説明

画像形成装置

【課題】煩雑な作業や無駄な用紙出力を行わなくても、ファイル格納部に格納されたファイルの内容をネットワーク接続されたコンピュータ端末等から確認することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像出力部330と、認証によりリードアクセス可能なプライベート領域に区画され、前記画像出力部330で出力可能なファイルが格納されるファイル格納部351と、前記プライベート領域に第三者によってファイルが格納されると、当該プライベート領域とリンクされたネットワーク上の特定端末2にファイル格納通知を出力するファイル管理部30を備えている画像形成装置3で、前記ファイル管理部30に、前記特定端末2からのファイル要求に応答して、対応するファイルを前記特定端末2で認識可能なファイル形式に変換して送信するファイル出力部30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力部と、認証によりリードアクセス可能なプライベート領域に区画され、前記画像出力部で出力可能なファイルが格納されるファイル格納部と、前記プライベート領域に第三者によってファイルが格納されると、当該プライベート領域とリンクされたネットワーク上の特定端末にファイル格納通知を出力するファイル管理部を備えている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置には大容量のハードディスクが備えられている。当該ハードディスクには画像形成装置で出力可能なファイルを格納する領域が確保され、当該領域には、不特定第三者が任意に使用可能なパブリック領域と、予め登録された特定ユーザのみが認証によりリードアクセス可能な複数のプライベート領域が区画されている。
【0003】
各プライベート領域は、特定ユーザのみならず第三者であってもファイルが格納できるようにアクセス管理され、画像形成装置にネットワーク接続されたコンピュータ端末や画像形成装置に搭載されたスキャナ等から入力された回覧文書や議事録等のファイルが格納され、メールボックスとしても機能する。
【0004】
特許文献1には、各種の情報を区分けして記憶するボックスであって、少なくとも、特定のユーザ、もしくは特定のグループに対してのみアクセスを許可するプライベートボックスを含むボックス機能を備えた画像形成装置が開示されている。
【0005】
当該画像形成装置には、プライベートボックスに第三者から、文書が移動されたときまたは新たな文書が蓄積されたときに、該プライベートボックスの所有者にその旨を通知すると共に、該プライベートボックスに該所有者自身が蓄積したのではない他の文書が蓄積されていれば、その旨を併せて通知する通知手段を備えた文書処理装置が搭載されている。
【0006】
特許文献1に記載された画像形成装置では、プライベート領域であるプライベートボックスの特定ユーザは、プライベート領域に特定ユーザ以外の者によりファイルである文書が移動されて蓄積されると、画像形成装置からその旨が、メールなどにより通知されるため、当該プライベート領域にファイルが蓄積されたことを速やかに認識することができる。
【特許文献1】特開2006−352478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された画像形成装置では、画像形成装置からメール等で通知を受けた特定ユーザがプライベート領域に蓄積されたファイルの内容を確認するために、画像形成装置の設置箇所まで足を運び、操作パネルを操作して液晶パネル等の表示部にファイルの内容を表示して確認する操作や、ファイルの内容を確認する為にファイルをプリントするといった煩雑な操作が要求される。
【0008】
後者の場合に、不要なファイルであれば、出力されたプリントが無駄になるという問題もある。
【0009】
本発明は、煩雑な作業や無駄な用紙出力を行わなくても、ファイル格納部に格納されたファイルの内容をネットワーク接続されたコンピュータ端末等から確認することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、画像出力部と、認証によりリードアクセス可能なプライベート領域に区画され、前記画像出力部で出力可能なファイルが格納されるファイル格納部と、前記プライベート領域に第三者によってファイルが格納されると、当該プライベート領域とリンクされたネットワーク上の特定端末にファイル格納通知を出力するファイル管理部を備えている画像形成装置であって、前記ファイル管理部に、前記特定端末からのファイル要求に応答して、対応するファイルを前記特定端末で認識可能なファイル形式に変換して送信するファイル出力部を備えている点にある。
