説明

画像形成装置

【課題】記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する検出精度を向上させることができる画像形成装置を得る。
【解決手段】定着ユニット82とインラインセンサユニット180の間にシート部材Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。つまり、インラインセンサユニット180に送り込まれたシート部材Pの熱は奪われているため、インラインセンサユニット180の温度が上がり、光がシート部材Pに反射される反射部から光センサ190までの光路長が変化するのが抑制される。反射部から光センサ190までの光路長の変化が抑制されることで、インラインセンサユニット180よるシート部材Pに形成された画像の画像欠陥等を検出する検出精度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置では、定着装置と用紙排出との間には、冷却装置が設けられておらず、排出された用紙とその上に排出された用紙が溶けたトナーの粘性でくっついてしまうことが考えられる。
【0003】
また、この画像形成装置には、トナー濃度、画像欠陥等を検出するインラインセンサも設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−91330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する精度を向上させることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、搬送される記録媒体に形成された画像を加熱して定着させる加熱装置と、前記加熱装置の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記加熱装置によって加熱されて画像が定着された記録媒体の画像濃度及び画像欠陥を検出する検出装置と、前記検出装置と前記加熱装置の間に設けられ、記録媒体の物理的変化を安定させる安定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1記載において、前記安定手段は、記録媒体を冷却する冷却装置であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1記載において、前記安定手段は、記録媒体に生じたカールを矯正するカール矯正装置であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項2記載において、前記安定手段は、前記冷却装置の下流側に設けれ、記録媒体に生じたカールを矯正するカール矯正装置を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項1〜4何れか1項に記載において、水平方向一側に設けられ、搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成ユニットを備えた第1筐体と、水平方向他側に設けられ、前記第1筐体から記録媒体が搬送される第2筐体と、を備え、前記加熱装置、前記安定手段及び前記検出装置は前記第2筐体に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、この構成を有さない場合と比して、記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の請求項2の画像形成装置によれば、この構成を有さない場合と比して、記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する精度を向上させることができる。
【0013】
本発明の請求項3の画像形成装置によれば、この構成を有さない場合と比して、記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する精度を向上させることができる。
【0014】
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、この構成を有さない場合と比して、記録媒体に形成された画像の画像欠陥を検出する精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項5の画像形成装置によれば、加熱装置、安定手段及び検出装置が、第1筐体及び第2筐体にまたがって配置される場合と比して、レイアウトを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体を示した概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された画像形成ユニットを示した側面図である。
【図3】(A)(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたバキューム搬送装置を示した斜視図及び側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された定着ユニットを示した側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された冷却ユニットのヒートシンクを示した斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたデカール処理ユニットを示した構成図である。
【図7】(A)(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたデカール処理ユニットのカム部材等を示した側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたデカール処理ユニットを示した構成図である。
【図9】(A)(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたデカール処理ユニットのカム部材等を示した側面図である。
