説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置に組み込まれている複数の消耗部品を出来るだけ有効に利用できる仕組みを提供する。
【解決手段】第1の消耗部品と第2の消耗部品を備えた画像形成装置において、第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定基準と、第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定基準と、第1の判定基準に基づいて第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定手段と、第2の判定基準に基づいて第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定手段と、第1の判定手段と第2の判定手段の判定結果を表示する表示部を備えており、第1の判定基準は所望の画質を保証し得る消耗度に対応した画質保証基準を消耗度判断基準として備えており、第1の消耗部品の消耗度が上記画質保証基準に達したことを第1の判定手段が判断したときに表示部は画質の劣化を警告する表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の消耗部品を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置は種々の消耗部品、例えば、感光体や現像器を備えており、これら感光体や現像器にはそれらを交換しなければならない基準値がそれぞれに決められている。また、感光体と現像器を含む複数の部品を一体的に構成し且つ交換するように設計された画像形成ユニットでは、感光体と現像器のそれぞれに決められ寿命判定基準が設けてあり、それらの寿命判定基準に基づいて画像形成ユニットの交換を促している。例えば、感光体は回転時間をもとに寿命を管理し、現像器は駆動時間をもとに寿命を管理することが行われる。その理由は、感光体はその回転時間の増加とともに電荷保持能力が低下し、また、現像器はその駆動時間の増加とともに現像剤に電荷を付与する効率が低下し、非画像部に不要な現像剤の付着する現象(いわゆる「かぶり」)を招来するからである。
【0003】
このような観点から、感光体と現像器にはそれぞれ回転時間と駆動時間をもとにそれぞれのライフ値(ユーザに交換を促すための基準値)、ライフストップ値(ユーザの使用を禁止するための基準値)が決められている。しかし、感光体のライフ値と現像器のライフ値は異なる意味を有する。具体的に、感光体のライフ値は、現像器がライフ値に達して現像剤の電荷付与能力が低下した状態でも感光体の電荷保持能力によってかぶりが防止できるように、より安全側に決められている。そのため、現像器の駆動時間がライフ値に達していても、感光体の回転時間がライフ値に達していなければ、かぶりの無い画像は依然として形成可能であり、その状態で画像形成ユニットは十分に使用可能である。
【0004】
しかし、従来の画像形成装置では、感光体又は現像器のいずれか一方の寿命がライフ値に達した時点でユーザに交換を促す警告表示を行っている。そのため、実際には未だ使用可能であるにも拘わらず早期に画像形成ユニットが交換されてしまう、という事態が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、画像形成装置に組み込まれている複数の消耗部品を出来るだけ有効に利用できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明は、第1の消耗部品と第2の消耗部品を備えた画像形成装置において、
上記第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定基準と、
上記第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定基準と、
上記第1の判定基準に基づいて第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定手段と、
上記第2の判定基準に基づいて第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定手段と、
上記第1の判定手段と上記第2の判定手段の判定結果を表示する表示部を備えており、
上記第1の判定基準は、所望の画質を保証し得る消耗度に対応した画質保証基準を消耗度判断基準として備えており、
