画像形成装置
【課題】ソート機能を利用するにあたって,より正確なソート処理可能枚数を表示することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】MFP100は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備えている。MFP100は,原稿タイプごとに原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶している。ソートコピーを行う際には,原稿タイプを選択する(S101)。そして,その原稿タイプに適したソートコピー可能な目安枚数を表示する(S102)。ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を算出する。その基準量は,印刷処理(S106)を行った後に取得される最新のデータ量を基に,新たな基準量に更新される(S108)。
【解決手段】MFP100は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備えている。MFP100は,原稿タイプごとに原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶している。ソートコピーを行う際には,原稿タイプを選択する(S101)。そして,その原稿タイプに適したソートコピー可能な目安枚数を表示する(S102)。ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を算出する。その基準量は,印刷処理(S106)を行った後に取得される最新のデータ量を基に,新たな基準量に更新される(S108)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ソート機能を有する画像形成装置に関する。さらに詳細には,原稿サイズや原稿モードに応じて原稿タイプが設定され,原稿タイプごとにソート可能枚数を表示する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,複写機等の画像形成装置には,複数枚の原稿の画像を読み取り,それらの画像データをRAM等の内部メモリに一旦記憶し,その内部メモリから任意の画像データを繰り返し読み出して画像形成を行う,いわゆるソート機能を有するものがある。ソート機能を有する画像形成装置は,ソートビンを複数持たなくても,印刷後の用紙を並べかえた状態で排紙することができる。
【0003】
ソート機能を有する画像形成装置では,画像データを内部メモリに記憶していく際に,その記憶容量が満杯となるメモリフルが発生するおそれがある。メモリフルとなると,その印刷ジョブをキャンセルするか,記憶した画像データに対してだけのソートを行うことになり,ユーザが希望するソートを実行することができない。
【0004】
そこで,例えば特許文献1には,原稿サイズ(A4,B5等)や原稿モード(文字,文字/写真,写真)に応じて基準量を設定し,ユーザが原稿サイズないし原稿モードを選択すると,その条件に適したソート可能枚数を表示し,ソート処理が実施可能な目安を表示する画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−46493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1に設定される基準量は,あくまでも一般的な原稿のデータ量の目安であり,その値は条件ごとに設定された固定値である。そのため,ソート処理が実施可能な実際の枚数とに差が生じることがある。
【0006】
例えば,「A4,文字/写真原稿」という枠組みの中でも,ユーザAは写真を多用し,ユーザBは殆ど写真を利用しない場合,ユーザAの原稿の1枚あたりのデータ量とユーザBの原稿の1枚あたりのデータ量とでは大きな差がある。あらかじめ設定される基準量は,メモリフルを生じさせないように,ユーザAのデータ量に近い値が設定されることが多い。そのため,ユーザBにとっては,実際にソート処理が可能な枚数と目安として表示される枚数とに大きな差がある。従って,ユーザBにとっては,ソート機能を十分に活用できない。
【0007】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ソート機能を利用するにあたって,より正確なソート処理可能枚数を表示することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,ソート機能を有する画像形成装置であって,原稿タイプごとに,原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶する記憶手段と,基準量を基にソート処理可能な枚数を設定する設定手段と,設定手段によって設定された枚数を表示する表示手段と,画像形成処理を行った原稿の1枚あたりのデータ量を取得する取得手段と,データ量を基に,基準量を設定する基準量設定手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の画像形成装置は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備えている。また,本発明の画像形成装置は,記憶手段によって,原稿タイプごとに原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶している。ソート機能を利用した画像処理を行う際には,原稿タイプを選択する。そして,ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を設定する。
【0010】
そして,本発明の画像形成装置では,画像処理(例えば,原稿読取処理や印刷処理)を行った後に取得される最新のデータ量(今回のデータ量)を基に,新たな基準量が設定される。新たな基準量の設定には,新しい原稿タイプの作成や,既存の原稿タイプに含まれる基準量の更新が該当する。
【0011】
すなわち,本発明の画像形成装置では,今回のデータ量を基に,その原稿タイプに適した基準量を設定する。つまり,基準量は,ユーザの使用状況に応じて変動する。これにより,ユーザの使用状況に適した正確な基準量を取得することができ,結果としてより正確なソートコピー枚数を表示することができる。
【0012】
また,本発明の画像形成装置は,基準量を取得し,記憶手段に新しい原稿タイプを追加する原稿タイプ追加手段を備えるとよりよい。基準量の取得方法は,ユーザによる数値入力であってもよいし,原稿の読み取りであってもよい。すなわち,ユーザ自身によって原稿タイプを追加できることで,特定の使用に適した基準量を設定できる。そのため,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置の基準量設定手段は,データ量と基準量とを基に新たな基準量を算出し,算出した基準量によって記憶手段に記憶された基準量を更新するとよりよい。すなわち,今回のデータ量を基に新たな基準量が算出され,記憶手段の基準量が更新される。これにより,画像形成処理の度に適切な基準量に近づけることができる。
【0014】
また,上記の画像形成装置は,データ量が基準量を基に規定される範囲の範囲内であるか否かを判断する第1判断手段を備え,基準量設定手段は,第1判断手段が範囲内であると判断した場合に,基準量を更新するとよりよい。すなわち,イレギュラーな値を基準量に反映するとその値が大きく変動し,正確性を欠くことになる。そこで,基準量を基に許容範囲を設定することで,基準値の精度の低下を防止することができる。
【0015】
また,上記の画像形成装置は,第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,判断対象となったデータ量を基に基準量を更新するか否かを問い合わせる問い合わせ手段を備え,基準量設定手段は,問い合わせ手段にて更新することが指示された場合に,基準量を更新するとよりよい。すなわち,イレギュラーな値を基準量に反映するか否かをユーザに問い合わせることで,基準量の更新時の自由度が向上する。
【0016】
また,上記の画像形成装置は,第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,第1判断手段の判断対象となったデータ量を基に,記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第1追加手段とを備えるとよりよい。すなわち,イレギュラーな値が検出された場合に,新たな原稿タイプを作成可能とする。これにより,その後にそのイレギュラーな原稿に類似した原稿の画像処理の際に,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0017】
また,本発明の画像形成装置は,基準量設定手段による基準量の更新の回数を制限する制限手段を備えるとよりよい。すなわち,更新回数が増えるほど基準値は最適化され,その値は変動しない傾向にある。そこで,更新の回数を制限することで,煩雑な更新作業を回避し,ユーザの利便性が向上する。
【0018】
また,本発明の画像形成装置は,原稿タイプごとに,データ量の履歴情報を記憶する履歴記憶手段と,履歴記憶手段に記憶される各データ量のうち,基準量と取得手段にて取得されたデータ量との少なくとも一方を基に規定される範囲内であるデータ量を抽出し,抽出されたデータ量の数が閾値よりも多いか否かを判断する第2判断手段と,第2判断手段にて多いと判断された場合に,第2判断手段にて抽出されたデータ量を基に,記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第2追加手段とを備えるとよりよい。すなわち,データ量の履歴を基に同一の原稿タイプと判断できるデータ量を抽出し,そのデータ量群に適した原稿タイプを作成する。これにより,その後にその原稿タイプに適した原稿の画像処理の際に,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,ソート機能を利用するにあたって,より正確なソート処理可能枚数を表示することができる画像形成装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャナ機能,プリント機能を備えた複合機(MFP)に本発明を適用したものである。
