説明

画像形成装置

【課題】カバー部が閉じられた状態において可動ガイド部材を基準位置に正しく保持するための簡易な機構を実現すること。
【解決手段】画像形成装置が、経路(301)の幅方向において可撓性を有し、シートガイド部(82)が経路(301)に架け渡された状態で上下方向に移動可能に支持された可動ガイド部材(80)と、可動ガイド部材(80)における経路(301)の左右の端の外側の位置の下部で固定部に載置されることにより、可動ガイド部材(80)を基準位置に保持する2つの脚部(83)と、可動ガイド部材(80)における経路(301)の左右の端から内側へ所定距離隔てた位置に上方へ突出して設けられた複数の突起部(84)と、カバー部(5)の内側に設けられ、可動ガイド部材(80)が基準位置にあってカバー部(5)が閉じられた状態において、複数の突起部(84)に上方から近接する規制部(91)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、開閉式のシートトレイから供給されるシート材を既定の経路に導く可動式のガイド部の保持機構に特徴がある画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、紙又はPET製シート等のシート材を既定の経路に沿って搬送しつつ、そのシート材に対しトナー像の転写及び加熱定着を行う。その際、搬送中のシート材は、ガイド部によって既定経路に沿うように導かれる。また、シート材の搬送方向の変化が急激な位置には、可動式のガイド部材と、その可動式のガイド部材が配置された領域を開閉可能に支持されたカバー部とが設けられることが多い。以下、そのような可動式のガイド部材を可動ガイド部材と称する。
【0003】
シート材は、例えば、給紙部から画像の転写部に至る区間において、横に倒された状態から縦方向に伸びる経路へ搬送される際に、比較的急なカーブで約90°の方向転換が行われる。また、上方向に搬送しながらシート材に転写されたトナー像を加熱定着する定着装置から、シート材を横方向に排出する排紙ローラに至る区間でも、シート材は、比較的急なカーブで約90°の方向転換が行われる。そのため、前記可動ガイド部材は、給紙部から画像の転写部に至る区間、及び定着装置から排出部に至る区間に配置されることが多い。
【0004】
前記可動ガイド部材は、シート材を既定の経路に導くシートガイド部が既定の経路に沿う第1の位置と、そのシートガイド部が既定の経路から離間する第2の位置との間で移動可能に支持される。以下、前記第1の位置のことを基準位置と称し、前記第2の位置のことを待避位置と称する。前記可動ガイド部材が前記待避位置に移動されれば、シート材の経路が解放されるため、画像形成装置は、シート材の詰まりを容易に解除できる状態となる。
【0005】
一方、画像形成装置は、シート材の搬送経路の入口である搬入部へ供給されるシート材が載置される開閉式シートトレイを備えるものが多い。この開閉式シートトレイは、一般に、手差しトレイと称される。そのような画像形成装置は、前記搬入部が配置された領域を外側から開閉可能に支持されたカバー部を備えている。そして、前記開閉式シートトレイは、閉じられた前記カバー部における前記搬入部に連通する部分を外側から開閉可能に支持され、開かれた状態において前記搬入部へ供給される前記シート材が載置される。
【0006】
そして、前記可動ガイド部材は、前記開閉式シートトレイから供給されるシート材を、前記搬入部の後段において案内するために設けられることも多い。そのような可動ガイド部材は、シート材を前記搬入部から後段へ続く既定の経路に沿って案内するシートガイド部が形成されている。さらに、その可動ガイド部材は、前記シートガイド部が前記既定の経路に架け渡された状態で上下方向に移動可能に支持される。
【0007】
ところで、厚みの大きな用紙等、腰の強いシート材が用いられると、前記可動ガイド部材の位置が前記基準位置からずれて、シート材の詰まりが生じやすくなる。また、前記開閉式シートトレイから供給されるシート材を案内する前記可動ガイド部材は、前記搬入部が外部に解放された状態でシート材を案内する。そのため、前記開閉式シートトレイから供給されるシート材を案内する前記可動ガイド部材は、シート材の押圧力によって揺動すると、それを支持する部分に連続的に衝突して音を発生し、その音が、前記搬入部から外部に漏れて大きな騒音となる。
【0008】
従って、カバー部が閉じられた状態では、前記可動ガイド部材が前記基準位置に正しく保持されることが重要である。例えば、特許文献1には、カバー部の開閉に連動して開閉する可動ガイド部材が開く際に、その可動ガイド部材を閉じる方向に付勢する付勢部材を備えた画像形成装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−251470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に示される画像形成装置は、前記可動ガイド部材と前記カバー部とを連動させる機構が必要であり、それが組立工数及びコストの増大につながるという問題点があった。