上記第1の消耗部品の消耗度が上記画質保証基準に達したことを上記第1の判定手段が判断したとき、上記表示部は画質の劣化を警告する表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような構成を備えた画像形成装置によれば、消耗部品の交換を促す表示の前に、画質の劣化を警告する表示が行われるため、消耗部品の交換を促す警告を遅らせるとともに、他方では画質の劣化を警告することができる。そのため、画質の劣化が確認されたとき、その原因が消耗部品の消耗度が寿命近くになったことにあることを認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。図示する画像形成装置10は、いわゆるタンデム型のフルカラープリンタである。ただし、本発明の画像形成装置はプリンタに限るものでなく、複写機、ファクシミリ、複合機などの各種の画像形成装置を含むものである。
【0010】
〔1.画像形成装置の構成と動作〕
画像形成装置10の構成をフルカラー画像形成動作とともに説明する。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像剤(以下、「トナー」という。)を用いてフルカラー画像を形成する場合、それらの4色に対応した4つの画像形成ユニット12でそれぞれの色に対応したトナー像が形成される。具体的に説明すると、各画像形成ユニット12には感光体14と現像器16が組み込まれており、図示しない画像露光装置から出射された光が各感光体14上に照射されて静電潜像が形成され、その静電潜像に現像器16からトナーが供給されてトナー像が形成される。各画像形成ユニット12で形成されたトナー像は、無端状の転写ベルト18上に順次転写されて重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。次に、フルカラーのトナー像は、転写ベルト18と転写装置20が対向する領域で、給紙部22から供給された媒体(例えば紙)に転写される。トナー像が転写された媒体は定着装置24に搬送され、そこでトナー像が加熱定着されて、排紙部26に排出される。
【0011】
〔2.画像形成ユニット〕
画像形成ユニット12は、感光体14と現像器16を一体的に備えている。その他、画像形成ユニット12には、感光体14に電荷を付与するための帯電器、感光体14から未転写のトナーを回収する回収器(クリーナ)を一体的に組み込むこともある。
【0012】
これら複数の部品のうち、感光体14と現像器16の寿命は異なるパラメータによって管理される。例えば、感光体14の寿命はその回転時間で管理され、現像器16の寿命は駆動時間で管理される。以下、これらの寿命管理について具体的に説明する。
【0013】
〔3.寿命管理〕
寿命管理に関連する画像形成装置10と画像形成ユニット12の構成を図2に示す。図示するように、画像形成装置10は、CPU28、ROM30、RAM32、I/Oインターフェイス34、表示部36,38、バッファメモリ40を有し、画像形成ユニット12はメモリ42を有する。画像形成ユニット12のメモリ42には、感光体14と現像器16の寿命管理に必要な情報として感光体14の回転数と現像器16の駆動時間が記憶されている。
【0014】
このような構成により、画像形成ユニット12が画像形成装置10に装着されると、CPU28はそのI/Oインターフェイス34を介して画像形成ユニット12の寿命情報を取得する。取得された寿命情報は、例えばバッファメモリ40に格納され、画像形成装置10の画像形成とともに寿命情報が更新される。更新された寿命情報は、I/Oインターフェイス34を介して画像形成ユニット12のメモリ42に送信され、メモリ42内の寿命情報が更新される。したがって、例えば画像形成ユニット12が一つの又は複数の画像形成装置10に着脱されることがあっても、その画像形成ユニット12の寿命情報(消耗度)は常に管理可能である。
【0015】
〔3.1:全体制御〕
CPU28の全体的な制御を図3のフローチャートに示す。この図に沿って順番に説明すると、まず画像形成装置10が電源に接続されると、CPU28が画像形成等に必要な情報をROM30、RAM32から取得し、画像形成装置10に組み込まれている装置又は画像形成装置10に付設されている装置を初期化する(S1)。次に、I/Oインターフェイス34を通じて、画像形成装置10に接続されている外部装置(例えば、ネットワーク、コンピュータ等)から必要な情報を取得するとともにそれらの外部装置に必要な情報を提供する(S2)。次に、画像形成装置10に印刷を開始する信号が外部装置からI/Oインターフェイス34を通じて入力されると、CPU28は印刷処理(上述の画像形成処理)を実行する(S4)。印刷処理が終了すると、その他の必要な処理(S5)を行った後、各画像形成ユニット12の寿命判定処理を実行する(S6)。
