説明

画像形成装置

【課題】遅延して受信された画像も記録紙の同一面に転写する画像形成装置を提供する。
【解決手段】1ページ分の画像データを分割した分割画像データを受信する受信手段と、受信手段により受信された分割画像データを記録紙に作像する作像手段と、記録紙を反転させる反転手段と、受信手段による分割画像データの受信において遅延が生じたときに、記録紙を反転手段により複数回反転させ、1ページ分の画像データを当該記録紙の同一面に作像手段により作像する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを分割して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の低廉化を実現するために画像メモリの削減が行うことがある。このようなとき、画像1ページ分の画像メモリを確保できないことも生じる。そこで、画像1ページ分の画像メモリを確保できない画像形成装置では、画像データの一定量以上を受信、もしくは作成した時点で作像を開始し、作像が完了した画像データの一部を破棄しつつ、同時に画像データの受信、もしくは作成を行なう方法が一般的に用いられている。ここで、バインディング方式を用いる画像形成装置では、画像データの一部を破棄する際に、作像完了したバンド毎に破棄することが多い。
【0003】
例えば、特許文献1では、大きな画像データをフレームバッファに格納できるサイズのデータに分割して印刷エンジンに供給する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法では、単位時間あたりに破棄する画像データ量が、単位時間あたりに受信する画像データ量(画像データが圧縮されている場合は伸張後の画像データ量)を下回っていることを前提としているが、この前提が必ず成り立つとは限らない。
【0005】
上記の前提が成り立たない状況としては、画像データを画像形成装置に送信するホストコンピュータにおいて、何らかの理由で画像データの送信が遅延する場合や、画像形成装置とホストコンピュータとの通信経路で何らかの理由で遅延、通信速度の低下等が起きる場合など、様々な状況がある。また、これらの状況は、一般的に発生を予測することが困難である。
【0006】
上記のような状況が発生した場合、画像形成装置は一般的に以下の2つのどちらかの動作を行なう。1つ目は、画像メモリ内に蓄積している画像データ分だけを作像し、遅れて受信された画像データに相当する画像領域には何も転写せず、遅れて受信された画像データは破棄される。2つ目は、画像メモリ内に蓄積している画像データ分だけを作像し、遅れて受信された画像データに相当する画像領域には何も転写せず、遅れて受信された画像データ分は次の用紙に転写する。
【0007】
1つ目の動作では一部の画像データが欠損してしまう欠点があり、2つ目の動作では、用紙を余分に消費する欠点がある。これらの動作はどちらもユーザーにとって不利益を与える。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、遅延して受信された画像も記録紙の同一面に転写する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、1ページ分の画像データを分割した分割画像データを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記分割画像データを記録紙に作像する作像手段と、前記記録紙を反転させる反転手段と、前記受信手段による前記分割画像データの受信において遅延が生じたときに、前記記録紙を前記反転手段により複数回反転させ、前記1ページ分の画像データを当該記録紙の同一面に前記作像手段により作像する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、遅延して受信された画像も記録紙の同一面に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける概略電気系統図を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおいて用いるバンディング方式の説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおいて、記録紙の同一の面に対して複数回転写を行なう場合の画像出力方法について説明した図である
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける処理動作を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける処理動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける処理動作を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける処理動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、転写ベルト5に沿って各色のAIOカートリッジ(6Bk、6M、6C、6Y)が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。転写ベルト5は図1でいうと反時計回りに回転し、回転方向の上流側から順に、複数のAIOカートリッジ(電子写真プロセス部)6Bk、6M、6C、6Yが配列されている。これら複数のAIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。AIOカートリッジ6Bkはブラックの画像を、AIOカートリッジ6Mはマゼンタの画像を、AIOカートリッジ6Cはシアンの画像を、AIOカートリッジ6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0014】
