説明

画像形成装置

【課題】親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供する。
【解決手段】イベント探索部91は、イベント管理テーブル93の開催日程及び基準日若しくは基準日時に基づき対象イベントを探索する。配信要領取得部97は、イベント探索部91によって探索した対象イベントとイベント開催要領並びにユーザ固有情報に基づき当該対象イベントに関連するイベントデータに係る配信要領を取得する。そして、イベントデータ管理部99は、イベントデータボックス73から対象イベントに関連するイベントデータを抽出すると共に、当該抽出したイベントデータの実体または当該実体への参照データを前記取得した配信要領に従う対象ユーザのユーザボックス宛に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータをユーザに適時に提供可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、スキャナ、ファクシミリ通信、又はデータ通信等の機能を複合的に有する、MFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれる画像形成装置が提供されている。
【0003】
かかるMFPでは、ボックス機能を有するものが知られており、ボックスと呼ばれる所定の保存領域にスキャナで読み取った画像等の電子文書を保存しておく。ユーザは、自身の管理下にあるボックスに保存された電子文書に操作パネル又は通信網を介してアクセスし、その内容を閲覧し又は用紙上に印刷出力させることができる。
【0004】
こうしたボックス機能を有する画像形成装置の一例として、データを区分けして格納可能なボックスと、該ボックスに格納されたデータを出力する出力手段と、前記ボックスへ格納されるデータの数を設定するデータ数設定手段と、前記ボックスに格納されたデータ数が前記設定されたデータ数に達すると、格納されたデータを出力手段に出力させる制御手段と、を備えたデータ出力制御技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、複数のデータをボックスに格納集合させて出力させる場合や、複数のボックスに出力開始時刻を設定した場合の、ユーザの利便性向上を実現することができる。
【0006】
ところで、仮に、ボックス機能を有する画像形成装置において、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供することができれば、ユーザの利便性向上に多大な貢献を果たすであろうことは想像に難くない。しかるに、こうした試みは一切されてこなかったのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−295475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、従来のボックス機能を有する画像形成装置では、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供することはできていなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供可能な画像形成装置を得ることを目的とする。
本発明に係る画像形成装置は、イベントデータボックス、ユーザボックス、イベント管理テーブル、ユーザ管理テーブル、イベント探索部、配信要領取得部、及びイベントデータ管理部を備えたことを最も主要な特徴とする。ここで、イベントデータボックスには、イベントに関連するイベントデータが保存される。ユーザボックスにはユーザ毎の親展データが保存されており、それぞれの親展データに対して親展先となったユーザに限定して前記親展データにアクセスが可能である。イベント管理テーブルは、開催日程、出席対象ユーザの情報及び前記イベントデータの情報を含むイベント開催要領がイベント単位で登録管理される。ユーザ管理テーブルは、前記ユーザボックスを一意に識別するためのユーザボックス識別情報を含むユーザ固有情報がユーザ単位で登録管理される。イベント探索部は、前記イベント管理テーブルの開催日程及び基準日若しくは基準日時に基づき対象イベントを探索する。配信要領取得部は、前記対象イベントに対応する前記イベント開催要領並びに前記ユーザ固有情報に基づき、前記対象イベントに関連するイベントデータの配信に係る配信要領を取得する。イベントデータ管理部は、前記イベントデータボックスから前記対象イベントに関連するイベントデータを抽出すると共に、前記抽出したイベントデータの実体または前記実体への参照データを前記親展データとして、前記取得した配信要領に従う対象ユーザのユーザボックス宛に配信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記の構成とすることにより、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供可能な、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置を用いたイベントデータ配信システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る画像形成装置並びにその周辺の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】イベント開催要領がイベント単位で登録管理されたイベント管理テーブル例を示す説明図である。
