説明

画像形成装置

【課題】転写かすれ、かぶり、汚れ、フィルミング等が発生するのを抑制することができ、画像品位を向上させることができるようにする。
【解決手段】像担持体と、帯電電圧が印加される帯電装置と、露光装置と、現像電圧が印加される現像剤担持体と、供給電圧が印加される現像剤供給部材と、規制電圧が印加される現像剤規制部材と、前記帯電電圧、現像電圧、供給電圧及び規制電圧を制御する電圧制御部とを有する。前記現像剤担持体上の現像剤の帯電量Q/Mが、25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]にされる。前記像担持体の表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対する前記現像剤担持体上の現像剤層電位Vtnrの比γが、0.1≦γ≦0.2にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面をLEDヘッドによって露光して静電潜像を形成し、現像器によって静電潜像を現像して感光体ドラム上にトナー像を形成した後、転写ローラによってトナー像を用紙に転写し、定着器においてトナー像を用紙に定着させるようになっている。
【0003】
そして、現像器は、現像ローラ、トナー供給ローラ、現像ブレード等を備え、トナーカートリッジから供給されたトナーが帯電させられ、現像ローラ上にトナーの均一な薄層が形成される。そのために、現像ローラに現像電圧が、トナー供給ローラに供給電圧が、現像ブレードに規制電圧がそれぞれ調整されて印加される。また、現像ローラとトナー供給ローラとの間、及び現像ローラと現像ブレードとの間でトナーが摩擦させられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−334955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、感光体ドラムの表面の電位、すなわち、表面電位、及び現像電圧の設定値が適正でないと、転写時に画像部の全体にわたりトナーが十分に用紙に付着しない現象である転写かすれ、用紙の非画像部(白紙部)の全体にわたりわずかなトナーが付着してしまう現象であるかぶり、用紙の非画像部、ハーフトーン部等に、局部的に粒状、筋状、帯状にトナーが付着する現象である汚れ、全面べた印字を行ったときに、局部的に粒状、筋状、帯状の白色部が形成される現象であるフィルミング等が発生し、画像品位が低下してしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、転写かすれ、かぶり、汚れ、フィルミング等が発生するのを抑制することができ、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、帯電電圧が印加され、前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記像担持体の表面を露光し、潜像を形成する露光装置と、現像電圧が印加され、前記像担持体に現像剤を付着させ、潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、供給電圧が印加され、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、規制電圧が印加され、前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材と、前記帯電電圧、現像電圧、供給電圧及び規制電圧を制御する電圧制御部とを有する。
【0008】
そして、前記現像剤担持体上の現像剤の帯電量Q/Mが、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
にされる。
【0009】
また、前記像担持体の表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対する前記現像剤担持体上の現像剤層電位Vtnrの比γが、
0.1≦γ≦0.2
にされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、帯電電圧が印加され、前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記像担持体の表面を露光し、潜像を形成する露光装置と、現像電圧が印加され、前記像担持体に現像剤を付着させ、潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、供給電圧が印加され、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、規制電圧が印加され、前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材と、前記帯電電圧、現像電圧、供給電圧及び規制電圧を制御する電圧制御部とを有する。
【0011】
