説明

画像形成装置

【課題】複数の給紙トレイを自動的に切り替えて印刷処理を実行する場合に、印刷開始までの時間を短縮するとともに印刷終了までの時間を短縮する。
【解決手段】記録媒体が積置された可動板131を有する複数の給紙トレイと、可動板131をそれぞれ昇降させる可動板駆動モータ140と、印刷ジョブに印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていない場合、印刷ジョブに含まれる画像データに関する情報に基づいて複数の給紙トレイから印刷処理を実行する記録媒体に対応する給紙トレイを選択するトレイ選択部12と、少なくとも印刷処理実行中にトレイ選択部12により選択された給紙トレイのうち少なくとも2以上の給紙トレイの可動板131が給紙可能な位置になるように可動板駆動モータ140を制御する機器制御部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイ内の可動板上に積載された記録媒体を搬送経路に供給して、記録媒体に対して印刷処理を実行する画像形成装置の給紙機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の処理能力の向上に伴って、使用される記録媒体も大量となり、記録媒体を給紙トレイに補給するユーザ操作回数も増加している。この画像形成装置における記録媒体の給紙について、定められたサイズの記録媒体の束を給紙トレイ内に積載させ、積載された記録媒体を給紙トレイから搬送経路を経て画像形成部に繰り出す給紙機構がある。
【0003】
そして、多数枚の記録媒体が載置される給紙トレイでは、給紙トレイ内の底部に配置された底板が、記録媒体の残量に応じて上下動する構造となっている。具体的には、一般的な給紙トレイでは、記録媒体を搬送経路に供給できる所定の高さにまでトレイ底板を上昇させ、給紙を行っている。
【0004】
ところで、この従来の画像形成装置では、本体側にある駆動手段からの駆動力を、上記トレイ底板に伝達してこれを上下動させる機構であることから、給紙トレイを画像形成装置本体から取り外す際、駆動手段からの駆動力が瞬時に切離なされると、底板が落下し、落下したトレイ底板とトレイ箇体とが衝突し、騒音が発生していた。
【0005】
これらに応えるべく、従前では、例えば、給紙トレイ内における用紙の有無を検出するセンサを設け、給紙トレイ内に用紙がなくなった場合に底板を下降させる技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−106374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙がなくなった場合に予め底板を下降させておく構成であるため、用紙がなくなる前にユーザが給紙トレイを引き出した場合には、底板が上昇された状態にあることから、結果的に底板が落下することとなり、騒音が発生していた。
【0008】
また、近年では、装置の小型化、省スペース化の要望が高まっていることから、給紙トレイを小型化する必要がある一方で、印刷量の増大、印刷処理の高速化から、給紙トレイ内への記録媒体の積載量を増大させる必要がある。このため、小型化された給紙トレイから記録媒体を給紙する際、給紙トレイ内の記録媒体の減少とともに底板が上昇され、記録媒体の残量によっては底板を給紙トレイ内から上方外側へ迫り出させる必要が生じる。したがって、底板が上昇し、その一部でも給紙トレイから外れている状態でユーザによって給紙トレイが引き出されると、迫り出された底板と装置本体とが接触し、画像形成装置が破損する可能性があった。
【0009】
前述の不具合を防止するためには、使用しない給紙トレイについては底板を下げ待機させる制御するのが良い。しかし、この制御を一律に実行したのでは、サイド給紙台(手差給紙トレイ)を含めた第1の給紙トレイに積載された印刷媒体がなくなると他の給紙トレイへと給紙元を順次自動的に切り替えて印刷処理を連続して実行する、いわゆる連続印刷をする場合、切り替えられる第2の給紙トレイの底板が給紙位置まで上昇する間は給紙ができず、印刷開始まで相当の時間を要していた。
【0010】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、複数の給紙トレイを自動的に切り替えて印刷処理を実行する場合に、印刷開始までの時間を短縮するとともに印刷終了までの時間を短縮することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の第1の特徴は、印刷ジョブに基づいて、記録媒体に対して印刷処理を実行する画像形成装置であって、記録媒体が積置された可動板を有する複数の給紙トレイと、前記可動板をそれぞれ昇降させる昇降手段と、前記印刷ジョブに印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていない場合、前記印刷ジョブに含まれる画像データに関する情報に基づいて前記複数の給紙トレイから印刷処理を実行する前記記録媒体に対応する給紙トレイを選択するトレイ選択手段と、印刷処理実行中に前記トレイ選択手段により選択された給紙トレイのうち少なくとも2以上の給紙トレイの可動板が給紙可能な位置になるように前記昇降手段を制御する制御手段と、を備えたことにある。
【0012】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴は、前記制御手段は、前記印刷ジョブが供給されると、前記複数の給紙トレイが有する全ての可動板を給紙可能な位置へ上昇させた後、前記トレイ選択手段が選択した給紙トレイが有する可動板以外の可動板を下降させるように前記昇降手段を制御することにある。
【0013】
本発明に係る画像形成装置の第3の特徴は、前記給紙トレイに積載された記録媒体の残量を検出する残量検知手段を、さらに備え、前記トレイ選択手段は、前記残量検知手段により検出された記録媒体の残量と、前記印刷ジョブに係る印刷枚数とに基づいて、給紙トレイを選択することにある。
【0014】