【図4】ユーザ固有情報がユーザ単位で登録管理されたユーザ管理テーブル例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に係る画像形成装置の動作フローチャート図である。
【図6】イベントデータボックスから抽出した対象イベントに関連するイベントデータを対象ユーザのユーザボックス宛にそれぞれ配信する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供可能な画像形成装置を得るといった目的を、イベントに関連するイベントデータを、イベントの開催日に合わせて、そのイベントの対象ユーザのユーザボックス宛に、必要に応じて配信する構成によって実現した。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例に係る画像形成装置及びイベントデータ配信システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[実施例に係るイベントデータ配信システムの概略構成]
図1は、実施例に係る画像形成装置を用いたイベントデータ配信システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0014】
図1に示すように、イベントデータ配信システム1は、画像形成装置3と、複数のユーザがそれぞれ所持する複数のクライアント装置(以下、「ユーザ端末」という。)7-1,7-2,7-3,7-4,7-5・・・と、電子メールサーバ9と、の間を、イントラネット網(通信媒体)5を介して接続して構成されている。なお、イントラネット網5は、事業所内等の限定された範囲においてインターネットの標準的な技術を利用することで構築されたコンピュータネットワークである。
[実施例に係る画像形成装置の概略構成]
図2は、実施例に係る画像形成装置及びその周辺の概略構成を示す機能ブロック図、図3は、イベント開催要領がイベント単位で登録管理されたイベント管理テーブル例を示す説明図、図4は、ユーザ固有情報がユーザ単位で登録管理されたユーザ管理テーブル例を示す説明図である。
【0015】
画像形成装置3は、図2に示すように、コピー、印刷出力、ファクシミリ通信、データ送信(スキャナで読み取られた画像データを、メール等によりネットワーク経由で外部端末へ送信する機能)、又は文書ボックスを含む各種機能が利用可能であり、主制御部11によって制御される。
【0016】
主制御部11は、情報処理機能を有するコンピュータであって、画像形成装置3全体の動作を統括制御する。
【0017】
主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、画像形成装置3は、図2に示すように、スキャナ21、印刷エンジン41、操作パネル51、HDD(Hard Disk Drive)71、及びNIC(Network Interface Card)81を備える。
【0018】
スキャナ21は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31宛に出力する。
【0019】
印刷エンジン41は、画像処理部31(画像処理部31の詳細については後述する。)で画像処理された画像データ等を用いて画像を用紙に印刷する。
【0020】
操作パネル51は、ユーザが画像形成装置1で利用可能な各種機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0021】
NIC81は、イントラネット網5を介して接続されたユーザ端末7-1,7-2,7-3,7-4,7-5・・・等に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0022】
HDD(Hard disk drive)71は、イベントデータ、各ユーザへの親展データ、及びこれらのデータを管理するための管理テーブルを保存する記憶装置である。具体的には、HDD71には、図1及び図2に示すように、イベントデータボックス73、ユーザボックス75、イベント管理テーブル92及びユーザ管理テーブル95の各保存領域が設けられている。ここで、イベントデータボックス73には、イベント(例えば会議)に関連するイベントデータ(例えば会議資料)がユーザ(システム管理者を除く)から秘匿化された状態で保存される。ここで、イベントデータは、スキャナ21によって読み取られたり、NIC81によってユーザ端末7-1,7-2,7-3,7-4,7-5・・・から送信されたりした画像や文書のデータである。また、ユーザボックス75には各ユーザへ配信された親展データが保存されており、前記親展データのそれぞれに対して親展先となったユーザに限定して前記親展データにアクセスが可能である。なお、ユーザボックス75には、第三者による親展データへのアクセスを制限するために、例えばパスワードやICカードなどを用いたユーザ認証機能が付与されている。
