説明

画像形成装置

【課題】容易に像担持体の寿命を検知できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、感光体ドラム12を帯電する帯電ローラ14に、直流電圧に予め定めた周波数の交流電圧が重畳された帯電電圧を印加するトランス42と、トランス42により帯電ローラ14に印加される帯電電圧の電圧値を検出する電圧検出回路44と、帯電電圧に基づく電流の電流値が定電流指示信号I1で指定された電流値となるようにトランス42に帯電電圧を誘起させる駆動回路40を制御すると共に、電圧検出回路44により検出された電圧値と、定電流指示信号I1で指定された電流値と、交流電圧の予め定めた周波数と、に基づいて、感光体ドラム12の表面層の容量成分の容量値を算出し、算出した容量値が、感光体ドラム12の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、感光体ドラム12が寿命である旨を示す信号を出力する主制御部46と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる電子写真方式の画像形成装置では、帯電器により感光体を帯電させ、帯電した感光体に画像に応じた光を照射することにより画像に応じた静電潜像を感光体上に形成し、これを現像器によりトナー現像して記録用紙に転写及び定着させることにより画像を形成する。
【0003】
このような画像形成装置として、例えば特許文献1には、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアス電圧を感光体に印加して帯電させる帯電装置と感光体との間に生じる放電の電荷量を検知し、検知した放電電荷量が放電電荷量の変化における特異点を含む所定の範囲内となるように、感光体に印加する電圧を制御する画像形成装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、用紙の種類毎に感光体の所定回転時間当たりの削れ量をテーブルデータとして記憶しておき、感光体の回転時間に応じた削れ量をテーブルデータに基づいて算出することにより感光体の寿命を通報する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−192993号公報
【特許文献2】特開2005−326696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出せずに像担持体の寿命を検知する場合と比較して、容易に像担持体の寿命を検知できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の画像形成装置は、画像に応じた像が担持される像担持体を帯電する帯電手段に、直流電圧に予め定めた周波数の交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段により前記帯電手段に印加される帯電電圧の電圧値を検出する電圧検出手段と、前記帯電電圧に基づく電流の電流値が予め定めた電流値となるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、前記電圧検出手段により検出された電圧値に基づく前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記電圧検出手段により検出された電圧値と、前記予め定めた電流値と、前記交流電圧の予め定めた周波数と、に基づいて、前記像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出する算出手段をさらに備え、前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記容量値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する。
【0009】
請求項3記載の発明は、画像に応じた像が担持される像担持体を帯電する帯電手段に、直流電圧に予め定めた周波数の交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段により前記帯電手段に印加される帯電電圧に基づく電流の電流値を検出する電流検出手段と、前記帯電電圧の電圧値が予め定めた電圧値となるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、前記電流検出手段により検出された電流値に基づく前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する出力手段と、を備える。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記電流検出手段により検出された電流値と、前記予め定めた電圧値と、前記交流電圧の予め定めた周波数と、に基づいて、前記像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出する算出手段をさらに備え、前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記容量値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記像担持体が未使用状態である予め定めた時点における前記像担持体の表面層の厚みを表わす値を記憶する記憶手段をさらに備え、前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記記憶手段に記憶された前記像担持体の表面層の厚みを表わす値容量値よりも予め定めた閾値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記帯電手段は、前記像担持体に接触した状態で回転しながら前記像担持体を帯電させる接触帯電ロールである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出せずに像担持体の寿命を検知する場合と比較して、容易に像担持体の寿命を検知できる、という効果を有する。