、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、その状態が保持されるようになり、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0069】
なお、「トップカバー1Bが完全に近接状態となる」とは、例えば、トップカバー1Bがそれ以上、装置本体1Cに近接するように揺動変位することができない状態をいう。
また、本実施形態では、揺動アーム11の揺動中心O2は、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接した位置であるので、トップカバー1Bが離間状態から近接状態に揺動していくと、図11→図10→図9→図8→図7→図6の順に示すように、スライド端部11Aが、トップカバー1Bの揺動中心O1から離間していくようにスライド変位する。
【0070】
したがって、離間力F3が作用するポイントとトップカバー1Bの揺動中心O1との距離が、離間状態から近接状態への揺動と共に大きくなっていくので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを効果的に防止できる。
【0071】
また、本実施形態では、近接状態においては、図6に示すように、スライド端部11Aとダンパー12とが面接触するので、近接力F4を安定的に揺動アーム11に作用させることができ、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを確実に防止できる。
【0072】
また、本実施形態では、トップカバー1Bは、前述したように、露光器4を介して離間状態とする向きの力を受けるものの、トップカバー1Bが完全に近接状態となると、その状態が保持されるので、トップカバー1Bが不必要に揺動してしまうことを未然に防止できる。
【0073】
また、本実施形態では、摺接面13Aのうち傾斜領域13Bは、ストレート領域13Cに対して傾斜しているので、スライド端部11A側が傾斜領域13Bに接触している場合の摺接面13Aと揺動アーム11とのなす角θ1(図10参照)より、スライド端部11Aがストレート領域13C側に接触している場合の摺接面13Aと揺動アーム11とのなす角θ2(図9参照)の方が大きくなる。
【0074】
したがって、スライド端部11A側が傾斜領域13Bに接触している場合より、スライド端部11A側がストレート領域13Cに接触している場合の方が、摺接面13Aとスライド端部11A側との間で発生する摩擦力が大きくなるので、トップカバー1Bを装置本体1Cに近接させるようにトップカバー1Bを閉じる際に、トップカバー1Bが装置本体1Cに衝突するように大きな速度で閉じてしまうことを防止できる。
【0075】
つまり、本実施形態では、スライド端部11Aがダンパー12に接触する前においては、案内部材13によりトップカバー1Bが大きな速度で閉じてしまうことが防止され、スライド端部11Aがダンパー12に接触した後においては、ダンパー12によりトップカバー1Bが大きな速度で閉じてしまうことが防止される。
【0076】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、トップカバー1Bが特許請求の範囲に記載された揺動体に相当し、ダンパー12が特許請求の範囲に記載された押圧手段に相当する。
【0077】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、揺動アーム11の揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの揺動中心O1に近接した位置であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、揺動アーム11の揺動中心O2が、トップカバー1Bの揺動中心O1からずれた位置であって、かつ、トップカバー1Bが近接状態にある場合において、スライド端部11Aよりトップカバー1Bの先端側に近接した位置であってもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、揺動アーム11は装置本体1Cに揺動可能に組み付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、揺動アーム11をトップカバー1Bに揺動可能に組み付けてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、カラー方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えばモノクロ方式の画像形成装置にも適用できる。
【0080】
また、上述の実施形態では、LEDを用いた露光器を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばレーザ光を走査するタイプの露光器を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、画像形成部2として、4色の現像剤に対応した4つのプロセスカートリッジ3K、3Y、3M、3Cによって形成された4種類の現像剤像を、用紙上で重ね合わせることにより用紙にカラー画像を形成するダイレクトタンデム方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写方式の画像形成装置、モノクロ方式の画像形成装置や2〜3つのプロセスカートリッジからなる画像形成装置にも適用できる。
【0081】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図3】トップカバー1Bが開いた状態(離間状態)を示す図である。
【図4】トップカバー1Bの側面図である。
【図5】トップカバー1Bが開いた状態を示すトップカバー1Bの下面側斜視図である。
【図6】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図7】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図8】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図9】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図10】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図11】揺動アーム11及びトップカバー1Bの作動を示す図である。
【図12】露光器4と感光ドラム3Aとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1…画像形成装置、1A…排紙トレイ、1B…トップカバー、
1C…装置本体(筐体)、1D…ヒンジ部、1E…外観意匠面、2…画像形成部、
3A…感光ドラム、3K…プロセスカートリッジ、4…露光器、4A…発光部、
4B…ホルダー、4C…軸部、4D…コロ、5…定着器、5A…加熱ローラ、
6…給紙トレイ、8…紙粉取りローラ、9…レジストローラ、
10…ベルトユニット、11…揺動アーム、11A…スライド端部、
11B…バネ、12…ダンパー、12B…接触面、12C…キャップ、
12A…バネ、12D…ケーシング、13…案内部材、13A…摺接面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
一端側を揺動中心として装置本体側に揺動可能に組み付けられ、前記装置本体に対して離間した離間状態と、前記離間状態よりも前記装置本体に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体と、
一端側が前記装置本体及び前記揺動体のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材にスライド可能に連結されたアームと、
前記装置本体及び前記揺動体のうち前記アームの他端側が連結された部材に設けられ、少なくとも前記揺動体が前記近接状態にある場合に、前記アームの他端側に接触して、前記アームの揺動中心側に前記アームを押圧する押圧手段とを備え、
前記アームの揺動中心線と前記揺動体の揺動中心線とは平行であり、かつ、前記アームの他端側は、前記揺動体の揺動中心に近接又は離間する方向にスライド可能であり、