【0011】
一方、前記カバー部の内側に、前記可動ガイド部材に接触することによって前記可動ガイド部を位置決めする突起部を設けることが考えられる。この突起部は、前記カバー部が閉じられた状態で前記可動ガイド部に直接接触する。
【0012】
しかしながら、その構成では、前記カバー部を閉じる操作の勢いが余って、前記突起部が剛性の強い前記可動ガイド部に衝突し、前記可動ガイド部又は前記突起部が破損するという問題が生じ得る。通常、前記カバー部は、閉じられた状態の保持及びその状態の解除のためのロック機構を備え、そのロック機構で保持される前に、一時的に閉状態での保持位置よりも本体装置の内側へ入り込む構造を有しているからである。
【0013】
本発明は、カバー部が閉じられた状態において可動ガイド部材を基準位置に正しく保持するための簡易な機構を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、以下に示される各構成要素を備える。第1の構成要素は、シート材の搬入部が配置された領域を外側から開閉可能に支持されたカバー部である。第2の構成要素は、閉じられた前記カバー部における前記搬入部に連通する部分を外側から開閉可能に支持され、開かれた状態において前記搬入部へ供給される前記シート材が載置される開閉式シートトレイである。第3の構成要素は、前記シート材を前記搬入部から後段へ続く既定の経路に沿って案内するシートガイド部が形成され、前記既定の経路の幅方向において可撓性を有し、前記シートガイド部が前記既定の経路に架け渡された状態で上下方向に移動可能に支持された可動ガイド部材である。第4の構成要素は、前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端の外側の位置の下部に設けられ、所定の固定部に載置されることにより、前記可動ガイド部材を、前記シートガイド部が前記既定の経路に沿う基準位置に保持する2つの脚部である。第5の構成要素は、前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端から内側へ所定距離隔てた位置に上方へ突出して設けられた複数の突起部である。第6の構成要素は、前記カバー部の内側に設けられ、前記可動ガイド部材が前記基準位置にあって前記カバー部が閉じられた状態において、前記複数の突起部に上方から近接する又は接する規制部である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カバー部が閉じられた状態において、前記複数の突起部及び前記規制部によって前記可動ガイド部材の浮き上がりが制限され、可動ガイド部材が前記基準位置に正しく保持される簡易な機構を実現することができる。また、前記既定の経路の幅方向において、前記可動ガイド部材における前記脚部の位置と前記突起部の位置とがずれている。さらに、前記可動ガイド部材は、前記既定の経路の幅方向において可撓性を有している。そのため、前記カバー部が閉じられる際に、前記規制部が前記複数の突起部に衝突した場合でも、その衝突の衝撃は、前記可動ガイド部材の撓みによって吸収される。そのため、その衝突による前記規制部及び前記複数の突起部の破損は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の断面図。
【図2】画像形成装置1において開閉式シートトレイが開かれた状態を表す断面図。
【図3】画像形成装置1における第2給紙ローラの近辺の断面図。
【図4】画像形成装置1における可動ガイド部材の斜視図。
【図5】画像形成装置1においてカバー部が開かれた状態を表す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
まず、図1に示される断面図を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について説明する。画像形成装置1は、画像が転写される媒体である紙又はPET製シート等のシート材にトナーの画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。また、画像形成装置1は、シート材の表裏両面にトナーの画像を形成可能な両面プリント式の画像形成装置である。
【0019】
