説明

画像形成装置

【課題】省電力モード時に、操作者によるADFユニットの開閉指示によって、開閉駆動モータを迅速に駆動させる。
【解決手段】ADFユニットがスキャナユニットに対してヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、操作者が開閉操作部に圧力が加えることによって、その圧力が減じるようにADFユニットが開閉駆動モータによって開閉駆動される。省電力モード時に操作者がADFユニットを開閉操作した場合には、開閉駆動モータを制御する開閉CPU39に対して優先的に電力が供給され、開閉駆動モータによるADFユニットの開閉駆動を迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を自動搬送する自動原稿搬送(ADF)ユニットと、ADFユニットによって搬送される原稿等の画像を読み取るスキャナユニットとを有する画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、複数枚の原稿の画像を読み取る際の操作性、読み取り効率等を向上させるために、原稿の画像を読み取るスキャナユニット上に、スキャナユニットに対して原稿を自動搬送する自動原稿搬送ユニット(ADFユニット)が設けられた画像読取装置が採用されている。このような画像読取装置では、通常、ADFユニットを使用することなく、スキャナユニットの上面に設けられたプラテンガラス上に操作者による手作業によって原稿がセットされるように、ADFユニットをスキャナユニットに対してヒンジ機構によって回動可能に連結する構成とされている。
【0003】
このような画像読取装置では、ADFユニットが上方に回動されると、スキャナユニットの上面は開放状態とされ、スキャナユニットのプラテンガラス上に操作者が原稿を手置きすることができる。しかし、ADFユニットを操作者の手作業によって上方に回動操作する場合には、ADFユニットが比較的重いために、操作者にとっては必ずしも容易な操作ではない。特に、高速搬送等の高機能を有するADFユニットは、部品点数が多いために大型化するとともに重量も増加しており、操作者にとっては、ADFユニットの回動操作がさらに大きな負担になっている。
【0004】
特許文献1には、原稿搬送装置(ADFユニット)が開放された状態から元の状態(閉状態)に戻ろうとする際に原稿搬送装置が急激に回動することを防止するために、原稿搬送装置に閉状態に戻ろうとする方向とは反対方向に負荷を加える構成が開示されている。このような構成により、原稿搬送装置が開放された状態から閉状態に戻ろうとする際に、原稿搬送装置がスキャナユニット等に衝突することが防止される。しかし、操作者が原稿搬送装置を開操作する場合には、従来と同様に、大きな力が必要であり、また、閉操作する場合にも大きな力が必要になる。
【0005】
特許文献2には、画像形成装置に対して所定位置に存在する使用者を使用者検知手段によって検知して、原稿押圧部(ADFユニット)を自動的に開閉させる構成が開示されている。また、特許文献3には、操作ボタンが押圧されることにより原稿搬送装置(ADFユニット)を自動開閉する構成において、原稿搬送装置の開閉角度に応じた開閉速度とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−359703号公報
【特許文献2】特開2008−203615号公報
【特許文献3】特開2007−243307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置では、一定時間以上の休止状態が継続することによって、電力供給を停止または減じる省電力モード(スリープモード)に遷移させ、操作者が操作パネル等を操作することによって、正常に動作できる状態にまで回復するように電力供給を行う通常電力モードに遷移させることが実施されている。このような構成では、特許文献2および特許文献3に開示されているように、省電力モードに遷移している場合には、ADFユニットが自動開閉するように操作者が操作ボタンを操作しても、ADFユニットは開閉動作しないことになる。このために、省電力モード時には、操作者は、自力によって原稿搬送装置を開閉操作する必要があり、操作者にとっての負担が大きいものとなる。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、省電力モードになっていても、操作者が自動原稿搬送装置を開閉操作する場合には、迅速に操作者の開閉操作を開閉駆動手段によって補助することができる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられ、前記スキャナユニットが、前記自動原稿搬送ユニットにて搬送される原稿と、前記スキャナユニット上のプラテンガラスに載置された原稿のいずれも読み取ることができる画像読取部と、前記スキャナユニットが読み取った原稿画像を電子写真プロセスの実行によってシート上に記録する画像形成装置本体と、操作者が前記自動原稿搬送ユニットを開閉する際に操作される開閉操作部と、操作者による前記開閉操作部の操作によって前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させる開閉駆動手段と、前記画像形成装置本体、前記画像読取部、前記開閉駆動手段の一定時間以上の休止状態の継続によって、それらへの電力供給を停止または減じる省電力モードに遷移させ、通常電力モード復帰信号によって、それらを正常に動作できる電力供給状態に回復した通常電力モードへ遷移させ、かつ、省電力モード時に前記開閉操作部が操作されると、前記開閉駆動手段を前記画像形成装置本体および前記画像読取部よりも優先して、正常に動作できる電力供給状態に回復させる処理を開始するモード遷移管理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置では、省電力モード時に、操作者が開閉操作部を開閉操作することによって、通常電力モードへ遷移するが、その場合には、開閉駆動手段が、優先的に、正常に動作できる状態まで回復する処理が開始されるために、操作者による開閉操作部の開閉操作に基づいて開閉駆動手段が迅速に開閉駆動される。これにより、操作者の負担を軽減することができる。
【0011】
好ましくは、前記開閉操作部は、前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させる際に、操作者によって、開方向および閉方向に圧力が加えられるように構成されており、前記開閉駆動手段は、前記開閉操作部に加えられる圧力に基づいて、当該圧力が減じる方向に、当該圧力の大きさに応じた開閉速度で、前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記開閉操作部が操作者に操作されることが、当該開閉操作部への操作者の操作動作を検出する操作動作検出手段、または、前記自動原稿搬送ユニットが開状態になったことを検出する開状態検出手段の少なくともいずれか一方によって検出されることを特徴とする。
好ましくは、前記開閉操作検出手段は、前記開閉操作部を操作するための操作者の手を、当該開閉操作部に触れる前に検出するように配置された非接触型のセンサであることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記モード遷移管理手段は、省電力モードから通常電力モードへ遷移している間に前記開閉操作部が操作されると、その時点で、前記開閉駆動手段を、正常に動作できる電力供給状態に回復させる処理を開始することを特徴とする。
好ましくは、前記開閉駆動手段は、省電力時に前記開閉操作部が操作されたときに、正常に動作できる電力供給状態に復帰した時点で、通常電力モード時に前記開閉操作部が操作されたときの前記自動原稿搬送ユニットの開閉速度よりも低速で開閉駆動させることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記画像形成装置本体、前記画像読取部の前記スキャナユニットおよび前記自動原稿搬送ユニットのそれぞれは、正常に動作できる電力供給状態に回復するまでの間に初期動作が行われ、前記開閉駆動手段は、前記自動原稿搬送ユニットの初期動作が行われる前に、開閉駆動可能な状態になることを特徴とする。
