説明

画像形成装置

【課題】ローラ部材の交換作業における取扱性を向上させ、作業者に対して交換作業を適切かつ容易に行わせることである。
【解決手段】二次転写ローラを新しいものに交換するために画像形成装置本体に対して装着される交換用二次転写ローラ100であって、ローラ部102と、そのローラ部の両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した2つの軸部103とを有し、2つの軸部103に対して回動自在に設けられた取手部材104,101を有する。この取手部材の一部101は、画像形成装置本体装着時に搬送中の記録材に接触することで記録材の搬送方向を規制する搬送規制部材として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能な交換用ローラ部材及びこれを有する交換用部品、並びに、その交換用ローラ部材を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機、印刷機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の交換用ローラ部材としては特許文献1に記載の画像形成装置の本体に着脱可能な転写ローラが知られている。この転写ローラは、画像形成装置本体に装着されたときには潜像担持体と対向する位置に配置され、記録紙が潜像担持体と転写ローラとの間を通過する際にその記録紙の裏面に当接し、その記録紙の表面を潜像担持体に当接させつつその記録紙を潜像担持体表面移動方向に沿って搬送するために用いられる。この転写ローラは、軸部になる芯金と、その周りに形成されたローラ部となる導電性弾性体とからのみ構成されており、この転写ローラ単体を交換することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、交換用ローラ部材の交換作業は、その交換作業に慣れている専門のサービスマンが行うことが一般的であり、その交換作業に不慣れな一般ユーザーが行うことはほとんどなかった。そのため、交換作業の際における交換用ローラ部材の取扱性などはあまり重視されていなかった。しかし、近年の画像形成装置では、コスト負担軽減などのため、画像形成装置の交換用ローラ部材を一般ユーザーが自分で交換する機会が増えている。そのため、一般ユーザーでも交換用ローラ部材の交換作業が適切かつ容易に行われるように、交換用ローラ部材の取扱性を向上させることが望まれている。
【0004】
上記特許文献1に記載の交換用の転写ローラは、その構成が交換を想定していない着脱不能な転写ローラの構成と同じであり、交換作業の際の取扱性は全く考慮されていない。そのため、次のような問題が生じる。すなわち、この交換用転写ローラの交換作業を一般ユーザーが行う場合、その転写ローラのローラ部表面を手で持つか、その転写ローラのローラ部両端から回転軸方向外方に突出した軸部を持つことが想定される。しかし、前者の場合、転写ローラのローラ部表面に手油が付着してしまい、その転写ローラを装着した後の画像形成動作において記録材搬送不良などの問題を発生させるおそれがある。また、後者の場合、転写ローラの軸部は画像形成装置本体の軸受に嵌め込む部分であるため、手で持っている軸部を軸受に嵌め込むときの作業性が悪いという問題がある。
なお、このような問題は、転写ローラに限らず、画像形成装置に設けられる他のローラ部材においても同様に生じ得る。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、交換作業の際における取扱性を向上させ、作業者に対して交換作業を適切かつ容易に行わせることが可能な交換用ローラ部材及びこれを有する交換用部品、並びに、その交換用ローラ部材を有する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ローラ部と、該ローラ部の両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した2つの軸部とを有し、画像形成装置本体に対して着脱可能な交換用ローラ部材において、上記2つの軸部に対して回動自在に設けられた取手部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の交換用ローラ部材において、上記取手部材は、上記2つの軸部に対して回動自在に設けられた単一部材であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の交換用ローラ部材において、当該交換用ローラ部材は、上記画像形成装置本体に対して装着されたときに記録材の片面に接触して該記録材を搬送するための搬送ローラとして用いられるものであり、上記取手部材は、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに搬送中の記録材に接触することで該記録材の搬送方向を規制する搬送規制部材として用いられるものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の交換用ローラ部材において、上記搬送規制部材は、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂からなることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の交換用ローラ部材において、上記搬送規制部材は、ブタジエン成分を含まない樹脂からなることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の交換用ローラ部材において、上記2つの軸部のうちの少なくとも一方の軸部に対して該軸部の外周面と摺動するように取り付けられ、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに該画像形成装置本体のローラ支持部に固定されるキャップ状軸受部材と、該キャップ状軸受部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の交換用ローラ部材において、上記キャップ状軸受部材は、上記少なくとも一方の軸部と摺動する内周面を有する樹脂部材であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の交換用ローラ部材において、上記固定部材は、上記キャップ状軸受部材の外周面から径方向外方に突出した係合部と、上記取手部材のローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部とからなり、ローラ回転軸方向外方から該係合部が該被係合部へ進入したときに該係合部及び該被係合部のいずれか一方が他方に挟持される構成を有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6又は7の交換用ローラ部材において、上記固定部材は、上記キャップ状軸受部材と上記取手部材とをネジ止めするネジ止め部材からなることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6、7、8又は9の交換用ローラ部材において、上記キャップ状軸受部材は、当該交換用ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着するときの装着方向を示す目印部を有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項6、7、8又は9の交換用ローラ部材において、上記キャップ状軸受部材は、当該交換用ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着するときの装着位置を示す目印部を有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の交換用ローラ部材において、上記目印部は、目印としてローラ軸方向内方に向く矢印を有することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4又は5の交換用ローラ部材において、上記2つの軸部のうちの少なくとも一方の軸部に内周面側が取り付けられ、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに外周面側が該画像形成装置本体のローラ支持部に固定されるボールベアリングからなる軸受部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の交換用ローラ部材において、上記軸受部材を、上記少なくとも一方の軸部に対して圧入固定により取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項13の交換用ローラ部材において、上記軸受部材の外面に対してローラ軸方向外方から装着されるカラー部材と、該カラー部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有し、該固定部材は、該カラー部材の外面に設けられるローラ径方向外方へ突出した係合部と、該取手部材のローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部とからなり、ローラ回転軸方向外方から該係合部が該被係合部へ進入したときに該係合部及び該被係合部のいずれか一方が他