以下の説明では、AIOカートリッジ6Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ6M、6C、6YはAIOカートリッジ6Bkと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6Yの各構成要素については、画像形成装置6Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0015】
転写ベルト5は、回転駆動される2次転写駆動ローラ7と転写ベルトテンションローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この2次転写駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、2次転写駆動ローラ7と、転写ベルトテンションローラ8とが、転写ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0016】
画像形成部6Bkは、感光体としての感光体9Bk、この感光体9Bkの周囲に配置された帯電器10Bk、露光器11、現像器12Bk、クリーナーブレード13Bk、等から構成されている。露光器11は、各AIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。
【0017】
画像形成に際し、感光体9Bkの外周面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0018】
このトナー画像は、感光体9Bkと転写ベルト5とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ15Bkの働きにより転写ベルト5上に転写される。この転写により、転写ベルト5上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体9Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード13Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0019】
以上のようにして、AIOカートリッジ6Bkでブラックのトナー画像を転写された転写ベルト5は、転写ベルト5によって次のAIOカートリッジ6Mに搬送される。AIOカートリッジ6Mでは、AIOカートリッジ6Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト5上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0020】
転写ベルト5は、さらに次のAIOカートリッジ6C、6Yに搬送され、同様の動作により、感光体9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト上に重畳されて転写される。こうして、転写ベルト5上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された転写ベルト5は、二次転写ローラ16の位置まで搬送される。
【0021】
なお画像形成に際して、ブラックのみのモノクロ印刷の場合は一次転写ローラ15M、一次転写ローラC、一次転写ローラYは、それぞれ感光体9M、感光体9C、感光体9Yから離間された位置に退避し、前述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行なう。
【0022】
画像形成時の用紙搬送動作に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は、最も上のものから給紙ローラ2を反時計回りに回転駆動することにより順に送り出され、レジストローラ3位置にて待機する。レジストローラ3の駆動開始は、前記の転写ベルト5により搬送されたトナー画像と二次転写ローラ16上で、トナー画像と用紙4の位置が重なり合うようなタイミングで行なわれる。(以下特に断らない限り、この二次転写位置を転写部、転写位置と呼ぶ)この時レジストローラ3は反時計方向に回転駆動することで用紙4を送り出す。
【0023】
レジストローラ3にて送り出された用紙4は、二次転写ローラ16にて転写ベルト5上のトナー画像を用紙4に転写した後、定着器20にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置の外部に排紙される。
【0024】
両面搬送経路に排紙を行なう場合は、用紙4の後端が排紙センサを通過し排紙ローラ18を通過する手前で、排紙ローラ18を時計回りに回転駆動することでスイッチバック動作を行い、用紙4を両面搬送経路に排紙する。両面搬送経路に搬送された用紙4は両面ローラ19を経由し、再びレジストローラ3まで搬送される。レジストローラ3に到達した用紙4は再びレジストローラ3から再給紙され、二次転写ローラ16にて先ほどと逆側の用紙面にトナー画像を転写後、定着器20にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置の外部に排紙する。また、再び両面搬送経路に用紙4を排紙することも可能である。なお、排紙センサは経路の分岐点上にあるものとする。
