説明

画像形成装置

【課題】装置本体に対して着脱可能な画像形成ユニットとを備え、画像形成ユニットを装置本体に装着すると、装置本体と画像形成ユニットとの通電用接点部が接続する画像形成装置において、通電用接点部における結露を抑制すること。
【解決手段】通常状態では、送風ファンFが正回転し、作像部2周辺の空気は作像部ダクト72と本体ダクト71を通って装置外に排出される。一方、温湿度センサSによって結露が発生する状態が検知されると、送風ファンFが逆回転し、装置外の空気がダクト7内に吸い込まれ、接点部81と接点部82との接続部分に吹き付けられて結露が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、より詳細には、装置本体に対して着脱可能な画像形成ユニットを備え、画像形成ユニット周辺の空気を外部に排出するためのダクトを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ファクシミリやプリンタ、複写機などの画像形成装置の多くでは、感光体及びこれに作用するプロセス手段を一体的に画像形成ユニットとし、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱可能として、保守点検や交換作業の容易化を図っている。
【0003】
このような画像形成ユニットには、装置本体から電力供給を受けるための通電用接点部が設けられ、画像形成ユニットを装置本体に装着することにより、画像形成ユニットと装置本体との通電用接点部が接続するようになっている。
【0004】
一方、このような画像形成ユニットにおいて、画像形成プロセスで発生する窒素酸化物やオゾン、また現像装置から飛散するトナーなどの現像剤を装置外部に排出するためのダクトが設けられている。
【0005】
例えば、特許文献1では、窒素酸化物やオゾン、飛散トナーなどを効率的に吸引除去すると共に、通電用接点部の周りの沿面距離を確保する観点から、通電用接点部をダクト内に設ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-219487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、低温状態から高温状態に環境が変化すると、装置を構成する各部品に結露が生じることがある。通電用接点部に結露が生じると画像不良などの動作不良が発生する。
【0008】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通電用接点部における結露を効果的に抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、装置本体と、装置本体に対して着脱可能な画像形成ユニットとを備え、画像形成ユニットを装置本体に装着すると、装置本体と画像形成ユニットとの通電用接点部が接続する画像形成装置であって、画像形成ユニット周辺の空気を外部に排出するためのダクトと、ダクト内の空気を外部に排出する送風手段と、温湿度検知手段とを備え、前記通電用接点部が前記ダクト内に位置し、前記温湿度検知手段によって結露が発生する状態が検知されると、前記送風手段によって外部空気が前記ダクト内に取り入れられて結露が抑制される特徴とする画像形成装置が提供される。
【0010】
ここで、前記装置本体内に加熱定着装置が配置されている場合、結露の発生をより効果的に抑制する観点からは、前記加熱定着装置の近傍を前記ダクトが通るように配設し、前記送風手段によって外部空気をダクト内に取り入れる場合、前記通電用接点部に送られる空気が前記加熱定着装置で暖められるようにするのが好ましい。
【0011】
また、装置の大型化・重量化を防止する観点からは、前記送風手段を逆回転させることによって、外部空気をダクト内に取り入れるようにするのが望ましい。
【0012】
前記温湿度検知手段は前記通電用接点部又は前記ダクトの近傍に設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置では、装置本体と画像形成ユニットとの通電用接点部をダクト内に設け、温湿度検知手段によって結露が発生する状態が検知されると、送風手段によって外部空気をダクト内に取り入れるので、通電用接点部等の結露が抑制されて画像不良などの装置の動作不良が防止される。
【0014】
また、装置本体内に加熱定着装置が配置されている場合、加熱定着装置の近傍をダクトが通るように配設すると、前記送風手段によって外部空気をダクト内に取り入れるときに、通電用接点部に送られる空気が加熱定着装置で暖められ、結露の発生がより効果的に抑制される。
【0015】
さらに、送風手段を逆回転させることによって、外部空気をダクト内に取り入れるようにすると、装置の大型化・重量化が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概説図である。
【図2】作像部の周辺の空気を外部に排出するダクトの概略水平断面図を示す。
【図3】ダクトの他の形態を示す概略水平断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概説図である。図1の画像形成装置Dは所謂タンデム方式のカラープリンタである。もちろん、本発明の画像形成装置には、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等の電子写真式画像形成装置が含まれる。また、画像形成方式としてはタンデム方式に限定されるものではなく、他の方式、例えば、回転軸の周囲に4つの現像装置を配置し、これらを順次静電潜像担持体に対向させてフルカラー画像を作成する所謂4サイクル方式、あるいは一つの現像装置でモノクロ画像を作成するモノクロ方式であっても構わない。
【0019】
