説明

画像形成装置

【課題】複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に像担持体の表面に十分量のトナーを供給可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の感光ドラム1y〜1k、現像ユニット40y〜40kを備える画像形成装置において、感光ドラム1y〜1kの表面にトナーを供給するトナー供給プロセスを実行可能であって、一の感光ドラムに対してトナー供給プロセスを実行する際に、一の現像ユニットに収容されているトナー量Wが、閾値Ewよりも大きい場合は一の現像ユニットから一の感光ドラムの表面にトナーを供給し、一の現像ユニットに収容されているトナー量Wが閾値Ew以下である場合は、他の現像ユニットのうちトナー量Wが閾値Ewよりも大きい二の現像ユニットからトナーを供給することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナー色に応じて設けられる回転可能な複数の像担持体と、それぞれの像担持体に対して設けられる現像ユニット、及びそれぞれの像担持体表面に接触する回転可能なベルト部材を備える画像形成装置が知られている。かかる構成によると、現像ユニットからトナーを供給して像担持体表面にトナー像を形成し、トナー像をベルト部材上に担持されているシート材上に転写することで、シート材上に画像を形成することができる。なお、像担持体表面からベルト部材上にトナー像を一次転写し、ベルト部材上からシート材上にトナー像を二次転写する構成も知られている。
【0003】
また、像担持体表面からトナー像をシート材上又はベルト部材上に転写した後、像担持体表面に残留する残留トナーを像担持体表面から除去すべく、それぞれの像担持体に対してクリーニング装置を設ける構成も広く知られている。このようなクリーニング装置として、像担持体表面に当接して残留トナーを掻き取るクリーニングブレードを備えたクリーニング装置が知られている。
【0004】
しかし、クリーニングブレードを用いて残留トナーを掻き取る場合、クリーニングブレードと像担持体表面との摩擦力が大きいと、クリーニングブレードのびびり(スティックスリップ)が生じたり、クリーニングブレードがめくれるといった現象が生じてしまう。このような現象が生じてしまうと、像担持体表面を好適にクリーニング出来ないばかりか、像担持体表面に傷が形成され、それによって画像品質の低下を招いてしまう。また、クリーニングブレードのびびりに起因して、異音が生じてしまう。そこで、非画像形成時に潤滑目的として現像ユニットから像担持体表面にトナーを供給することで、クリーニングブレードと像担持体表面との摩擦力を低減させ、異音の発生を抑制し、良好なクリーニング性能を保つ技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−161426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の画像形成装置には以下の課題がある。
【0007】
現像ユニットからトナーを像担持体表面に供給する際に、現像ユニット内に収容されているトナー量が少ないと、十分量のトナーを供給できず、クリーニングブレードと像担持体表面との摩擦力を十分に低減させることができない。よって、上述したような画像品質の低下、及び異音の発生を招いてしまう。また、潤滑目的でトナーを供給する場合は、現像ユニット内のトナーの消費を促進することになるので、現像ユニット内に収容されているトナーが少ないと、画像形成時にトナーが足らなくなるといった不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の画像形成装置にあっては、
静電潜像を担持するための第一の像担持体と、前記第一の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第一の現像装置と、前記第一の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第一のクリーニング装置と、静電潜像を担持するための第二の像担持体と、前記第二の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第二の現像装置と、前記第二の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第二のクリーニング装置と、前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と接触可能に設けられて回転をする回転体と、を有し、前記回転体は、前記像担持体に形成されたトナー像を転写され、前記回転体に転写されたトナー像をシート材に転写するための中間転写体であるか、又は前記像担持体に形成されたトナー像が転写されるシート材を搬送するための搬送体であり、前記シート材に対する画像形成のためのトナー像の形成を行わない時に、前記第一の像担持体と前記第一のクリーニング装置のクリーニングブレードとの間にトナーを供給するトナー供給プロセスの制御をおこなう制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第一の現像装置又は前記第二の現像装置に収容されたトナー量に応じて、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行するか、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行するかを選択することを特徴とする。
【0010】
また、
静電潜像を担持するための第一の像担持体と、前記第一の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第一の現像装置と、前記第一の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第一のクリーニング装置と、静電潜像を担持するための第二の像担持体と、前記第二の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第二の現像装置と、前記第二の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第二のクリーニング装置と、前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と接触可能に設けられて回転をする回転体と、を有し、前記回転体は、前記像担持体に形成されたトナー像を転写され、前記回転体に転写されたトナー像をシート材に転写するための中間転写体であるか、又は前記像担持体に形成されたトナー像が転写されるシート材を搬送するための搬送体であり、前記シート材に対する画像形成のためのトナー像の形成を行わない時に、前記第一の像担持体と前記第一のクリーニング装置のクリーニングブレードとの間にトナーを供給するトナー供給プロセスの制御をおこなう制御装置とを備え、前記第一の現像装置は画像形成装置の装置本体から着脱可能に設けられており、前記制御装置は、前記第一の現像装置が装着されている場合は前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行し、前記第一の現像装置が装着されていない場合は前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローを示す図。