図1に示されるように、画像形成装置1は、スキャナ部2、給紙カセット3、第1給紙ローラ10、レジストローラ20、画像転写ユニット30、定着装置40、排紙ローラ60、ターンバック用従動ローラ50、ターンバック用駆動ローラ900、排紙トレイ4、カバー部5、開閉式シートトレイ6、第2給紙ローラ70、可動ガイド部材80等を備えている。図1に示される画像形成装置1は、プリンタ及び複写機として機能し、さらに、ファクシミリ装置としても機能する、いわゆる複合機である。
【0020】
前記スキャナ部2は、原稿から画像を読み取って画像データを生成する装置である。前記給紙カセット3は、複数枚のシート材を収容する容器である。前記第1給紙ローラ10は、前記給紙カセット3に収容されたシート材を一枚ずつ既定の搬送経路へ送り出すローラである。前記レジストローラ20は、前記第1給紙ローラ10によって送り出されたシート材を把持し、そのシート材を所定のタイミングで前記画像転写ユニット30へ送り出す一対のローラである。
【0021】
また、画像形成装置1は、前記第1給紙ローラ10の他に、第2給紙ローラ70も備えている。この第2給紙ローラ70は、後述する開閉式シートトレイ6に載置されたシート材を装置外から装置内に搬入する装置であり、搬入部の一例である。前記第2給紙ローラ70から供給されるシート材も、前記レジストローラ20を経て前記画像転写ユニット30へ搬送される。即ち、前記第1給紙ローラ10及び前記第2給紙ローラ70それぞれに対応するシート材の搬送経路は、前記レジストローラ20の手前で合流する。
【0022】
前記画像転写ユニット30は、前記レジストローラ20から搬送されてくるシート材をさらに後段の前記定着装置40へ搬送しつつ、そのシート材にトナー画像を転写する装置である。前記画像転写ユニット30は、像担持体である感光体ドラム、及びその感光体ドラムの周囲に配置された複数の機器から構成される。前記感光体ドラムの周囲には、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置及びクリーニング装置等が配置されている。
【0023】
前記定着装置40は、前記画像転写ユニット30から搬送されてくるシート材をさらに後段へ搬送しつつ、そのシート材に転写されたトナーをそのシート材に溶着させる装置である。
【0024】
前記排紙ローラ60は、前記定着装置40から搬送されてくるシート材を前記排紙トレイ4へ排出するローラである。さらに、前記排紙ローラ60は、一方の面に画像が形成されたシート材を、両面プリントのために反転させて搬送するターンバックローラとしても機能する。前記排紙ローラ60により反転して搬送されたシート材は、前記ターンバック用駆動ローラ900及び前記ターンバック用従動ローラ50によって下方に搬送され、前記可動ガイド部材80を経て、再び、前記レジストローラ20及び前記画像転写ユニット30へ搬送される。
【0025】
また、画像形成装置1は、その側面を開閉可能に支持されたカバー部5を備えている。より具体的には、前記カバー部5は、その下部において不図示の支軸により回動可能に支持されている。前記カバー部5は、立てられて保持された閉状態から外側へ向かう方向201へ回動されることにより、横方向に倒された開状態となる。前記カバー部は、シート材の搬入部である前記第2給紙ローラ70が配置された領域を含む側面のほぼ全体を外側から開閉可能に支持されている。さらに、前記カバー部5は、画像形成装置1の本体に対する閉状態の保持及びその閉状態の解除を行うロック機構を備えている。なお、前記ロック機構は図示されていない。
【0026】
また、画像形成装置1は、前記カバー部5の下部を開閉可能に支持された開閉式シートトレイ6を備えている。図2は、前記開閉式シートトレイ6が開かれた状態を表す断面図である。前記開閉式シートトレイ6は、閉じられた前記カバー部5における前記第2給紙ローラ70に連通する部分を外側から開閉可能に支持されている。より具体的には、前記開閉式シートトレイ6は、その下部において不図示の支軸により回動可能に支持されている。そのため、前記開閉式シートトレイ6は、装置本体の側面に沿う直立状態から外側へ向かう方向203と、横方向に倒された開状態から装置本体へ向かう方向204とへ回動可能である。
【0027】
また、前記開閉式シートトレイ6は、開かれた状態において、前記第2給紙ローラ70へ供給されるシート材が載置される。図2に示される前記開閉式シートトレイ6は、複数のトレイからなる引き出し構造により、伸縮自在に構成されている。そして、前記開閉式シートトレイ6は、最も小さく収縮された状態で、前記カバー部5に収容される。
【0028】
前記開閉式シートトレイ6に載置されたシート材は、前記第2給紙ローラ70により、前記レジストローラ20及び前記画像転写ユニット30へ向かう搬送経路へ一枚ずつ送り出される。前記第2給紙ローラ70の後段には、シート材を前記レジストローラ20へ向かう既定の経路に導く可動ガイド部材80が設けられている。