【0021】
[MFPの全体構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部110と,原稿の画像を読み取るスキャナ部120とを備えている。また,スキャナ部120の前面側には,液晶ディスプレイからなる表示部16と,各種のボタン等を備えた操作部17とが設けられ,この操作部17により動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0022】
画像形成部110は,周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり,ハウジング9内に収容されている。画像形成部110は,画像データを基にレーザ光Lを点滅照射する露光装置3と,トナー像を形成するプロセス部150と,未定着のトナー像を定着させる定着装置8と,画像形成前の用紙を載置する給紙カセット91および給紙トレイ92と,画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ93とを備えている。
【0023】
プロセス部150は,感光体ドラム1と,感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,感光体ドラム1の表面上に形成された静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写させる転写装置5とを有している。感光体ドラム1,帯電装置2,現像装置4,および転写装置5は,プロセスカートリッジとして構成され,装置本体に対して着脱可能になっている。
【0024】
プロセス部150では,感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置3からのレーザ光Lにより露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が感光体ドラム1の表面上に形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体ドラム1に供給される。これにより,感光体ドラム1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0025】
画像形成部110内には,底部に位置する給紙カセット91に収容された用紙が,給紙ローラ73,プロセス部150,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ93への導かれるように,略S字形状の搬送経路71が設けられている。また,給紙トレイ92に載置された用紙を,給紙ローラ72を介してプロセス部150に導く搬送路も設けられている。すなわち,画像形成部110は,給紙カセット91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙をプロセス部150に搬送し,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。さらに,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ93に排出する。
【0026】
スキャナ部120は,原稿の画像を読み取るイメージセンサ21と,原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder:自動原稿供給装置)22と,透明なプラテンガラス23とを備えている。
【0027】
スキャナ部120での原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(原稿移動走査)方式とがある。フラットベッド方式の場合,原稿を1枚ずつプラテンガラス23上に載置する。その状態で,イメージセンサ21が副走査方向(主走査方向に直交方向,図1の左右方向)に移動し,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。一方,ADF方式の場合,原稿を纏めてADFの原稿トレイに載置する。そして,原稿がイメージセンサ21に対向する位置に搬送され,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。
【0028】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図2に示すように,CPU31(設定手段,表示手段,取得手段,基準量設定手段,原稿タイプ追加手段,第1判断手段,問い合わせ手段,第1追加手段,制限手段,第2判断手段,第2追加手段の一例)と,ROM32と,RAM33と,不揮発性メモリ(NVRAM)34(記憶手段,履歴記憶手段の一例)と,ASIC35と,ネットワークインターフェース36と,FAXインターフェース37とを備えた制御装置30を有している。
【0029】
CPU31は,MFP100におけるスキャン機能,プリント機能,FAX通信機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段(Non Volatile RAM)であって,各種設定ないし画像データ等を保存するものである。
【0030】
ASIC35は,画像形成部110,スキャナ部120,表示部16,操作部17,時計18等と電気的に接続されている。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33やNVRAM34に記憶させながら,ASIC35を介してMFP100の各構成要素を制御する。
【0031】
ネットワークインターフェース36には,パーソナルコンピュータ(PC)等の情報機器が接続され,このネットワークインターフェース36を介して情報機器との相互のデータ通信が可能になっている。FAXインターフェース37には,ファクシミリ通信を行うためのものであり,電話回線に接続される。具体的にFAXインターフェース37は,NCUやモデム等によって構成される。
【0032】
[MFPの機能]
続いて,MFP100の基本機能(スキャン機能,プリント機能,FAX通信機能)以外の機能について説明する。MFP100は,スキャナ部120にて複数枚の原稿の画像を読み取り,それらの画像データをRAM33に一旦記憶し,RAM33から画像データを繰り返し読み出して画像形成部110によって印刷を行うソート機能を有している。
【0033】
また,MFP100は,ソートコピーの付属機能として,ソートコピーの可能枚数の目安を表示する機能を有している。本形態では,ソートコピー可能枚数は,図3に示すように,コピー設定(画質や倍率)を表示する設定画面に表示される。ソートコピー可能枚数は,NVRAM34の空き容量によって異なる。
【0034】
また,ソートコピーの可能枚数は,原稿のサイズや原稿の情報によっても異なる。そのため,MFP100には,原稿タイプが登録されており,ソートコピーの可能枚数を表示するに際し,ユーザに原稿タイプを選択させる。図4は,原稿タイプの選択画面の一例を示しており,登録されている原稿タイプが一覧表示され,現在選択されている原稿タイプが反転表示される。
【0035】
MFP100のNVRAM34は,原稿タイプの詳細情報を記録するデータベース140(記憶手段の一例)を備えている。図5は,データベース140の登録例を示している。データベース140には,少なくとも原稿タイプの名称と,1ページあたりのデータ量(基準量)と,更新回数と,登録番号とが1つのレコードとして記録される。更新回数は,初期値として1が記録され,基準量を更新する度に1ずつ加算される。
【0036】
また,MFP100は,新たに原稿タイプを追加する機能を有している。すなわち,ユーザは,特定の用途に合わせて独自に原稿タイプを作成できる。これにより,あらかじめMFP100に記録されている原稿タイプのほか,ユーザ独自の原稿タイプを選択することができる。
【0037】
図6は,原稿タイプを新規に追加する登録画面(原稿タイプ追加手段の一例)の一例を示している。登録画面は,ユーザが操作部17を操作することによって表示される。原稿タイプを追加するには,データベース140に記録すべき情報として,新たな原稿タイプの名称と,基準量とを入力する。基準量については,操作部16から数値を入力するほか,スキャナ部120にて実際に原稿を読み取らせてもよい。
【0038】
新しい原稿タイプが追加されると,図7に示すように,選択画面の原稿タイプの一覧に当該原稿タイプが追加される。これにより,ユーザはその新しい原稿タイプを選択することができ,特定の用途に合ったソートコピー枚数の表示が可能になる。
【0039】
また,データベース140には,新しい原稿タイプについてのレコードが追加される。このとき,新しく追加した原稿タイプは,データベース140の最終レコードに追加され,新しい原稿タイプの名称,基準量が記録される。追加した原稿タイプは,次回のソートコピー時には始めから選択画面の一覧に表示される。
【0040】
[ソートコピー処理]
[第1の形態]
続いて,MFP100のソートコピー処理について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,操作部17にてユーザがソートコピーを行うことを選択した際に実行される。また,あらかじめ,スキャナ部120のADF22には,原稿が載置されているものとする。
【0041】