【図3】第2実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローを示す図。
【図4】第3実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローを示す図。
【図5】第4実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1の実施形態>
図1、図2を参照して、本発明を適用できる第1の実施形態について説明する。
【0015】
(1−1:画像形成装置の概略構成)
図1(a)に、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式を採用するフルカラーのレーザビームプリンタである。
【0016】
画像形成装置には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーに応じて、4つのプロセスステーションY、M、C、Bkが設けられている。それぞれのプロセスステーションは、シート材Pを転写位置まで搬送する搬送ベルト10(回転体且つ搬送体)の回転方向に沿って(図中左から右にかけて)横一列に配設されている。搬送ベルト10は後述する感光ドラム1y〜1kと接触可能に設けられている。搬送ベルト10の表面に担持させたシート材P上に、それぞれのプロセスステーションからトナー像を順次転写することで、シート材P上に所望のフルカラー画像を形成することができる。なお、このような画像形成方式を「インライン方式」と称する。
【0017】
それぞれのプロセスステーションには、共に画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な現像ユニット40y〜40kとクリーニングユニット20y〜20kとが設けられている(図1(b))。
【0018】
現像ユニット40y〜40kには、感光ドラム1(像担持体)の表面にトナー(現像剤)を供給する現像ローラ4y1〜4k1、現像ローラ4y1〜4k1にトナーを供給するトナー供給ローラ4y2〜4k2が設けられている。さらに、現像ローラ4y1〜4k1の表面においてトナー層厚を規制する規制ブレード4y3〜4k3が設けられており、これらが現像容器内に一体的に保持されている。また、現像容器の枠体上には、現像ユニット40y〜40kに関する情報(現像ユニット40y〜40kに収容されているトナー量W、現像ローラ4y1〜4k1の回転数など)を記憶する記憶媒体5y〜5kが設けられている。この記憶媒体5y〜5kに記憶された情報は、画像形成装置の装置本体側に設けられた通信部を介して、装置本体側に設けられた制御部と通信(情報の書き込み、読取り)が可能である。なお、本実施形態では記憶媒体5y〜5kとして、2kバイトの記憶容量を有するNV−RAM(Non Volatile−RAM)を用いているが、記憶媒
体5y〜5kの形態はこれに限られるものではない。例えば、磁性記憶媒体や光記憶媒体等の記憶媒体であっても良い。
【0019】
一方、クリーニングユニット20y〜20kは、回転可能な感光ドラム1y〜1k(像担持体)、感光ドラム1y〜1kの表面に当接して感光ドラム1y〜1kの表面を一様に帯電する帯電ローラ2y〜2k、及びクリーニング装置6y〜6kを一体に有している。また、クリーニング装置6y〜6kには、回転状態にある感光ドラム1y〜1kの表面と当接することで、感光ドラム1y〜1kの表面からトナーを掻き取る(除去する)クリーニングブレード6y1〜6k1、及び廃トナー容器6y2〜6k2が設けられている。クリーニングブレード6y1〜6k1は、ウレタンゴム等の弾性部材によって形成されるとよい。なお、ここでは感光ドラム1y〜1kとして、直径30mmの負帯電特性のOPC(有機光半導体)感光ドラムが使用されており、画像形成時には、不図示の駆動源によって矢印方向に100mm/secの周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0020】
このように、画像形成装置の装置本体に対して現像ユニット40y〜40k、クリーニングユニット20y〜20kをそれぞれ着脱可能とすることにより、例えばトナーの補給等のメンテナンス作業がしやすくなるので、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0021】
次に、現像ユニット40y〜40k、クリーニングユニット20y〜20kを装置本体に対して装着した状態において、シート材上に画像を形成する画像形成プロセスについて説明する。
【0022】
装置本体の制御部に画像形成開始の信号が入力されると、まず、感光ドラム1y〜1kが回転し始め、不図示の電源から帯電ローラ2y〜2kに帯電電圧(−1.2kVのDC電圧)が印加される。これにより、感光ドラム1y〜1kの表面が約−600Vに一様に帯電される。なお、帯電ローラ2y〜2kは実抵抗が1×10Ωであり、感光ドラム1y〜1kに対して総圧9.8N(ニュートン)で当接して感光ドラム1y〜1kに従動回転する。
【0023】
感光ドラム1y〜1kの表面を一様に帯電した後、露光装置3y〜3kから画像信号に基づいて変調されたレーザ光(露光光)が射出され、感光ドラム1y〜1kの表面が走査露光されることにより、感光ドラム1y〜1kの表面に静電潜像が形成される。本実施形態では、レーザダイオードを用いたポリゴンスキャナを露光装置3y〜3kとして用いている。なお、レーザ露光を受けた部分の電位は約−200Vになる。レーザ露光の書き出しは、主走査方向(シート材の搬送方向と直交する方向)では、走査ラインごとにBDと呼ばれるポリゴンスキャナ内の位置信号から行われる。一方で、副走査方向(シート材の搬送方向)では、シート材搬送路内のスイッチ(不図示)を起点とするTОP信号から所定の時間だけ遅延させて行われる。これにより、4つのプロセスステーションY、M、C、Bkにおいて、常に感光ドラム1y〜1k表面上の同じ位置に対してレーザ露光を行うことができる。
【0024】
その後、感光ドラム1y〜1kの表面に形成された静電潜像に対して、感光ドラム1y〜1kの表面に接触する現像ローラ4y1〜4k1からトナーが供給され、静電潜像が各色のトナー像として現像される。この際、現像ローラ4y1〜4k1には、不図示の電源より現像電圧(約−350V)が印加されており、これにより、トナーを静電気的に静電潜像に対して供給することが可能になる。なお、本実施形態では、現像剤として負帯電の非磁性一成分トナーを用いている。また、現像時には、現像ローラ4y1〜4k1が感光ドラム1y〜1kの回転方向に対して順方向に170%となるプロセススピードで回転している。
【0025】
