説明

画像形成装置

【課題】上部に原稿読取部、下部に画像形成部を有する画像形成装置において、事務机の上に画像形成装置を設置した場合でも原稿読取部に原稿を配置し及び取り出す作業が容易で、原稿読取部に設けられている操作パネルの操作も容易な画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿読取部3は、画像形成部2の上部に案内機構を介して移動可能に配置され、画像形成部の上面にある上部カバーの開閉時には案内機構により画像形成部の上部の背面側の位置に移動配置され、原稿読取の実施時及び装置の設置移動時には案内機構により画像形成部の上部の略中央位置に移動配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取部と画像形成部から構成される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上部に原稿読取部、下部に画像形成部を有する画像形成装置において、上記画像形成部には、消耗品の交換やジャム処理を行うために上面に開閉可能な上部カバーが設けられている。そして消耗品の交換時等には原稿読取部を上方に持ち上げて傾斜した状態に保持させ、上部カバーを開閉している。
このため、原稿読取部は上部カバーの開閉に支障をきたさないように、装置の背面側で画像形成部上に持上げ可能に配置されている。
【特許文献1】特開2005−53648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、原稿読取部を上述したように画像形成部上に装置の背面側に配置すると、画像形成部の正面に対し原稿読取部の離間距離が大きくなるため、特にセカンドトレイや事務机の上に画像形成装置を設置した場合、原稿読取部に原稿を配置し及び取り出す作業が面倒になる上に、原稿読取部に設けられている操作パネルの操作も面倒になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するために、本発明の画像形成装置の構成は、
上面に開閉可能な上部カバーを有する画像形成部上に原稿読取部が配置されている画像形成装置において、
上記画像形成部上で前記原稿読取部を装置の背面側と正面側との間で移動させて位置決めするための案内機構を備えることを特徴とする。
【0005】
上記案内機構は上記画像形成部の上面両側に設けられている一対の案内壁と該各案内壁に形成される案内溝と、前記原稿読取部の両側から突出して前記各案内壁に係入する複数の突起とを含むことを特徴とする。
【0006】
上記案内機構は上記案内溝の一端に係入して上記原稿読取部の一側端に位置する背面側突起と、該突起を中心として前記原稿読取部を回動する際に他の突起を前記案内溝から外すための導入溝とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿読取部を画像形成部上の略中央位置に移動可能に配置できるため、画像形成部の正面に対し原稿読取部の離間距離が近くなり、原稿の配置、取り出し作業が簡単となり、又原稿読取部の操作パネルの操作が容易となる。
【0008】
一方、本発明によれば、原稿読取部を画像形成部上で装置の背面側に移動させることができるので、ジャム処理等のために画像形成部の上部カバーの開閉を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図2は本発明の画像形成装置を示し、画像形成部2と原稿読取部3とを有している。
画像形成部2は給紙ユニット37と該給紙ユニット37から繰り出された媒体を搬送する搬送ローラ38と、感光ドラムにトナー像を形成するためのイメージドラムユニット32と、感光ドラム上のトナー画像を媒体に転写するための転写ベルトユニット35と、媒体にトナー画像を定着させるための定着器39と、定着処理後の媒体が排出されるスタッカー5とを備えている。
そして、画像形成部2は図3に示すように、上部に開閉可能な上部カバー6が設けられている。
【0011】
原稿読取部3は、原稿23を載置するための原稿台24と、その下方に配されているスキャナー部26と、原稿台24に原稿23を一枚毎に搬送すると共にスキャナー部26により読取の終了した原稿を排紙部へ搬送する搬送ユニット27とを備え、正面に操作パネル4が設けられている。
【0012】
本発明に係る案内機構10は、図1及び図3に示すように、画像形成部2の両側の上端に一体形成された一対の案内壁11,11を有している。案内壁11は装置の背面2a側に位置し、水平方向に沿って案内溝11aが形成されている。案内溝11aの両端には斜め下方に向う位置決め溝端11b、11cが形成されている。そして、案内壁11の略中央には案内溝11aに連通する導入溝12が形成されている。
【0013】
また、本発明に係る案内機構10は、図1に示すように、原稿読取部3の両側面の略中央で突出する中央係合突起13と、両側面の背面側で突出する背面側突起14とを有している。
【0014】
以上の構成を有する案内機構10において、図1に示すように、背面側突起14を位置決め溝端11bに係入させると共に、中央係合突起13を案内溝11aの略中央位置で係入させると、原稿読取部3を画像形成部2上の背面側に位置決めすることができる。
【0015】
そして、上部カバー6の開閉が必要になると、図4に示すように、中央係合突起13を導入溝12から外すように位置決め溝端11b内の背面側突起14を中心として原稿読取部3を反時計方向に回動させる。これにより、上部カバー6の開閉が可能となる。
【0016】
従って、画像形成部2において、ジャム処理を行ったり、イメージドラムユニット32、トナーカートリッジ33、転写ベルトユニット35、定着器39などの消耗品を交換することができる。
