説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の濃度特性の変化に応じた強度によってバンディング補正を行い、より高品質な画像を得ることを目的とする。
【解決手段】 バンディング補正部307は、像担持体上に画像情報に基づくトナー像を形成する為の回転体についての副走査方向における濃度変動の要因情報、及び画像濃度に係る情報を取得し、取得した情報に基づき、濃度変動の要因情報に応じた濃度補正の強度を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置における画質安定化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置が広く普及しており、これら画像形成装置においては、一定品位の画質が要求される。そして、画質低下の一要因に、用紙の搬送方向(副走査方向)の濃度ムラ(所謂バンディング)を挙げることができる。
【0003】
このような中、特許文献1により、副走査方向の濃度ムラに対する解決策が提案されている。この特許文献1では、まず、感光体ドラムの外径周期で発生する副走査方向の濃度ムラを、感光ドラムの位相に対応付けて予め測定し、その測定結果を濃度パターン情報テーブルとして記憶部に記憶する。そして、画像形成時に感光ドラムの位相に応じた濃度ムラの情報をテーブルから読み出し、それに基づき、感光体ドラムの外径周期で発生する濃度ムラを補正することが開示されている。
【0004】
また、この特許文献1には、上述と同様の手法で、現像ロールの外径周期によって発生する濃度ムラを補正することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−108246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、画像形成装置に係る温度や湿度等の環境変化、又はトナーカートリッジ(以下、トナーCRG)や感光ドラムの消耗/劣化等の稼動状況により、トナーの飛び散りや微小ドットの安定性(以下これらを濃度安定性又はドット再現性と称す)が変化してしまう。そして、これにより、たとえ副走査方向の濃度変動要因の態様(例えば感光ドラムの回転速度ムラ)が同じでも、バンディングの強度が変化してしまうという問題が発生する。尚、以下においてはこの副走査方向の濃度変動要因のことをSSD濃度変動要因と称する。SSDとはSub Scanning Directionの略である。
【0007】
以下、具体例として、図21の(a)に示すような一様濃度画像606をトナー像として形成するときに、SSD濃度変動要因607が発生する場合について説明する。図21(b)の607にはSSD濃度変動要因として感光ドラムの回転速度ムラが示されている。
【0008】
図21(b)の下段は、607に示される回転速度ムラが発生した場合の濃度ムラを示している。曲線608は新品トナーCRG利用時、曲線609は消耗/劣化が進んでドット再現性が悪化したトナーCRGを利用した場合の濃度ムラを示している。
【0009】
このように、同じSSD濃度変動要因が生じていても、画像形成時の作動条件が異なれば、画像上に現れる濃度ムラの振幅(強度)が変化してしまう場合がある。また、場合によっては、環境変動によっても同様の問題が生じる場合がある。
【0010】
本願発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の濃度特性の変化に応じた強度によってバンディング補正を行い、より高品質な画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明における画像形成装置は、像担持体上或いは記録紙上に画像情報に基づくトナー像を形成する為の回転体と、前記回転体に係る画像の副走査方向における濃度変動の要因情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得された前記濃度変動の要因情報に応じて画像情報を補正する補正手段と、を備えた画像形成装置であって、前記濃度変動の強度を間接的に示す間接濃度変動情報を取得する第2取得手段を備え、前記補正手段は、前記濃度変動の要因情報に応じた前記画像情報の補正強度を、形成されたトナー像から前記濃度変動の要因情報に応じた濃度変動の強度を検出することで設定することなく、前記間接濃度変動情報に基づき、設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置の濃度特性の変化に応じた強度によってバンディング補正を行い、より高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の印字部の構成を示す図である。
【図2】濃度センサの構成を示す図である。
【図3】回転状態検出手段、回転駆動源手段、駆動伝達手段を説明する図である。
【図4】画像形成装置における機能ブロックを示す図である。
【図5】主制御部を示す図である。
【図6】パッチ画像を示す図である。
【図7】階調特性を示す図である。
【図8】ドット再現性を特定するための処理で参照する情報を説明する図である。
【図9】ドット再現性を特定するための処理の流れを示した図である。
【図10】SSD濃度変動要因の波形を示した図である。
【図11】SSD濃度変動要因演算部の処理の流れを示した図である。
【図12】バンディング補正の処理で参照する情報を説明する図である
【図13】SSD濃度変動要因−濃度補正値変換テーブルの一例を示す図である。
【図14】(a)バンディング補正と露光のタイミングを説明する図である。(b)測定されたSSD濃度変動要因と濃度ムラの位相ズレを説明する図である。
【図15】機能ブロック図を示す図である。
【図16】バンディング補正処理の流れを示した図である。
【図17】バンディング補正処理における階調値計算の流れを示した図である。
【図18】実施例1、2における、バンディング補正処理における階調値計算を説明する図である。
【図19】実施例2における、パッチ画像を示した図である。
【図20】実施例2における、ドット再現性を特定するための処理で参照する情報を説明する図である。
【図21】発明が解決しようとする課題において、SSD濃度変動要因に対する濃度ムラの振幅を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0015】
<画像形成装置の概略断面図>
図1に本実施例に係る電子写真方式の画像形成装置の一例を示す。図1は、中間転写体としての中間転写ベルト27(無端状ベルト/エンドレスベルト)を採用したタンデム方式の画像形成装置の概略断面図である。尚、中間転写ベルト27を有する画像形成装置に限定されるわけではなく、例えば感光ドラム22に現像されたトナー像を転写材に直接転写する方式を採用した画像形成装置を適用してもよい。以下、本実施例に係る画像形成装置における画像形成部の動作を説明する。
【0016】
まず、入力画像データ(入力された画像信号)より変換された露光時間に基づいて点灯させる露光装置24により、感光体上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像を現像装置26によって現像して単色トナー像を形成する。続いて、中間転写ベルト27にこの単色トナー像を順次転写して、多色トナー像を形成する。その後、形成された多色トナー像を記録媒体としての記録紙11(記録紙上)へ転写し、記録紙11上に多色トナー像を定着器30によって定着させる。
【0017】
画像形成部は、給紙部21a、21b、感光ドラム22Y〜22K、注入帯電器23Y〜23K、トナーカートリッジ25Y〜25K、現像器26Y〜26K、中間転写ベルト27、転写ローラ28及び定着部30によって構成されている。尚、例えば、「感光ドラム22Y〜22K」は、「感光ドラム22Y、22M、22C、22K」を省略して表記したものである。
【0018】
像担持体としての感光ドラム22Y、22M、22C、22Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像色分並置したステーション毎に設けられる。感光ドラム22Y〜22Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して形成され、図5の47の駆動モータ47の駆動力が伝達されて回転する。駆動モータ47は、後述する駆動伝達装置によって感光ドラム22Y〜22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
