説明

画像形成装置

【課題】紙間で必要な空吐出量を確保した空吐出を行うために印刷速度が低下することがある。
【解決手段】用紙間で搬送ベルト43の吸引孔201に対して1ライン分のすべてのノズルから空吐出を行うことができないときには、搬送ベルト43の吸引孔201に対向するノズル102については吸引孔201に対して空吐出滴300の空吐出を行い、吸引孔201への空吐出を行なうことができないノズル102については用紙P上への空吐出滴301の空吐出を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙なども同義語で使用する。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。
【0004】
このような画像形成装置においては、記録ヘッドは、インクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、記録不良を起こすという問題を抱えている。
【0005】
そのため、記録ヘッドからのインク滴吐出状態を良好に維持するため、印刷動作中に、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を吐出する、いわゆる空吐出動作を行うようにしている。
【0006】
シリアル型画像形成装置にあっては、記録ヘッドを移動させながら記録を行うことから、空吐出を行なう位置を、用紙を搬送する搬送手段による用紙搬送経路外の領域に設定し、記録ヘッドの往復動作の一過程として搬送経路外で空吐出を行なうことができるため、印刷動作の中断時間は僅かであり、印刷速度が低下する問題は殆どない。
【0007】
これに対して、記録ヘッドを移動させない状態(固定した状態)で画像形成を行うライン型画像形成装置にあっては、用紙搬送経路外に空吐出位置を設定した場合、印刷動作を中断させて記録ヘッドを搬送経路外の空吐出位置に移動させる必要があるため、相当の時間のロスが発生し、連続印刷及び高速印刷が実現されないという問題がある。
【0008】
そこで、従来、例えば用紙上に空吐出を行うこと(特許文献1)や、搬送ベルトに設けられた吸引孔に空吐出を行うこと(特許文献2、3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−301733号公報
【特許文献2】特開2006−159556号公報
【特許文献3】特開2005−225207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、用紙上に空吐出を行った場合には、用紙上に形成される画像の画像品質に影響を与えるおそれがあるという課題がある。
【0011】
一方、搬送ベルトの吸引孔のように幅方向に連続しない開口に対して空吐出を行なう構成にあっては、環境が極めて低湿である場合、あるいは、用紙のサイズが大きい場合にはノズルで水分等が蒸発しインクの増粘が進んだ状態となり、記録ヘッドのすべてのノズルの空吐出が完了する孔列数だけでは必要な空吐出量の空吐出を行うことができなくなり、不吐出や吐出遅れが生じるという課題がある。
【0012】
この場合、搬送ベルトの吸引孔を大きくし空吐出量を増やすことも考えられるが、搬送ベルトの強度を弱くする要因となるという新たな課題が生じる。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷速度の低下を招くことなく、必要な空吐出量を確保した空吐出を行なって、不吐出や吐出遅れが生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
幅方向に連続しない複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる制御を行なう
構成とした。
【0015】
ここで、前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で、前記搬送ベルトの前記開口に前記空吐出滴を吐出させ、前記開口に対する空吐出動作で空吐出できない前記ノズルについて前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる制御を行なう構成とできる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で前記搬送ベルトの前記開口にのみ前記空吐出滴を吐出させる第1空吐出動作と、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる第2空吐出動作とを制御し、
前記第1空吐出動作の制御を行うときには、連続して搬送される前記用紙の間隔を、空吐出動作が必要なすべての前記ノズルから前記搬送ベルトの前記開口に空吐出滴を吐出可能な間隔に制御する
構成とした。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で前記搬送ベルトの前記開口にのみ前記空吐出滴を吐出させる第1空吐出動作と、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる第2空吐出動作とを制御し、
前記第1空吐出動作の制御を行うときには、連続して搬送される前記用紙の搬送速度を、空吐出動作が必要なすべての前記ノズルから前記搬送ベルトの前記開口に空吐出滴を吐出可能な搬送速度に制御する