本発明に係る画像形成装置の第4の特徴は、前記制御手段は、前記残量検知手段により検出された記録媒体の残量が所定量未満となった場合に、前記トレイ選択手段により選択された給紙トレイの前記可動板が給紙可能な位置になるように前記昇降手段を制御することにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置の第1の特徴によれば、印刷ジョブに印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていない場合、少なくとも2以上の給紙トレイの可動板を給紙可能な位置(トレイ給紙位置)にするので、印刷開始時に、可動板をトレイ給紙位置まで上げる時間を短縮することができ、印刷開始までの時間を短縮するとともに印刷終了までの時間を短縮することができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴によれば、印刷ジョブが供給されると、複数の給紙トレイが有する全ての可動板を給紙可能な位置へ上昇させるように昇降手段を制御した後、トレイ選択手段が選択した給紙トレイが有する可動板以外の可動板を下降させるように昇降手段を制御するので、印刷ジョブを解析する時間分のロスを抑えることができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置の第3の特徴によれば、給紙トレイに積載された記録媒体の残量を検出する残量検知手段をさらに備え、トレイ選択手段は、残量検知手段により検出された記録媒体の残量と、印刷ジョブに係る印刷枚数とに基づいて、給紙トレイを選択するので、実際に使用する給紙トレイを適切に選択することができ、これにより、給紙トレイの引き出し時における騒音を極力回避すると共に、給紙トレイと装置本体との接触を低減することができる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置の第4の特徴によれば、残量検知手段により検出された記録媒体の残量が所定量未満となった場合に、トレイ選択手段により選択された給紙トレイの可動板が給紙可能な位置になるように昇降手段を制御するので、使用する直前まで給紙トレイの可動板をトレイ中間位置とすることができ、これにより、より給紙トレイの引き出し時における騒音を極力回避すると共に、給紙トレイと装置本体との接触を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置が備える給紙トレイの斜視図であり、(a)は、待機状態を示しており、(b)は、給紙状態を示している。
【図3】本発明の実施例1に係る画像形成装置が備える給紙トレイに設けられた各構成の駆動機構を説明した図である。
【図4】本発明の実施例1に係る画像形成装置が備える遮蔽板と残量検知センサとの位置関係を示した図である。(a)は、遮蔽板が残量検知センサの位置にない場合を示しており、(b)は、遮蔽板が残量検知センサの位置にある場合を示しており、(c)は、他の実施例における遮蔽板と残量検知センサとの位置関係を示した図である。
【図5】本発明の実施例1に係る画像形成装置の機能構成を示した図である。
【図6】本発明の実施例1に係る画像形成装置の印刷準備処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1に係る画像形成装置の印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施例1に係る画像形成装置において、図6に示したステップS103〜S105の処理と、図7に示したステップS203の処理の動作を模式的に示した図である。
【図9】本発明の実施例2に係る画像形成装置における印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3に係る画像形成装置における印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1では、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッドを複数本備え、それぞれのインクジェットヘッドから黒またはカラーのインクを吐出してライン単位で印刷用紙に印刷を行うライン型の画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0022】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の概要を示す図である。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷用紙の供給を行う給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台320と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)とを備えている。
【0024】
そして、サイド給紙台320および給紙トレイ330のいずれかの給紙機構から1枚ずつ給紙された印刷用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送路(図中の黒太線)に沿って搬送され、レジスト部350に導かれる。給紙された印刷用紙はレジスト部350で一時停止し、所定のタイミングで印字機構方向に搬送される。
【0025】
レジスト部350のさらに搬送方向側には、複数本のインクジェットヘッド370が設けられており、レジスト部350から近い順に、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の順に配置されている。印刷用紙は、インクジェットヘッド370の対向面に設けられた環状の搬送ベルト360によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各インクジェットヘッド370から吐出されたインクによりライン単位で印刷される。
【0026】
印刷済の印刷用紙は、搬送ベルト360に吸着されて搬送され、さらに、ローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。印刷用紙の片側の面のみに印刷を行う片面印刷の場合は、そのまま排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台345に印刷面を下にして積載される。