そして、前記現像剤担持体上の現像剤の帯電量Q/Mが、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
にされる。
【0012】
また、前記像担持体の表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対する前記現像剤担持体上の現像剤層電位Vtnrの比γが、
0.1≦γ≦0.2
にされる。
【0013】
この場合、現像剤担持体上の現像剤の帯電量Q/Mが、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
にされ、像担持体の表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対する現像剤担持体上の現像剤層電位Vtnrの比γが、
0.1≦γ≦0.2
にされるので、転写かすれ、かぶり、汚れ、フィルミング等が発生するのを抑制することができ、画像品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における感光体ドラムの駆動系を示す概念図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるトナーの帯電量と転写かすれのレベルとの関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるトナーの帯電量と転写かすれのレベル及び色差との関係図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における感光体ドラムの駆動系を示す概念図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における線速比と濃度との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0016】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における感光体ドラムの駆動系を示す概念図である。
【0017】
図に示されるように、プリンタ内において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の現像剤としてのトナー14ごとに画像形成部Bk、Y、M、Cが配設され、該各画像形成部Bk、Y、M、Cに沿って転写ユニット21が配設される。各画像形成部Bk、Y、M、Cは、画像形成ユニット15、並びに各画像形成ユニット15に対応させて配設された露光装置としてのLEDヘッド23及び転写部材としての転写ローラ22を備える。
【0018】
なお、各画像形成部Bk、Y、M、Cにおける各画像形成ユニット15は同じ構造を有するので、この場合、画像形成部Bkの画像形成ユニット15についてだけ説明する。
【0019】
該画像形成ユニット15は、着脱自在に配設された現像剤収容部としてのトナーカートリッジ13を備え、該トナーカートリッジ13は内部に前記トナー14を収容する。
【0020】
前記画像形成ユニット15は、ドラム状に形成され、表面に潜像としての静電潜像を担持する像担持体としての感光体ドラム11、該感光体ドラム11の周囲に、感光体ドラム11と当接させて配設され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ12、感光体ドラム11と当接させて配設され、感光体ドラム11の表面に前記トナー14を付着させ、前記静電潜像を現像し、現像剤像としてのトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16、及び第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード19を備える。
【0021】
また、前記画像形成ユニット15は、前記現像ローラ16と当接させて配設され、前記トナーカートリッジ13から供給されたトナー14を帯電させるとともに、現像ローラ16に供給する現像剤供給部材としての、かつ、現像剤供給ローラとしてのトナー供給ローラ18、及び現像剤規制部材としての現像ブレード17を備える。なお、前記現像ローラ16、現像ブレード17、トナー供給ローラ18等によって現像器が構成される。
【0022】
前記感光体ドラム11には、厚さが0.75〔mm〕、外径が30〔mm〕のアルミ素管上に、膜厚が0.5〔μm〕の電荷発生層、及び膜厚が18〔μm〕の電荷輸送層を形成したものが使用される。前記電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、セレン及びその合金、セレン化ヒ素化合物、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクリドン、多環キノン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、染料等が使用される。また、電荷輸送層に使用される電荷輸送物質としては、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、又はこれらの化合物から成る基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が使用される。
