説明

画像形成装置

【課題】大容量のトナー容器を有し上下方向に個々に着脱できる複数の画像形成ユニットを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ユニット7(7M、7C、7Y、7K)において隣接する画像形成ユニット7のトナー容器8とトナー容器8との間には極く狭い第1の隙間dが形成され、隣接のトナー容器8同士は接触しない程度に可及的に近接し且つ大型化して配設される。隣接する画像形成ユニット7のドラムキット44と現像キット45との間には光書込ヘッド13(13b)の寸法eよりも大きな第2の間隔fが形成され、光書込ヘッド13(13a、13b)は画像形成ユニット7の着脱の際のドラムキット44の上下移動を妨げないように感光体ドラム9上の記録位置(13aの位置)と第2の間隙fの退避位置(13bの位置)との間をヘッド回動支持腕50に支持されて両方向矢印cで示すように横方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量のトナー容器を有し上下方向に個々に着脱できる複数の画像形成ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式で画像を形成する4個の画像形成ユニットが順次多段式に並設されて構成された画像形成装置がある。この画像形成装置は、感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
そのような画像形成装置の例としては、給紙カセットから給紙される用紙が前方向から後方向へ反転して搬送され、直接転写方式でトナー像を転写された用紙が用紙搬送方向下流となる本体装置後方に配置されている定着部で定着され、定着後の用紙が前方向に反転して排紙されるいわゆるS字型の通紙方式を採用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、この特許文献1に示される画像形成装置は、用紙を本体装置の前方から後方へ通紙しながらの直接転写方式で画像形成するので、用紙のジャム時には、ドラムキットと現像キットで構成される画像形成ユニットを通紙路から除去しなければならない構成になっている。
【0005】
画像形成ユニットを本体装置から着脱するときは上下方向に行うので、画像形成ユニットを本体装置から取り外す前に、ドラムキットの上に配置されている光書込ヘッドを先に異動させる必要がある。そこで、上面カバーに固定のヘッド支持部で吊り下げ式に光書込ヘッドを保持し、後方ヒンジを支点にした上面カバーの回動式の開閉にあわせて光書込ヘッドを上下に移動させている。
【0006】
そのため、光書込ヘッドの上方には光書込ヘッドの上下移動のための通路空間を設けておく必要があり、その分、現像キットのトナー容器のための空間が狭くなっている。このように内部空間の有効活用ができないという問題がある。
【0007】
また、本体装置の後面に所謂フェースアップ排紙部を形成されているので、それを活用する際に排紙トレーを取り付けるための空間が必要であり、前後に長い設置面積を必要として使い勝手が良くないという問題もあった。特に、定着部が本体装置の後方に配置されているので、定着部で用紙ジャムが発生したとき保守作業がしにくいという問題もあった。
【0008】
このような問題を解決するために、本体装置の左右方向を前後方向となるように変更して、給紙カセットから給紙される用紙が右方向から左方向へ反転して搬送され、直接転写方式でトナー像を転写された用紙が、用紙搬送方向下流となる本体装置左方に配置されている定着部で定着され、定着後の用紙が右方向に反転して排紙されるS字型の通紙方式を採用したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
この場合も、用紙のジャム時には、ドラムキットと現像キットで構成される画像形成ユニットを通紙路から除去しなければならないが、この例では、前扉を開けると通紙路が全て見通せることと、上面排紙トレーを形成された上部分離フレームに画像形成ユニットと光書込ヘッドを一括保持したまま上に取り出すので通紙路ジャムの保守作業は容易である。
【0010】
また、給紙側で生じたジャム処理が側面からの処理となるので面倒な点を除くと、高熱を出す定着部でのジャム処理が容易であるという利点がある。また、フェースアップ排紙部が左側面になるので取り扱いが容易である。また、光書込ヘッドの上方に空間が必要なく空間を有効に利用してトナー容器の容量を大きくできる。
【0011】
このように種々の改良点を見出すことができるが、上部分離フレームによって画像形成ユニットと光書込ヘッドを持ち上げるため、強大なバネとリンク機構を必要とし、本体装置の内部機構が複雑で大型化するという問題があった。
【0012】
そこで、4個の画像形成ユニットが順次多段式に並設されて構成される点に変わりはないが、その他の構成を大幅に変更し、通紙経路を極力短くするために二次転写方式を採用し、給紙カセットから給紙された用紙は給紙直後から垂直に搬送されて、トナー像を二次転写され、定着され、上面排紙トレーに排紙される方式のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