さらに、前記アームのうち前記押圧手段が接触する接触面は、前記揺動体が前記近接状態にある場合においては、前記アームの揺動中心及び前記接触面のうち前記押圧手段の力が作用する作用点を結ぶアーム軸線に直交する仮想平面に対して傾斜し、かつ、前記アームの揺動中心線と平行であることを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記作用点を通り前記接触面と直交して前記アームの揺動中心側に向かう押圧力の向きが、前記アーム軸線を挟んで前記揺動体と反対側の領域に向かうように前記仮想平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アームの一端側は、前記装置本体に揺動可能に組み付けられており、
さらに、前記アームと前記装置本体との組み付け位置は、前記揺動体の揺動中心からずれた位置であって、かつ、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記アームの他端側より前記揺動体の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記揺動体の先端側から前記揺動体の揺動中心側に向かう向きの押圧力を発生することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記押圧手段のうち前記接触面に接触して押圧力を前記アームに作用させる部位は、前記揺動体が前記近接状態にある場合において前記接触面と平行となる平面にて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録シートに転写される現像剤像を担持する感光体と、
前記感光体を露光するとともに、前記揺動体のうち前記装置本体側に組み付けられた露光器とを備え、
前記露光器は、前記揺動体が前記近接状態にある場合においては、前記感光体と接触して前記感光体から反力を受けることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
一端側を揺動中心として装置本体側に揺動可能に組み付けられ、前記装置本体に対して離間した離間状態と、前記離間状態よりも前記装置本体に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体と、
一端側が前記装置本体及び前記揺動体のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材に設けられた案内部材に摺動可能に接触したアームとを備え、
前記アームの他端側は、前記案内部材の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら前記離間状態から前記近接状態に変位し、
さらに、前記案内部材のうち前記アームの他端側と摺接する摺接面は、長手方向一端側から他端側まで連続しているとともに、前記摺接面のうち他端側は、一端側に対して傾斜していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記アームの一端側は、前記装置本体に揺動可能に組み付けられており、
さらに、前記アームと前記装置本体との組み付け位置は、前記揺動体の揺動中心からずれた位置であって、かつ、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記アームの他端側より前記揺動体の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記揺動体を前記離間状態とするための弾性力を前記アームに作用させる弾性手段を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
一端側を揺動中心として装置本体側に揺動可能に組み付けられ、前記装置本体に対して離間した離間状態と、前記離間状態よりも前記装置本体に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体と、
一端側が前記装置本体及び前記揺動体のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材にスライド可能に連結されたアームと、
前記装置本体及び前記揺動体のうち前記アームの他端側が連結された部材に設けられ、少なくとも前記揺動体が前記近接状態にある場合に、前記アームの他端側に接触して、前記アームの揺動中心側に前記アームを押圧する押圧手段とを備え、
前記アームの揺動中心線と前記揺動体の揺動中心線とは平行であり、かつ、前記アームの他端側は、前記揺動体の揺動中心に近接又は離間する方向にスライド可能であり、
さらに、前記アームのうち前記押圧手段が接触する接触面は、前記揺動体が前記近接状態にある場合においては、前記アームの揺動中心及び前記接触面のうち前記押圧手段の力が作用する作用点を結ぶアーム軸線に直交する仮想平面に対して傾斜し、かつ、前記アームの揺動中心線と平行であることを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記作用点を通り前記接触面と直交して前記アームの揺動中心側に向かう押圧力の向きが、前記アーム軸線を挟んで前記揺動体と反対側の領域に向かうように前記仮想平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アームの一端側は、前記装置本体に揺動可能に組み付けられており、
さらに、前記アームと前記装置本体との組み付け位置は、前記揺動体の揺動中心からずれた位置であって、かつ、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記アームの他端側より前記揺動体の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記揺動体の先端側から前記揺動体の揺動中心側に向かう向きの押圧力を発生することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記押圧手段のうち前記接触面に接触して押圧力を前記アームに作用させる部位は、前記揺動体が前記近接状態にある場合において前記接触面と平行となる平面にて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録シートに転写される現像剤像を担持する感光体と、
前記感光体を露光するとともに、前記揺動体のうち前記装置本体側に組み付けられた露光器とを備え、
前記露光器は、前記揺動体が前記近接状態にある場合においては、前記感光体と接触して前記感光体から反力を受けることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
一端側を揺動中心として装置本体側に揺動可能に組み付けられ、前記装置本体に対して離間した離間状態と、前記離間状態よりも前記装置本体に近接した近接状態と間で揺動変位する揺動体と、
一端側が前記装置本体及び前記揺動体のうちいずれか一方の部材に揺動可能に組み付けられ、他端側が他方の部材に設けられた案内部材に摺動可能に接触したアームとを備え、
前記アームの他端側は、前記案内部材の長手方向一端側から他端側に渡って摺接変位しながら前記離間状態から前記近接状態に変位し、
さらに、前記案内部材のうち前記アームの他端側と摺接する摺接面は、長手方向一端側から他端側まで連続しているとともに、前記摺接面のうち他端側は、一端側に対して傾斜していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記アームの一端側は、前記装置本体に揺動可能に組み付けられており、
さらに、前記アームと前記装置本体との組み付け位置は、前記揺動体の揺動中心からずれた位置であって、かつ、前記揺動体が前記近接状態にある場合において、前記アームの他端側より前記揺動体の揺動中心に近接した位置であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記揺動体を前記離間状態とするための弾性力を前記アームに作用させる弾性手段を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−204709(P2009−204709A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44632(P2008−44632)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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