【0019】
一次帯電手段としての注入帯電器23Y、23M、23C、23Kは、ステーション毎に備えられ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光ドラム22Y〜22Kの表面を一様に帯電する。各注入帯電器23Y〜23Kには、現像ローラであるところのスリーブ23YS、23MS、23CS、23KSが備えられている。
【0020】
露光手段としてのスキャナ部24Y、24M、24C、24Kからの入力画像データに基づく露光光は、感光ドラム22Y〜22Kへ送られ、感光ドラム22Y〜22Kの表面を選択的に露光する。これにより、感光ドラム22Y〜22K表面上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0021】
現像手段としての現像器26Y、26M、26C、26Kは、ステーション毎に備えられる。これら各現像器は図1(b)におけるモータ6a〜6dにより回転駆動される。そして各現像器26Y〜26Kはそれぞれ、現像材としてのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを用いて感光ドラム22Y〜22K表面上に形成された静電潜像を単色トナー像として可視化する。各現像器26Y〜26Kには、現像器26Y〜26Kに各色トナーを供給するトナーカートリッジ25Y、25M、25C、25Kが備えられる。また、各現像器26Y〜26Kには、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSが設けられている。各現像器26Y〜26Kは着脱可能に画像形成装置に取り付けられている。
【0022】
中間転写体としての中間転写ベルト27は、感光ドラム22Y〜22Kに接触しており、画像形成時に感光ドラム22Y〜22Kの回転に伴って時計周り方向に回転する。中間転写ベルト27は、ベルト駆動ローラ40の回転回転に時計周り方向に回転する。駆動ローラ40は、図1(b)の駆動ローラを駆動する為のモータ40aにより回転する。各感光ドラム22Y〜22Kの表面に形成された単色トナー像が、中間転写ベルト27上に重畳転写されて、多色トナー像が形成される。
【0023】
その後、中間転写ベルト27に転写手段としての転写ローラ28が接触して、給紙部21a、21bから搬送されてきた記録紙11を狭持搬送し、記録紙11に中間転写ベルト27上の多色トナー像を転写する。転写ローラ28は、中間転写ベルト27に対して当接(28aの位置)及び離間(28bの位置)が可能である。転写ローラ28は、記録紙11上に多色トナー像を転写している間は28aの位置で記録紙11に当接し、画像形成処理後は28bの位置に離間する。
【0024】
定着手段としての定着部30は、記録紙11を搬送しながら、記録紙11上に転写された多色トナー像を溶融定着させるものである。定着部30は、記録紙11を加熱する定着ローラ31と、記録紙11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。
【0025】
多色トナー像定着後の記録紙11は、その後不図示の排出ローラによって不図示の排紙トレーに排出されて画像形成動作を終了する。
【0026】
クリーニング手段としてのクリーナ29は、中間転写ベルト27上に残ったトナーをクリーニングするものである。中間転写ベルト27上に形成された4色の多色トナー像を記録紙11に転写した後の廃トナーは、クリーナ29のクリーナ容器に蓄えられる。
【0027】
<濃度センサの説明>
濃度センサ41は、図1の画像形成装置において中間転写ベルト27へ向けて配置されている。この濃度センサ41の構成の一例を図2に示す。LEDなどの赤外発光素子51と、フォトダイオード、Cds等の受光素子52等で構成される。受光素子52aはLEDによりトナーパッチに光を照射したときのトナーパッチからの乱反射光強度を検知する。そして、トナーパッチからの正反射光強度を検知する受光素子52bの検知結果から、受光素子52aにより検出された乱反射光強度を差し引く。これにより、正確な正反射光強度を検出でき、それに基づきトナーパッチの濃度相当の情報を検知することができるようになる。
【0028】
<エンコーダの説明>
以下、トナー像を像担持体上に形成する為の回転体としての感光ドラムが回転することで発生するSSD濃度変動要因としての感光ドラム回転速度ムラの検出について図3を用いて説明する。尚、以下ではY色に対する説明を行うが、実際にはCMYK各色について同様の構成を独立して持つものとする。
【0029】
42は画像形成に使用される回転体としての感光ドラム22Yと共に回転する回転軸である。43は駆動モータ47の回転を回転軸42に伝達する減速ギアである。44は回転軸42と共に回転する同心円上に等間隔にスリットを設けたコードホイールである。45はコードホイール44のスリットの通過に応じてパルス信号を出力する発光部と受光部からなるエンコーダである。46はエンコーダ45のパルス出力を演算処理し、回転体としての感光ドラム22Yの回転速度ムラによるSSD濃度変動要因情報を計算する演算部である。尚、SSD濃度変動要因とは、副走査方向の理想的なレーザ書き込み間隔に対するずれ量に相当する。また副走査方向の理想的なレーザ書き込み間隔に対するずれ量そのものでなくとも、それを表すものであれば、適宜SSD濃度変動要因に該当させることができる。また位置ずれは速度変動に起因することから、SSD濃度変動要因を速度のパラメータで表すこともできる。
【0030】
エンコーダ45は受光部を2つ持っており、回転速度検出の他にコードホイール44のホームポジションを検知する機能を有する。検知結果はSSD濃度変動要因演算部46へ送られる。ホームポジション検知を行なうのは回転速度の周期的な速度ムラの位相を確定するためである。尚、SSD濃度変動要因演算部46の処理は後述する。
【0031】
<画像形成装置の機能ブロック図>
次に、本実施例における信号処理の構成を、図4を用いて説明する。図4は、本実施例に係る画像形成装置における信号処理構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0032】
例えば、不図示のホストコンピュータよりプリント命令が発せられると、ホストコンピュータ上のドライバ301からは、印刷データとしてのページ記述言語が送出され、画像形成装置内のコントローラ311へ入力される。
【0033】
また、プリント時にはユーザが文書画像、グラフィック画像、写真画像等の画像の属性を指定するか、あるいはアプリケーション等から自動的に判別するなどして、ドライバ301でプリントされる印刷データの属性が決定される。そして、ハーフトーン情報313として中間調処理部308へ入力される。
【0034】
コントローラ311内にはデコーダ302、バンドメモリA303、バンドメモリB304、色変換処理部305、γ補正部306、バンディング補正部307、中間調処理部308が配置される。入力された印刷データ(例えばページ記述言語)はデコーダ302で解釈され、RGB各8ビットの画像データに変換される。RGBの画像データはバンドメモリへ入力される。バンドメモリはバンドメモリA 303、バンドメモリB 304の2つのメモリから構成されており、1つのメモリは数ライン分の画像データを格納可能である。
【0035】
まず、先頭の所定ライン分の画像領域がバンドメモリA 303へ展開され、次の所定ライン数分の画像領域がバンドメモリB 304へ展開されている間に、バンドメモリA 303からはRGBの画像データが出力される。さらに次の所定ライン数分の画像領域がバンドメモリA 303に展開されている間にバンドメモリB 304からはRGBの画像データが出力される。このように2つのバンドメモリに交互に画像データが展開、出力される構成となっている。
【0036】
バンドメモリA 303及びバンドメモリB 304から出力されたRGB画像データは、パラレルに色変換処理部305へと入力される。色変換処理部305に入力されたRGB画像データは、所定の色変換処理及びUCR(Under Color Removal:下色除去)処理が施され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の画像信号へと変換される。本実施例の画像形成装置は上述したようにY、M、C、K各色1画面ずつ形成する。そのため、色変換処理部305からは面順次、すなわちYの1画面分のデータ、Mの1画面分のデータ、Cの1画面分のデータ、Kの1画面分のデータ、の順に画像信号が時間差をおいて出力される。
【0037】