【0023】
前記帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させるためのものであり、例えば、ステンレス等の導体を軸としてエピクロルヒドリン等の導電性の弾性層が形成され、感光体ドラム11に当接させて配設される。
【0024】
前記LEDヘッド23は、一様に帯電させられた感光体ドラム11の表面を選択的に露光し、静電潜像(潜像パターン)を形成するためのものであり、LED素子、LED駆動素子及びレンズアレイから成り、LED素子からの照射光を感光体ドラム11の表面に結像させる。
【0025】
前記現像ローラ16においては、SUS材から成る導電性シャフト(芯金)上に弾性層がロール状に形成されるとともに、弾性層を覆う表面層が形成される。前記弾性層には、ウレタンゴム又はシリコーンゴムが使用され、前記表面層は、弾性層の表面をウレタン溶液によって処理したり、弾性層の表面にアクリル樹脂、アクリル−フッ素共重合樹脂等を塗布したりすることによって形成される。なお、アクリル樹脂、アクリル−フッ素共重合樹脂等によって表面層を形成する場合、導電性を付与するためにアクリル樹脂にカーボンブラックが配合され、カーボンブラックの配合量はアクリル樹脂100重量部に対して1重量部にされる。
【0026】
また、トナー供給ローラ18は、SUS材から成る導電性シャフト(芯金)及び弾性層によって形成される。前記弾性層には、導電性シリコーンゴムの発泡体、又は導電性ウレタンゴムの発泡体が使用される。なお、半導電性を有する弾性層を使用する場合は、アセチレンブラック、カーボンブラック等が添加される。
【0027】
そして、前記現像ブレード17は、板厚が0.08〔mm〕のSUS材によって形成され、現像ローラ16との接触部に曲げ加工が施され、曲げ部の曲率半径Rは0.2〔mm〕にされ、現像ローラ16に対する線圧は30〔gf/cm〕にされる。なお、現像ブレード17の曲率半径R及び線圧は、トナー14の帯電量に応じて調整することができる。
【0028】
前記クリーニングブレード19は、例えば、ゴムブレードから成り、ゴムブレードの先端を感光体ドラム11の表面に当て込むように配設される。
【0029】
前記感光体ドラム11は、図3に示されるように、ドラム駆動ギヤ41とのギヤ伝達によって一定の線速度(外周面の速度である周速度。)で回転させられ、前記ドラム駆動ギヤ41は第1の駆動部としての図示されないドラムモータが駆動されるのに伴って回転させられる。また、帯電ローラ12は感光体ドラム11の表面との摩擦伝達によって回転させられ、現像ローラ16は感光体ドラム11とのギヤ伝達によって回転させられ、トナー供給ローラ18はアイドルギヤ42を介した現像ローラ16とのギヤ伝達によって回転させられる。
【0030】
前記現像ローラ16は、感光体ドラム11に対して線速比1.6倍で逆方向に回転させられ、トナー供給ローラ18は現像ローラ16に対して線速比0.7倍で同じ方向に回転させられる。なお、本実施の形態において、線速比は周速比であり、感光体ドラム11に対する現像ローラ16の線速比は、感光体ドラム11の周速度に対する現像ローラ16の周速度の比を表す。
【0031】
そして、前記転写ユニット21は、第1のローラとしての駆動ローラ25a、第2のローラとしてのアイドルローラ25b、前記駆動ローラ25aとアイドルローラ25bとによって張設され、前記各感光体ドラム11と接触させて走行自在に配設されたベルト部材としての転写ベルト24、該転写ベルト24を介して各感光体ドラム11と対向させて配設された前記転写ローラ22等を備える。該各転写ローラ22は、例えば、導電性の発泡性弾性体によって形成される。
【0032】
前記転写ベルト24の下半部には、走行方向における最も下流側の駆動ローラ25aの近傍に、転写ベルト24をクリーニングするための第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード26が配設される。
【0033】
また、前記転写ユニット21の下方には、媒体としての用紙Pを収容する媒体収容部としての給紙カセット31が配設される。そして、32は給紙カセット31の前端に配設されたホッピングローラであり、該ホッピングローラ32によって、前記給紙カセット31から用紙Pが一枚ずつ繰り出され、搬送ローラ34を介して画像形成部Bk、Y、M、Cに送られる。
【0034】
用紙Pの搬送方向における画像形成部Bk、Y、M、Cより下流側には、定着装置としての定着器35が配設される。該定着器35は、第1のローラとしての定着ローラR1及び第2のローラとしての加圧ローラR2を備え、前記定着ローラR1及び加圧ローラR2によって画像形成部Bk、Y、M、Cから送られた用紙P上のカラーのトナー像を用紙Pに定着させ、カラーの画像を形成する。そして、36はカラーの画像が形成された用紙Pをプリンタの本体、すなわち、装置本体外に排出する排出ローラである。