【図10】(A)(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたデカール処理ユニットで矯正されるシート部材のカールを示した側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたインラインセンサユニットを示した構成図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用されたパワーユニットを示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1〜図12に従って説明する。
【0018】
(全体構成)
図1に示されるように、この画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、水平方向一側(図1に示す左側)に配置される第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能とされ、水平方向他側(図1に示す右側)に配置された第2筐体10Bとを備えている。
【0019】
第2筐体10Bの内部であって垂直方向上側には、画像信号処理部13が設けられており、画像信号処理部13は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに画像処理を施すようになっている。
【0020】
(トナーカートリッジ)
一方、第1筐体10Aの内部であって垂直方向上側には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に並んで交換可能に設けられている。
【0021】
なお、第1特別色及び第2特別色には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、以外の特別色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、V、W、Y、M、C、Kを区別する場合は、符号の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかを付して説明し、V、W、Y、M、C、Kを区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0022】
また、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に並んで設けられ、各トナーカートリッジ14と画像形成ユニット16の間には、露光ユニット40が設けられている。
【0023】
(露光ユニット)
画像形成ユニット16毎に設けられた露光ユニット40は、前述した画像信号処理部13から画像処理を施されたが画像データを受け取って半導体レーザ(図示省略)を色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光Lを階調データに応じて出射するように構成されている。
【0024】
詳細には、後述する感光体18(図2参照)の表面に各色に対応した露光光L(LV、LW、LY、LM、LC、LK)を照射して感光体18上に静電潜像を形成するようになっている。
【0025】
ここで、図1からも分るように、露光ユニット40は、第2筐体10Bに設けられた画像信号処理部13と隣接して設けられており、画像信号処理部13と露光ユニット40を接続する配線が短くなるようになっている。
【0026】
(画像形成ユニット)
図2に示されるように、画像形成ユニット16は、矢印A(時計回り)方向に回転駆動される感光体18を備えている。そして、感光体18の周囲には、感光体18を一様に帯電する帯電装置の一例としてのコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光ユニット40によって出射された露光光Lにより感光体18上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置22と、転写後の感光体18の表面をクリーニングするクリーニングブレード24と、転写後の感光体18の表面に光を照射して除電を行う除電装置の一例としてのイレーズランプ26が設けられている。
【0027】
そして、スコロトロン帯電器20、現像装置22、クリーニングブレード24、イレーズランプ26は、感光体18の表面と対向して、感光体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0028】
また、現像装置22は、感光体18の側方(本実施形態では紙面右側)に配置され、トナーを含んだ現像剤Gが充填された現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに充填されたトナーを感光体18の表面に移動させる現像ロール22Bを含んで構成されている。そして、現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0029】
(転写部)
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各感光体18と接触する無端状の中間転写ベルト34と、中間転写ベルト34の内側に配置され、各感光体18上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる6つの一次転写部材としての一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0030】
さらに、この中間転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34の張力を調整する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62と対向配置されたバックアップロール42と、複数個の張架ロール44との間に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール38により、図1の矢印B方向(反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0031】
詳細には、各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の感光体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により感光体18上に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0032】