感光ドラム1y〜1kの表面に現像されたトナー像は、感光ドラム1y〜1kと転写ローラ9y〜9kとによって形成される各々の転写ニップ部(幅約1.5mm)において、ベルト部材としての搬送ベルト10上に担持されているシート材上に順次転写される。搬送ベルト10は、ローラ部材12に掛け渡されており、図中矢印方向に感光ドラム1y〜1kの現像時と同じプロセススピードをもって回転駆動されている。また、搬送ベルト10は1×1010Ωcmに抵抗調整された厚み100μmのポリイミドフィルムの単層樹脂ベルトを無端状に構成したものであり、背面側の両端部には、ベルトの蛇行や偏りを防止するためのリブが設けられている。
【0026】
また、転写ローラ9y〜9kには、体積抵抗率1×10Ωcmに調整されたローラを用いており、搬送ベルト10をその背面から押圧して感光ドラム1y〜1kの表面に押し付けるようにしている。これら転写ローラ9y〜9kに正極性の転写電圧(DC電圧)を印加することで、各感光ドラム1y〜1kの表面に形成されたトナー像をシート材P上に
順次転写することができる。転写ローラ9y〜9kに印加される転写電圧は、シート材Pの搬送方向上流側にある転写ローラ(この場合は9y)から順に、+2kV、+2.3kV、+2.6kV、+2.9kVとなるように設定されている。これにより、シート材Pに既にトナー像が転写されている場合も下流側のプロセスステーションでは確実にトナー像をシート材P上に転写することができ、転写不良を防止することができる。なお、感光ドラム1y〜1kの表面からシート材P上にトナー像を転写した後、感光ドラム1y〜1kの表面に残留した残留トナーは、クリーニング装置6y〜6kにおいて除去され、次工程以降の画像形成プロセスに再度供することができる。なお、転写ローラ9y〜9kを移動可能に設けて、搬送ベルト10を感光ドラム1に接触させる位置と、搬送ベルト10を感光ドラム1から離隔させる位置と、をとるようにしてもよい。例えば、モノクロの画像形成を行う際は、転写ローラ9y、9m、9cを移動させて、搬送ベルト10が感光ドラム1y、1m、1cと離隔するようにしてもよい。
【0027】
上述の画像形成装置において、シート材Pは、給送カセット(不図示)から給送され、レジストローラ(不図示)を通過した後、転写入り口ガイド(不図示)を通過して搬送ベルト10上に供給される。この際、搬送ベルト10に接触している吸着ローラ11には+1kvの電圧が印加されており、これにより、帯電したシート材Pを搬送ベルト10上(ベルト部材上)に静電吸着させることが可能になる。
【0028】
各々の転写ニップ部において4色のトナー像が転写されたシート材Pは、搬送ベルト10から曲率によって分離され、その後、定着装置(不図示)においてトナー像が加圧・加熱され、シート材P上にトナー像が定着される。これにより、4色フルカラー画像の形成が終了し、シート材Pは画像形成装置本体外部に排出される。
【0029】
(1−2:トナー供給プロセス)
本実施形態では、クリーニングブレード6y1〜6k1と感光ドラム1y〜1kの表面との摩擦力を低減させるべく、画像形成を行っていない期間(非画像形成中)に、感光ドラム1y〜1kの表面にトナーを供給するトナー供給プロセスを実行可能である。画像形成を行っていない間とは、例えば感光ドラム1y〜1kの前回転中、後回転中などが挙げられる。特に、未使用のクリーニングユニット20y〜20kが装着された際に、このトナー供給プロセスを行うことで、未使用状態のクリーニングブレード6y1〜6k1と感光ドラム1表面とが滑らかに摺動するようにしている。以下、本実施形態におけるトナー供給プロセスについて、さらに具体的に説明する。
【0030】
潤滑目的でトナーを供給する際は、感光ドラム1y〜1kが回転駆動している間に、感光ドラム1y〜1kの幅方向(軸方向)全域であって、かつ回転方向に所定の幅を有するトナー像を形成する(以下、供給用トナー像と称する)。この回転方向の幅は、供給するトナー量に応じて変えることができ、供給トナー量を変えたい場合は、露光時間を増減することで調整することができる。このようにして形成された供給用トナー像が、クリーニングブレード6y1〜6k1と感光ドラム1y〜1mの表面との当接部に搬送されることにより、供給用トナー像が潤滑剤として作用し、両者の摩擦力を低減することができる。なお、供給用トナー像は、上述した「帯電−露光−現像」の方法以外にも、例えば帯電を行わない、といった方法によっても形成することができる。すなわち、像担持体1y〜1kの表面にトナーを供給できるのであれば、供給パターンはどのようなパターンでもよいので、供給方法は特に限定されるものではない。
【0031】
(1−3:固定型供給動作と選択型供給動作)
本実施形態におけるトナー供給動作の特徴について説明する。例えば、感光ドラム1yの表面に対して上述したトナー供給プロセスを行う場合、現像ユニット40yに収容されているトナー量が少ないと、十分量のトナーを供給できず、上述したような画像品質の低
下、及び異音の発生を招く可能性がある。また、トナーの消費が促進されるので、画像形成時にトナーが足らなくなるといった不具合も生じる。なお、以下では、一の感光ドラムに対応して設けられている一の現像ユニットから一の感光ドラムの表面にトナーを供給する供給動作を、「固定型供給動作」と称する。
【0032】
これに対して本実施形態では、「固定型供給動作」と「選択型供給動作」を組み合わせてトナー供給プロセスを行うことにより、上述した問題を回避していることを特徴とする。ここでいう「選択型供給動作」とは、すなわち、一の感光ドラムに対応して設けられている一の現像ユニットに収容されているトナー量が少ない場合に、収容されているトナー量が多い他の現像ユニットを選択して、一の像担持体にトナーを供給する動作を指す。より具体的には、まず、選択された他の現像ユニット(二の現像ユニット)から、それに対応する二の感光ドラムの表面に供給用トナー像を形成する。その後、該供給用トナー像を搬送ベルト10上に転写し、搬送ベルト10を回転移動させ、搬送ベルト10上から一の感光ドラムの表面に供給用トナー像を転移させる。これにより、収容されているトナー量の少ない一の現像ユニットに依らず、トナー供給プロセスが必要な一の感光ドラムの表面に供給用トナー像を形成することができるので、画像品質の低下、異音の発生、及び画像形成時のトナー不足といった問題を回避できる。以下、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローについて説明する。
【0033】
なお、トナー供給プロセスを行い、あるプロセスステーションのクリーニングブレードと感光ドラムとの間にトナーが供給される場合において、供給されるプロセスステーションのクリーニング装置を第一のクリーニング装置とする。そして、トナーが供給されるプロセスステーションの感光ドラムを第一の像担持体、現像ユニットを第一の現像装置とする。そして、トナーが供給されるプロセスステーション以外のプロセスステーションにおけるクリーニング装置は第二のクリーニング装置、感光ドラムを第二の像担持体、現像ユニットを第二の現像装置とする。例えば、Yのプロセスステーションにトナーが供給され