【0023】
イベント管理テーブル93は、図3に示すように、イベント名(イベントIDの概念を含む)、開催日程、場所、出席対象ユーザの情報(出席者の所属部署、出席者など)、イベントデータの情報(資料IDなど)及び状態フラグ(イベントデータの配信処理状態を表す)を含むイベント開催要領が、イベント単位で登録管理されたテーブルである。イベント主催者等のユーザは、イベント管理テーブル93のイベント開催要領を、操作パネル51から入力したり、自分のユーザ端末(7-1,7-2,7-3,7-4,7-5・・・のいずれか)からイベントデータと共にNIC81経由で送信したりして登録することができる。
【0024】
ユーザ管理テーブル95は、図4に示すように、ユーザ名(ユーザIDの概念を含む)、ユーザボックスID(ユーザボックスを一意に識別するための識別情報)、所属部署、形式設定(データ配信時のデータ形式を設定する)、印刷設定(配信されてきたイベントデータの印刷要否を設定する)、通信設定(イベントデータ配信完了通知を行う際の通信手段の種別(電子メールまたはIP Messengerなど)を設定する)及び削除設定(印刷後やイベント終了後等の所定のタイミングで対象となるデータを削除するか否かを設定する)を含むユーザ固有情報が、ユーザ管理テーブル95のユーザ固有情報を、ユーザ単位で登録管理されたテーブルである。各ユーザやシステム管理者は、操作パネル51から入力したり、自分のユーザ端末(7-1,7-2,7-3,7-4,7-5・・・のいずれか)からイベントデータと共にNIC81経由で送信したりして登録することができる。
【0025】
主制御部11は、情報処理機能を有するコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。
【0026】
CPUは、プログラムの記述に従う処理を順次実行する演算処理装置である。ROMは、プログラム等を保存する不揮発性のメモリである。RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムや各種データを一時的に保存するメモリである。
【0027】
主制御部11は、画像形成装置1の動作を制御するためのプログラムを実行することによって、画像処理部31、イベント探索部91、配信要領取得部97、及びイベントデータ管理部99として機能する。
【0028】
画像処理部31は、スキャナ21又はNIC81より出力されたデータに対して所定の画像処理を施して、印刷エンジン41又はNIC65へ出力する。
【0029】
イベント探索部91は、イベント管理テーブル93の開催日程及び基準日若しくは基準日時(実施例では現在の日時)に基づき対象イベントを探索する。具体的には、イベント探索部91は、例えば、現在の日時から所定時間(例えば3時間等の適宜変更可能な時間)経過後に開催日程が到来する対象イベントを、現在の日時(実際には、現在の日時に前記所定時間を加えた日時)を探索キーとしてイベント管理テーブル93の開催日程の項目を参照することによって探索する。
【0030】
配信要領取得部97は、イベント探索部91によって探索された対象イベントと、イベント管理テーブル93のイベント開催要領並びにユーザ管理テーブル95のユーザ固有情報に基づき、この対象イベントに関連するイベントデータの配信に係る配信要領や、ユーザ固有情報に含まれる各種設定情報を取得する。
【0031】
イベントデータ管理部99は、配信要領取得部97によって取得された配信要領に従うイベントデータをイベントデータボックス73から抽出すると共に、抽出されたイベントデータまたはこのイベントデータへのアクセスが可能となる参照データ(ショートカットまたはエイリアスなどと呼ばれるもの)を前記親展データとして、配信要領に従う対象ユーザのユーザボックス75宛に配信する。
【0032】
[実施例に係る画像形成装置の動作]
実施例に係る画像形成装置の動作について、現在の日時が (2009.09.02 07:00) である場合を例示して、図5及び図6を参照して説明する。
【0033】
図5は、実施例に係る画像形成装置の処理の流れを示す動作フローチャート図、図6は、イベントデータボックスから抽出した対象イベントに関連するイベントデータを対象ユーザのユーザボックス宛にそれぞれ配信する様子を示す説明図である。
【0034】
図5に示すように、イベント探索部91は、主制御部11が有するカレンダー機能に基づき現在の日時を取得し(ステップS11)、取得した現在の日時(2009.09.02 07:00) に所定時間(3時間)を加算した日時(2009.09.02 10:00)を探索キーとしてイベント管理テーブル93の項目「開催日程」を参照することによって対象イベントを探索する(ステップS12)。
【0035】
ステップS12の探索の結果、対象イベントが探索されない場合(ステップS13の“No”)、イベント探索部91は、処理の流れをステップS11へと戻し、以下の処理を繰り返す。
【0036】