一方、駆動ロール38と中間転写ベルト34を挟んで反対側には、先端部が中間転写ベルト34と接触するクリーニングブレード46が設けられおり、このクリーニングブレード46は、循環移動する中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0033】
(給紙カセット)
一方、転写部32の下方で第1筐体10Aの下側には、記録媒体としてのシート部材Pが収納される大型の給紙カセット48が水平方向に並んで2個設けられている。つまり、大容量のシート部材Pが収納可能とされている。なお、2個の給紙カセット48は、同様の構成とされているため、一方の給紙カセット48について説明し、他方の給紙カセット48については説明を省略する。
【0034】
この給紙カセット48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされており、給紙カセット48を第1筐体10Aから引き出すと、給紙カセット48内に設けられ、シート部材Pが載せられるボトムプレート50が、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。ボトムプレート50が下降することで、ユーザーがシート部材Pを補充可能となるようになっている。
【0035】
これに対し、給紙カセット48を第1筐体10Aに取り付けると、ボトムプレート50が、制御手段の指示によって上昇する。給紙カセット48の一端側の上方には、給紙カセット48からシート部材Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられており、上昇するボトムプレート50に載せられた最上位のシート部材Pと送出ロール52が当るようになっている。
【0036】
(搬送経路)
さらに、送出ロール52のシート部材搬送方向下流側(以下単に「下流側」という)には、シート部材Pの重送を防止する分離ロール56が設けられ、分離ロール56の下流側には、シート部材Pを、搬送方向下流側に搬送する複数個の搬送ロール54が設けられている。
【0037】
給紙カセット48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、給紙カセット48から送出されたシート部材Pを、第1折返部60Aで反対側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで反対側に折り返して二次転写ロール62とバックアップロール42の挟持部である転写ポイントTに向けて延びるようになっている。
【0038】
第2折返部60Bと転写ポイントTとの間には、搬送されるシート部材Pの傾き等を修正するアライナー(図示省略)が設けられており、このアライナーと転写ポイントTの間には、中間転写ベルト34上のトナー画像の移動タイミングとシート部材Pの搬送タイミングを合わせるための位置合せロール64が設けられている。
【0039】
また、二次転写ロール62は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写される構成となっている。
【0040】
さらに、搬送経路60の第2折返部60Aへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置する外付け大容量トレイから送出されたシート部材Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込むようになっている。
【0041】
(バキューム搬送装置)
一方、転写ポイントTの下流側には、トナー画像が転写されたシート部材Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数個のバキューム搬送装置70が設けられている。
【0042】
図3(A)(B)に示されるように、バキューム搬送装置70には、回転駆動する駆動ロール72と、回転可能に支持された従動ロール74と、駆動ロール72と従動ロール74に巻き掛けられる複数本のベルト部材76が備えられている。
【0043】
ベルト部材76の表面には、複数個の貫通孔76Aが全面に渡って設けられ、貫通孔76Aから空気をベルト部材76の内側に吸い込ませるように、吸込ファン78が、第1筐体10Aの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0044】
この構成により、トナー画像が形成されていないシート部材Pの非画像面をベルト部材76に吸い付け、駆動ロール72を回転駆動させてベルト部材76を回転させることで、シート部材Pを下流側に向けて搬送するようになっている。
【0045】
3個のバキューム搬送装置70によって構成される搬送経路60の下流側は、第1筐体10Aから第2筐体10Bへ延びており、バキューム搬送装置70によって送り出されたシート部材Pは、第2筐体10Bに設けられたバキューム搬送装置80によって受取られ、さらに下流側に搬送されるようになっている。
【0046】
第2筐体10Bの内部に配置されたバキューム搬送装置80の下流側には、シート部材Pの表面に転写されたトナー画像をシート部材Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
【0047】
(定着ユニット)
図4に示されるように、この定着ユニット82は、定着ベルト84を備える定着ベルトモジュール86と、定着ベルトモジュール86に圧接配置された加圧ロール88とで構成されている。そして、定着ベルトモジュール86と加圧ロール88との間に、シート部材Pを加圧加熱してトナー画像を定着させるニップ部Nが形成されている。
【0048】
この定着ベルトモジュール86は、定着ベルト84と、定着ベルト84を張架しながらモータ(図示省略)の回転力で回転駆動する加熱ロール89と、内側から定着ベルト84を張架する張架ロール90とを備えている。また、定着ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する張架ロール92と、加熱ロール89と張架ロール90との間で定着ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94とを備えている。