【0027】
印刷用紙の両面に印刷を行う両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には排紙口340に導かれずに、さらに筐体内を搬送される。このため、画像形成装置1は、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構380を備えている。切替機構380によって排紙口340に導かれなかった印刷用紙は、スイッチバック経路SRに引き込まれ、スイッチバックを行ない、搬送路に対して表裏が反転する。そして、ローラ等の駆動機構によって再度レジスト部350に導かれ、一時停止する。その後、所定のタイミングで印字機構方向に搬送され、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行なわれる。裏面の印刷が行なわれ、両面に画像が形成された印刷用紙は、排紙口340に導かれて排紙され、排紙口340の受台として設けられた排紙台345に積載されていく。
【0028】
次に、本発明の実施例1に係る画像形成装置1が備える給紙トレイ330aの構成について説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1が備える給紙トレイ330aの斜視図であり、(a)は、待機状態を示しており、(b)は、給紙状態を示している。また、図3は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1が備える給紙トレイ330aに設けられた各構成の駆動機構を説明した図である。なお、給紙トレイ330b、330c、330dは、給紙トレイ330aと同一の構成を有するので、以下では給紙トレイ330aを例に挙げて説明する。
【0030】
図2に示すように、給紙トレイ330aの底面138には、エンドフェンス134と、一対のサイドフェンス135と、可動板131とが備えられている。
【0031】
エンドフェンス134は、給紙トレイ330a内において、印刷用紙の送出方向Xに相対移動自在に設けられている。このエンドフェンス134は、用紙サイズに合わせて設定することができ、積載された印刷用紙の送出方向Xを規制し、紙揃えを行う。
【0032】
一対のサイドフェンス135は、印刷用紙の送出方向Xの両側において、送出方向Xと直交する用紙幅方向に相対移動自在に設けられている。これらの一対のサイドフェンス135は、用紙サイズに合わせて設定することができ、積載された印刷用紙の送出方向Xと直交する用紙幅方向を規制し、紙揃えを行う。
【0033】
可動板131は、印刷用紙を積載させる底板部材であり、ピン部材131aを中心に揺動可能に給紙トレイ330aの内側面に取付けられている。また、図3に示すように、この可動板131の下方には、可動板支持部139が上下動可能に取付けられており、この可動板支持部139によって、可動板131の後端部131cに支えられて可動板131の先端部131bが持ち上げられ、傾斜角度が変化される。そして、この可動板131は、印刷用紙の積載量に応じて斜度が変化されて、載置された印刷用紙を上下するように駆動される。
【0034】
また、可動板支持部139は、連結部137を介して後述する可動板駆動モータ140の駆動により上下動(上昇・下降)する。
【0035】
図3に示すように、連結部137は、下部ギア137bと、上部ギア137aとから構成されており、下部ギア137bは、シャフト139aを介して可動板支持部139と連結されている。この可動板支持部139は、その上部に位置する可動板131を支持するように配置されており、この可動板支持部139は、シャフト139aが回転することによって、上下動され、これにより、上部の可動板131が昇降されるようになっている。
【0036】
上部ギア137a及び下部ギア137bは、後述する可動板駆動モータ140の駆動力により回転される歯車機構であり、上部ギア137aは、給紙トレイ330aが画像形成装置1内に装填された状態において、可動板駆動モータ140と係合され、回転可能となる。下部ギア137bは、上部ギア137aが回転すると、それに追従して回転され、シャフト139aを回転させる。このシャフト139aの回転に伴って、可動板支持部139の傾斜角度が変化し、その傾斜角度に応じて、上方の可動板131を昇降させる。
【0037】
また、上部ギア137aには、遮蔽板136が取付けられている。この遮蔽板136は、歯車である上部ギア137aと同心軸の扇形部材136bの円弧部分に、湾曲部材136aを一体的に形成した部材であり、湾曲部材136aは、可動板131の上下動に応じて変位する検知センサ遮蔽部材となっている。
【0038】
さらに、給紙トレイ330aは、上限センサ402と、用紙有無センサ401と、残量検知センサ403とを備えている。
【0039】
用紙有無センサ401は、可動板131上に積載された印刷用紙の有無を検出する反射型センサであり、本発明の実施例1では、印刷用紙が積置されているときON状態となり、印刷用紙が積置されていないときOFF状態となる。なお、用紙有無センサ401としては、本発明の実施例1では反射型センサとするが、この形態に限られるものではなく、例えば、コの字型の透過型センサを使用するようにしてもよい。
【0040】
上限センサ402は、可動板131に積載された印刷用紙の上面が給紙位置の上限位置にあるかどうかを検出するセンサである。本発明の実施例1では、印刷用紙を検出することによりON状態となり、非検出となることによってOFF状態となる。
【0041】
残量検知センサ403は、給紙トレイ330aの連結部137傍近に設置され、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かを検知するセンサである。
【0042】
図4は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1が備える遮蔽板136と残量検知センサ403との位置関係を示した図である。
【0043】