方に挟持される構成を有することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項13の交換用ローラ部材において、上記軸受部材の外面に対してローラ軸方向外方から装着されるカラー部材と、該カラー部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有し、該固定部材は、該カラー部材と上記取手部材とをネジ止めするネジ止め部材からなることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の交換用ローラ部材と、該交換用ローラ部材を内部に収容し、該交換用ローラ部材を取り出すための取出口が該交換用ローラ部材の回転軸方向に対して直交する方向に形成された収容箱と、該収容箱に収容されている該交換用ローラ部材の姿勢を、該交換用ローラ部材の上記取手部材が該取出口に向かうように保持する保持部材とを有することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能なローラ部材と、該画像形成装置本体に設けられ、該ローラ部材の軸部を軸受部材を介して支持するローラ支持部とを備え、記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記ローラ部材として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の交換用ローラ部材を用いることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項18の画像形成装置において、上記画像形成装置本体は、上記ローラ部材が有する上記取手部材を保持する取手保持部材を有し、該取手部材は、ローラ軸方向に対して直交する方向の長さが互いに異なる部分をもち、該取手保持部材に保持される被保持部を有し、該取手保持部材は、該被保持部におけるローラ軸方向に対して直交する方向の最も長さが短い部分に対応した寸法をもつ受入口を有することを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項19の画像形成装置において、上記被保持部は、上記ローラ部材の上記ローラ部のローラ軸方向外側における該ローラ部材の上記2つの軸部に対する上記取手部材の取付部にそれぞれ設けられており、少なくとも一方の該被保持部に対してローラ軸方向内側又は外側に隣接し、該被保持部を上記取手保持部材の上記受入口へ挿入する際に、該取手保持部材における該受入口を形成する部分のローラ軸方向内側又は外側に接触することで、該受入口に対する該被保持部の挿入をガイドするガイド部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項19又は20の画像形成装置において、上記画像形成装置本体の側面に鉛直方向上方が開く開閉扉と、該開閉扉を開いた姿勢に保持する扉姿勢保持部材とを有し、該扉姿勢保持部材により該開閉扉が開いた姿勢にあるときに上記受入口が略鉛直方向直上に向くように、該取手保持部材を該開閉扉における画像形成装置本体内面側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項18、19、20又は21の画像形成装置において、上記ローラ部材は、請求項11又は12の交換用ローラ部材であり、該ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着したときに該ローラ部材の上記キャップ状軸受部材に設けられた目印部と対応する画像形成装置本体側の箇所に、別の目印部を有することを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、交換用ローラ部材に、そのローラ部両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した2つの軸部に対して回動自在に設けられた取手部材が備わっている。これにより、この交換用ローラ部材を交換する作業者は、その取手部材を手に持ってこれを取り扱うことができる。その結果、交換用ローラ部材のローラ部表面や軸部を手に持たなくても交換用ローラ部材を取り扱うことができるので、ローラ部表面に手油が付着することに起因する問題や、軸部を画像形成装置本体の軸受に嵌め込むときの作業性が悪くなるといった問題などは生じない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交換作業の際における交換用ローラ部材の取扱性を向上させ、作業者に対して交換作業を適切かつ容易に行わせることが可能となるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るフルカラープリンタに対して着脱可能な二次転写ローラを示す外観斜視図。
【図2】同フルカラープリンタの概略構成図。
【図3】同フルカラープリンタの搬送路の説明図。
【図4】同フルカラープリンタが備える両面ユニットの開閉動作の説明図。
【図5】同二次転写ローラの端部を示す拡大図。
【図6】(a)は同両面ユニットが備える副回動ユニットの斜視図。(b)は同副回動ユニットの他の方向からの斜視図。
【図7】同二次転写ローラを同副回動ユニットへ装着するときの動きを示す説明図。
【図8】(a)は同二次転写ローラと同副回動ユニットとの係合箇所の拡大斜視図。(b)は、同係合箇所のローラ軸方向に対して直交する断面を示す説明図。
【図9】同二次転写ローラが同副回動ユニットに取り付けられた状態における回転軸方向に対して直交する断面を示した説明図。
【図10】同二次転写ローラに設けられるガイド片の変形例を示す説明図。
【図11】同二次転写ローラに設けられるガイド片の他の変形例を示す説明図。
【図12】同二次転写ローラを梱包した状態の交換用部品をローラ軸方向から見たときの梱包部材を断面で示した説明図。
【図13】同二次転写ローラのローラ取付部に対してキャップを固定する他の固定部材の例を示すローラ軸方向断面図。
【図14】同二次転写ローラの同キャップに設けられる目印部の他の例を示す説明図。
【図15】同キャップに代えてボールベアリングからなる軸受部材を採用した例を示す説明図。
【図16】同軸受部材を採用した例の変形例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略を示す断面構成図である。
このフルカラープリンタは、装置本体50のほぼ中央部に、複数のローラに掛け渡された中間転写ベルト11を備えており、その中間転写ベルト11の鉛直方向下方に向いたベルト面に沿って4個の作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkを備えている。
【0011】
各作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkは、潜像担持体としての感光体ドラム1を具備している。これらの感光体ドラム1の周りには、それぞれ、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等が配置されている。また、各感光体ドラム1に対向する位置には、中間転写ベルト11の内側に一次転写手段としての一次転写ローラ12がそれぞれ設けられている。本実施形態の場合、4個の作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkは同一構造に構成されているが、各作像ユニットの現像装置で扱う現像剤の色がマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色に異なっている。また、本実施形態の場合、4個の作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkは、図において左からマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色順に配置されている。各作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkはプロセスカートリッジとして装置本体50に着脱可能に設けられている。
【0012】
また、各作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkの下方には、光書込装置14が設けられている。この光書込装置14は、図示はしないがポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。光書込装置14は、作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkごとに個別に設けてもよいが、共通の光書込装置を用いればコストの点で有利である。なお、本実施形態では、中間転写ベルト11及び光書込装置14もユニット化されており、それぞれ装置本体50に着脱可能に構成されている。
【0013】
また、装置本体50の下部には、2段の給紙カセット15a,15bがセットされており、各給紙カセットに対応する給紙手段16a,16bが設けられている。給紙手段16a,16bは、それぞれ、呼び出しローラ、供給ローラ及び分離ローラから構成されている。その給紙手段16a,16bによって給送される転写紙等の記録材(以下、「用紙」という。)を搬送するために、搬送ローラ対17が設けられている。上側の搬送ローラ対17の上方(用紙搬送方向の下流側)にはレジストローラ対18が設けられている。そのレジストローラ対18の上方には、二次転写手段として機能するローラ部材である二次転写ローラ100が、中間転写ベルト11が掛け渡されるローラの一つである転写対向ローラ13に対向して設けられている。