好ましくは、前記開閉駆動手段および前記画像読取部のそれぞれは、正常に動作できる電力供給状態に回復するまでの間に、前記画像形成装置本体との間で初期通信が行われ、前記開閉駆動手段は、前記画像読取部の前記自動原稿搬送ユニットと前記画像形成装置本体との間の初期通信が行われる前に、開閉駆動可能な状態になることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記画像形成装置本体は、前記開閉駆動手段および前記自動原稿搬送ユニットのそれぞれが正常に動作できる電力供給状態に回復した後に、前記自動原稿搬送ユニットとの初期通信を行って、前記開閉駆動手段の動作情報を取得することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるMFPの斜視図である。
【図2】本実施形態のMFPに設けられた画像読取装置の概略構成を示す正面側から見た模式図である。
【図3】そのMFPの側面の概略を示す模式図である。
【図4】(a)は、そのMFPの画像読取装置におけるADFユニットとスキャナユニットとの連結部におけるヒンジ機構の構成を説明するための側面模式図、(b)は、その動作説明図である。
【図5】(a)は、図1に示すMFPの側面の模式図、(b)は、その正面の模式図である。
【図6】ADFユニット本体に設けられた開閉操作部における圧力検出機構の概略構成を示す模式図である。
【図7】(a)は、操作者がADFユニットを開操作する場合において、操作者による開閉操作部の左右方向における操作位置と、第1圧力センサおよび第2圧力センサにて検出される圧力との関係を示すグラフ、(b)は、操作者がADFユニットを閉操作する場合において、操作者による開閉操作部の左右方向における操作位置と、第1圧力センサおよび第2圧力センサにて検出される圧力との関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態のMFPにおける制御系の主要部を示すブロック図である。
【図9】本実施形態のMFPにおける省電力モードと通常電力モードとの間のモード遷移を説明するための概念図である。
【図10】省電力モードから通常電力モードに復帰する場合の電力制御部によって実行される処理を示すフローチャートである。
【図11】通常電力復帰処理におけるシステムCPU、エンジンCPU、スキャナCPU、開閉CPU、ADF−CPUのそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートである。
【図12】通常電力復帰処理の実行時に、電力制御部に開閉優先電力復帰信号が入力された場合におけるシステムCPU、エンジンCPU、スキャナCPU、開閉CPU、ADF−CPUのそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートである。
【図13】省電力モードにおいて電力制御部に開閉優先電力復帰信号が入力された場合におけるシステムCPU、エンジンCPU、スキャナCPU、開閉CPU、ADF−CPUのそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートである。
【図14】開閉操作部が上方に開操作されて開閉駆動モータを正転駆動される場合における圧力検出値Pvと駆動速度Vとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<MFPの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例を示す斜視図である。この画像形成装置は、複写機、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの機能を有する複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)であり、ネットワークを介して、端末装置等とのデータの送受信が可能になっている。図1に示すように、このMFPは、記録用紙等の記録シート上にトナー画像を形成する画像形成装置本体Aと、画像形成装置本体A上に設けられた本発明の実施形態に係る画像読取装置Bとを備えている。画像読取装置Bは、原稿画像を読み取るスキャナユニット10と、スキャナユニット10上に設けられたADFユニット(自動原稿搬送ユニット)20とを備えている。
【0018】
画像読取装置Bを構成するADFユニット20は、スキャナユニット10に対して、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、スキャナユニット10の上面を閉鎖した状態で、画像を読み取るための原稿をスキャナユニット10に自動的に供給する。スキャナユニット10は、ADFユニット20によって供給される原稿の画像、または、操作者によって、ADFユニット20がスキャナユニット10の上面を開放した状態で、スキャナユニット10におけるプラテンガラス上の所定位置に手置きセットされた原稿の画像を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
【0019】
画像形成装置本体Aには、プリンタ部61と、プリンタ部61の下側に配置された給紙部62と、プリンタ部61の上側における一方の側部に配置された定着部63とが設けられており、給紙部62の記録シートがプリンタ部61に供給される。プリンタ部61では、スキャナユニット10にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して端末装置等から送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にカラーのトナー画像をプリントする。プリンタ部61によってトナー画像がプリントされた記録シートは、定着部63において記録シート上に熱定着され、定着部63の側方であってスキャナユニット10の下側に設けられた画像形成装置本体Aの排紙トレイ64上に排出される。
【0020】
スキャナユニット10の正面側部分には、各種情報の入力のために操作される操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部とが設けられている。表示部は、例えば液晶パネルによって構成されている。
ADFユニット20は、スキャナユニット10の上面を全体にわたって覆った閉状態から上方に回動されることによって開状態になるADFユニット本体21と、スキャナユニット10に搬送される原稿が載置されるようにADFユニット本体21に取り付けられた原稿給紙トレイ22と、操作者がADFユニット20を開閉操作する際に操作されるように、ADFユニット本体21の正面側の側面における左右方向のほぼ中央部に設けられた開閉操作部23とを有している。
【0021】
開閉操作部23は、ADFユニット20がスキャナユニット10の上面を閉鎖した状態では、ADFユニット本体21の正面側の側面から前方に水平状態で突出しており、操作パネル14における背面側部分の上方に位置される。このような状態では、操作者がADFユニット20の開操作するために開閉操作部23に手を伸ばす場合には、通常、操作パネル14の上方域を手が通過することになる。また、ADFユニット20が上方に回動された状態でも、操作者がADFユニット20の閉操作する場合には、操作パネル14の上方域を手が通過することになる。
【0022】
<ADFユニットの構成>
図2は、本実施形態の画像形成装置に設けられた画像読取装置Bの概略構成を示す正面側から見た模式図である。ADFユニット本体21の正面に向って左側(以下、単に「左側」とし、反対側を「右側」とする)の側部には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿が搬送される原稿搬送経路を内部に有する給紙本体部21aが設けられており、給紙本体部21aの下部には、内部に反転経路21pが形成された反転経路形成部21bが、給紙本体部21aから右側方に水平状態で延出するように設けられている。
【0023】
ADFユニット本体21の給紙本体部21aおよび反転経路形成部21bは、スキャナユニット10の上面をほぼ全域にわたって覆うように一体に構成されている。原稿給紙トレイ22は、反転経路形成部21bの上方において、左側の側部が下側になるように傾斜した状態で、給紙本体部21aの上部に取り付けられている。ADFユニット20は、スキャナユニット10に原稿の片面だけを読み取らせる片面読取モードと、原稿を反転させて原稿の両面(表面と裏面)をスキャナユニット10に順番に読み取らせる両面読取モードとを選択的に実行する構成になっており、片面読取モードの場合には、原稿が、原稿給紙トレイ22上に、スキャナユニット10にて読み取られる原稿面を上方に向けた状態で載置される。原稿給紙トレイ22には、載置される原稿を検出する原稿検知センサ29が設けられている。
【0024】