【0025】
また、このような両面搬送経路への排紙方法をとることで、現像した画像の副走査長及び記録紙の副走査長に関わらず、両面搬送経路への排紙開始、つまりスイッチバック開始タイミングは、必ず全露光の終了よりも後になる。なぜなら、スイッチバックを開始したタイミングで記録紙の後端は二次転写ローラの位置を通過しているためである。そのため用紙サイズに関わらず本発明を実施することができる。この構成は、最も容易に本発明を実施ができる構成である。一方でこの方式は所謂インターリーブ印刷を行なう事が困難になる。本発明とは直接関係ないので詳細は省略する。
【0026】
定着ローラ21には分離爪(図示せず)が装着されており、分離爪が記録紙と定着ローラとの間に入り込むことによって、記録紙が定着ローラに巻きつくのを防いでいる。
【0027】
なお、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、給紙開始よりも作像開始が先行して行なわれる、所謂、作像先行型であるものとする。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける概略電気系統図を示す図である。本発明の実施形態に係る画像形成システムは、図2に示すように、画像形成装置とホストコンピュータとにより構成される。
【0029】
画像形成装置は、CPU201と、フラッシュROM202と、RAM203と、書き込み制御部204と、モータドライバ205と、通信制御部206と、を備える。CPU201は、本発明の実施形態に係る画像形成装置全体を制御する中央演算処理ユニットである。フラッシュROM202は、CPU201で実行される命令コードを記憶する書き換え可能なROMである。
【0030】
RAM203は、ソフト制御に必要なデータおよび画像データを一時記憶することができる記憶装置である。通信制御部206は、外部のホストコンピュータと相互に通信が可能であり、ホストコンピュータからの印刷要求および画像データを受信することができる。またその受信データをRAM203上に展開することもできる。
【0031】
書き込み制御部204は、RAM上に展開されている画像データの領域を指定し、必要に応じて伸張方式も指定し、作像開始指示を出すと書き込み信号に変換することが出来、露光器11に対して書き込み信号を送信して、各色の画像に対応した静電潜像を感光体9上に作成することができる。
【0032】
モータドライバ205は、CPU201の指示にしたがって各色感光体9、各色現像器12、転写ベルトテンションローラ8、ニ次転写駆動ローラ7、二次転写ローラ16、給紙ローラ2、両面ローラ19、排紙ローラ18に繋がる各モータ(図示せず)を自在に回転、停止できるだけでなく、カム形状の機構(図示せず)により各色感光体9と転写ベルト5を接触、離間を自在に変更できる。
【0033】
ホストコンピュータは、通信制御部207と、HDD(ハードディスクドライブ)208と、CPU209と、CPU209は、ホストコンピュータの中央演算処理ユニットである。また、CPU209は、RAM210に蓄積されている画像データに対して編集、変更を行うことが出来、RAM210もしくはHDD208に蓄積されている任意の情報を通信制御部207を使用して外部機器へ送信することができる。HDD208は、ホストコンピュータの二次記憶装置であり、CPU209で実行される命令コードやRAM210からに蓄積できなかった情報を一時的に記憶することができる。RAM210は、ソフト制御に必要なデータや画像データを蓄積することができる。通信制御部207は、画像形成装置と接続されており、画像形成装置と相互に通信が可能であり、印刷要求および画像データを送信することができる。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成システムにおいて用いるバンディング方式の説明図である。図の垂直方向が副走査、水平方向が主走査にあたるものとする。図3の上側から作像を開始するものとし、画像の先端と呼ぶことにする。画像の先端を含むバンドを第1バンドと呼び、画像後端に向かって第2バンド、第3バンド、第4バンドと呼ぶこととし、画像の後端を含むバンドを最終バンド(第Nバンド)と呼ぶこととする。各バンドの主走査ライン数は全て同じとする。ただし、最終バンド除く。また、説明を容易にするため、ホストコンピュータが画像形成装置に対して印刷開始要求を発行した時点で全バンドデータはRAM210上に存在し、ホストコンピュータは指示に従って自由に各バンドデータ及びそのデータサイズを返答することが可能であるとする。また、最終バンドの画像データには最終バンドフラグが含まれており、これによって最終バンドの画像データか否かを判断することができる。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成システムにおいて、記録紙の同一の面に対して複数回転写を行なう場合の画像出力方法について説明した図である。二度目以降の転写を再転写と呼ぶこととする。まず、第一回目の画像出力で第L−1バンドまでの出力ができ、第Lバンド以降は画像データが揃わず出力できなかったものとする。このとき、次の作像をする際、つまり、同一面に対しての再転写する際に、前回の作像で出力できたバンドにあたる領域を白画素で埋めて作像を開始する。図4は、再転写が一度である場合のみ記載したが、3回以上再転写を行なう場合も同様である。
【0036】