【0014】
また、二次転写部の上側に隣接した位置には、搬送中の用紙に接触することで用紙の搬送方向を規制する搬送規制部材としての転写出口ガイド101が設けられており、この転写出口ガイド101よりも更に下流には定着装置20が設けられている。定着装置20の上方には、用紙搬送方向を切り替えるための第1〜第3の切替爪21,22,23が配置されている。各切替爪21,22,23は、図3に実線と仮想線で示す位置とに、図示しないソレノイド等のアクチュエータにより切り替えられる。符号24〜27は、用紙搬送路中に適宜配置された搬送ローラ対である。また、符号35〜41は、用紙搬送路中に適宜配置された用紙センサである。なお、用紙搬送路は、ガイド板等の部材(符号付さず)により適宜ガイドされている。
【0015】
また、装置本体50の上面は排紙トレイ30として構成されており、その排紙トレイ30に用紙を排出するための排紙ローラ対29が、定着装置20の左上方に位置して設けられている。
【0016】
また、本実施形態においては、装置側部に両面ユニット60が設けられている。この両面ユニット60内には、スイッチバック搬送路61及び再給紙路62が形成されている。スイッチバック搬送路61の入口部(装置上側)には第1反転ローラ対31が設けられ、スイッチバック搬送路61の中途には第2反転ローラ対32が設けられている。第1及び第2反転ローラ対31,32は、正逆回転可能に構成されている。そして、再給紙路62をほぼ三等分する位置に、搬送ローラ対26,27が配置されている。前述の第3切替爪23は、第1反転ローラ対31のすぐ隣で、スイッチバック搬送路61から再給紙路62への進入部に位置して配置されている。
【0017】
両面ユニット60の側面には手差しトレイ33が引き出し及び収納可能に設けられている。図2では、手差しトレイ33を引き出した状態を示してある。この手差しトレイ33から用紙を給紙するために、呼び出しローラ、供給ローラ及び分離ローラからなる給紙手段34が設けられている。その給紙手段34の側方、装置内側に位置して再給紙ローラ28が配設されている。再給紙ローラ28の上下両側には従動ローラがそれぞれ圧接されている。この再給紙ローラ28は正逆回転可能に構成されており、再給紙路62から用紙を再給紙する場合は図中反時計回りに回転駆動され、手差しトレイ33から用紙を給紙する場合は図中時計回りに回転駆動される。
【0018】
次に、上記のように構成された本フルカラープリンタにおける画像形成動作について簡単に説明する。
各作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkの感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電装置によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体ドラム表面には、光書込装置14からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0019】
また、中間転写ベルト11が図2中矢印で示すように図中反時計回りに駆動され、各作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkにおいて各一次転写ローラ12の作用により各感光体ドラム1から中間転写ベルト11に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0020】
なお、作像ユニット10M,10C,10Y,10Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側のBkユニットを用いて画像形成を行う。
【0021】
トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0022】
一方、給紙カセット15a,15bあるいは手差しトレイ33から用紙が選択的に給送され、レジストローラ対18によって、中間転写ベルト11上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写部に向けて送出される。本実施形態では、二次転写ローラ100に中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置20を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に溶融定着される。定着された転写材は、排紙ローラ対29により装置本体50の上面に構成された排紙トレイ30に排出される。片面プリント時の用紙搬送経路(ただし、給紙カセット15a,15bから給紙した場合)を、図3に実線[1]で示す。
【0023】
なお、上記第2切替爪22の上方の装置上面にオプションの排紙トレイ(例えばソート機能を有する4ビントレイ)を装着可能であり、その図示しないオプショントレイに定着後の用紙を排出することも可能である。オプショントレイに用紙を排出する場合の用紙搬送経路(ただし、定着装置通過後)を、図3に破線[2]で示す。
【0024】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、第1〜第3切替爪21〜23を適切に切り替えることにより、スイッチバック搬送路61内に進入させる。この場合の第1及び第2切替爪21,22は、図3の仮想線の位置に切り替えられる。また、第3切替爪23は、図3の実線の位置に切り替えられる。また、第1及び第2反転ローラ対31,32は正方向(図2で時計回り)に回転される。用紙をスイッチバック搬送路61内に進入させるときの搬送経路(ただし、搬送ローラ対25以降)を、図3に2点鎖線[3]で示す。
【0025】
スイッチバック搬送路61内に進入した用紙後端をセンサ40で検知したら、第1及び第2反転ローラ対31,32を逆方向(図2で反時計回り)に回転させ、用紙を反転させる。このとき、第3切替爪23を図3の仮想線の位置に切り替えることで、反転させた用紙を再給紙路62へと送り込む。
【0026】
再給紙路62は、その下端部で手差しトレイ33からの用紙搬送路と合流され、さらに、再給紙ローラ28の奥側で給紙カセット15a,15bからの用紙搬送路と合流される。再給紙路62内を用紙は搬送ローラ対26,27により搬送され、さらに再給紙ローラ28によりレジストローラ対18へと送られる。再給紙路62を通る用紙搬送経路(ただし、第3切替爪23から実線[1]と合流する部分まで)を、図3に1点鎖線[4]で示す。また、手差しトレイ33から用紙を給紙する場合の用紙搬送経路(ただし、再給紙ローラ28を抜けた位置まで)を、図3に点線[5]で示す。
【0027】
スイッチバック搬送路61で反転させた用紙を再給紙路62を通過させることで用紙の表裏が逆にされ、その用紙裏面に中間転写ベルト11からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置20で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ30又は図示しないオプショントレイに排出することで、両面プリントが完成する。
【0028】
本実施形態において、両面ユニット60はその下部に設けられた回動軸63を支点として揺動可能に設けられ、装置本体50に対して両面ユニット60を開閉可能に設けている。両面ユニット60を開放した様子を図4に示す。なお、両面ユニット60は図示しないリンク機構により装置本体50に支持され、開放時に所定の位置で止まるようになっている。このときの開き角は、後述する二次転写ローラの交換作業を容易にするための観点からすると、鉛直方向に対して45°以上90°以下であるのが望ましい。また、両面ユニット60の開閉力を軽減させるために、両面ユニット60を支持するリンク機構にダンパ手段を設けると好適である。ダンパ手段としては、スプリングを使ったものや、オイルダンパ等を用いることができる。
【0029】
両面ユニット60に含まれ、装置本体50に対して開閉されるものとしては、スイッチバック搬送路61を形成するガイド板(符号なし)、再給紙路62を形成する一部のガイド部材66、副回動ユニット64の他に、第3切替爪23、第1及び第2反転ローラ対31,32、手差しトレイ33、その給紙手段34、再給紙ローラ28等がある。また、2つの搬送ローラ対17の各従動側ローラ17bも両面ユニット60に含まれる部材である。
【0030】
副回動ユニット64は、二次転写ローラ100、搬送ローラ対27の従動側ローラ27b、再給紙ローラ28の従動側ローラ28b及び用紙センサ41を支持して、回動軸65を支点として回動自在に構成されている。よって、副回動ユニット64を図中反時計回りに回動させることで、再給紙路62を開放させることができる。ただし、図示しないストッパ部材が設けられており、図4に示す角度以上に副回動ユニット64を反時計回りに回動させることはできない。
【0031】
再給紙路62は、その一方側(装置外側)をガイド部材66により規定され、反対側(装置内部側)を上から順にガイド部材42の一面、定着装置20の一面、副回動ユニット64の一面により規定され、両面ユニット60を閉じたときに上記の部材により再給紙路62が形成される。