原稿給紙トレイ22上の原稿は、給紙本体部21a内に設けられたピックアップローラ21cによって、概略水平状態になった第1搬送経路21dに供給され、第1搬送経路21dを通って、給紙本体部21a内における左側上部に設けられた一対の第1レジストローラ21jへ供給される。第1レジストローラ21jは、第1搬送経路21dを通過した原稿を、半円状に湾曲した第2搬送経路21eを介して、給紙本体部21a内の左側の下部に設けられた一対の第1読取ローラ21fへ供給する。第1読取ローラ21fの右側の側方には、一対の第2読取ローラ21gが設けられており、第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に、搬送される原稿の原稿面を、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス16に対向させる開口部が設けられている。
【0025】
第2読取ローラ21gの右側上方には、概略水平状態で配置された第1分岐ガイド21hが設けられている。第1分岐ガイド21hは、第2読取ローラ21g側に位置する先端部が上下方向に回動することによって、第2読取ローラ21gから搬送される原稿を、第1分岐ガイド21hの下方の第4搬送経路21sを通過させて反転経路形成部21内の反転経路21pへ、一対の反転ローラ21zを介して搬送する状態と、第1分岐ガイド21hの上方を通過させて第1分岐ガイド21hの右側上方に近接して配置された一対の第2レジストローラ21kに供給する状態とに切り替えるようになっている。
【0026】
反転ローラ21zは正転および逆転可能になっており、反転ローラ21zの正転によって、原稿は反転経路21pへ搬送される。また、第2レジストローラ21kも、正転および逆転可能になっており、第2レジストローラ21kの正転により、原稿は、第2レジストローラ21kに近接して配置された第2分岐ガイド21mへ搬送される。第2分岐ガイド21mは、第2レジストローラ21kから搬送される原稿を、第2分岐ガイド21mの下側を通過させて一対の排紙ローラ21qへ搬送する状態と、第2分岐ガイド21mの上方および排紙ローラ21qの上方を通過させて原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド(図示せず)上に排出する状態とに切り替えられる。
【0027】
ADFユニット20が片面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、ピックアップローラ21cによって、第1搬送経路21dに供給されて、第1レジストローラ21jおよび第2搬送経路21eを介して第1読取ローラ21fへと搬送され、第1読取ローラ21fによって傾き補正されて、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス16上を通過する。原稿がスリットガラス16上を通過する間に、スキャナユニット10によって、原稿のスリットガラス16に対向する面の画像が読み取られる。その後、原稿は、第2レジストローラ21kによって、第1分岐ガイド21hへ搬送され、第1分岐ガイド21hの上方を通って、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送され、第2分岐ガイド21mの下方を通過することによって、排紙ローラ21qを介して、反転経路形成部21b上に設けられた原稿排出部上に排出される。
【0028】
ADFユニット20が両面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、片面読取モードの場合と同様に、第1搬送経路21dおよび第2搬送経路21eを通って、第2レジストローラ21kにまで搬送される。原稿がスリットガラス16上を通過する際には、スリットガラス16に対向する原稿面(第1面)の画像がスキャナユニット10にて読み取られる。第2レジストローラ21kに搬送された原稿は、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送される。このとき、第2分岐ガイド21mの上方を原稿が通過するように、第2分岐ガイド21mは切り替えられており、原稿は、第2分岐ガイド21mの上面に案内されて、原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド上に排出される。
【0029】
反転ガイド上に原稿を搬送する第2レジストローラ21kは、原稿の後端部が通過する直前に逆転駆動される。これにより原稿はスイッチバックして、第1搬送経路21dの下側に沿って設けられた第3搬送経路21nを通って、第1レジストローラ21jへと搬送される。その後、原稿は、表裏を反転した状態で、第2搬送経路21eを通過し、第1読取ローラ21fによってスリットガラス16の上方を搬送される。そして、スリットガラス16の上方を原稿が通過する間に、スリットガラス16に対向する原稿面(第2面)の画像がスキャナユニット10によって読み取られる。
【0030】
第2面の画像が読み取られた原稿は、第1分岐ガイド21hへ搬送される。この場合、第1分岐ガイド21hは、原稿が下側を通過するように切り替えられており、原稿は、第1分岐ガイド21hの下面に案内されて、第4搬送経路21sを通って、反転ローラ21zへ搬送され、反転ローラ21zの正転によって、反転経路形成部21b内の反転経路21pへと搬送される。反転ローラ21zは、原稿の後端が通過する直前に逆転駆動され、これにより、原稿はスイッチバックされて、排紙ローラ21qへと搬送され、排紙ローラ21qによって、反転経路形成部21b上の原稿排出部に排出される。
【0031】
<スキャナユニットの構成>
スキャナユニット10は、図2に示すように、扁平な長方体形状に形成されたハウジング11を備えており、このハウジング11の上面に、第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に対向するように前後方向に沿ってスリットガラス(プラテンガラス)16が配置されている。また、ハウジング11の上面には、スリットガラス16の左側の側方に配置された長方形状のプラテンガラス(コンタクトガラス)18が設けられている。プラテンガラス18は、スリットガラス16の前後方向(主走査方向)長さと同程度の前後方向長さを有するとともに、スリットガラス16に近接した位置からハウジング11の右側の端部近傍にわたる左右方向(副走査方向)長さを有している。
【0032】
ハウジング11の内部には、図2に矢印Xで示す副走査方向にスライド可能に構成された第1スライダー12が設けられており、この第1スライダー12に、線状光源12aが主走査方向に沿った状態で搭載されている。第1スライダー12は、通常は、スリットガラス16とプラテンガラス18との間のホームポジションに位置されており、ADFユニット20によって原稿が搬送される場合には、スキャナモータ43によって、スリットガラス16の下方のシートスルーポジションに移動されて停止される。これに対して、プラテンガラス18上の原稿を読み取る場合には、第1スライダー12は、スキャナモータ43によって、プラテンガラス18に沿って副走査方向に往復移動される。
【0033】
第1スライダー12には、スリットガラス16上を通過する原稿またはプラテンガラス18上に載置された原稿からの反射光を、矢印Xで示す方向とは反対方向に略直角に反射する第1ミラー12bが設けられている。第1スライダー12よりも左側の側方には、第1ミラー12bにて反射された光を、矢印X方向に反転させるように対になった第2ミラー13aおよび第3ミラー13bが搭載された第2スライダー13が設けられている。第2ミラー13aおよび第3ミラー13bによって矢印X方向に反転された光は、縮小レンズ(図示せず)を介して画像読取手段としてのCCD17に照射される。第2スライダー13は、プラテンガラス18上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、スキャナモータ43によって、第1スライダー12の移動に同期して、第1スライダー12の速度の1/2の速度で第1スライダー12と同方向に移動される。
【0034】
<画像読取装置におけるヒンジ機構の構成>