一方、ステップS12の探索の結果、対象イベント(本実施例では、「開発1課会議」が対象イベントに該当する)が探索されると(ステップS13の“Yes”)、配信要領取得部97は、探索された対象イベント「開発1課会議」のレコード欄に記述された各種項目のうち、どのユーザ宛にどのイベントデータを配信すべきかに係る配信要領の情報などを各テーブル内のデータを参照することによって取得する(ステップS14)。
【0037】
すなわち、配信要領取得部97は、はじめにイベント管理テーブル93の項目「出席者」から対象ユーザが「開発1課課員」である旨及びイベントデータを特定するための資料ID「20090902_001」を取得する。次いで、配信要領取得部97は、対象ユーザ「開発1課課員」を探索キーとしてユーザ管理テーブル95の項目「所属部署」を参照することによって、対象ユーザに係るユーザ名(本実施例では、ユーザ 7-1,7-3及び7-5がユーザ名に該当する)、ユーザボックスID(本実施例では、ユーザボックス 7-1,7-3及び7-5がユーザボックスIDに該当する)、各ユーザ固有の配信要領(形式設定)及び配信によって生じた処理内容の情報(印刷設定、通信設定及び削除設定の各情報)を取得する。
【0038】
ステップS14で取得した配信要領等の情報を受けて、イベントデータ管理部99は、イベントデータボックス73に保存されている複数のイベントデータのなかから、資料ID「20090902_001」が割り当てられた対象イベントに関連するイベントデータ(本実施例では「開発1課会議資料」が該当する)を抽出する(ステップS15)。
【0039】
次いで、イベントデータ管理部99は、ステップS15で抽出した対象イベントに関連するイベントデータ(開発1課会議資料)を、対象ユーザ(ユーザ 7-1,7-3及び7-5)の各ユーザボックス(ユーザボックス 7-1,7-3及び7-5)宛に配信する(ステップS16)。
【0040】
なお、ステップS16のイベントデータ配信に先立って、イベントデータ管理部99は、対象ユーザ(ユーザ 7-1,7-3及び7-5)毎の形式設定情報を参照することで、必要に応じてデータ形式変換を行った後、イベントデータの配信を行うこともできる。
【0041】
本実施例では、仮にイベントデータの原形式がテキスト形式であった場合、イベントデータ管理部99は、ユーザ 7-1及び7-3についてはテキスト形式のまま、ユーザ 7-5についてはPDF(Portable Document Format )形式への変換処理後、イベントデータの配信を行うことになる。
【0042】
ステップS16におけるイベントデータの配信完了後に、イベントデータ管理部99は、ステップS14で取得した配信要領の情報に含まれる通信設定情報に従って、対象ユーザ(ユーザ 7-1,7-3及び7-5)宛にイベント開催要領(開催日程、場所、出席対象ユーザの情報)と共に配信完了の通知をNIC81を介して行う(ステップS17)。本実施例では、対象ユーザのうちユーザ 7-1及び7-3宛には電子メール、ユーザ 7-5宛にはIP Messengerによって、イベント開催要領及び配信完了の通知が行われることになる。
【0043】
次いで、イベントデータ管理部99は、対象ユーザ(ユーザ 7-1,7-3及び7-5)毎の印刷設定情報を参照することによって、ステップS16で配信済みのイベントデータに係る印刷出力指令を画像処理部31へ出力する(ステップS18〜S19)。
【0044】
本実施例では、ユーザ 7-1及び7-3については印刷オン設定がなされているから印刷出力指令を実行する。すなわち、画像処理部31は、印刷出力指令に従って、イベントデータボックス73内のイベントデータを印刷用に加工し、印刷エンジン41に出力する。印刷エンジン41は、画像処理部31からの出力を受けて、ユーザ7-1及び7-3用にイベントデータを2部印刷する。一方、ユーザ 7-5については印刷オフ設定がなされているから印刷出力指令が出力されないことになる。
【0045】
次いで、イベントデータ管理部99は、ユーザ管理テーブルから、対象イベントについての対象ユーザ(ユーザ 7-1,7-3及び7-5)毎の削除設定情報を参照することによって、削除対象として設定された範囲のイベントデータを、設定されたタイミングでイベントデータボックス73から削除する処理を実行する(ステップS20〜S21)。
【0046】
本実施例では、仮に、削除対象として、各ユーザボックス(ユーザボックス 7-1,7-3及び7-5)宛に配信されたイベントデータが範囲設定されている場合、ユーザ 7-1については削除オン(1S:1秒後を意味する。)設定がなされているから、印刷出力時点から1秒後(即時)のタイミングでユーザボックス 7-1のイベントデータが削除される。また、ユーザ 7-3については削除オン(1W:1週間後を意味する。)設定がなされているから、印刷出力時点から1週間経過後のタイミングでユーザボックス 7-3のイベントデータが削除予約される。そして、ユーザ 7-5については削除オフ設定がなされているから、ユーザボックス 7-5のイベントデータは削除されない。
【0047】