【0035】
なお、前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、LEDヘッド23、現像ローラ16、トナー供給ローラ18、転写ローラ22、駆動ローラ25a、アイドルローラ25b及び定着器35は、図示されない制御部によって制御される。該制御部は、直流電圧を、あらかじめ設定されたタイミングで帯電ローラ12、転写ローラ22、現像ローラ16及びトナー供給ローラ18に印加し、前記ドラムモータを駆動することによって、感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ16、トナー供給ローラ18及び定着ローラR1を各矢印方向に回転させ、走行用の駆動部としての図示されないベルトモータを駆動することによって駆動ローラ25aを矢印方向に回転させる。
【0036】
次に、トナー14について説明する。
【0037】
本実施の形態において、トナー14は、乳化重合法によってトナー粒子を形成し、該トナー粒子にシリカ、酸化チタン微粉末等を加え、ミキサーによって混合することによって形成され、平均粒径が6〔μm〕以下にされる。
【0038】
なお、前記乳化重合法とは、溶媒中でトナー14の結着樹脂であるスチレンアクリル共重合樹脂(重合体)の一次粒子を作成し、一次粒子と同じ溶媒に、乳化剤(界面活性剤)によってエマルション化させた着色剤を混合し、必要に応じてワックス、荷電制御剤等を混合し、それらを凝集させることによってトナー粒子を作成する方法であり、溶媒から取り出されたトナー粒子は、洗浄され乾燥させられることによって、不要な溶媒成分及び副生成物成分が除去される。
【0039】
また、本実施の形態においては、スチレン、アクリル酸及びメチルメタクリル酸からスチレンアクリル共重合樹脂が生成される。着色剤は、ブラックとしてカーボンブラックが、イエローとしてピグメントイエロー74が、マゼンタとしてピグメントレッド238が、シアンとしてピグメントブルー15:3が使用される。さらに、ワックスとしては、高級脂肪酸エステル系ワックスとしてステアリン酸ステアリルが使用される。
【0040】
次に、前記プリンタの制御装置について説明する。
【0041】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0042】
図に示されるように、制御部50はモータ制御部51及び印刷制御部52に接続される。前記モータ制御部51は、ドラムモータ53及びベルトモータ54に接続され、駆動制御部として機能して、ドラムモータ53を駆動して感光体ドラム11等を回転させたり、ベルトモータ54を駆動して転写ベルト24を走行させたりする。また、前記印刷制御部52は、制御部50から印刷の指示を受けると、電圧制御部として機能して、帯電ローラ12、現像ローラ16、トナー供給ローラ18、現像ブレード17及び転写ローラ22に印加する帯電電圧、現像電圧、供給電圧、規制電圧及び転写電圧の各電圧を制御したり、発光制御部として機能して、LEDヘッド23の発光量を制御したりして、印刷を行う。
【0043】
次に、前記構成のプリンタの動作について説明する。
【0044】
印刷工程において、まず、印刷制御部52は、帯電ローラ12に帯電電圧を印加して感光体ドラム11の表面を一様に帯電させ、制御部50からの画像データに基づいてLEDヘッド23を発光させ、感光体ドラム11の表面に静電静電を形成する。次に、印刷制御部52は、表面にトナーの薄層が形成された現像ローラ16に現像電圧を印加して感光体ドラム11上の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。ここで、印刷制御部52は、現像ローラ16上に厚さが均一にされたトナーの薄層、すなわち、現像剤層としてのトナー層を形成し、該トナー層中のトナーの帯電量である平均帯電量を調整して所定の値にするために、供給電圧及び規制電圧をそれぞれ調整する。また、印刷制御部52は、前記平均帯電量を調整して所定の値にするために、帯電電圧及び現像電圧のいずれか一方を変更する。
【0045】
次に、前記印刷制御部52は、転写ローラ22に転写電圧を印加し、ベルトモータ54を駆動して転写ベルト24を走行させ、各感光体ドラム11上の各色のトナー像を用紙Pに順次重ねて転写してカラーのトナー像を形成し、用紙P上のカラーのトナー像を定着器35において用紙Pに定着させ、カラー画像を形成する。そして、カラー画像が形成された用紙Pは排出ローラ36によって装置本体外に排出され、印刷動作が完了する。
【0046】
なお、転写後の感光体ドラム11の表面には、わずかな量のトナー14が残留することがあるが、残留したトナー14は前記クリーニングブレード19によって掻き取られ、除去される。
【0047】