【0029】
画像形成装置1は、複写機として機能する場合、不図示のコントローラによる制御の下、以下のように動作する。まず、前記スキャナ部2が原稿から画像を読み取り、前記第1給紙ローラ10又は前記第2給紙ローラ70と前記レジストローラ20とがシート材を前記画像転写ユニット30へ搬送する。次に、前記画像転写ユニット30が、前記スキャナ部2により得られた画像データ応じたトナー像をシート材の一方の面に転写する。次に、前記定着装置40が、シート材上のトナーを加熱してシート材に定着させる。最後に、前記排紙ローラ60が、画像が形成されたシート材を前記排紙トレイ4へ排出する。
【0030】
また、画像形成装置1は、プリンタとして機能する場合、前記スキャナ部2による画像の読み取り処理の代わりに、不図示の通信インターフェース及び制御部が、外部の計算機からの画像データの受信処理を実行する。同様に、画像形成装置1は、ファクシミリ装置として受信処理を行う場合、前記スキャナ部2による画像の読み取り処理の代わりに、不図示のモデム及び制御部が、電話回線を通じて他のファクシミリ装置からの着信処理及び画像データの受信処理を実行する。
【0031】
次に、図3及び図5に示される断面図と図4に示される斜視図とを参照しつつ、前記第2給紙ローラ70の周辺部について詳しく説明する。なお、図3において、前記カバー部5及び前記開閉式シートトレイ6の記載は省略されている。
【0032】
前記第2給紙ローラ70は、前記開閉式シートトレイ6に載置されたシート材の装置内への搬入口に配置されている。前記第2給紙ローラ70には、下方から摩擦パッド110が弾性付勢されている。前記開閉式シートトレイ6に載置されたシート材は、回転する前記第2給紙ローラ70と前記摩擦パッド110との作用により、1枚ずつ装置内へ搬入される。
【0033】
画像形成装置1において、シート材を横方向に装置内へ搬入する前記第2給紙ローラ70から、シート材を上方向へ搬送する前記レジストローラ20及び前記画像転写ユニット30に至る区間は、シート材が比較的急なカーブで約90°の方向転換が行われる区間である。そのため、その区間は、シート材のジャム(詰まり)が生じやすい区間である。そこで、画像形成装置1は、前記第2給紙ローラ70から前記レジストローラ20に至る区間に配置された可動ガイド部材80を備えている。
【0034】
前記第2給紙ローラ70により装置内に供給されるシート材は、前記第2給紙ローラ70の後段に配置された下側シートガイド部120及び上側シートガイド部82の間に進入する。前記下側シートガイド部120及び前記上側シートガイド部82は、前記第2給紙ローラ70から後段へ続く既定の経路である第1の搬送経路301に沿ってシート材を案内する部分である。前記上側シートガイド部82は、前記可動ガイド部材80の一部に形成されている。
【0035】
図4は、前記可動ガイド部材80の斜視図である。前記可動ガイド部材80は、一体成型された樹脂の部材である。例えば、前記可動ガイド部材80は、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂からなる部材である。前記可動ガイド部材80は、回動中心となる被支持部81と、前記上側シートガイド部82と、2つの脚部83とが形成されている。さらに、前記上側シートガイド部82における、前記第1の搬送経路301に沿う面に対して反対側の面には、2つの突起部84と、複数のリブ85と、ローラカバー部86とが形成されている。
【0036】
前記可動ガイド部材80は、その長手方向が前記第1の搬送経路301の幅方向、即ち、搬送されるシート材の幅方向に沿うように配置される。また、前記可動ガイド部材80は、長手方向の両端の前記被支持部81が、本体装置側の軸受部によって支持されることにより、回動可能に支持されている。その結果、前記可動ガイド部材80は、前記上側シートガイド部82が前記第1の搬送経路301に架け渡された状態で、上下方向に回動可能に支持される。
【0037】
また、複数の前記リブ85は、それぞれシート材の搬送方向を長手方向とし、前記上側シートガイド部82の長手方向に配列されている。複数の前記リブ85は、シート材の搬送方向における前記可動ガイド部材80が撓まないよう補強する補強部として機能する。そのため、樹脂の一体成型品である前記可動ガイド部材80は、前記第1の搬送経路301の幅方向、即ち、その長手方向において可撓性を有しているが、シート材の搬送方向においてはほとんど撓まない。
【0038】