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、交流電圧の周波数が変更される場合でも精度良く像担持体の寿命を検知できる、という効果を有する。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出せずに像担持体の寿命を検知する場合と比較して、容易に像担持体の寿命を検知できる、という効果を有する。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、交流電圧の周波数が変更される場合でも精度良く像担持体の寿命を検知できる、という効果を有する。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、精度良く像担持体の寿命を検知できる、という効果を有する。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、接触帯電ロールによる像担持体の表面層の摩耗の度合いを精度良く検知することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る高圧電源の概略構成図である。
【図3】高圧電源と帯電ローラとを接続する高圧コード等の各部が有する容量成分について説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る高圧電源で実行される処理のフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る高圧電源の概略構成図である。
【図6】第2実施形態に係る高圧電源で実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1には、本実施形態に係る画像形成装置10の主要部の構成が概略的に示されている。同図に示されるように、画像形成装置10は、矢印A方向に所定速度で回転する感光体ドラム12を備えている。
【0022】
感光体ドラム12の周囲には、矢印A方向に沿って、帯電ローラ14、露光ユニット16、現像器18、転写ローラ20、及びクリーニングブレード22が順に設けられている。
【0023】
帯電ローラ14は、感光体ドラム12の周面に接触しながら回転可能に設けられている。帯電ローラ14は、高圧電源24によって所定電位の帯電電圧が印加されると共に、図示しない駆動装置によって回転駆動され、感光体ドラム12の周面を帯電させる。
【0024】
高圧電源24は、直流電源26及び交流電源28を含んで構成されており、直流電源26から出力された直流電圧に交流電源28から出力された所定周波数の交流電圧を重畳した電圧を帯電ローラ14に印加する。
【0025】
露光ユニット16は、例えば図示しない光源、各種レンズを含む光学系、回転多面鏡等を含んで構成された光走査装置であり、感光体ドラム12上に画像データに応じた光ビームを走査露光することにより、感光体ドラム12上に画像に応じた静電潜像を形成する。なお、露光ユニット16は、上記のような光走査装置に限らず、複数の発光ダイオード(LED)を含んで構成されたLEDヘッド等としてもよい。
【0026】
現像器18は、トナーを電源30によって所定の電位に帯電させて感光体ドラム12に付着させることにより、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム12上に画像に応じたトナー像が形成される。
【0027】
電源30は、直流電源32及び交流電源34を含んで構成されており、直流電源32から出力された直流電圧に交流電源34から出力された所定周波数の交流電圧を重畳した電圧を現像器18内に収容されたトナーに印加する。
【0028】
転写ローラ20は、図1において矢印B方向に搬送される記録媒体としての用紙Pを感光体ドラム12と挟持して搬送するように設けられており、転写時には、直流電源36によって所定電位の直流電圧を用紙Pに印加する。
【0029】
各感光体ドラム12上のトナーは、転写ローラ20と対向する転写位置において、転写ローラ20側に引き寄せられて用紙Pに転写される。
【0030】
この感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、感光体ドラム12と転写ローラ20との間に送り込まれた用紙Pに転写される。
【0031】
なお、トナー像が転写された用紙Pは、トナーを用紙Pに溶融圧着させる定着処理が図示しない定着装置により施された後、画像形成装置10外へ排出される。
【0032】
また、用紙Pに転写されずに感光体ドラム12上に残留したトナーは、クリーニングブレード22によって感光体ドラム12上から除去される。
【0033】
図2には、帯電ローラ14へ帯電電圧を印加する高圧電源24の概略ブロック図が示されている。同図に示されるように、高圧電源24は、制御回路38、駆動回路40、昇圧用のトランス42、及び電圧検出回路44を含んで構成されている。
【0034】
駆動回路40は、図示しないスイッチング素子等を含んで構成されており、このスイッチング素子は制御回路38によってスイッチング制御される。駆動回路40のスイッチング素子が制御回路38によってスイッチング制御されることにより、トランス42に、帯電ローラ14に印加する帯電電圧、すなわち直流電圧に所定周波数の交流電圧を重畳した帯電電圧が誘起される。
【0035】
電圧検出回路44は、トランス42に誘起される帯電電圧の電圧レベルを検出し、電圧検出信号V1として制御回路38に出力する。また、制御回路38は、電圧検出信号V1により示される電圧レベルが異常である場合には、電源供給を停止させる等の機能を備えており、通常は高圧電源24に元々備えられる機能である。このように、画像形成装置10は、元々備えられた電圧検出回路を用いて後述する感光体ドラムの寿命判断を行う。
【0036】
制御回路38は、画像形成装置10の各部の制御を司る主制御部46と接続されており、この主制御部46からは、予め定めた電流値の電流が帯電ローラ14に供給されるように指示するための定電流指示信号I1が入力される。