【0011】
ファイル格納部に区画されたプライベート領域に第三者によってファイルが格納されると、ファイル管理部により、当該プライベート領域とリンクされたネットワーク上の特定端末、即ち、当該プライベート領域の特定ユーザが使用するコンピュータ端末にファイル格納通知が出力される。
【0012】
当該ファイル格納通知を受信した特定端末からファイル要求が出力されると、ファイル出力部により、対応するファイルが当該特定端末で認識可能なファイル形式に変換されたファイルが送信される。
【0013】
特定端末では、ファイル出力部から送信されたファイルを正常に認識して、表示処理等を行うことができるようになり、特定ユーザが当該特定端末の画面を介してその場で内容を確認することができるようになる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記ファイル出力部は、前記ファイル格納部に格納されたPDLファイルを画像ファイルに変換する点にある。
【0015】
一般に画像形成装置には、コンピュータ端末からページ記述言語(Page Description Language:以下、「PDL」と記載する。)で記述されたファイルが入力され、それに伴いファイル格納部に格納されるファイルの形式もPDL形式が多くなる。
【0016】
このようなPDLファイルがコンピュータ端末に送信されても、コンピュータ端末側で判読することができない。
【0017】
そこで、ファイル出力部が、特定端末から要求されたPDLファイルを当該特定端末で認識可能な画像ファイルに変換して送信することにより、特定端末が当該画像ファイルを認識して、表示処理等を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した通り、本発明によれば、煩雑な作業や無駄な用紙出力を行わなくても、ファイル格納部に格納されたファイルの内容をネットワーク接続されたコンピュータ端末等から確認することができる画像形成装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の画像形成装置について説明する。
図2に示すように、本発明の画像形成装置の一例であるプリント機能、複写機能、FAX機能等を備えた複合機3が、ネットワーク10を介してコンピュータ端末2(2a、2b、・・・)に接続されている。
【0020】
図1(a)及び図2に示すように、複合機3には、スキャナ320と、電子写真方式を採用した画像出力部としてのプリンタエンジン330と、操作部310などが組み込まれている。
【0021】
スキャナ320は、原稿自動送り装置と、原稿を照明する光源と、CCD等の撮像素子と、原稿からの反射光を撮像素子に導くミラーやレンズを備えた集光光学系と、これらを制御するスキャナ制御部32を備え、スキャナ制御部32により、原稿自動送り装置にセットされた原稿が給紙され、原稿画像が撮像素子で光電変換され、画像データとして読み取られる。
【0022】
プリンタエンジン330は、感光体と帯電装置と露光装置と現像装置などを備えた感光体ユニットと、給紙搬送部と、定着部等と、これらを制御するエンジン制御部33を備え、エンジン制御部33により、感光体にトナー像が形成され、給紙紙搬送部から搬送された記録紙にトナー像が転写され、定着部で当該トナー像が記録紙に定着された後に排出される。
【0023】
図1(a)及び図3に示すように、操作部310は、タッチパネル式の液晶表示部311と、複合機3の動作状態を表示する状態表示LED312と、複数のハードウェアキー313などが配置された操作パネルと、これらを制御する操作制御部31を備えている。
【0024】
ハードウェアキー313として、プリント枚数などを設定する数値キー314、プリント処理やFAX送信処理を開始するスタートキー315、複合機3の動作モードを、コピーモードに切り替えるコピーキーと、FAX送信モードに切り替える送信キーと、文書ボックスモードに切り替える文書ボックスキー316等が設けられている。