また、複数の前記リブ85は、図1に示される前記排紙ローラ60によって搬送方向が反転されたシート材を、前記レジストローラ20及び前記画像転写ユニット30へ導くガイド部としても機能する。そのため、複数の前記リブ85は、それらの頭頂部が方向反転されたシート材の搬送経路である第2の搬送経路302に沿うように形成されている。なお、前記カバー部5には、それが閉じられた状態において、前記リブ85とともに前記第2の搬送経路経路302に沿ってシート材を案内するカバー部側シートガイド部92,93が設けられている。
【0039】
また、前記可動ガイド部材80に設けられた前記ローラカバー部86は、前記第2給紙ローラ70の一部を覆う部分である。このローラカバー部86は、前記第2の搬送経路302に沿って搬送されるシート材が誤って前記第2給紙ローラ70に巻き込まれることを防ぐ。
【0040】
2つの前記脚部83は、前記可動ガイド部材80における前記第1の搬送経路301の左右の端の外側の位置の下部に設けられている。より具体的には、2つの前記脚部83は、前記上側シートガイド部82の長手方向における両端部に設けられている。そして、2つの前記脚部83が、所定の固定部に載置されることにより、前記可動ガイド部材80は、前記上側シートガイド部82が前記第1の搬送経路301に沿う基準位置に保持される。図3は、前記可動ガイド部材80が前記基準位置に保持された状態を表す。例えば、2つの前記脚部83は、前記第1の搬送経路301に沿って固定された前記下側シートガイド120の左右の端部に載置される。
【0041】
前記可動ガイド部材80は、その自重によって前記基準位置に保持され、前記第2給紙ローラ70側の部分が持ち上げられると、前記被支持部81を回動中心として上方向に回動しする。これにより、前記可動ガイド部材80は、前記上側シートガイド部82が前記第1の搬送経路301から離間した待避位置に移動する。図5は、前記カバー部5が開かれ、かつ、前記可動ガイド部材80が前記待避位置にある状態を表している。なお、図5において、前記カバー部5及び前記開閉式シートトレイ6の一部等の記載が省略されている。前記可動ガイド部材80が前記待避位置に移動されれば、前記第1の搬送経路301の下側が解放されるため、画像形成装置1は、シート材の詰まりを容易に解除できる状態となる。
【0042】
ところで、前記開閉式シートトレイ6から供給されるシート材を案内する前記可動ガイド部材80は、シート材の押圧力によって揺動すると、それを支持する固定部に連続的に衝突して音を発生し、その音が、前記第2給紙ローラ70が配置された搬入口から外部に漏れて大きな騒音となる。従って、前記カバー部5が閉じられた状態では、前記可動ガイド部材80が前記基準位置に正しく保持されることが重要である。
【0043】
画像形成装置1においては、前記カバー部5が閉じられた状態において、前記可動ガイド部材80に設けられた2つの前記突起部84及び前記カバー部5の内側に設けられた規制部91が、前記可動ガイド部材の浮き上がりを制限する。
【0044】
2つの前記突起部84は、前記可動ガイド部材80における前記第1の搬送経路301の左右の端から内側へ所定距離隔てた位置に上方へ突出して設けられている。即ち、2つの前記突起部84は、前記第1の搬送経路301の幅方向において、2つの前記脚部83よりも内側に設けられている。例えば、2つの前記脚部83の間隔が300mm程度である場合、2つの前記突起部84は、2つの前記脚部83各々を起点として20mmから30mm程度内側に設けられる。
【0045】
一方、前記規制部91は、前記カバー部5の内側に設けられ、前記可動ガイド部材80が前記基準位置にあり、かつ、前記カバー部5が閉じられた状態において、2つの前記突起部に上方から接する又は近接するように設けられている。これにより、前記カバー部5が閉じられた状態において、前記規制部91が、2つの前記突起部84の上方への移動範囲を制限し、ひいては前記可動ガイド部材80の上方への移動を制限する。
【0046】
従って、画像形成装置1においては、腰の強いシート材が前記第1の搬送経路301を通過する場合でも、前記突起部84及び前記規制部91の作用により、前記可動ガイド部材80が前記基準位置近辺に正しく保持される。その結果、前記可動ガイド部材80が揺動することによる騒音の発生が防止される。しかも、前記可動ガイド部材80の保持機構が、ごく簡易な構造により実現される。
【0047】
また、前記第1の搬送経路301の幅方向において、前記可動ガイド部材80における前記脚部83の位置と前記突起部84の位置とがずれている。さらに、前記可動ガイド部材80は、前記第1の搬送経路301の幅方向において可撓性を有している。そのため、前記カバー部5が本体装置の内側へ向かう方向202へ回動されて閉じられる際に、前記規制部91が前記突起部84に衝突した場合でも、その衝突の衝撃は、前記可動ガイド部材80の撓みによって吸収される。そのため、その衝突による前記規制部91及び前記突起部84の破損は回避される。
【0048】
