説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の画像形成手段を構成する回転部材に動力を伝達するための回転駆動源及び動力伝達手段に破損等の不具合が生じた場合に、フィールドにおいて速やかに復旧させる。
【解決手段】 画像形成装置は、一つ以上の回転部材の全てを直接的に又は間接的に回転可能に支持する本体フレーム11と、駆動ユニッ31トとを備える。駆動ユニット31は、フレームに、一つ以上の回転部材の全てを回転させるための一つ以上の回転駆動源41,42の全部と、一つ以上の回転部材の全てに一つ以上の回転駆動源41,42の動力を伝達するための一つ以上の動力伝達手段43の全部とが一体的に組み付けられ、駆動ユニット31が本体フレーム11に対して取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の動力伝達手段を経由して、一つ以上の回転駆動源からの動力を一つ以上の回転部材に伝達する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、給紙部から記録紙搬送経路を経て排紙部まで記録紙を給紙搬送する紙搬送手段と、記録紙搬送経路上を搬送される記録紙上にトナー画像を形成して記録紙上のトナー画像を永久像として定着する画像形成手段とを備える。紙搬送手段は給紙ローラやレジストローラや排紙ローラ等の回転部材を有し、画像形成手段は感光体ドラムや現像ローラや転写ローラやヒートローラやプレスローラ等の回転部材を有し、これらの回転部材に装置の背面側に取り付けたモータ等の回転駆動源からギヤ列等の動力伝達手段を経由して動力を伝達している。
【0003】
既存技術では、回転部材を直接的に又は間接的に支持する金属製又は樹脂製の本体フレームに、モータやギヤ列を直接的に取り付けていたため、本体フレームやギヤが破損した場合に、個々のギヤやモータを本体フレームから一つずつ取り外さなければならず、画像形成装置の復旧作業を速やかに完了させることができなかった。その間、画像形成装置の使用者は、印刷や複写をすることができず不利益を被っていた。
【0004】
特許文献1は、フレームに動力伝達手段としてのギヤを取り付けて、ギヤをフレームと共に装置本体から取り外せるようにした既存技術を開示している。この既存技術でも、画像形成装置のフィールドエンジニアは、このギヤに連結されるモータをフレームとは別に取り外すことを強いられ、画像形成装置の復旧作業を速やかに完了させるという観点においては、更なる改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−46549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、画像形成装置の画像形成手段を構成する回転部材に動力を伝達するための回転駆動源及び動力伝達手段に破損等の不具合が生じた場合に、フィールドにおいて速やかに復旧させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、給紙搬送される記録紙上にトナー画像を形成する画像形成手段を備え、この画像形成手段が一つ以上の回転部材を有する画像形成装置に関する。その好ましい態様において、画像形成装置は、一つ以上の回転部材の全てを直接的に又は間接的に回転可能に支持する本体フレームと、駆動ユニットとを備える。駆動ユニットは、フレームに、一つ以上の回転部材の全てを回転させるための一つ以上の回転駆動源の全部と、一つ以上の回転部材の全てに一つ以上の回転駆動源の動力を伝達するための一つ以上の動力伝達手段の全部とが一体的に組み付けられ、駆動ユニットが本体フレームに対して取り外し可能である。また、回転駆動源がモータであり、動力伝達手段の全部がギヤのみで構成されていることが好ましい。
【0008】
上記した本発明の好ましい態様によると、モータ等の回転駆動源の全部とギヤ列などの動力伝達手段の全部とが駆動ユニットとしてフレームに一体的に組み付けられているので、この駆動ユニットにおいて回転駆動源及び動力伝達手段の一つの交換すべき不具合が発生したとしても、画像形成装置のフィールドエンジニアは、客先で不具合のある駆動ユニットを本体フレームから取り外し、不具合の無い駆動ユニットを本体フレームに取り付けるだけの単純な作業で、画像形成装置を速やかに復旧させることができる。
【0009】
本発明のさらに好ましい態様において、画像形成手段は、記録紙及びトナー画像に熱を与えてトナー画像を記録紙上に溶融定着する熱定着手段を備え、熱定着手段からの不要熱を装置外に排熱するための排熱手段が駆動ユニットのフレームに取り付けられている。また、排熱手段は排気ファンであることが好ましい。