残量検知センサ403は、画像形成装置1側に設けられ、給紙トレイ330aが画像形成装置1側に装填された状態において、連結部137の遮蔽板136と係合するようになっている。本発明の実施例1における残量検知センサ403は、コの字型をした透過型の光センサであり、コの字状に対向配置された発光部と受光センサによりコの字形状の内方に挿入された物体の有無を検出する。すなわち、発光部によって発光された光が、コの字形上内方に挿入された物体により遮られ、受光センサがOFFとなることによって、物体の存在を検出する。
【0044】
このような残量検知センサ403で遮蔽板136の有無を検出することにより、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かの判断を行う。連結部137では、可動板131が上昇動作を行うと、上部ギア137aに結合されている遮蔽板136が、可動板131の上下動に応じて回転され、湾曲部材136aが変位する構成となっている。具体的には、下部ギア137bにより可動板131が上昇すると、下部ギア137bの回転により、上部ギア137aも回転する。これにより、上部ギア137aに結合している遮蔽板136の湾曲部材136aの位置が変位されるようになっている。
【0045】
そして、給紙トレイ330aが画像形成装置1に装填されると、残量検知センサ403が、遮蔽板136の湾曲部材136aを、側方から、コの字形上内方に挟み込むように係合される。ここで、残量検知センサ403は、可動板131の位置が所定範囲内にあるか否かによって判断することから、印刷用紙の積載量は、所定量以下であるか否かというように、二値的に検出される。
【0046】
この所定範囲内か否かは、例えば、用紙残量が50%以下か否かで判別する。すなわち、可動板131の上下動に応じて回転され、図4(a)に示すように、遮蔽板136が残量検知センサ403の位置にない場合は、センサ遮蔽なしとしてセンサOFFとなり、可動板131の上下動が所定範囲外、すなわち、残量50%〜100%であると判別される。一方、図4(b)に示すように、遮蔽板136が残量検知センサ403の位置にある場合は、センサを遮蔽としてセンサONとなり、可動板131の上下動が所定範囲内、すなわち残量50%以下であると判別される。
【0047】
なお、本発明の実施例1に係る画像形成装置1では、残量検知センサ403に基づいて、残量50%以下である場合に、所定枚数以下であると判定するが、これに限らず、さらに残量が少なくなった場合(例えば、20%)に、所定枚数以下であると判定するようにしてもよい。そのためには、残量検知センサ403の遮蔽板136に代えて、さらに詳細に残量を検知することができるような遮蔽板を備える必要がある。
【0048】
図4(c)は、詳細に残量を検知することができる遮蔽板と残量検知センサの一例を示した図である。
【0049】
図4(c)に示すように、遮蔽板141は、複数の貫通穴141cが所定の間隔で設けられた湾曲部材141aと、湾曲部材141aを支える扇形部材141bとを有している。
【0050】
そして、給紙トレイ330aが画像形成装置1に装填されると、図4(c)に示すように、残量検知センサ403が、遮蔽板141の湾曲部材141aを、側方から、コの字形上内方に挟み込むように係合される。ここで、残量検知センサ403は、幾つ目の貫通穴141cを貫通した光を検知したかにより可動板131の位置を検出し、これにより、印刷用紙の積置量を検出することができる。
【0051】
即ち、貫通穴141cが所定の間隔で設けられた遮蔽板141を設けることにより、詳細に残量を検知することができる。
【0052】
<画像形成装置の機能構成>
図5は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成を示した図である。
【0053】
図5に示すように、画像形成装置1は、上限センサ402と、用紙有無センサ401と、残量検知センサ403と、サイド給紙台320と、給紙トレイ330a〜330dと、制御部10とを備えている。これらの構成のうち、上限センサ402と、用紙有無センサ401と、残量検知センサ403と、サイド給紙台320との構成については、上述したので、説明を省略する。
【0054】
給紙トレイ330aは、可動板駆動モータ140を備えており、この可動板駆動モータ140は、連結部137を介して給紙トレイ330a側に駆動力を伝達させ、可動板131を昇降させて、積載された印刷用紙を上下動させる。詳述すると、給紙トレイ330aが画像形成装置1に対して装着された状態では、可動板駆動モータ140は、給紙トレイ330aの連結部137と連結する。一方、給紙トレイ330aが画像形成装置1から離脱されることで、可動板駆動モータ140と連結部137との連結は解除される。
【0055】
制御部10は、受信部11と、トレイ選択部12と、印刷設定部13と、機器制御部14とを備えている。
【0056】
受信部11は、例えば、ネットワークを介して接続された端末から送信された印刷ジョブを受信する。または、画像形成装置1に備えられた操作パネル(図示しない)のユーザ操作に基づいて生成された印刷ジョブを受信する。
【0057】
トレイ選択部12は、印刷ジョブに基づいて、複数の給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)から印刷処理を実行するのに適した記録媒体を載置する給紙トレイを選択する。
【0058】
印刷設定部13は、印刷ジョブに、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれているか否かを判定する。具体的には、印刷設定部13は、印刷ジョブに含まれる設定情報に、「給紙トレイ330b」等のように、給紙トレイがいずれか1つの給紙トレイから給紙されるように給紙先が固定となるように設定されている場合、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていると判定し、画像データの大きさに合わせて印刷用紙に対応する給紙トレイを選択するための「自動」が設定されている場合、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていないと判定する。