構成とした。
【0018】
ここで、前記用紙のサイズ及び環境湿度の少なくともいずれかに応じて前記第1空吐出動作又は前記第2空吐出動作を選択する構成とできる。
【0019】
この場合、前記用紙に形成する画像が写真画像であるときには前記第1空吐出動作を行う構成とできる。
【0020】
また、前記用紙に形成する画像が写真画像であるときには前記第1空吐出動作を行い、前記画像が写真画像以外の画像であるときには前記第2空吐出動作を行う構成とできる。
【0021】
また、前記開口に対する空吐出滴と前記用紙上に対する空吐出滴の吐出条件が異なる構成とできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像形成装置によれば、搬送ベルトの開口及び用紙上に空吐出滴を吐出させる空吐出動作を行う構成としたので、用紙間隔が狭いときでも搬送ベルトの開口と用紙上で補い合って所要の空吐出量を確保した空吐出を行うことができるようになり、印刷速度の低下や画質の低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】同じく模式的平面説明図である。
【図3】記録ヘッド部を示す説明図である。
【図4】各記録ヘッド部と各メンテナンス装置の動作の説明に供する説明図である。
【図5】搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出動作の説明に供する平面説明図である。
【図6】連続して搬送される用紙間隔が1吸引孔列群より広い場合の空吐出動作の説明に供する平面説明図である。
【図7】搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出の滴数の説明に供する要部拡大説明図である。
【図8】本発明における第1空吐出動作に関する制御の第1例の説明に供する平面説明図である。
【図9】本発明における第1空吐出動作に関する制御の第2例の説明に供する平面説明図である。
【図10】本発明における第2空吐出動作に関する制御の説明に供する平面説明図である。
【図11】同画像形成装置の制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係る空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置ついて図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図、図2は同じく要部平面説明図、図3は同装置の記録ヘッド部の平面説明図(透過状態で示している)である。
この画像形成装置はライン型画像形成装置であり、装置本体1と、用紙Pを積載し給紙する給紙トレイ2と、印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイ3と、用紙Pを給紙トレイ2から排紙トレイ3まで搬送する搬送部4と、搬送部4によって搬送される用紙Pに液滴を吐出し印字する、単色の液滴を吐出する第1記録ヘッド部11及び複数色の液滴を吐出する第2記録ヘッド部12(両者を併せて「記録ヘッド部10」という。)と、第1記録ヘッド部11の各ヘッドの維持回復を行う維持回復機構である第1メンテナンス装置51と、第2記録ヘッド部12の各ヘッドの維持回復を行う第2メンテナンス装置52を備えている。
【0025】
装置本体1は、図示しない前後側板及びステーなどで構成されており、給紙トレイ2上に積載されている用紙Pは、分離ローラ21及び給紙ローラ22によって1枚ずつ搬送部4に給紙される。
【0026】
搬送部4は、搬送駆動ローラ41Aと搬送従動ローラ41Bと、これらのローラ41A、41B間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。この搬送ベルト43の表面には幅方向に連続しない開口である複数の吸引孔が形成されており、搬送ベルト43の下部には用紙Pを吸引する吸引ファン44が配置されている。また、搬送駆動ローラ41A、搬送従動ローラ41B上部には、それぞれ搬送ガイドローラ42A、42Bが図示しないガイドに保持されて、自重にてベルト43に当接している。
【0027】
搬送ベルト43は、搬送駆動ローラ41Aが図示しないモータにより回転されることで周回移動し、用紙Pは搬送ベルト43上に吸引ファン44により吸い付けられ、搬送ベルト43の周回移動によって搬送される。なお、搬送従動ローラ41B、搬送ガイドローラ42A、42Bは搬送ベルト43に従動して回転する。
【0028】
第1記録ヘッド部11は、図3に示すように、液滴を吐出する複数のノズル102を配列したノズル列を2列有するヘッド101を5個ずつノズル配列方向に千鳥状に2列配置した計10個のヘッド101で1ライン分のノズル列幅を形成した記録ヘッドユニットである。この第1記録ヘッド部11は例えば黒色(ブラック;K)の液滴を吐出する。
【0029】
第2記録ヘッド部12は、図3に示すように、液滴を吐出する複数のノズル102を配列したノズル列を2列有するヘッド101を5個ずつノズル配列方向に千鳥状に2列配置した計10個のヘッド101で1ライン分のノズル列幅を形成するヘッド列群12A、12B、12Cを有している。この第2記録ヘッド部12のヘッド列群12A、12B、12Cは、それぞれ、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出する。