まず,原稿タイプを選択させる選択画面(図4参照)を表示部16に表示する(S100)。選択画面を表示する際には,ユーザにユーザIDを入力させる。そして,データベース140を参照し,原稿タイプの一覧を表示する。
【0042】
次に,ユーザによって原稿タイプが選択される(S101)。原稿タイプは,データベース140に記録されている原稿タイプから選択してもよいし,新たに原稿タイプを作成し,その原稿タイプを選択してもよい。
【0043】
次に,選択された原稿タイプについて,ソートコピーが可能な目安枚数を表示する(S102)。図9は,S102の処理のソートコピー可能枚数表示処理の手順を示している。まず,選択された原稿タイプの基準量をデータベース140から取得する(S121)。次に,ソートコピーが可能な目安枚数を算出する(S122:設定手段の一例)。目安枚数は,次の式(I)から求められる。
目安枚数=空き容量/(k×基準量) (I)
式(I)中のkは,画質等による重み付けを行うための係数である。また,「空き容量」は,画像データを記憶可能な記憶領域の空き容量である。次に,算出したソートコピー可能枚数を表示部16に表示する(S123:表示手段の一例)。これにより,ユーザは,選択した原稿タイプに適したソートコピー可能枚数を認識できる。
【0044】
図8のフローチャートに戻り,ソートコピーを行うか否かをユーザに問い合わせる(S103)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。すなわち,MFP100としては,ソートコピーが可能な目安枚数(ソートコピー可能枚数)を表示したとしても,実際の原稿の枚数は認識していない。そのため,ユーザ自身が,表示されたソートコピー可能枚数を基に原稿の読み取り開始の是非を判断し,MFP100に指示する。
【0045】
ソートコピーを行わないことが指示された場合には(S103:NO),原稿タイプの再設定を行うか否かを判断する(S111)。再設定を行う場合には(S111:YES),S100の処理に戻り,原稿タイプの選択をやり直す。一方,再設定を行わない場合には(S111:NO),本処理を終了する。
【0046】
ソートコピーを行うことが指示された場合には(S103:YES),スキャナ部120によって1ページずつ原稿が読み取られる(S104)。そして,最終ページの読み取りが終了したか否かを判断し(S105),最終ページでなければ(S105:NO),S104の処理に戻り,原稿の読み取りを繰り返す。最終ページであれば(S105:YES),印刷処理を実行する(S106)。印刷処理では,ユーザが所望する部数の印刷が行われる。
【0047】
次に,印刷を行った今回の原稿の1ページあたりのデータ量(以下,「今回のデータ量」とする)を算出する(S107:取得手段の一例)。そして,その今回のデータ量を基に,選択されている原稿タイプの基準量を更新する(S108:基準量設定手段の一例)。S108の処理後,本処理を終了する。
【0048】
ここで,S108の基準量更新処理について,図10のフローチャートを参照しつつ詳説する。まず,更新処理回数がN回以下(本形態ではN=10回とする)であるか否かを判断する(S141:制限手段の一例)。更新回数は,原稿タイプごとにデータベース140に記録されており(図5参照),データベース140から取得される。
【0049】
更新回数がN回より大きい場合には(S141:NO),更新処理を行わずに本処理を終了する。すなわち,基準量は,初期段階では変動するが,回数を重ねるごとにその変動量が小さくなる。そのため,ある程度の回数を重ねると,更新処理を繰り返しても殆ど変化がない。そこで,更新回数がN回を超えた後は,更新処理をバイパスする。これにより,ユーザにとってソートコピーの度に更新を問い合わせられること(後述のS142の処理等)の煩わしさから解放される。
【0050】
更新回数がN回以下の場合には(S141:YES),基準量を更新するか否かをユーザに問い合わせる(S142)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが更新を指示しなかった場合には(S142:NO),更新処理を行わずに本処理を終了する。
【0051】
ユーザが更新を指示した場合には(S142:YES),今回のデータ量が規定範囲内であるか否かを判断する(S143:第1判断手段の一例)。規定範囲は,基準量を基に設定される。本形態では,基準量の1/2から基準量までの範囲を規定範囲とする。すなわち,今回のデータ量が基準量の1/2よりも小さいと,基準量との差異が大きく,ソートコピー可能枚数として表示した枚数と実際のソートコピー可能枚数との差が大きい。また,今回のデータ量が基準量より大きいと,実際の原稿枚数がソートコピー可能枚数として表示した枚数以下であったとしてもソートコピーを実行できない場合が生じる。つまり,イレギュラーな値を基準値に反映すると,データの正確性を低下させ,ユーザに不信感を抱かせる。そこで,S143の処理では,今回のデータ量がイレギュラーな値であるか否かを判断する。
【0052】
今回のデータ量が規定範囲内の場合には(S143:YES),今回のデータ量を基に新たな基準量を算出する(S144)。具体的には,次の式(II)によって基準量を算出する。
基準量=(更新回数×基準量+今回のデータ量)/(更新回数+1) (II)
【0053】
その後,算出された基準量によって,データベース140に記憶されている基準量を更新する(S145)。なお,基準量の算出方法は,上記の方法に限るものではない。例えば,原稿タイプごとにN回分のデータ量を記憶するバッファをNVRAM34に用意する。そして,今回のデータ量をそのバッファに記憶し,そのバッファに記憶されているデータ量の平均値を新しい基準値としてもよい。S144の処理後,更新回数に1を加算し(S146),本処理を終了する。
【0054】
一方,今回のデータ量が規定範囲外の場合には(S143:NO),今回のデータ量がイレギュラーな値である旨を通知するとともに,今回のデータ量を基に更新するか否かをユーザに問い合わせる(S151:問い合わせ手段の一例)。通知および問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが更新を指示した場合には(S151:YES),S144の処理に移行して更新処理を行う。
【0055】
ユーザが更新を指示しなかった場合には(S151:NO),新しい原稿タイプを作成するか否かをユーザに問い合わせる(S152)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが原稿タイプの新規作成を指示した場合には(S152:YES),原稿タイプの作成を行う(S153:第1追加手段の一例)。
【0056】
図11は,S153での原稿タイプの作成処理の手順を示している。S153の処理では,まず,データベース140にレコードを追加する(S181)。そして,ユーザに原稿タイプの名称の入力を促し,入力された名称をデータベース140に登録する(S182)。そして,今回のデータ量を基準量としてデータベース140に登録する(S183)。これにより,今回のデータ量を基準とする新しい原稿タイプが登録される。
【0057】
原稿タイプの作成(S153)後,あるいはユーザが原稿タイプの新規作成を指示しなかった場合には(S152:NO),原稿タイプの作成および基準値の更新を行わずに,本処理を終了する。
【0058】
すなわち,第1の形態では,今回のデータ量と過去のデータ量とから基準量の再計算を行っている。つまり,印刷処理の度に基準量を更新し,基準量を最適な値に近づける学習機能を実現している。これにより,ソートコピーの度に最適化され,より正確なソートコピー枚数が表示される。また,イレギュラーな値を基準値に反映させないことができ,基準値の正確性の低下が抑制される。また,イレギュラーな値を基準値に反映させることもでき,さらにはイレギュラーな値で新たな原稿タイプを作成することもでき,基準量の設定の自由度が高い。
【0059】
[第2の形態]
続いて,MFP100のソートコピー処理の別の手順について説明する。第2の形態では,データ量の履歴を記録し,その履歴情報を基に基準量の設定する点が第1の形態と異なる。
【0060】
本形態では,過去のソートコピー時のデータ量を原稿タイプごとに記憶するデータベース141(履歴記憶手段の一例)がNVRAM34に設けられている。図12は,データベース141の登録例を示している。データベース141には,少なくとも1回目からM回目(本形態ではM=10回とする)までのデータ量と,登録番号とが1つのレコードとして記録される。データベース141の登録番号は,データベース140の登録番号と関連付けられている。
【0061】
例えば,図12に示したデータベース141の登録番号3の原稿タイプ(「A4 テキスト+グラフィック」)では,基準量である30KB付近の原稿と,10KB付近の原稿と,少なくとも2種類の原稿があったことが推測される。このようなケースは,グラフィックデータを多用するユーザと,グラフィックデータを殆ど使用しないユーザが同じ原稿タイプを選択している場合等で生じる。そこで,本形態では,10KB付近の原稿についての新たな原稿タイプの追加をユーザに選択させる。
【0062】
以下,第2の形態のソートコピー処理について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態のソートコピー処理は,図8に示した第1の形態のソートコピー処理と,S108の処理を除いて同様である。そして,S108の基準量処理を図13の原稿タイプ追加判断処理に入れ替えたものが本形態のソートコピー処理に相当する。そのため,第1の形態と同様の処理については説明を省略し,原稿タイプ追加判断処理について説明する。
【0063】