【0017】
一方、原稿読取部3を図1に示す位置に案内した状態で、図5に示すように、原稿読取部3を若干持ち上げて背面側突起14を位置決め溝端11bから外し、かつ原稿読取部3を正面側に押すと、背面側突起14及び中央係合突起13が案内溝11aに係入していることから原稿読取部3が画像形成部2上で正面に向かって移動する。
【0018】
そして、中央係合突起13が位置決め溝端11cに係入することで、原稿読取部3は移動が停止し、画像形成部2の中央で位置決めされる。
【0019】
従って、原稿読取部3に対して原稿の配置及び取り除き作業が容易になり、又、操作パネル4も正面に近くなるのでその操作も容易であり、更に装置の重心が中央に位置するので装置の移動作業が簡単となる。
【実施例2】
【0020】
本実施例に係る案内機構10は、図6及び図7に示すように、画像形成部2の両側上端に形成されている一対の案内壁11A,11Aを有している。案内壁11Aには凹溝から成る案内溝11aが形成されている。案内溝11aの両端には斜め下方に向う位置決め凹所11d,11eが形成されている。
【0021】
また、案内溝11aの略中央にはストッパー用凹所15が形成されている。そして、この凹所15の上方位置には案内溝11aに連通する導入凹溝16が形成されている。
【0022】
一方、原稿読取部3側において、図8に示すように、本実施例の案内機構10は、下面の両側に一対の被案内壁17、17が設けられている。被案内壁17の背面側には背面側突起14’が設けられ、その略中央には貫通孔18が形成されている。
【0023】
また、被案内壁17の内側には矩形状の凹部17aが形成され、この凹部17aの貫通孔18の近傍位置には台形状のガイド突起19が一体的に形成されている。
【0024】
更に、被案内壁17、17の凹部17a、17aにはコ字状の操作部20のアーム部20A,20Aが係入されている。アーム部20Aの端部には被案内壁17の貫通孔18に貫挿される中央係合突起13Aと、上記ガイド突起19が係入される角穴20Bとが設けられている。
【0025】
操作部20は可撓性の大きいプラスチック材から形成され、原稿読取部3の正面側にレバー20Cが一体形成されている。
【0026】
操作部20のアーム部20A,20Aが被案内壁17に係入された状態では、図8乃至図10に示すように、中央係合突起13Aが貫通孔18に貫挿されて被案内壁17から突出し、また角穴20Bにガイド突起19が係入している。
【0027】
そして、原稿読取部3を画像形成部2上の背面側に配置した状態では、背面側突起14’は案内壁11Aの位置決め凹所11dに突入され、中央係合突起13Aは案内壁11Aのストッパー用凹所15に突入されている。
【0028】
従って、この状態は背面側突起14’を中心として原稿読取部3を反時計方向に回動することは不可能であり、又原稿読取部3を画像形成部2上の背面側に固定的に保持することができる。
【0029】
これに対し、レバー20Cを引いてアーム部20A,20Aに張力を加えると、該アーム部が可撓性を有するため大きく変形しつつ長さ方向に移動するので、図11に示すようにガイド突起19の端面に沿って角穴20Bが外れる方向にアーム部20Aが変位し、即ち、被案内壁17の内側面から離間する方向に変位する。
【0030】
これにより、中央係合突起13Aが案内壁11Aのストッパー用凹所15から外れるので、該中央係合突起13Aを導入凹溝16から外れるように案内して原稿読取部3を反時計方向に回動することができる。従って、画像形成部2の上部カバー6を開閉することができる。
【0031】
また、上記したように、中央係合突起13Aをストッパー用凹所15から外した状態において、原稿読取部3を持ち上げて背面側突起14’を位置決め凹所11dから外し、原稿読取部3にレバー20Cを介して正面側に向う引張力を加えると、原稿読取部3の移動に伴って後退している中央係合突起13Aが案内溝11aに案内されて位置決め凹所11eに係入し、かつレバー20Cからの張力付与を停止すると、中央係合突起13Aが突出して該凹所11eに突入する。
【0032】
従って、原稿読取部3を画像形成部2の中央に位置決めして固定的に保持することができる。これにより、画像形成装置の移動配置時に原稿読取部3が不要に移動変位するのを防止できるので、移動作業が更に簡単になる。
【0033】
尚、画像形成部2に中央係合突起13、(13A), 背面側突起14’を設け、原稿読取部3に案内壁11A、(11A)及び案内溝11a等を設けるようにしてもよい。
【0034】
また、案内機構10として、画像形成部2上の両側に案内レールを設け、原稿読取部3に案内レールに係合する車輪を設ける構成にしてもよい。
【0035】
更に、案内壁に設ける案内溝を水平方向に対し角度を設けて斜めに形成することもでき、これにより原稿読取部3の移動変位をちいさな押圧力で行うことができる。
また、突起13、(13A)、14、14’を車輪等の回転体から形成してもよい。
【実施例3】
【0036】
本実施例に係る案内機構10は、図16に示すように、画像形成部2の両側上端に形成されている一対の案内壁11B,11Bを有している。案内壁11Bには凹溝から成る案内溝11aが形成されている。案内溝11aの両端には斜め下方に向う位置決め凹所11d’,11eが形成されている。
位置決め凹所11d’は、図16に示すように、角状の凹所から形成されている。
【0037】
一方、原稿読取部3側において、図12に示すように、本実施例の案内機構10は、下面の両側に一対の被案内壁17、17が設けられている。被案内壁17の略中央には中央係合突起13’が設けられ、被案内壁17の背面側には正六角形の貫通孔18’が形成されている。