通紙路と定着装置の用紙ジャムは本体装置の右側面でしか発生しないので、用紙ジャム時には両面印刷装置ごと側面カバーを下端のヒンジを支点にして回動開放し、復元の保守作業を行うので用紙ジャムの復元保守作業が容易である。
【0014】
画像形成ユニットの着脱は、正面扉を開けて正面から光書込ヘッドの長手方向、つまり正面手前方向へ行う。したがって機構関連の部品が削減されて価格の引き下げが可能となる。また、光書込ヘッドの上方の空間を有効活用できる。また、フェースアップ排紙を必要とするときは、両面印刷装置を用いて上面排紙トレーに排紙するので問題はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−076601号公報(06−0228)
【特許文献2】特開2008−162030号公報(06−1013)
【特許文献3】特開2008−309931号公報(06−1800)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、種々の問題を解決したかに見える特許文献3の従来技術も、ユニット類の着脱を全て前扉を開けた前方向としているために、本体装置の設置前方向に広い作業スペースが必要となるという新たな課題が生じている。
【0017】
また、光書込ヘッドの上方の空間を有効活用できるとはいっても、ユニット類の着脱を全て前扉を開けた前方向に行うために、各ユニット類にスライド式の保持部材を備える必要があり、必ずしも光書込ヘッドの上方の空間を有効活用しているとは言い切れない点が課題として残されている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、第1、第2、第3及び第4と順次多段式に並設され、ドラムキットと現像キットから成る画像形成ユニットと、上記ドラムキットの上部に近接する記録位置に配置される光書込ヘッドとを備えた画画像形成装置において、上記第1の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器と上記第2の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、上記第2の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器と上記第3の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、及び上記第3の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器と上記第4の画像形成ユニットの上記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、にそれぞれ形成された隣接の上記トナー容器が接触しない程度に近接する第1の隙間と、上記第1の画像形成ユニットの上記ドラムキットと上記第2の画像形成ユニットの上記現像キットとの間、上記第2の画像形成ユニットの上記ドラムキットと上記第3の画像形成ユニットの上記現像キットとの間、上記第3の画像形成ユニットの上記ドラムキットと上記第4の画像形成ユニットの上記現像キットとの間、及び上記第4の画像形成ユニットの上記ドラムキットと本体装置の側面内壁との間、にそれぞれ形成された上記光書込ヘッドの寸法よりも大きな第2の間隔と、上記画像形成ユニットが上記本体装置から上方へ取り出される前に上記光書込ヘッドを上記記録位置から上記第2の間隙に移動させ、取り出された上記画像形成ユニットが上方から上記記録位置に復帰した後に上記光書込ヘッドを上記第2の間隙から上記記録位置に復帰させるヘッド回動支持腕と、を有して構成される。
【0019】
この画像形成装置において、例えば、上記ヘッド回動支持腕は、上記トナー容器の側面と上記本体装置の他の側面内壁との間を通り上記本体装置の上下に延在する取っ手付きシャフトの下端部に連結され、上記取っ手付きシャフトの上下動に連動して上記光書込ヘッドを上記記録位置又は上記第2の間隙に移動させるように構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光書込ヘッドをドラムキットの上から横に移動させて画像形成ユニットを個々に上下方向に取り出すので、作業に必要な画像形成ユニットだけを取り出すことができて便利であるという効果を奏する。
【0021】
また、画像形成ユニットを上下方向に取り出すので、スライド式の支持部が必要なく、空き空間を利用して隣接するトナー容器同士を接触しない程度に近接して配置できるので、トナー容器を可及的に大型化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラー画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係るプリンタの画像形成ユニット及び光書込ヘッドの位置関係を説明する図である。