原稿タイプ追加判断処理では,まず,今回のデータ量をデータベース141に記録する(S241)。次に,今回のデータ量が規定範囲外であるか否かを判断する(S242)。ここでいう規定範囲は,図10のS142の処理で説明した規定範囲と同様の範囲が適用可能である。今回のデータ量が規定範囲外でなければ(S242:NO),本処理を終了する。
【0064】
一方,今回のデータ量が規定範囲外であれば(S242:YES),データベース141に記録されている過去10回分のデータ量のうち,今回のデータ量と等しいものがL回以上(第2判断手段における閾値の一例。本形態ではL=4)あるか否かを判断する(S243:第2判断手段の一例)。ここでいうデータ量が等しいとは厳密なものではなく,例えば今回のデータ量から±10%の範囲内というようにある一定の範囲内であれば等しいと判断する。すなわち,S243の処理では,イレギュラーとして抽出されたデータ量から,さらに今回のデータ量と同じようなデータ量を抽出する。
【0065】
例えば,図12に示したデータベース141の登録番号3の原稿タイプの例では,今回のデータ量(10回目のデータ量)が10KBであり,基準値(30KB)の規定範囲外となる。そして,記録されている10個のデータ量のうち,今回のデータ量と同じグループと推測されるデータ量として5つのデータ量(3,5,7,9,10回目)が抽出される。そのため,S243の判断はYESと判断される。
【0066】
L回以上のデータ量が抽出されなかった場合には(S243:NO),特徴的なデータではないと判断でき,本処理を終了する。一方,L回以上のデータ量が抽出された場合には(S243:YES),原稿タイプが適切でない旨,および今回のデータ量を基に新しい原稿タイプの作成を推奨する旨の通知を行う(S244)。通知手段としては,表示部16へのメッセージ表示が適用可能である。さらに,原稿タイプの追加を推奨した後,今回のデータ量を基に原稿タイプを追加するか否かをユーザに問い合わせる(S245)。
【0067】
次に,ユーザが原稿タイプの新規作成を指示した場合には(S245:YES),原稿タイプの作成を行う(S246:第2追加手段の一例)。原稿タイプの作成は,図11の原稿タイプ作成処理と同様の手順で行う。S246の処理後,あるいはユーザが原稿タイプの新規作成を指示しなかった場合には(S245:NO),本処理を終了する。
【0068】
第2の形態では,データ量の履歴を基に同一の原稿タイプと推測されるデータ量を抽出し,そのデータ量群に適した原稿タイプを作成を促している。これにより,原稿タイプを新たに作成したユーザ(図12の例では,原稿1枚あたりのデータ量が10KB付近のグラフィックデータを殆ど使用しないユーザ)にとっては,その後のソートコピーの際に,より正確なソートコピー枚数を知ることができる。また,同じようなデータ量であってイレギュラーなデータ量となる原稿原稿タイプにてソートコピーを繰り返すユーザに対し,新たな原稿タイプの作成,あるいは異なる原稿タイプの選択を促すことができる。
【0069】
以上詳細に説明したように本実施の形態のMFP100は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備え,データベース140に原稿タイプごとの基準量を記憶している。そして,ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を設定している。そして,その基準量は,画像処理(原稿読取処理や印刷処理等)を行った後に取得される最新のデータ量(今回のデータ量)を基に,更新あるいは新たな原稿タイプの設定がなされる。つまり,基準量は,ユーザの使用状況に応じて変動する。これにより,ユーザの使用状況に適した正確な基準量を取得することができ,結果としてより正確なソートコピー枚数を表示することができる。
【0070】
また,本実施の形態のMFP100は,ユーザ独自の原稿タイプを追加することができる。すなわち,特定の使用に適した基準量を設定できる。そのため,ユーザの利用状況に合わせて,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0071】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,ソート機能を有する画像形成装置であればよく,複写機であっても適用可能である。また,画像形成部の画像形成方式は,電子写真方式に限らず,インクジェット方式であってもよい。
【0072】
また,実施の形態では,MFPが始めから用意した原稿タイプと,ユーザが後から追加した原稿タイプとを区別することなく更新しているが,これらを区別してもよい。例えば,第1の形態では,ユーザが後から追加した原稿タイプのみを更新の対象としてもよい。また,第2の形態では,MFPに始めから設定されている原稿タイプのみを対象として原稿タイプ追加判断を行うとしてもよい。
【0073】
また,実施の形態では,原稿タイプの選択の際に,登録されている原稿タイプをすべて表示しているが,ユーザによって区別してもよい。すなわち,新しい原稿タイプを作成する際に,その原稿タイプのレコードにユーザIDを記録し,原稿タイプの一覧を表示する前にユーザIDを問い合わせ,ユーザIDを参照して原稿タイプを表示してもよい。また,データベースは,ユーザIDごとに設けてもよい。
【0074】
また,実施の形態では,第1の形態にて今回のデータ量が規定範囲外である場合や,第2の形態にて同じデータ量となるデータが所定以上ある場合に,原稿タイプを追加することを問い合わせた上で新しい原稿を作成しているが,必ずしも問い合わせる必要はなく,強制的に原稿タイプを追加するとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態にかかるMFPの概略構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態にかかるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ソートコピー可能枚数を含むソートコピーの設定内容表示画面の一例を示す図である。
【図4】原稿タイプを選択する選択画面の一例を示す図である。
【図5】原稿タイプの名称および基準量を記録するデータベースの一例を示す図である。
【図6】原稿タイプを登録する登録画面の一例を示す図である。
【図7】新しい原稿タイプを登録した後の選択画面の一例を示す図である。
【図8】第1の形態にかかるMFPのソートコピー処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の形態にかかるソートコピー処理中のソートコピー可能枚数表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第1の形態にかかるソートコピー処理中の基準量更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の形態にかかる基準量更新処理中の原稿タイプ作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第2の形態にかかる1ページあたりのデータサイズの履歴を記録するデータベースの一例を示す図である。
【図13】第2の形態にかかる原稿タイプ作成の判断処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
31 CPU
33 RAM
34 NVRAM
100 MFP
110 画像形成部
120 スキャナ部
140 データベース
150 プロセス部
【技術分野】
【0001】
本発明は,ソート機能を有する画像形成装置に関する。さらに詳細には,原稿サイズや原稿モードに応じて原稿タイプが設定され,原稿タイプごとにソート可能枚数を表示する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,複写機等の画像形成装置には,複数枚の原稿の画像を読み取り,それらの画像データをRAM等の内部メモリに一旦記憶し,その内部メモリから任意の画像データを繰り返し読み出して画像形成を行う,いわゆるソート機能を有するものがある。ソート機能を有する画像形成装置は,ソートビンを複数持たなくても,印刷後の用紙を並べかえた状態で排紙することができる。
【0003】
ソート機能を有する画像形成装置では,画像データを内部メモリに記憶していく際に,その記憶容量が満杯となるメモリフルが発生するおそれがある。メモリフルとなると,その印刷ジョブをキャンセルするか,記憶した画像データに対してだけのソートを行うことになり,ユーザが希望するソートを実行することができない。
【0004】
そこで,例えば特許文献1には,原稿サイズ(A4,B5等)や原稿モード(文字,文字/写真,写真)に応じて基準量を設定し,ユーザが原稿サイズないし原稿モードを選択すると,その条件に適したソート可能枚数を表示し,ソート処理が実施可能な目安を表示する画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−46493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1に設定される基準量は,あくまでも一般的な原稿のデータ量の目安であり,その値は条件ごとに設定された固定値である。そのため,ソート処理が実施可能な実際の枚数とに差が生じることがある。
【0006】
例えば,「A4,文字/写真原稿」という枠組みの中でも,ユーザAは写真を多用し,ユーザBは殆ど写真を利用しない場合,ユーザAの原稿の1枚あたりのデータ量とユーザBの原稿の1枚あたりのデータ量とでは大きな差がある。あらかじめ設定される基準量は,メモリフルを生じさせないように,ユーザAのデータ量に近い値が設定されることが多い。そのため,ユーザBにとっては,実際にソート処理が可能な枚数と目安として表示される枚数とに大きな差がある。従って,ユーザBにとっては,ソート機能を十分に活用できない。