る場合は、Yのプロセスステーションのクリーニング装置、感光ドラム、現像ユニットが
、それぞれ第一のクリーニング装置、第一の像担持体、第一の現像装置となる。
【0034】
(1−4:トナー供給プロセスの制御フロー)
図2を参照して、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローについて説明する。なお、以下で説明する制御フローは、画像形成装置の装置本体側に設けられた制御部50によって制御されている。
【0035】
まず、未使用クリーニングユニットが画像形成装置の装置本体に装着されていることを検知(S1)すると、該未使用クリーニングユニットの感光ドラム1に対してトナー供給プロセスが開始される(S2)。なお、よりわかりやすく説明を行うために、ここではイエローのプロセスステーション(Y)に対して未使用クリーニングユニット20yを装着した場合に、それに対応する感光ドラム1yに対してトナー供給プロセスを行う場合について説明する。しかし、トナー供給プロセスは、これ以外の感光ドラム1に対しても実行可能であることはいうまでもない。
【0036】
トナー供給プロセスが開始されると、各々の現像ユニット40y〜40kに設けられている記憶媒体5y〜5kに記憶されている情報から、それぞれの現像ユニット40y〜40k内に収容されているトナー量Wが読み込まれる(検出される)(S3)。なお、本実施形態では、現像ユニット40y〜40k内のトナー量Wを検出するトナー量検出部として、現像容器内においてトナーを攪拌する攪拌部材の動作行路にレーザ光を照射し、その透過光量を測定することでトナー量Wを検出する光学式検出部を採用している。そして、この光学式検出部によって検出されたトナー量Wが、随時、記憶媒体5y〜5kに記憶されるように構成されている。なお、トナー量検出部としては上述の光学式検出部のみなら
ず、感光ドラム1y〜1kの表面に作像された画像ドット数を計数することでトナー量Wを検出する画像ドット式検出部であってもよい。または、現像容器内に設けられた金属アンテナによって静電容量を測定することでトナー量Wを検出するアンテナ式検出部であってもよい。
【0037】
それぞれの現像ユニット40y〜40k内に収容されているトナー量Wが検出されると、検出されたトナー量Wを、予め設定されている閾値Ew(所定値)と比較する(S4)。閾値Ewは、上述した選択型供給動作を行うか否かの境界条件として設定される値である。閾値Ewは現像ユニットに充填されたトナーや、現像ユニットの容量に応じて、個々に設定することが可能である。
【0038】
比較の結果、現像ユニット40yに収容されているトナー量Wが閾値Ewよりも大きい場合は(S4のNo)、現像ユニット40yから、回転駆動されている感光ドラム1yに対してトナーが供給され、供給用トナー像が形成される(S5)。つまり、「固定型供給動作」が行われる。この際、感光ドラム1yの表面に形成された供給用トナー像が搬送ベルト10上に転写されることを防ぐために、転写ローラ9yには電圧を印加しない。しかしながら、転写ローラ9yに負極性(トナーと同極性)の転写電圧を印加する、又は画像形成時に印加する転写電圧よりも小さな電圧を印加する方法であってもよい。
【0039】
このようにして感光ドラム1yの表面に形成された供給用トナー像は、感光ドラム1yの回転駆動と共に、クリーニングブレード6y1と感光ドラム1yの表面との接触部に供給される(S6)。その後、感光ドラム1yの回転駆動が停止し、トナー供給プロセスが終了する(S13)。
【0040】
一方、比較の結果、現像ユニット40yに収容されているトナー量Wが閾値Ew以下の場合は(S4のYes)、他の現像ユニット40m、40c、40kのうち、トナー量Wが閾値Ewよりも大きい現像ユニットがないか、トナー量と比較する(S7)。ここから、「選択型供給動作」が開始される。閾値Ewよりも多いトナー量の他の現像ユニットがある場合、ここでは例として現像ユニット40mが選択されたとする(S8)。すると、回転駆動されている感光ドラム1mの表面に対して現像ユニット40mからトナーが供給され、感光ドラム1mの表面に供給用トナー像が形成される。そして、転写ローラ9mにトナーと逆極性の転写電圧+2.5KVが印加されることで、搬送ベルト10上に供給用トナー像が転写される(S9)。搬送ベルト10上に供給用トナー像が転写されると、搬送ベルト10が回転し、供給用トナー像が感光ドラム1yと転写ローラ9yとで形成される転写ニップ部へ搬送される。搬送ベルト10上に残ったトナーをクリーニングする装置(不図示)や吸着ローラ11を接離可能としておき、このタイミングで搬送ベルト10から離間する。
【0041】
転写ニップ部に供給用トナー像が搬送されてくると、転写ローラ9yにトナーと同極性の電圧−2.5kVが印加されることで、供給用トナー像が搬送ベルト10上から感光ドラム1yの表面に転移される(S10)。その後、感光ドラム1yを回転駆動し、供給用トナー像をクリーニングブレード6y1と感光ドラム1yの表面との接触部に供給し(S6)、感光ドラム1yの回転駆動が停止し、トナー供給プロセスが終了する(S13)。また、S7において、閾値Ewよりも多いトナー量を持つ現像ユニットが存在しない場合、全ての現像ユニット40y、40m、40c、40kのトナー量を比較し、最もトナー量の多い現像ユニットを選択する(S11)。最もトナー量の多い現像ユニットがトナー供給を必要とする感光ドラムに対応した現像ユニットである場合(S12のNo)は、上述した「固定型供給動作」を行う。該現像ユニットから感光ドラムを介してクリーニングブレード部にトナー供給し(S5、6)、その後感光ドラムの回転駆動を停止し、トナー供給プロセスが終了する(S13)。
【0042】
また、S12において、最もトナー量が多い現像ユニットがトナー供給を必要とする感光ドラムに対応した現像ユニットでない場合(S12のYes)には、上述した「選択型供給動作」を行う。即ち、転写手段を介してクリーニングブレード部にトナーを供給し(S9、10、6)、トナー供給動作を終了する(S13)。
【0043】
なお、S9において、供給用トナー像を感光ドラム1yの表面に転移させる際に、転写ローラ9yに電圧を印加する方法ではなく、搬送ベルト10と感光ドラム1yとの間に周速差を設ける方法であってもよい。例えば感光ドラム1yの周速を搬送ベルト10の周速よりも遅くすることにより、供給用トナー像を感光ドラム1yの表面に擦り付けることが可能になる。
【0044】
ここでは、他の現像ユニット40m、40c、40kのうち、トナー量Wが閾値Ewよりも大きい現像ユニットとして現像ユニット40mを選択した。しかしながら、トナー量Wが閾値Ewよりも大きいのであれば、他の現像ユニット(40c、40k)を選択してもよいことはいうまでもない。また、トナー量Wが閾値Ewよりも大きいのであれば、複数の現像ユニットを選択して供給用トナー像を形成する制御であってもよい。さらに複数の感光ドラムに対して同時にトナー供給プロセスを行う必要が生じた場合は、固定型供給動作と選択型供給動作とを同時に行ってもよい。
【0045】