【0030】
各色のライン構成は、上記に限るものではなく、各色の配置についても特に限定されない。ここでは、黒色の液滴を吐出する第1記録ヘッド部11を第2記録ヘッド部12よりも搬送方向の上流側に配置している。
【0031】
また、第1記録ヘッド部11及び第2記録ヘッド部12は、それぞれ独立して、図示しない上下方向移動手段(ヘッド部移動手段)によって昇降される。
【0032】
また、図示しないが、第1、第2記録ヘッド部11、12には、各ヘッドに所要の色をインクを分配する分配部材がヘッド列(又はヘッド列群)に対応して設けられ、分岐部材の上流側には図示しないサブタンクが配置され、サブタンクとヘッド101との水頭差によって負圧を形成し、さらにサブタンク上流側にはインクを貯蔵する図示しないメインタンクが配置されている。
【0033】
第1メンテナンス装置51は、第1記録ヘッド部11の各ヘッド101のノズル面をキャッピングするキャップ手段501、ノズル面を払拭するワイパ手段などを備えている。また、第2メンテナンス装置52は、第2記録ヘッド部12の各ヘッド101のノズル面をキャッピングするキャップ手段を備えている。
【0034】
ここで、第1メンテナンス装置51は、搬送方向に沿って移動可能であり、第1記録ヘッド部11よりも搬送方上流側を退避位置とする。第2メンテナンス装置52は、搬送方向に沿って移動可能であり、第2記録ヘッド部12より搬送方下流側を退避位置とする。
これらの第1、第2メンテナンス装置51、52は、媒体搬送方向に移動する図示しないスライド移動手段を有し、独立して移動可能である。
【0035】
第1メンテナンス装置51のキャップ手段501にてヘッド101のノズル面を密閉した状態で図示しない吸引手段においてヘッド101内のインクを吸引することで、ヘッド10の吐出性能を回復させる。また、メンテナンスにおける手段としてここでは吸引手段で説明しているが、第1記録ヘッド部11の上流側から加圧手段によってインクを加圧することでノズル102から排出させることもできる。
【0036】
排紙トレイ3は、用紙Pの幅方向を規制する対のサイドフェンス31と用紙Pの先端を規制するエンドフェンス32を備えている。
【0037】
次に、各記録ヘッド部と各メンテナンス装置の動作について図4を参照して説明する。
まず、フルカラー画像を形成するときには、図4(a)に示すように、第1メンテナンス装置51が第1記録ヘッド部11の上流側に、第2メンテナンス装置52が第2記録ヘッド部12の下流側に退避し、第1、第2記録ヘッド11、12は用紙搬送面に対して所定のギャップ(例えば1mm)が形成される高さ位置まで下降した状態にあり、搬送ベルト43で搬送される用紙Pに対して所要の色の液滴を吐出してフルカラー画像を形成する。
【0038】
また、モノクロ画像を形成するときには、図4(b)に示すように、第2メンテナンス装置52が第2記録ヘッド部12をキャッピングした位置(保湿位置)になり、第1メンテナンス装置51が第1記録ヘッド部11の上流側に退避し、第1記録ヘッド11のみが用紙搬送面に対して所定のギャップ(例えば1mm)が形成される高さ位置まで下降した状態にあり、搬送ベルト43で搬送される用紙Pに対して黒色の液滴を吐出してモノクロ画像を形成する。
【0039】
また、待機状態にあるときには、図4(c)に示すように、第1メンテナンス装置51が第1記録ヘッド部11をキャッピングし、第2メンテナンス装置52が第2記録ヘッド部12をキャッピングして、各ヘッド101を保湿状態に保つ。また、この状態で、第1、第2記録ヘッド部11、12に対して吸引や加圧によるメンテナンス動作や、キャップ手段に対する空吐出を行うことができる。
【0040】
次に、搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出動作について図5を参照して説明する。
搬送ベルト43には、複数の吸引孔201がベルト幅方向に一列に並んだ第1吸引孔列aと、第1吸引孔列aのベルト移動方向上流側に設けられ、複数の吸引孔201がベルト幅方向に一列に並んだ第2吸引孔列bと、第2吸引孔列bのベルト移動方向上流側に設けられ、複数の吸引孔201がベルト幅方向に一列に並んだ第3吸引孔列cとからなる吸引孔群202が、ベルト移動方向に複数設けられている(吸引孔列a1〜a5、b1〜b5、c1〜c5を図示している)。第1、第2、第3吸引孔列a〜cの吸引孔201は、ベルト幅方向(ノズル配列方向)に互いに位置を異ならせて形成されている。
【0041】
ここで、第1、第2、第3吸引孔列a〜cの各吸引孔201に空吐出を行なうことによって、第1記録ヘッド11の各ヘッド101のすべてのノズル102から、また第2記録ヘッド部12のヘッド列群12A、12B、12Cのそれぞれのすべてのノズル102からの空吐出が完了するように吸引孔201が形成されている。
【0042】
また、図1に示すように、搬送ベルト43を挟んで第1、第2記録ヘッド部11、12のヘッド101のヘッド列群に対応して4つの空吐出受け91、92A〜92Cが設けれている。各ヘッド101から空吐出された空吐出滴は、搬送ベルト43の吸引孔201を通って各空吐出受け91、92A〜92Cに落下して受けられる。
【0043】