【0037】
制御回路38は、定電流指示信号I1で指示された電流値の電流が帯電ローラ14に供給されるように定電流制御する。また、主制御部46は、各種パラメータや処理プログラム等を記憶するためのメモリ46Aを備えている。
【0038】
図3に示すように、高圧電源24と帯電ローラ14とは、高圧コード48で接続され、この高圧コード48は画像形成装置10の機器内部を引き回して配線される。このため、高圧コード48には、浮遊容量である容量成分50が存在する。
【0039】
また、帯電ローラ14に帯電電圧を印加する場合、帯電ローラ14を回転させる金属性の回転軸に供給させる。この回転軸と感光体ドラム12との距離によって容量成分52を有する。
【0040】
さらに、感光体ドラム12の表面層は、図示しない半導電性部材、例えば高分子有機光導電材で形成され、電気的には容量成分54となる。
【0041】
これらの3つの容量成分のうち、高圧コード24の容量成分50及び帯電ローラ14の容量成分52は経時的に変化するものではない。
【0042】
一方、感光体ドラム12の表面層は、帯電ローラ14や、クリーニングブレード22等との接触等の影響により、使用頻度に応じて磨耗する。
【0043】
ところで、一般に、コンデンサの容量値Cは、誘電率をε、電極の面積をS、電極間の距離をdとした場合に、C=ε×(S/d)で示され、電極の面積Sに比例し、電極間の距離dに反比例する。
【0044】
本実施形態では、容量値Cが容量成分54の容量値に相当し、上記の電極の面積Sが感光体ドラム12の表面層の面積に相当し、電極間の距離dが感光体ドラム12の表面層の厚みに相当する。そして、誘電率εは定数であり、感光体ドラム12の表面層の面積Sも厚みの変化に拘わらずほぼ同一としてよいため、容量成分54の容量値Cは、感光体ドラム12の表面層の厚みdに反比例する。このため、容量成分54の容量値を求めれば、感光体ドラム12の表面層の厚みdが判り、表面層の摩耗の度合いが判る。
【0045】
そこで、主制御部46では、制御回路38に指示した定電流指示信号I1で示される電流値と、電圧検出回路44から入力された電圧検出信号V1で示される電圧値と、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の交流電圧の周波数と、に基づいて容量成分54の容量値Cを求める。容量値Cは、次式により求められる。
【0046】
C=Irms/(2×π×Freq×Vrms) ・・・(1)
ここで、Irmsは、帯電ローラ14に供給される電流の実効値であり、予め定められる。また、Freqは、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の交流電圧の周波数であり、予め定められる。また、Vrmsは、帯電ローラ14に供給される電圧の実効値であり、電圧検出信号V1が電圧の最大値Vpp(peak to peak)で表わされる場合、Vppに1/2√2を乗算することにより得られる。
【0047】
主制御部46は、上記(1)式により容量成分54の容量値Cを求め、求めた容量値Cに基づいて感光体ドラム12の寿命を判断する。具体的には、画像形成装置10の例えば製造時等の感光体ドラム12が未使用状態である予め定めた時点において、帯電ローラ14に予め定めた電流値の定電流を供給したときの電圧Vppを測定して上記(1)式により容量値Cを求め、これをメモリ46Aに初期容量値C1として記憶しておく。
【0048】
そして、画像形成装置10の稼働時に上記(1)式により求めた容量成分54の容量値C2と初期容量値C1とを比較し、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなった場合に、感光体ドラム12が寿命であると判断する。
【0049】
なお、閾値は、容量値C2と初期容量値C1との差がこの値以上になると、感光体ドラム12の表面層の摩耗の度合いが許容範囲外になると判断される値に設定される。
【0050】
本発明者による試験によれば、新品の感光体ドラムの表面層の厚みと寿命の感光体ドラムの表面層の厚みとの差は、約15%であった。すなわち、寿命の感光体ドラムの表面層の厚みは、新品の感光体ドラムの表面層の厚みから約15%増加していた。従って、例えば容量値C2が初期容量値C1から15%以上増加した場合に、感光体ドラム12の寿命と判断する。
【0051】
主制御部46は、寿命と判断した場合には、感光体ドラム12が寿命であることを示すメッセージ等を図示しない表示部に表示する等して報知する。
【0052】
次に、主制御部46で実行される感光体ドラムの寿命判断制御について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0053】
主制御部46は、制御回路38へ指示した定電流指示信号I1で示される電流値の定電流が帯電ローラ14に供給されるように駆動回路40のスイッチング素子をスイッチング制御するように制御回路38に指示する他、図4に示すような感光体ドラムの寿命判断制御を実行する。
【0054】
まず、ステップ100では、電圧検出回路44から出力された電圧検出信号V1を入力する。
【0055】
ステップ102では、制御回路38へ指示した定電流指示信号I1で示される電流値と、電圧検出回路44から入力された電圧検出信号V1で示される電圧値と、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の交流電圧の予め定めた周波数Freqと、に基づいて、上記(1)式より容量成分54の容量値C2を求める。
【0056】
ステップ104では、求めた容量値C2が、メモリ46Aに記憶された初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなったか否かを判断する。そして、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなった場合には、感光体ドラム12が寿命であると判断し、ステップ106へ移行する。
【0057】