【図3】本発明の実施例1に係るプリンタの画像形成ユニットの着脱時における光書込ヘッドの具体的な動作機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラー画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【0025】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、ベルトユニット3、給紙部4、ベルト式定着装置5、及び両面印刷用搬送ユニット6で構成されている。
【0026】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ第1、第2、第3及び第4のユニットである4個の画像形成ユニット7(7M、7C、7Y、7K)を多段式に並設した構成からなる。
【0027】
上記4個の画像形成ユニット7のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット7M、7C及び7Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット7Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0028】
上記の各画像形成ユニット7は、トナー容器(トナーカートリッジ)8に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット7Kを例にして画像形成ユニット7の構成を説明する。
【0029】
画像形成ユニット7は、最下部に感光体ドラム9を備えている。この感光体ドラム9は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム9の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0030】
現像器14は、上部に連設されるトナー容器8に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、トナー容器8との連設部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0031】
また、現像器14の下部には側面開口部に上述した現像ローラ15を備え、内部にはトナー撹拌部材、現像ローラ15にトナーを供給するトナー供給ローラ16、現像ローラ15上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0032】
ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の中間転写ベルト17と、この中間転写ベルト17を掛け渡されて中間転写ベルト17を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ18と従動ローラ19を備えている。
【0033】
上記の中間転写ベルト17は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送する。
【0034】
このベルトユニット3は、上記扁平なループ状の中間転写ベルト17のループ内に、不図示のベルト位置制御機構を備えている。ベルト位置制御機構は、中間転写ベルト17を介して感光体ドラム9の下部周面を押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ21を備えている。
【0035】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット7M、7C及び7Yに対応する3個の一次転写ローラ21を不図示の鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0036】
そして、ベルト位置制御機構は、ブラック(K)の画像形成ユニット7Kに対応する1個の一次転写ローラ21を上記3個の一次転写ローラ21の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて中間転写ベルト17を感光体ドラム9から離接させる。
【0037】
すなわち、ベルト位置制御機構は、ベルトユニット3の中間転写ベルト17の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ21が中間転写ベルト17に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット7Kに対応する一次転写ローラ21のみが中間転写ベルト17に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ21が中間転写ベルト17から離れる)に切換える。
【0038】