さらに、図5に示すように、搬送ベルト42の幅方向端部には吸引孔列群202の位置を検知するためのベルト位置検知孔203が設けられ、図2に示すように、第1記録ヘッド部11にはベルト位置検知孔203を検出するベルト孔位置検出手段301が設けられている。また、図2に示すように、第1記録ヘッド部11には幅方向中央部に用紙Pを検出する媒体検出手段302が設けられている。これらのベルト孔位置検出手段301の検出結果と媒体検出手段302の検出結果から、用紙間(媒体間)の搬送ベルト43の吸引孔201の位置を検出して、空吐出の開始タイミングを制御するようにしている。
【0044】
ここで、連続して搬送される用紙間隔(紙間)が1吸引孔列群より広い場合の空吐出動作について図6を参照して説明する。
この場合には、連続して搬送される用紙P1、P2、P3の間隔内に、吸引孔列a、b、cが確保されているので、例えば用紙P1,P2間で空吐出を行うときには、吸引孔列a、b、c(この例ではa4、b4、c4)の順に、ノズル102が対応する吸引孔201に空吐出を行なうことで、1ライン分のすべてのノズル102から空吐出を行なうことができる。なお、空吐出滴300は数滴からなるが図示上は1つで示している。
【0045】
また、例えば用紙P2,P3間で空吐出を行うときには、吸引孔列b、c、a(この例ではb2、c2、a1)の順に、空吐出を行なうことで、1ライン分のすべてのノズル102から空吐出を行なうことができる。
【0046】
また、図示しないが、用紙間隔が吸引孔列c、a、bに対応するときには、吸引孔列c、a、bの順に、空吐出を行なうことで、1ライン分のすべてのノズル102から空吐出を行なうことができる。
【0047】
このように、ここでは、3種類の空吐出パターンを備えることで、用紙間で全てのノズルについて搬送ベルト43の吸引孔201(開口)に対して空吐出滴を吐出させる回復動作を行うことができる。なお、この例では、空吐出パターンを3つとしている、搬送ベルト43の吸引孔の配列に応じて複数の空吐出パターンを備えればよい。
【0048】
次に、搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出の滴数について図7を参照して説明する。
空吐出滴300は移動する吸引孔201に対して吐出されるため、1つの吸引孔201に吐出できる滴数は、吸引孔201のサイズと空吐出周期及び搬送速度(搬送ベルトの移動速度)によって決まることになる。なお、1つの吸引孔201に吐出できる滴数を増やすことで確保できる空吐出量も多くできるが、搬送ベルトの強度が低下することになる。
【0049】
次に、本発明における第1空吐出動作に関する制御の第1例について図8を参照して説明する。
環境が低湿である場合にはインク粘度が高くなるため、環境が高湿であるときに比べて空吐出量を増加する必要がある。また、用紙サイズが大きい(搬送方向の長さが長い)場合には、不使用ノズルについては滴が吐出されない時間が長くなるため、用紙サイズが小さい(搬送方向の長さが短い)ときに比べて空吐出量を増加する必要がある。
【0050】
そこで、ここでは、例えば連続する用紙Pの間隔を広くする、つまり先行用紙が給紙されてから後行用紙を給紙するまでの時間を長くすることによって、用紙間における吸引孔列群202を増やすようにしている。
【0051】
例えば、図8の例では、先行用紙P1と後行用紙P2との間に2つの吸引孔列群202が確保される紙間で給紙を行なっている。
【0052】
これにより、空吐出量が増大する場合でも必要な空吐出量を確保した空吐出を行なうことができて、吐出不良や吐出遅れを防止することができる。
【0053】
ただし、紙間を広くすることは、印刷速度が低下することになるので、この画像形成装置では、上述したように、環境湿度が予め定めた閾値よりも低いとき、あるいは、用紙サイズが予め定めたサイズよりも大きい(搬送方向の長さが長い)とき、上述した紙間を広くする、つまり、1ライン分のすべてのノズルから所要量の空吐出量が得られる空吐出が可能な紙間に制御するようにしている。
【0054】
次に、本発明における第1空吐出動作に関する制御の第2例について図9を参照して説明する。
ここでは、搬送ベルト43の搬送速度を遅くすることで、1つの吸引孔201に対向するノズルの対向時間を長くしている。これにより、1つの吸引孔201に対して吐出できる空吐出滴300の滴数を多くして空吐出量を多くすることができ、環境が低湿であるとき、あるいは、用紙サイズが大きい(搬送方向の長さが長い)場合にも必要な空吐出量を確保することができる。
【0055】
ただし、搬送速度を低下することは、印刷速度が低下することになるので、この画像形成装置では、上述したように、環境湿度が予め定めた閾値よりも低いとき、あるいは、用紙サイズが予め定めたサイズよりも大きい(搬送方向の長さが長い)とき、上述した搬送速度を遅くする、つまり、1ライン分のすべてのノズルから所要量の空吐出量が得られる空吐出が可能な搬送速度に制御するようにしている。
【0056】
次に、本発明における第2空吐出動作に関する制御について図10を参照して説明する。
上述した第1空吐出動作では、紙間を広くし、あるいは、搬送速度を低下するために印刷速度が低下することになる。そこで、第2空吐出動作では、搬送ベルト43の吸引孔201に対する空吐出を行なうとともに用紙P上への空吐出を併せて行なう。