一方、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなっていない場合には、感光体ドラム12は寿命ではないと判断し、ステップ100へ戻って上記と同様の処理を行う。
【0058】
ステップ106では、主制御部46は、感光体ドラム12が寿命であることを示すメッセージ等を図示しない表示部に表示する等して報知する。また、帯電ローラ14への帯電電圧の印加を停止するようにしてもよい。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、高圧電源の他の形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部分については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
図5には、本実施形態に係る高圧電源24Aの概略ブロック図が示されている。本実施形態に係る高圧電源24Aが図2に示した高圧電源24と異なる点は、電圧検出回路44に代えて電流検出回路44Aが設けられている点、主制御部46から定電流指示信号I1が入力されるのではなく、定電圧指示信号V2が入力される点である。
【0061】
電流検出回路44Aは、帯電ローラ14に供給される電流の電流レベルを検出し、電流検出信号I2として制御回路38に出力する。また、制御回路38は、電流検出信号I2により示される電流レベルが異常である場合には、電源供給を停止させる等の機能を備える。
【0062】
制御回路38には、主制御部46から予め定めた電圧値の電圧が帯電ローラ14に供給されるように指示するための定電圧指示信号V2が入力され、主制御部46は、この定電圧指示信号V2で示される電圧値と、電流検出回路44Aから入力された電流検出信号I2で示される電流値と、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の交流電圧の周波数と、に基づいて容量成分54の容量値C2を求める。容量値C2の求め方は第1実施形態と同様である。
【0063】
そして、主制御部46は、求めた容量値C2に基づいて感光体ドラム12の寿命を判断する。具体的には、画像形成装置10の例えば製造時等において、帯電ローラ14に定電圧を供給したときの電流値を測定して上記(1)式により容量値Cを求め、これをメモリ46Aに初期容量値C1として記憶しておく。そして、画像形成装置10の稼働時に上記(1)式により求めた容量成分54の容量値C2と初期容量値C1とを比較し、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなった場合に、感光体ドラム12が寿命であると判断する。
【0064】
次に、主制御部46で実行される感光体ドラムの寿命判断制御について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0065】
主制御部46は、制御回路38へ指示した定電圧指示信号V2で示される電圧値の定電圧が帯電ローラ14に供給されるように駆動回路40のスイッチング素子をスイッチング制御するように制御回路38に指示する他、図6に示すような感光体ドラムの寿命判断制御を実行する。
【0066】
まず、ステップ200では、電流検出回路44Aから出力された電流検出信号I2を入力する。
【0067】
ステップ202では、制御回路38へ指示した定電圧指示信号V2で示される電圧値と、電流検出回路44Aから入力された電流検出信号I2で示される電流値と、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の交流電圧の予め定めた周波数Freqと、に基づいて、上記(1)式より容量成分54の容量値C2を求める。
【0068】
ステップ204では、求めた容量値C2が、メモリ46Aに記憶された初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなったか否かを判断する。そして、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなった場合には、感光体ドラム12が寿命であると判断し、ステップ206へ移行する。
【0069】
一方、容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値以上高くなっていない場合には、感光体ドラム12は寿命ではないと判断し、ステップ200へ戻って上記と同様の処理を行う。
【0070】
ステップ206では、主制御部46は、感光体ドラム12が寿命であることを示すメッセージ等を図示しない表示部に表示する等して報知する。
【0071】
なお、上記各実施形態では、感光体ドラム12を帯電する手段として感光体ドラム12に接触しながら帯電する帯電ローラ14を用いた場合について説明したが、これに限らず、コロトロンワイヤー等を用いた帯電器を用いても良い。
また、上記各実施形態では、主制御部46において感光体ドラム12の寿命を判断する場合について説明したが、高圧電源24内の制御回路38で感光体ドラム12の寿命を判断するようにしてもよい。
【0072】
また、容量成分54の容量値C2が初期容量値C1よりも予め定めた閾値(例えば15%)よりも若干小さい第2の閾値(例えば13%)以上高くなった場合に、「まもなく寿命です」などの予告メッセージを表示するようにしてもよい。
【0073】
ところで、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の周波数は、通常画像形成装置10の動作速度(プロセススピード)に比例する。つまり、プロセススピードが速い機器(生産性が高い機器)は、周波数が高くなる。例えば、プロセススピードが200mm/sの画像形成装置の場合、帯電ローラ14に印加する帯電電圧の周波数としては1500Hzを使用し、プロセススピードが100mm/sの画像形成装置の場合は、周波数としては750Hzを使用する。
【0074】
このように画像形成装置により帯電電圧の周波数が固定されている場合は、電圧検出回路44で検出された電圧値又は電流検出回路44Aで検出された電流値が、感光体ドラム12の表面層の厚みに対応する。