γ補正部306は、中間調の階調特性を画像信号に対してリニアに保たれるように、後述するγ補正部テーブル(濃度補正テーブルとも呼ぶ)に基づいて、色変換処理部305から出力された各色の画像信号に補正を加えた信号へ変換する。
【0038】
その後、後述するバンディング補正部307は、γ補正部306から出力された画像信号に対して、SSD濃度変動要因によって生じる画像濃度ムラの逆特性の補正を加えた信号へ変換する。その後、中間調処理部308で、ディザ法等によって中間調処理が行われる。
【0039】
エンジン312内にはPWM(Pulse Width Modulation)処理部309、レーザ駆動部310が配置される。供給元であるコントローラ311から供給される、中間調処理部308で中間調処理が施された画像信号には、PWM処理部309でパルス幅変調をかけられ、D/A(デジタルアナログ)変換された後にレーザ駆動部310へと入力される。そしてレーザ駆動部310は入力されたデータに従いスキャナ部を制御し、その後は、図1で説明した電子写真プロセスを経て記録紙11上に印刷がなされる。
【0040】
<主制御部の説明>
図5は、上で説明したコントローラ311の主制御部の一例を示すブロック図である。主制御部321は、CPU314、EEPROM315、RAM316を少なくとも有する。図4の各信号処理手段は、主制御部321と不図示の信号線によって連結されており、主制御部321によって指示、データ保存、データの読み書き等を行う。また、主制御部321の処理は、EEPROM315上に記憶されたプログラムコードを読み出して、CPU314によって実行されることによって成される。
【0041】
そして、本実施例では、この主制御部321により(CPU314等)、上に説明したバンディング補正部307の機能が実現される。尚、これに限定されず、例えばバンディング補正部307を、主制御部321によるものではなく、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、或いは主制御部321とASICの協働により実現してもよい。また、その他の各ブロックについても、バンディング補正部307と同様に、主制御部321や、ASICや、それらの組み合わせにより実現してもよい。また、不図示ではあるが、エンジン312内にも、図5で示した主制御部321と同等の構成を備え、その主制御部321相当の構成により、エンジン312内の各ブロックの各種制御を行っているものとする。
【0042】
<画像濃度制御の説明>
次に本実施例で行う画像濃度制御について説明する。画像形成装置を使用する温湿度などの画像形成の作動状態(作動環境)や、感光体の消耗/劣化度合いや、連続印字枚数等の画像形成における作動状態(稼動状況)により、印字画像の濃度に変動が生じる。そしてこの濃度変化を抑制すべく多くの画像形成装置においては、帯電電位や、露光量や、現像バイアスや、階調制御等の画像形成条件を自動調整する画像濃度制御機構が搭載されている。本実施例の画像形成装置は、例えば画像形成装置の電源投入後や、所定の印字枚数を印字すると画像濃度制御を行う。
【0043】
次に画像濃度制御の一例として階調制御について説明する。階調制御の目的は、ハーフトーンの階調特性を画像信号の階調値に対してリニアに保つことである。階調を変えて形成した複数の濃度パッチを濃度センサで検知し、その結果から入出力特性がリニアとなるように、γ補正テーブルを修正する。以下、階調制御の処理について具体的に説明する。
【0044】
CPU314のパッチ形成指示により、パッチ画像生成部322は、図6の(a)に示すパッチ画像を生成する。そして、生成された画像は、γ補正部306、中間調処理部308、PWM処理部309、レーザ駆動部310を経て、上述の電子写真プロセスにより、中間転写ベルト27上にパッチ画像として形成される。
【0045】
図6(a)のパッチ画像を構成する各パッチはn0〜n4の階調で形成されている。尚、パッチ画像出力時には、図6(b)の601で示すスルーのγ補正テーブルを用いる。また、中間調処理部308は、不図示の信号切替手段により、バンディング補正処理部307で処理されていない画像信号317が入力される。中間転写ベルト27上に形成されたパッチ画像は濃度センサ41によって濃度を検知される。
【0046】
各濃度パッチn0〜n4の濃度をY0〜Y4とする。算出された濃度を基に、補間計算によって全階調に対する濃度特性テーブル(基準濃度特性テーブル)を生成する。基準濃度特性テーブルの一例を、図6(b)の602に示す(602の縦軸は、濃度)。その後、γ補正テーブル603を、基準濃度特性602の逆特性となるように求める(603の縦軸はγ補正部306の出力階調値)。
【0047】
以上で説明した階調制御において、中間転写ベルト27上に形成された濃度パッチは、図1で説明したクリーニング手段によって回収される。また、最大濃度制御と階調制御は、中間調処理部308で選択可能なハーフトーン毎に行われる。
【0048】
<バンディング補正の概要説明>
次に、バンディング補正の概要を説明する。本実施例における画像形成装置は、まず図3で説明したエンコーダによりSSD濃度変動要因としての感光ドラムの回転ムラを測定する。そして、予め保持された変換テーブル(SSD濃度変動要因とバンディング補正値との対応を記述したテーブル)を、得られたSSD濃度変動要因に基づき参照し、適切なバンディング補正値を獲得する。
【0049】
このとき、あるSSD濃度変動要因に対して、どれ程の強度のバンディング補正を行うかは、そのときに推定されるドット再現性によって、どの参照テーブルを選択するかで決まる。尚、後述にて詳しく説明するが、ドット再現性とは、間接的にあるSSD濃度変動要因に対するバンディング強度(濃度変動強度)、或いはバンディング補正強度(濃度補正強度)を特定する為のものである。言い換えれば、このドット再現性は、濃度変動の要因の変化の周波数性に応じた特性を有さない。SSD濃度変動要因の変化に応じて変化する周期特性を持った濃度特性を直接的に示すものではない。
【0050】
本例では、バンディング補正強度を獲得する為の変換テーブルを、各ドット再現性に対応して複数保持している。即ち、わざわざSSD濃度変動要因に同期した濃度変動を直接的に実測しなくとも、濃度変動の強度或いは補正強度を間接的に示す間接濃度変動情報としてのドット再現性情報をもって、適切なバンディング補正強度(変換テーブル)を獲得できるようになる。これにより、画像形成装置の濃度特性の変化に応じた補正強度のバンディング補正を容易に実現することができるようになる。
【0051】
以下では、下記(1)、(2)の順で説明を行っていく。
(1) ドット再現性情報取得処理
(2) バンディング補正処理
また、以下、Y色(イエロー)に対する説明を行うが、実際にはCMYK各色について同様の処理を行うものとする。
【0052】
(1)ドット再現性情報取得処理
まず、ドット再現性情報取得処理について説明する。処理の目的は、画像形成装置に係る温度や湿度等の環境変化や、各カートリッジの消耗/劣化等の稼動状況によって変化するドット再現の状態を推定することである。まず、本処理の概要を説明する。予め、複数のドット再現状態に関連付けられた、γ補正テーブル(以下、参照γ補正テーブルと称す)がEEPROM315に保持されている。ドット再現性情報取得処理が開始されると、前述した階調制御を行い、得られたγ補正テーブル(以下、測定γ補正テーブルと称す)に対して最も形状が類似している参照γ補正テーブルを選択する。これによりドット再現の状態を特定する。処理の詳細については後述する。そして選択結果である、ドットの再現状態を表すインデックス情報(例えば、状態1、状態2・・・)が、RAM316に格納される。このインデックス情報がドット再現性情報に相当する。
【0053】
●ドット再現性を特定するためにγ補正テーブルを利用する有用性
ドット再現性を特定するためにγ補正テーブルを利用する理由は、ドット再現性とγ補正テーブルとに相関がある為である。
【0054】
ドット再現性の定義を以下に示す。ドット再現性が良い状態とは、ドットとして形成すべき位置にドットが形成され、ドットが形成すべきでない位置、すなわち背景の白地部分にドットが出現しない状態を言う。逆にドット再現性が悪い状態とは、ドットとして形成すべき位置にトナーが十分に載らずドット形成が不十分な状態、またドットとドットの間の本来白地である部分にトナーが載ってしまう状態を言う。
【0055】