【0016】
〔3.2:印刷制御〕
印刷処理(S3)の具体的な処理内容を図4のフローチャートに示す。印刷処理(S3)では、まず印刷制御ステータスの状態を判定する。印刷制御ステータスは、「待機中」、「印刷中」、「印刷終了」の3つのステータスを含む。いま印刷制御ステータスが「待機中」の場合、電子写真プロセスを起動するために必要な処理(印刷起動処理)が実行される(S302)。具体的に、印刷起動処理(S302)では、感光体14を回転する処理、現像器16を駆動する処理が実行される。次に、画像形成装置10における印刷(画像形成)が起動(開始)したか否か判断し(S303)、起動していなければ「待機中」のステータスを維持し、起動すればステータスを「待機中」から「印刷中」に変更し(S304)、寿命管理制御(S311)を実行し、最後にその他の印刷制御(S312)を実行する。後に説明するが、寿命管理処理(S311)では、感光体14の回転数と現像器16の駆動時間をもとに、画像形成ユニット12の寿命が判定される。
【0017】
印刷制御ステータスが「印刷中」の場合、印刷処理を実行し(S305)、印刷処理の終了を判断し(S306)、印刷処理が終了すればステータスを「印刷終了」に変更し(S307)、寿命管理制御(S311)に進む。ステータスが「印刷終了」に変更されると、印刷終了処理を実行し(S308)、印刷終了処理が終了したか否か判定し(S309)、印刷終了処理が終了するとステータスを「待機中」に変更し(S310)、寿命管理制御(S311)に進む。
【0018】
〔3.3:寿命管理制御〕
寿命管理制御(S311)の具体的な処理内容を図5のフローチャートに示す。寿命管理制御(S311)では、感光体14が回転中か否か判断する(S401)。感光体14が回転中の場合、感光体回転時間をカウントアップする(S402)。感光体の回転時間は、例えばCPU28によって制御される感光体14を駆動するモータ(図示せず)の駆動時間を計時することによって得られる。次に、感光体14の回転時間をもとに感光体14の寿命(消耗度)を判断する(S403)。後に説明するが、画像形成装置10は感光体の寿命判断のための複数の段階的な寿命レベルをROM30に記憶しており、それらの基準に基づいて感光体14がどの寿命レベルにあるかを判断する。次に、CPU28は、印刷処理が完了したか否か判断し(S404)、印刷処理が完了すると現像器16の印刷枚数をカウントアップする(S405)。印刷枚数は現像器の駆動時間にほぼ比例している。したがって、現像器の印刷枚数から現像器の寿命を判断できる。もちろん、印刷枚数に代えて、現像器に収容されている現像ローラ等の回転体の回転時間(駆動時間)を計時することによって、現像器の寿命を判断することもできる。次に、CPU28は、現像器16の印刷枚数(駆動時間)をもとに現像器16の寿命(消耗度)を判断する(S406)。後に説明するが、画像形成装置10は現像器の寿命判断のための複数の寿命レベルを備えており、それらの基準に基づいて現像器16がどの寿命レベルにあるかを判断する。最後に、CPU28は、感光体14と現像器16のそれぞれの寿命判断結果をもとに、画像形成ユニット12の寿命を判断する(S407)。
【0019】
〔3.4:感光体寿命判断〕
感光体寿命判断(S403)の具体的な処理内容を図6のフローチャートに示す。感光体寿命判断(S403)では、感光体回転時間を取得し(S501)、感光体回転時間が第1、第2、第3の閾値(感光体寿命判定基準)を越えているか否か判断する(S502,S503,S504)。第1〜第3の閾値は、感光体だけの劣化を考慮して(すなわち、現像器の劣化は無いものとして)決められており、第1の閾値は感光体(及び画像形成ユニット)が良好な画質を保証できる最低基準であり、第2の閾値は感光体(及び画像形成ユニット)の交換をユーザに促す基準であり、第3の閾値は感光体(及び画像形成ユニット)の使用を禁止する基準である。例えば、第1の閾値は「5400分」、第2の閾値は「5500分」、第3の閾値は「5600分」に設定される。そして、感光体回転時間が第1の閾値未満であれば感光体寿命レベルを「0」(S508)、感光体回転時間が第1の閾値以上で第2の閾値未満であれば感光体寿命レベルを「1(画質警告)」(S507)、感光体回転時間が第2の閾値以上で第3の閾値未満であれば感光体寿命レベルを「2(寿命警告)」(S506)、感光体回転時間が第3の閾値に達すると感光体寿命レベルを「3(寿命停止)」(S505)に設定する。
【0020】
〔3.5:現像器寿命判断〕