【0025】
文書ボックスモードとは、スキャナ320で読み取られた画像データでなる画像ファイルを後述するファイル格納部に格納し、または、ファイル格納部に格納しているファイルをプリントするなどの動作モードである。
【0026】
複合機3には、さらに、コンピュータ端末2と通信するネットワーク制御部34と、回線制御ユニット(NCU)370を介してFAXデータの送受信制御を行なうFAX制御部37と、大容量ハードディスク(以下、「HD」と記載する。)350を管理するハードディスク制御部(以下、「HD制御部」と記載する。)35などを備えている。
【0027】
操作制御部31、スキャナ制御部32、エンジン制御部33、ネットワーク制御部34、FAX制御部37、HD制御部35などの複数の制御部は、シリアル通信バス36を介して複合機3を統括制御するシステム制御部30に接続されている。尚、シリアル通信バス36は、制御データを送受信する制御バスと、画像データを送受信する画像バスで構成されている。
【0028】
各制御部にはROMやRAMなどを内蔵するマイクロコンピュータと周辺回路が設けられ、各マイクロコンピュータはROMに記憶された制御プログラムに基づいて所定の制御を実行する。
【0029】
システム制御部30は、スキャナ320で読み取られた画像データ、ネットワーク制御部34を介してコンピュータ端末2から入力されたPDLファイル、またはFAX制御部37を介して受信されたファクシミリデータに必要な画像処理を施して、対応する処理ブロックに出力する。
【0030】
システム制御部30は、例えば、スキャナ320で読み取られた画像データに対して拡縮処理し、カラー補正して画像ファイルを生成し、さらには、RGBデータをCMYKデータにカラー変換してプリントデータを生成する。また、コンピュータ端末2から入力されたPDLファイルをラスターデータに変換してプリントデータを生成する。
【0031】
システム制御部30は、画像処理後のデータを、例えば、プリントする場合にはプリンタエンジン330に出力し、FAX送信する場合にはFAX制御部37に出力し、記憶する場合にはHD制御部35に出力する。
【0032】
HD制御部35によって管理されるHD350には、画像出力部で出力可能なファイルが格納されるファイル格納部351を備えている。ファイル格納部351は、所謂「文書ボックス」と呼称され、特定のユーザが認証によりアクセス可能な複数のプライベート領域(以下、「ユーザボックス」と記載する。)と、不特定のユーザがアクセス可能なパブリック領域に区画されている。
【0033】
ファイル格納部351に格納されるファイルのファイル名、ファイル種別、容量、記憶アドレスなどのファイル管理データがHD制御部35によって管理され、HD制御部35とシステム制御部30との間でファイルが入出力される。
【0034】
図1(b)に示すように、システム制御部30には、認証部30cと、ファイル管理部30aを備えている。複合機3に電源が投入されると、ファイル管理部30aは、HD制御部35にファイル管理データを要求して、送信されたファイル管理データに基づいてファイル管理テーブルを生成し、システム制御部30に備えたRAM30dに記憶する。認証部30cは、HD350に格納されている認証情報を読み出して、RAM30dに記憶する。
【0035】
認証部30cは、操作者が複合機3を使用する際に、操作者にログインユーザ名とログインパスワードでなる認証情報を入力するように要求し、入力された認証情報とRAM30dに記憶された認証情報を照合し、両情報が一致する場合に当該複合機3の操作を許可する。
【0036】
ファイル管理テーブルは、HD制御部35で管理されるファイル管理データに基づいて生成され、パブリック領域及び複数の個別領域に区画されたプライベート領域の夫々に付されたボックス名称と、各ボックス名称で特定される領域に格納されているファイル名を含む。
【0037】
当該複合機3では、プライベート領域、即ちユーザボックスの個々のボックス名称と、個々の認証情報がリンクされ、認証部30cで認証された操作者は、同時に対応するユーザボックスに対するアクセス権が認められるように構成されている。つまり、複合機3へのログインプロセスと、ユーザボックスへのログインプロセスが共用されている。