【0057】
この場合、図10に示すように、搬送ベルト43の吸引孔201に対向するノズル102については吸引孔201に対して空吐出滴300の空吐出を行い、吸引孔201への空吐出を行なうことができないノズル102についてのみ用紙P上への空吐出滴301の空吐出を行なう。これにより、画像への影響をできる限り抑えることができる。
【0058】
また、用紙Pの幅方向外側では搬送ベルト43の吸引孔201が開口しているので、用紙P上への空吐出と吸引孔201への空吐出を同時に行うことができる。
【0059】
また、搬送ベルト43の吸引孔201に対する空吐出と用紙P上への空吐出とでは、用紙P上への空吐出で使用する空吐出滴300の滴サイズを吸引孔201に対する空吐出で使用する空吐出滴301の滴サイズよりも小さくして(吐出条件を変更して)、画質への影響を低減することが好ましい。
【0060】
この第2空吐出動作を行うことで、印刷速度を低下することなく、必要な空吐出を行なうことができ、形成画像の画質への影響も抑えることができる。
【0061】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図11のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部600は、本発明に係る空吐出動作に関する制御を行う手段を兼ねたこの画像形成装置全体の制御を司るCPU601と、このCPU601が実行する本発明に係る空吐出動作に関するプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM602と、画像データ等を一時的に格納するRAM603と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)604と、その他装置全体を制御するための入出力を処理するASIC605と、ホスト側とのデータ、信号の受信を行うためのホストI/F606と、I/O607と、第1記録ヘッド部11及び第2記録ヘッド部12の各ヘッド101を駆動制御するためのヘッド駆動制御部608及びヘッドドライバ609を備えている。
【0062】
また、第1記録ヘッド部11及び第2記録ヘッド部12を昇降させるヘッド部移動モータ610を駆動するヘッド部移動駆動部611と、搬送ベルト43を移動させる搬送ベルト駆動モータ612を駆動する搬送ベルト駆動部613と、吸引ファン44を駆動する吸引ファンモータ614を駆動する吸引ファン駆動部615と、第1メンテナンス装置51及び第2メンテナンス装置52A〜52Cを移動させる駆動モータ616を駆動するメンテナンス手段移動駆動部617と、給紙ローラ22を駆動する給紙モータ619を駆動する給紙駆動部620を備えている。
【0063】
また、制御部600のI/O607には、ベルト孔位置検出手段301、媒体位置検出手段302、装置の環境温度及び環境湿度を検出する環境センサ303などの各種センサからの検出信号が入力されている。
【0064】
また、制御部500は操作パネル622との間で所要の情報の出力及び入力を行なう。
【0065】
この制御部600は、パーソナルコンピュータ(以下PCと称す)等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データを含む印刷データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F606で受信する。
【0066】
CPU601は、ホストI/F606に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC605にてデータの並び替え処理を行ってヘッド駆動制御部608に画像データを転送する。なお、画像出力するための印刷データのビットマップデータ(印刷ラスタデータ)への変換は、例えばROMにフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバーで画像データをビットマップデータに展開し印刷データのビットマップデータ(印刷ラスタデータ)を作成した上で、該印刷ラスタデータをこの装置に転送するようにしても良い。
【0067】
ヘッド駆動制御部608は、印刷ラスタデータを受け取ると、このドットパターンデータ(印刷ラスタデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ609にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバに送出する。このヘッド駆動制御部608は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(図11のROM602で構成することもできる)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0068】
また、ヘッドドライバ609は、ヘッド駆動制御部608からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド部10の各ヘッド101のアクチュエータ手段に印加してヘッドを駆動し、画像データを印刷してドットパターンラインを形成する。
【0069】
