説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置を小型化するために、電位センサと現像器の配置は近づく構成になる。つまり、電位センサのセンサ基板の保護及びノイズを遮断のための磁性材料でできたケースと現像器の現像スリーブの距離が近くなる。これにより、現像器のスリーブ内に配置されたスリーブマグネットが発生する磁場は磁性材料でできたケースが配置されることによって影響を受ける。そのため、スリーブの現像剤の搬送力が部分的に変化してしまう。そのため、出力される印刷物に意図しない濃度むらが発生してしまう。
【解決手段】 そこで、電位センサのケースに非磁性材料を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、例えば、複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は感光体ドラム表面の電位によって画像の濃度が左右される。そこで、画像の濃度を安定化するために、電位センサを備え、電位センサで測定した感光体ドラム表面の電位に基づき画像形成条件を変更する画像形成装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の画像形成装置では、電位センサで測定した値に基づきフィードバック制御を行うことによって、一定の画像を出力するように、感光体ドラムの電位を保つように制御されている。電位センサは感光体に静電像が形成される位置から現像される位置までの間に配置される。また、電位センサは感光体の長手方向(回転軸方向)の画像形成領域に対向するように配置される。これにより、電位センサは、画像形成時に静電像が形成される位置において、帯電電位と露光部電位を測定することができる。これにより、例えば、現像特性(トナー濃度等)に応じて、感光体の帯電条件や露光条件を電位センサの測定結果に応じて制御を行うことができる。
【0003】
続いて、電位センサの内部の構成について説明する。特許文献2には電位センサの内部構成について詳しく開示されている。電位センサは測定面(例えば感光体表面)と対向する検出電極を備えている。また、検出電極と測定面との間には遮蔽板(フォーク)が設けられ、圧電素子等によって振動させられる。フォークが振動することによって、検出電極の測定面と対向する面積(有効面積)はフォークに遮蔽されることによって周期的に変動する。有効面積が変動することによって、検出電極と測定面との間の静電容量が周期的に変化する。これにより、検知電極に周期的な電荷の変化が発生する。この周期的な電荷の変化を測定することによって、電位センサは測定面の電位を検出することができる。なお、電位センサの表面は測定物と異なる電位を検知してしまうことを防止するために、導電性の材料を用いたケースで覆われている。このケースは検知電極3と同電位なるように導通されている。このようなケースは加工性やコストを考慮して、亜鉛メッキ鋼板などの導電性を有する磁性材料が用いられている。
【0004】
市場では、電位センサを用いて出力画像の画質を安定すると同時に、画像形成部の集積度を高めて装置を小型化することも望まれている。つまり、小型化の要望にも応えるために、帯電器、現像器、電位センサ等の各モジュールは密集することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286445号公報
【特許文献2】特開2000−39458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電位センサと現像器の距離が近くなると画像の一部の濃度が低くなる画像不良が生じた。発明者が検討したところ、画像の濃度が変化する位置は感光体の回転軸線方向の電位センサが配置されている箇所を中心として濃度が変化していることがわかった。これは、電位センサのケースが磁性部材であるために、現像器が現像剤を搬送するスリーブ内に設けられた磁石(スリーブマグネット)によって生じる磁場が乱されるからである。このスリーブマグネットは画像形成装置の高速化や磁性材料によっては磁力の強いマグネットが選択される場合がある。スリーブマグネットによって生じる磁場は、ケースに磁性材料を用いた電位センサを配置することによって、電位センサの方向に向かって磁力線が集中するように変化する。そのために、スリーブの長手方向で電位センサに近い部分のスリーブのトナー搬送性と電位センサから遠い部分のスリーブのトナー搬送性が異なる。そのため、印刷物の濃度が局所的に薄くなってしまった。
【0007】