【0007】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ソート機能を利用するにあたって,より正確なソート処理可能枚数を表示することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,ソート機能を有する画像形成装置であって,原稿タイプごとに,原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶する記憶手段と,基準量を基にソート処理可能な枚数を設定する設定手段と,設定手段によって設定された枚数を表示する表示手段と,画像形成処理を行った原稿の1枚あたりのデータ量を取得する取得手段と,データ量を基に,基準量を設定する基準量設定手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の画像形成装置は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備えている。また,本発明の画像形成装置は,記憶手段によって,原稿タイプごとに原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶している。ソート機能を利用した画像処理を行う際には,原稿タイプを選択する。そして,ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を設定する。
【0010】
そして,本発明の画像形成装置では,画像処理(例えば,原稿読取処理や印刷処理)を行った後に取得される最新のデータ量(今回のデータ量)を基に,新たな基準量が設定される。新たな基準量の設定には,新しい原稿タイプの作成や,既存の原稿タイプに含まれる基準量の更新が該当する。
【0011】
すなわち,本発明の画像形成装置では,今回のデータ量を基に,その原稿タイプに適した基準量を設定する。つまり,基準量は,ユーザの使用状況に応じて変動する。これにより,ユーザの使用状況に適した正確な基準量を取得することができ,結果としてより正確なソートコピー枚数を表示することができる。
【0012】
また,本発明の画像形成装置は,基準量を取得し,記憶手段に新しい原稿タイプを追加する原稿タイプ追加手段を備えるとよりよい。基準量の取得方法は,ユーザによる数値入力であってもよいし,原稿の読み取りであってもよい。すなわち,ユーザ自身によって原稿タイプを追加できることで,特定の使用に適した基準量を設定できる。そのため,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0013】
また,本発明の画像形成装置の基準量設定手段は,データ量と基準量とを基に新たな基準量を算出し,算出した基準量によって記憶手段に記憶された基準量を更新するとよりよい。すなわち,今回のデータ量を基に新たな基準量が算出され,記憶手段の基準量が更新される。これにより,画像形成処理の度に適切な基準量に近づけることができる。
【0014】
また,上記の画像形成装置は,データ量が基準量を基に規定される範囲の範囲内であるか否かを判断する第1判断手段を備え,基準量設定手段は,第1判断手段が範囲内であると判断した場合に,基準量を更新するとよりよい。すなわち,イレギュラーな値を基準量に反映するとその値が大きく変動し,正確性を欠くことになる。そこで,基準量を基に許容範囲を設定することで,基準値の精度の低下を防止することができる。
【0015】
また,上記の画像形成装置は,第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,判断対象となったデータ量を基に基準量を更新するか否かを問い合わせる問い合わせ手段を備え,基準量設定手段は,問い合わせ手段にて更新することが指示された場合に,基準量を更新するとよりよい。すなわち,イレギュラーな値を基準量に反映するか否かをユーザに問い合わせることで,基準量の更新時の自由度が向上する。
【0016】
また,上記の画像形成装置は,第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,第1判断手段の判断対象となったデータ量を基に,記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第1追加手段とを備えるとよりよい。すなわち,イレギュラーな値が検出された場合に,新たな原稿タイプを作成可能とする。これにより,その後にそのイレギュラーな原稿に類似した原稿の画像処理の際に,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0017】
また,本発明の画像形成装置は,基準量設定手段による基準量の更新の回数を制限する制限手段を備えるとよりよい。すなわち,更新回数が増えるほど基準値は最適化され,その値は変動しない傾向にある。そこで,更新の回数を制限することで,煩雑な更新作業を回避し,ユーザの利便性が向上する。
【0018】
また,本発明の画像形成装置は,原稿タイプごとに,データ量の履歴情報を記憶する履歴記憶手段と,履歴記憶手段に記憶される各データ量のうち,基準量と取得手段にて取得されたデータ量との少なくとも一方を基に規定される範囲内であるデータ量を抽出し,抽出されたデータ量の数が閾値よりも多いか否かを判断する第2判断手段と,第2判断手段にて多いと判断された場合に,第2判断手段にて抽出されたデータ量を基に,記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第2追加手段とを備えるとよりよい。すなわち,データ量の履歴を基に同一の原稿タイプと判断できるデータ量を抽出し,そのデータ量群に適した原稿タイプを作成する。これにより,その後にその原稿タイプに適した原稿の画像処理の際に,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,ソート機能を利用するにあたって,より正確なソート処理可能枚数を表示することができる画像形成装置が実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,スキャナ機能,プリント機能を備えた複合機(MFP)に本発明を適用したものである。
【0021】
[MFPの全体構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部110と,原稿の画像を読み取るスキャナ部120とを備えている。また,スキャナ部120の前面側には,液晶ディスプレイからなる表示部16と,各種のボタン等を備えた操作部17とが設けられ,この操作部17により動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0022】
画像形成部110は,周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり,ハウジング9内に収容されている。画像形成部110は,画像データを基にレーザ光Lを点滅照射する露光装置3と,トナー像を形成するプロセス部150と,未定着のトナー像を定着させる定着装置8と,画像形成前の用紙を載置する給紙カセット91および給紙トレイ92と,画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ93とを備えている。
【0023】
プロセス部150は,感光体ドラム1と,感光体ドラム1の表面を一様に帯電する帯電装置2と,感光体ドラム1の表面上に形成された静電潜像に対してトナーによる現像を行う現像装置4と,感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写させる転写装置5とを有している。感光体ドラム1,帯電装置2,現像装置4,および転写装置5は,プロセスカートリッジとして構成され,装置本体に対して着脱可能になっている。
【0024】
プロセス部150では,感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。その後,露光装置3からのレーザ光Lにより露光され,用紙に形成すべき画像の静電潜像が感光体ドラム1の表面上に形成される。次いで,現像装置4を介して,トナーが感光体ドラム1に供給される。これにより,感光体ドラム1上の静電潜像は,トナー像として可視像化される。
【0025】
画像形成部110内には,底部に位置する給紙カセット91に収容された用紙が,給紙ローラ73,プロセス部150,定着装置8を通り,排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ93への導かれるように,略S字形状の搬送経路71が設けられている。また,給紙トレイ92に載置された用紙を,給紙ローラ72を介してプロセス部150に導く搬送路も設けられている。すなわち,画像形成部110は,給紙カセット91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し,その用紙をプロセス部150に搬送し,プロセス部50にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。さらに,トナー像が転写された用紙を定着装置8に搬送し,トナー像をその用紙に熱定着させる。そして,定着後の用紙を排紙トレイ93に排出する。
【0026】
スキャナ部120は,原稿の画像を読み取るイメージセンサ21と,原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder:自動原稿供給装置)22と,透明なプラテンガラス23とを備えている。
【0027】