このようにすることにより、作像開始のタイミングを容易に合わせることができる。なぜなら、通常の装置の場合、作像の開始タイミングや、記録紙の(再)給紙のタイミングは、画像の先端と用紙の先端を二次転写位置で合わせるタイミングで動作させることを前提としたプログラムもしくはASIC等のハードウェアで構成されていることが多い。第1バンド〜第L−1バンドの副走査ライン数分だけ、または、副走査解像度分だけ、線速分だけ時間をずらして作像開始をする方法も容易に考えられるが、前記の前提から外れてしまうため実施には困難を伴い、大幅な設計変更等が必要となる場合がある。また、白画素でバンドを埋めることは従来行なわれており、技術的に容易である。したがって、上記の様に第1バンド〜第L−1バンドを白画素で埋めて再転写する方式が容易に実施でき好ましい。
【0037】
図5、6は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのおける処理動作を示す図である。図5、6に示す処理動作を実行するプログラムは、例えば、フラッシュROM22に格納され、CPU21によって実行されるようにすると良い。また、実施を容易にし、図を理解しやすくするために、例えば、プログラムの実行環境はマルチタスク環境(あるいはマルチプロセス 以下同じ)であり、複数のプログラムを実行できるものとする。なお、マルチタスク環境はRTOS(リアルタイムオペレーティングシステム)等を利用することで容易に実施可能であり、かつ、一般的に利用されている技術であるため、詳細は省略する。
【0038】
第1タスクを、図5を用いて説明する。第1タスクは第2タスクの開始指示によって開始される。
【0039】
変数nの初期値を1とし(S101)、給紙開始タイマをセットする(S102)。給紙開始タイマがタイムアウトした時に、本体給紙トレイより給紙を開始する。タイマの値は、記録紙先端から二次転写ローラまでの搬送経路上の距離と感光体Bkより二次転写位置までの距離の差分により決定される。計算式は公知であるため省略する。
【0040】
次に、第nバンドの作像を開始する(S103)。ただし、nが1ではない場合は、再転写動作を行なう。つまり、図4に示すように、n−1バンドまでは、白画素で埋める作像をした後に、第nバンドの作像を開始する。その後、第nバンドの出力完了を待ち、第nバンドの画像データを画像メモリ上から削除する(S104)。
【0041】
次に、第nバンドが最終バンドであるか判断をし(S105)、最終バンドでなければ(S105、No)、第n+1バンドのデータの受信が完了しているかどうか判断をする(S106)。受信を完了していたなら(S106、Yes)、nに1を加算し、次のバンドの出力設定を書き込み制御部に対して行ない(S107)、そのバンドの出力完了を待つ(S104)。
【0042】
第nバンドが最終バンドであるとき(S105、Yes)、つまり、最終バンドを出力したことを確認したら、記録紙が機外への排紙完了されるのを待ち(S108)、タスクを終了する。
【0043】
変数nがある値k(1≦k≦N)となった時、ステップS106において第k+1バンドのデータの受信が完了できていなかったものとする(S106、No)。その場合、記録紙後端が排紙センサを通過するのを待ち(S109)、排紙ローラ18を時計回りに一定時間回転させた後、逆回転させ、両面搬送経路に記録紙を排紙する(S110)。その後、両面センサがONになるのを待ち(S111)、再給紙を行う(S112)。さらに、用紙を両面搬送経路に排紙するため、記録紙後端が排紙センサを通過するのを待ち(S113)、排紙ローラ18を時計回りに一定時間回転させた後、逆回転させ、両面搬送経路に記録紙を排紙する(S114)。両面センサがONになり、両面搬送経路に記録紙が排紙できたことを確認し(S115)、両面ローラを停止させ、印刷中断タイマをセットする(S116)。このタイマ値は第n+1バンドデータ受信が終わらない場合に印刷中断を判断するためのタイマであり、ユーザビリティを考慮し適切な値にする。
【0044】
次に、第n+1バンド全データ受信完了又は印刷中断タイマータイムアウト発生のどちらか発生するまで記録紙を両面搬経路上で待機させる(S117)。タイムアウトが先だった場合(S117、No)、印刷中断しエラー発生通知をホストコンピュータに送信し(S118)、タスクを終了させる。第n+1バンド全データ受信完了が先であった場合(S117、Yes)、nに1加算し(S119)、ステップS103を実行する。
【0045】
次に第2タスクを、図6を用いて説明する。第二タスクは順次各バンドのデータを受信するタスクである。
【0046】
タスクを開始すると初めにホストコンピュータからの印刷開始要求を待ち(S201)、印刷開始要求を受信したら変数mに1を代入し、第1タスクを開始させる(S202)。
【0047】
ステップS203〜207は、画像メモリの空き容量がある限り各バンドのデータを順次受信するフローである。具体的には、初めに第mバンド画像データサイズをホストコンピュータに問い合わせ(S203)、画像メモリに第mバンドデータサイズ分の空き容量ができるまで待つ(S204)。空き容量ができたことを確認できたら(S204、Yes)、ホストコンピュータに第mバンド画像データ送信要求を発行し(S205)、同データが受信完了するまで待つ(S206)。受信完了をしたら、第mバンドに最終バンドフラグが含まれているかどうか判断し(S207)、そうでなければ(S207、No)、mに1を加算し(S208)、ステップS209に戻る。
【0048】
一方、第mバンドに最終バンドフラグが含まれていた場合(S207、Yes)、もしくは第一タスクが終了した場合は、本タスクも終了する。
【0049】