図3は、MFPの側面の概略を示す模式図である。画像読取装置BにおけるADFユニット20は、その背面側部分が、スキャナユニット10の背面側部分に対して、ヒンジ機構によって連結されて、正面側部分がスキャナユニット10に対して上下に回動できるようになっている。図4(a)は、そのヒンジ機構30の構成を説明するための側面模式図である。このヒンジ機構30は、スキャナユニット10の背面側の側部に取り付けられた固定側ヒンジ体31と、ADFユニット20の背面側の側部に取り付けられた回動側ヒンジ体32と、固定側ヒンジ体31および回動側ヒンジ体32の背面側の端部同士を回動可能に支持するヒンジ支点軸33とを有している。ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20を開閉するための開閉駆動モータ34の回転力が、一対のギア35および36を介して伝達されている。開閉駆動モータ34としては、例えばパルスモータが使用される。
【0035】
ADFユニット20に取り付けられた回動側ヒンジ体32は、開閉駆動モータ34が正転駆動されることによって、ヒンジ支点軸33を中心として、正面側の先端部が上方に向って回動される。これにより、ADFユニット20は、正面側の側縁部が上方に回動し、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面を開放する。ADFユニット20は、図4(b)に示すように、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に対して略直角な状態になるまで回動可能であるが、通常、ストッパー38によって、スキャナユニット10の上面に対して70°程度の開閉角度で停止されるように構成されている。開閉駆動モータ34が逆転駆動されると、ADFユニット20の正面側の側縁部は下方に回動される。ADFユニット20は、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に当接することによって回動が停止され、ハウジング11の上面に設けられたプラテンガラス18が閉鎖された状態になる。
【0036】
<ADFユニットの開状態検出器および開閉操作検出器>
図5(a)は、画像読取装置Bの側面の模式図、図5(b)は、その正面の模式図である。ヒンジ機構30によってADFユニット20が開閉可能に連結されたスキャナユニット10には、ADFユニット20が上方に回動されてスキャナユニット10の上面を開放した状態になっていることを検出する開状態検出器19が設けられている。開状態検出器19は、例えば、スキャナユニット10における正面側の右側端部に設けられたリードスイッチ19aと、ADFユニット20がスキャナユニット10の上面を閉鎖した状態になった場合にリードスイッチ19aに対向する位置に設けられた磁石19bとを備えている。
【0037】
操作パネル14には、ADFユニット20に設けられた開閉操作部23を操作するために操作パネル14上を通過する操作者の手等を検出するための一対の開閉操作検出器14aが設けられている。開閉操作検出器14aは、例えば、反射型センサ、測距センサ等によって構成されており、その上方を通過する操作者の手等を検出することによって所定信号を出力する。従って、開閉操作検出器14aは、操作者の手が開閉操作部23に触れる前に検出して所定信号を出力することができる。開状態検出器19および一対の開閉操作検出器14aは、後述するように、省電力モードにおいて開閉駆動モータ34を優先的に駆動可能にするための優先信号を出力する優先信号出力手段69を構成している。
【0038】
<圧力検出機構の構成>
ADFユニット20には、開閉操作部23に対して上方および下方に加えられる圧力を検出するための圧力検出機構が設けられている。図6は、開閉操作部23に加えられる圧力を検出する圧力検出機構の概略構成を示す模式図である。開閉操作部23は、ADFユニット20内に背面側部分が挿入された状態で、正面側部分が前方に突出しており、ADFユニット20内に挿入された部分が、圧力検出機構26によって上下方向に揺動可能な状態で、ADFユニット20に支持されている。
【0039】
圧力検出機構26は、ADFユニット20内に挿入された開閉操作部23の背面側部分の左側および右側のそれぞれの側方において、ADFユニット20内において固定的に取り付けられた第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bを備えている。第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれは、圧力検出面が下方に向けられており、それぞれの圧力検出面に、コイルスプリング26cおよび26dを介して、開閉操作部23を左右方向に貫通する支持体26eの左右の両側の端部がそれぞれ取り付けられている。開閉操作部23は、内部を左右方向に貫通する支持体26eに一体的に取り付けられている。
【0040】
支持体26eの左右の各端部は、コイルスプリング26cおよび26dのそれぞれによって懸架された状態になっており、各コイルスプリング26cおよび26dの伸縮範囲内において、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれに対して上下方向への揺動可能になっている。支持体26eと一体となった開閉操作部23は、ADFユニット本体21がスキャナユニット10の上面を閉鎖した水平状態になっている場合には水平状態になり、このような状態で、各コイルスプリング26cおよび26dによって、左右の各端部が上下方向に揺動するように構成されている。
【0041】
開閉操作部23が水平状態であって、操作者に操作されない状態では、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれには等しい圧力が加わっている。このような状態の場合に、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bにて検出される圧力をそれぞれ基準圧力値Poとし、操作者が開閉操作部23を操作した場合に、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bによって検出される圧力を、図7(a)および(b)に基づいて説明する。
【0042】
図7(a)は、操作者が開閉操作部23を上方に押圧してADFユニット20を上方に開操作する場合において、操作者による開閉操作部23の左右方向における操作位置と、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bにて検出される圧力PvLおよびPvRとの関係を示すグラフである。開閉操作部23における左右方向の中央位置(以下、この位置を操作の基準位置とする)に操作者が圧力2Puを上方に向って加えることによって得られる第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれにて検出される圧力PvLおよびPvRの平均値は、2Pu/2=Puになる。この平均値Puを開側平均圧力値とすると、開側平均圧力値Puは、開閉操作部23に圧力が加えられていない場合の圧力基準値Poよりも大きくなる。
【0043】
第1圧力センサ26aから出力される検出圧力PvLは、この開側平均圧力平均値Puを基準として、図7(a)に実線で示すように、操作位置が基準位置に対して第1圧力センサ26aに接近するにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して高くなり、基準位置に対して第1圧力センサ26aから離れるにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して低くなる。同様に、第2圧力センサ26bから出力される検出圧力PvRは、図7(a)に一点鎖線で示すように、操作位置が基準位置に対して第2圧力センサ26bに接近するにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して高くなり、基準位置に対して第2圧力センサ26bから離れるにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して低くなる。しかし、操作位置が変化しても、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれにて検出される圧力の平均値である開側平均圧力値Puは一定である。
【0044】
図7(b)は、操作者がADFユニット20を下方に回動させて閉操作する場合において、操作者による開閉操作部23の左右方向における操作位置と、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bにて検出される圧力PvLおよびPvRとの関係を示すグラフである。開閉操作部23における基準位置に操作者が圧力2Pdを下方に向って加えることによって得られる第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれにて検出される圧力PvLおよびPvRの平均値は、2Pd/2=Pdになる。この平均値Pdを閉側圧力平均値とすると、閉側圧力平均値Pdは、開閉操作部23に圧力が加えられていない場合の圧力基準値Poよりも小さくなる。