【0038】
認証されたユーザは、対応するユーザボックスに格納されたファイルのプリント出力、書き込み、消去が自由に行なえ、他のユーザボックス及びパブリック領域に任意のファイルが書き込めるようになる。即ち、認証により対応するユーザボックスにリードアクセス可能となる。尚、複合機3へのログインプロセスと、ユーザボックスへのログインプロセスが別プロセスで行なわれるように構成してもよい。
【0039】
ファイル管理部30aは、その後、HD制御部35との間で遣り取りされるファイルの履歴をファイル管理テーブル上で管理し、第三者によって特定のユーザボックスに新たに書き込まれたファイルの有無を把握する。
【0040】
ファイル管理部30aによる管理下で、スキャナ320で読み取った画像ファイルやコンピュータ端末2から入力されたPDFファイル、さらにはFAX制御部37で受信された親展ファイルなどがファイル格納部351に格納される。
【0041】
上述したユーザボックスはメールボックスとして機能し、任意のユーザが他のユーザに回覧したい情報ファイルを当該他のユーザのユーザボックスに随時書き込めるように構成され、自分のユーザボックスに格納したファイルを当該他のユーザのユーザボックスに移動操作することも可能に構成されている。
【0042】
任意のユーザボックスにファイルを格納し、または、自身のユーザボックスから第三者のユーザボックスにファイルを移動するとき、操作パネルに設けられた文書ボックスキー316が操作される。
【0043】
スキャナ320で読み取られた画像ファイルがユーザボックスに格納される場合のファイル管理部30aの動作を説明する。
【0044】
ファイル管理部30aは、文書ボックスキー316が押圧操作(以下、単に「操作」と記す。)されると、複合機3を文書ボックスモードに切り替えて、図4(a)に示す操作画面(以下、「ボックス操作画面」と記載する。)を表示する。
【0045】
ボックス操作画面には、各ユーザボックスの名前や所有者などを表示するユーザボックスリストと、選択されたユーザボックスにファイルを格納する際に操作する「文書保存キー」等が配置されている。
【0046】
ボックス操作画面に表示したユーザボックスリストからファイル格納先のユーザボックスが操作者により選択操作されると、対応するユーザボックスの名前を含む行を反転表示する。
【0047】
操作者により「文書保存キー」が操作されると、図4(b)に示すように、スキャナ320で原稿画像を読み取る際の読取条件毎に対応するキーが複数配置された読取条件設定画面を表示する。
【0048】
操作者により読取条件が設定され、プリントキー315が操作されると、設定された読取条件に基づいてスキャナ320が起動し、読み取られた画像データを選択されたユーザボックスに画像ファイルとして格納する。
【0049】
ユーザボックスに格納されているファイルが第三者のユーザボックスに移動される場合のファイル管理部30aの動作を説明する。
【0050】
操作者により、ユーザボックスリストから自身のユーザボックスが選択操作され、「開くキー」が操作されると、図5(a)に示すように、ファイル管理部30aは、当該ユーザボックスに格納されているファイルの一覧リストを表示する一覧表示第一画面を表示する。
【0051】
尚、操作者以外のユーザボックスが選択されている状態で「開くキー」が操作されると、リードアクセスが許可されていない為、一覧表示第一画面を表示できない旨のメッセージを表示する。
【0052】
一覧リストに表示されているファイルの行が選択されると、ファイル管理部30aは、当該ファイルの行の選択欄のチェックボックスをチェックし、再度操作されるとチェックを外す。
【0053】
選択欄のチェックボックスがチェックされた状態で「移動キー」が操作されると、図5(b)に示すように、ファイル管理部30aは、ファイルの移動先となるユーザボックスの行を選択する移動先選択画面を表示する。移動先選択画面で移動先となるユーザボックスの行が選択されると当該ユーザボックスの行を反転表示する。
【0054】
操作者により「移動キー」が操作されると、ファイル管理部30aは、選択されたファイルを当該ユーザボックスに移動する。
【0055】
コンピュータ端末2からファイル格納部351にファイルが格納される場合を説明する。
【0056】