以下、ドット再現性と測定γ補正テーブルとの関係についてドット再現性を悪化させる例を基に記述する。例として新品のトナーCRG(以下新CRGと呼ぶ)を利用した場合とトナー残量が少ないトナーCRG(以下旧CRGと呼ぶ)とを比較して考える。このとき、新旧CRG間で、画像形成部に補給されるトナーの平均的な粒径が変化してしまうことがある。具体的には新CRGではトナー粒径が小さく、旧CRGではトナー粒径が大きくなる。
【0056】
新旧CRGで、ハイライト領域の濃度パッチを出力する場合について考える。中間調処理がかけられたハイライトの画像は微小ドットで構成される。微小ドットを粒径の大きいトナーで形成した場合、トナーの載り方が不安定になるためドット再現性が悪化し、ドットが十分に形成されず、ハイライトの濃度が低くなる傾向がある。一方、新旧CRGでシャドウ領域の濃度パッチを出力する場合について考える。シャドウ領域の画像はドット間の距離が近いため、粒径の大きいトナーで形成した場合、隣接ドットの影響を受けてトナーの飛び散りが増加しドット再現性が悪化し、ドット間の白地面積が減少し、濃度が高くなる傾向がある。
【0057】
以上のことから、ドット再現性の良い新CRGに比べてドット再現性の悪い旧CRGではハイライトの濃度が低く、シャドウの濃度が高くなる傾向がある。図7(a)は新旧CRGにおける階調に対する濃度の特性を表わした例である。614の新CRGは階調に対する濃度の変化で比較的リニアであるのに対して、615の旧CRGはハイライトは濃度が低く、中間濃度から急激に濃度が変化し、シャドウでは濃度が高くなる。この結果新旧CRGに対する測定γ補正テーブルは図7(b)のようになる(新CRGは616、旧CRGは617)。
【0058】
上記は新旧CRGのトナー粒径に対する例を示したが、耐久による感光ドラムの劣化や、温度・湿度等の環境によってもドット再現性は変化し、これに伴い測定γ補正テーブルの形状が変化する。以上のように画像形成装置の様々な条件によってドット再現性は異なるものの、ドット再現性と測定γ補正テーブルの形状には一定の関係が存在する。本実施例では、γ補正テーブルを利用し、推定したドット再現性に応じて、バンディング補正の強度を決める処理を行う。
【0059】
●参照γ補正テーブル
次に、参照γ補正テーブルの求め方について説明する。画像形成装置の作動環境や、稼動状況や、画像処理条件(適用ディザ条件)の各条件を変えることによって、ドット再現性を変化させて、各条件におけるドット再現の状態を定義する。以下の例では、2つのドット再現の状態(状態1、状態2)を定義する。
【0060】
次に、定義された各ドット再現の状態(状態1、状態2)において、図6で説明した階調制御を行い、参照γ補正テーブルを夫々求め作成する。図8は、各ドット再現の状態における参照γ補正テーブルの一例を示した図である。図8は、各状態におけるγ補正テーブルがEEPROM315に保持されている様子を表している。
【0061】
尚、参照γ補正テーブルは、製品開発時、工場出荷時、サービス時、トナーCRG交換時、画像形成装置のキャリブレーション処理時などのタイミングで、測定された濃度の結果からEEPROM315に書き込まれる。
【0062】
●ドット再現性情報取得処理フロー
ドット再現性情報取得処理の流れについて、図9を用いて説明する。
【0063】
まずステップ205−1で、画像形成装置は、CPU314の指示により、ドット再現性取得処理を開始する。尚、取得とはRAM等の記憶部に記憶された所望の情報を処理主体が読み出す動作のことを指し、各取得のことを第1取得、第2取得、第3取得などと区別して記載することもできる。
【0064】
ステップ205−2で、CPU314(後述のドット再現性解析部3071)は、図6を用いて説明した階調制御を実行して、γ補正テーブルを求める。但し、通常の階調制御に続いて、本フローチャートが実行される場合、このステップ205−2を省略してもよい。次に、ステップ205−3で、CPU314は、予めEEPROM315上に保持された、状態1における参照γ補正テーブルをRAM316上にコピーする。
【0065】
次に、ステップ205−4において、各入力階調値(0〜255)毎に、ステップ205−2で求めたγ補正テーブルの出力階調値と、ステップ205−3でコピーした状態1におけるγ補正テーブルの出力階調値と、の距離を求める。尚、ここでの距離とは、どれだけの差異があるかを示すパラメータの呼び名であり、どれだけの差異があるかを評価することができれば、他のパラメータを用いるようにしてもよい。
【0066】
ここで、ステップ205−2のγ補正テーブルの値をγpi(i=0,1,・・・255)とし、ステップ205−3のγ補正テーブル(参照γ補正テーブル)の値をγqi(i=0,1,・・・255)とする。すると、各入力階調値における距離γdi(i=0,1,・・・255)は、CPU314により、γdi=|γpi−γqi|の式で計算される。引続きCPU314は、ステップ205−5で、205−4で求めた距離γdiの平均値M1を算出する。また、CPU314は、ステップ205−6で、状態2のγ補正テーブルについて、ステップ205−3〜205−5について同様に処理して、平均値M2を算出する。
【0067】
そしてバンディング補正部307は、ステップ205−7において、平均値M1とM2とを比較する。バンディング補正部307は、ステップ205−7が真の場合はステップ205−8へ処理を進め、偽の場合はステップ205−9へ処理を進める。
【0068】
ステップ205−8で、バンディング補正部307は、RAM316上のドット再現情報に対して「状態1」を保存する。他方、ステップ205−9では、バンディング補正部307は、RAM316上のドット再現情報に対して「状態2」を保存する。そして、バンディング補正部307は、ステップ205−10へ処理を進め、ドット再現性取得処理が終了する。
【0069】
本実施例の画像形成装置では、例えば、エンジン電源投入後や、所定の枚数の連続印字に応じて、上に説明した図9のフローチャートにて示したドット再現性情報取得処理をバンディング補正部307が実行する。
【0070】
以上の処理により、予め保持された複数のドット再現の状態における参照γ補正テーブルから、形状が類似しているγ補正テーブルを選択することによってドット再現性情報を推定することができる。尚、ドット再現性は2つの状態が定義されているものとして説明したが、3つ以上の状態が定義されても、各状態に対してステップ205−3〜205−5と同様の処理を繰返すことによって、ドット再現性を求めることができる。また、ステップ205−2の階調制御を省略して、最新の階調制御によって求められたγ補正テーブルを用いてステップ205−3以降の処理を行ってもよい。
【0071】
(2)バンディング補正処理
次にバンディング補正の処理について説明する。バンディング補正は、SSD濃度変動要因による濃度ムラの逆特性に基づく画像信号に補正を行うことで、視覚的な濃度ムラを軽減する。まず、本処理の概要を説明する。
【0072】
予め、SSD濃度変動要因と、SSD濃度変動要因によって生じる濃度ムラの逆特性との関係を示したSSD濃度変動要因−濃度補正値変換テーブル(以下、変換テーブルと称す)がEEPROM315に保持されている。変換テーブルは、条件(ドット再現性、ハーフトーンの種類、階調値)毎に最適なものが求められ、各条件と対応づけられて保持されている。
【0073】
本実施例では、画像形成時のドット再現性情報とハーフトーン情報(ハーフトーンの種類)とを参照して、対応する変換テーブルを選択する。そして画像形成中には、後述するSSD濃度変動要因情報を基に、各走査ラインにおけるSSD濃度変動要因を求め、選択された変換テーブルを参照して濃度補正値を求めて、画像信号を補正する。
【0074】
以下、下記(イ)乃至(ハ)の順で説明を行っていく。
(イ)SSD濃度変動要因情報
(ロ)EEPROM315に保持されている変換テーブル
(ハ)バンディング補正に関する処理
(イ)SSD濃度変動要因情報の説明
まず、SSD濃度変動要因情報の取得方法について説明する。
【0075】
本実施例では、視覚特性に対して目立つような周波数帯域にある、周期T1、T2(例えば、T1=3mm、T2=0.8mmの周期)の2つの周期のSSD濃度変動要因605が発生しており、これに着目し、濃度ムラ補正を行う場合について説明する。
【0076】