なお、負の極性に帯電させられるトナー、すなわち、負帯電性トナーを使用して、プリンタを常温常湿の環境下で動作させる場合、電圧設定において、例えば、帯電電圧は−1100[V]にされ、現像電圧は−200[V]にされ、供給電圧は−300[V]にされ、規制電圧は−300[V]にされる。所定の値以上の帯電電圧が帯電ローラ12に印加されると、前記感光体ドラム11の表面が帯電させられ、帯電電圧に比例する表面電位が形成される。例えば、帯電電圧を−1100[V]にすると、感光体ドラム11の表面に−600[V]の表面電位が形成される。そして、LEDヘッド23の発光によって形成された静電潜像の部分の電位、すなわち、潜像電位は−50[V]になり、静電潜像に現像ローラ16からトナー14が付着させられ、反転現像が行われる。また、正の極性に帯電させられるトナー、すなわち、正帯電性トナーを使用する場合、前記各電圧の正負が逆になる。
【0048】
そして、本実施の形態において、帯電電圧は−1000[V]以上、かつ、1200[V]以下の範囲に、感光体ドラム11の表面電位は−500[V]以上、かつ、700[V]以下の範囲に、現像電圧は−100[V]以上、かつ、300[V]以下の範囲に設定される。
【0049】
ところで、印刷速度が高くなると、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を確実に用紙Pに転写することができず、転写かすれが発生する。
【0050】
次に、現像ローラ16上のトナー14の帯電量Q/M、印刷速度及び転写かすれのレベルの関係について説明する。
【0051】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるトナーの帯電量と転写かすれのレベルとの関係を示す図である。なお、横軸にトナー14の帯電量Q/Mを、縦軸に転写かすれのレベルを採ってある。
【0052】
印刷速度を20[PPM]、40[PPM]及び60[PPM]に設定し、トナー14の帯電量Q/Mを変化させてそれぞれ転写かすれの発生状態を調べると、印刷速度が高くなるほど転写かすれが発生しやすくなることが分かる。
【0053】
そこで、印刷速度が高くても転写かすれが発生しない条件を取得するために、印刷速度を60[PPM]に設定して実験を行った。なお、印刷速度を60[PPM]に設定した場合、感光体ドラム11の線速度は265[mm/s]になる。
【0054】
この場合、前記トナー14の帯電量Q/Mは、吸引式小型帯電測定装置(TREK社製 MODEL210HS−3)によって電荷Qを測定し、電荷Qを測定した時点で電子天秤(sartorius社製 CP225D)によってトナー14の重量Mを測定し、電荷Qを重量Mで除算することによって算出した。また、感光体ドラム11の表面電位及び現像ローラ16上のトナー層の電位、すなわち、トナー層電位は表面電位計(TREK社製 MODEL344)によって測定した。
【0055】
前記現像ローラ16上のトナー14の帯電量Q/M及びトナー層電位の測定箇所は、現像ローラ16上の円周上における現像ブレード17との接点と感光体ドラム11との接点との間とし、感光体ドラム11の表面電位の測定箇所は、感光体ドラム11の円周上における帯電ローラ12との接点と現像ローラ16との接点との間とした。
【0056】
また、かぶりの程度を表す指標として色差ΔEを使用した。該色差ΔEは、印刷がされる前の用紙P、すなわち、未印字紙におけるLab値と、印刷がされた後の用紙Pの非画像部(白紙部)のLab値とを比較することによって算出される。そして、色差ΔEの値が小さいほどかぶりの発生は少なく、画像品位が高い。なお、Lab値の測定には、分光測色計(KONICAMINOLTA社製 CM−2600d)を使用した。
【0057】
また、転写かすれのレベルは、A4判の用紙Pに全面べた印字を行い、用紙Pに形成された画像の濃度を測定し、濃度に応じて10段階で評価した。レベルが大きいほど転写かすれの発生は少なく、画像品位が高い。なお、濃度の測定には、分光濃度計(X−Rite社製 X−Rite528)を使用した。
【0058】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるトナーの帯電量と転写かすれのレベル及び色差との関係図である。なお、横軸にトナー14の帯電量を、縦軸に転写かすれのレベル及び色差ΔEを採ってある。
【0059】
図に示されるように、トナー帯電量Q/Mを大きくすると、転写かすれのレベル及び色差ΔEが小さくなり、転写かすれが発生しやすくなり、かぶりが発生しにくくなる。そこで、本実施の形態においては、かぶりの発生が抑制される範囲を色差ΔEが0.5以下とし、転写かすれの発生が抑制される範囲をレベル8以上とし、トナー14の帯電量Q/Mの好ましい範囲を、
−25[μC/g]≦Q/M≦−40[μC/g]
とする。なお、正帯電性トナーの場合は、符号が逆で同様の傾向を示すので、トナー14の帯電量Q/Mの範囲を絶対値で表し、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
とする。
【0060】