【0049】
さらに、定着ベルトモジュール86と加圧ロール88とが圧接する領域であるニップ部N内の下流側領域であって加熱ロール89の近傍位置に配置された剥離パッド96と、ニップ部Nの下流側において定着ベルト84が張架される張架ロール98とを備えている。
【0050】
また、加熱ロール89は、アルミニウムからなる円筒状のコアロール(芯金)に、コアロール表面の金属磨耗を防止する保護層として、厚さ200μmのフッ素樹脂皮膜が形成されたハードロールである。さらに、加熱ロール89の内部には、加熱手段としてハロゲンヒータ102が設けられている。
【0051】
また、張架ロール90は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部には加熱源としてハロゲンヒータ104が配設されており、定着ベルト84を内面側から加熱するようになっている。さらに、張架ロール90の両端部には定着ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設され、定着ベルト84全体の張力を15kgfに設定している。
【0052】
また、張架ロール92は、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、張架ロール92の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト84の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が張架ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
【0053】
この張架ロール92の内部には、加熱手段としてのハロゲンヒータ106が配設されており、定着ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。つまり、本実施の形態では、加熱ロール89と張架ロール90および張架ロール92とによって定着ベルト84が加熱される構成となっている。
【0054】
さらに、姿勢矯正ロール94は、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、定着ベルト84のエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配置されている。そして、姿勢矯正ロール94には、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて定着ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構が配設され、定着ベルト84の蛇行(ベルトウォーク)を制御するように構成されている。
【0055】
また、剥離パッド96は、例えばSUS等の金属や樹脂等の剛体で形成された、加熱ロール89と対応する長さのブロック状の部材である。その断面形状は、加熱ロール89に面する内側面96Aと、定着ベルト84を加圧ロール88に向けて押圧する押圧面96Bと、押圧面96Bに対して決められた角度を有して定着ベルト84を屈曲させる外側面96Cとを備えて構成される略円弧状を呈している。
【0056】
詳細には、押圧面96Bと外側面96Cから構成される角部Gは、加圧ロール88によって角部Gに押し付けられた定着ベルト84を屈曲させ、角部Gをシート部材Pの先端が通過する際に、シート部材Pの先端と定着ベルト84を剥離させるようになっている。
【0057】
一方、加圧ロール88は、アルミニウムからなる円柱状ロール88Aを基体として、基体側から順に、ゴム硬度30°(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層88Bと、膜厚100μmのPFAチューブからなる剥離層とが積層されて構成されたソフトロールである。この加圧ロール88は、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって定着ベルト84が加熱ロール89に巻き回された部位に圧接されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ロール89が矢印C方向へ回転移動するのに伴って、加熱ロール89に従動して矢印E方向に回転移動するようになっている。
【0058】
(用紙冷却ユニット)
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送出されたシート部材Pを下流側へ搬送するバキューム搬送装置108が設けられ、バキューム搬送装置108の下流側には、定着ユニット82によって加熱されたシート部材Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0059】
冷却ユニット110は、搬送経路60を挟んで、一方(本実施形態では上側)に、シート部材Pの熱を吸収する吸収装置112が設けられ、他方(本実施形態では下側)には、搬送されるシート部材Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114が設けられている。
【0060】
吸収装置112には、シート部材Pと接触し、シート部材Pの熱を吸収する無端状の吸収ベルト116が設けられ、この吸収ベルト116を支持する複数個の張架ロール118と、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120が、吸収ベルト116の内側に設けられている。
【0061】
さらに、吸収ベルト116の内側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
【0062】
図5に示されるように、ヒートシンク122は、吸収ベルト116をシート部材Pに当てる上方が開放された断面コ字状の当接部材124と、この当接部材124に載せされて当接部材124から熱が伝達される複数枚の放熱板126を含んで構成されている。
【0063】