そこで本発明の目的は、現像剤の搬送性が局所的に変化することを抑制することによって、出力される印刷物の濃度むらを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は回転可能な感光体と、前記感光体を帯電する帯電装置と、前記帯電装置によって帯電された前記感光体を露光位置で露光して静電像を形成する露光装置と、現像剤を担持搬送して前記感光体に形成された静電像を現像位置で現像するマグネットを有する現像剤担持体を備える現像装置と、前記感光体の回転方向において、前記露光位置の下流側でかつ前記現像位置の上流側に設けられ、前記感光体の長手方向の静電像が形成される一部の電位を測定する電位センサと、を有する画像形成装置であって、前記電位センサのケースは非磁性部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
現像剤の搬送性が局所的に変化することを抑制することによって、出力される印刷物の濃度むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係る画像形成装置の画像形成部を説明するための図である。
【図2】スリーブ内包マグネットにより生じる磁力線を示す図である。
【図3】実施例に係る電位センサの構成を説明するための図である。
【図4】実施例で用いた電位センサの外観図である。
【図5】実施例で用いた現像装置の模式図である。
【図6】実施例に係る画像形成装置の制御ブロックの関係を説明するための図である。
【図7】露光強度とドラム上電位を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
以下に本実施例における画像形成装置の概略構成について説明する。なお、本実施例においては、感光ドラムの表面電位を測定する電位センサを備え、感光ドラム上に形成される静電像を1つの現像器によって現像するモノクロ電子写真装置を例にあげて説明する。もちろん、感光ドラムの表面の電位を測定する電位センサを有する画像形成装置であればよく、上記構成に限定するものではない。つまり、感光ドラムの表面の電位を測定する電位センサを有する限りにおいて、1つの感光体に複数の現像器を当接させてフルカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。また、複数の感光ドラム上に形成したトナー像を中間転写体に転写することでフルカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0012】
{画像形成装置全体の概略構成}
図1は、実施例における電子写真画像形成装置の概略構成を説明するための断面図である。以下に画像形成工程について簡単に説明する。本実施例における各画像形成工程は以下の通りである。感光体としての感光ドラム1を帯電させる帯電工程、帯電した感光体ドラム表面の露光位置において露光して静電像を形成する露光工程、そして、形成された静電像を現像位置において現像する現像工程を経ることによって感光ドラム1上にトナー像が形成される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は1次転写ローラ16によって中間転写ベルト17に転写される。そして、中間転写ベルト17に転写されたトナー像は二次転写ローラ19によってシートに転写され、シートに転写されたトナー像は定着装置18によって定着される。このように画像形成装置は印刷物を出力する。本実施例における画像形成装置のプロセススピードは300mm/secである。
【0013】
{画像形成部としての画像形成ステーションに関する説明}
以下に感光ドラム1にトナー像を形成するための各装置構成について説明する。
【0014】
{帯電装置の構成について}
本実施例において帯電装置は非接触のコロナ帯電方式の帯電装置を用いた。コロナ帯電装置10はグリッド電極14とコロナワイヤを備えている。図6に示すようにグリッド電極14とコロナワイヤは高圧制御ユニット33が接続されている。グリッド電極14にはグリッドバイアス電圧が印加され、コロナワイヤにはコロナワイヤ印加電圧が印加される。グリッドバイアス電圧及びコロナワイヤ印加電圧は画像形成条件であり、感光ドラム表面の電位を所望の値にするために変更される。なお、コロナワイヤ印加電圧はコロナワイヤから一定の放電が維持されるように電圧値が制御される。また、グリッドバイアス電圧は感光ドラム上の帯電電位が所望の電位になるように電圧値が制御される。
【0015】
{現像装置の構成について}
次に、感光ドラムに形成された静電像を現像する現像装置について説明する。図5は本実施例における現像装置の構成を説明するための断面図である。本実施例において、現像装置9は現像容器22を備える。現像容器22内にはトナーとキャリアを含む二成分現像剤が収容されている。また、現像装置9は現像容器22の現像剤を担持搬送する現像剤担持手段としての現像スリーブ28と現像スリーブ28上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材29を有している。現像容器22の略中央部には図5の紙面に垂直方向に延在する隔壁27がある。隔壁27は現像室23と攪拌室24とを上下に区画し、現像剤は現像室23と攪拌室24に収容されている。
【0016】