【0032】
副回動ユニット64は、図2のように両面ユニット60が閉じられた状態では、装置本体50と両面ユニット60とにより挟まれて所定の場所に位置し、このとき、二次転写ローラ100が転写対向ローラ13に対向して中間転写ベルト11に圧接され、2つの搬送ローラ対17の従動側ローラ17bがそれぞれの駆動側ローラ17aに圧接され、再給紙路62内の搬送ローラ対27の従動側ローラ27bが駆動側ローラ27aに圧接され、動作可能となる。
【0033】
そして、図4のように両面ユニット60を開放すると、二次転写ローラ100は中間転写ベルト11(転写対向ローラ13)から離間し、2つの搬送ローラ対17の従動側ローラ17bがそれぞれの駆動側ローラ17aから離間し、下側の搬送ローラ対17から定着装置20までの通常用紙搬送路43(図に太い実線で示す)が開放される。このとき、作業者が副回動ユニット64を再給紙路62を開放する方向(図中反時計回り)に回動させることによって、第3切替爪23から合流部G(再給紙路が通常用紙搬送路43に合流する部分)までの再給紙路62(図に太い一点鎖線で示す)が開放される。
【0034】
次に、本発明の特徴部分である、交換用ローラ部材としての二次転写ローラ100の構成について説明する。
図1は、副回動ユニット64に対して着脱可能な二次転写ローラ100を示す外観斜視図である。
本実施形態の二次転写ローラ100は、芯金の周面に形成された弾性体からなるローラ部102と、そのローラ部両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した芯金部分である2つの軸部103とから構成される。また、本実施形態では、二次転写ローラ100における2つの軸部103には、取手部材としての把持部104のローラ取付部104aが図示しないボールベアリング(図9の符号106参照)を介して回動自在に取り付けられている。また、把持部104は、搬送規制部材としての転写出口ガイド101と一体形成されている。本実施形態において、この転写出口ガイド101も取手部材として機能する。
【0035】
本実施形態では、転写出口ガイド101及び把持部104は、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂により一体成型されている。これらの転写出口ガイド101や把持部104の材質は、ABS樹脂に限らず、PC(ポリカーボネート)樹脂などの他の樹脂であってもよい。しかし、ABS樹脂で形成した部材は一般に可撓性に高いため、PC(ポリカーボネート)樹脂やAS(アクリルニトリルスチレン)樹脂などの可撓性が低い樹脂に比べて、二次転写ローラ100の軸部103を構成する芯金部分に対して把持部104のローラ取付部104aを取り付けたり取り外したりする際の作業性に優れ、その作業の際にローラ取付部104aが割れてしまうといった問題が発生しにくい。一方、転写出口ガイド101の用紙ガイド機能の観点からすると、転写出口ガイド101については、ブタジエン成分を含まない樹脂で構成することが好ましい。これは、ブタジエン成分を含む樹脂で転写出口ガイド101を形成すると、転写出口ガイド101の誘電率が高まる結果、用紙との摩擦による転写出口ガイド101の摩擦帯電量が高まって未定着状態の用紙上のトナー像を乱す可能性が高まるからである。なお、本実施形態では、把持部104と転写出口ガイド101との一体成形品を用いているが、これらを別部材で構成して互いに固定したものであってもよい。
【0036】
また、二次転写ローラ100の軸部103は、ローラ取付部104aのローラ回転軸方向外方まで延出しており、その延出部分にはそれぞれキャップ状軸受部材としてのキャップ105が取り付けられる。このキャップ105が装置本体50(具体的には中間転写ベルト11を備えた中間転写ユニット)に設けられた図示しないローラ支持部としての挟持部材に挟持されて固定されることで、二次転写ローラ100の装置本体内における上下方向の位置決めがなされる。キャップ105は、軸部103の外周面に対して低摩擦性を有するポリアセタール樹脂などの樹脂で形成されており、キャップ105が装置本体50の挟持部材に挟持された状態でも、キャップ105の内周面と芯金部分の外周面との摩擦が少なく、二次転写ローラ100を低負荷で回転させることが可能である。
【0037】
図5は、二次転写ローラ100の端部を示す拡大図である。なお、この図は、図1中左側に示す端部の拡大図であって、二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着した際にその副回動ユニット64に向く側から見たときのものである。
図示のように、キャップ105は、軸部103が入り込む円柱状のキャップ本体105aと、二次転写ローラ100を副回動ユニット64へ装着するときの装着方向を示す目印部105bと、そのキャップ本体105aの外周面からその径方向外方へ延びてその端部に目印部105bが連結された連結部105cとから構成されている。本実施形態では、後述するように、ローラ部102に対して転写出口ガイド101が鉛直方向上側に位置する姿勢で、二次転写ローラ100を副回動ユニット64へ鉛直方向下方へ移動させることにより二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着する。目印部105bの平面部分には、図示のように、その装着方向を指し示す矢印が形成されている。
【0038】
また、本実施形態では、キャップ105が軸部103から容易に外れないように、キャップ105を把持部104のローラ取付部104aに固定する固定部材が設けられている。本実施形態において、この固定部材は、係合部としてのキャップ105の連結部105cと、ローラ取付部104aのローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部としての挟持部104bとから構成されている。キャップ105をローラ回転軸方向外方から軸部103に取り付ける際、キャップの連結部105cがローラ取付部104aの挟持部104bに挟持されることで、スナップフィット形式でキャップがローラ取付部104aに固定される。
【0039】
以上のような構成を有する二次転写ローラ100の場合、その交換時において、一般ユーザーやサービスマン等の作業者は二次転写ローラ100の両端に位置する2つの把持部104を両手で持つか、転写出口ガイド101を片手又は両手で持つかして、取り扱うことになる。把持部104又は転写出口ガイド101は、二次転写ローラ100の中でローラ部102や軸部103よりも作業者にとって持ちやすい箇所にあり、かつ、持ちやすいように形状になっている。そのため、ほとんどの作業者は、把持部104又は転写出口ガイド101を把持して二次転写ローラ100を取り扱うことになる。その結果、作業者によってローラ部102や軸部103が把持されて二次転写ローラ100が取り扱われる機会がほとんどなくなることを期待できる。したがって、ローラ部102の表面に手油が付着することにより、二次転写ローラ100による用紙搬送性が低下したり、二次転写電界のムラが発生して画質が劣化したりするといった問題や、後述するように軸部103に取り付けられた把持部104のローラ取付部104aを副回動ユニット64に設けられるローラ受部に嵌め込むときの作業性が悪くなるといった問題は生じない。
【0040】
図6は、二次転写ローラ100が装着された状態の副回動ユニット64を示す外観斜視図であり、(a)は装置本体側から見たもので、(b)は再給紙路62側から見たものである。
本実施形態の二次転写ローラ100は、副回動ユニット64に装着されている状態では、副回動ユニット64に設けられた取手保持部材としてのローラ受部70に二次転写ローラ100の把持部104のローラ取付部104aが支持される。両面ユニット60を装置本体50に対して閉じるとき、二次転写ローラ100のキャップ105をガイドして完全に両面ユニット60を閉じた状態での、両面ユニット揺動方向に直交する仮想平面内における二次転写ローラ100の位置を位置決めする位置決め手段としての挟持部材19a、19bが、二次転写ローラ100の両端にそれぞれ取り付けられたキャップ105に対応させて装置本体50に設けられている(図6(a)では図中右側の端部についてのもののみ記載)。この挟持部材19a、19bは、両者の間隔が先端部でテーパー状に広がっており、後端部側ではキャップ105のキャップ本体105aの外径に応じた間隔Gの平行な形状に設定されている。
【0041】
また、二次転写ローラ100は、副回動ユニット64に装着されている状態では、両面ユニット60を閉じたときに二次転写ローラ100における転写出口ガイド101の用紙案内面が通常用紙搬送路43(図4参照)に沿う姿勢になるように、副回動ユニット64にスナップフィットにより固定されている。また、図6(a)に示すように、副回動ユニット64の装置本体側で二次転写ローラ100の下方には転写入口ガイド板68が取り付けられ、対向する装置本体側のガイド板(図2及び図4参照、ただし符号なし)と共に通常用紙搬送路43(図4参照)の一部を構成する。また、副回動ユニット64の再給紙路62側は、図6(b)に示すように、複数のリブ69aを有する搬送ガイド面69として構成されており、対向するガイド部材66(図4参照)と共に再給紙路62の一部を形成する。