現像器寿命判断(S407)の具体的な処理内容を図7のフローチャートに示す。現像器寿命判断(S407)では、現像器印刷枚数を取得し(S601)、現像器印刷枚数が第1、第2の閾値(現像器寿命判定基準)を越えているか否か判断する(S602,S603)。第1、第2の閾値は、現像器だけの劣化を考慮して(すなわち、感光体の劣化は無いものとして)決められており、第1の閾値は現像器(及び画像形成ユニット)が交換をユーザに促す基準であり、第2の閾値は現像器(及び画像形成ユニット)の使用を禁止する基準である。例えば、第1の閾値は「15万枚」、第2の閾値は「16万枚」に設定される。そして、現像器印刷枚数が第1の閾値未満であれば現像器寿命レベルを「0」(S606)、現像器印刷枚数が第1の閾値以上で第2の閾値未満であれば現像器寿命レベルを「1(寿命警告)」(S605)、現像器印刷枚数が第2の閾値に達すると現像器寿命レベルを「2(寿命停止)」(S604)に設定する。
【0021】
〔3.6:画像形成ユニットの寿命判断〕
画像形成ユニットの寿命判断(S407)を図8の表を参照して説明する。画像形成装置10のROM30には、図8の表に対応するデータが格納されている。この表において、横軸は感光体寿命レベル(感光体回転時間)、縦軸は現像器寿命レベル(印刷枚数)を表しており、これら感光体寿命レベルと現像器寿命レベルの組み合わせに基づいて、CPU28は画像形成ユニット12の寿命を判断する。
【0022】
具体的に、感光体寿命レベルが「0」で且つ現像器寿命レベルが「0」の場合、警告表示は行わない。以下、画像形成ユニットの寿命レベル(ユニット寿命レベル)を、感光体寿命レベル「X」と現像器寿命レベル「Y」を組み合わせた記号〔X,Y〕で表示する。
【0023】
ユニット寿命レベルが〔1,0〕の場合、CPU28は「画質警告」(実際は、対応する記号)を第1表示部36(図2参照)に表示する。第1表示部36は、オペレータ(サービスマン)が画像形成装置10の操作パネル(図示せず)を操作して表示される表示部であって、通常の使用状態では表示されないものである。したがって、この状態でユーザは画像形成ユニット12の寿命(消耗度)が画質保証範囲外にあることは知り得ない。しかし、ユーザが画像形成装置で実際に作成された画質の不良に気が付いてオペレータに通知すると、オペレータは第1表示部36を起動して「画質警告」の有無を確認することにより、画質の不良が感光体の寿命に起因するものであることを知ることができる。具体的に、第1表示部36の画質警告の一例を図11に示す。この図に表示された「L−1」、「L−2」、「L−3」、「L−4」が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの現像剤を使用する画像形成ユニットに対応する「画質警告」である。
【0024】
ユニット寿命レベルが〔0,1〕の場合、CPU28は「寿命警告」)を第2表示部38(図2参照)に表示する。第2表示部38には、「寿命警告」の文字を表示してもよいし、対応する記号を表示してもよい。第2表示部38は、第1表示部36と違って、画像形成装置の操作パネルに通常表示される警告表示である。したがって、操作パネルの第2表示部38に表示された寿命警告に基づき、ユーザは画像形成ユニット12の寿命(交換)が間近いことを知ることができる。
【0025】
ユニット寿命レベルが〔0,2〕の場合、CPU28は「停止警告」)を第2表示部38(図2参照)に表示する。第2表示部38には、「停止警告」の文字を表示してもよいし、対応する記号を表示してもよい。第2表示部38は、第1表示部36と違って、画像形成装置の操作パネルに通常表示される停止表示である。したがって、操作パネルの第2表示部38に表示された停止警告に基づき、ユーザは画像形成ユニット12が使用不可能な状態にあることを知る。
【0026】
ユニット寿命レベルが〔1,0〕の場合、CPU28は「画質警告」を第1表示部36(図2参照)に表示する。ユニット寿命レベルが〔1,1〕〔1,2〕の場合、CPU28は「画質警告」を第1表示部36(図2参照)に表示するとともに「寿命警告」、「停止警告」をそれぞれ第2表示部38に表示する。「停止警告」は、「停止警告」の文字を表示部に表示することであってもよいし、対応する記号を表示してもよい。したがって、操作パネルの第2表示部38に表示された寿命警告に基づき、ユーザは画像形成ユニット12が寿命(交換を促される寿命レベル)に達したことを知ることができる。当然、画像形成装置10は、画像形成ユニット12が「停止警告」の寿命レベルに達したと判断すると、当該寿命レベルに達した画像形成ユニットが新たな画像形成ユニットと交換されるまで、新たな画像の形成を禁止する。
【0027】