【0059】
なお、印刷設定部13は、連続給紙モードに基づいて、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれているか否かを判定するようにしてもよい。ここで、連続給紙モードとは、複数の給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)のうち、2つ以上の給紙トレイ330から給紙可能である場合、印刷用紙の給紙が途切れないように順次印刷用紙を給紙するためのモードであり、印刷設定部13は、この連続給紙モードがONに設定されている場合、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていないと判定し、この連続給紙モードがOFFに設定されている場合に、印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていると判定するようにしてもよい。
【0060】
機器制御部14は、印刷設定部13により印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていないと判定された場合、少なくともトレイ選択部12により選択された2以上の給紙トレイの可動板131を給紙位置になるように、後述する可動板駆動モータ140を制御する。
【0061】
<画像形成装置の作用>
次に、本発明の実施例1に係る画像形成装置1における作用について説明する。
【0062】
本発明の実施例1に係る画像形成装置1は、主に印刷準備処理及び印刷処理を行う。そのため、各々の処理について以下に詳細に説明する。
【0063】
≪印刷準備処理≫
図6は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の印刷準備処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0064】
図6に示すように、制御部10は、画像形成装置1の電源がオン、又は給紙トレイ330aが画像形成装置1内に装填され表面カバーが閉じていると判定すると(ステップS101)、制御部10の機器制御部14は、全ての給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)について、トレイ給紙位置まで、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS103)。具体的には、機器制御部14は、可動板駆動モータ140を駆動することにより、この駆動力が連結部137を介して伝達され、可動板131が上昇される。そして、可動板131の上昇により、可動板131に積載された印刷用紙の少なくとも最上位の用紙が給紙口の高さ、即ちトレイ給紙位置を越えるまで上昇される。
【0065】
次に、制御部10の機器制御部14は、トレイ中間位置まで移動させる(ステップS105)。具体的には、機器制御部14は、全ての給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)について、可動板駆動モータ140を駆動することにより、この駆動力が連結部137を介して伝達され、可動板131がトレイ給紙位置より低いトレイ中間位置まで下降される。
【0066】
≪印刷処理≫
図7は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0067】
図7に示すように、制御部10は、印刷開始が要求されたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、制御部10の受信部11が印刷を要求する印刷要求信号を含む印刷ジョブを受信したか否かを判定する。
【0068】
ステップS201において、印刷開始が要求されたと判定された場合(YESの場合)、制御部10の機器制御部14は、全ての給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)について、可動板131がトレイ給紙位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS203)。具体的には、機器制御部14は、可動板駆動モータ140を駆動することにより、この駆動力が連結部137を介して伝達され、可動板131が上昇される。そして、可動板131の上昇により、可動板131に積載された印刷用紙は給紙口の高さ、即ちトレイ給紙位置となるように上昇される。これにより、給紙系搬送路への送出が可能となる。
【0069】
ここで、印刷開始が要求されるとすぐに全ての給紙トレイの可動版を上昇させるのは、印刷ジョブを解析してから印刷処理に使用する給紙トレイの可動版の上昇を始めたのでは、印刷開始までの時間をロスするからである。一旦すべての給紙トレイを給紙可能な状態にしておき、使用しないトレイの可動板を下降させるという制御をすることで、印刷ジョブを解析する時間分のロスを抑えることができる。
【0070】
図8は、図6に示したステップS103〜S105の処理と、図7に示したステップS203の処理の動作を模式的に示した図である。
【0071】
図8(a)に示すように、電源オフ時は、可動板131は待機状態、即ち下限位置にあり、電源が投入されると、図8(b)に示すように、印刷用紙を積載させた可動板131が上昇される。このとき、図8(c)に示すように、下限位置からの上昇では、上限センサ402までの距離が長いため、上昇の速度が速くなってしまい、停止目標位置である上限センサ402を通り過ぎてしまう。
【0072】
そこで、本発明の実施例1では、可動板131の上昇に際し、停止位置までに位置出し処理を行う。この位置出し処理は、センサオーバーした可動板131を一旦上限センサ402がOFFとなる位置まで下降させて停止し、(図8(d)〜(f):ステップS105)、再度上限センサ402がONとなる位置まで上昇させる(図8(g)〜(i):ステップS203)。位置出し処理での停止位置は、図8(f)に示すように、下限位置よりも、移動距離が少ないため、低速度状態で停止することができ、オーバーセンサされることがない。