図10に、エンコーダ45で測定されたSSD濃度変動要因605の波形を示す。SSD濃度変動要因605は、T1とT2の最小公倍数T’の周期で繰り返されている。SSD濃度変動要因情報は、基準時刻t0から時間T(=T’/Vd)が経過する毎に繰り返されるSSD濃度変動要因の値である。但し、Vdは感光ドラム22Yの目標速度[mm/sec]である。任意の時刻tにおけるSSD濃度変動要因の値を取得する場合は、図10に示した繰返しの関係を考慮して、t´={Mod((t−ΔT)−t0,T)}におけるSSD濃度変動要因を参照すればよい。尚、Mod(a,b)はa/bの剰余を表す。また、SSD濃度変動要因の値を参照する処理は、EEPROM315に格納された不図示のプログラムに基づいてCPU314が演算して、演算結果を返すものとする。
【0077】
次に、SSD濃度変動要因情報を求める手段である、図4のSSD濃度変動要因演算部46ついて説明する。以下では、下記に示す記号を利用して説明する。
Vd・・・感光ドラム22Yの目標速度[mm/sec]
Td・・・感光ドラム22Yの周長[mm]
ns・・・コードホイール44のスリット数
尚、Vd,Td,nsは、予めEEPROM315に予め保持されているとする。
【0078】
●SSD濃度変動要因の演算フローチャートの説明
SSD濃度変動要因演算部46(以下演算部46と略する)の処理の流れを図11に示す。まずステップ202−1で、CPU314の指示により、SSD濃度変動要因演算部46の処理が開始される。
【0079】
ステップ202−2で、演算部46は、現在時刻(t0とする)をRAM316へ記録する。尚、本実施例における時刻とは、あるタイミングを特定できる情報を意味し、例えばある起点からの経過時間を相当させることができる。
【0080】
ステップ202−3では、演算部46は、時刻t0〜t0+Tの間(1周期分の時間)、エンコーダ出力信号48のパルスのON/OFFをモニタし、パルス間時間Δpi(i=1,2,・・・n)を求める。ここで、nは感光ドラム1周分のエンコーダ45のパルス信号数よりも1つ少ない整数である。またTは上述したT1、T2の最小公倍数周期をVdで除算したものである。
【0081】
ステップ202−4で、演算部46は、求められた各々パルス間時間Δpiから、感光ドラム22Yが一定速度で回転している場合の理想パルス間時間Δp0(Δp0=Td/Vd/ns)を引いた値を、中間転写ベルト27上の距離に換算する。これにより、SSD濃度変動要因情報pi(pi={Δpi−Δp0}×Vd)(i=1,2,・・・n)を求める。但し、中間転写ベルト27の搬送速度は、感光ドラム22Yの速度Vdと同じであるとした。尚、以下の例ではSSD濃度変動要因情報としてpiを例に説明を行っていくが、その都度において、レーザ走査線の間隔の変化相当を表すことができる情報であれば何れのパラメータを適用しても良い。
【0082】
ステップ202−5で、演算部46は、SSD濃度変動要因情報piをフーリエ変換し、ステップ202−6では、フーリエ変換後のデータから、周期T1とT2の成分を抽出する処理を行う。
【0083】
ステップ202−7で、演算部46は、ステップ202−6で求めたデータに対して、逆フーリエ変換を行う。ステップ202−8では、ステップ202−7で求めた逆フーリエ変換後のデータを、piとしてRAM316へ上書き保存し、SSD濃度変動要因演算部46の処理を終了する。そして、後述にて詳しく説明するが、これらRAM316に保存された情報は、後にバンディング補正部307により参照され、各種演算に利用される。
【0084】
尚、ステップ202−5〜202−7の処理の代わりに、例えばバンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を合わせたフィルタ処理を行ってもよい。また、SSD濃度変動要因演算部46の処理は、画像形成前に行う。例えば、2枚の画像を連続してプリントする場合において、1枚目の画像形成前にSSD濃度変動要因演算部46の処理を行う。そして、得られた結果を1枚目の画像形成に対して行うバンディング補正処理で利用して、1枚目の画像形成と平行してSSD濃度変動要因演算部46の処理を行い、得られた結果を2枚目の画像形成に対して行うバンディング補正処理で利用する方法が考えられる。
【0085】
(ロ)変換テーブルの説明
次に変換テーブルについて説明する。
【0086】
前述したとおり、変換テーブルは、条件(ドット再現性、ハーフトーンの種類、階調値)などの画像濃度に係る情報と対応付けられてEEPROM315に保持されている。即ち、画像濃度に係る情報に応じた適切な変換テーブルを選択することで、そのときの画像形成装置環境/状況に応じた、適切な強度でのバンディング補正を実現できる。
【0087】
図12は、これらの情報セット(この情報セットを、濃度補正情報319と称す)を示した図である。図12の319−4は、変換テーブル(SSD濃度変動要因−濃度補正値テーブル)である。
【0088】
図12の319−1〜3は、変換テーブル319−4の属性情報であり、それぞれ、ハーフトーン情報(319−1)、ドット再現性情報(319−2)、階調値(319−3)である。
【0089】
次に、変換テーブル319−4の特徴について説明する。変換テーブル319−4は、各SSD濃度変動要因の値と、画像情報をどれだけ濃度変化させるかの、関係を示したテーブルである。
【0090】
変換テーブル319−4の一例を図13(a)に示す。図13(a)では、SSD濃度変動要因が大(すなわち、ピッチ間隔が疎)の場合は、相対的に濃度が下がるので、濃度補正値は正の値になっている。また、SSD濃度変動要因が小(すなわち、ピッチ間隔が密)の場合は、相対的に濃度が上がるので、濃度補正値は負の値をとることを示している。
【0091】
次に、本実施例における濃度補正情報319の例について説明する。最適な変換テーブル319−4は、画像信号の階調値、ドット再現性、ハーフトーンの種類(画像処理方法の種類とも呼べる)に応じて異なる。そこで、所定の階調値319−3と、所定のドット再現性情報319−2と、ディザ種類毎の変換テーブル319−4をEEPROM315に予め保持している。図13(b)にその一例を示す。この変換テーブルにより、同じSSD濃度変動要因に対しても、そのときの状況に応じて、異なる強度の濃度補正を実現することができる。
【0092】
図13(b)では、2つのドット再現性の状態(状態1、状態2)において、8つの階調レベル(階調1、階調2、・・・、階調8)で夫々最適な変換テーブル319−4が示されている。また、最適な変換テーブル319−4は、ハーフトーンの種類に応じて異なる。従って、ハーフトーン毎に図13(b)のテーブルを持つことになる。図13(b)では、高線数のハーフトーンであるディザAと、低線数のハーフトーンであるディザBの2種類が示されている。このように、図13(b)では、ハーフトーン2種類分の状態1及び状態2の夫々に対応する2×8×2=32通りの濃度補正情報319が示されている。
【0093】
尚、各条件における変換テーブル319−4を求める方法としては以下の方法が考えられる。例えば、まず、各状態、階調、ハーフトーン毎に所定の画像を形成したときの濃度ムラを濃度センサ41で検知して、同時にSSD濃度変動要因をエンコーダ45で検知する。そして、測定した濃度ムラの逆特性とSSD濃度変動要因との関係から求めテーブル化すればよい。その他、外部の測定手段を用いて求める方法もある。また、各条件における変換テーブル319−4は、製品開発時、工場出荷時、サービス時、トナーCRG交換時、画像形成装置のキャリブレーション処理時などのタイミングで、EEPROM315に書き込まれる。
【0094】
(ハ)バンディング補正に関する処理の説明
次に画像形成中の、バンディング補正に関する処理について説明する。まず、バンディング補正と露光のタイミングについて説明する。
【0095】
図14(a)は、図11のフローチャートで説明したSSD濃度変動要因測定と、バンディング補正処理の開始から、スキャナ部24による露光のタイミングとの関係の一例を示した図である。
【0096】
図14(a)のt0はSSD濃度変動要因測定の開始時刻で、t1はバンディング補正処理の開始時刻であり、ページにおけるt2は露光開始時刻である。
【0097】
尚、露光開始時刻t2は、例えばエンジン312から通知されてくる露光開始タイミングの情報に基づいて、主制御部321で決定される。即ち、主制御部321により、露光を開始するタイミングに同期して、t2が決定されている。またこのt2はページ毎にエンジン312から通知されてくる。
【0098】
また、露光の開始タイミングは、対応する画像データのバンディング補正処理及び中間調処理が終了しているタイミングであればよく、t2を更に前のタイミングに移してもよい。その一例を図14(b)に示す。
【0099】
画像形成中の、バンディング補正に関する処理は、図4のバンディング補正部307で行われる。以下、バンディング補正部307のバンディング補正処理について、機能ブロック図及びフローチャートを用いて説明する。