【0045】
第1圧力センサ26aから出力される検出圧力PvLは、図7(b)に実線で示すように、閉側圧力平均値Pdを基準として、操作位置が基準位置に対して第1圧力センサ26aに接近するにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して低くなり、基準位置に対して第1圧力センサ26aから離れるにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して高くなる。同様に、第2圧力センサ26bから出力される検出圧力PvRは、図7(b)に一点鎖線で示すように、操作位置が基準位置に対して第2圧力センサ26bに接近するにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して低くなり、基準位置に対して第2圧力センサ26bから離れるにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して高くなる。しかし、操作位置が変化しても、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれにて検出される圧力の平均値である閉側圧力平均値Pdは一定である。
【0046】
以上のことから、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bの検出圧力PvLおよびPvRの平均値が圧力基準値Poに対して変化した場合には、開閉操作部23が操作されたものと判断する。具体的には、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bにて検出されるそれぞれの圧力PvLおよびPvRの平均値{(PvL+PvR)/2}が、圧力基準値Poよりも大きくなっている場合には、開閉操作部23が開操作されたものと判断し、圧力基準値Poよりも小さくなっている場合には、開閉操作部23が閉操作されたものと判断する。また、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bにて検出されるそれぞれ圧力の合計(PvL+PvR)が、開閉操作部23に加わる圧力検出値Pvとして求められる。
【0047】
<制御系の構成>
図8は、本実施形態のMFPにおける制御系の主要部を示すブロック図である。画像形成装置本体Aには、MFP全体を制御するシステムCPU65が設けられるとともに、画像形成動作を制御するエンジンCPUと、MFP全体の電力供給を制御する電力ユニット67とが設けられている。電力ユニット67には、MFPにおけるそれぞれのCPUに対して出力される電力を制御する電力制御部67aが設けられている。電力制御部67aは、MFPに設けられたそれぞれのCPUに対して出力される電力を出力するシステムCPU電力出力部67b、エンジンCPU電力出力部67c、スキャナCPU電力出力部67d、開閉CPU電力出力部67e、ADF−CPU電力出力部67fを制御するようになっている。
【0048】
システムCPU65には、操作パネル14の出力、ADFユニット20に設けられた原稿検知センサ29の出力が与えられており、また、画像読取装置Bに設けられた開状態検出器19の出力も与えられている。さらに、システムCPU65には、LANを介してPC等の端末装置に接続されており、また、システムCPU65には、操作パネル14の操作によって各種情報も入力されるようになっている。システムCPU65は、端末装置または操作パネル14からのプリントジョブの指示を受け付けると、エンジンCPU66を制御して、受け付けられたジョブに基づく画像形成動作を実行させるようになっている。
【0049】
スキャナCPU41は、スキャナユニット10における画像読取動作を制御する。具体的には、スキャナCPU41は、スキャナモータ43を制御して、第1スライダー12および第2スライダー13を所定方向に所定の速度で移動させるとともに、CCD17にて読み取られた画像データを処理するように構成されている。システムCPU65は、スキャナCPU41と相互に通信可能になっており、画像データ等の各種情報、指示等を、システムCPU65に送信する。
【0050】
ADF−CPU51は、ADFユニット20における原稿搬送動作等を制御する。ADF−CPU51は、開閉CPU39およびシステムCPU65のそれぞれと相互に通信可能になっており、また、システムCPU65は、画像形成装置本体Aに設けられたエンジンCPU66とも相互に通信可能になっている。
開閉CPU39は、スキャナユニット10とADFユニット20とを連結するヒンジ機構30に設けられ、ADFユニット20の開閉を制御する。開閉CPU39は、ADF−CPU51との相互通信が可能であり、また、開閉駆動モータ34を駆動するモータ駆動IC46を制御することにより、ADFユニット20を開閉させる。さらに、開閉CPU39には、開閉操作部23に加えられる圧力を検出する圧力検出機構26の第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bのそれぞれの圧力検出値PvLおよびPvRが与えられている。ADF−CPU51には、原稿検知センサ29の出力が与えられている。
【0051】
電力制御部67aは、MFPの状態を監視し、その時の状態に応じたモードに遷移させる制御を行っている。図9は、MFPのモード遷移図を示している。図9に示すように、MFPは、通常電力モードM1と省電力モードM2の2状態の間で遷移可能になっている。通常電力モードM1とは、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51へ電力が供給されて、MFPの画像形成装置本体A、画像読取装置Bのスキャナユニット10およびADFユニット20のそれぞれの機能を正常に実行でき、直ちにプリントすることができる状態をいう。
【0052】
省電力モードM2とは、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51への電力供給が断たれ、また、定着部63の温度が所定の定着温度よりも低い温度で保持されている状態をいう。したがって、MFPが省電力モードM2にある場合には、プリントが指示されても直ちにプリントすることはできず、各CPUに電力が供給され、各CPUが正常に立ち上がると共に、定着部63が所定の定着温度まで加熱される通常電力モードM1に復帰するまで待たねばならない。なお、電力制御部67aも状態監視し、モード遷移動作を実行する制御を行うことからプロセッサを有しているが、省電力モードM2においても動作が保証されている。その動作は、後述するが、図10に示す制御処理である。
【0053】
通常電力モードM1から省電力モードM2への遷移は、全てのCPUに対して一定時間以上動作指示が与えられることなく、休止状態が続くことにより開始する。図8のハードウェア構成図で示すように、操作パネル14からは、システムCPU65へ操作信号が入力されているとともに、電力制御部67aへも、通常電力モード復帰信号Saとして直接入力されて、受け付けられるようになっている(図10)。また、電力制御部67aへは、優先信号出力手段69を構成する開状態検出器19の出力、一対の開閉操作検出器14aから出力される開閉優先電力復帰信号Sbも入力されている。
【0054】
なお、電力制御部67aには、図示していないが、ADFユニット20における原稿給紙トレイ22に設けられた原稿検知センサ29からの原稿検知信号、ADF−CPU51との通信による動作指示信号、あるいは、いずれかの端末装置からプリントジョブの指示信号、さらには、エンジンCPU66から出力されるカバーが開放されたことを示す信号等も、通常電力モード復帰信号Saとして入力されている。
【0055】
<ADFユニットの開閉動作>
このような構成のMFPでは、ADFユニット20が、操作者による開閉操作部23の操作によって開閉操作される場合に、開閉駆動モータ34によって、ADFユニット20に対して操作方向への駆動力を付与して、操作者が開閉操作部23に加える操作力を軽減するようになっている。この場合、開閉操作部23に加わる圧力に基づいて、ADFユニット20が開閉される場合に、所定の開閉速度になるように、ADF−CPU51によって、開閉駆動モータ34の駆動速度が制御される。