また、この制御部600のROM602などには、空吐出を行うときに使用する前述した空吐出パターンに関するデータが格納されており、CPU601は空吐出動作を制御するとき、空吐出パターンデータを読み出してヘッド駆動制御部608に与えることで、第1記録ヘッド部11及び第2記録ヘッド部12の各ヘッド101から空吐出パターンデータに応じて空吐出滴が吐出される。
【0070】
次に、本発明の第1実施形態に係る空吐出動作の制御について図12のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0071】
ここで、通常の空吐出モードとは、設定された印刷速度で印刷するときに、用紙間で、搬送ベルト43の吸引孔201に対して1ライン分のすべてのノズルから必要な空吐出量を確保できる空吐出滴数の空吐出滴を吐出できる(前述した図6に示す例のように用紙間で1吸引列群202を確保できる)状態で空吐出を行なうモードである。
【0072】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(これを「孔列一周期分」という。)に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0073】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、空吐出モードを読み込む。空吐出モードは、前述した第1空吐出動作を行うモード(これを「第1空吐出モード」という。)、前述した第2空吐出動作を行うモード(これを「第2空吐出モード」という。)がある。
【0074】
そして、ホストや操作パネル622から指定される印刷モードが画質優先モードか速度優先モードかを判別する。
【0075】
ここで、画質優先モードであれば、用紙間の距離を2周期分の吸引孔列群202分(これを「孔列二周期分」という。)以上に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0076】
これに対し、速度優先モードであれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(これを「孔列一周期分」という。)に設定して、記録終了まで、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0077】
つまり、ここでは、画質を優先するときには、紙間を広げて、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行ない、速度を優先するときには、搬送ベルトの吸引孔及び紙面へ空吐出滴を吐出する第2空吐出動作を行う。なお、第2空吐出動作でも紙間では搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出滴の吐出を行っている。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態に係る空吐出動作の制御について図13のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0079】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、搬送速度を当該設定された印刷速度に対応する搬送速度(この搬送速度で孔列一周期分が確保される。この搬送速度を「通常搬送速度」という。)に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0080】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、空吐出モードを読み込む。
【0081】
そして、ホストや操作パネル622から指定される印刷モードが画質優先モードか速度優先モードかを判別する。
【0082】
ここで、画質優先モードであれば、ノズルの空吐出孔への対向時間を長くするため、搬送速度を通常搬送速度より遅く設定し、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0083】
これに対し、速度優先モードであれば、搬送速度を通常の搬送速度に設定して、記録終了まで、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0084】
つまり、ここでは、画質を優先するときには、搬送速度を低下させて、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行ない、速度を優先するときには、搬送ベルトの吸引孔及び紙面へ空吐出滴を吐出する第2空吐出動作を行う。なお、第2空吐出動作でも紙間では搬送ベルトの吸引孔に対する空吐出滴の吐出を行っている。
【0085】
次に、本発明の第3実施形態に係る空吐出動作の制御について図14のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0086】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(孔列一周期分)に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0087】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、空吐出モード(第1空吐出モード又は第2空吐出モード)を読み込む。