【0100】
●バンディング補正部307に係る詳細機能ブロック図の説明
まず、図15の機能ブロック図を用いて処理フロー全体の概要について説明する。
【0101】
まずエンコーダ45の検出結果であるパルス信号が演算部46に入力され、演算部46は上述した図11のフローチャートの処理を実行する。
【0102】
ドット再現性解析部3071は、図9のフローチャートにより画像濃度に係る情報としてドット再現性情報を演算により求め取得する。
【0103】
変換テーブル選択部3072は、入力されたハーフトーン情報(種類)及びドット再現性情報に基づき、図13で示した複数の変換テーブルより、使用する変換テーブルを選択する。尚、変換テーブルについて、同等の機能を達成できるのであれば、テーブルの形態に限定されず、他の形態でもよい。
【0104】
SSD濃度変動要因情報演算部3073(以下演算部3073と称す)は、上述した、基準時刻t0、露光開始時刻t2、遅れ時間ΔT等を入力する。そして、演算部3073は、任意時刻tにおけるSSD濃度変動要因情報pi(pi(t))を、遅れ時間を含む各種パラメータに従い演算する。ここで特に遅れ時間ΔTについて図14を用いて少し詳しく説明する。
【0105】
遅れ時間とは、測定されたSSD濃度変動要因と濃度ムラとの時間差である。図14(c)にその一例を示す。図14(c)のSSD濃度変動要因605および濃度ムラ618との関係を求める方法について説明する。
【0106】
まずCPU314の指示によりパッチ画像生成部322が、所定の濃度のハーフトーン画像信号を生成し、中間転写ベルト27上にトナー像を形成する。このとき、画像先端の露光開始タイミングからのSSD濃度変動要因605をエンコーダ45で測定する。尚、ここでの画像先端とは、実際の画像先端を指すのではなく、画像形成可能な領域の先端を指している。また形成されたトナー像の画像先端からの濃度ムラを濃度センサ41で測定する。ここで、SSD濃度変動要因605は、露光開始タイミングを起点としている。一方、SSD濃度変動要因618は、濃度センサ41で実際にトナー像の検出が開始されるタイミングを起点としている。そして、図14ではそれら起点がグラフ上揃えられている。
【0107】
即ち、露光時においてどのようなSSD濃度変動要因の状態かを推測できれば、それに対応する濃度ムラを特定し、濃度ムラ補正を特定することができる。
【0108】
具体的に、図14では、両者の時間差、すなわち遅れ時間ΔT(位相)をCPU314が求めRAM316に保存する。そして、露光時におけるSSD濃度変動要因より、ΔT前のSSD濃度変動要因に従って濃度ムラ補正を行えばよい。
【0109】
図15の説明に戻る。濃度補正値演算部3074は、画像信号の階調値Pinを基に選択されている変換テーブルを参照し、濃度補正値ΔDを求める。濃度補正値演算部3074は、Cx、Cyのパラメータに従い、各画素毎に濃度補正値を求める。
【0110】
濃度補正部3075は、Pinの濃度D1と、求められたΔDとに基づき、補正後濃度D2を求め、濃度曲線参照部3076は濃度曲線を参照することで、それに対応した階調地Poutを求める。そして、求められたPoutは中間調処理部308へ入力される。
【0111】
●バンディング補正部307のフローチャートの説明
次に図16(a)を用いてバンディング補正部307の処理の詳細についてフローチャートを用いて説明を行う。
【0112】
ステップ203−1で、CPU314の指示でバンディング補正処理を開始し、ステップ203−2で、バンディング補正部307内における不図示の副走査カウンタ(Cy)をゼロに初期化する。また、時刻t=t2に初期化する。t2については図14で説明した通りである。
【0113】
次に、ステップ203−3で、走査ライン間の露光間隔(Δt)を計算する。ここでEEPROM315上には、感光体22Yの回転速度Vd[mm/s]と、走査ライン間隔の目標値(すなわち、SSD濃度変動要因が発生しない場合の走査ライン間隔)Δy[mm]とが保存されているとする。このとき、露光間隔Δtは、Δt=Δy/Vdの計算により求めることができる。勿論、Δtを予め記憶しておいてもよい。
【0114】
次に、ステップ203−4で、時刻tにおいて着目すべきSSD濃度変動要因情報piにおける変数iを特定する。具体的には、基準時刻t0、画像先端の露光開始時刻t2、遅れ時間ΔT、最小公倍数周期T(=T’/Vd)より特定する。ここでpiの具体的な求め方は、主制御部321が、基準時刻t0と任意の時刻tについてt´={Mod((t−ΔT)−t0,T)}を演算する。そして演算されたt´をpiのiに変換しSSD濃度変動要因情報piを特定する。図16(b)に、iとt´との対応テーブルを示す。該対応テーブルを用いてt´をpiのiに変換することができる。
【0115】
次に、ステップ203−5で、時刻tにおけるSSD濃度変動要因情報piを、主制御部321のRAM316より取得し、副走査位置yにおけるSSD濃度変動要因として変数Zに保存する。
【0116】
次に、ステップ203−6で、主走査カウンタCxをゼロに初期化する。また、ステップ203−7で、γ補正部306から出力される画像信号を受信及び参照する。尚、以下の説明では、画像信号の階調値をPinと表記する。そして、ステップ203−8で、バンディング補正部307は、ハーフトーン情報(種類)及びドット再現性情報に基づき、図13(b)で示した中から、使用する変換テーブルを選択及び参照し、該参照に基づき補正後の階調値Poutを計算する。尚、ステップ203−8の具体的な処理については、後述する。
【0117】
ステップ203−9で、主走査カウンタCxに1を加算し、ステップ203−10で、画像幅Wと主走査カウンタCxとを比較する。ステップ203−10が真の場合はステップ203−7へ進み、偽の場合はステップ203−11へ進む。尚、画像幅Wは主走査方向のドット数で規定できる。また、画像長Hは副走査方向における走査ライン数で規定できる。そしてこれら画像幅W及び後述の画像長Hはドライバ301によって予め検知されて、バンディング補正部307内の不図示のメモリ(RAM316)に格納されているとする。
【0118】
ステップ203−11では、副走査カウンタCyに1を加算し、時刻tにΔtを加算する。該加算により、図16(b)に示されるテーブルによりiを更新する。
【0119】
次に、ステップ203−12で、画像長Hと副走査カウンタCyとを比較する。ステップ203−12が真の場合はステップ203−5へ進み、偽の場合は、バンディング補正処理を終了する(ステップ203−13)。そして、バンディング補正部307は、上述した各ステップの処理を、CMYK各色について同様に行う。
【0120】
尚、以上の説明ではSSD濃度変動要因演算処理から画像形成開始まで、駆動モータ47が一定の速度で回転している場合について説明した。しかしこれに限定されない。例えば、SSD濃度変動要因演算処理において、基準時刻t0におけるホームポジションを検知し、その後画像形成開始時までのコードホイール44の回転距離(エンコーダ出力信号48のパルス数)をモニタするようにしてもよい。この場合には、図16(b)で説明したiとt’との関係を、iとコードホイール44の回転量(パルス数)との対応に置き換え、piを特定するようにすればよい。このように、距離をパラメータにした場合でも、画像形成開始時及び画像形成中のSSD濃度変動要因の位相(pi)を特定することができる。
【0121】
●階調値計算処理(ステップ203−8)の説明
続いて、図16のステップ203−8における、階調値の補間計算処理について図17を用いて説明する。
【0122】
ステップ204−1で、階調値計算処理が開始されると、ステップ204−2で、RAM316上の濃度補正情報319から、階調値319−3がPinから負の方向に最も近い階調値を検索し、変数P1に保存する。ここで負の方向とは、階調値を小さくする方向である。
【0123】
次に、ステップ204−3で、ステップ204−2で求めた、変数P1に保存された階調値の変換テーブル319−4を参照して、SSD濃度変動要因Zにおける濃度補正値を求めて、変数ΔD1に保存する。
【0124】
次に、ステップ204−4で、階調値PinとP1とを比較する。ステップ204−4の判断が真の場合、ステップ204−5へ進む。一方、ステップ204−4の判断が偽の場合、階調値PinとP1とが等しくΔD1そのものが補正値として採用されるので、ステップ204−11へ進む。ステップ204−11では、濃度補正値を表す変数ΔDに、ΔD1を代入して、ステップ204−8へ進む。