スキャナ部120での原稿の読取方式としては,フラットベッド(原稿固定走査)方式と,ADF(原稿移動走査)方式とがある。フラットベッド方式の場合,原稿を1枚ずつプラテンガラス23上に載置する。その状態で,イメージセンサ21が副走査方向(主走査方向に直交方向,図1の左右方向)に移動し,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。一方,ADF方式の場合,原稿を纏めてADFの原稿トレイに載置する。そして,原稿がイメージセンサ21に対向する位置に搬送され,その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。
【0028】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図2に示すように,CPU31(設定手段,表示手段,取得手段,基準量設定手段,原稿タイプ追加手段,第1判断手段,問い合わせ手段,第1追加手段,制限手段,第2判断手段,第2追加手段の一例)と,ROM32と,RAM33と,不揮発性メモリ(NVRAM)34(記憶手段,履歴記憶手段の一例)と,ASIC35と,ネットワークインターフェース36と,FAXインターフェース37とを備えた制御装置30を有している。
【0029】
CPU31は,MFP100におけるスキャン機能,プリント機能,FAX通信機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段(Non Volatile RAM)であって,各種設定ないし画像データ等を保存するものである。
【0030】
ASIC35は,画像形成部110,スキャナ部120,表示部16,操作部17,時計18等と電気的に接続されている。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33やNVRAM34に記憶させながら,ASIC35を介してMFP100の各構成要素を制御する。
【0031】
ネットワークインターフェース36には,パーソナルコンピュータ(PC)等の情報機器が接続され,このネットワークインターフェース36を介して情報機器との相互のデータ通信が可能になっている。FAXインターフェース37には,ファクシミリ通信を行うためのものであり,電話回線に接続される。具体的にFAXインターフェース37は,NCUやモデム等によって構成される。
【0032】
[MFPの機能]
続いて,MFP100の基本機能(スキャン機能,プリント機能,FAX通信機能)以外の機能について説明する。MFP100は,スキャナ部120にて複数枚の原稿の画像を読み取り,それらの画像データをRAM33に一旦記憶し,RAM33から画像データを繰り返し読み出して画像形成部110によって印刷を行うソート機能を有している。
【0033】
また,MFP100は,ソートコピーの付属機能として,ソートコピーの可能枚数の目安を表示する機能を有している。本形態では,ソートコピー可能枚数は,図3に示すように,コピー設定(画質や倍率)を表示する設定画面に表示される。ソートコピー可能枚数は,NVRAM34の空き容量によって異なる。
【0034】
また,ソートコピーの可能枚数は,原稿のサイズや原稿の情報によっても異なる。そのため,MFP100には,原稿タイプが登録されており,ソートコピーの可能枚数を表示するに際し,ユーザに原稿タイプを選択させる。図4は,原稿タイプの選択画面の一例を示しており,登録されている原稿タイプが一覧表示され,現在選択されている原稿タイプが反転表示される。
【0035】
MFP100のNVRAM34は,原稿タイプの詳細情報を記録するデータベース140(記憶手段の一例)を備えている。図5は,データベース140の登録例を示している。データベース140には,少なくとも原稿タイプの名称と,1ページあたりのデータ量(基準量)と,更新回数と,登録番号とが1つのレコードとして記録される。更新回数は,初期値として1が記録され,基準量を更新する度に1ずつ加算される。
【0036】
また,MFP100は,新たに原稿タイプを追加する機能を有している。すなわち,ユーザは,特定の用途に合わせて独自に原稿タイプを作成できる。これにより,あらかじめMFP100に記録されている原稿タイプのほか,ユーザ独自の原稿タイプを選択することができる。
【0037】
図6は,原稿タイプを新規に追加する登録画面(原稿タイプ追加手段の一例)の一例を示している。登録画面は,ユーザが操作部17を操作することによって表示される。原稿タイプを追加するには,データベース140に記録すべき情報として,新たな原稿タイプの名称と,基準量とを入力する。基準量については,操作部16から数値を入力するほか,スキャナ部120にて実際に原稿を読み取らせてもよい。
【0038】
新しい原稿タイプが追加されると,図7に示すように,選択画面の原稿タイプの一覧に当該原稿タイプが追加される。これにより,ユーザはその新しい原稿タイプを選択することができ,特定の用途に合ったソートコピー枚数の表示が可能になる。
【0039】
また,データベース140には,新しい原稿タイプについてのレコードが追加される。このとき,新しく追加した原稿タイプは,データベース140の最終レコードに追加され,新しい原稿タイプの名称,基準量が記録される。追加した原稿タイプは,次回のソートコピー時には始めから選択画面の一覧に表示される。
【0040】
[ソートコピー処理]
[第1の形態]
続いて,MFP100のソートコピー処理について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。本処理は,操作部17にてユーザがソートコピーを行うことを選択した際に実行される。また,あらかじめ,スキャナ部120のADF22には,原稿が載置されているものとする。
【0041】
まず,原稿タイプを選択させる選択画面(図4参照)を表示部16に表示する(S100)。選択画面を表示する際には,ユーザにユーザIDを入力させる。そして,データベース140を参照し,原稿タイプの一覧を表示する。
【0042】
次に,ユーザによって原稿タイプが選択される(S101)。原稿タイプは,データベース140に記録されている原稿タイプから選択してもよいし,新たに原稿タイプを作成し,その原稿タイプを選択してもよい。
【0043】
次に,選択された原稿タイプについて,ソートコピーが可能な目安枚数を表示する(S102)。図9は,S102の処理のソートコピー可能枚数表示処理の手順を示している。まず,選択された原稿タイプの基準量をデータベース140から取得する(S121)。次に,ソートコピーが可能な目安枚数を算出する(S122:設定手段の一例)。目安枚数は,次の式(I)から求められる。
目安枚数=空き容量/(k×基準量) (I)
式(I)中のkは,画質等による重み付けを行うための係数である。また,「空き容量」は,画像データを記憶可能な記憶領域の空き容量である。次に,算出したソートコピー可能枚数を表示部16に表示する(S123:表示手段の一例)。これにより,ユーザは,選択した原稿タイプに適したソートコピー可能枚数を認識できる。
【0044】
図8のフローチャートに戻り,ソートコピーを行うか否かをユーザに問い合わせる(S103)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。すなわち,MFP100としては,ソートコピーが可能な目安枚数(ソートコピー可能枚数)を表示したとしても,実際の原稿の枚数は認識していない。そのため,ユーザ自身が,表示されたソートコピー可能枚数を基に原稿の読み取り開始の是非を判断し,MFP100に指示する。
【0045】
ソートコピーを行わないことが指示された場合には(S103:NO),原稿タイプの再設定を行うか否かを判断する(S111)。再設定を行う場合には(S111:YES),S100の処理に戻り,原稿タイプの選択をやり直す。一方,再設定を行わない場合には(S111:NO),本処理を終了する。
【0046】
ソートコピーを行うことが指示された場合には(S103:YES),スキャナ部120によって1ページずつ原稿が読み取られる(S104)。そして,最終ページの読み取りが終了したか否かを判断し(S105),最終ページでなければ(S105:NO),S104の処理に戻り,原稿の読み取りを繰り返す。最終ページであれば(S105:YES),印刷処理を実行する(S106)。印刷処理では,ユーザが所望する部数の印刷が行われる。
【0047】
次に,印刷を行った今回の原稿の1ページあたりのデータ量(以下,「今回のデータ量」とする)を算出する(S107:取得手段の一例)。そして,その今回のデータ量を基に,選択されている原稿タイプの基準量を更新する(S108:基準量設定手段の一例)。S108の処理後,本処理を終了する。
【0048】
ここで,S108の基準量更新処理について,図10のフローチャートを参照しつつ詳説する。まず,更新処理回数がN回以下(本形態ではN=10回とする)であるか否かを判断する(S141:制限手段の一例)。更新回数は,原稿タイプごとにデータベース140に記録されており(図5参照),データベース140から取得される。
【0049】
更新回数がN回より大きい場合には(S141:NO),更新処理を行わずに本処理を終了する。すなわち,基準量は,初期段階では変動するが,回数を重ねるごとにその変動量が小さくなる。そのため,ある程度の回数を重ねると,更新処理を繰り返しても殆ど変化がない。そこで,更新回数がN回を超えた後は,更新処理をバイパスする。これにより,ユーザにとってソートコピーの度に更新を問い合わせられること(後述のS142の処理等)の煩わしさから解放される。
【0050】
更新回数がN回以下の場合には(S141:YES),基準量を更新するか否かをユーザに問い合わせる(S142)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが更新を指示しなかった場合には(S142:NO),更新処理を行わずに本処理を終了する。
【0051】