【0088】
そして、第1空吐出モードであれば、用紙間の距離を2周期分の吸引孔列群202分(孔列二周期分)以上に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0089】
これに対し、第2空吐出モードであれば、印刷モードを読み込み、印刷モードが写真画像を形成する写真モードが写真モード以外のモードかを判別する。
【0090】
そして、写真モードであれば、第1空吐出モードに戻り、用紙間の距離を2周期分の吸引孔列群202分(孔列二周期分)以上に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0091】
これに対し、写真モード以外のモードであれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(孔列一周期分)に設定して、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0092】
つまり、ここでは、印刷画像が写真であるときには、第2空吐出モードが選択されている場合でも、画質を維持するため、第1空吐出モードに移行して、紙間を広げ、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行うようにしている。
【0093】
次に、本発明の第4実施形態に係る空吐出動作の制御について図15のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0094】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、搬送速度を通常の搬送速度に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0095】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、空吐出モード(第1空吐出モード又は第2空吐出モード)を読み込む。
【0096】
そして、第1空吐出モードであれば、ノズルの空吐出孔への対向時間を長くするため、搬送速度を通常搬送速度より遅く設定し、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0097】
これに対し、第2空吐出モードであれば、印刷モードを読み込み、印刷モードが写真画像を形成する写真モードが写真モード以外のモードかを判別する。
【0098】
そして、写真モードであれば、第1空吐出モードに戻り、搬送速度を用紙間の距離が2周期分の吸引孔列群202分(孔列二周期分)以上になる搬送速度に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0099】
これに対し、写真モード以外のモードであれば、搬送速度を通常搬送速度に設定して、記録終了まで、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0100】
つまり、ここでは、印刷画像が写真であるときには、第2空吐出モードが選択されている場合でも、画質を維持するため、第1空吐出モードに移行して、搬送速度を低下させて、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行うようにしている。
【0101】
次に、本発明の第5実施形態に係る空吐出動作の制御について図16のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0102】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(孔列一周期分)に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0103】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、印刷モードが写真画像を形成する写真モードが写真モード以外のモードかを判別する。
【0104】
そして、写真モードであれば、用紙間の距離を2周期分の吸引孔列群202分(孔列二周期分)以上に設定して(第1空吐出モードを選択して)、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0105】
これに対し、写真以外のモードであれば、用紙間の距離を1吸引孔列群202分(孔列一周期分)に設定して(第2空吐出モードを選択して)、記録終了まで、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0106】
つまり、ここでは、印刷画像が写真であるときには、第1空吐出モードを選択して、紙間を広げ、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行うようにしている。
【0107】
次に、本発明の第6実施形態に係る空吐出動作の制御について図17のフロー図を参照して説明する。
まず、プリントジョブ開始(印刷開始)によって、環境センサ303の検出結果から環境湿度情報を取得し、印刷に使用する用紙サイズ情報を取得し、湿度とサイズから必要な空吐出滴数を設定して、必要な空吐出滴数から通常の空吐出モードでの空吐出が可能か否かを判別する。