さらに、放熱板126から熱を奪い、熱気を外部へ排出させるように、吸込ファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0064】
これに対し、図1に示されるように、搬送されるシート部材Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114には、シート部材Pと接触し、シート部材Pを吸収装置112へ押し付ける無端状の押付ベルト130と、押付ベルト130が張架されると共に回転可能に支持される複数個の張架ロール132が設けられている。
【0065】
この構成により、シート部材Pの熱が奪われ、シート部材Pが冷却されるようになっている。
【0066】
(デカール処理ユニット)
冷却ユニット110の下流側には、シート部材Pのカールを矯正するデカール処理ユニット140が設けられている。
【0067】
図6に示されるように、デカール処理ユニット140のシート部材搬送方向上流側(以下単に「上流側」)には、シート部材Pをガイドするガイド部材152が設けられ、このガイド部材152には、上方が開放された凹部152Aが形成されている。
【0068】
さらに、この凹部152Aの内側には、装置本体に回端可能に軸支された搬送ロール150が設けられ、搬送ロール150と搬送経路60を挟んで対向するように、表面が弾性部材で形成され大径化された弾性ロール142が、搬送ロール150と従動回転するように設けられている。
【0069】
また、この弾性ロール142の回転軸142Aは、中央側が折れ曲がった板状のブラケット144の中央側に回転可能に支持されている。そして、このブラケット144の一端側は、図示せぬフレーム部材に軸146にて回転可能に支持されており、他端側が、カム部材148のカム面148Aに当てられ、これよりブラケット144の位置が決められている。
【0070】
つまり、弾性ロール142が搬送ロール150と当り、弾性ロール142の表面が変形することで生じた弾性ロール142の復元力によって、ブラケット144の他端がカム面148Aに付勢され、ブラケット144の位置が決まるようになっている。
【0071】
そして、カム部材148の回転角を制御する制御部156が設けられており、制御部156が、カム部材148を回転させ、弾性ロール142を搬送ロール150に軽く押し付ける退避位置(図6、図7(A)参照)と、弾性ロール142を搬送ロール150に強く押し付けて弾性ロール142の表面を弾性変形させて搬送経路60を凸状に変形させる押圧位置(図8、図9(A)参照)とに移動させるようになっている。
【0072】
さらに、搬送ロール150の下流側には、水平方向に間隔を空けて配置される張架ロール160と張架ロール162が設けられ、また、この張架ロール160、162には、上面がシート部材Pの搬送経路60となる複数本の弾性ベルト部材164が設けられている。
【0073】
また、弾性ベルト部材164の搬送経路60を挟んで反対側には、弾性ベルト部材164を押圧するように押圧ロール166が回転可能に設けられている。また、押圧ロール166の弾性ベルト部材164と反対側には、両端部で押圧ロール166と同一のブラケット158(図7(B)参照)で回転可能に支持される支持ロール168が設けられている。そして、押圧ロール166と支持ロール168を両端部で支持するブラケット158は、弾性ベルト部材164に対し近接・離間する方向へ移動可能に装置本体に支持されている。
【0074】
さらに、回転可能に支持される支持ロール168には、支持ロール168より大径化した円状の押圧部材170が設けられ、押圧部材170の端面が、支持ロール168の上方に配置されたカム部材172のカム面172Aに当てられ、これにより押圧部材170の位置が決められている。
【0075】
つまり、押圧ロール166が弾性ベルト部材164と当り、弾性ベルト部材164が変形することで生じた弾性ベルト部材164の復元力によって、押圧部材170がカム面172Aに付勢され、押圧部材170の位置が決まるようになっている。
【0076】
そして、前述した制御部156がカム部材172の回転角を制御するようになっており、制御部156が、カム部材172を回転させ、押圧ロール166を弾性ベルト部材164に軽く押し付ける退避位置(図8、図9(B)参照)と、押圧ロール166を弾性ベルト部材164に強く押し付けて弾性ベルト部材164の表面を弾性変形させて搬送経路60を凹状に変形させる押圧位置(図6、図7(B)参照)と移動させるようになっている。
【0077】
この構成により、図10(A)に示されるように、搬送されるシート部材Pの端部が下向きにカールしている場合は、制御部156が、カム部材148を回転させて弾性ロール142を退避位置(図6、図7(A)参照)に移動させ、カム部材172を回転させて押圧ロール166を押圧位置(図6、図7(B)参照)に移動させて搬送経路60を凹状に変形させるようになっている。これにより、下向きにカールしたシート部材Pが平坦に矯正される構成となっている。
【0078】
これに対し、図10(B)に示されるように、搬送されるシート部材Pの端部が上向きにカールしている場合は、制御部156が、カム部材172を回転させて押圧ロール166を退避位置(図8、図9(B)参照)に移動させ、カム部材148を回転させて弾性ロール142を押圧位置(図6、図7(B)参照)に移動させて搬送経路60を凸状に変形させるようになっている。これにより、上向きにカールしたシート部材Pが平坦に矯正される構成となっている。
【0079】
シート部材Pのカールの方向及びカールの度合については、シート部材Pの種類(普通紙やコート紙)や、シート部材Pの坪量、サイズ、送り方向、画像密度(露光ユニットへの画像データ情報で予測可能)等、また、機械特有の用紙走行経路の形状や経路に配置されるユニットの特性によって変わる。そして、制御部156が、前述した情報からカールの方向やカールの度合いを予測してカム部材148、172の回転角度を変えて、搬送経路60の凹凸度合を調整できるようになっている。
【0080】
(インラインセンサユニット)
図1に示されるように、デカール処理ユニット140の下流には、シート部材Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出するインラインセンサユニット180が設けられている。