このようにすることにより、遅延して受信された画像を記録紙の同一面に転写することが可能になる。このため、画像の一部が欠損することもなく、余分な用紙を消費することもなくなる。また、特殊な装置を用いることもなく、一般的に使用されている反転装置を使用することにより、遅延して受信された画像を記録紙の同一面に転写することが可能になる。
【0050】
また、ステップS103、104において、画像データを作像する際に、作像された像の終端の画像データ上での相位置をRAM203などに記録し、N回目作像時にN−1回目作像時に記録された位置に基づいてN回目作像する画像データを生成するようにすると良い。このようにすることにより、N回目作像する像の画像データ上の位置を知ることができるようになる。
【0051】
また、ステップS103において、nが1ではない場合は、n−1バンドまでは、白画素で埋める作像をした後に、第nバンドの作像を開始することにより、N−1回目以前の作像で転写された部分は白紙となり、N回目の作像で転写する画像と重ならないようになる。また、作像開始のタイミングは記録紙先端から転写するタイミングとなり、これは一般的かつ通常行なわれる作像開始のタイミングと同じであり、結果ソフトウェア等の制御方法の複雑化を防ぎ、設計工数の削減や動作品質の向上が期待出来る。
【0052】
また、遅延が生じたときなどは、同一の記録紙を反転部へ排出したのち画像転写部へ搬送する動作を2N回行い。同記録紙の同一面に対してN回画像転写を行えるようにすると良い。この動作では、一般的に使用されている反転部を用いるため、特殊な装置等を必要としない。そのため画像形成装置の低廉化が期待出来る。
【0053】
また、上記の処理動作において、同一の記録紙の反転部への排出が複数回目であった場合、一定量以上画像データを受信もしくは、作成するまで記録紙を反転部で待機させるようにすると良い。このようにすることにより、同一の記録紙の反転部への排出が奇数回目である場合、反転部内で記録紙を待機させる必要が無いため、生産性向上が期待出来る。また、同一の記録紙の反転部への排出が複数回目であった場合、一定量以上画像データを受信もしくは、作成するまで記録紙を反転部で待機させることによって、少なくとも一定領域以上の画像データの作像を可能とし、同一面に対しての再転写の回数を減少させることができるため画像品質を向上させることができる。通常、最転写回数が多いほど転写された画像の品質は劣化する。
【0054】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。図7に示す構成は、図1に示す構成とは異なり、排紙センサ上で経路が分かれており、分岐爪(図示せず)によって用紙が進む経路を自在に変更することができる。通常排紙の際、排紙ローラ18aは反時計回り方向のみ回転し、用紙を機外に排紙する。一方、反転ローラ18bは通常反時計回り方向に回転しているが、記録紙後端が排紙センサを通過した後一定時間後に逆回転をし、スイッチバック動作を行ない、両面搬送経路に用紙を排紙することができる。このような構成をとることで図1と比べインターリーブ動作を容易に実施することができる点で優位な構成である。
【0055】
ここで、最終露光色(Y)の露光位置から感光体9Yと転写ベルト5の接触位置までの感光体9Y上に沿った距離をAとする。感光体9Yは時計回りで回転するので、時計回り方向で距離Aを算出する。
【0056】
また、感光体9Yと転写ベルト5の接触位置より転写ベルト5と二次転写ローラ16との接触位置までの転写ベルト5上に沿った距離をBとする。転写ベルト5は反時計回りで回転するので、反時計回り方向で距離Bを算出する。
【0057】
また、転写ベルト5と二次転写ローラ16との接触位置より通常廃止経路と両面搬送経路との分岐点までの用紙搬送経路上に沿った距離をCとする。
【0058】
このとき、
A+B+C≦出力可能な画像サイズの内で最大の副走査長
となるような構成にすることにより、両面搬送経路への排紙開始、つまりスイッチバック開始タイミングは、必ず全露光の終了よりも後になる。なぜなら、記録紙先端が経路の分岐点に到達したタイミングで1ページ分の画像データの露光は必ず終了している。このため、後述するように、第一タスクにおいて非最終バンド時の次のバンドデータが受信完了の判断と分岐点の両面搬送経路への変更(図8のステップS306、310)は記録紙先端が経路の分岐点に到達前に必ず行なう事が出来る。よって、現像した画像の副走査長及び記録紙の副走査長に関わらず記録紙の搬送経路を両面搬送経路へ排紙するよう分岐を変更することが可能である。
【0059】
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成システムにおける処理動作を示す図である。図8に示した処理動作を行うプログラムは、例えば、フラッシュROM22に格納され、CPU21によって実行されるようにすると良い。ここでも、例えば、プログラムの実行環境はマルチタスク環境とすると良い。
【0060】
図7の示した構成の際の第1タスクを、図8を用いて説明する。第1タスクは上述した第2タスクの開始指示によって開始される。
【0061】
初めに変数nの初期値を1とし、分岐点を通常排紙経路とする。(S301)。その後のステップS302〜307は、図5のステップS102〜107と同じであるので説明を省略する。
【0062】
ステップS305において、最終バンドを出力したことを確認したら、分岐点を通常排紙経路に変更し(S308)、記録紙が機外に排出されるのを待ち(S309)、タスクを終了する。
【0063】
