説明

画像形成装置

【課題】冷却ファンを設けないで、排出用紙の自然放熱を効率良く行うことができ、かつ、処理能力の低下を引き起こさない画像形成装置を提供する。
【解決手段】排出トレイ50の上面には、用紙検知手段として、用紙Pの重量を感知する感圧センサ52が、センサ面が線状突起50aと面一となるように設けられている。感圧センサ52は、センサ面で132Pa未満の圧力を検知する場合は第1出力信号を出力し、132Pa以上の圧力を検知すると、第2出力信号を出力する。振動手段である振動子54は感圧センサ52の出力信号に基づいて振動し、振動面が線状突起50aと面一となるように、排出トレイ50に形成された穴50b内に収容されている。穴50bのサイズは振動子54の寸法より若干大きく設計されており、振動子54が振動しても、振動子54と排出トレイ50は接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタ等の画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された画像を定着する定着部と、画像が定着された用紙を機外に排出して積載する排出部とを備えている。定着直後に排出される用紙は高温となっているため、排出トレイ上に大量の高温の用紙が積載されると、用紙の自重によって用紙上に形成されている画像トナーを介して用紙同士が固着するという不具合がある。
【0003】
このような不具合を防止するための方策として、特許文献1には、排出部に冷却ファンを設けて排出された用紙を冷やす技術が記載されている。また、特許文献2には、排出用紙の温度を温度検知手段によって検知し、定着制御条件やスループットを変更する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−223093号公報
【特許文献2】特開2006−10753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、冷却ファンによって発生した冷風で排出部を強制的に冷却するため、定着部付近も冷風に晒され、定着部が冷やされて定着の温度ムラ不良が発生するおそれがあった。また、特許文献2の技術は、処理枚数のスループットを落とすことで処理能力が低下するという新たな不具合が生じてしまう。
【0006】
それゆえに、本発明の主たる目的は、冷却ファンを設けないで、排出用紙の自然放熱を効率良く行うことができ、かつ、処理能力の低下を引き起こさない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された画像を定着する定着部と、画像が定着された用紙を機外に排出して積載する排出部とを備えた画像形成装置であって、排出部が、画像が定着された用紙を機外に排出する排出手段と、排出された用紙を積載する排出トレイと、用紙を検知する用紙検知手段と、用紙検知手段からの信号に基づいて振動する振動手段とを備えたことを特徴とする、画像形成装置である。
【0008】
請求項1の発明では、排出部に振動手段を設けているため、定着部において高温になった排出用紙が排出トレイ上に大量に積載されても、振動手段にて用紙を振動させることにより、用紙の自重によって画像トナーを介して用紙同士が固着することを防ぐことができる。また、振動手段にて用紙を振動させることにより、排出トレイ上での排出用紙の積載ずれも矯正される。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、用紙検知手段は、排出トレイ上に積載された用紙の量に対応して複数の検知レベル出力信号を発信することを特徴とする、画像形成装置である。
【0010】
請求項2の発明では、用紙検知手段が、排出トレイ上に積載された用紙の量に対応して複数の検知レベル出力信号を発信することにより、用紙の量に対応して振動手段の振動レベルを適切に切り替えて、用紙間の固着を効率よく防止する。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、用紙検知手段が排出トレイに設けた感圧センサであることを特徴とする、画像形成装置である。
【0012】
請求項3の発明では、用紙検知手段が排出トレイに設けた感圧センサであるため、排出トレイ上に積載された用紙の重量に対応して振動手段の振動レベルを正確かつ確実に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、排出された用紙を振動手段にて振動させることにより、用紙間の固着を防ぐことができる。さらに、振動手段を、排出用紙の先端部が排出トレイに着地する場所に設置することで、排出トレイ上での排出用紙の積載ずれを矯正することが可能となる。
【0014】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係る画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1の中央部に配設された感光体ドラム24は、駆動手段によって図示矢印の時計回り方向に所定速度で駆動される。感光体ドラム24の外周近傍には、帯電器32、現像器22、転写ローラ23、摺擦部材30が設けられている。感光体ドラム24は帯電器32にて表面が一様に帯電される。感光体ドラム24の回転方向における帯電器32の下流側には、レーザースキャニングユニット26が配置されている。レーザースキャニングユニット26から放射されたレーザ光Lは、反射ミラー28を介して感光体ドラム24上に照射され、静電潜像が形成される。
【0016】
レーザースキャニングユニット26の下流側には、現像器22が配置されている。現像器22は、ブラックのトナーを感光体ドラム24に付与するためのものである。現像器22に対して、トナーカートリッジ20が配設されている。
【0017】
現像器22の下流側には、転写ローラ23が配置されている。さらに、転写ローラ23の下流側には、感光体ドラム24に残ったトナーを除去するための摺擦部材30が配置されている。
【0018】
一方、ピックアップローラ42はブラックトナー像と同期して給紙カセット2から被記録材としての用紙Pを引き出し、分離ローラ18と給紙ローラ44とを介して給紙する。用紙Pには感光体ドラム24上に形成されたトナー像が転写され、定着装置46に搬入される。トナー画像を転写された用紙Pは、定着装置46で定着され、印刷物として排出ローラ48で機外に排出されて排出トレイ50上に積載される。