【0081】
図11に示されるように、インラインセンサユニット180の筐体182内には、搬送ロール178によって搬送されるシート部材Pに光を照射する発光部材184が2個設けられている。さらに、発光部材184から出射され、シート部材Pによって上方に反射された反射光を側方に向けて反射するミラー186と、ミラー186によって側方に向いた反射光を上方に向けて反射するミラー188が設けられている。また、ミラー188によって上方に向いた反射光をCCD方式の光センサ190に向けて折り返すミラー192が設けられ、ミラー192と光センサ190の間には、反射光を光センサ190に集光する集光レンズ194が設けられている。
【0082】
この構成により、光センサ190が、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出できるようになっている。
(反転ユニット)
図1に示されるように、インラインセンサユニット180の下流には、片面に画像が形成されたシート部材Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出トレイ196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0083】
一方、両面に画像を形成させる場合は、インラインセンサユニット180から送出されたシート部材Pは、インラインセンサユニット180の下流に設けられた反転ユニット200へ搬送される。
【0084】
詳細には、図示せぬ切替部材によって、シート部材Pを反転ユニット200に設けられた反転経路202に導くようになっている。
【0085】
反転経路202には、搬送経路60から分岐する分岐パス202Aと、分岐パス202Aに沿って搬送されるシート部材Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス202Bと、用紙搬送パス202Bに沿って搬送されるシート部材Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス202Cが設けられている。
【0086】
この構成により、反転パス202Cでスイッチバック搬送されたシート部材Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写ポイントTへ再度送り込まれるようになっている。
【0087】
(パワーユニット)
次に、交流電流を外部から取り入れるパワーユニット210について説明する。
【0088】
図12に示されるように、パワーユニット210は、第2筐体10Bの裏面(背面)に設けられている。パワーユニット210には、外部から交流電流を取り込む入力電源コード212が設けられている。さらに、入力電源コード212には、交流電流を分配する分配器214の一端が接続されており、分配器214の他端には、過電流をカットするブレーカー216の一端が配線コード217を介して接続されている。
【0089】
また、ブレーカー216の他端には、交流電流のノイズをカットするノイズフィルター218A、218B、218Cの一端が配線コード219を介して接続されており、ノイズフィルター218A、218Bの他端は、電圧を昇圧・減圧するトランス220を通して定着ユニット82(図1参照)用の制御基板222の一端に接続されている。
【0090】
一方、ノイズフィルター218Cの他端は、定電圧電源用の制御基板224の一端に配線コード225を介して接続されている。さらに、制御基板224の他端は、定着ユニット82(図1参照)用の制御基板222と、配線コード226を介して交流電流を直流電流に変える電源ユニット230(図1参照)に接続されている。
【0091】
また、制御基板222の他端は、定着ユニット82(図1参照)に配線コード223を介して接続され、大きな出力を必要とする定着ユニット82には、制御基板222を通して交流電流が供給されるようになっている。
【0092】
一方、図1に示されるように、配線コード226を介して制御基板224と接続される電源ユニット230は、第2筐体10Bの内部であって、定着ユニット82と画像信号処理部13との間に配置されており、電源ユニット230によって変換された直流電流が、定着ユニット82を除く他のユニット(例えば画像形成ユニット16等)に供給されるようになっている。
【0093】
(作用)
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0094】
図12に示されるように、第2筐体10Bの裏面に配置されたパワーユニット210へ入力電源コード212を通して外部から取り入れられた交流電流は、制御基板222を通して第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82へ供給され、制御基板224を通して第2筐体10Bの内部に設けられた電源ユニット23へ供給される。
【0095】
図1に示されるように、電源ユニット23へ供給された交流電流は直流電流へ変換され、各ユニットへ供給され、各ユニットが作動状態となる。
【0096】
作動状態となって画像信号処理部13で画像処理が施された画像データは、各色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。各露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各感光体18に走査露光を行い、潜像(静電潜像)が形成される。
【0097】
図2に示されるように、感光体18上に形成された静電潜像は、現像装置22によって、それぞれ第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像(現像剤像)として顕在化され現像が行われる。
【0098】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体28上に順次形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34上に順次多重転写される。
【0099】