当該複合機3にネットワーク接続されたコンピュータ端末2は、CPUやメモリやハードディスクなどを備えた本体20と、モニタ21等の表示装置と、キーボード22やポインティングデバイスであるマウス23等の入力装置を備えている。
【0057】
ハードディスクには、オペレーティングシステム(Operating System:以下、「OS」と略記する。)と、OSによる管理の下で動作するアプリケーションと、当該アプリケーションで作成した文書ファイルに基づいて印字データを生成して、複合機3に出力するプリンタドライバ24と、複合機3に組み込まれたファイル格納部351をモニタするアプリケーションであるボックスモニタ25等が格納されている。
【0058】
また、ハードディスクには、コンピュータ端末2の使用を許諾されている操作者毎に割り当てられているログインユーザ名とログインパスワードでなる認証情報が格納されている。
【0059】
コンピュータ端末2で認証された操作者が、アプリケーションで生成したファイルを、上述の複合機3でプリント出力し、或は、ユーザボックスに格納する場合、アプリケーションから起動されるプリンタドライバ24を介して、当該ファイルがPDLファイルに変換されて出力される。
【0060】
ファイル管理部30aは、コンピュータ端末2から入力されたPDLファイルに含まれる格納先のユーザボックスを示す制御情報に基づいて、当該ファイルを格納する。
【0061】
具体的に、PDLファイルを任意のユーザボックスに格納しようとするとき、コンピュータ端末2の操作者は、プリント条件を設定する際に表示するプリント条件の設定画面で、図6に示すように、「文書保存設定チェックボックス」をチェックし、当該チェックによりアクティブになる「ユーザボックスの名前枠」にPDLファイルを格納したいユーザボックスの名前を入力する。
【0062】
プリンタドライバ24は、「文書保存設定チェックボックス」がチェックされているとき、入力されたユーザボックスの名前をプリント条件に含めてPDLファイルを生成する。
【0063】
ファイル管理部30aは、PDLファイルに含まれているプリント条件を参照して、入力されたユーザボックスの名前に対応するユーザボックスにPDLファイルを格納する。尚、「ユーザボックスの名前枠」はプルダウンメニュー方式で複数選択可能に構成されてもよい。
【0064】
このようにして、第三者から回覧等の目的で任意のファイルが各ユーザボックスに格納される。
【0065】
ファイル管理部30aは、ファイル管理テーブルに基づいて、ユーザボックスに第三者によってファイルが格納されたことを検出すると、所定のタイミングで当該ユーザボックスとリンクされたネットワーク上の特定端末、即ち、当該ユーザボックスに対応するユーザが使用するコンピュータ端末2にファイル格納通知を出力する。ファイル格納通知は当該ユーザボックスに第三者によってファイルが格納された旨を通知するデータで構成されている。
【0066】
ファイル管理部30aによるファイル格納通知の出力は、ユーザボックスに第三者によってファイルが格納された時点で行われるものであってもよく、ファイル管理部30aが各ユーザボックスに格納されているファイルを所定周期で定期的に確認し、新たなファイルが格納されたことを認識した時点で行われるものであってもよい。
【0067】
ファイル管理部30aは、ユーザボックスにファイルを格納する際、ファイル管理テーブルの対応するファイル名にフラグをセットし、定期的な確認の度に、当該フラグのセット/リセットをチェックするように構成されている。この場合、ファイル格納通知の出力後、ファイル管理部30aにより当該フラグはリセットされる。
【0068】
ファイル格納通知により、自身のユーザボックスに第三者によりファイルが格納されたことを知得した特定端末の操作者は、当該ファイルの内容を把握するため、当該ファイルの送信を要求するコマンドを出力してファイル要求することができる。
【0069】
ファイル管理部30aは、特定端末からのファイル要求に応答して、対応するファイルを特定端末で認識可能なファイル形式に変換して送信する。即ち、図1(b)に示すように、ファイル管理部30aに、特定端末からのファイル要求に応答して、対応するファイルを特定端末で認識可能なファイル形式に変換して送信するファイル出力部30bを備えている。
【0070】