以上に示した画像形成装置1は、前記可動ガイド部材80が、前記被支持部81を回動中心として回動可能に支持された構造を有するが、他の構造が採用されることも考えられる。例えば、前記可動ガイド部材80が、前記基準位置と前記上側シートガイド部82が前記第1の搬送経路301から離間する退避位置との間で直線的にスライド可能に支持されることが考えられる。また、前記可動ガイド部材80における2つの前記脚部83の内側に、3つ以上の前記突起部84が設けられることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
2 スキャナ部
3 給紙カセット
4 排紙トレイ
5 カバー部
6 開閉式シートトレイ
10 第1給紙ローラ
20 レジストローラ
30 画像転写ユニット
30 転写ユニット
40 定着装置
50 ターンバック用従動ローラ
60 排紙ローラ
70 第2給紙ローラ
80 可動ガイド部材
81 被支持部
82 上側シートガイド部
83 脚部
84 突起部
85 リブ
86 ローラカバー部
91 規制部
92,93 カバー部側シートガイド部
110 摩擦パッド
120 下側シートガイド部
301 第1の搬送経路
302 第2の搬送経路
900 ターンバック用駆動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の搬入部が配置された領域を外側から開閉可能に支持されたカバー部と、閉じられた前記カバー部における前記搬入部に連通する部分を外側から開閉可能に支持され、開かれた状態において前記搬入部へ供給される前記シート材が載置される開閉式シートトレイと、を備えた画像形成装置であって、
前記シート材を前記搬入部から後段へ続く既定の経路に沿って案内するシートガイド部が形成され、前記既定の経路の幅方向において可撓性を有し、前記シートガイド部が前記既定の経路に架け渡された状態で上下方向に移動可能に支持された可動ガイド部材と、
前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端の外側の位置の下部に設けられ、所定の固定部に載置されることにより、前記可動ガイド部材を、前記シートガイド部が前記既定の経路に沿う基準位置に保持する2つの脚部と、
前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端から内側へ所定距離隔てた位置に上方へ突出して設けられた複数の突起部と、
前記カバー部の内側に設けられ、前記可動ガイド部材が前記基準位置にあって前記カバー部が閉じられた状態において、前記複数の突起部に上方から近接する規制部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シート材の搬入部が配置された領域を外側から開閉可能に支持されたカバー部と、閉じられた前記カバー部における前記搬入部に連通する部分を外側から開閉可能に支持され、開かれた状態において前記搬入部へ供給される前記シート材が載置される開閉式シートトレイと、を備えた画像形成装置であって、
前記シート材を前記搬入部から後段へ続く既定の経路に沿って案内するシートガイド部が形成され、前記既定の経路の幅方向において可撓性を有し、前記シートガイド部が前記既定の経路に架け渡された状態で上下方向に移動可能に支持された可動ガイド部材と、
前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端の外側の位置の下部に設けられ、所定の固定部に載置されることにより、前記可動ガイド部材を、前記シートガイド部が前記既定の経路に沿う基準位置に保持する2つの脚部と、
前記可動ガイド部材における前記既定の経路の左右の端から内側へ所定距離隔てた位置に上方へ突出して設けられた複数の突起部と、
前記カバー部の内側に設けられ、前記可動ガイド部材が前記基準位置にあって前記カバー部が閉じられた状態において、前記複数の突起部に上方から接する規制部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記シートガイド部に、前記シート材の搬送方向を長手方向とする複数のリブが形成されている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記可動ガイド部材は、一体成型された樹脂の部材である、
請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−63334(P2011−63334A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213117(P2009−213117)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】