【0042】
次に、二次転写ローラ100を交換する際の交換作業について説明する。
図7は、二次転写ローラ100を副回動ユニット64へ装着するときの動きを示す説明図である。
二次転写ローラ100を交換する場合、まず、作業者は図4に示したように両面ユニット60を開いて副回動ユニット64を露出させる。このとき、二次転写ローラ100は、上述したように副回動ユニット64に対してスナップフィットにより固定されている。作業者は、転写出口ガイド101又は把持部104を把持し、これを装置本体50側に向けて(図7中白抜き矢印Bが示す向きとは逆向きに)移動させることにより固定を解除する。これにより、二次転写ローラ100は、その把持部104のローラ取付部が副回動ユニット64のローラ受部に支持された状態で回動自在になる。そして、転写出口ガイド101の用紙案内面がほぼ鉛直面と平行になるまで二次転写ローラ100を回動させたら、作業者は、転写出口ガイド101又は把持部104を把持したまま、鉛直方向上方へ持ち上げる。これにより、把持部104のローラ取付部が副回動ユニット64のローラ受部から抜けて、二次転写ローラ100が副回動ユニット64から外れる。このようにして二次転写ローラ100を副回動ユニット64から外したら、次に、上述した取り外し作業とは逆の手順で、新しい交換用の二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着する。
【0043】
その後、作業者は、新しい交換用の二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着する。ここで、作業者は、交換作業を行う際、本フルカラープリンタの両面ユニット60が設けられている側に向かって立つのが一般的である。したがって、作業者は、交換用の二次転写ローラ100における転写出口ガイド101又は把持部104を把持するときには、装着時に副回動ユニット64に向く側の二次転写ローラ100の面(図1の裏面)を正面に見るようにして持つことになる。そして、作業者は、交換用の二次転写ローラ100における転写出口ガイド101又は把持部104を把持した状態で、その把持部のローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部に嵌り込むように、副回動ユニット64に対して鉛直方向上側から取り付ける。このとき、作業者は、図5に示したように、目印部105bに形成されている装着方向を指し示す矢印を見ることで、その矢印の向きに二次転写ローラ100を装着すればよいことを確認できる。しかも、本実施形態では、この矢印が、副回動ユニット64のローラ受部へ嵌め込む把持部のローラ取付部104aの近傍に存在するので、作業者がこの矢印を見落とす事態が起きにくい。
【0044】
特に、本実施形態では、図示はしないが、把持部のローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部に適正に嵌まり込んだときに、二次転写ローラ100の矢印が位置する箇所と対向する位置となる副回動ユニット64のローラ受部の近傍にも、同種の矢印が設けられている。したがって、作業者は、これらの矢印の位置が互いに適切な位置関係になるように二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着するように作業することで、把持部のローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部へ嵌め込み、二次転写ローラ100を副回動ユニット64に適正に取り付けることができる。この作業の際、作業者は、これらの矢印と合わせて、二次転写ローラ両端部に位置する把持部のローラ取付部104a及び副回動ユニット64のローラ受部とを見ながら作業を行う。したがって、本実施形態のように、これらの矢印を把持部のローラ取付部104a及び副回動ユニット64のローラ受部と近接した位置にあることで、作業者は、視線方向を切り換える回数が少なくなり、作業性が向上する。
【0045】
図8は、二次転写ローラ100における把持部のローラ取付部104aと副回動ユニット64のローラ受部との係合箇所を示すものであり、(a)は二次転写ローラ100が取り外された状態における副回動ユニット64のローラ受部70を示す拡大斜視図であり、(b)は、ローラ受部70及びこれに嵌り込むローラ取付部104aにおける二次転写ローラ100の回転軸方向に対して直交する断面を示す説明図である。
本実施形態において、二次転写ローラ100の軸部103に取り付けられている把持部104のローラ取付部104aは、図8(b)に示すように、直径R’をもつ断面円形状の部材から2つの円弧部分をその弦が互いに平行になるように切断した形状となっている。一方、副回動ユニット64に設けられるローラ受部70は、図8(b)に示すように、その開口部分が絞られた略U字の断面形状を有し、そのU字内部の空間はローラ取付部104aの最大寸法(直径)R’よりも僅かに大きい直径Rを有する断面円形状から一部円弧を取り除いた形状である。ローラ受部70の開口部分の開口寸法rは、ローラ取付部104aの2つの弦間距離である最小寸法r’よりも僅かに大きく、かつ、ローラ取付部104aの最大寸法R’よりも十分に小さく設定されている。よって、ローラ受部70の開口部分に対してローラ取付部104aが図8(b)に示す姿勢にならないと、ローラ取付部104aはローラ受部70内に嵌り込むことができない。
【0046】
本実施形態では、二次転写ローラ100を転写出口ガイド101の用紙案内面がほぼ鉛直面と平行になる装着姿勢となるように持つと、そのローラ取付部104aが図8(b)に示す姿勢となる。また、両面ユニット60を所定の位置まで開いたとき、副回動ユニット64のローラ受部70は、図8(b)に示すように、その開口部分が略鉛直方向真上に向く姿勢となる。したがって、作業者は、所定の位置まで開いた両面ユニット60の副回動ユニット64に対し、その転写出口ガイド101の用紙案内面がほぼ鉛直面と平行になるように持った状態で、そのローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部70の開口部分に対して鉛直方向ほぼ真上から進入するように、二次転写ローラ100を移動させることで、二次転写ローラ100のローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部70に嵌り込む。ローラ取付部104aの最大寸法R’は、ローラ受部70の内部空間の最小寸法(直径)Rよりも僅かに小さいので、二次転写ローラ100は、そのローラ取付部104aが副回動ユニット64のローラ受部70に嵌り込んだ状態で回動自在である。よって、作業者は、転写出口ガイド101又は把持部104を把持したまま、転写出口ガイド101が装置本体50から離れる向きに移動するように二次転写ローラ100を回動させる。そして、把持している転写出口ガイド101又は把持部104を副回動ユニット64に押しつけるようにして、二次転写ローラ100を副回動ユニット64に対してスナップフィットさせて固定する。その後、作業者は、両面ユニット60を閉じることで、交換用の二次転写ローラ100の装着作業が完了する。
【0047】
ここで、交換用の二次転写ローラ100を装着する際、作業者は、上述したように、二次転写ローラ100の矢印と副回動ユニット64の矢印とが互いに適切な位置関係になるように二次転写ローラ100を副回動ユニット64に対して位置決めする。このとき、その位置決めを補助する手段が何ら存在しない場合、作業者は自分の力だけで位置決めを行わなければならず、作業性が悪くなる。そこで、本実施形態では、次のような位置決め手段が備わっている。
【0048】
図9は、二次転写ローラ100が副回動ユニット64に取り付けられた状態における回転軸方向に対して直交する断面を示した説明図である。
図示のように、本実施形態では、各把持部104のローラ取付部104aに対してローラ回転軸方向内側及び外側に隣接した位置に、それぞれガイド片104c,104dが形成されている。これらのガイド片104c,104dは、副回動ユニット64に対する二次転写ローラ100のローラ軸方向における位置決めを補助するためのものである。したがって、少なくとも、図8(b)に示すローラ取付部104aの図中下側円弧部分から、ローラ回転軸の放射方向外側へ延出するように設けるのが好ましく、本実施形態でもそのように設けられている。このようなガイド片104c,104dが設けられていることで、副回動ユニット64に対して二次転写ローラ100をそのローラ軸方向へ位置決めするにあたり、作業者は、まず、そのガイド片104c,104dの間に、副回動ユニット64におけるローラ受部70の開口部分を形成する端部70a(図8参照)が嵌める作業を行う。ガイド片104c,104dの間に端部70aが嵌り込んだら、これにより副回動ユニット64に対する二次転写ローラ100のローラ軸方向における位置決めがなされる。その後、二次転写ローラ100をその回転軸方向に対して直交する方向へ動かして、ローラ受部70の開口部分に二次転写ローラ100のローラ取付部104aを入り込ませる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、ガイド片104c,104dにより副回動ユニット64に対して二次転写ローラ100がそのローラ軸方向へ位置決めされた状態で、二次転写ローラをそのローラ軸方向に対して直交する方向における位置決めを行ってローラ受部70の開口部分にローラ取付部104aを入り込ませることができる。よって、二次転写ローラ100をそのローラ軸方向とこれに直交する方向の両方向を同時に位置決めしながらローラ受部70の開口部分にローラ取付部104aを入り込ませる場合に比べて、格段に作業性が高まる。