【0125】
ステップ204−5では、RAM316上の濃度補正情報319のうち、階調値319−3がPinから正の方向に最も近い階調値を検索し、変数P2に保存する。
【0126】
次に、ステップ204−6では、ステップ204−5で求めた濃度補正情報319に属した変換テーブル319−4を参照して、SSD濃度変動要因Zにおける濃度補正値を求めて、変数ΔD2に保存する。
【0127】
次に、ステップ204−7で、濃度補正値ΔDを、ΔD=ΔD’(Pin−P1)+ΔD1(ただし ΔD’=(ΔD2−ΔD1)/(P2−P1))の補間計算により求める。
【0128】
次に、ステップ204−8で、濃度曲線610を参照し、Pinにおける濃度D1を求める。尚、濃度曲線602、615等も、610と同様の濃度曲線である。次に、ステップ204−9で、バンディング補正後の濃度D2を、D2=(D1+ΔD)の計算により求める。次に、204−10で、濃度曲線610を参照し、濃度D2における階調値、すなわちバンディング補正後の階調値Poutを求めて、ステップ204−12で、階調値の補間計算処理を終了する。
【0129】
次に、図17で説明してきた各変数の関係について、図18を用いて説明する。図18は、図17で示した階調値計算処理で利用した各変数およびテーブルの関係を示した図である。
【0130】
図18(a)の611は、階調値P1における変換テーブル319−4(ステップ204−2で選択)を示しており、図18(a)の612は、階調値P2における変換テーブル319−4(ステップ204−5で選択)を示している。図18(a)に示すZ、ΔD1、ΔD2は、それぞれ、図17におけるSSD濃度変動要因Z、濃度補正値ΔD1、濃度補正値ΔD2に対応している。図18(a)のΔDは、例としてPin=(P1+P2)/2である場合に、図17のステップ204−7で示した補間計算によって求めた濃度補正値ΔDを図示している。図18(b)は、濃度曲線610と図17における階調値Pin、Pout、濃度補正値ΔD、濃度Pin、濃度Poutとの関係を示した図である。
【0131】
尚、以上においては、特定の色に対する処理を記述したが、実際にはCMYK全色について同様の処理を行う。また、本実施例では、2つの周期T1およびT2のSSD濃度変動要因が発生した場合について説明したが、着目する周期はこれに限定されない。周期T1、T2に係らず他の複数或いは単数の周期であってもよい。また着目する周期として人間の目の視覚特性を加味し、視覚的に敏感な周波数を重点的に補正の対象とすることで効果的に上記実施を行える。更に、所定のレベル以上の変化振幅を持つSSD濃度変動要因のみに着目することでも効果的に上記実施を行える。
【0132】
また、本実施例では、ドット再現性の状態数を2つとして説明したが、実際には3つ以上の状態を定義して同様に処理することができる。また、本実施例ではγ補正テーブルの類似度を求める方法の一例として、参照データと測定データとの平均距離を利用したが、その他の方法で比較してもよい。例えば、平均距離を求める時に階調毎に重みをつけて類似度を求めたり、テーブルの傾きを求めたり、テーブルの任意の特徴量を求める等の方法がある。
【0133】
また、本実施例では、階調毎に持つ変換テーブルの数を8つとして説明したが、実際にはこれと異なる数であってもよい。また、本実施例では、2つのハーフトーン毎に変換テーブルを持つ場合について説明したが、これに限定しない。また、本実施例では、予め保持する変換テーブルについて(ドット再現性の状態数)×(階調数)×(ハーフトーンの数)通りすべての情報を保持するとして説明したが、これに限定しない。例えば、バンディングが目立ちにくいハーフトーン(例えば、低線数のハーフトーン)における変換テーブルについて、他の条件(ドット再現性の状態数や階調数)を減らす等をしてもよい。また、特定のハーフトーンについてのみ、バンディング補正を行ってもよい。
【0134】
●効果の説明
以上、説明してきたように、上記実施例によれば、わざわざその都度SSD濃度変動要因と同様の形をした濃度変動を、専用のパッチを形成しなくとも、その都度の状況に適応したバンディング補正を行える。また、トナー浪費の抑止効果を得ることもできる。また、上記濃度変動が微小な場合でも予め外部の測定器で濃度変動を測定し、変換テーブルを作成しておくことで、より高精度にバンディング補正を行うことができる。また、画像形成装置本体に、先の外部の測定器のような、高精度検出を可能にする濃度センサを設置することも不要となる。
【0135】
また、例えば、外部のコンピュータ及びスキャナを別途用意し、実際に印字した画像のバンディング状態を解析し、それを画像形成装置側にフィードバックするなどの手法も考えられるが、その手法ではユーザ利便性に欠ける。これに対して上記実施例1では、そのような必要がなく、適切なバンディング補正を行えるので、ユーザビリティも優れている。
【実施例2】
【0136】
上述の実施例では、ドット再現性情報取得処理において、Dhalf制御より求められた測定γ補正テーブルと参照γ補正テーブルとの形状類似性を利用しドット再現性を求める場合について示した。本実施例2では、中間転写ベルト27上に形成された微小ドットからなる所定の簡易パッチ画像の直流的な濃度(以下DC濃度とも呼ぶ)に応じて、ドット再現性を求める方法について説明する。即ち、実施例2において、濃度変動の強度を間接的に示す間接濃度変動情報として簡易パッチ画像の濃度情報を採用した場合を説明する。尚、DC濃度について、例えば図14(c)や、ステップ202−8で得られた逆フーリエ変換後のSSD濃度変動要因に起因して生じ得る交流的な濃度変動はそれに該当しない。画像形成装置の印字部の構成、及びドット再現性情報取得処理以外の処理は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0137】
<ドット再現性情報取得処理>
実施例2における、ドット再現性情報取得処理について、図19を用いて説明する。概要としては、ドット再現性情報取得処理で、検出されたパッチ画像のDC濃度に対して、予め設定された濃度のうち、最も近い濃度に対応して設定されたドット再現性を選択するというものである。
【0138】
●濃度パッチ検知処理の説明
濃度パッチを形成して濃度を検知する方法について説明する。まずエンジン312は現像バイアスを、予め定められた値に設定する。次に、入力された図19の613の画像信号に対してγ補正部306、中間調処理部308は、画像処理を施す。そして、PWM処理部309は、画像処理後の画像信号に従いパルス幅変調を行い、そのデータをレーザ駆動部310へ出力する。レーザ駆動部310は入力されたデータに従いスキャナ部24を駆動し、感光ドラム22上に静電潜像を形成し、図1で説明した電子写真プロセスを介して中間転写ベルト27上にパッチ画像を形成する。尚、パッチ画像を出力するときは、図6(b)の601で示すスルーのγ補正テーブルを用いる。また、中間調処理部308は、不図示の信号切替手段により、バンディング補正処理部307で処理されていない画像信号317が入力される。中間転写ベルト27上に形成されたパッチ画像は濃度センサ41によって濃度を検知される。
【0139】
尚、図19で示した濃度パッチ613は一例である。パッチ画像は、画像形成装置の作動環境(温度や湿度)や、画像形成装置本体、カートリッジの消耗/劣化に応じて濃度が変化しやすい画像(例えば、微小ドットを多く含む画像)を選択的に利用することが好ましい。
【0140】
●各ドット再現性における濃度情報
各ドット再現性における濃度情報について説明する。図20は、3つのドット再現性(状態1、状態2、状態3)における、前述した濃度パッチ検知処理によって測定されたパッチ画像613の濃度を示している。図20の情報は、予めEEPROM315に保存されており、後述するドット再現性情報取得処理で参照するために利用される。
【0141】
●ドット再現性情報取得処理フロー
ドット再現性情報取得処理の流れについて説明する。まず、パッチ画像613を前述した濃度パッチ検知処理によって測定する。次に、EEPROM315に記憶された参照情報(図20)のうち、濃度の値が最も近いドット再現性を選択して、RAM316上にドット再現性情報として結果を保存する。例えば、測定した濃度と最も近い参照情報がd2の場合、ドット再現性情報は「状態2」である。尚、実施例2では、変換テーブルの選択について、ハーフトンの種類に関する説明を省略している。しかしながら、実施例1と同様に、変換テーブルの選択にあたっては、ドット再現性情報に加えハーフトーンの種類も加味されるものとする。