【0010】
上述した本発明のさらに好ましい態様によると、排気ファン等の排熱手段も駆動ユニットのフレームに取り付けられているので、排熱手段に交換すべき不具合があったときでも、画像形成装置のフィールドエンジニアは、客先で不具合のある駆動ユニットを本体フレームから取り外し、不具合の無い駆動ユニットを本体フレームに取り付けるだけの単純な作業で、画像形成装置を速やかに復旧させることができる。
【発明の効果】
【0011】
画像形成装置の駆動系に不具合が発生しても、画像形成装置のフィールドエンジニアは客先で速やかに復旧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の画像形成装置を簡略化して示した、背面側斜視図である。
【図2】本発明の一実施例の画像形成装置を、簡略化して示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2を参照して本発明を好適な複数の実施例として説明するが、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるべきものであり、これらの実施例の記載により限定的に解釈されるべきでない。
【0014】
図2は、本発明の一実施例の画像形成装置を、簡略化して示す正面断面図である。図2を参照して、画像形成装置の一つである印刷、FAX送受信、読取、及び複写機能等を有する複合機1は、その上部に配置された原稿読取手段3と、その下部に配置された画像形成手段4と、最下部に配置された給紙手段6とから構成されている。
【0015】
原稿読取手段3は、原稿カバー51に設けられた原稿トレイ52に載置された原稿が自動原稿搬送装置(ADF)50により搬送され、プラテンガラス58が配置された読取位置を経由して原稿排紙トレイ53に排出される。読取位置には、搬送された原稿を光学的に読み取る読取装置55を搭載したスキャナユニット56が原稿に対向するように配置されている。又、書籍等を読み取る場合には、原稿カバー51を上方に回転移動させてフラットベッドプラテン54に書籍等の被読取部分を配置し、スキャナユニット56を矢印で左右に移動させて読取動作が行われる。
【0016】
給紙手段6は、給紙カセット61が配置されており、フラッパ62に所定のサイズの記録紙60が複数枚積載されている。又、給紙カセット61の図における右端部には、給紙ローラ65が配置されている。フラッパ62は、積載された記録紙60の上面が給紙ローラ65に圧接するように、図示しないバネ部材により上方に付勢されている。この状態で給紙ローラ65が回転駆動すると、給紙ローラ65と図示しない分離パッドとにより記録紙60が1枚ずつ記録紙搬送経路に給紙される。そして、給紙された用紙60は、まずフィードローラ70及び従動回転するプレスローラ71により記録部4に搬送される。
【0017】
画像形成手段4は、搬送された記録紙60上にトナー画像を記録するために、現像ローラ25を有する現像器ユニット5、紙粉除去ローラ73、コロナ帯電器74、感光体ドラム75、転写ローラ76、図示しない露光ヘッド及びヒートローラ78を備えている。現像器ユニット5は、そのハウジング内にトナーを収容し、ハウジング内でトナーを攪拌・搬送するための2つのアジテータ97,98と、現像ローラ25にトナーを供給するための供給ローラ96とを備えている。
【0018】
紙粉除去ローラ73は、転写後の感光体ドラム75の表面に付着したトナーや紙粉を捕捉し、除去する。コロナ帯電器74は、コロトロンからの放電により感光体ドラム75の表面を一様に帯電する。コロナ帯電器74により一様に帯電された感光体ドラム75に、図示しない露光ヘッドで露光することで静電潜像が形成される。そして、現像器ユニット5内の帯電したトナーを感光体ドラム75に形成された静電潜像に転移させて、静電潜像を可視像化する。そして、転写ローラ76は、用紙60を挟んで感光体ドラム75と対向する位置に設置されており、所定の電圧が印加されると感光体ドラム75の表面に形成されたトナー像が記録紙60に転写される。そして、転写されたトナー像は、ヒートローラ78及びプレスローラ79によって挟持されながら加熱・プレスされ記録紙60に定着される。定着された記録紙60は、排紙ローラ80及びプレスローラ81の間に挟持されて記録紙排出トレイ82に搬出される。
【0019】