【0056】
前述したように、ADF−CPU51は、第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bの検出圧力PvLおよびPvRの平均値に基づいて、上方に開操作されたか、下方に閉操作されたかを判断し、上方に開操作されたと判断した場合には、開閉駆動モータ34を正転駆動し、下方に閉操作されたと判断した場合には、開閉駆動モータ34を逆転駆動する。ADF−CPU51には、ADFユニット20が上方に開操作される場合と、下方に閉操作される場合とのそれぞれにおいて、開閉操作部23に加わる目標圧力PuoおよびPdoがそれぞれ予め設定されており、圧力検出値Pv(=PvL+PvR)がそれぞれ目標圧力PuoおよびPdoになるように、開閉駆動モータ34の正転時および逆転時における駆動速度を制御して、ADFユニット20の上方および下方へのそれぞれの回動速度を制御する。
【0057】
図14は、開閉操作部23が上方に開操作されてADF−CPU51の制御によって開閉駆動モータ34が正転駆動される場合における第1圧力センサ26aおよび第2圧力センサ26bの圧力検出値PvLおよびPvRの合計Pvと、開閉駆動モータ34の駆動速度Vとの関係を示すグラフである。図14に示すように、開閉操作部23が上方に開操作される場合には、圧力検出値Pv(=PvL+PvR)が目標圧力Puoよりも所定値以上大きくなることによって、開閉駆動モータ34の所定の速度で正転駆動され、圧力検出値Pvと目標圧力Puoとの差が大きくなればなるほど、開閉駆動モータ34の正転駆動速度は速くなるように制御される。なお、開閉操作部23が下方に閉操作される場合には、圧力検出値Pv(=PvL+PvR)が目標圧力Pdoよりも所定値以上小さくなることによって、開閉駆動モータ34の所定の駆動速度で逆転され、圧力検出値Pvと目標圧力Pdoとの差が大きくなればなるほど、開閉駆動モータ34の逆転駆動速度は速くなるように制御される。
【0058】
ADF−CPU51には、開閉操作部23が開操作される場合における圧力検出値Pvと目標圧力値Puoとの差(Pv−Puo)に応じた開閉駆動モータ34の正転駆動速度Vunが設定されたテーブルが予め記憶されており、そのテーブルに基づいて、開閉駆動モータ34が制御される。開閉操作部23が下方に開操作された場合において開閉駆動モータ34が逆転駆動されるときの駆動速度Vdについても、圧力検出値Pvと目標圧力値Puoとの差(Pv−Puo)に応じて設定されたテーブルがADF−CPU51に設けられている。この場合には、開閉操作部23に加わる下方への圧力が大きくなるほど圧力検出値Pvが小さくなることから、圧力検出値Pvと目標圧力Puoとの差(Pv−Puo)が大きくなるほど、開閉駆動モータ34は駆動速度Vdが速くなるように設定されており、設定された駆動速度Vdで開閉駆動モータ34は逆転駆動される。
【0059】
このような構成のMFPでは、操作者が開閉操作部23を上方へ回動操作して、開閉操作部23に対して加えられる圧力の検出値Pvが目標圧力Puo以上になると、開閉駆動モータ34の正転駆動が開始される。その後も開閉操作部23に対する圧力が増加していると、開閉駆動モータ34の正転駆動速度は増加する。これにより、開閉操作部23に加わる圧力の検出値Pvが順次低下すると、開閉駆動モータ34の正転駆動速度も順次低下し、開閉操作部23に加わる圧力検出値Pvが目標圧力Puoよりも小さくなると、開閉駆動モータ34の駆動が停止される。
【0060】
以上のように、操作者が開閉操作部23に対して押し上げ圧力を加えて回動操作する場合に、圧力が大きいほど、ADFユニット20の開閉速度が速くなり、操作者は開閉操作部23に対して一定の圧力で操作することにより、ADFユニット20は、所定の回動速度で回動される。これにより、操作者の負担が軽減され、また、ストレスを感じるおそれもない。
【0061】
操作者が開閉操作部23に対して押し下げ圧力を加えて閉操作する場合も同様であり、開閉操作部23に対して目標圧力Pdo以下の圧力検出値Pvになると、開閉駆動モータ34の逆転駆動が開始され、目標圧力Pdoとの差が減少すると、開閉駆動モータ34の逆転駆動速度が減少し、圧力検出値Pvが目標圧力Pdoよりも大きくなると、開閉駆動モータ34の駆動が停止される。従って、操作者が開閉操作部23に下方への圧力を加える場合にも、操作者が開閉操作部23にほぼ一定の圧力を加えることにより、所定の回転速度で回動される。これにより、操作者の負担が軽減され、しかも、操作者がストレスを感じるおそれもない。
【0062】
<通常電力モードへの遷移制御>
このような構成のMFPでは、画像形成動作および画像読取動作を実行する場合には、電力ユニット67の電力制御部67aは、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、ADF−CPU51、開閉CPU39のそれぞれに所定の電力が供給されてそれぞれのCPUが動作可能状態になった通常電力モードとされ、また、画像形成装置本体Aおよび画像読取部Bが一定時間以上にわたって動作されない場合には、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、ADF−CPU51、開閉CPU39のそれぞれに電力が供給されない、または、供給される電力量が減じられた省電力モード(スリープモード)に遷移するようになっている。
【0063】
このような省電力モードから通常電力モードに復帰する場合に、モード遷移管理手段である電力制御部67aによって実行される処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
すべてのCPUに対して電力の供給が停止または減じられた省電力モードになっている場合に、電力制御部67aは、優先信号出力手段69を構成する開状態検出器19および一対の開閉操作検出器14aのいずれか1つがオン状態になることによって出力される開閉優先電力復帰信号Sbが与えられるかを常時監視しており(図10のステップS1)、開閉優先電力復帰信号Sbが与えられない場合(ステップS1において「NO」)には、通常電力モード復帰信号Saが入力されているかを判断する(ステップS2)。そして、通常電力モード復帰信号Saが入力された場合(ステップS2において「YES」)には、ステップS4に進んで、通常電力モードに遷移させるための通常電力復帰処理を実行する。このために、まず、システムCPU電力出力部67bからの電力供給を開始させる。
【0064】
図11は、省電力モードから通常電力モードへ遷移する際に、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートである。システムCPU65は、システムCPU電力出力部67bから電力が供給されると、システムCPU65自体の初期化処理を実行することになる。
【0065】
電力制御部67aは、システムCPU電力出力部67bからの電力供給を開始させると、ステップS5に進んで、所定時間が経過するのを待って(ステップS5において「YES」)、ステップS6に進んで、エンジンCPU電力出力部67cからの電力供給を開始する。これにより、図11のタイムチャートに示すように、エンジンCPU66は初期化処理を開始する。画像形成装置本体Aは、エンジンCPU66の初期化処理が終了すると、エンジンCPU66の指示によって、初期動作を実行した後に、定着部63のウォームアップ動作を実行する。また、エンジンCPU66が定着部63のウォームアップを実行している間は、システムCPU65では初期化処理が終了していないために、初期化処理が継続して実行され、定着部63のウォームアップ動作が終了するまでに、システムCPU65の初期化処理は終了することになる。一方、エンジンCPU66は、定着部63でのウォームアップ動作が終了すると、システムCPU65からの画像データに基づいて、画像形成装置本体Aでの画像安定化処理を指示する。
【0066】
なお、電力制御部67aでは、ステップS5において所定時間が経過するまでに(ステップS5において「NO」)、開閉優先電力復帰信号Sbが入力されると(ステップS10において「YES」)、開閉CPU39による制御が優先的に実行できるように、開閉CPU電力出力部67eからの電力供給を優先して開始し(ステップS11)、その後に、ステップS6に進んでエンジンCPU電力出力部67cからの電力供給を開始させることになる。なお、この場合の開閉CPU39における動作については後述する。
【0067】