第n+1バンド全データの受信が完了していない場合(307、No)、分岐点を両面搬送経路に変更する(S310)。その後記録紙は反転ローラによってスイッチバック動作が行なわれ、両面搬送経路に排紙される。排紙されたことによって両面センサがONになったことを検知(S311)した後に、再給紙を行なう(S312)。分岐点を両面搬送経路に変更し(S313)、再度記録紙をスイッチバックさせ、同様に両面センサがONになるのを待つ(S314)。この時点で次の再給紙の後に転写される用紙の面は第一面(最初に画像が転写された面)になる状態になっている。そして、印刷中断タイマをセットする。(S315)このタイマ値は第n+1バンドデータ受信が終わらない場合に印刷中断を判断するためのタイマであり、ユーザビリティを考慮し適切な値にする。
【0064】
ステップS316〜318は、図5のステップS117〜119と同様なので説明を省略する。
【0065】
このようにすることにより、遅延して受信された画像を記録紙の同一面に転写することが可能になる。このため、画像の一部が欠損することもなく、余分な用紙を消費することもなくなる。また、インターリーブ動作を容易に実施することができるようになる。
【0066】
上記の図8に示した処理動作は、上述した距離A、B、Cに対して、
A+B+C≦出力可能な画像サイズの内で最大の副走査長
となるような構成に対する処理動作である。しかし、この式を満たさない場合、両面搬送経路への排紙開始、つまりスイッチバック開始タイミングは、必ず全露光の終了よりも後になるとは限らない。このため、図8に示した処理動作を実施できる状況は限られるが、第一タスクを図9に示すような処理動作にすることで、限定的に実施が可能になる。この処理動作は、上記の式を満たす必要が無いため、機械構成の設計自由度の点で優れる。
【0067】
上記を満たない場合の第1タスクを、図9を用いて説明する。第1タスクは上述した第2タスクの開始指示によって開始される。
【0068】
ステップS401、402、404〜409は、図8のステップS301、303、304〜309と同様なので説明を省略する。
【0069】
ステップS403では、ステップS303と同様の動作を行うと共に、タイマをセットする。タイマの値は、上述した距離A、B、Cと転写ベルトの線速により、下記の式より算出される。
タイマの値=(A+B+C)/(転写ベルトの線速)
このタイマは作像開始時刻から記録紙の先端が分岐点を通過するまでの時間を表している。このタイマがタイムアウトすると記録紙先端が分岐点を通過してしまい、分岐点の経路変更が不可能となる。この場合、本発明の実施形態では印刷が不可能になる。逆に、タイムアウト前であれば記録紙の先端は分岐点を通過しておらず、分岐点の経路変更は可能な状態であることを示している。
【0070】
第n+1バンド全データの受信が完了していない場合(S406、No)、S403においてセットしたタイマがタイムアウトしているかどうか判断し(S410)、タイムアウトが発生していなければ(S410、No)、分岐点を両面搬送経路に変更する(S411)。その後、記録紙は反転ローラによってスイッチバック動作が行なわれ、両面搬送経路に排紙される。排紙されたことによって両面センサがONになったことを検知(S412)した後に、再給紙を行なう(S413)。分岐点を両面搬送経路に変更し(S414)、再度記録紙をスイッチバックさせ、同様に両面センサがONになるのを待つ(S415)この時点で次の再給紙の後に転写される用紙の面は第一面(最初に画像が転写された面)になる状態になっている。そして、印刷中断タイマをセットする。(S315)このタイマ値は第n+1バンドデータ受信が終わらない場合に印刷中断を判断するためのタイマであり、ユーザビリティを考慮し適切な値にする。
【0071】
一方、ステップS410において、タイムアウトが既に発生していた場合(S410、Yes)、記録紙先端が分岐点を通過してしまっているので、通常排紙を行なう(S409)。この場合、本発明の効力は発揮されない。
【0072】
ステップS417〜419は、図8のステップS316〜318と同様なので説明を省略する。
【0073】
このようにすることにより、遅延して受信された画像を記録紙の同一面に転写することが可能になる。このため、画像の一部が欠損することもなく、余分な用紙を消費することもなくなる。また、インターリーブ動作を容易に実施することができるようになる。また、機械構成の設計自由度の高い画像形成装置を提供することができるようになる。
【0074】
また、上記の処理動作のように、一定時間以内に一定量以上の画像データの受信もしくは、作成することができない場合印刷動作を中断することにより、永久に画像データが受信もしくは作成できないような場合、例えば、ホストコンピュータと画像形成装置との接続ケーブルが断線した場合などに、永久に画像形成装置が使用不可能となってしまう場合を防止することができ、結果として、ユーザーの利便性を向上させる。
【0075】
上述した実施形態における処理動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0076】
なお、ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムが格納されているROM(Read Only Memory)から、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリ(RAM)にプログラムを読み込んで実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0077】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROMに予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、MO(Magneto Optical)ディスク等の光磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。