上記のベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最下流側の画像形成ユニット7Kの更に下流側にベルト面センサ24が配置されている。また、最上流側の画像形成ユニット7Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニット22が配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器23が着脱自在に配置されている。
【0039】
ベルトクリーナユニット22は、中間転写ベルト17の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去して、図示を省略した一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器23に送り込んでいる。
【0040】
給紙部4は、上下2段に配置された小幅用紙用と大幅用紙用の2個の給紙カセット25(25a、25b)を備え、2個の給紙カセット25の給紙口(図の右方)近傍に、それぞれ用紙取出ローラ26、給送ローラ27、捌きローラ28を備え、それより下流側に用紙搬送方向を上に向けて配置された待機搬送ローラ対29を備えている。
【0041】
待機搬送ローラ対29の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、中間転写ベルト17を介して従動ローラ19に圧接する二次転写ローラ31が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0042】
この二次転写部の下流(図では上方)側に続く用紙搬送路32には、未定着のトナー像を損傷しないように用紙の裏面を二次転写部の搬送力に抗しない程度の強さで吸着する吸着部33が配置されている。
【0043】
この用紙搬送路32の下流にベルト式定着装置5が配置されている。ベルト式定着装置5は2個の加熱・加圧ローラ34(34a、34b)が定着ベルト35(35a、35b)を介して相互に圧接し、ここに定着部を形成している。
【0044】
定着ベルト35は、ヒータを内蔵した発熱ローラ36(36a、36b)と加熱・加圧ローラ34との間に掛け渡され、発熱ローラ36から受けた熱を加熱・加圧ローラ34に伝達するとともに、加熱・加圧ローラ34と協働して、定着部に搬入されてくる用紙のトナー像を加熱する。
【0045】
ベルト式定着装置5の更に下流側には、トナー像定着後の用紙をベルト式定着装置5から搬出する搬出ローラ対37、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー38に排紙する排紙ローラ対39が配設されている。
【0046】
両面印刷用搬送ユニット6は、上記搬出ローラ対37と排紙ローラ対39との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路41a、それから下方に曲がって鉛直に延在する中間返送路41b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路41c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対42a、42b、42c、42dを備えている。
【0047】
上記終端返送路41cの出口は、給紙部4の上方の給紙カセット25aに対応する待機搬送ローラ対29への搬送路に連絡している。この終端返送路41cの出口から待機搬送ローラ対29までに至る搬送路には他の返送ローラ対43が配置されている。
【0048】
このプリンタ1は、図に示す右側が本体装置の前であり左側が後である。給紙部4の給紙カセット25は本体装置の前から矢印a方向に挿抜されて着脱される。また、用紙は本体装置の右側端面に配置されている両面印刷用搬送ユニット6の内側に沿ってほぼ垂直上方に搬送される。
【0049】
したがって、給紙、二次転写、定着、排紙の動作時に用紙ジャムが発生するとすれば、用紙ジャムは全て両面印刷用搬送ユニット6の内側に沿った位置で発生する。用紙ジャムが発生したときは、前扉を兼用する両面印刷用搬送ユニット6を矢印bのように回動させ破線6´の位置まで開くことによって保守作業が可能である。
【0050】
また、画像形成ユニット7は、規定の寿命に達すると、新品と交換される消耗品であり、ドラムキット44と、現像キット45とが、着脱自在にユニットフレームに一体に組み付けられて構成されている。
【0051】
ドラムキット44は、感光体ドラム9、クリーナ11、帯電ローラ12等が、ドラムキットフレームに一体に組み付けられて構成されている。現像キット45は、現像ローラ15、トナー供給ローラ16、ドクターブレード等を備えた現像器14及びこの現像器14の上に連設されるトナー容器8等が現像キットフレームに一体に組み付けられて構成されている。
【0052】
この画像形成ユニット7は、特には図示しないが、本体装置の前後内壁に設けられているガイド溝に対し上下方向に着脱可能に係合する。本体装置に装着されたときは、ガイド溝によって位置決めされ、不図示の固定部材に係止して本体装置に固定される。
【0053】