【0073】
このように、ステップS103,S105,S203の処理を実行することにより、制御部10の機器制御部14は、全ての給紙トレイ330(330a、330b、330c、330d)について、可動板131がトレイ給紙位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させることができる。
【0074】
図7に戻り、ステップS203において、可動板131をトレイ給紙位置に設定した後、機器制御部14の印刷設定部13は、使用する給紙トレイが指定されているか否かを判断する。(ステップS205)。上述したように、印刷設定部13は、受信部11が受信した印刷ジョブに含まれる設定情報に基づいて、これを判断する。
【0075】
ステップS205において、使用する給紙トレイが指定されていないと判定された場合(NOの場合)、機器制御部14の印刷設定部13は、印刷ジョブから印刷サイズを抽出する(ステップS207)。
【0076】
そして、印刷設定部13は、抽出された印刷サイズに対応する給紙トレイ330を選択する(ステップS209)。例えば、給紙トレイ330a、330b、330c、330dに積置された印刷用紙のサイズが、ぞれぞれ「A4」、「A4」、「A3」、「B5」であり、印刷ジョブに含まれる印刷サイズが「A4」である場合、印刷設定部13は、給紙トレイ330a、330bを選択する。
【0077】
次に、制御部10の機器制御部14は、不使用の給紙トレイをトレイ中間位置まで移動させる(ステップS213)。例えば、印刷設定部13が、給紙トレイ330a、330bを選択したとすると、機器制御部14は、設定された給紙トレイ330a、330b以外の給紙トレイ330c、330dについて、可動板131がトレイ中間位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させる。
【0078】
なお、ステップS205において、使用する給紙トレイが指定されていると判定された場合(YESの場合)、機器制御部14は、指定されていない給紙トレイを不使用の給紙トレイとして、トレイ中間位置まで移動させる。
【0079】
そして、制御部10の機器制御部14は、全ての給紙トレイ330をトレイ中間位置まで移動させることなく、トレイ給紙位置にある状態で印刷処理を開始する(ステップS215)。
【0080】
以上のように、本発明の実施例1に係る画像形成装置1によれば、使用する給紙トレイが指定されていない場合、印刷サイズに基づいて、使用する給紙トレイを選択し、選択された給紙トレイの可動板131をトレイ給紙位置となるように制御するので、可動板131をトレイ給紙位置まで上げる時間を短縮することができ、その結果、印刷開始までの時間を短縮することができる。
【0081】
また、使用する給紙トレイが指定されていない場合、選択されていない給紙トレイ330の可動板131をトレイ給紙位置に移動することなく、トレイ中間位置とするので、給紙トレイ330の引き出し時における騒音を極力回避すると共に、給紙トレイ330と装置本体との接触を低減することができる。
【0082】
なお、本発明の実施例1に係る画像形成装置1では、使用する給紙トレイが指定されていないと判定された場合、印刷ジョブから印刷サイズを抽出し、抽出された印刷サイズに対応する給紙トレイ330を選択したがこれに限らない。
【0083】
例えば、印刷ジョブに含まれる画像データの大きさや変倍率等の画像データに関する情報の中から少なくともいずれか1以上の情報を抽出し、この抽出された情報から対応する印刷用紙が積載された給紙トレイを選択するようにしてもよい。
【0084】
また、本発明の実施例1に係る画像形成装置1では、使用する給紙トレイ330が指定されていない場合、印刷ジョブに含まれる印刷サイズに基づいて、使用する給紙トレイ330を選択し、選択された給紙トレイ330をトレイ給紙位置に移動する画像形成装置1を例に挙げて説明したが、この給紙トレイ330に、サイド給紙台320も含める構成としても勿論良い。
【実施例2】
【0085】
本発明の実施例1では、使用する給紙トレイが指定されていない場合、印刷ジョブに含まれる印刷サイズに基づいて、使用する給紙トレイを選択し、選択された給紙トレイをトレイ給紙位置に移動する画像形成装置を例に挙げて説明した。
【0086】
本発明の実施例2では、使用する給紙トレイが指定されていない場合、印刷ジョブに含まれる印刷サイズ及び印刷枚数に基づいて、使用する給紙トレイを選択し、選択された給紙トレイをトレイ給紙位置に移動する画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0087】
なお、本発明の実施例2に係る画像形成装置2は、図5に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成と同一の機能構成を備えるので、説明を省略する。
【0088】
図9は、本発明の実施例2に係る画像形成装置2における印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。ここで、図9に示すフローチャートのうち、ステップS201〜S205の処理については、図7に示したフローチャートの同一ステップ番号の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0089】
図9に示すように、ステップS205において、使用する給紙トレイが指定されていないと判定された場合(NOの場合)、機器制御部14の印刷設定部13は、印刷ジョブから印刷サイズと印刷枚数とを抽出する(ステップS401)。
【0090】
次に、印刷設定部13は、抽出された印刷サイズに対応する給紙トレイ330を選択し、この選択した給紙トレイ330に備えられた上限センサ402と、用紙有無センサ401と、残量検知センサ403とから、選択した給紙トレイ330に積置された印刷用紙の残量を取得する(ステップS403)。
【0091】