【0050】
なお、本実施形態では、2つのローラ取付部104aそれぞれに対し、そのローラ回転軸方向内側及び外側にガイド片104c,104dを形成する場合について説明したが、このような構成に限らずとも同様の効果を得ることができる。
例えば、図10に示すように、2つのローラ取付部104aのいずれか一方に対し、そのローラ回転軸方向内側及び外側にガイド片104c,104dを形成する構成でも、本実施形態と同様に作業性を向上させることができる。
また、例えば、図11に示すように、2つのローラ取付部104aそれぞれに対し、そのローラ回転軸方向外側だけにガイド片104cを形成する構成でも、本実施形態と同様に作業性を向上させることができる。
また、図示はしないが、2つのローラ取付部104aそれぞれに対し、そのローラ回転軸方向内側だけにガイド片104dを形成する構成としてもよい。
【0051】
次に、交換用の二次転写ローラ100を運搬等するためにこれを梱包した状態にした交換用部品について説明する。
図12は、二次転写ローラ100を梱包した状態の交換用部品をローラ軸方向から見たときの、梱包部材を断面で示した説明図である。
この梱包部材は、二次転写ローラ100を内部に収容し、その二次転写ローラ100を取り出すための取出口201aが二次転写ローラ100の回転軸方向に対して直交する方向に形成された収容箱201と、その収容箱201に収容されている二次転写ローラ100の姿勢を、把持部104や転写出口ガイド101が取出口201aに向かうように保持する保持部材202とから構成されている。
【0052】
収容箱201は、二次転写ローラ100の軸方向に対応する方向に長尺な直方体形状であり、取出口201aを開閉可能な蓋部201bを有する。この収容箱201の材料としては収容箱として公知のものを広く使用できる。本実施形態では、板状のダンボール材を切断、折り畳んで図示のような形状としたものを、収容箱201として用いている。
また、保持部材202は、二次転写ローラ100のローラ部102の下部を保持するローラ保持部202aと、二次転写ローラ100の転写出口ガイド101がほぼ出口側を向くように転写出口ガイド101の動きを規制するガイド保持部202bとから構成される。この保持部材202の材料としては公知のものを広く使用できる。本実施形態では、板状のダンボール材を切断、折り畳んで図示のような形状としたものを、保持部材202として用いている。
【0053】
このような梱包部材から二次転写ローラ100を取り出すとき、作業者は、まず、収容箱201の蓋部を201bを空けて取出口201aを開放する。このとき、本実施形態では、保持部材202のガイド保持部202bにより二次転写ローラ100の転写出口ガイド101や把持部104が取出口201aに向かうように保持されている。よって、作業者は、取出口201aから手を入れて、転写出口ガイド101や把持部104を掴んでこれを引き上げるだけで、収容箱201から二次転写ローラ100を簡単に取り出すことができる。しかも、本実施形態によれば、収容箱201から二次転写ローラ100を取り出すときに把持する転写出口ガイド101や把持部104を持ったまま、二次転写ローラ100を両面ユニットの副回動ユニット64に装着することができるので、二次転写ローラ100を収容箱201から取り出して副回動ユニット64に装着するまでの作業中、二次転写ローラ100を持ち替える必要がなく、作業性が高い。
【0054】
以上のように、本実施形態のフルカラープリンタは、プリンタ本体に対して着脱可能なローラ部材としての二次転写ローラ100と、プリンタ本体に設けられ、二次転写ローラ100の軸部103を軸受部材としてのキャップ105を介して支持するローラ支持部としての挟持部材19a,19bとを備え、記録材である用紙上に画像を形成する画像形成装置である。そして、二次転写ローラ100は、ローラ部102と、ローラ部102の両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した2つの軸部103とを有するとともに、2つの軸部103に対して回動自在に設けられた取手部材としての把持部104及び転写出口ガイド101を有する。これにより、二次転写ローラの交換作業を行う作業者のほとんどは、その把持部104又は転写出口ガイド101を把持して二次転写ローラ100を取り扱うことになる。その結果、ローラ部102の表面に手油が付着することにより、二次転写ローラ100による用紙搬送性が低下したり、二次転写電界のムラが発生して画質が劣化したりするといった問題や、軸部103に取り付けられた把持部104のローラ取付部104aを副回動ユニット64に設けられるローラ受部に嵌め込むときの作業性が悪くなるといった問題は生じない。
また、本実施形態では、取手部材として機能する把持部104及び転写出口ガイド101は、2つの軸部103に対して回動自在に設けられた単一部材である。各軸部103に対して個別に取手部材を設けると、各取手部材が独立して軸部103に対して回動し得るので、軸部103に対する両取手部材の回動位置が相対的にズレて一定にならない事態が生じ、作業者が各取手部材を掴みづらくなる。これに対し、本実施形態の構成によれば、このような事態は生じないので、作業者が把持部104や転写出口ガイド101を掴みやすく、取扱性がよい。
また、本実施形態において、交換するローラ部材は、プリンタ本体、具体的には両面ユニット60の副回動ユニット64に対して装着されたときに、用紙片面に接触して用紙を搬送するための搬送ローラである二次転写ローラ100として用いられるものである。そして、この二次転写ローラ100がプリンタ本体に対して装着されたときに搬送中の用紙に接触することで用紙の搬送方向を規制する搬送規制部材としての転写出口ガイド101を、二次転写ローラ100の取手部材として用いている。通常、二次転写ローラ100の取手部材は、本フルカラープリンタの画像形成動作とは無関係な部材であるため、プリンタの小型化の観点からすると、なるべく小さくせざるを得ない。しかし、取手部材が小さいと、その分だけ交換作業を行う作業者が二次転写ローラ100を取り扱うときの取扱性が低下する。本実施形態のように、二次転写ローラ100が装着された際に、その二次転写ローラ100の取手部材を、必然的に寸法が大きくなる転写出口ガイド101として用いることで、プリンタの小型化と二次転写ローラ100の取扱性とを両立することができる。なお、本実施形態では、交換対象の搬送ローラが二次転写ローラ100である場合について説明したが、他の搬送ローラであってもよく、また、その搬送ローラは駆動ローラでも従動ローラでもよい。
また、本実施形態では、転写出口ガイド101はABS樹脂で形成されているので、上述したようにこれを取り扱う際の作業性に優れ、その作業の際に割れてしまうといった問題が発生しにくい。
なお、上述した実施形態中でも述べたが、転写出口ガイド101は、転写出口ガイド101の用紙ガイド機能の観点からすると、ブタジエン成分を含まない樹脂で形成することが好ましい。
【0055】
また、本実施形態の二次転写ローラ100は、2つの軸部103のうちの少なくとも一方の軸部103に対して軸部103の外周面と摺動するキャップ状軸受部材としてのキャップ105が取り付けられる。このキャップ105は、二次転写ローラ100がプリンタ本体に対して装着されたときにプリンタ本体の挟持部材19a,19bに固定される。また、二次転写ローラ100は、キャップ105を把持部104のローラ取付部104aに対して固定する固定部材104b,105cを備えている。このような構成により、キャップ105が軸部103から容易に外れないようにすることができる。
また、本実施形態では、キャップ105が軸部103と低摩擦で摺動する内周面を有する樹脂部材であるので、軸部103に対してスムーズに回動するキャップを安価に構成できる。
また、本実施形態における上記固定部材は、キャップ105の外周面から径方向外方に突出した係合部としての連結部105cと、把持部104におけるローラ取付部104aのローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部としての挟持部104bとからなり、ローラ回転軸方向外方から連結部105cが挟持部104bへ進入したときに連結部105cが挟持部104bに挟持される構成となっている。このような構成により、作業者は、ローラ回転軸方向外方からキャップ105の連結部105cを挟持部104bに嵌め込むという簡単な作業で、キャップ105を軸部103に取り付けることができ、二次転写ローラ100の製造工程を簡素化して生産性を高めることができる。なお、キャップ105側に被係合部である挟持部を設け、これに挟持される係合部をローラ取付部104a側に設けても同様の効果を得ることができる。
なお、上記固定部材を、図13に示すように、キャップ105と把持部104のローラ取付部104aとをネジ止めするネジ止め部材107で構成すれば、キャップ105が軸部103から確実に外れないようにすることはできる。