ちなみに、ユーザ 7-2の削除オン(1D)設定は、印刷出力時点から1日経過後のタイミングでユーザボックス 7-2のイベントデータが削除予約されることを意味し、また、ユーザ 7-4の削除オン(1M)設定は、印刷出力時点から1ヶ月経過後のタイミングでユーザボックス 7-4のイベントデータが削除予約されることを意味する。
【0048】
なお、削除対象として、各ユーザボックス(ユーザボックス 7-1,7-3及び7-5)宛に配信されたイベントデータに加えて、配信元となるイベントデータボックス73内のイベントデータが範囲設定されている場合、イベントデータ管理部99は、全対象ユーザのユーザボックス内のイベントデータが削除されたタイミングで、配信元の原イベントデータを削除する。
【0049】
ステップS18〜S21の印刷又は削除(予約)を実行後に、イベントデータ管理部99は、処理の流れをステップS11に戻し、以下の処理を繰り返し実行させる。
【0050】
[実施例の効果]
本実施例に係る画像形成装置では、イベント探索部91は、イベント管理テーブル93の開催日程と及び基準日若しくは基準日時(実施例では現在の日時)に基づき対象イベントを探索する。配信要領取得部97は、イベント探索部91によって探索された対象イベントに対応するイベント開催要領並びにユーザ固有情報に基づき、前記対象イベントに関連するイベントデータの配信に係る配信要領を取得する。そして、イベントデータ管理部99は、イベントデータボックス73から対象イベントに関連するイベントデータを抽出すると共に、抽出したイベントデータの実体またはこの実体への参照データを前記親展データとして、前記取得した配信要領に従う対象ユーザのユーザボックス宛に配信する。
【0051】
ユーザボックスは、各ユーザの管理下にある親展データの保存ツールとして常用されるものである。こうしたユーザボックス宛に会議資料等のイベントデータが適時に配信されることによって、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供可能な、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0052】
また、各ユーザから秘匿化される、イベントデータの構成を採用した場合、対象ユーザに限定したイベントデータの提供を実現可能となる。結果として、機密性、親展性及びアクセス性を高水準で確保しながら会議等のイベントに関連する会議資料等のイベントデータを対象ユーザ宛に適時に提供可能な、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0053】
さらに、本実施例に係る画像形成装置では、ユーザ固有情報として通信設定を含むユーザ管理テーブルの構成、前記通信設定情報を取得する配信要領取得部の構成、かつ前記設定情報に従う通信手段によって前記対象ユーザ宛に配信完了通知を送る、イベントデータ管理部の構成を採用してもよい。この場合、対象ユーザ毎の都合に合わせた通信手段によって対象ユーザ宛にイベントデータの配信完了通知が送られる。この完了通知を受け取った対象ユーザはイベントデータの閲覧等を通じてイベントの存在及び概要を認識する(忘れていた場合には思い出す)ことが可能となる。その結果、イベントデータの配信完了通知がリマインダとしての役割を果たすという意味で、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0054】
しかも、本実施例に係る画像形成装置では、ユーザ固有情報として形式設定を含むユーザ管理テーブルの構成、前記形式設定情報を取得する配信要領取得部の構成、かつ前記設定情報に従うデータ形式にした前記イベントデータの実体またはこの実体への参照データを前記対象ユーザのユーザボックス宛に配信する、イベントデータ管理部の構成を採用してもよい。この場合、対象ユーザ毎の都合に合わせたデータ形式とされたイベントデータを各対象ユーザ宛に配信することが可能となる。その結果、各対象ユーザサイドでのデータ形式変換の手間を省くことができるという意味で、ユーザの利便性向上に資する画像形成装置を得ることができる。
【0055】
また、本実施例に係る画像形成装置では、ユーザ固有情報として印刷設定を含むユーザ管理テーブルの構成、前記印刷設定情報を取得する前記配信要領取得部の構成、かつ前記設定情報が印刷オン設定である場合、前記イベントデータの印刷出力指令を出力するイベントデータ管理部の構成を採用してもよい。この場合、携帯用のノートPCにイベントデータをコピーして閲覧するから印刷出力は不要であるなどといった、対象ユーザ毎の事情に適合させた印刷出力設定を実現することが可能となる。その結果、無駄な資料の印刷出力を可及的に省くことができるという意味で、省資源化の要請に沿う画像形成装置を得ることができる。
【0056】
さらに、本実施例に係る画像形成装置では、ユーザ固有情報として削除設定を含むユーザ管理テーブルの構成、前記削除設定情報を取得する配信要領取得部の構成、かつ前記設定情報が削除オン設定の場合、前記設定情報に従う対象データを前記設定情報に従うタイミングで削除する、イベントデータ管理部の構成を採用してもよい。この場合、対象ユーザ毎の事情に適合させたタイミングによって範囲設定された削除対象となるイベントデータの削除を実現することが可能となる。その結果、無駄な資料の占有による情報保存資源の枯渇化を未然に回避することができるという意味で、情報保存資源の最適化の要請に沿う画像形成装置を得ることができる。