【0019】
排出トレイ50はその上面が凸形状に湾曲している。図2に示すように、排出トレイ50の上面には、用紙Pの排出方向と平行な方向に延在している線状突起(リブ)50aが複数形成されている。そして、用紙検知手段として、用紙Pの重量を感知する感圧センサ52が、センサ面が線状突起50aと面一となるように排出トレイ50に設けられている。
【0020】
感圧センサ52は、センサ面で132Pa未満の圧力を検知する場合は第1出力信号を出力し、132Pa以上の圧力を10秒間以上検知すると、第2出力信号を出力する。ここに、132Paの圧力は、用紙Pを排出トレイ50上に150枚積載した時の単位面積当たりの重量圧に相当する。感圧センサ52は、排出された用紙Pの幅方向の中心から両側に0mm、50mm、95mmの位置に配置されている。
【0021】
振動手段である振動子54は、振動面が線状突起50aと面一となるように、排出トレイ50に形成された穴50b内に収容されている。穴50bのサイズは振動子54の寸法より若干大きく設計されており、振動子54が振動しても、振動子54と排出トレイ50は接触しない。排出トレイ50の感圧センサ52間に複数配置された振動子54は、排出された用紙Pの先頭部および後端部に対応する位置に設けられている。これにより、振動子54による振動を用紙Pに効率良く伝えることができる。振動子54は超音波振動素子や圧電素子などを利用したものである。なお、振動手段は必ずしも独立した複数個の振動子54を使用したものである必要はなく、複数の振動子を一列に配設して一体化した単一部品であってもよい。
【0022】
次に、この画像形成装置1の排出部の動作について説明する。
定着装置46で高温となった用紙Pは、排出ローラ48によって排出トレイ50上に排出され積載される。排出トレイ50上に大量の高温の用紙Pが積載され、感圧センサ52が132Pa以上の圧力(150枚以上の積載用紙Pの単位面積当たりの重量圧)を10秒間以上検知すると、感圧センサ52から第2出力信号が出力される。誤検知防止のため、感圧センサ52による検知は、用紙Pの中心部以外の重量圧を少なくとも2箇所以上検知することとする。第2出力信号に基づいて振動子54がON状態となり、振動子54が振動する。振動子54の振動は、排出トレイ50上の用紙Pに伝わり、用紙Pを振動させて画像トナーによる用紙同士の固着を防止する。
【0023】
一方、感圧センサ52が132Pa未満の圧力を検知する場合は、感圧センサ52からの第1出力信号に基づいて振動子54がOFF状態となる。この場合、排出トレイ50上の用紙Pの積載枚数は150枚未満であり、用紙Pの自重は比較的軽量であって、かつ、用紙Pの温度は75℃未満となる。したがって、振動子54によって積載用紙Pを振動させなくても、積載用紙Pの自然放熱だけで固着を防ぐことができる。
【0024】
以上の構成からなる画像形成装置1は、排出された用紙Pを振動子54にて振動させることにより、用紙間の固着を防ぐことができる。従って、冷却ファンを使用する必要がないため、定着部付近が冷風によって冷やされて定着の温度ムラ不良が発生するおそれもなくなり、品質の優れたトナー画像が得られる。また、排出トレイ50上の用紙Pの積載枚数が150枚未満のときは、振動子54によって積載用紙Pを振動させないで、積載用紙Pの自然放熱を出来るだけ活用しながら固着を防ぐことが可能となる。
【0025】
なお、感圧センサ52からの出力信号は、必ずしも第1出力信号と第2出力信号の二つに限定するものではなく、三つ以上の検知レベルの出力信号を出力することにより、排出トレイ50上に積載された用紙Pの量に対応して振動子54の振動レベルを適切に切り替えて、用紙間の固着を効率よく防止するようにしてもよい。
【0026】
また、図3に示す画像形成装置のように、排出用紙Pの先端部が排出トレイ60に着地する場所に振動子54を設置することにより、排出トレイ60上で排出用紙Pが積載ずれを起こしても、振動子54の振動によって積載ずれを矯正することができる。つまり、排出用紙Pの先端部が振動子54上に達すると、振動子54は用紙Pの存在を検知して振動し、用紙間の固着防止とともに、積載ずれを矯正する。なお、排出トレイ60はその上面が略S字形状に湾曲している。
【0027】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。たとえば、用紙検知手段として、感圧センサ52の代わりに、排出ローラ48の近傍に通紙センサを設け、この通紙センサによって通紙枚数をカウントし、排出トレイ50上に積載された用紙Pの枚数量に対応して振動子54の振動レベルを切り替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】排出トレイの概略平面図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の別の実施形態を示す概略構成図ある。
【符号の説明】
【0029】
1 画像形成装置
24 感光体ドラム
26 レーザ光学ユニット
46 定着装置
48 排出ローラ
50 排出トレイ
52 感圧センサ
54 振動子
60 排出トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙に形成された画像を定着する定着部と、画像が定着された用紙を機外に排出して積載する排出部とを備えた画像形成装置であって、
前記排出部が、画像が定着された用紙を機外に排出する排出手段と、排出された用紙を積載する排出トレイと、用紙を検知する用紙検知手段と、前記用紙検知手段からの信号に基づいて振動する振動手段とを備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙検知手段は、前記排出トレイ上に積載された用紙の量に対応して複数の検知レベル出力信号を発信することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙検知手段が前記排出トレイに設けた感圧センサであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−276581(P2009−276581A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127878(P2008−127878)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】