次に、前記現像ローラ16上のトナー層の電位、すなわち、現像剤層電位としてのトナー層電位をVtnrとし、感光体ドラム11の表面電位をVopcとし、現像電圧をVdbとし、表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対するトナー層電位Vtnrの比をγ
γ=Vtnr/(Vopc−Vdb)
としたときの、比γと汚れ及びフィルミングとの関係を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から分かるように、比γが0.1未満の場合はフィルミングが発生し、比γが0.2より大きい場合は汚れが発生した。したがって、印刷制御部52は、画像品位を高くするために、比γを調整して、
0.1≦γ≦0.2
の範囲になるように表面電位Vopc及び現像電圧Vdbを変更する。印刷制御部52は、前記比γを調整するために、表面電位Vopc及び現像電圧Vdbのうちのいずれか一方を変更することができる。
【0063】
このように、本実施の形態においては、トナー14の帯電量Q/Mの好ましい範囲を、絶対値で表したときに、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
とし、比γが、
0.1≦γ≦0.2
の範囲になるように表面電位Vopc及び現像電圧Vdbを調整することによって、転写かすれ、かぶり、汚れ、フィルミング等が発生するのを抑制することができ、画像品位を向上させることができる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0065】
図6は本発明の第2の実施の形態における感光体ドラムの駆動系を示す概念図である。
【0066】
なお、本実施の形態においては、媒体としての用紙Pに形成された画像の濃度に応じて、像担持体としての感光体ドラム11に対する現像剤担持体としての現像ローラ16の線速比を変更することができるように、第2の駆動部としての図示されないローラモータが現像ローラ16と連結させて配設される。
【0067】
感光体ドラム11は、図に示されるように、ドラム駆動ギヤ41とのギヤ伝達によって一定の線速度で回転させられ、前記ドラム駆動ギヤ41は第1の駆動部としての前記ドラムモータ53(図1)を駆動することによって回転させられる。また、帯電装置としての帯電ローラ12は前記感光体ドラム11の表面との摩擦伝達によって回転させられ、前記現像ローラ16はローラ駆動ギヤ43とのギヤ伝達によって回転させられ、ローラ駆動ギヤ43は前記ローラモータを駆動することによって回転させられる。さらに、現像剤供給部材としての、かつ、現像剤供給ローラとしてのトナー供給ローラ18はアイドルギヤ42を介した現像ローラ16とのギヤ伝達によって回転させられる。
【0068】
前記現像ローラ16は、所定の線速比で感光体ドラム11に対して逆方向に回転させられ、トナー供給ローラ18は、あらかじめ設定された線速比の0.7倍で現像ローラ16に対して同じ方向に回転させられる。そのために、前記モータ制御部51は、駆動制御部として機能して、前記ドラムモータ53及びローラモータの各回転速度のうちの一方、本実施の形態においては、ローラモータの回転速度を変更することによって、感光体ドラム11に対する現像ローラ16の線速比を変更する。
【0069】
図7は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0070】
図において、56はベルト部材としての転写ベルト24(図2)に形成された現像剤像としてのトナー像の濃度を検出する濃度検出部であり、該濃度検出部56は、転写ベルト24と対向させて配設され、検出した濃度を制御部50に送る。そのために、転写ベルト24に所定のパターンで前記トナー像が形成される。濃度が検出された後のトナー像は、第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード26(図2)によって掻き取られ、除去される。
【0071】
また、前記モータ制御部51はドラムモータ53、ベルトモータ54及びローラモータ55に接続され、ドラムモータ53を駆動して感光体ドラム11等を回転させ、ベルトモータ54を駆動して転写ベルト24を走行させ、ローラモータ55を駆動して現像ローラ16を回転させる。
【0072】
本実施の形態において、濃度検出部56によって検出された濃度が制御部50に送られると、モータ制御部51は制御部50からの指示に基づいて、ローラモータ55の回転速度を変更し、感光体ドラム11に対する現像ローラ16の線速比を変更する。
【0073】
図8は本発明の第2の実施の形態における線速比と濃度との関係図である。なお、横軸に線速比を、縦軸に濃度を採ってある。
【0074】
図に示されるように、感光体ドラム11に対する現像ローラ16の線速比が大きいほど濃度が高い。
【0075】
したがって、印刷制御部52は、回転制御部として機能して、濃度検出部56によって検出された濃度が高い場合、ローラモータ55の回転速度を低くして、線速比を小さくし、濃度が低い場合、ローラモータ55の回転速度を高くして、線速比を大きくする。