【0057】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含される。
【0058】
上述した実施例では、「基準日又は基準日時」を現在の日時としたが、イベント開催以前の任意の日付又は日時を、イベントの主催者等が操作パネル51から入力して「基準日又は基準日時」としてもよい。
【0059】
また、上述した実施例では、イベントデータ、各ユーザへの親展データ、及びこれらのデータを管理するための管理テーブルをHDD71に保存したが、フラッシュメモリ(登録商標)等の他の書き換え可能な不揮発性メモリを使用してもよい。
【0060】
また、イベントデータ、各ユーザへの親展データ、イベント開催要領及びユーザ固有情報は、USBメモリや各種メモリカードを用いて、USBポート又はメモリスロット経由で、HDD71に保存・登録してもよい。
【0061】
また、本発明の実施例における「ユーザ」とは、個人ユーザを含むことは当然として、例えば、ある部署の所属員を包括して意味する部門ユーザをも、その概念に含むことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0062】
11 主制御部
71 HDD
73 イベントデータボックス
75 ユーザボックス
91 イベント探索部
93 イベント管理テーブル
95 ユーザ管理テーブル
97 配信要領取得部
99 イベントデータ管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントに関連するイベントデータが保存されるイベントデータボックスと、
ユーザ毎の親展データが保存されて、前記親展データのそれぞれに対して親展先となったユーザに限定して前記親展データにアクセス可能なユーザボックスと、
開催日程、出席対象ユーザの情報及び前記イベントデータの情報を含むイベント開催要領がイベント単位で登録管理されるイベント管理テーブルと、
前記ユーザボックスを一意に識別するためのユーザボックス識別情報を含むユーザ固有情報がユーザ単位で登録管理されるユーザ管理テーブルと、
前記イベント管理テーブルの開催日程及び基準日若しくは基準日時に基づき対象イベントを探索するイベント探索部と、
前記探索した前記対象イベントに対応する前記イベント開催要領並びに前記ユーザ固有情報に基づき、前記対象イベントに関連するイベントデータの配信に係る配信要領を取得する配信要領取得部と、
前記イベントデータボックスから前記対象イベントに関連するイベントデータを抽出すると共に、前記抽出したイベントデータの実体または前記実体への参照データを前記親展データとして、前記取得した配信要領に従う対象ユーザのユーザボックス宛に配信するイベントデータ管理部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記イベントデータボックスに保存された前記イベントデータは、前記ユーザから秘匿化される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記ユーザ管理テーブルは、前記ユーザ固有情報として通信設定を含み、
前記配信要領取得部は、前記通信設定情報を取得し、
前記イベントデータ管理部は、前記設定情報に従う通信手段によって前記対象ユーザ宛に配信完了通知を送る、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記ユーザ管理テーブルは、前記ユーザ固有情報として形式設定を含み、
前記配信要領取得部は、前記形式設定情報を取得し、
前記イベントデータ管理部は、前記設定情報に従うデータ形式にした前記イベントデータの前記実体または前記実体への参照データを前記対象ユーザのユーザボックス宛に配信する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記ユーザ管理テーブルは、前記ユーザ固有情報として印刷設定を含み、
前記配信要領取得部は、前記印刷設定情報を取得し、
前記イベントデータ管理部は、前記設定情報が印刷オン設定である場合、前記イベントデータの印刷出力指令を出力する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記ユーザ管理テーブルは、前記ユーザ固有情報として削除設定を含み、
前記配信要領取得部は、前記削除設定情報を取得し、
前記イベントデータ管理部は、前記設定情報が削除オン設定の場合、前記設定情報に従う対象データを前記設定情報に従うタイミングで削除する、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−35563(P2011−35563A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178231(P2009−178231)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】