現像室23と攪拌室24にはそれぞれ、現像剤攪拌・搬送手段として第1の搬送スクリュー26と第2の搬送スクリュー25が配置されている。第1の搬送スクリュー26は、現像室23の底部に現像スリーブ28の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転して現像室23内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー25は、攪拌室24内の底部に第1の搬送スクリュー26とほぼ平行に配置され、攪拌室24内の現像剤を第1の搬送スクリュー26と反対方向に搬送する。このように、第1及び第2の搬送スクリュー26、25が回転することによって、現像剤は隔壁27の両端部の開口部(即ち、連通部)11、12を通じて現像室23と攪拌室24との間で循環される。
【0017】
また、現像容器22の感光体ドラム1に対向した現像領域に相当する位置には開口部があり、この開口部に現像スリーブ28が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。本実施例において、現像スリーブ28の直径は20mm、長手方向の長さは326mmである。また、感光体ドラム1の直径は40mm、長手方向の長さは370mmである。また、現像スリーブ28と感光体ドラム1との最近接領域の距離は約400μmである。このように、現像スリーブ28によって現像部に搬送されたトナーは感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像する。本実施例において、現像スリーブ28は非磁性のアルミニウムである。なお、現像スリーブは非磁性材料であればよく、例えばステンレスを用いてもよい。
【0018】
現像スリーブ28の内部には磁場発生手段であるマグネットローラ28mが現像スリーブ28の回転に関わらず非回転状態で設置されている。マグネットローラ28mは感光体ドラム1に対向して配置された現像極S2、穂切り部材29に対向して配置された磁極S1、前記磁極S1、S2の間に配置された磁極N1、現像室23及び撹拌室24にそれぞれ対向して配置された磁極N2及びN3から成る。本実施例において、マグネットローラ28m内部に配置されたスリーブマグネットはフェライト材料を使っており、N1極は40mT、N2極は85mT、S1極は600mT、S2極は130mT、N3極は80mTである。なお、例えば希土類材料等を使ってもよい。
【0019】
現像スリーブ28の回転数は250rpmで、図5の図示矢印方向(反時計方向)に回転する。このとき、現像スリーブ28は穂切り部材としての規制ブレード29によって層厚が規制された2成分現像剤を担持して、感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送する。これにより、感光体ドラム1上に形成された静電像をトナーで現像する。
【0020】
前記穂切り部材としての規制ブレード29は、現像スリーブ28の長手方向軸線に沿って延在した板状の非磁性部材のアルミニウム板29aと、磁性部材の鉄板29bで構成される。この規制ブレード29は感光体ドラム1よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材としての規制ブレード29の先端部と現像スリーブ28との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域へと送られる。なお、規制ブレード29の現像スリーブ28の表面との間隙を調整することによって、現像スリーブ28上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整することができる。本実施例において、現像スリーブ28上の単位面積当たりの現像剤コート量は規制ブレード29によって30mg/cmに規制される。なお、規制ブレード29と現像スリーブ28の間隙は600μmである。なお、間隙は200〜1000μmであればよく、より好ましくは400〜700μmとなるように設けられる。
【0021】
{現像装置内の現像剤について}
次に、現像装置内の現像剤について説明する。本実施例における現像剤は非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した2成分現像剤を用いた。2成分現像剤を用いると、印刷物を出力するためにトナーを消費するため、現像装置内のトナーとキャリアの混合比(トナー濃度)が変化してしまう。そのため、トナー濃度を常に適正に保つことが難しい。トナー濃度が不適正な場合、印刷物の濃度が変動したり、画像にガサツキや地かぶりが発生したり、感光ドラムにキャリアが付着したり,画像形成装置内にトナーが飛散してしまう。そのため、本実施例の画像形成装置は高画質の画像を安定的に形成するために、トナー濃度を的確に検知して、供給するトナーの量を制御している。
【0022】