また、本実施形態において、キャップ105は、二次転写ローラ100をプリンタ本体へ装着するときの装着方向を示す目印部105bを有する。これにより、作業者が装着方向を間違てしまう事態を起きにくくすることができ、交換作業の作業性を向上させることができる。
特に、本実施形態では、二次転写ローラ100をプリンタ本体へ装着したときに二次転写ローラ100のキャップ105に設けられた目印部105bと対応するプリンタ本体側の箇所に別の目印部を有するので、キャップ105の目印部105bは、二次転写ローラ100をプリンタ本体へ装着するときの装着位置を示す目印部としても機能する。このような目印部105bの存在により、作業者が装着位置を間違てしまう事態を起きにくくすることができ、交換作業の作業性を向上させることができる。
なお、装着位置を示す目印部としては、図14に示すように、目印部105bに形成される目印としてローラ軸方向内方に向く矢印を採用すれば、作業者が装着位置を間違える事態を効果的に防止することができ、交換作業の作業性を更に向上させることができる。
【0056】
本実施形態では、軸部103に対して摺動することにより回動自在なキャップをプリンタ本体側の挟持部材19a,19bで挟持することで、二次転写ローラ100をプリンタ本体で支持する場合について説明したが、他の構成であってもよい。
例えば、図15に示すように、キャップ105に代えて、2つの軸部103のうちの少なくとも一方の軸部103に内周面側が取り付けられ、二次転写ローラ100がプリンタ本体に対して装着されたときに外周面側がプリンタ本体の挟持部材19a,19bに固定されるボールベアリングからなる軸受部材108を用いてもよい。この場合、軸部103と挟持部材19a,19bとの間の回転負荷をより小さくすることができるので、プリンタ本体に装着された二次転写ローラ100のよりスムーズな回転を実現することができる。
また、図15に示す例では、上記軸受部材108を軸部103に対して圧入固定により取り付けているので、軸受部材108を軸部103に対して取り付けるときの作業性が高まり、二次転写ローラ100の生産性を高めることができる。
また、図16に示すように、軸受部材108の外面に対してローラ軸方向外方から装着される円筒状のカラー部材(図中正面側の一端面のみ開口した円筒状部材)109を設け、このカラー部材109を把持部104のローラ取付部104aに対して固定する固定部材を設ける。このカラー部材109は、内径が異なるものの上記実施形態におけるキャップ105と同様の構成を有するので、この固定部材としては、上記実施形態と同様に、カラー部材109の外周面から径方向外方に突出した係合部としての連結部109cと、把持部104におけるローラ取付部104aのローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部としての挟持部104bとからなり、ローラ回転軸方向外方から連結部109cが挟持部104bへ進入したときに連結部109cが挟持部104bに挟持される構成を採用できる。図16に示す構成とすれば、カラー部材109の内部に軸受部材108を装着しておき、この状態の軸受部材108の内周空間に軸部103を挿入してカラー部材109の連結部109bをローラ取付部104aの挟持部104bに嵌め込むという作業で、軸受部材108を軸部103に取り付けることができる。この作業は、軸受部材108を軸部103に対して圧入固定する場合に比べて簡単であり、二次転写ローラ100の生産性をより高めることができる。
なお、図13に示した例と同様に、上記固定部材を、カラー部材109と把持部104のローラ取付部104aとをネジ止めするネジ止め部材で構成すれば、カラー部材109が二次転写ローラ100から確実に外れないようにすることはできる。
【0057】
また、本実施形態における交換用部品は、上記構成を有する二次転写ローラ100と、その二次転写ローラ100を内部に収容し、二次転写ローラ100を取り出すための取出口201aが二次転写ローラ100の回転軸方向に対して直交する方向に形成された収容箱201と、この収容箱201に収容されている二次転写ローラ100の姿勢を二次転写ローラ100の把持部104又は転写出口ガイド101が取出口201aに向かうように保持する保持部材202とを有している。これにより、二次転写ローラ100を収容箱201から取り出す作業者のほとんどは、その把持部104又は転写出口ガイド101を把持して二次転写ローラ100を収容箱201から取り出すことになる。その結果、この取出作業の際に、ローラ部102の表面に手油が付着することにより、二次転写ローラ100による用紙搬送性が低下したり、二次転写電界のムラが発生して画質が劣化したりするといった問題や、軸部103に取り付けられた把持部104のローラ取付部104aを副回動ユニット64に設けられるローラ受部に嵌め込むときの作業性が悪くなるといった問題は生じない。
【0058】
また、本実施形態のフルカラープリンタは、そのプリンタ本体に、二次転写ローラ100が有する把持部104又は転写出口ガイド101を保持する取手保持部材としてのローラ受部70を設け、二次転写ローラ100の把持部104に、図8(b)に示したようにローラ軸方向に対して直交する方向の長さが互いに異なる部分R’,r’をもち、ローラ受部70に保持される被保持部としてのローラ取付部104aを設けている。そして、ローラ受部70は、ローラ取付部104aにおけるローラ軸方向に対して直交する方向の最も長さが短い部分r’に対応した寸法をもつ受入口としての開口部分を有する。これにより、ローラ受部70の開口部分に対してローラ取付部104aが図8(b)に示す姿勢にならないと、ローラ取付部104aはローラ受部70内に嵌り込むことができず、二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着することができない。このように二次転写ローラ100の装着を規制することで、副回動ユニット64に対して二次転写ローラ100が誤った姿勢で装着されるのを効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、ローラ取付部104aが、二次転写ローラ100のローラ部102のローラ軸方向外側における2つの軸部103に対する把持部104の取付部である。そして、ローラ取付部104aに対してローラ軸方向内側又は外側に隣接し、このローラ取付部104aをローラ受部70の開口部分へ挿入する際に、そのローラ受部70における開口部分を形成する端部70aのローラ軸方向内側又は外側に接触することで、その開口部分に対するローラ取付部104aの挿入をガイドするガイド部材としてのガイド片104c,104dを備えている。これにより、ガイド片104c,104dにより副回動ユニット64に対して二次転写ローラ100がそのローラ軸方向へ位置決めされた状態で、二次転写ローラをそのローラ軸方向に対して直交する方向における位置決めを行ってローラ受部70の開口部分にローラ取付部104aを入り込ませることができる。よって、二次転写ローラ100をそのローラ軸方向とこれに直交する方向の両方向を同時に位置決めしながらローラ受部70の開口部分にローラ取付部104aを入り込ませる場合に比べて、格段に作業性が高まる。
また、本実施形態のフルカラープリンタは、プリンタ本体の側面に鉛直方向上方が開く開閉扉としての両面ユニット60と、その両面ユニット60を開いた姿勢に保持する扉姿勢保持部材としてのリンク機構とを有し、そのリンク機構により両面ユニット60が開いた姿勢にあるときに上記ローラ受部70の開口部分が略鉛直方向直上に向くように、ローラ受部70を両面ユニット60におけるプリンタ本体内面側に設けている。一般に、二次転写ローラ100において芯金部分が最も重いので、把持部104や転写出口ガイド101を把持して二次転写ローラ100を持つ場合、そのローラ部102が鉛直方向で最も低い位置にくるような姿勢になるのが最も少ない力で済む。したがって、本フルカラープリンタによれば、二次転写ローラ100を副回動ユニット64に装着する際に要する力が少なくて済む。
【符号の説明】
【0059】
1 感光体ドラム
10M,10C,10Y,10Bk 作像ユニット
11 中間転写ベルト
19a,19b 挟持部材
50 装置本体
60 両面ユニット
64 副回動ユニット
70 ローラ受部
100 二次転写ローラ
101 転写出口ガイド
102 ローラ部
103 軸部
104 把持部
104a ローラ取付部
104b 挟持部
104c,104d ガイド片
105 キャップ
105a キャップ本体
105b 目印部
105c 連結部
107 ネジ止め部材
108 軸受部材
109 カラー部材
201 収容箱
201a 取出口
201b 蓋部
202 保持部材
202a ローラ保持部
202b ガイド保持部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2002−258635号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部と、該ローラ部の両端からローラ回転軸方向外方にそれぞれ延出した2つの軸部とを有し、画像形成装置本体に対して着脱可能な交換用ローラ部材において、
上記2つの軸部に対して回動自在に設けられた取手部材を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項2】
請求項1の交換用ローラ部材において、