具体的には、印刷設定部13は、選択した給紙トレイ330に積置された上限センサ402がセンサONの場合あって残量検知センサ403がセンサOFFの場合、給紙トレイ330に印刷用紙が50%以上積置されていると判定する。また、上限センサ402がセンサONであって残量検知センサ403がセンサONの場合、給紙トレイ330に印刷用紙が50%未満積置されていると判定する。後者の場合であって用紙有無センサ401がセンサOFFの場合、給紙トレイ330に印刷用紙が0%であると判定する。
【0092】
そして、トレイ選択部12は、使用する給紙トレイを選択する(ステップS405)。具体的には、トレイ選択部12は、給紙トレイ330a、330b、330c、330dから印刷用紙積載量(残量)が多い給紙トレイから順に必要な給紙トレイを選択する。例えば、給紙トレイ330a、330b、330c、330dの積載上限が各々200枚であった場合であって、積置された印刷用紙のサイズが、ぞれぞれ「A4」、「A4」、「A4」、「B5」であり、それぞれ印刷用紙が“50”枚、“120枚”、“70”枚、“130”枚積置されていたとする。そして、ステップS401において、抽出された印刷サイズが「A4」であり、抽出された印刷枚数が“100”枚である場合、印刷設定部13は、給紙トレイ330a、330b、330cから、100数以上のA4の印刷用紙が積置された給紙トレイ330bを選択する。
【0093】
また、給紙トレイ330a、330b、330c、330dに積置された印刷用紙のサイズが、ぞれぞれ「A4」、「A4」、「A4」、「B5」であり、それぞれ印刷用紙が“20”枚、“50枚”、“60”枚積置されていたとする。そして、ステップS401において、抽出された印刷サイズが「A4」であり、抽出された印刷枚数が“100”枚である場合、印刷設定部13は、「A4」サイズが積載されている給紙トレイ330a、330b、330cのすべてを選択する。この場合、いずれのトレイも給紙トレイ容量の50%である100枚以下の枚数であるから、残量センサを使用しても正確な用紙残量が検知できないからである。
【0094】
次に、制御部10の機器制御部14は、不使用のトレイをトレイ中間位置まで移動させる(ステップS407)。例えば、印刷設定部13が給紙トレイ330a、330b、330cを選択したとすると、機器制御部14は、設定された給紙トレイ330a、330b、330c以外の給紙トレイ330dについて、可動板131がトレイ中間位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させる。
【0095】
そして、制御部10の機器制御部14は、トレイ給紙位置にある状態で印刷処理を開始する(ステップS409)。例えば、機器制御部14は、印刷設定部13が給紙トレイ330a、330b、330cを選択したとすると、機器制御部14は、これら給紙トレイ330a、330b、330cから予め設定された優先順位に従って、順次選択して印刷処理を実行する。
【0096】
一方、ステップS205において、使用する給紙トレイが指定されていると判定された場合(YESの場合)、制御部10の機器制御部14は、指定された給紙トレイ330以外、本実施例では330dの可動板131を中間トレイ位置に下降させる(ステップS407)と共に、トレイ330a,330b,330cの予め設定されている優先順位にしたがって給紙トレイを選択し、印刷処理が開始される(ステップS409)。ここで、優先順位とは、給紙トレイ330a、330b、330c、330dの使用される順位として予め設定されている。
【0097】
以上のように、本発明の実施例2に係る画像形成装置2よれば、使用する給紙トレイが指定されていないと判定された場合、印刷枚数と印刷サイズとに基づいて、使用する給紙トレイを選択し、実際に使用される給紙トレイの可動板131以外は中間トレイ位置に下降させるため省電力が達成できると共に、ユーザーにより使用される給紙トレイ以外について用紙補充や用紙交換が印刷中に行われた場合であっても給紙トレイ330と装置本体との接触を低減することができる。
【実施例3】
【0098】
本発明の実施例2では、使用する給紙トレイが指定されていない場合、印刷ジョブに含まれる印刷サイズ及び印刷枚数に基づいて、使用する給紙トレイを選択し、選択された給紙トレイをトレイ給紙位置に移動する画像形成装置を例に挙げて説明した。
【0099】
本発明の実施例3では、使用する給紙トレイが指定され、印刷処理が開始された後に、使用中の給紙トレイの残量検知センサ403により検出された印刷用紙の積載量が所定量未満となった場合に、次に使用する給紙トレイをトレイ給紙位置に移動する画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0100】
なお、本発明の実施例3に係る画像形成装置3は、図5に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成と同一の機能構成を備えるので、説明を省略する。
【0101】
図10は、本発明の実施例3に係る画像形成装置3における印刷処理の処理手順を示したフローチャートである。ここで、図10に示すフローチャートのうち、ステップS201,S205と、ステップS401〜S405については、図9に示したフローチャートの同一ステップ番号の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0102】
図10に示すように、ステップS205において、使用する給紙トレイが指定されていると判定された場合(YESの場合)、制御部10の機器制御部14は、選択された給紙トレイ330について、可動板131がトレイ給紙位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS502)。
【0103】
また、ステップS405において、使用する給紙トレイが選択されると、印刷設定部13は、選択された給紙トレイが複数か否かを判定する(ステップS501)。
【0104】
ステップS501において、選択された給紙トレイが単数であると判定された場合(NOの場合)、制御部10の機器制御部14は、選択された給紙トレイ330について、可動板131がトレイ給紙位置になるように、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS503)。