【0078】
このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することが可能である。
【0079】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送したりし、コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0080】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0081】
また、上記実施形態で説明したシステムは、複数の装置の論理的集合構成にしたり、各装置の機能を混在させたりするように構築することも可能である。
【0082】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0083】
また、本発明における画像形成装置は、前記作像手段により作像された分割画像データの前記記録紙上での位置を記憶する記憶手段を有し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された位置に基づき、前記受信手段により受信した分割画像データを作像する位置を決定するようにしても良い。
【0084】
また、本発明における画像形成装置は、前記制御手段は、前記遅延のために遅延して受信された分割画像データを作像する際に、当該遅延が生じるまでに前記作像手段により作像された分割画像データの前記記録紙上での位置に白画像を前記作像手段により作像してから、前記遅延して受信された分割画像データを前記作像手段により作像するようにしても良い。
【0085】
また、本発明における画像形成装置は、前記記録紙を搬送する搬送手段を有し、前記制御手段は、前記受信手段による前記分割画像データの受信において遅延が生じたときに、前記記録紙を前記搬送手段により前記反転手段に搬送するようにしても良い。
【0086】
また、本発明における画像形成装置は、前記制御手段は、前記記録紙が前記反転手段により複数回反転されたときは、前記遅延のために受信が遅延している分割画像データが前記受信手段により受信されるまで、当該記録紙を前記反転手段に待機させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0087】
201 CPU
202 フラッシュROM
203 RAM
204 書き込み制御部
205 モータドライバ
206 通信制御部
207 通信制御部
208 HDD
209 CPU
210 RAM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2002−11905号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ページ分の画像データを分割した分割画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記分割画像データを記録紙に作像する作像手段と、
前記記録紙を反転させる反転手段と、
前記受信手段による前記分割画像データの受信において遅延が生じたときに、前記記録紙を前記反転手段により複数回反転させ、前記1ページ分の画像データを当該記録紙の同一面に前記作像手段により作像する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記作像手段により作像された分割画像データの前記記録紙上での位置を記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶された位置に基づき、前記受信手段により受信した分割画像データを作像する位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記遅延のために遅延して受信された分割画像データを作像する際に、当該遅延が生じるまでに前記作像手段により作像された分割画像データの前記記録紙上での位置に白画像を前記作像手段により作像してから、前記遅延して受信された分割画像データを前記作像手段により作像することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録紙を搬送する搬送手段を有し、
前記制御手段は、
前記受信手段による前記分割画像データの受信において遅延が生じたときに、前記記録紙を前記搬送手段により前記反転手段に搬送することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記記録紙が前記反転手段により複数回反転されたときは、前記遅延のために受信が遅延している分割画像データが前記受信手段により受信されるまで、当該記録紙を前記反転手段に待機させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−194655(P2011−194655A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62491(P2010−62491)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】