上記取手部材は、上記2つの軸部に対して回動自在に設けられた単一部材であることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項3】
請求項2の交換用ローラ部材において、
当該交換用ローラ部材は、上記画像形成装置本体に対して装着されたときに記録材の片面に接触して該記録材を搬送するための搬送ローラとして用いられるものであり、
上記取手部材は、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに搬送中の記録材に接触することで該記録材の搬送方向を規制する搬送規制部材として用いられるものであることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項4】
請求項3の交換用ローラ部材において、
上記搬送規制部材は、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂からなることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項5】
請求項3の交換用ローラ部材において、
上記搬送規制部材は、ブタジエン成分を含まない樹脂からなることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5の交換用ローラ部材において、
上記2つの軸部のうちの少なくとも一方の軸部に対して該軸部の外周面と摺動するように取り付けられ、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに該画像形成装置本体のローラ支持部に固定されるキャップ状軸受部材と、
該キャップ状軸受部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項7】
請求項6の交換用ローラ部材において、
上記キャップ状軸受部材は、上記少なくとも一方の軸部と摺動する内周面を有する樹脂部材であることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項8】
請求項6又は7の交換用ローラ部材において、
上記固定部材は、上記キャップ状軸受部材の外周面から径方向外方に突出した係合部と、上記取手部材のローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部とからなり、ローラ回転軸方向外方から該係合部が該被係合部へ進入したときに該係合部及び該被係合部のいずれか一方が他方に挟持される構成を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項9】
請求項6又は7の交換用ローラ部材において、
上記固定部材は、上記キャップ状軸受部材と上記取手部材とをネジ止めするネジ止め部材からなることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項10】
請求項6、7、8又は9の交換用ローラ部材において、
上記キャップ状軸受部材は、当該交換用ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着するときの装着方向を示す目印部を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項11】
請求項6、7、8又は9の交換用ローラ部材において、
上記キャップ状軸受部材は、当該交換用ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着するときの装着位置を示す目印部を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項12】
請求項11の交換用ローラ部材において、
上記目印部は、目印としてローラ軸方向内方に向く矢印を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項13】
請求項1、2、3、4又は5の交換用ローラ部材において、
上記2つの軸部のうちの少なくとも一方の軸部に内周面側が取り付けられ、当該交換用ローラ部材が該画像形成装置本体に対して装着されたときに外周面側が該画像形成装置本体のローラ支持部に固定されるボールベアリングからなる軸受部材を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項14】
請求項13の交換用ローラ部材において、
上記軸受部材を、上記少なくとも一方の軸部に対して圧入固定により取り付けたことを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項15】
請求項13の交換用ローラ部材において、
上記軸受部材の外面に対してローラ軸方向外方から装着されるカラー部材と、
該カラー部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有し、
該固定部材は、該カラー部材の外面に設けられるローラ径方向外方へ突出した係合部と、該取手部材のローラ回転軸方向外側に設けられた被係合部とからなり、ローラ回転軸方向外方から該係合部が該被係合部へ進入したときに該係合部及び該被係合部のいずれか一方が他方に挟持される構成を有することを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項16】
請求項13の交換用ローラ部材において、
上記軸受部材の外面に対してローラ軸方向外方から装着されるカラー部材と、
該カラー部材を上記取手部材に対して固定する固定部材とを有し、
該固定部材は、該カラー部材と上記取手部材とをネジ止めするネジ止め部材からなることを特徴とする交換用ローラ部材。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の交換用ローラ部材と、
該交換用ローラ部材を内部に収容し、該交換用ローラ部材を取り出すための取出口が該交換用ローラ部材の回転軸方向に対して直交する方向に形成された収容箱と、
該収容箱に収容されている該交換用ローラ部材の姿勢を、該交換用ローラ部材の上記取手部材が該取出口に向かうように保持する保持部材とを有することを特徴とする交換用部品。
【請求項18】
画像形成装置本体に対して着脱可能なローラ部材と、該画像形成装置本体に設けられ、該ローラ部材の軸部を軸受部材を介して支持するローラ支持部とを備え、記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記ローラ部材として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の交換用ローラ部材を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
請求項18の画像形成装置において、
上記画像形成装置本体は、上記ローラ部材が有する上記取手部材を保持する取手保持部材を有し、
該取手部材は、ローラ軸方向に対して直交する方向の長さが互いに異なる部分をもち、該取手保持部材に保持される被保持部を有し、
該取手保持部材は、該被保持部におけるローラ軸方向に対して直交する方向の最も長さが短い部分に対応した寸法をもつ受入口を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
請求項19の画像形成装置において、
上記被保持部は、上記ローラ部材の上記ローラ部のローラ軸方向外側における該ローラ部材の上記2つの軸部に対する上記取手部材の取付部にそれぞれ設けられており、
少なくとも一方の該被保持部に対してローラ軸方向内側又は外側に隣接し、該被保持部を上記取手保持部材の上記受入口へ挿入する際に、該取手保持部材における該受入口を形成する部分のローラ軸方向内側又は外側に接触することで、該受入口に対する該被保持部の挿入をガイドするガイド部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
請求項19又は20の画像形成装置において、
上記画像形成装置本体の側面に鉛直方向上方が開く開閉扉と、
該開閉扉を開いた姿勢に保持する扉姿勢保持部材とを有し、
該扉姿勢保持部材により該開閉扉が開いた姿勢にあるときに上記受入口が略鉛直方向直上に向くように、該取手保持部材を該開閉扉における画像形成装置本体内面側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
請求項18、19、20又は21の画像形成装置において、
上記ローラ部材は、請求項11又は12の交換用ローラ部材であり、
該ローラ部材を上記画像形成装置本体へ装着したときに該ローラ部材の上記キャップ状軸受部材に設けられた目印部と対応する画像形成装置本体側の箇所に、別の目印部を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−107733(P2011−107733A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49789(P2011−49789)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【分割の表示】特願2005−353955(P2005−353955)の分割
【原出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】