現像装置内のトナー濃度だけではなく、現像スリーブに印加する現像バイアスによっては以下の問題が発生する。つまり、感光ドラムの帯電電位と現像装置の現像電位の差が一定値以上になった場合には、感光ドラムへのキャリアの付着量が増加する。これにより、感光ドラムが傷ついたり、画像形成装置の内部が汚染されてしまったりする。また、感光ドラムの帯電電位と現像装置の現像電位の差が一定値以下になった場合には、地かぶり等の画像不良が発生してしまう。このような問題の発生を抑制するために、感光ドラムの表面電位を測定するために、電位センサを設けて電位を調整する必要がある。
【0023】
{電位センサの構成と電位センサの測定結果に基づく制御について}
前述の通り、高画質の印刷物を安定的に出力するために本実施例の画像形成装置は電位センサを備える。以下に本実施例における電位センサの構成と電位センサの測定結果に基づく制御について説明する。
【0024】
{電位センサの構成について}
図3は本実施例における電位センサ2の回路構成を説明するための回路構成図である。また、図4は本実施例における電位センサ2の外観図である。本実施例において、電位センサ2はオゾン排気ダクト13の感光ドラム1の画像形成領域中央(現像面側中央)に取り付けられている。つまり、感光体ドラム1の回転方向において、露光位置の下流側でかつ現像位置の上流側に電位センサは配置されている。電位センサ2の長手方向の幅は16mmである。オゾン排気ダクト13は、コロナ放電により生成されるオゾンが機内に停滞しないように帯電装置の近傍の空気を排気するために設けられている。なお、電位センサ2の配置は必ずしも画像形成領域の中央に限定するものではない。しかし、感光ドラム1の帯電電位と、露光手段によって露光された露光部電位を測定するために、電位センサ2は画像形成領域に配置する必要がある。本実施例において、電位センサ2は感光ドラム1と対向するようにその間の間隔が2mmとなるように配置されている。また、電位センサ2と現像スリーブとの距離は14mmとなるように配置されている。なお、本実施例において、電位センサ2の回路を保護するためのケースは非磁性のステンレス(SUS304)を用いた。これにより、スリーブ内のスリーブマグネットが発生する磁場を乱すことにより、現像剤の搬送性が局所的に不均一になることを抑制することができる。なお、電位センサ2のケースはSUS304に限らず、非磁性であれば同等の効果が得られる。そのため、例えば他のステンレス(オーステナイト系ステンレス鋼や高マンガン鋼)やアルミニウム等を用いても良い。ここで、電位センサの内部は従来同様、感光体ドラムと対向する検出電極3と、検知電極の一部を部分的に遮蔽可能に設けられた遮蔽板を備えている。また、ケースは検知電極としてのセンサ電極を収納し、同電位になるように導通(接地)されている。そのため、非磁性であると同時に電気導電性を持つものが好ましい。なお、電気伝導性を持つ磁性材料の表面を非磁性材料でコートするという2層構造の部材を採用しても良い。
【0025】
ここで、非磁性材料の特徴について簡単に説明する。非磁性材料は磁界(磁場)にほとんど影響を及ぼさない。つまり、非磁性材料のケースであれば、現像装置に近接させても、スリーブマグネットが発生する磁場に与える影響を少なくすることができる。磁界(磁場)に及ぼす影響の程度は透磁率と呼ばれている。比透磁率が1.0の物質であればスリーブマグネットが発生する磁束密度に影響を与えない(正確には周囲の空気と透磁率が同じであるため、磁束密度に変化が生じない)。しかし、比透磁率が1.0より大きい物質、例えば従来例における電位センサのケースに代表される亜鉛メッキ鋼板を磁界に置くと磁束密度が変化してしまう。そのため、本実施例において、電位センサのケースであるSUS304の比透磁率は製法により異なるが、1.0以上〜1.2以下(25℃)程度のものを使用している。本実施例において、非磁性材料は比透磁率が1.2以下(25℃)のものを指す。なお、スリーブと電位センサとの距離が近づくほど比透磁率が1に近い材料を用いることが好ましい。なお、比透磁率は温度によって変化する。そのため、電位センサのケースの比透磁率は、画像形成中の画像形成装置内の温度で、1に近いことが好ましい。
【0026】
{電位センサの測定結果と測定結果に基づく制御}
以下に、電位センサ2の信号取得及び信号に基づく画像形成条件の制御について説明する。図6は画像形成装置の制御ブロックの関係を説明するための図である。図6に示すように、電位センサ2はA/D変換器30に接続されている。A/D変換器30は、表面電位センサ2から送られるアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を電圧制御部(制御手段)31に送信することができる。電圧制御部31は、データ記憶手段及び制御データ記憶手段としてのRAM、バイアス演算手段及び制御手段となるCPU等を備え、送信されるデジタル信号に基づき現像バイアスを演算する。また、D/A変換器32は、電圧制御部31からのデジタル信号をアナログ信号に再変換し、該アナログ信号を高圧制御ユニット33及び現像バイアス電圧制御回路35に送ることができる。これにより、電圧制御部31は、コロナワイヤ印加電圧グリッドバイアス電圧(VG)、現像バイアス電圧(VDC)、及び、露光量を制御することができる。感光ドラム1の近傍には露光手段としてのレーザーユニット20が配設されている。レーザーユニット20は、入力される画像入力信号に応じて変調したレーザービームを発生するレーザ制御ユニット21を備えている。レーザ制御ユニット21から出力されるレーザービームは回転駆動しているポリゴンミラーによって感光ドラム2の表面に走査する。