画像形成装置Dは、導電性を有する無端状の中間転写ベルト33を有する。中間転写ベルト33は、図の左右両側にそれぞれ配置された一対のローラ31,32に掛架されている。ローラ32は不図示のモータに連結されており、モータの駆動によってローラ32は反時計回りに回転し、これによって中間転写ベルト33とこれに接するローラ31は従動回転する。ローラ32に支持されているベルト部分の外側には、二次転写ローラ34が圧接している。この二次転写ローラ34と中間転写ベルト33とのニップ部(二次転写領域)において中間転写ベルト33上に形成されたトナー画像が、搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0020】
また、ローラ31に支持されているベルト部分の外側には、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするクリーニング部材35が設けられている。このクリーニング部材35は中間転写ベルト33を介してローラ31に圧接しており、その接触部で未転写トナーを回収する。
【0021】
ローラ31とローラ32とに掛架された中間転写ベルト33の下側には、中間転写ベルト33の回転方向上流側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの作像部2Y,2M,2C,2K(以下、「作像部2」と総称することがある)が配置されている。画像形成ユニットとしてのこれらの作像部2は、装置本体1に対して着脱自在である。これらの作像部2では、各色の現像剤をそれぞれ用いて対応する色のトナー画像が作成される。
【0022】
作像部2は、静電潜像担持体として円筒状の感光体(静電潜像担持体)20を有する。そして、感光体20の周囲には、その回転方向(時計回り方向)に沿って順に、帯電器(帯電手段)21、現像装置(現像手段)23、一次転写ローラ24、および感光体クリーニング部材25が配置されている。一次転写ローラ24は中間転写ベルト33を挟んで感光体20に圧接し、ニップ部(一次転写領域)を形成している。また、作像部2の下方には露光装置6が配置されている。
【0023】
露光装置6は、4つの作像部2に対して1つで対応し、不図示の4つの半導体レーザを各色の画像階調データに応じて変調して、各半導体レーザから各色に対応するレーザ光を階調データに応じて出射する。
【0024】
そして、図1に示すように、作像部2と露光装置6との間の、用紙搬送路とは反対の位置にファン(送風手段)Fが設けられている。後述するように、このファンFの駆動によって、作像部2の周辺の空気がダクト7を通って装置外に排出される。なお、ダクト7の途中には不図示のフィルタが設けられており、排出空気中の窒素酸化物やオゾン、飛散トナー、紙粉などはフィルタで除去される。
【0025】
この図に示す実施形態では、帯電器21としてローラ帯電方式のものを用いているが、帯電器21の種類は特に限定されるものでなく、コロナ放電方式の帯電チャージャ、ブレード状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材等を用いてももちろん構わない。また、この実施形態では、感光体クリーニング部材25として板状ブレードを用い、その一端側を感光体20の外周面に接触させて、感光体20の表面に残留するトナーを回収除去しているが、感光体クリーニング部材25は板状ブレードに限られるものでなく、例えば、固定ブラシ、回転ブラシ、ローラ、及びそれら複数の部材を組み合わせたものを使用することもできる。なお、感光体クリーニング部材25は必ずしも設ける必要はなく、感光体20上の未転写トナーの回収を現像装置23によって行うクリーナレス方式を採用することもできる。
【0026】
中間転写ベルト33の上方には、各色の現像装置23に補給するトナーを収容したホッパー4Y,4M,4C,4K(以下、「ホッパー4」と総称することがある)がそれぞれ配置されている。また、露光装置6の下部には、給紙装置として給紙カセット50が着脱可能に配置されている。給紙カセット50内に積載収容された用紙(被転写部材)Pは、給紙カセット50の近傍に配置された給紙ローラ51の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路に送り出される。給紙カセット50から送り出された用紙Pは、レジストローラ対52に搬送され、ここで所定のタイミングで二次転写領域に送り出される。
【0027】
画像形成装置Dは、1色のトナー(例えばブラック)を用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードと、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードとに切り替え可能となっている。
【0028】
カラーモードにおける画像形成動作例について簡単に説明すると、まず、各作像部2において、所定の周速度で回転駆動される感光体20の外周面が帯電器21により帯電される。次に、帯電された感光体20の表面に、画像情報に応じた光が露光装置6から投射されて静電潜像が形成される。続いて、この静電潜像は、現像装置23から供給される現像剤としてのトナーにより顕在化される。このようにして感光体20の表面に形成された各色のトナー画像は、感光体20の回転によって一次転写領域に達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体20から中間転写ベルト33上へ転写(一次転写)されて重ねられる。
【0029】
中間転写ベルト33に転写されることなく感光体20上に残留した未転写トナーは、感光体クリーニング部材25で掻き取られ、感光体20の外周面から除去される。
【0030】
