画像形成装置
【課題】 走査線の傾きや曲がりに影響する消耗部品が交換されるとき、プロファイル特性が変わる。印刷ジョブ中に、このような消耗部品が寿命に達し、部品交換を行うと、部品交換前のプロファイル特性でディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像が画像形成装置内に残ってしまう。残ったスクリーン画像を印刷するとディザパターンがずれて筋むらや濃度むらが発生してしまう。
【解決手段】 プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、スクリーン画像が画像形成装置内にある前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段とを備える画像形成装置。
【解決手段】 プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、スクリーン画像が画像形成装置内にある前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段とを備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは、例えば電子写真プロセスを有するレーザビームプリンタ(LBP)やデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(MFP)等において、入力画像を、安定した品質の濃度によって再現する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタあるいは複写機等の画像形成装置に用いられる画像記録方式として、電子写真方式が知られている。電子写真方式は、レーザビームを利用して感光ドラム上に潜像を形成して、帯電した色材(以下、トナーと称する)により現像するものである。画像の記録は、現像されたトナーによる画像を転写紙に転写して定着させることにより行う。
【0003】
近年、電子写真方式の画像形成装置の画像形成スピード高速化のために、トナーの色数と同数の現像機および感光ドラムを備え、画像搬送ベルト上や、記録媒体上に順次異なる色の画像を転写するタンデム方式のカラー画像形成装置が増えている。このタンデム方式の画像形成装置においては、レジストレーションずれを生じさせる複数の要因が存在することが知られており、各要因に対して様々な対処方法が提案されている。
【0004】
その1つの要因が、偏向走査装置のレンズの不均一性や取り付け位置ずれ、および偏光走査装置の画像形成装置本体への組み付け位置ずれである。この位置ずれにより、走査線に傾きや曲がりが生じ、その曲がりの度合い(以下、プロファイルと称する)が色毎に異なることとなり、レジストレーションずれとなる。
【0005】
プロファイルは各画像形成装置、すなわち記録エンジン毎、更には各色で特性が異なる。プロファイルの一例を図18(a)〜(d)に示す。図18において、横軸は画像形成装置における主走査方向位置を示す。主走査方向に直線的に表現している線2411は、曲がりのない理想的な特性であることを示す。また、曲線で示した線2401、線2402、線2403、線2404は、色毎のプロファイルを示している。シアン(以下、C)の特性は線2401、マゼンタ(以下、M)は線2402、イエロー(以下、Y)は線2403、ブラック(以下、K)は線2404の特性となっている。縦軸は理想的な特性に対して、副走査方向へのずれ量を示す。同図からもわかるように、曲線の変化点は、色毎に異なっている。特に、多色画像を形成するために、複数のレーザビームによって各色の画像に対応する複数の静電潜像を形成する場合には、この異なりが、定着後の画像データにおいて、レジストレーションずれとなって現れる。
【0006】
このレジストレーションずれへの対処方法として、特許文献1には、偏光走査装置の組立工程にて、光学センサを用いて走査線の曲がりの大きさを測定し、レンズを機械的に回転させて走査線の曲がりを調整した後、接着剤で固定する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、光学センサを用いて走査線の傾きと曲がりの大きさを測定し、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正した画像を形成する方法が記載されている。この方法は、画像データを処理することで電気的に補正をするため、機械的な調整部材や組立時の調整工程が不要になる。したがって、カラー画像形成装置の大きさを小型化することが可能となり、且つ、特許文献1、2に記載されている方法よりも安価にレジストレーションずれに対処することが出来る。この電気的なレジストレーションずれ補正は、1画素単位の補正と1画素未満の補正に分かれる。1画素単位の補正は図19に示すように傾きと曲がりの補正量に応じて画素を1画素単位で副走査方向へオフセットさせる。なお、以後の記載においては、オフセットさせる位置を乗り換えポイント、オフセットさせる処理をライン乗り換え処理と称する。つまり、図19(a) においては、P1〜P5が乗り換えポイントに該当する。
【0008】
1画素未満の補正は図20に示すように、ビットマップ画像データの階調値を副走査方向の前後の画素で調整する。つまり、図19(a)のようなプロファイル特性により、上向きに曲がっている場合は、階調補正前のビットマップ画像データを、プロファイルの示す方向と副走査側に逆方向に扱う。このような手法によって、1画素未満の補正を実施することにより、1画素単位の補正により生じる乗り換えポイント境界における不自然な段差を解消し、画像の平滑化を図ることが出来る。