このように本実施形態によれば、「固定型供給動作」を行う際に現像ユニットに収容されているトナー量Wが少ない場合は、収容されているトナー量Wが多い他の現像ユニットからトナーを供給可能としているので、上述した従来の課題は生じない。すなわち、画像品質の低下、異音の発生、及び画像形成時のトナー不足といった問題を回避できる。
【0046】
よって、本実施形態によれば、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0047】
<第2の実施形態>
図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、未使用クリーニングユニットが画像形成装置の装置本体に装着された時点で、トナー供給プロセスを実行しているが、本実施形態では、画像形成後の後回転中にトナー供給プロセスを実行可能としている点を特徴とする。なお、トナー供給プロセスの制御フロー以外及び該制御フローにおいてここで特に説明しない事項は、上記第1の実施形態と異なるものではないので、第1の実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
【0048】
(2−1:トナー供給プロセスの制御フロー)
図3を参照して、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローについて説明する。なお、以下で説明する制御フローは、画像形成装置の装置本体側に設けられた制御部50によって制御されている。
【0049】
まず、画像形成装置がスタンバイ状態にある状況(S1)において、画像形成開始の信号が入力されると、感光ドラム1y〜1k、現像ローラ4y1〜4k1が回転を開始し、静電潜像の形成が開始される(画像形成開始)(S2)。一連の画像形成動作が終了すると、トナー量検出部により検出されたトナー量Wが、記憶媒体5y〜5kに記憶され、感光ドラム1y〜1kの後回転動作に入る(S3)。
【0050】
次に、記憶媒体5y〜5kに記憶されている、画像形成装置の使用量の指標としての「プリント枚数」に基づいて、感光ドラム1y〜1kの表面とクリーニングブレード6y1
〜6k1との当接部にトナー供給が必要か否かを判断する(S4)。ここでは、プリント枚数が予め決められた値に達した時に「トナー供給が必要」と判断し(S4のYes)、達していない時は「トナー供給は不要」と判断している(S4のNo)。なお、本実施形態では、「予め決められた値」として300枚のプリント枚数を設定している。また、ここでは画像形成装置の使用量の指標として「プリント枚数」を用いているが、「感光ドラムの回転数」「印字率」に基づいて、トナー供給が必要か否かを判断する構成であってもよい。すなわち、感光ドラム1y〜1kの表面においてクリーニングブレード6y1〜6k1が当接している部分に供給されているトナー量を推測できるものであればよい。
【0051】
当接部にトナー供給が必要か否かを判断し(S4)、その結果「トナー供給は不要」と判断された場合は(S4のNo)、スタンバイ状態(S1)に戻り、次の画像形成の開始を待つ。
【0052】
一方、「トナー供給が必要」と判断された場合は(S4のYes)、第1の実施形態と同一構成のトナー量検出部によって、それぞれの現像ユニット40y〜40k内に収容されているトナー量Wが検出され、閾値Ewと比較される(S5)。そして比較した結果、トナー供給が必要とされる感光ドラムに対応した現像ユニットのトナー量Wが閾値Ewよりも大きい場合は、該現像ユニットからトナーが供給され、供給用トナー像が形成される(S6)。すなわち、「固定型供給動作」が行われる。一方、比較した結果、トナー供給が必要とされる感光ドラムに対応した現像ユニットのトナー量Wが閾値Ew以下の場合は、他の現像ユニットのトナー量Wと閾値Ewと比較される(S8)。そして比較した結果、閾値Ewよりも多いトナー量の現像ユニットがある場合は、該現像ユニットからトナー供給される。その後、第1の実施形態と同様の制御フローで「選択型供給動作」が実行される(S9、S10、S11)。そして、「固定型供給動作」又は「選択型供給動作」が行われ、感光ドラムの表面にトナーが供給されると(S7)、スタンバイ状態(S1)に戻り、次の画像形成の開始を待つ。
【0053】
なお、トナー量Wが閾値Ewよりも大きいのであれば、複数の現像ユニットを選択して供給用トナー像を形成する制御であってもよい。さらに複数の感光ドラムに対して同時にトナー供給プロセスを行う必要が生じた場合は、固定型供給動作と選択型供給動作とを同時に行ってもよい。なお、比較の結果、全ての現像ユニット40y〜40kに収容されているトナー量Wが閾値Ew以下の場合は、その中で収容されているトナー量Wが最も多い現像ユニットを用いて、「固定型供給動作」又は「選択型供給動作」を行えばよい。
【0054】
このように本実施形態によれば、「固定型供給動作」を行う際に現像ユニットに収容されているトナー量Wが少ない場合は、収容されているトナー量Wが多い他の現像ユニットからトナーを供給可能としているので、上述した従来の課題は生じない。すなわち、画像品質の低下、異音の発生、及び画像形成時のトナー不足といった問題を回避できる。
【0055】
よって、本実施形態によれば、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0056】
<第3の実施形態>
図4を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、トナー供給が必要と判断したときに、トナー供給を必要とする現像ユニットのトナー量Wが他の現像ユニットのトナー量Wよりも少ない場合に、他の現像ユニットからトナー供給プロセスを実行することを特徴とする。なお、トナー供給プロセスの制御フロー以外及び該制御フローにおいてここで特に説明しない事項は、上記第1、第2の実施形態と異なるものではないので、第1、第2の実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
【0057】
(3−1:トナー供給プロセスの制御フロー)
図4を参照して、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローについて説明する。なお、以下で説明する制御フローは、画像形成装置の装置本体側に設けられた制御部50によって制御されている。
【0058】
まず、画像形成装置がスタンバイ状態にある状況(S1)において、画像形成信号が入力されると、感光体ドラム1y〜1k、現像ローラ4y1〜4k1が回転を開始し、静電潜像の形成が開始される(画像形成開始)(S2)。一連の画像形成動作が終了すると、トナー量検出部により検出されたトナー量Wが、記憶媒体5y〜5kに記憶され、感光ドラム1y〜1kの後回転動作に入る(S3)。
【0059】