重ね合わされた4色のトナー画像は、中間転写ベルト33によって二次転写領域に搬送される。一方、そのタイミングに合わせて、レジストローラ対52から二次転写領域に用紙Pが搬送される。そして、4色のトナー画像が、二次転写領域において中間転写ベルト33から用紙Pに転写(二次転写)される。4色のトナー画像が転写された用紙Pは、定着装置(加熱定着装置)10へ搬送される。定着装置10において用紙Pは、棒状のハロゲンヒータ13を内蔵する定着ローラ11と、加圧ローラ12とのニップ部を通過する。この間に用紙Pは加熱・加圧され、用紙P上のトナー画像は用紙Pに溶融定着する。トナー画像が定着した用紙Pは排出ローラ対53によって排紙トレイ54に排出される。
【0031】
一方、二次転写領域を通過した中間転写ベルト33は、クリーニングブレード35で清掃される。その後、各感光体20及び中間転写ベルト33の回転駆動が停止される。
【0032】
図2に、作像部2の周辺の空気を外部に排出するダクト7の概略断面図を示す。ダクト7は、装置本体1に設けられた本体ダクト71と、作像部2の外側を覆う作像部ダクト72とを有する。作像部2は、装置本体1に対して着脱自在であって、作像部ダクト72の装着方向先側面には通電用の接点部82が設けられている。一方、装置本体1側の本体ダクト71内の、作像部ダクト72の先側面と対向する位置には、通電用の接点部81が設けられている。本体ダクト71内には、正転・逆転切換え可能な送風ファン(送風手段)Fが設けられている。また、本体ダクト71の外側面には温湿度センサ(温湿度検知手段)Sが設けられている。
【0033】
作像部2を装置本体1に装着すると、接点部81と接点部82とが接続し、装置本体1と作像部2との間の通電が可能となる。また同時に、作像部ダクト72の装着方向先側面に形成された開口部73が、本体ダクト71内に入り込み、作像ダクト72と本体ダクト71とが連通状態となる。
【0034】
このような構成において、通常状態では、送風ファンFが正回転し、作像部2周辺の空気は作像部ダクト72と本体ダクト71を通って装置外に排出される。一方、温湿度センサSによって結露が発生する状態が検知されると、送風ファンFが逆回転し、装置外の空気がダクト7内に吸い込まれ、接点部81と接点部82との接続部分に吹き付けられて結露が抑制されるようになる。なお、送風ファンFを逆回転させている間は、装置は駆動を停止させるのが好ましい。
【0035】
前記実施形態では温度及び湿度を検知するセンサとして温湿度センサSを用いているが、温度を検知するセンサと湿度を検知するセンサとを別体として設けても構わない。また、温湿度センサの取付け位置に特に限定はないが、接点部81,82に近い位置又はダクト71に近い位置が好適である。
【0036】
前記実施形態では、送風ファンFを正転・逆転を切り換えて、ダクト7内の送風方向を変えているが、送風ファンFの回転方向は正転のみとし、送風ファンF自体を180°回転可能としてダクト7内の送風方向を変えても構わない。
【0037】
図3に、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態を示す。図3は、作像部2の周辺の空気を外部に排出するダクト7の概略断面図であって、前記実施形態と異なる点は、本体ダクト71を定着装置10(図1に図示)の近傍を通るように配設した点にある。これにより、送風ファンFを逆回転させることによってダクト7に吸い込まれた外部の空気が、定着装置10からの熱によって暖められた後、接点部81と接点部82との接続部分に吹き付けるので結露抑制の効果が高められる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の画像形成装置では、温湿度検知手段によって結露が発生する状態が検知されると、送風手段によって外部空気をダクト内に取り入れるので、通電用接点部等の結露が抑制される。これにより画像不良などの装置の動作不良が防止され有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 装置本体
3 作像部(画像形成ユニット)
7 ダクト
F 送風ファン(送風手段)
S 温湿度センサ(温湿度検知手段)
10 定着装置(加熱定着装置)
71 本体ダクト
72 作像部ダクト
81 接点部
82 接点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、装置本体に対して着脱可能な画像形成ユニットとを備え、画像形成ユニットを装置本体に装着すると、装置本体と画像形成ユニットとの通電用接点部が接続する画像形成装置において、
画像形成ユニット周辺の空気を外部に排出するためのダクトと、ダクト内の空気を外部に排出する送風手段と、温湿度検知手段とを備え、
前記通電用接点部が前記ダクト内に位置し、
前記温湿度検知手段によって結露が発生する状態が検知されると、前記送風手段によって外部空気が前記ダクト内に取り入れられて結露が抑制されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体内に加熱定着装置が配置され、前記ダクトが、前記加熱定着装置の近傍を通るように配設され、前記送風手段によって外部空気を前記ダクト内に取り入れる場合、前記通電用接点部に送られる空気が前記加熱定着装置で暖められるようにした請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風手段を逆回転させることによって、外部空気を前記ダクト内に取り入れる請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記温湿度検知手段が前記通電用接点部又は前記ダクトの近傍に設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−180309(P2011−180309A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43604(P2010−43604)
【出願日】平成22年2月27日(2010.2.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】