具体的に、ファイル管理部30aは、第三者によりファイルがユーザボックスに格納されると、RAM30dの認証情報に付加されているコンピュータ端末2のログインユーザ名を参照して、当該ユーザボックスに対応するコンピュータ端末2を認識する。
【0071】
ファイル管理部30aは、認識した当該ログインユーザ名で使用されているコンピュータ端末2に対して、第三者により格納された当該ファイルのファイル名を含めてファイル格納通知を出力する。
【0072】
当該コンピュータ端末2のボックスモニタ25は、当該ファイル格納通知が入力されると起動し、図7(a)に示すように、ユーザボックスにファイルが格納されたことを通知する格納通知画面を表示する。
【0073】
尚、図7(a)に示す格納通知画面では、ファイルが格納された旨とともに、格納されたファイルのファイル名「FileA」が表示されているが、ファイルを格納した第三者に関する情報(例えば、複合機3に対するログインユーザ名など)がファイル格納通知に含まれていれば、格納通知画面に当該第三者に関する情報を表示するものであってもよい。
【0074】
ボックスモニタ25は、格納通知画面で「ボックス内ファイル表示キー」がクリック(以下、単に「操作」と記す。)されると、当該ユーザボックスに格納されている全ファイルのファイル名を要求する一覧要求コマンドを出力する。
【0075】
ファイル管理部30aは、一覧要求コマンドが入力されると、当該ユーザボックスに格納されている全ファイルのファイル名を当該コンピュータ端末2に出力する。
【0076】
ボックスモニタ25は、全ファイルのファイル名が入力されると、図7(b)に示すように、当該ユーザボックスに格納されている全ファイルのファイル名を夫々アイコンに付して表示する一覧表示第二画面を表示する。
【0077】
ボックスモニタ25は、一覧表示第二画面に表示されたアイコンがダブルクリックされ、または、当該アイコンが選択された状態で「画像表示キー」が操作されると、当該アイコンに付与されたファイル名のファイルを要求する画像要求コマンドを出力する。
【0078】
ファイル管理部30aは、画像要求コマンドが入力されるとファイル出力部30bを起動する。ファイル出力部30bは、当該画像要求コマンドに基づいて対応するファイルを当該コンピュータ端末2で認識可能なファイル形式に変換し、変換後のファイルを送信する。
【0079】
例えば、ファイル出力部30bは、ファイル管理部351に格納されたPDLファイルをTIFF形式やJPEG形式やビットマップ形式等の画像ファイルに変換し、当該画像ファイル、または、当該コンピュータ端末2で解凍可能なファイル形式に圧縮したファイルを送信する。
【0080】
ここで、コンピュータ端末2からのファイル要求や複合機3からの画像ファイルの送信は、例えば、コンピュータ端末2に備えられている画像入力デバイス用のAPI(Application Program Interface)及びプロトコルであるTWAINまたはWIA(Windows Image Acquisition)により好適に実行することができる。
【0081】
コンピュータ端末2では、入力された画像ファイルを認識し、対応するアプリケーションで当該画像ファイルの内容を表示することができる。
【0082】
コンピュータ端末2の操作者は、自身のユーザボックスに格納されたPDLファイルを出力するか否かについて、当該画像ファイルの内容を確認して判断することができる。
【0083】
その結果、操作者はプリントが必要と判断したファイルを複合機3で出力するようにプリンタドライバ24を起動して所定の操作を行い、不要と判断したファイルをユーザボックスから削除する。
【0084】
以下に、ユーザボックスに第三者により格納されたファイルの画像を表示する際のコンピュータ端末2及び複合機3の動作について、図8に示すフローチャートを用いて詳述する。
【0085】
第三者によりユーザボックスにファイルが格納されると、ファイル管理部30aは特定端末となるコンピュータ端末2にファイル格納通知を出力する(SB1、SB2)。
【0086】
ファイル格納通知が入力されると、特定端末のボックスモニタ25が起動する(SA1)。ボックスモニタ25は、格納通知画面を表示し、格納通知画面の「ボックス内ファイル表示キー」が操作されると一覧要求コマンドを出力する(SA2〜SA4)。