次に、記憶媒体5y〜5kに記憶されている、画像形成装置の使用量の指標としての「プリント枚数」に基づいて、感光ドラム1y〜1kの表面とクリーニングブレード6y1〜6k1との当接部にトナー供給が必要か否かを判断する(S4)。ここでは、プリント枚数が予め決められた値に達した時に「トナー供給が必要」と判断し(S4のYes)、達していない時は「トナー供給は不要」と判断している(S4のNo)。なお、本実施形態では、「予め決められた値」として300枚のプリント枚数を設定している。また、ここでは画像形成装置の使用量の指標として「プリント枚数」を用いているが、「感光ドラムの回転数」「印字率」に基づいて、トナー供給が必要か否かを判断する構成であってもよい。すなわち、感光ドラム1y〜1kの表面においてクリーニングブレード6y1〜6k1が当接している部分に供給されているトナー量を推測できるものであればよい。
【0060】
当接部にトナー供給が必要か否かを判断し(S4)、その結果「トナー供給は不要」と判断された場合は(S4のNo)、スタンバイ状態(S1)に戻り、次の画像形成の開始を待つ。一方、「トナー供給が必要」と判断された場合は(S4のYes)、第1の実施形態と同一の構成のトナー量検出部によって、それぞれの現像ユニット40y〜40k内に収容されているトナー量Wが検出される。そして、トナー供給を必要とする感光ドラムに対応した現像ユニットよりもトナー残量が多い他の現像ユニットがあるかを比較する(S5)。比較した結果、トナー供給が必要とされる感光ドラムに対応した現像ユニットのトナー量が他の現像ユニットよりも大きい場合は、該現像ユニットからトナーが供給され、供給用トナー像が形成される(S6)。すなわち、「固定型供給動作」が行われる。一方、比較した結果、トナー供給が必要とされている感光ドラムに対応した現像ユニットのトナー量が他の現像ユニットよりも少ない場合は、最もトナー量が多い現像ユニットを選択し(S8)、第1の実施形態と同様の制御フローで「選択型供給動作」が実行される(S9、10)。
【0061】
このように本実施形態によれば、トナー供給を行う感光ドラムに対応した現像ユニットに収容されているトナー量Wが、他の現像ユニットに収容されているトナー量Wよりも少ない場合は、他の現像ユニットからトナーを供給可能としている。なので、上述した従来の課題は生じない。すなわち、画像品質の低下、異音の発生、及び画像形成時のトナー不足といった問題を回避できる。
【0062】
よって、本実施形態によれば、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0063】
なお、上記では、トナー供給が必要とされる感光ドラムに対応した現像ユニットのトナー量を基準として、トナー供給を行う現像ユニットを選択していた。それ以外にも、全ての現像ユニットを使用履歴やトナー量を使って比較することで現像ユニットを選択するこ
とも可能である。例えば、すべての現像ユニットの中でトナー量Wが一番多い現像ユニットからトナーを供給するようにしてもよい。このように、仕様頻度の低い現像ユニットを使ってトナー供給を行うことで、全ての現像ユニットのトナー消費の偏りを軽減し、カートリッジの交換頻度を下げることができる。また、それ以外にも、トナーが供給される感光ドラムに対応した現像ユニット以外の現像ユニットのトナー量のみを基準に、トナー供給を行う現像ユニットを決定してもよい。例えば、ある感光ドラムにトナーを供給する場合において、その感光ドラムに対応する現像ユニット以外の現像ユニットのなかで閾値以上のトナー量を備える現像ユニットを供給する現像ユニットに選ぶようにしてもよい。
【0064】
上記では、トナー供給が必要とされる感光ドラムに対応した現像ユニット以外の現像ユニットからトナー供給をする際に、選択可能な現像ユニットが複数ある場合は、トナー量が最も多い現像ユニットから供給しているがこれに限られるものではない。搬送ベルトを介してトナーを供給する場合に、選択可能な現像ユニットのなかで供給を行うための時間が一番短くなるように現像ユニットを選択してもよい。例えば、他の現像ユニットからトナーを供給させる場合、トナー供給が必要とされる感光ドラムの搬送ベルト移動方向の直上流にある現像ユニットからのトナー供給を優先さることも可能である。このようにすることで、搬送ベルトを介してトナーを供給するまでの時間を短縮することができる。
【0065】
<第4の実施形態>
図5を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、現像ユニット40y〜40kを画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とした上で、現像ユニット40y〜40kが装着されていない状態であってもトナー供給プロセスを好適に実行可能な構成に関する。なお、トナー供給プロセスの制御フロー以外及び該制御フローにおいてここで特に説明しない事項は、上記第1、第2、第3の実施形態と異なるものではないので、第1、第2、第3の実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
【0066】
(4−1:トナー供給プロセスの制御フロー)
図5を参照して、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローについて説明する。なお、以下で説明する制御フローは、画像形成装置の装置本体側に設けられた制御部50によって制御されている。
【0067】
まず、未使用クリーニングユニットが画像形成装置の装置本体に装着されていることを検知(S1)すると、該未使用クリーニングユニットの感光ドラム1に対してトナー供給プロセスが開始される(S2)。トナー供給プロセスが開始されると、各々の現像ユニット40y〜40kに設けられている記憶媒体5y〜5kに記憶されている情報から、それぞれの現像ユニット40y〜40k内に収容されているトナー量Wが読み込まれる(検出される)(S3)。そして、装置本体に設けられている装着有無検知部によって、現像ユニット40y〜40kそれぞれの装着の有無が検知される(S4)。本実施形態では、装着有無検知部として、現像ユニット40y〜40kそれぞれのトルクを検出して、所定のトルクが得られた場合に「現像ユニットが装着されている」と検知する装着有無検知部を用いた。なお、これ以外にも、現像ユニット40y〜40kの装着時に機械的にスイッチが入るものを用いてもよい。
【0068】
装着有無検知部による検知の結果、トナー供給プロセスを行う感光ドラムに対して現像ユニットの装着が検知された場合(S4のYes)、該現像ユニットからトナーが供給され、供給用トナー像が形成される(S5)。すなわち、「固定型供給動作」が行われる。一方、現像ユニットの装着が検知されなかった場合(S4のNo)、装着状態にある他の現像ユニットのうち、トナー量Wが閾値Ewよりも大きい現像ユニットが選択される(S7)。その後、第1の実施形態と同様の制御フローで「選択型供給動作」が実行される(S8、S9)。そして、「固定型供給動作」又は「選択型供給動作」が行われ、感光ドラ
ムの表面にトナーが供給されると(S6)、トナー供給プロセスが終了される(S13)。
【0069】