図2は、上記画像形成ユニット7及び光書込ヘッド13の位置関係を説明する図である。尚、図2には、第1、第2、第3の画像形成ユニット7(7M、7C、7Y、但し第3の画像形成ユニット7Yは右1/2のみ)を、光書込ヘッド13、中間転写ベルト17、ベルトクリーナユニット22等とともに示している。
【0054】
図2に示すように、第1、第2、第3及び第4の画像形成ユニット7において、隣接する画像形成ユニット7の現像キット45の上部に連設されたトナー容器8とトナー容器8との間には、隣接のトナー容器8が接触しない程度に近接する第1の隙間dが形成されている。換言すれば、隣接のトナー容器8とトナー容器8とは、接触しない程度に可及的に近接して配設されている。
【0055】
そして、隣接する画像形成ユニット7のドラムキット44と現像キット45との間には、光書込ヘッド13(13b参照)の寸法eよりも大きな第2の間隔fが形成されている。尚、図外の第4の画像形成ユニット7Kのドラムキット44の横には隣接の画像形成ユニットの現像キットが無く、代わって本体装置の側面内壁が位置しており(図1参照)、ここに第2の間隔fが形成されている(ベルト面センサ24の上方)。
【0056】
光書込ヘッド13(13a、13b)は、画像形成ユニット7の着脱の際のドラムキット44の上下移動を妨げないように、感光体ドラム9に静電潜像を形成する記録位置(光書込ヘッド13aの位置)と第2の間隙fの退避位置(光書込ヘッド13bの位置)との間を、両方向矢印cで示すように、横方向に移動する。
【0057】
すなわち、画像形成ユニット7の着脱に際しては、光書込ヘッド13は、画像形成ユニット7が本体装置から上方へ取り出される前に、記録位置から退避位置に移動する。そして、光書込ヘッド13は、取り出された画像形成ユニット7が上方から記録位置に復帰した後に、第2の間隙fの退避位置から感光体ドラム上面の記録位置に復帰する。
【0058】
図3は、画像形成ユニット7の着脱時において、光書込ヘッド13が上述したように動作するための具体的な動作機構を説明する図である。尚、図3には、代表的に第2の画像形成ユニット7Cを中心にして、中間転写ベルト17や一次転写ローラ21とともに示している。
【0059】
図3に示すように、トナー容器8の側面と本体装置の側面内壁(図3の手前側と向う側、但し図示は省略)との間をそれぞれ通り、本体装置の上下に延在して、取っ手付きシャフト46が配設されている。
【0060】
取っ手付きシャフト46の上端部には取っ手47が取り付けられており、取っ手付きシャフト46の下端部にはヒンジ48を介して連結棒49の一端が係合している。連結棒49の他端は、回動支点51を介してヘッド回動支持腕50の下端部に係合している。そして、ヘッド回動支持腕50は、その上端部により支持軸52を介して光書込ヘッド13(13a、13b)を支持している。
【0061】
ユーザが画像形成ユニット7を交換する際は、ユーザは先ず取っ手47を、上下方向矢印gで示す上方向に、取っ手47を破線47´で示す位置まで引き上げる。この引き上げに伴われて取っ手付きシャフト46が上昇する。
【0062】
この取っ手付きシャフト46の上昇に応じて、取っ手付きシャフト46の下端部にヒンジ48を介して連結する連結棒49が、両方向円弧矢印hで示す反時計回り方向に、回動支点51を支点にして破線49´で示す位置まで回動する。
【0063】
この連結棒49の回動に伴われて、回動支点51を介して連結棒49と一体なヘッド回動支持腕50が、支持軸52を介して光書込ヘッド13aを支持して、両方向円弧矢印iで示す反時計回り方向に、破線50´で示す位置まで回動する。
【0064】
この回動により、記録位置に在った光書込ヘッド13aが、退避位置である第2の間隙f(図2参照)の光書込ヘッド13bの位置に移動する。これで、ドラムキット44の上への移動を妨げる部材が除去されたことにより、ユーザは画像形成ユニット7Cを矢印jで示すように、上に引き出すことができる。
【0065】
それと交換にユーザが新品の画像形成ユニット7Cを装着するときは、先に引き出した画像形成ユニット7Cの後へ、上から下へ、矢印jで示す反対方向に、新品の画像形成ユニット7Cを装着する。
【0066】
その後、破線47´の位置にある取っ手47を、上下方向矢印gで示す下方向に、実線で示す位置まで押し下げる。取っ手付きシャフト46が降下し、その下端部に係合する連結棒49が、破線49´で示す位置から、両方向円弧矢印hで示す時計回り方向に、実線位置で回動する。
【0067】
この回動により、ヘッド回動支持腕50が、支持軸52を介して光書込ヘッド13bを支持して、破線50´で示す位置から、両方向円弧矢印iで示す時計回り方向に、実線位置まで回動する。
【0068】
この回動により、退避位置にあった光書込ヘッド13bが、記録位置である光書込ヘッド13aの位置に移動する。これで、ドラムキット44の上の記録位置に光書込ヘッド13aが位置固定され、感光体ドラム9に対する露光による記録の再開が可能となる。
【0069】
上述した画像形成ユニット7の着脱は、上記の例では代表的に第2の画像形成ユニット7Cを中心にして述べたが、他の第1、第3、第4の画像形成ユニット7M、7Y、7Kについても全く同様である。