【0105】
そして、機器制御部14は、選択された給紙トレイ330をトレイ給紙位置にある状態で印刷処理を開始する(ステップS505)。
【0106】
一方、ステップS501において、選択された給紙トレイが複数であると判定された場合(YESの場合)、制御部10の機器制御部14は、選択された複数の給紙トレイのうち、優先順位が最も高い給紙トレイの可動板131がトレイ給紙位置なるように、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS507)。ここで、優先順位とは、給紙トレイ330a、330b、330c、330dの使用される順位として予め設定されている。
【0107】
例えば、給紙トレイ330a、330b、330c、330dに積置された印刷用紙のサイズが、ぞれぞれ「A4」、「A4」、「A4」、「B5」であり、優先順位が、それぞれ“3”、“1”、“4”、“2”であるとする。そして、ステップS401において、抽出された印刷サイズが「A4」である場合、印刷設定部13は、優先順位が最も高い給紙トレイとして、給紙トレイ330bを選択し、この給紙トレイ330bの可動板131がトレイ給紙位置なるように、可動板駆動モータ140を駆動させる。
【0108】
次に、印刷設定部13は、ステップS401において抽出された印刷枚数を変数Cに代入し、カウンタiに“1”を代入する(ステップS509)。
【0109】
そして、機器制御部14は、i枚目の印刷処理を実行する(ステップS511)。
【0110】
次に、機器制御部14は、カウンタiの値が印刷枚数C以上か否かを判定し(ステップS513)、カウンタiの値が印刷枚数C未満であると判定された場合(NOの場合)、カウンタiの値に“1”だけ加算した後(ステップS515)、所定枚数以下が否かを判定する(ステップS517)。具体的には、機器制御部14は、残量検知センサ403に基づいて、残量50%以下であるか否かを判定する(ステップS517)。
【0111】
ステップS517において、所定枚数以下であると判定された場合(YESの場合)、機器制御部14は、次に優先順位が高い給紙トレイの可動板131がトレイ給紙位置なるように、可動板駆動モータ140を駆動させる(ステップS519)。例えば、給紙トレイ330bの次に優先順位の高い給紙トレイ330aの可動板131がトレイ給紙位置なるように、可動板駆動モータ140を駆動させる。
【0112】
以上のように、本発明の実施例3に係る画像形成装置3によれば、使用する給紙トレイが指定されていないと判定され、印刷処理が開始された後に、使用中の給紙トレイの残量検知センサ403により検出された印刷用紙の積載量が所定量未満となった場合に、次に使用する給紙トレイの可動板131をトレイ給紙位置に移動するので、使用する直前まで給紙トレイの可動板131をトレイ中間位置とすることができる。これにより、より給紙トレイ330の引き出し時における騒音を極力回避すると共に、給紙トレイ330と装置本体との接触を低減することができる。
【0113】
なお、実施例中のサイド給紙台が上限センサを有し、給紙台を給紙位置に上昇させ給紙位置を維持しながら印刷処理を実行する画像形成装置であれば、本実施例中の給紙トレイには当該サイド給紙台も含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1,2,3…画像形成装置
10…制御部
11…受信部
12…トレイ選択部
13…印刷設定部
14…機器制御部
131…可動板
134…エンドフェンス
135…サイドフェンス
136,141…遮蔽板
137…連結部
139…可動板支持部
140…可動板駆動モータ(昇降手段)
320…サイド給紙台
330a〜330d…給紙トレイ
340…排紙口
345…排紙台
350…レジスト部
360…搬送ベルト
370…インクジェットヘッド
380…切替機構
401…用紙有無センサ
402…上限センサ
403…残量検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて、記録媒体に対して印刷処理を実行する画像形成装置であって、
記録媒体が積置された可動板を有する複数の給紙トレイと、
前記可動板をそれぞれ昇降させる昇降手段と、
前記印刷ジョブに印刷処理に使用する給紙トレイを指定する設定情報が含まれていない場合、前記印刷ジョブに含まれる画像データに関する情報に基づいて前記複数の給紙トレイから印刷処理を実行する前記記録媒体に対応する給紙トレイを選択するトレイ選択手段と、
印刷処理実行中に前記トレイ選択手段により選択された給紙トレイのうち少なくとも2以上の給紙トレイの可動板が給紙可能な位置になるように前記昇降手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記印刷ジョブが供給されると、前記複数の給紙トレイが有する全ての可動板を給紙可能な位置へ上昇させた後、前記トレイ選択手段が選択した給紙トレイが有する可動板以外の可動板を下降させるように前記昇降手段を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙トレイに積載された記録媒体の残量を検出する残量検知手段を、さらに備え、
前記トレイ選択手段は、
前記残量検知手段により検出された記録媒体の残量と、前記印刷ジョブに係る印刷枚数とに基づいて、給紙トレイを選択する
ことを特徴とする請求項1〜2のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記残量検知手段により検出された記録媒体の残量が所定量未満となった場合に、前記トレイ選択手段により選択された給紙トレイの前記可動板が給紙可能な位置になるように前記昇降手段を制御する
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−241055(P2011−241055A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115061(P2010−115061)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】