【0142】
●ドット再現性情報取得処理の実施タイミング
本実施例の画像形成装置はエンジン電源投入後および所定の印字枚数印字すると、ドット再現性情報取得処理を行う。
【実施例3】
【0143】
実施例1では、図9のフローチャートにより、現在保持しているγ補正テーブルの形状がどのタイプの参照γ補正テーブルに近いかを調べることでドット再現性情報を取得(推定)した。そして、取得されたドット再現性情報に従う変換テーブルを参照し、SSD濃度変動要因に対するバンディング補正値の強度を決めていた。また実施例2では、図19に示されるような簡易的なパッチの検出濃度に応じて、ドット再現性情報を取得するよう説明してきた。本実施例3では、このドット再現性情報の取得について、更なる別の形態を説明する。
【0144】
実施例3では、実施例2のようにパッチ画像を検出するのではなく、画像形成装置の作動環境(温度や湿度)や、画像形成装置本体、カートリッジの消耗/劣化度合い等を示す稼動状況から、変換テーブルを推定する。
【0145】
具体的に説明すると、まず、主制御部321(CPU314)は、画像形成装置の作動環境(温度や湿度)を、環境センサ(不図示)により検出し、検出結果に相当する作動環境情報を取得する。また、主制御部321(CPU314)は、例えば画像形成装置本体又はカートリッジについての印字枚数/稼動時間/通電時間/感光ドラム22の回転数等の情報を、画像形成装置本体、カートリッジの消耗/劣化を示す稼動状況情報として取得する。
【0146】
そして、主制御部321は、得られた上記作動環境を示す情報や、上記消耗/劣化を示す情報に従って、仮に図19に示されるようなパッチを形成した場合に濃度センサにて検出されるDC濃度を予測演算する。
【0147】
濃度が予測されると、予測演算された濃度と図20の参照情報とに基づき、適切なドット再現性情報を選択する。そして、画像形成装置は、以後は選択されたドット再現性情報に従い実施例1と同様の処理を実行するが、ここでの詳細な説明は省略する。また尚、実施例3でも実施例2と同様に、変換テーブルの選択について、ハーフトンの種類に関する説明を省略している。しかしながら、実施例1と同様に、変換テーブルの選択にあたっては、ドット再現性情報に加えハーフトーンの種類も加味されるものとする。
【実施例4】
【0148】
上述の各実施例においては、トナー像を担持する像担持体に中間転写ベルト27を適用し、トナー像を像担持体上或いは転写材上に形成する為の回転体に感光ドラム22を適用した場合を説明した。しかしながら、この形態に限定されるものではない。
【0149】
例えば、トナー像を担持する像担持体に中間転写ベルト27を適用した場合に、上記回転体に、感光ドラム22に現像剤を供給する現像ローラ23や、エンドレスベルトを回転駆動させるベルト駆動ローラ40を適用してもよい。また、感光ドラム22を回転させる為のモータ、或いは現像ローラ23を回転させる為のモータ、或いはベルト駆動ローラ40を回転させる為のモータを適用してもよい。また、その他のトナー像を形成する為の回転体を適用してもよい。
【0150】
また、トナー像を担持する像担持体に感光ドラム22を適用した場合には、上記回転体として感光ドラムを回転させる為のモータ、或いは感光ドラム22に現像剤を供給する現像ローラを回転させる為のモータを適用してもよい。
【0151】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0152】
また、上述の説明における変換テーブルやγ補正テーブルや参照γ補正テーブルなどの機能については、その方式をテーブル方式に限定するものではない。同様の機能を達成できれば例えば計算方式などにしてもよい。
【符号の説明】
【0153】
22 感光ドラム
42 回転軸
43 減速ギア
44 コードホイール
45 エンコーダ
47 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に画像情報に基づくトナー像を形成する為の回転体と、前記回転体に係る画像の副走査方向における濃度変動の要因情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得された前記濃度変動の要因情報に応じて画像情報を補正する補正手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記濃度変動の強度を間接的に示す間接濃度変動情報を取得する第2取得手段を備え、
前記補正手段は、前記濃度変動の要因情報に応じた前記画像情報の補正強度を、形成されたトナー像から前記濃度変動の要因情報に応じた濃度変動の強度を検出することで設定することなく、前記間接濃度変動情報に基づき、設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記間接濃度変動情報は、前記濃度変動の要因の変化の周波数性に応じた特性を有さないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正手段は、予め定められた画像情報の複数の階調値と前記濃度変動の要因情報との関係から、入力された画像情報の階調値における画像情報の補正強度を補間する補間手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記間接濃度変動情報は、入力された画像の濃度を補正する為の濃度補正テーブルの情報を示すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転体を回転させ前記像担持体上にパッチを形成させるパッチ形成指示手段と、
前記像担持体上に形成されたパッチに光を照射し、前記パッチからの反射光を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき、前記濃度補正テーブルを設定する設定手段と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記間接濃度変動情報は、直流的な濃度情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記間接濃度変動情報は、画像形成装置に係る作動環境を示す情報、或いは画像形成装置に係る稼動状況を示すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記間接濃度変動情報は、画像処理方法の種類を示す情報であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体はトナー像を担持するベルトであり、前記回転体は前記像担持体上に転写されるトナー像を形成する感光ドラム、或いは前記感光ドラムに現像剤を供給する現像ローラ、或いは前記ベルトを回転駆動させるベルト駆動ローラ、或いは前記感光ドラムを回転させる為のモータ、或いは前記現像ローラを回転させる為のモータ、或いは前記ベルト駆動ローラを回転させる為のモータであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体は感光ドラムであり、前記回転体は前記感光ドラムを回転させる為のモータ、或いは前記感光ドラムに現像剤を供給する現像ローラを回転させる為のモータであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録紙上に画像情報に基づくトナー像を形成する為の回転体と、前記回転体に係る画像の副走査方向における濃度変動の要因情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段により取得された前記濃度変動の要因情報に応じて画像情報を補正する補正手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記濃度変動の強度を間接的に示す間接濃度変動情報を取得する第2取得手段を備え、
前記補正手段は、前記濃度変動の要因情報に応じた前記画像情報の補正強度を、形成されたトナー像から前記濃度変動の要因情報に応じた濃度変動の強度を検出することで設定することなく、前記間接濃度変動情報に基づき、設定することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−215340(P2011−215340A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82808(P2010−82808)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】