なお、本実施形態におけるトナー供給プロセスの制御フローと、第1実施形態における制御フローを組み合わせることも可能である。例えば、トナー量Wが閾値Ewよりも大きいのであれば、複数の現像ユニットを選択して供給用トナー像を形成する制御であってもよい。さらに複数の感光ドラムに対して同時にトナー供給プロセスを行う必要が生じた場合は、固定型供給動作と選択型供給動作とを同時に行ってもよい。なお、比較の結果、全ての現像ユニット40y〜40kに収容されているトナー量Wが閾値Ew以下の場合は、その中で収容されているトナー量Wが最も多い現像ユニットを用いて、「固定型供給動作」又は「選択型供給動作」を行えばよい。また、第2の実施形態で説明したように、画像形成装置の使用量の指標としての「プリント枚数」に基づいて、感光ドラム1y〜1kの表面とクリーニングブレード6y1〜6k1との当接部にトナー供給が必要か否かを判断するステップを取り入れてもよい。
【0070】
また、常に一番トナー量が多い現像ユニットを選択して、「固定型供給動作」又は「選択型供給動作」を行ってもよい。また、トナー供給を必要とする感光ドラムに対応した現像ユニットよりも他の現像ユニットのトナー量が多い場合、選択可能な現像ユニットのなかでトナーの供給を行うための時間が一番短くなるように現像ユニットを選択してもよい。例えば、供給される感光体の搬送ベルトの移動方向の直上流の現像ユニットを優先させてもよい。このようにすることで、「選択型供給動作」を実行する際に転写ベルトを介してクリーニングブレード部にまでトナーを供給する時間を短縮することが可能になる。
【0071】
このように本実施形態によれば、「固定型供給動作」を行う際に現像ユニットが装着されていない場合は、装着状態にあってトナー量Wが多い他の現像ユニットからトナーを供給可能としているので、上述した従来の課題は生じない。すなわち、画像品質の低下、異音の発生、及び画像形成時のトナー不足といった問題を回避できる。
【0072】
よって、本実施形態によれば、よって、本実施形態によれば、複数の像担持体のそれぞれに対して現像ユニット、クリーニング装置が設けられている電子写真方式の画像形成装置において、非画像形成時に適切に像担持体の表面にトナーを供給可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0073】
<その他の実施の形態>
上記では、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な現像ユニット40y〜40kとクリーニングユニット20y〜20kとを設ける構成について説明したが、これらをプロセスカートリッジとして一体化する構成であっても本発明を適用可能である。すなわち、上述した「固定型供給動作」と「選択型供給動作」とを組み合わせることにより、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0074】
上記では、回転体として搬送ベルト10を用いた場合について説明を行った。しかし、本発明は、感光ドラム1y〜1kの表面からトナー像が一次転写された後に、該トナー像をシート材上に二次転写する中間転写ベルト(中間転写体)を回転体として用いる構成に対しても適用することができる。すなわち、「選択型供給動作」を行う際に、中間転写ベルトを介して、他の現像ユニットから一の感光ドラムの表面へ供給用トナー像を供給すれば、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。また、回転体としては、ベルト状のものだけでなく、ドラム状のものを用いることも可能である。
【0075】
上記では、現像ユニット40y〜40k、及びクリーニングユニット20y〜20kが画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な構成について説明しているが、これらが装置
本体に対して着脱可能でない構成に対しても本発明を適用することは可能である。また、感光ドラム1y〜1kとクリーニング装置6y〜6kとがクリーニングユニット20y〜20kとして一体化されていない構成に対しても、本発明を適用することは可能である。さらには、4つのクリーニングユニット20y〜20kを一体化した構成に対しても本発明を適用することは可能である。このような構成であっても、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0076】
上記では、現像ローラ4y1〜4k1が感光ドラム1y〜1kの表面に接触して現像動作を行う構成について説明したが、非磁性ジャンピング現像方式による非接触の現像動作を行う構成であってもよい。非接触の現像動作を採用する構成であっても、上述した効果と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…感光ドラム 10…搬送ベルト 20…クリーニングユニット 40…現像ユニット
50…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持するための第一の像担持体と、
前記第一の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第一の現像装置と、
前記第一の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第一のクリーニング装置と、
静電潜像を担持するための第二の像担持体と、
前記第二の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第二の現像装置と、
前記第二の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第二のクリーニング装置と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と接触可能に設けられて回転をする回転体と、を有し、
前記回転体は、前記像担持体に形成されたトナー像を転写され、前記回転体に転写されたトナー像をシート材に転写するための中間転写体であるか、又は前記像担持体に形成されたトナー像が転写されるシート材を搬送するための搬送体であり、