【0038】
被案内壁17の凹部17aに係入されているアーム部20Aには、被案内壁17の貫通孔18’に貫挿される背面側突起14Aが設けられている。
【0039】
本実施例の背面側突起14Aは上記貫通孔18’の形状と対応する正六角形断面に形成されている。
【0040】
操作部20のアーム部20A,20Aが被案内壁17に係入された状態では、図12乃び図13に示すように、背面側突起14Aが貫通孔18’に貫挿されて被案内壁17から突出している。
【0041】
そして、原稿読取部3を画像形成部2上の背面側に配置した状態では、図14に示すように、背面側突起14Aは案内壁11Bの位置決め凹所11d’に突入されている。
【0042】
従って、背面側突起14Aが位置決め凹所11d’に回動不能に嵌合されるので、該突起14Aを中心として原稿読取部3を反時計方向に回動することは不可能であり、又原稿読取部3を画像形成部2上の背面側に固定的に保持することができる。
【0043】
これに対し、レバー20Cを引いてアーム部20A,20Aに張力を加えると、該アーム部が可撓性を有するため大きく変形しつつ長さ方向に移動するので、図15に示すようにガイド突起19の端面に沿って角穴20Bが外れる方向にアーム部20Aが変位し、即ち、被案内壁17の内側面から離間する方向に変位する。
【0044】
これにより、背面側突起14Aが案内壁11Bの位置決め凹所11d’から外れるので、該中央係合突起13’を導入凹溝16から外れるように案内して原稿読取部3を反時計方向に回動することができる。
【0045】
そして、所定角度まで回動させてレバー20Cの張力の付与を停止すると、背面側突起14Aが突出して位置決め凹所11d’に突入し、回動不能に嵌合する。
従って、原稿読取部3を所望角度だけ回動させ、画像形成部2の上部カバー6を開閉することができる。
【0046】
また、上記したように、背面側突起14Aを位置決め凹所11d’から外した状態において、原稿読取部3にレバー20Cを介して正面側に向う引張力を加えると、原稿読取部3の移動に伴って後退している背面側突起14Aが案内溝11aに案内されてストッパー用凹所15aに係入し、かつレバー20Cからの張力付与を停止すると背面側突起14Aが突出して該ストッパー用凹所15aに突入する。
【0047】
なお、ストッパー用凹所15aの断面形状は背面側突起14Aと同じ正六角形でもよい。
【0048】
また、背面側突起14Aを他の多角形に形成させ、位置決め凹所11d’を対応する角穴形状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1の案内機構を備える画像形成装置の側面図
【図2】本発明の画像形成装置の主要部模式図
【図3】実施例1の画像形成部側の案内機構の一部の斜視図
【図4】本発明の案内機構により原稿読取部を回動させた状態を示す側面図
【図5】本発明の案内機構により原稿読取部を移動させて画像形成部上の中央位置に位置決めした状態を示す側面図
【図6】実施例2の案内機構の一部を示す斜視図
【図7】図6の要部の拡大斜視図
【図8】実施例2の案内機構の要部の斜視図
【図9】実施例2のアーム部と被案内壁との連結関係を示す図
【図10】実施例2の案内機構の中央係合突起の突出状態を示す部分断面図
【図11】実施例2の案内機構の中央係合突起の後退動作を示す部分断面図
【図12】実施例3の案内機構の要部の斜視図
【図13】実施例3のアーム部と被案内壁との連結関係を示す図
【図14】実施例3の案内機構の背面側突起の突出状態を示す部分断面図
【図15】実施例3の案内機構の背面側突起の後退動作を示す部分断面図
【図16】実施例3の案内機構の要部の拡大斜視図
【符号の説明】
【0050】
1画像形成装置
2画像形成部
3原稿読取部
4操作パネル
10 案内機構
11 案内壁
11a 案内溝
11b 位置決め溝端
11c 位置決め溝端
12 導入溝
13 中央係合突起
14 背面側突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開閉可能な上部カバーを有する画像形成部上に原稿読取部が配置されている画像形成装置において、
前記画像形成部上で前記原稿読取部を装置の背面側と正面側との間で移動させて位置決めするための案内機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記案内機構は前記画像形成部の上面両側に設けられている一対の案内壁と該各案内壁に形成される案内溝と、前記原稿読取部の両側から突出して前記各案内壁に係入する複数の突起とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内機構は前記案内溝の一端に係入して前記原稿読取部の一側端に位置する背面側突起と、該突起を中心として前記原稿読取部を回動する際に他の突起を前記案内溝から外すための導入溝とを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記突起として前記原稿読取部から後退可能に突出する突起を含み、前記案内溝に形成されて前記突出する突起が突入するストッパー用凹所と、前記突入する突起を後退させるための後退操作手段とを含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−93390(P2010−93390A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258930(P2008−258930)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】