【0087】
一覧要求コマンドが入力されると、ファイル管理部30aは対応するユーザボックスに格納されている全ファイルのファイル名を出力する(SB3)。全ファイルのファイル名が入力されると、ボックスモニタ25は一覧表示第二画面を表示する(SA5)。
【0088】
一覧表示第二画面の「画像表示キー」が操作されると、ボックスモニタ25は、複合機3に画像要求コマンドを出力する(SA6、SA7)。画像要求コマンドが入力されると、ファイル出力部30bは対応するファイルがPDLファイルであればファイル形式を変換した画像ファイルを送信し、画像ファイルであればそのままの形式で送信する(SB4、SB5)。特定端末では受信した画像ファイルが表示される(SA8)。
【0089】
複合機3からユーザボックスに格納されたファイルの内容を確認したユーザはプリンタドライバ24を起動して、プリントが必要なファイルに対して印字開始操作を行ない、不要なファイルに対して削除操作を行なう。
【0090】
当該ボックスモニタ25には、このようなユーザの操作に対応した機能ブロックが構築されている。
【0091】
図9(a)に示すように、ボックスモニタ25は、画像ファイルを表示要求する表示要求部250と、複合機3にプリント要求を出力するプリント要求部251と、複合機3にファイル削除要求を出力する削除要求部252を備えている。
【0092】
ボックスモニタ25は、ファイル出力部30bから出力されてコンピュータ端末2のメモリ等に記憶されている画像ファイルのアイコンを表示する格納ファイル確認画面を表示する。
【0093】
図9(b)に示すように、格納ファイル確認画面には、「画像表示キー」と「プリントキー」と「削除キー」と「閉じるキー」が配置されている。また、アイコンには、ファイル出力部30bによって当該アイコンに対応する画像ファイルに変換されたファイル(以下、「元ファイル」と記載する。)の名前が付与されている。
【0094】
ボックスモニタ25は、格納ファイル確認画面でファイルが選択され、「画像表示キー」が操作されると表示要求部250を起動する。表示要求部250は、OSに対して、選択された画像ファイルの内容の表示を要求する。画像ファイルの内容は、OSにより起動された当該画像ファイルに対応するアプリケーションで表示される。
【0095】
ボックスモニタ25は、格納ファイル確認画面でファイルが選択され、「プリントキー」が操作されると、プリント要求部251を起動する。プリント要求部251は、元ファイルのプリントを要求するプリント要求コマンドを複合機3に出力する。プリント要求コマンドには、元ファイルの名前が含まれている。
【0096】
ボックスモニタ25は、格納ファイル確認画面でファイルが選択され、「削除キー」が操作されると、削除要求部252を起動する。削除要求部252は、ユーザボックスからの元ファイルの削除を要求する削除要求コマンドを出力する。削除要求コマンドには、元ファイルの名前が含まれている。
【0097】
ボックスモニタ25は、格納ファイル確認画面で「閉じるキー」が操作されると、当該格納ファイル確認画面を閉じる。
【0098】
図1(b)に示すように、ファイル管理部30aは、特定端末からのプリント要求に応答してファイル格納部351に格納されているファイルをプリントするプリント処理部30eと、特定端末からのファイル削除要求に応答して対応するファイルを削除するファイル削除部30fを備えている。
【0099】
プリント処理部30eは、プリント要求コマンドに含まれているファイルの名前に基づいて、ファイル管理テーブルを参照して対応するユーザボックスを認識し、当該ユーザボックスに格納されている元ファイルをプリントデータに変換し、当該プリントデータをプリンタエンジン330に出力してプリントする。
【0100】
このようにして、プリント要求に応答してプリント処理部30eにより元ファイルがプリントされる為、ファイル出力部30bにより送信されたファイルの任意のファイルを、画質劣化を生じさせることなく特定端末からプリント処理することができる。
【0101】
ファイル削除部30fは、削除要求コマンドに含まれている元ファイルの名前に基づいて、ファイル管理テーブルを参照して対応するユーザボックスを認識し、当該ユーザボックスから元ファイルを削除する。
【0102】