中間転写ベルト34上に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、給紙カセット48から搬送されてきたシート部材P上に二次転写される。トナー画像が転写されたシート部材Pは、バキューム搬送装置70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0100】
シート部材P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱・加圧されることでシート部材Pに定着する。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、デカール処理ユニット140に送り込まれ、シート部材Pに生じたカールが矯正される。
【0101】
カールが矯正されたシート部材Pは、インラインセンサユニット180によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出トレイ196に排出される。
【0102】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、インラインセンサユニット180を通過後に、図示せぬ切替部材によって、シート部材Pを反転ユニット200に送り出す。反転ユニット200へ送り出されたシート部材Pは、反転経路202を通過して反転され、給紙カセット48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0103】
以上説明したように、定着ユニット82とインラインセンサユニット180の間にシート部材Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。つまり、インラインセンサユニット180に送り込まれたシート部材Pの熱は奪われているため、インラインセンサユニット180の温度が上がり、発光部材184の出射光がシート部材Pに反射する反射部から光センサ190までの光路長が変化するのが抑制される構成となっている。
【0104】
また、定着ユニット82とインラインセンサユニット180の間にシート部材Pのカールを矯正するデカール処理ユニット140が設けられている。つまり、インラインセンサユニット180に送り込まれたシート部材Pは平坦となっており、発光部材184の出射光がシート部材Pに反射する反射部の位置変化が防止され、反射部から光センサ190までの光路長が変化するのが抑制される構成となっている。
【0105】
また、反射部から光センサ190までの光路長の変化が抑制されることで、インラインセンサユニット180よるシート部材Pに形成された画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する精度が向上させる構成となっている。
【0106】
また、冷却ユニット110の下流側にデカール処理ユニット140が設けられている。例えば、冷却ユニットの上流側にデカール処理ユニットが設けられると、定着ユニット82から送り出され、加熱されたシート部材Pの一部にデカール処理ユニットに設けられたローラが当ることになり、ローラが当った部位だけローラによって熱が奪われ、表面品質(例えば光沢)が他の部位と変わってしまうことがある。しかし、前述したように、冷却ユニット110の下流側にデカール処理ユニット140が設けられているため、画像の表面品質が部分的に他の部位と変わってしまうのが抑制されるレイアウトとなっている。
【0107】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ゼログラフィー方式の画像形成装置を例にとって説明したが、インクジェット方式の画像形成装置であって、シート部材Pに吐出されたインクを熱風で乾燥させる加熱装置の下流側に前述したレイアウトを設けてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 画像形成装置
10A 第1筐体
10B 第2筐体
16 画像形成ユニット
82 定着ユニット(加熱装置)
110 冷却ユニット(冷却装置)
140 デカール処理ユニット(カール矯正装置)
180 インラインセンサユニット(検出装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体に形成された画像を加熱して定着させる加熱装置と、
前記加熱装置の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記加熱装置によって加熱されて画像が定着された記録媒体の画像濃度及び画像欠陥を検出する検出装置と、
前記検出装置と前記加熱装置の間に設けられ、記録媒体の物理的変化を安定させる安定手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記安定手段は、記録媒体を冷却する冷却装置である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記安定手段は、記録媒体に生じたカールを矯正するカール矯正装置である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記安定手段は、前記冷却装置の下流側に設けれ、記録媒体に生じたカールを矯正するカール矯正装置を含んで構成される請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
水平方向一側に設けられ、搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成ユニットを備えた第1筐体と、
水平方向他側に設けられ、前記第1筐体から記録媒体が搬送される第2筐体と、
を備え、
前記加熱装置、前記安定手段及び前記検出装置は前記第2筐体に設けられる請求項1〜4何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−169958(P2010−169958A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13330(P2009−13330)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】