【0076】
前記第1の実施の形態においては、表面電位Vopc及び現像電圧Vdbを調整することによって汚れ及びフィルミングが発生するのを抑制することができるが、現像電圧Vdbを調整することによって画像の濃度が低くなってしまうことがある。そこで、本実施の形態において、モータ制御部51は、濃度検出部56によって検出された濃度に基づいて、ローラモータ55の回転速度を変更し、感光体ドラム11に対する現像ローラ16の線速比を大きくすることによって、画像の濃度が低くなるのを防止する。
【0077】
したがって、画像品位を向上させることができる。
【0078】
前記各実施の形態においては、プリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ、複合機等に適用することもできる。
【0079】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0080】
11 感光体ドラム
12 帯電ローラ
14 トナー
16 現像ローラ
17 現像ブレード
18 トナー供給ローラ
23 LEDヘッド
52 印刷制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)帯電電圧が印加され、前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、
(c)帯電させられた前記像担持体の表面を露光し、潜像を形成する露光装置と、
(d)現像電圧が印加され、前記像担持体に現像剤を付着させ、潜像を現像して現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(e)供給電圧が印加され、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、
(f)規制電圧が印加され、前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材と、
(g)前記帯電電圧、現像電圧、供給電圧及び規制電圧を制御する電圧制御部とを有するとともに、
(h)前記現像剤担持体上の現像剤の帯電量Q/Mが、
25[μC/g]≦|Q/M|≦40[μC/g]
にされ、
(i)前記像担持体の表面電位Vopcと現像電圧Vdbとの差に対する前記現像剤担持体上の現像剤層電位Vtnrの比γが、
0.1≦γ≦0.2
にされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
(a)ベルト部材と、
(b)該ベルト部材上に形成された現像剤像の濃度を検出する濃度検出部と、
(c)前記像担持体を回転させるための第1の駆動部と、
(d)前記現像剤担持体を回転させるための第2の駆動部と、
(e)第1、第2の駆動部を駆動し、前記像担持体に対するあらかじめ設定された現像剤担持体の線速比で前記像担持体及び現像剤担持体を回転させる駆動制御部とを有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧制御部は、供給電圧及び規制電圧を変更することによって現像剤の平均帯電量を調整する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、帯電電圧及び現像電圧のいずれか一方を変更することによって現像剤の平均帯電量を調整する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電圧制御部は、帯電電圧及び現像電圧を変更することによって前記比γを調整する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電圧制御部は、帯電電圧及び現像電圧のいずれか一方を変更することによって前記比γを調整する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動制御部は、濃度検出部によって検出された画像の濃度に基づいて前記現像剤担持体の回転速度を変更する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体の線速度が265[mm/s]以下にされる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤担持体の弾性層がウレタンゴム又はシリコーンゴムによって形成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記現像剤の平均粒径が6〔μm〕以下にされる請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−33722(P2011−33722A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178170(P2009−178170)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】