【0108】
このとき、通常の空吐出モードでの空吐出が可能であれば、搬送速度を通常の搬送速度に設定して、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0109】
これに対し、通常の空吐出モードでの空吐出が可能でなければ、つまり、孔列一周期分では必要な空吐出量を確保できない場合、印刷モードが写真画像を形成する写真モードが写真モード以外のモードかを判別する。
【0110】
そして、写真モードであれば、ノズルの空吐出孔への対向時間を長くするため、搬送速度を通常搬送速度より遅く設定し(第1空吐出モードを選択して)、記録終了まで、印字動作を行い、紙間で搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0111】
これに対し、写真モード以外のモードであれば、搬送速度を通常搬送速度に設定して(第2空吐出モードを選択して)、記録終了まで、印字を行いながら搬送ベルト43の吸引孔201及び用紙上への空吐出を行ない、紙間では搬送ベルト43の吸引孔201への空吐出を行なう処理を繰り返す。
【0112】
つまり、ここでは、印刷画像が写真であるときには、第1空吐出モードを選択して、搬送速度を低下させて、搬送ベルトの吸引孔のみに対して空吐出滴を吐出する第1空吐出動作を行うようにしている。
【0113】
なお、上記各実施形態では、搬送ベルトに形成される不連続の開口として吸引孔を使用しているが、空吐出専用を開口を設けることもできる。
【符号の説明】
【0114】
1 装置本体
4 搬送部
10 記録ヘッド部
11 第1記録ヘッド部
12 第2記録ヘッド部
12A、12B、12C 第2ヘッド部
51 第1メンテナンス装置
52、52A、52B、52C 第2メンテナンス装置
101 ヘッド
102 ノズル
201 吸引孔
202 吸引孔列群
a1〜a5、b1〜b5、c1〜c5 吸引孔列
600 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
幅方向に連続しない複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる制御を行なう
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で、前記搬送ベルトの前記開口に前記空吐出滴を吐出させ、前記開口に対する空吐出動作で空吐出できない前記ノズルについて前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で前記搬送ベルトの前記開口にのみ前記空吐出滴を吐出させる第1空吐出動作と、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる第2空吐出動作とを制御し、
前記第1空吐出動作の制御を行うときには、連続して搬送される前記用紙の間隔を、空吐出動作が必要なすべての前記ノズルから前記搬送ベルトの前記開口に空吐出滴を吐出可能な間隔に制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
複数の開口が形成され、前記記録ヘッドのノズル配列方向と交差する方向に用紙を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない空吐出滴を吐出させる空吐出動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、連続して搬送される前記用紙の間で前記搬送ベルトの前記開口にのみ前記空吐出滴を吐出させる第1空吐出動作と、前記搬送ベルトの前記開口及び前記用紙上に前記空吐出滴を吐出させる第2空吐出動作とを制御し、
前記第1空吐出動作の制御を行うときには、連続して搬送される前記用紙の搬送速度を、空吐出動作が必要なすべての前記ノズルから前記搬送ベルトの前記開口に空吐出滴を吐出可能な搬送速度に制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙のサイズ及び環境湿度の少なくともいずれかに応じて前記第1空吐出動作又は前記第2空吐出動作を選択することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙に形成する画像が写真画像であるときには前記第1空吐出動作を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙に形成する画像が写真画像であるときには前記第1空吐出動作を行い、前記画像が写真画像以外の画像であるときには前記第2空吐出動作を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開口に対する空吐出滴と前記用紙上に対する前記空吐出滴の吐出条件が異なることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−189717(P2011−189717A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60178(P2010−60178)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】