【0075】
従って、帯電電圧の交流電圧の周波数が固定の場合、上記(1)式により容量値を求めずに、電圧検出回路44で検出された電圧値に基づいて感光体ドラム12の寿命判断を行うようにしてもよい。この場合、検出された電圧値が予め定めた閾値以下の値になった場合を寿命と判断する。また、電流検出回路44Aで検出した電流値に基づいて感光体ドラム12の寿命判断を行うようにしてもよい。この場合、検出された電流値が予め定めた閾値以上になった場合を寿命と判断する。
【0076】
また、高機能の画像形成装置においては、動作速度を複数種類有する場合がある。この場合も、帯電電圧の周波数がその画像形成装置の動作速度により決定されているため、感光体ドラム12の寿命は、電圧検出回路44で検出された電圧値又は電流検出回路44Aで検出された電流値により判断するようにしてもよい。例えば、白黒モード、カラーモード、高画質モードと、例えば3種類の画像形成モードを有する場合、例えば白黒モードは、300mm/s、カラーモードは、200mm/s、高画質モードは、100mm/sの動作速度とされる。オペレータが画像形成装置の所定の操作ボタンを押すことにより動作モードが決定され、これにより帯電電圧の周波数も決定される。従って、周波数毎に、感光体ドラム12の寿命を判断する際の閾値を設定しておけばよい。なお、各モード全てで閾値を設定するのではなく、通常使用頻度の高いモードに設定しておくようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 画像形成装置
12 感光体ドラム(像担持体)
14 帯電ローラ(帯電手段)
16 露光ユニット(露光手段)
18 現像器(現像手段)
20 転写ローラ(転写手段)
22 クリーニングブレード
24、24A 高圧電源
26、32、36 直流電源
28、34 交流電源
30 電源
38 制御回路(算出手段、出力手段)
46A メモリ
40 駆動回路(電圧印加手段)
42 トランス(電圧印加手段)
44 電圧検出回路(電圧検出手段)
44A 電流検出回路(電流検出手段)
46 主制御部(制御手段)
48 高圧コード
50、52、54 容量成分
V1 電圧検出信号
I1 定電流指示信号
I2 電流検出信号
V2 定電圧指示信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に応じた像が担持される像担持体を帯電する帯電手段に、直流電圧に予め定めた周波数の交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により前記帯電手段に印加される帯電電圧の電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記帯電電圧に基づく電流の電流値が予め定めた電流値となるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、
前記電圧検出手段により検出された電圧値に基づく前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する出力手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧検出手段により検出された電圧値と、前記予め定めた電流値と、前記交流電圧の予め定めた周波数と、に基づいて、前記像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出する算出手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記容量値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像に応じた像が担持される像担持体を帯電する帯電手段に、直流電圧に予め定めた周波数の交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により前記帯電手段に印加される帯電電圧に基づく電流の電流値を検出する電流検出手段と、
前記帯電電圧の電圧値が予め定めた電圧値となるように前記電圧印加手段を制御する制御手段と、
前記電流検出手段により検出された電流値に基づく前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する出力手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項4】
前記電流検出手段により検出された電流値と、前記予め定めた電圧値と、前記交流電圧の予め定めた周波数と、に基づいて、前記像担持体の表面層の容量成分の容量値を算出する算出手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記容量値が、前記像担持体の表面層の厚みの限界を示す値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体が未使用状態である予め定めた時点における前記像担持体の表面層の厚みを表わす値を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記算出手段により算出された前記像担持体の表面層の厚みを表わす値が、前記記憶手段に記憶された前記像担持体の表面層の厚みを表わす値よりも予め定めた閾値を超えた場合に、前記像担持体が寿命である旨を示す信号を出力する
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電手段は、前記像担持体に接触した状態で回転しながら前記像担持体を帯電させる接触帯電ロールである
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−204370(P2010−204370A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49541(P2009−49541)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】