前記シート材に対する画像形成のためのトナー像の形成を行わない時に、前記第一の像担持体と前記第一のクリーニング装置のクリーニングブレードとの間にトナーを供給するトナー供給プロセスの制御をおこなう制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一の現像装置又は前記第二の現像装置に収容されたトナー量に応じて、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行するか、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行するかを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスでは、前記第二の現像装置から前記第二の像担持体にトナーを供給し、前記第二の像担持体に供給されたトナーを前記回転体を介して前記第一の像担持体に供給することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも多かった場合は、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が前記所定値よりも少なかった場合は、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が前記第二の現像装置に収容されたトナー量よりも多かった場合は、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が前記第二の現像装置に収容されたトナー量よりも少なかった場合は、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第二の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも多かった場合は、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第二の現像装置に収容されたトナー量が前記所定値よりも少なかった場合は、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行する時は、前記
第二の現像装置から前記第一の像担持体にトナーを供給する時間が一番短くなるような現像装置を第二の現像装置として用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも多かった場合は、前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が前記所定値よりも少なく、且つ前記第二の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも多い場合は、前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第一の現像装置に収容されたトナー量が前記所定値よりも少なく、且つ前記第二の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも少ない場合は、前記第一及び前記第二の現像装置の中で収容されたトナー量が最も多い現像装置を用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第一のクリーニング装置と前記第一の像担持体とが一体に構成されたクリーニングユニット、又は前記第一の現像装置のうちの少なくとも一方が画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第一の像担持体、前記第一の現像装置、及び前記第一のクリーニング装置が、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
静電潜像を担持するための第一の像担持体と、
前記第一の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第一の現像装置と、
前記第一の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第一のクリーニング装置と、
静電潜像を担持するための第二の像担持体と、
前記第二の像担持体の前記静電潜像をトナーによりトナー像に現像するための第二の現像装置と、
前記第二の像担持体の上のトナーをクリーニングブレードによりクリーニングする第二のクリーニング装置と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体と接触可能に設けられて回転をする回転体と、を有し、
前記回転体は、前記像担持体に形成されたトナー像を転写され、前記回転体に転写されたトナー像をシート材に転写するための中間転写体であるか、又は前記像担持体に形成されたトナー像が転写されるシート材を搬送するための搬送体であり、
前記シート材に対する画像形成のためのトナー像の形成を行わない時に、前記第一の像担持体と前記第一のクリーニング装置のクリーニングブレードとの間にトナーを供給するトナー供給プロセスの制御をおこなう制御装置とを備え、
前記第一の現像装置は画像形成装置の装置本体から着脱可能に設けられており、
前記制御装置は、前記第一の現像装置が装着されている場合は前記第一の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行し、前記第一の現像装置が装着されていない場合は前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記第二の現像装置に収容されたトナーを用いたトナー供給プロセスでは、前記第二の現像装置から前記第二の像担持体にトナーを供給し、前記第二の像担持体に供給されたトナーを前記回転体を介して前記第一の像担持体に供給することを特徴とする請求項10に
記載の画像形成装置。
【請求項12】
第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行する時は、前記第二の現像装置から前記第一の像担持体にトナーを供給する時間が一番短くなるような現像装置を第二の現像装置として用いることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行する時は、前記第二の現像装置の中で収容されたトナー量が最も多い現像装置を用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
第二の現像装置に収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行する時は、前記第二の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも多い場合は、前記第二の現像装置のいずれかに収容されたトナーを用いてトナー供給プロセスを実行し、
前記第二の現像装置に収容されたトナー量が所定値よりも少ない場合は、前記第二の現像装置の中で収容されたトナー量が最も多い現像装置を用いてトナー供給プロセスを実行することを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記クリーニング装置は、画像形成装置の装置本体から着脱可能に設けられており、
前記トナー供給プロセスは、
前記一の像担持体に対して未使用のクリーニング装置が装着された場合に実行されることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記トナー供給プロセスは、
画像形成装置の使用量に基づいて、前記使用量が予め決められた値に達した時に実行されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−150304(P2011−150304A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275757(P2010−275757)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】