電力制御部67aは、ステップS6において、エンジンCPU電力出力部67bからの電力供給を開始させると、エンジンCPU66による定着部63のウォームアップが完了するまでの間、開閉優先電力復帰信号Sbが入力されなければ(ステップS12において「NO」)、待機状態になり(ステップS7)、ウォームアップが完了すると(ステップS7において「YES」)、開閉CPU電力出力部67eによる電力の供給が開始されていないことを確認して(ステップS8において「NO」)、スキャナCPU電力出力部67d、開閉CPU電力出力部67e、ADF−CPU電力出力部67fからの電力供給をそれぞれ開始させる(ステップS9)。これにより、図11に示すように、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51は、それぞれにおいて初期化処理が開始される。
【0068】
この場合、すでに開閉CPU電力出力部67eによる電力の供給が開始されている場合(ステップS8において「YES」)には、スキャナCPU電力出力部67dおよびADF−CPU電力出力部67fからの電力供給のみをそれぞれ開始させることになる(ステップS14)。これにより、スキャナCPU41およびADF−CPU51は、それぞれにおいて初期化処理を開始する。なお、電力制御部67aでは、ステップS2の入力以降であって、ステップS7において定着部63のウォームアップが完了するまでに(ステップS7において「NO」)、開閉優先電力復帰信号Sbが入力されると(ステップS10において「YES」)、この場合にも、開閉CPU39による制御を、未だ、電力供給が開始されていないスキャナCPU41およびADF−CPU51よりも動作開始を優先させるために、開閉CPU電力出力部67eからの電力供給を優先させ(ステップS13)、定着部63のウォームアップが完了すれば、ステップS8に進むことになる。
【0069】
図11に示すように、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれでは、初期化処理が終了すると、システムCPU65およびエンジンCPU66による画像安定化処理も終了した状態になっており、システムCPU65とエンジンCPU66との間の初期通信、システムCPU65とスキャナCPU41との間の初期通信、システムCPU65とADF−CPU51との間の初期通信、ADF−CPU51と開閉CPU39との間の初期通信がそれぞれ実行される。
【0070】
これらの初期通信がそれぞれ実行されると、スキャナCPU41およびADF−CPU51では、それぞれ初期動作、例えば、スキャナユニット10においては光学系のホームポジションへの移動、シェーディング補正、故障検出等、ADFユニット20においては原稿の紙詰まり検出、故障検出等の各種動作を実行し、それぞれの初期動作が実行された後に、開閉CPU39は、開閉駆動モータ34を制御することが可能な状態になる。従って、このような状態で、圧力検出機構26の第1圧力センサ26aおよび26bによって操作者の圧力が検出されると、検出された圧力に基づく開閉速度で、開閉駆動モータ34が回転駆動されることになる。
【0071】
なお、スキャナCPU41およびADF−CPU51の初期動作が終了すると、ADF−CPU51は、開閉CPU39と通信するとともにシステムCPU65と通信して、開閉CPU39から得られる情報を、システムCPU65に送信するようになっている。これにより、スキャナCPU41、ADF−CPU51、開閉CPU39のそれぞれによって指示されて、画像形成装置本体Aおよび画像読取部Bによって実行された初期動作において異常の有無等の情報が、システムCPU65に与えられて、システムCPU65がその情報(動作情報)を管理する。
【0072】
図12は、ステップS10およびステップS12において電力制御部67aに開閉優先電力復帰信号Sbが入力された場合におけるシステムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートである。図12に示すように、システムCPU65およびエンジンCPU66のそれぞれに対して電力供給が開始された省電力モードから通常電力モードへの遷移時に、電力制御部67aに開閉優先電力復帰信号Sbが入力されると、電力制御部67aは、直ちに開閉CPU電力出力部67eによる電力供給を開始させる。これにより、開閉CPU39は、初期化処理を実行し、初期化処理が終了することにより、開閉駆動モータ34の制御が可能な状態になる。
【0073】
この場合には、エンジンCPU66による定着部63のウォームアップの完了後に、スキャナCPU電力出力部67dおよびADF−CPU電力出力部67fによる電力供給がそれぞれ開始され、スキャナCPU41およびADF−CPU51は、それぞれにおいて初期化処理を実行する。そして、スキャナCPU41およびADF−CPU51の初期化処理を終了し、また、システムCPU65およびエンジンCPU66による画像安定化処理すると、以降は、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれは、図11に示すタイムチャートと同様に動作することになる。
【0074】
なお、このように、省電力モードから通常電力モードへの遷移時に、圧力検出機構26によって操作者の圧力が検出された場合には、開閉CPU39におけるCPU初期化処理が終了するまでは、開閉駆動モータ34は回転駆動されないが、開閉CPU39における初期化処理が終了すると直ちに開閉駆動モータ34が回転駆動され、ADFユニット20が開閉駆動されることになる。これにより、操作者の開閉操作の負担は迅速に軽減されることになる。
【0075】
また、この場合には、圧力検出機構26による検出圧力Pvに対する開閉駆動モータ34の回転駆動速度V(図14の実線)を、図14に破線で示すように、通常電力モード時よりも低速にするようになっている。これにより、操作者が、すでにADFユニット20の開閉操作を実行して、ADFユニット20が開閉されている状態において、ADFユニット20が高速で開閉されることが防止され、操作者が、ADFユニット20が急激に回動されることに対する違和感、ストレス等を感じることを軽減することができる。
【0076】
以上の通常電力モードへの復帰処理に対して、図10に示すフローチャートのステップS1において、開閉優先電力復帰信号Sbが電力制御部67aに入力された場合には、電力制御部67aは、ステップS22に進んで、開閉CPU39によるADFユニット20の開閉動作を優先させるための開閉優先電力復帰処理を実行し、開閉CPU電力出力部67eから開閉CPU39への電力供給を優先的に開始する。
【0077】
開閉優先電力復帰処理において、システムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれにおいて実行される処理のタイムチャートを図13に示す。図13に示すように、開閉CPU39は、開閉CPU電力出力部67eから電力が供給されると、初期化処理を実行し、初期化処理が終了することによって、開閉駆動モータ34の制御が可能な状態になる。
【0078】
図10に戻り、電力制御部67aは、開閉CPU電力出力部67eから電力が開始されてから、開閉CPU39の初期化処理に要する所定時間が経過するのを待って(ステップS23において「YES」)、システムCPU電力出力部67bによる電力供給を開始する。システムCPU65は、システムCPU電力出力部67bから電力が供給されると、システムCPU65自体の初期化処理を実行する。電力制御部67aは、システムCPU電力出力部67bからの電力供給を開始させると、ステップS25に進んで、所定時間が経過するのを待って(ステップS25において「YES」)、ステップS26に進んで、エンジンCPU電力出力部67cからの電力供給を開始させる。以降のシステムCPU65およびエンジンCPU66における動作は、図11に示すタイムチャートの場合と同様である。
【0079】
電力制御部67aは、エンジンCPU電力出力部67cからの電力供給を開始させると、エンジンCPU66によるウォームアップが終了したことを確認して(ステップS27において「YES」)、スキャナCPU電力出力部67dおよびADF−CPU電力出力部67fからの電力供給をそれぞれ開始させる(ステップS14)。これにより、スキャナCPU41およびADF−CPU51は、それぞれにおいて起動処理を開始する。
【0080】
スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれでは、電力供給の開始によって実行された初期化処理が終了すると、システムCPU65およびエンジンCPU66による画像安定化処理も終了した状態になっており、システムCPU65とエンジンCPU66との間の初期通信、システムCPU65とスキャナCPU41との間の初期通信、システムCPU65とADF−CPU51との間の初期通信、ADF−CPU51と開閉CPU39との間の初期通信がそれぞれ実行される。初期通信が実行された後のシステムCPU65、エンジンCPU66、スキャナCPU41、開閉CPU39、ADF−CPU51のそれぞれ動作は、図11に示すタイムチャートの場合と同様である。
【0081】
このように、省電力モードにおいて開閉優先電力復帰信号Sbが入力されて開閉優先電力復帰処理が実行される場合には、開閉CPU39に優先的に電力が供給されて、開閉アシスト動作が直ちに実行可能な状態になるために、操作者が開閉操作部23を操作してADFユニット20を回動させると、直ちに開閉駆動モータ34が回転駆動されることになる。この場合にも、図10に破線で示すように、圧力検出機構26によって検出される圧力値Pvに対応する所定の回転速度V(通常電力モード時よりも低速)になるように制御される。
【0082】
以上のように、本実施形態のMFPでは、操作者がADFユニット20を開閉操作する場合に、ADFユニット20が開閉駆動モータ34によって開閉駆動される構成において、省電力モードで操作者がADFユニット20を開閉操作すると、開閉CPU39が他のCPUよりも優先的に電力が供給されるために、ADFユニット20の開閉駆動が、より速く開始されるようになり、操作者にとって、ADFユニット20の開閉駆動が開始されるまでの時間が短縮され、使い勝手がよくなる。
【0083】
なお、上記の実施形態では、操作者が開閉操作部23を開閉操作する際の開閉操作部23に加わる圧力に基づいて、開閉駆動モータ34の開閉速度を変更して、操作者の開閉操作をアシストする構成であったが、本発明はそのような構成に限らず、例えば、開閉駆動モータ34の正転および逆転させるためのスイッチ(開閉操作部)を操作者が操作することによって、開閉駆動モータ34が駆動されてADFユニット20が開閉駆動される構成の場合にも本発明は適用できる。この場合にも、省電力モード時に開閉を指示するスイッチが操作者によって操作されることにより、開閉駆動モータ34が優先的に駆動されることになり、ADFユニット20が開閉駆動されるまでの待ち時間が短縮されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、原稿を自動搬送する自動原稿搬送(ADF)ユニットと、ADFユニットによって搬送される原稿等の画像を読み取るスキャナユニットとがヒンジ機構によって開閉自在に構成された画像読取装置において、省電力モードになっている場合にも、迅速に開閉駆動手段を駆動することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 スキャナユニット
14a 開閉操作検出器
16 スリットガラス
17 CCD
18 プラテンガラス
19 開状態検出器
20 ADFユニット
21 ADFユニット本体
22 原稿給紙トレイ
23 開閉操作部
26 圧力検出機構
26a 第1圧力センサ
26a 第2圧力センサ
29 原稿検知センサ
30 ヒンジ機構
31 固定側ヒンジ体
32 回動側ヒンジ体
33 ヒンジ支点軸
34 開閉駆動モータ
39 開閉CPU
41 スキャナCPU
43 スキャナモータ
51 ADF−CPU
61 プリンタ部
62 給紙部
63 定着部
65 システムCPU
66 エンジンCPU
67 電力ユニット
67a 電力制御部
67b システムCPU電力出力部、
67c エンジンCPU電力出力部
67d スキャナCPU電力出力部
67e 開閉CPU電力出力部
67f ADF−CPU電力出力部
69 優先信号出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナユニット上に、自動原稿搬送ユニットがヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられ、前記スキャナユニットが、前記自動原稿搬送ユニットにて搬送される原稿と、前記スキャナユニット上のプラテンガラスに載置された原稿のいずれも読み取ることができる画像読取部と、
前記スキャナユニットが読み取った原稿画像を電子写真プロセスの実行によってシート上に記録する画像形成装置本体と、
操作者が前記自動原稿搬送ユニットを開閉する際に操作される開閉操作部と、
操作者による前記開閉操作部の操作によって前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させる開閉駆動手段と、
前記画像形成装置本体、前記画像読取部、前記開閉駆動手段の一定時間以上の休止状態の継続によって、それらへの電力供給を停止または減じる省電力モードに遷移させ、通常電力モード復帰信号によって、それらを正常に動作できる電力供給状態に回復した通常電力モードへ遷移させ、かつ、省電力モード時に前記開閉操作部が操作されると、前記開閉駆動手段を前記画像形成装置本体および前記画像読取部よりも優先して、正常に動作できる電力供給状態に回復させる処理を開始するモード遷移管理手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉操作部は、前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させる際に、操作者によって、開方向および閉方向に圧力が加えられるように構成されており、
前記開閉駆動手段は、前記開閉操作部に加えられる圧力に基づいて、当該圧力が減じる方向に、当該圧力の大きさに応じた開閉速度で、前記自動原稿搬送ユニットを開閉動作させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉操作部が操作者に操作されることが、当該開閉操作部への操作者の操作動作を検出する操作動作検出手段、または、前記自動原稿搬送ユニットが開状態になったことを検出する開状態検出手段の少なくともいずれか一方によって検出されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉操作検出手段は、前記開閉操作部を操作するための操作者の手を、当該開閉操作部に触れる前に検出するように配置された非接触型のセンサであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記モード遷移管理手段は、省電力モードから通常電力モードへ遷移している間に前記開閉操作部が操作されると、その時点で、前記開閉駆動手段を、正常に動作できる電力供給状態に回復させる処理を開始することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開閉駆動手段は、省電力時に前記開閉操作部が操作されたときに、正常に動作できる電力供給状態に復帰した時点で、通常電力モード時に前記開閉操作部が操作されたときの前記自動原稿搬送ユニットの開閉速度よりも低速で開閉駆動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置本体、前記画像読取部の前記スキャナユニットおよび前記自動原稿搬送ユニットのそれぞれは、正常に動作できる電力供給状態に回復するまでの間に初期動作が行われ、前記開閉駆動手段は、前記自動原稿搬送ユニットの初期動作が行われる前に、開閉駆動可能な状態になることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉駆動手段および前記画像読取部のそれぞれは、正常に動作できる電力供給状態に回復するまでの間に、前記画像形成装置本体との間で初期通信が行われ、前記開閉駆動手段は、前記画像読取部の前記自動原稿搬送ユニットと前記画像形成装置本体との間の初期通信が行われる前に、開閉駆動可能な状態になることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置本体は、前記開閉駆動手段および前記自動原稿搬送ユニットのそれぞれが正常に動作できる電力供給状態に回復した後に、前記自動原稿搬送ユニットとの初期通信を行って、前記開閉駆動手段の動作情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−226432(P2010−226432A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71532(P2009−71532)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】