給紙ローラ60、フィードローラ70、排紙ローラ80、現像ローラ25、供給ローラ96、2つのアジテータ97,98、感光体ドラム75、転写ローラ76、紙粉除去ローラ73、及びヒートローラ78は、駆動源から動力が伝えられて積極的に自転する回転部材であり、本体フレーム11に、直接的に又はユニット部材として間接的に支持されている。
【0020】
図1は、背面の外装カバーを取り外した状態の複合機1を背面側から見た簡略化して示す斜視図であり、駆動ユニット31を本体フレーム11から取り外した状態を示している。本体フレーム11は、板状の部材であって複合機1の背面側に設けられている。本体フレーム11に2つの穿孔が形成され、各穿孔から、いずれかの回転部材に回転動力を伝えるためのカップリング12,13が背面側に飛び出している。
【0021】
駆動ユニット31には駆動源としての2つのモータ41,42が設けられ、各モータ41,42からの回転動力はいずれかのカップリング12,13に伝えられ、カップリング12,13に伝えられた回転動力は、本体フレーム11の前面側で図示しない駆動伝達手段を経由して、上記いずれかの回転部材に伝達される。また、本体フレーム11には、ヒートローラ78からの不要な廃熱を装置外へ廃熱するための切欠82も形成されている。
【0022】
駆動ユニット31は、剛性に優れた金属板で構成されるフレームに、全部(本実施例では2つ)のモータ41,42と、カップリング12,13に係合する図示しない2つの駆動ユニット側カップリングと、全部(本実施例では2つ)のギヤ列43と、排気ファン85とを一体的に組み付け、その周囲を剛性樹脂で構成されるフレームに覆って構成される。モータ41,42は、原稿読取手段3に配設された回転部材を除く上記全ての回転部材の駆動源であり、このモータ41,42のモータ軸と駆動ユニット側カップリングの軸とを、各ギヤ列を介して回転動力の伝達可能に接続する。
【0023】
上記構成の駆動ユニット31は、本体フレーム11に取り付け取り外し可能とされているから、駆動ユニット31の取り外しに伴って、全てのモータ41,42、全てのギヤ列43及び排気ファン85が本体フレーム11に対して一体的に取り外しされる。このため、駆動ユニット31において、モータ41,42、ギヤ列43のいずれかのギヤの一つ又は排気ファン85に交換すべき不具合が発生したとしても、フィールドエンジニアは、客先において、個々に部品を取り外す必要なく不具合のある駆動ユニット31を本体フレーム11から取り外し不具合の無い駆動ユニット31を本体フレーム11に取り付けるだけの単純な作業で、複合機1を速やかに復旧させることができる。
【符号の説明】
【0024】
4 画像形成手段
11 本体フレーム
31 駆動ユニット
41,42 モータ
43 ギヤ列
85 排気ファン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙搬送される記録紙上にトナー画像を形成する画像形成手段を備え、この画像形成手段が一つ以上の回転部材を有する画像形成装置であって、
前記一つ以上の回転部材の全てを直接的に又は間接的に回転可能に支持する本体フレームと、
前記一つ以上の回転部材の全てを回転させるための一つ以上の回転駆動源の全部と、前記一つ以上の回転部材の全てに前記一つ以上の回転駆動源の動力を伝達するための一つ以上の動力伝達手段の全部とがフレームに一体的に組みつけられた駆動源ユニットと、を備え、
前記駆動源ユニットが前記本体フレームに対して取り外し可能であることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記回転駆動源がモータであり、前記動力伝達手段の全部がギヤのみで構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、記録紙及びトナー画像に熱を与えてトナー画像を記録紙上に溶融定着する熱定着手段を備え、
前記熱定着手段からの不要熱を装置外に排熱するための排熱手段が前記駆動源ユニットのフレームに取り付けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排熱手段は排気ファンである、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−242432(P2011−242432A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111848(P2010−111848)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】