【0027】
続いて、電位センサの測定結果に基づく画像調整のシーケンスについて簡単に説明する。図7は露光強度と感光ドラム上の電位の関係を説明するための図である。本実施例において、画像形成部(帯電装置、露光装置、現像装置、転写部等)は1000枚印刷物を出力するたびに電位制御シーケンスを実行する。この、電位制御シーケンスにおいて、電圧制御部31は電位センサ2の測定結果に基づき画像形成部の画像形成条件(高圧印加条件、露光量条件等)を決定する。具体的には、所定のグリッド印加バイアスを印加して感光ドラムの帯電電位を調整した後、露光強度(露光量)を変えた複数のレーザ露光強度条件で最大濃度画像の静電像を形成する。そして、感光ドラム上に形成された最大能動画像の静電像を電位センサ2で測定する。このように、電位センサ2によって測定した結果に基づき、測定した使用環境において必要な現像コントラスト及びかぶり取りバイアスを得るために必要な露光強度を電圧制御部31のCPUによって算出する。また、CPUは現像スリーブに印加する現像DCバイアスを帯電電位と算出したかぶり取りバイアスとを差分することによって決定する。
【0028】
現像コントラストが大きいほど、感光ドラムに現像される現像剤量が多くなる。そのため、適正な画像濃度を得るために適切にコントラスト電位を設定する。また、かぶり取りバイアスは、白地画像上に薄くトナーがのってしまう現象を防止するために印加される電圧である。つまり、かぶり取り電圧は現像コントラストにより現像される極性と逆の電界を形成するために印加される。しかし、かぶり取り電圧が大きすぎると、現像剤のキャリアが感光ドラム1に付着してしまう。そのため、かぶり取り電圧も適切に設定する必要がある。そのため、使用環境において必要な現像コントラスト及びかぶり取りバイアスは予め現像特性に基づいて決められた値が記憶装置に記憶されている。現像コントラスト及びかぶり取りバイアスは不図示の環境センサ(温度・湿度計)の検知結果に基き記憶装置の値を用いて決定する。これにより、画像形成装置の使用環境(温度・湿度)や装置の耐久情報によって感度が変化する感光ドラムの露光特性に対応することができる。これにより高画質の印刷物を安定して出力することができる。
【0029】
{電位センサが現像器に与える影響について}
次に、電位センサ2のシールドケースの現像剤への影響について説明する。図2は現像スリーブ内のマグネットによって生じる磁場を計算機によって数値計算によって可視化した図である。現像スリーブに内包されるマグネット28mの磁力構成は、現像剤のスリーブへの保持及びスリーブ表面上の均一な搬送性を確保するために最適な設計がなされる。図2はスリーブ内包マグネットにより生じる磁力線の一例である。図2の(a)はスリーブ単体での磁力線を示している。図2の(b)はスリーブから14mmの位置に従来のケースが磁性部材(比透磁率:5000)の電位センサを配置した場合の磁力線を示す図である。図2の(b)において、図中の右斜め上にはケースが磁性部材の電位センサが配置されている。図2の(b)からも明らかなように、電位センサはスリーブが現像剤を搬送するために各磁極が発生する磁場を大きく乱してしまう。具体的に図2の(b)に示すように、電位センサ対向部近傍において、磁力線が電位センサへ集まるように変化する。つまり、ケースが磁性部材である電位センサのスリーブに最近接する位置における磁束密度が高くなる。そのため、スリーブ回転方向に対して、搬送極N2を通過する現像剤が搬送極方向に引き戻される力が強くなり、センサ対向位置の現像剤のみ搬送力が低下してしまう。その結果、感光ドラムの電位センサと対向する位置に形成された画像が局所的に薄くなり、印刷物に略電位センサの幅の白抜けが生じてしまう。この現象は、長期使用により現像剤やスリーブが劣化し、現像剤のスリーブ上におけるトナーの搬送性が低下したときに顕著に発生するものであった。
【0030】
以下に、前記電位センサの前記現像剤担持体との最近接する位置における磁束密度と、前記電位センサの前記現像剤担持体と最近接する位置から前記現像剤担持体の長手方向に平行に移動した位置のうち前記電位センサと対向しない画像形成領域と対向する位置における磁束密度と、を比較する。
【0031】