同様に、ユニット寿命レベルが〔2,0〕、〔2,1〕、〔2,2〕の場合、CPU28はそれぞれ「画質警告+寿命警告」、「画質警告+寿命警告」、「画質警告+停止警告」を表示する。また、ユニット寿命レベルが〔3,0〕、〔3,1〕、〔3,2〕の場合、CPU28は「画質警告+停止警告」を表示する。つまり、上述したような第1の表示部36への「画像警告」及び第2の表示部38への「寿命警告」または「停止警告」をそれぞれ行う。尚、上述の例では、第1の表示部36と第2の表示部38をそれぞれ別々に備える場合について説明したが、1つの表示部を備え、オペレータによる特定の操作に基づく、特定のモードを実行した場合に、表示部に第1の表示部36に対応する表示を行うこととしても良い。
【0028】
〔3.7:寿命判定グラフ〕
画像形成装置の使用傾向はユーザによって大きく異なる。例えば、比較的少数枚(1,2枚)の印刷頻度が高い環境で使用される画像形成装置の場合、画像形成の起動及び停止シーケンスや画像安定化制御などの実際の印刷に関係の無い駆動時間が多くなり、感光体の回転時間によって画像形成ユニットの寿命が決まる。図9は、種々の使用環境における警告表示(寿命ライン)例を示している。具体的に、寿命ラインA、は大量の印刷を繰り返す使用環境において発生し得る寿命ラインを示しており、この寿命ラインAを辿る画像形成装置では、「寿命警告」から「停止警告」が表示される。また、寿命ラインBを辿る画像形成装置では、「寿命警告」、「画質警告+寿命警告」、「画質警告+停止警告」が表示される。さらに、寿命ラインCを辿る画像形成装置では、「画質警告」、「画質警告+寿命警告」、「画質警告+停止警告」が表示される。
【0029】
〔4:寿命判定グラフの他の形態〕
上述の実施例では、感光体の寿命を判定する第2の閾値を特定の回転時間に設定したが、図10に示すように、第2の閾値は直線関数又は曲線関数で与えることができ、この実施例では第2の閾値を定義する関数Zは以下の数式1で表される。


【0030】
〔5.他の実施例〕
以上の説明では、画像形成ユニットは、感光体14と現像器16を一体的に組み合わせたものとしたが、両者は分離可能なものであってもよい。この場合、感光体14と現像器16は、それぞれの寿命判断に基づいて別々に交換できる。ただし、画像形成装置10は、感光体14と現像器16の寿命レベルに基づいて、上述の表示を行うことができる。
【0031】
また、以上の説明では、2つの消耗部品として感光体と現像器を例に挙げたが、任意の2つの消耗部品を組み合わせた寿命判断を行い、その結果を表示部に表示できる。例えば、転写ベルト18と、定着装置に設けた加熱定着用のベルト24a(図1参照)の組み合わせも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る画像形成の一例であるプリンタの構成を示す概略断面図。
【図2】図1に示すプリンタの寿命判断に関連する構成を示すブロック図。
【図3】プリンタの画像形成処理を示すフローチャート。
【図4】プリンタの印刷処理を示すフローチャート。
【図5】プリンタの寿命管理制御を示すフローチャート。
【図6】プリンタの感光体寿命判断を示すフローチャート。
【図7】プリンタの現像器寿命判断を示すフローチャート。
【図8】感光体と現像器の寿命レベルに基づく表示部の表示内容を説明する表。
【図9】寿命判定グラフを示す図。
【図10】他の寿命判定グラフを示す図。
【図11】表示部の表示を示す図。
【符号の説明】
【0033】
10:画像形成装置
12:画像形成ユニット
14:感光体
16:現像器
18:転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の消耗部品と第2の消耗部品を備えた画像形成装置において、
上記第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定基準と、
上記第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定基準と、
上記第1の判定基準に基づいて第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定手段と、
上記第2の判定基準に基づいて第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定手段と、
上記第1の判定手段と上記第2の判定手段の判定結果を表示する表示部を備えており、
上記第1の判定基準は、所望の画質を保証し得る消耗度に対応した画質保証基準を消耗度判断基準として備えており、
上記第1の消耗部品の消耗度が上記画質保証基準に達したことを上記第1の判定手段が判断したとき、上記表示部は画質の劣化を警告する表示を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