ユーザが更新を指示した場合には(S142:YES),今回のデータ量が規定範囲内であるか否かを判断する(S143:第1判断手段の一例)。規定範囲は,基準量を基に設定される。本形態では,基準量の1/2から基準量までの範囲を規定範囲とする。すなわち,今回のデータ量が基準量の1/2よりも小さいと,基準量との差異が大きく,ソートコピー可能枚数として表示した枚数と実際のソートコピー可能枚数との差が大きい。また,今回のデータ量が基準量より大きいと,実際の原稿枚数がソートコピー可能枚数として表示した枚数以下であったとしてもソートコピーを実行できない場合が生じる。つまり,イレギュラーな値を基準値に反映すると,データの正確性を低下させ,ユーザに不信感を抱かせる。そこで,S143の処理では,今回のデータ量がイレギュラーな値であるか否かを判断する。
【0052】
今回のデータ量が規定範囲内の場合には(S143:YES),今回のデータ量を基に新たな基準量を算出する(S144)。具体的には,次の式(II)によって基準量を算出する。
基準量=(更新回数×基準量+今回のデータ量)/(更新回数+1) (II)
【0053】
その後,算出された基準量によって,データベース140に記憶されている基準量を更新する(S145)。なお,基準量の算出方法は,上記の方法に限るものではない。例えば,原稿タイプごとにN回分のデータ量を記憶するバッファをNVRAM34に用意する。そして,今回のデータ量をそのバッファに記憶し,そのバッファに記憶されているデータ量の平均値を新しい基準値としてもよい。S144の処理後,更新回数に1を加算し(S146),本処理を終了する。
【0054】
一方,今回のデータ量が規定範囲外の場合には(S143:NO),今回のデータ量がイレギュラーな値である旨を通知するとともに,今回のデータ量を基に更新するか否かをユーザに問い合わせる(S151:問い合わせ手段の一例)。通知および問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが更新を指示した場合には(S151:YES),S144の処理に移行して更新処理を行う。
【0055】
ユーザが更新を指示しなかった場合には(S151:NO),新しい原稿タイプを作成するか否かをユーザに問い合わせる(S152)。問い合わせは,表示部16へのメッセージ表示等によって行う。ユーザが原稿タイプの新規作成を指示した場合には(S152:YES),原稿タイプの作成を行う(S153:第1追加手段の一例)。
【0056】
図11は,S153での原稿タイプの作成処理の手順を示している。S153の処理では,まず,データベース140にレコードを追加する(S181)。そして,ユーザに原稿タイプの名称の入力を促し,入力された名称をデータベース140に登録する(S182)。そして,今回のデータ量を基準量としてデータベース140に登録する(S183)。これにより,今回のデータ量を基準とする新しい原稿タイプが登録される。
【0057】
原稿タイプの作成(S153)後,あるいはユーザが原稿タイプの新規作成を指示しなかった場合には(S152:NO),原稿タイプの作成および基準値の更新を行わずに,本処理を終了する。
【0058】
すなわち,第1の形態では,今回のデータ量と過去のデータ量とから基準量の再計算を行っている。つまり,印刷処理の度に基準量を更新し,基準量を最適な値に近づける学習機能を実現している。これにより,ソートコピーの度に最適化され,より正確なソートコピー枚数が表示される。また,イレギュラーな値を基準値に反映させないことができ,基準値の正確性の低下が抑制される。また,イレギュラーな値を基準値に反映させることもでき,さらにはイレギュラーな値で新たな原稿タイプを作成することもでき,基準量の設定の自由度が高い。
【0059】
[第2の形態]
続いて,MFP100のソートコピー処理の別の手順について説明する。第2の形態では,データ量の履歴を記録し,その履歴情報を基に基準量の設定する点が第1の形態と異なる。
【0060】
本形態では,過去のソートコピー時のデータ量を原稿タイプごとに記憶するデータベース141(履歴記憶手段の一例)がNVRAM34に設けられている。図12は,データベース141の登録例を示している。データベース141には,少なくとも1回目からM回目(本形態ではM=10回とする)までのデータ量と,登録番号とが1つのレコードとして記録される。データベース141の登録番号は,データベース140の登録番号と関連付けられている。
【0061】
例えば,図12に示したデータベース141の登録番号3の原稿タイプ(「A4 テキスト+グラフィック」)では,基準量である30KB付近の原稿と,10KB付近の原稿と,少なくとも2種類の原稿があったことが推測される。このようなケースは,グラフィックデータを多用するユーザと,グラフィックデータを殆ど使用しないユーザが同じ原稿タイプを選択している場合等で生じる。そこで,本形態では,10KB付近の原稿についての新たな原稿タイプの追加をユーザに選択させる。
【0062】
以下,第2の形態のソートコピー処理について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,本形態のソートコピー処理は,図8に示した第1の形態のソートコピー処理と,S108の処理を除いて同様である。そして,S108の基準量処理を図13の原稿タイプ追加判断処理に入れ替えたものが本形態のソートコピー処理に相当する。そのため,第1の形態と同様の処理については説明を省略し,原稿タイプ追加判断処理について説明する。
【0063】
原稿タイプ追加判断処理では,まず,今回のデータ量をデータベース141に記録する(S241)。次に,今回のデータ量が規定範囲外であるか否かを判断する(S242)。ここでいう規定範囲は,図10のS142の処理で説明した規定範囲と同様の範囲が適用可能である。今回のデータ量が規定範囲外でなければ(S242:NO),本処理を終了する。
【0064】
一方,今回のデータ量が規定範囲外であれば(S242:YES),データベース141に記録されている過去10回分のデータ量のうち,今回のデータ量と等しいものがL回以上(第2判断手段における閾値の一例。本形態ではL=4)あるか否かを判断する(S243:第2判断手段の一例)。ここでいうデータ量が等しいとは厳密なものではなく,例えば今回のデータ量から±10%の範囲内というようにある一定の範囲内であれば等しいと判断する。すなわち,S243の処理では,イレギュラーとして抽出されたデータ量から,さらに今回のデータ量と同じようなデータ量を抽出する。
【0065】
例えば,図12に示したデータベース141の登録番号3の原稿タイプの例では,今回のデータ量(10回目のデータ量)が10KBであり,基準値(30KB)の規定範囲外となる。そして,記録されている10個のデータ量のうち,今回のデータ量と同じグループと推測されるデータ量として5つのデータ量(3,5,7,9,10回目)が抽出される。そのため,S243の判断はYESと判断される。
【0066】
L回以上のデータ量が抽出されなかった場合には(S243:NO),特徴的なデータではないと判断でき,本処理を終了する。一方,L回以上のデータ量が抽出された場合には(S243:YES),原稿タイプが適切でない旨,および今回のデータ量を基に新しい原稿タイプの作成を推奨する旨の通知を行う(S244)。通知手段としては,表示部16へのメッセージ表示が適用可能である。さらに,原稿タイプの追加を推奨した後,今回のデータ量を基に原稿タイプを追加するか否かをユーザに問い合わせる(S245)。
【0067】
次に,ユーザが原稿タイプの新規作成を指示した場合には(S245:YES),原稿タイプの作成を行う(S246:第2追加手段の一例)。原稿タイプの作成は,図11の原稿タイプ作成処理と同様の手順で行う。S246の処理後,あるいはユーザが原稿タイプの新規作成を指示しなかった場合には(S245:NO),本処理を終了する。
【0068】
第2の形態では,データ量の履歴を基に同一の原稿タイプと推測されるデータ量を抽出し,そのデータ量群に適した原稿タイプを作成を促している。これにより,原稿タイプを新たに作成したユーザ(図12の例では,原稿1枚あたりのデータ量が10KB付近のグラフィックデータを殆ど使用しないユーザ)にとっては,その後のソートコピーの際に,より正確なソートコピー枚数を知ることができる。また,同じようなデータ量であってイレギュラーなデータ量となる原稿原稿タイプにてソートコピーを繰り返すユーザに対し,新たな原稿タイプの作成,あるいは異なる原稿タイプの選択を促すことができる。
【0069】
以上詳細に説明したように本実施の形態のMFP100は,ソート機能およびソート処理可能な目安枚数を表示する機能を備え,データベース140に原稿タイプごとの基準量を記憶している。そして,ソート処理可能な目安枚数を表示する際には,その原稿タイプに対応する基準量を基にソート処理可能な目安枚数を設定している。そして,その基準量は,画像処理(原稿読取処理や印刷処理等)を行った後に取得される最新のデータ量(今回のデータ量)を基に,更新あるいは新たな原稿タイプの設定がなされる。つまり,基準量は,ユーザの使用状況に応じて変動する。これにより,ユーザの使用状況に適した正確な基準量を取得することができ,結果としてより正確なソートコピー枚数を表示することができる。
【0070】
また,本実施の形態のMFP100は,ユーザ独自の原稿タイプを追加することができる。すなわち,特定の使用に適した基準量を設定できる。そのため,ユーザの利用状況に合わせて,より正確なソートコピー枚数を表示できる。
【0071】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,ソート機能を有する画像形成装置であればよく,複写機であっても適用可能である。また,画像形成部の画像形成方式は,電子写真方式に限らず,インクジェット方式であってもよい。
【0072】