従って、複合機3まで足を運んで操作部310を操作するという煩雑な作業をしなくても、ファイル出力部30bにより送信されたファイルのうち不要なファイルの元ファイルを、対応するユーザボックスから削除することができる。
【0103】
以下に、別実施形態について説明する。
【0104】
上述の実施形態では、送信を希望するファイルを一覧表示第二画面で選択するものとしたが、一覧表示第二画面を表示することなく、格納通知画面で選択することができるものであってもよい。
【0105】
例えば、第三者によりユーザボックスに格納されたファイルを要求するキーを格納通知画面に備え、当該キーがクリックされると、ファイル出力部30bにより当該ファイルが送信されるものであってもよい。
【0106】
上述の実施形態では、ボックスモニタ25は、ファイル格納通知が入力されたときに表示する格納通知画面で「ボックス内ファイル表示キー」がクリックされると、一覧表示第二画面を表示するものとしたが、任意のタイミングでコンピュータ端末2の操作者が一覧表示第二画面を表示することができるものであってもよい。
【0107】
例えば、プリント条件の設定画面に、「ボックス内ファイル表示キー」に対応するキーを配置し、コンピュータ端末2の操作者が当該キーを任意のタイミングでクリックして、一覧表示第二画面を表示することができるものであってもよい。
【0108】
上述の実施形態では、一覧表示第二画面には、ユーザボックスに格納されている全ファイルがアイコンとして表示されているものとしたが、図10に示すように、リスト形式で表示されるものであってもよい。
【0109】
尚、上述した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】(a)は複合機のブロック構成図、(b)はシステム制御部の説明図
【図2】画像形成システムの説明図
【図3】操作部の外観図
【図4】(a)はボックス操作画面の説明図、(b)は読取条件設定画面の説明図
【図5】(a)は一覧表示第一画面の説明図、(b)は移動先選択画面の説明図
【図6】プリント条件の設定画面の説明図
【図7】(a)は格納通知画面の説明図、(b)は一覧表示第二画面の説明図
【図8】コンピュータ端末による画像ファイルの表示動作を説明するフローチャート
【図9】(a)はボックスモニタの説明図、(b)は格納ファイル確認画面の説明図
【図10】別実施形態での一覧表示第二画面の説明図
【符号の説明】
【0111】
2(2a、2b):特定端末(コンピュータ端末)
3:複合機
24(24a、24b):プリンタドライバ
25(25a、25b)ボックスモニタ:
30:システム制御部
30a:ファイル管理部
30b:ファイル出力部
30c:認証部
30d:RAM
30e:プリント処理部
30f:ファイル削除部
31:操作制御部
32:スキャナ制御部
33:エンジン制御部
34:ネットワーク制御部
35:HD制御部
37:FAX制御部
310:操作部
320:スキャナ
330:画像出力部(プリンタエンジン)
350:HD
351:ファイル格納部
370:NCU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力部と、認証によりリードアクセス可能なプライベート領域に区画され、前記画像出力部で出力可能なファイルが格納されるファイル格納部と、前記プライベート領域に第三者によってファイルが格納されると、当該プライベート領域とリンクされたネットワーク上の特定端末にファイル格納通知を出力するファイル管理部を備えている画像形成装置であって、
前記ファイル管理部に、前記特定端末からのファイル要求に応答して、対応するファイルを前記特定端末で認識可能なファイル形式に変換して送信するファイル出力部を備えている画像形成装置。
【請求項2】
前記ファイル出力部は、前記ファイル格納部に格納されたPDLファイルを画像ファイルに変換する請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−239743(P2009−239743A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84865(P2008−84865)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】