感光体と現像器を備えた画像形成装置において、
上記感光体の消耗度を判定する感光体消耗度判定基準と、
上記現像器の消耗度を判定する現像器消耗度判定基準と、
上記感光体消耗度判定基準に基づいて上記感光体の消耗度を判定する感光体消耗度判定手段と、
上記現像器消耗度判定基準に基づいて上記現像器の消耗度を判定する現像器消耗度判定手段と、
上記感光体消耗度判定手段と上記現像器消耗度判定手段の判定結果を表示する表示部を備えており、
上記感光体消耗度判定基準は、所望の画質を保証し得る消耗度に対応した第1の感光体消耗度判定基準値と、上記感光体の交換を促す表示を行う消耗度に対応した第2の感光体消耗度判定基準値と、上記感光体の使用を禁止する消耗度に対応した第3の感光体消耗度判定基準値を備えており、
上記現像器消耗度判定基準は、上記現像器の交換を促す表示を行う消耗度に対応した第1の現像器消耗度判定基準と、上記現像器の使用を禁止する消耗度に対応した第2の現像器消耗度判定基準を備えており、
上記感光体の消耗度が上記画質保証基準に達したことを上記感光体消耗度判定手段が判断したとき、上記表示部は画質の劣化を警告する表示を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
上記感光体と上記現像器が画像形成ユニットに分離不能に一体化されていることを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項4】
上記感光体の消耗度は上記感光体の回転数を用いて判断され、上記現像器の消耗度は上記現像器の印刷枚数を用いて判断され、上記感光体の回転数と上記現像器の印刷枚数を変数とする関数によって上記画質保証基準が決められていることを特徴とする請求項1又は2の画像形成装置。
【請求項5】
上記表示部は、第1の表示部と第2の表示部を備えており、
上記画質の劣化を警告する表示は、第1の表示部に表示し、それ以外の第1の判定手段及び第2の判定手段による判定結果は、第2の表示部に表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの画像形成装置。
【請求項6】
上記画像形成装置は、特定の操作モードを備えており、
上記画像の劣化を警告する表示は、上記特定の操作モードの実行時のみ表示されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの画像形成装置。
【請求項7】
第1の消耗部品と第2の消耗部品を備えた画像形成装置において、
上記第1の消耗部品の消耗度を判定する第1の判定基準であって、所望の画質を保証し得る消耗度に対応した画質保証基準である第1の判定基準に基づいて第1の消耗部品の消耗度を判定し、
上記第2の消耗部品の消耗度を判定する第2の判定基準に基づいて第2の消耗部品の消耗度を判定し、
上記第1の消耗部品の消耗度および上記第2の消耗部品の消耗度の判定結果を表示部に表示し、
上記第1の消耗部品の消耗度が上記画質保証基準に達したと判定したとき、上記表示部に画質の劣化を警告する表示を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
感光体と現像器を備えた画像形成装置において、
上記感光体の消耗度を判定する3つの感光体消耗度判定基準、すなわち、所望の画質を保証し得る消耗度に対応した第1の感光体消耗度判定基準値、上記感光体の交換を促す表示を行う消耗度に対応した第2の感光体消耗度判定基準値、および、上記感光体の使用を禁止する消耗度に対応した第3の感光体消耗度判定基準値、に基づいて上記感光体の消耗度を判定し、
上記現像器の消耗度を判定する2つの現像器消耗度判定基準、すなわち、上記現像器の交換を促す表示を行う消耗度に対応した第1の現像器消耗度判定基準、および、上記現像器の使用を禁止する消耗度に対応した第2の現像器消耗度判定基準、に基づいて上記現像器の消耗度を判定し、
上記感光体の消耗度および上記現像器の消耗度の判定結果を表示部に表示し、
上記現像器の消耗度が第1の感光体消耗度判定基準値に達したと判定したとき、上記表示部において画質の劣化を警告することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−2663(P2010−2663A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161304(P2008−161304)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】