また,実施の形態では,MFPが始めから用意した原稿タイプと,ユーザが後から追加した原稿タイプとを区別することなく更新しているが,これらを区別してもよい。例えば,第1の形態では,ユーザが後から追加した原稿タイプのみを更新の対象としてもよい。また,第2の形態では,MFPに始めから設定されている原稿タイプのみを対象として原稿タイプ追加判断を行うとしてもよい。
【0073】
また,実施の形態では,原稿タイプの選択の際に,登録されている原稿タイプをすべて表示しているが,ユーザによって区別してもよい。すなわち,新しい原稿タイプを作成する際に,その原稿タイプのレコードにユーザIDを記録し,原稿タイプの一覧を表示する前にユーザIDを問い合わせ,ユーザIDを参照して原稿タイプを表示してもよい。また,データベースは,ユーザIDごとに設けてもよい。
【0074】
また,実施の形態では,第1の形態にて今回のデータ量が規定範囲外である場合や,第2の形態にて同じデータ量となるデータが所定以上ある場合に,原稿タイプを追加することを問い合わせた上で新しい原稿を作成しているが,必ずしも問い合わせる必要はなく,強制的に原稿タイプを追加するとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態にかかるMFPの概略構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態にかかるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ソートコピー可能枚数を含むソートコピーの設定内容表示画面の一例を示す図である。
【図4】原稿タイプを選択する選択画面の一例を示す図である。
【図5】原稿タイプの名称および基準量を記録するデータベースの一例を示す図である。
【図6】原稿タイプを登録する登録画面の一例を示す図である。
【図7】新しい原稿タイプを登録した後の選択画面の一例を示す図である。
【図8】第1の形態にかかるMFPのソートコピー処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の形態にかかるソートコピー処理中のソートコピー可能枚数表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】第1の形態にかかるソートコピー処理中の基準量更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の形態にかかる基準量更新処理中の原稿タイプ作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】第2の形態にかかる1ページあたりのデータサイズの履歴を記録するデータベースの一例を示す図である。
【図13】第2の形態にかかる原稿タイプ作成の判断処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
31 CPU
33 RAM
34 NVRAM
100 MFP
110 画像形成部
120 スキャナ部
140 データベース
150 プロセス部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソート機能を有する画像形成装置において,
原稿タイプごとに,原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶する記憶手段と,
前記基準量を基にソート処理可能な枚数を設定する設定手段と,
前記設定手段によって設定された枚数を表示する表示手段と,
画像形成処理を行った原稿の1枚あたりのデータ量を取得する取得手段と,
前記データ量を基に,前記基準量を設定する基準量設定手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
基準量を取得し,前記記憶手段に新しい原稿タイプを追加する原稿タイプ追加手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記基準量設定手段は,前記データ量と前記基準量とを基に新たな基準量を算出し,算出した基準量によって前記記憶手段に記憶された基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成装置において,
前記データ量が前記基準量を基に規定される範囲の範囲内であるか否かを判断する第1判断手段を備え,
前記基準量設定手段は,前記第1判断手段が範囲内であると判断した場合に,前記基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載する画像形成装置において,
前記第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,判断対象となったデータ量を基に前記基準量を更新するか否かを問い合わせる問い合わせ手段を備え,
前記基準量設定手段は,前記問い合わせ手段にて更新することが指示された場合に,前記基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載する画像形成装置において,
前記第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,前記第1判断手段の判断対象となったデータ量を基に,前記記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第1追加手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記基準量設定手段による基準量の更新の回数を制限する制限手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
原稿タイプごとに,前記データ量の履歴情報を記憶する履歴記憶手段と,
前記履歴記憶手段に記憶される各データ量のうち,前記基準量と前記取得手段にて取得されたデータ量との少なくとも一方を基に規定される範囲内であるデータ量を抽出し,抽出されたデータ量の数が閾値よりも多いか否かを判断する第2判断手段と,
前記第2判断手段にて多いと判断された場合に,前記第2判断手段にて抽出されたデータ量を基に,前記記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第2追加手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
ソート機能を有する画像形成装置において,
原稿タイプごとに,原稿の1枚あたりのデータ量の基準量を記憶する記憶手段と,
前記基準量を基にソート処理可能な枚数を設定する設定手段と,
前記設定手段によって設定された枚数を表示する表示手段と,
画像形成処理を行った原稿の1枚あたりのデータ量を取得する取得手段と,
前記データ量を基に,前記基準量を設定する基準量設定手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
基準量を取得し,前記記憶手段に新しい原稿タイプを追加する原稿タイプ追加手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記基準量設定手段は,前記データ量と前記基準量とを基に新たな基準量を算出し,算出した基準量によって前記記憶手段に記憶された基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成装置において,
前記データ量が前記基準量を基に規定される範囲の範囲内であるか否かを判断する第1判断手段を備え,
前記基準量設定手段は,前記第1判断手段が範囲内であると判断した場合に,前記基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載する画像形成装置において,
前記第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,判断対象となったデータ量を基に前記基準量を更新するか否かを問い合わせる問い合わせ手段を備え,
前記基準量設定手段は,前記問い合わせ手段にて更新することが指示された場合に,前記基準量を更新することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載する画像形成装置において,
前記第1判断手段が範囲外であると判断した場合に,前記第1判断手段の判断対象となったデータ量を基に,前記記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第1追加手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記基準量設定手段による基準量の更新の回数を制限する制限手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
原稿タイプごとに,前記データ量の履歴情報を記憶する履歴記憶手段と,
前記履歴記憶手段に記憶される各データ量のうち,前記基準量と前記取得手段にて取得されたデータ量との少なくとも一方を基に規定される範囲内であるデータ量を抽出し,抽出されたデータ量の数が閾値よりも多いか否かを判断する第2判断手段と,
前記第2判断手段にて多いと判断された場合に,前記第2判断手段にて抽出されたデータ量を基に,前記記憶手段に新たな原稿タイプを追加する第2追加手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−239812(P2009−239812A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85769(P2008−85769)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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