【0070】
このように本発明の実施例によれば、光書込ヘッド13をドラムキット44の上から横に移動させて画像形成ユニット7を個々に上下方向に取り出すので、作業に必要な画像形成ユニット7だけを取り出すことができて便利であるという効果を奏する。
【0071】
また、画像形成ユニット7を上下方向に取り出すので、横方向に取り出すためのスライド式の支持部が必要なく、空き空間を利用して隣接するトナー容器8同士を接触しない程度に近接して配置できるので、トナー容器8を可及的に大型化することができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、大容量のトナー容器を備え上下方向に個々に着脱できる複数の画像形成ユニットを有する画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 プリンタ
2 画像形成部
3 ベルトユニット
4 給紙部
5 ベルト式定着装置
6 両面印刷用搬送ユニット
7(7M、7C、7Y、7K) 画像形成ユニット
8 トナー容器(トナーカートリッジ)
9 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 トナー供給ローラ
17 中間転写ベルト
18 駆動ローラ
19 従動ローラ
21 一次転写ローラ
22 ベルトクリーナユニット
23 廃トナー回収容器
24 ベルト面センサ
25(25a、25b) 給紙カセット
26 用紙取出ローラ
27 給送ローラ
28 捌きローラ
29 待機搬送ローラ対
31 二次転写ローラ
32 用紙搬送路
33 吸着部
34(34a、34b) 加熱・加圧ローラ
35(35a、35b) 定着ベルト
36(36a、36b) 発熱ローラ
37 搬出ローラ対
38 排紙トレー
39 排紙ローラ対
41a 開始返送路
41b 中間返送路
41c 終端返送路
42a、42b、42c、42d 返送ローラ対
43 他の返送ローラ対
44 ドラムキット
45 現像キット
d 第1の隙間
e 光書込ヘッドの寸法
f 第2の間隔
46 取っ手付きシャフト
47 取っ手
48 ヒンジ
49 連結棒
50 ヘッド回動支持腕
51 回動支点
52 支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2、第3及び第4と順次多段式に並設され、ドラムキットと現像キットから成る画像形成ユニットと、前記ドラムキットの上部に近接する記録位置に配置される光書込ヘッドとを備えた画画像形成装置において、
前記第1の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器と前記第2の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、前記第2の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器と前記第3の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、及び前記第3の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器と前記第4の画像形成ユニットの前記現像キットの上部に連設されたトナー容器との間、にそれぞれ形成された隣接の前記トナー容器が接触しない程度に近接する第1の隙間と、
前記第1の画像形成ユニットの前記ドラムキットと前記第2の画像形成ユニットの前記現像キットとの間、前記第2の画像形成ユニットの前記ドラムキットと前記第3の画像形成ユニットの前記現像キットとの間、前記第3の画像形成ユニットの前記ドラムキットと前記第4の画像形成ユニットの前記現像キットとの間、及び前記第4の画像形成ユニットの前記ドラムキットと本体装置の側面内壁との間、にそれぞれ形成された前記光書込ヘッドの寸法よりも大きな第2の間隔と、
前記画像形成ユニットが前記本体装置から上方へ取り出される前に前記光書込ヘッドを前記記録位置から前記第2の間隙に移動させ、取り出された前記画像形成ユニットが上方から前記記録位置に復帰した後に前記光書込ヘッドを前記第2の間隙から前記記録位置に復帰させるヘッド回動支持腕と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ヘッド回動支持腕は、前記トナー容器の側面と前記本体装置の他の側面内壁との間を通り前記本体装置の上下に延在する取っ手付きシャフトの下端部に連結され、前記取っ手シャフトの上下動に連動して前記光書込ヘッドを前記記録位置又は前記第2の間隙に移動させる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−22331(P2011−22331A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166970(P2009−166970)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】