本実施例において、磁極N2における磁束密度は300mTである。なお、電位センサのケースが磁性であったとしても、電位センサとスリーブ表面が遠い従来の構成においては、電位センサがスリーブの長手方向のトナー搬送力に与える影響は少ない。そこで、発明者はケースが磁性材料(比透磁率5000)の電位センサとスリーブとの距離を段階的に変更した構成において出力した印刷物に対して目視検査を行った。スリーブと電位センサの最近接部の距離が40mmの位置に電位センサを配置した場合、印刷物に目視できるほどの白抜けを確認できなかった。そこで、スリーブと電位センサの最近接部の距離を段階的に近づけたところ、最近接間の距離が20mmとなったときに、印刷物に視認できるほどの白抜けが発生した。このときのスリーブと電位センサの最近接部における磁束密度Dxは31mTであった。なお、電位センサと対向しない位置におけるスリーブの電位センサと対向する位置における法線方向に20mm離れた場所の磁束密度Dyは17mTであった。白抜けの原因は局所的に磁場が搬送性は、電位センサが配置された箇所におけるスリーブから20mm離れた位置における磁束密度Dxと配置場合されていない箇所における磁束密度Dyの比で評価することができる。そこで、印刷物に目視できるほどの白抜けが発生した時の磁束密度の比(Dx/Dy)を計算したところ、1.8であった。そこで、N2の磁力を600mTに変更し、さらに電位センサのケースの比透磁率を1200に変更した場合において、同様の目視試験を行った。その結果、磁束密度の比(Dx/Dy)が1.8を境界として、つまり、1.8以下となる場合にして印刷物に目視することができる白抜けが発生した。
【0032】
一方、本実施例の如くシールドケースが非磁性材料のSUS304である場合には、スリーブの近傍に配置してもスリーブに内包されるマグネットによる磁力線が乱されにくい。図2の(c)に示す通り、ケースに非磁性部材を用いると、図2の(a)と略同等の現像剤搬送性を維持することができる。したがって、センサ対向位置での現像剤搬送性が乱されることはない。この構成により通紙試験を行ったが、長期にわたり、電位センサ位置において白抜け画像が発生することなく均一、安定した作像を維持することができた。また、実施例において、SUS304製のセンサシールドケースを用いたが、アルミニウムなど、他の非磁性材料でも代替が可能であることは明白である。なお、磁力で現像剤を保持・搬送して現像する方式である限りにおいて同様な効果がある。そのため、1成分現像剤(磁性トナー)を用いたジャンピング現像方式に適応してもよい。また、帯電方式はコロナ帯電方式に限定されず、ゴムローラ、導電ブラシなどの接触帯電方式に適応してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 感光ドラム
2 電位センサ
3 検出電極
4 フォーク
9 現像装置
10 帯電装置
11 クリーニングユニット
12 クリーニングブレード
13 排気ダクト
14 グリッド電極
28 現像スリーブ
29 規制ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体と、前記感光体を帯電する帯電装置と、前記帯電装置によって帯電された前記感光体を露光位置で露光して静電像を形成する露光装置と、現像剤を担持搬送して前記感光体に形成された静電像を現像位置で現像するマグネットを有する現像剤担持体を備える現像装置と、前記感光体の回転方向において、前記露光位置の下流側でかつ前記現像位置の上流側に設けられ、前記感光体の長手方向の静電像が形成される一部の電位を測定する電位センサと、を有する画像形成装置であって、
前記電位センサのケースは非磁性部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電位センサは前記感光体に対向する電極と、前記感光体と前記電極の間に配置され、前記電極の前記感光体と対向する部分の一部を遮蔽可能な遮蔽板と、を備え、前記ケースは前記電極と前記遮蔽板を収納し、前記ケースは導電性であって前記遮蔽板と前記ケースは共に接地されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電位センサのケースは比透磁率が1.0以上かつ1.2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電位センサの前記現像剤担持体との最近接する位置における磁束密度と、前記電位センサの前記現像剤担持体と最近接する位置から前記現像剤担持体の長手方向に平行に移動した位置のうち前記電位センサと対向しない画像形成領域と対向する位置における磁束密度と、の比が1より大きく1.8以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−39450(P2011−39450A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189334(P2009−189334)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】