【0009】
また、上述のライン乗り換え処理が、スクリーン処理によって再現される階調画像内で行われると、出力画像のディザパターンが乗り換えポイントにおいてずれる。このため、予め設定されたプロファイルを参照して、入力画像の乗り換えポイントにおいて乗り換えとは逆の向きに1ライン分の位相をずらしたディザパターンを用いる手法が提案されている。このことによって、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002-116394号公報
【特許文献2】特開2004-170755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ドラムカートリッジのように走査線の傾きや曲がりに影響する消耗部品が交換されるとき、プロファイル特性が変わる。
【0012】
印刷ジョブ中に、このような消耗部品が寿命に達し、部品交換を行うと、部品交換前のプロファイル特性でディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像が画像形成装置内に残ってしまう。
【0013】
これらのスクリーン画像を部品交換後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行い、印刷を行うと、正しいプロファイル特性でディザパターンの位相ずらしを行っていないことになる。このため、部品交換前後のプロファイル特性で乗り換えポイントが異なる場合、乗り換えポイントで、ディザパターンがずれて筋むらや濃度むらが発生してしまう。
【0014】
逆に、これらのスクリーン画像を部品交換前のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行い、印刷を行うと、正しいプロファイル特性でライン乗り換え処理を行っていないため、走査線の傾きや曲がりを充分に補正できない。
【0015】
また、交換部品の交換の時期を変更させると、画像形成装置の安全性や耐久性に支障をきたす可能性がある。このため、上記問題を避けるために、消耗部品交換の時期を変更することができない。
【0016】
本発明は、上記問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と、
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化しても、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、入力画像が階調画像で、スクリーン線等のディザパターンによって出力されるような画像であっても、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1における消耗部品交換時の処理を示すフローチャート。
【図2】中間転写体を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の断面図。
【図3】走査線のプロファイル特性。
【図4】カラー画像形成装置の構成図。
【図5】乗り換えポイントの補間方法。
【図6】重み付け構成の一例。
【図7】補正がなされるべき方向とずれ方向。
【図8】レジストレーションずれと乗り換え処理の様子。
【図9】プロファイル特性のデータ保持方法。
【図10】実施例2におけるにおける消耗部品交換時の処理を示すフローチャート。
【図11】入力画像に対してスクリーン処理及び位相ずらし処理を行う様子。
【図12】何列かおきに副走査方向にディザマトリクスがずれた配列の一例。
【図13】位相ずらし処理を含んだスクリーン処理のフローチャート。
【図14】入力画像とディザマトリクスとの関係。
【図15】ディザテーブルが周期的に並ぶ様子。
【図16】入力画像をディザ位相ずらしを適用した画像処理を行う場合と、行わない場合との中間画像及び出力結果。
【図17】実施例3における消耗部品交換の寿命予告時の画像処理を示すフローチャート。
【図18】プロファイル特性の一例。
【図19】ライン乗り換え処理の様子。
【図20】補間処理の様子。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0021】
図4は、実施例1の電子写真方式のカラー画像形成装置において、静電潜像作成に関係する各ブロックの構成を説明する図である。カラー画像形成装置は画像形成部401と画像処理部402により構成し、画像処理部402でビットマップ画像情報を生成し、それに基づき画像形成部401が記録媒体上への画像形成を行う。
【0022】
図2は、電子写真方式のカラー画像形成装置の一例である中間転写体28を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の断面図である。図2を用いて、電子写真方式のカラー画像形成装置における画像形成部401の動作を説明する。
【0023】
画像形成部401は、画像処理部402が処理した露光時間に応じて露光光を駆動し、静電潜像を形成して、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体11へ転写してその記録媒体上の多色トナー像を定着させる。
【0024】
帯電手段は、Y,M,C,Kの色毎に感光体22Y,22M,22C,22Kを帯電させるための4個の注入帯電器23Y,23M,23C,23Kを備える構成で、各注入帯電器にはスリーブ23YS,23MS,23CS,23KSを備えている。
【0025】
感光体22Y,22M,22C,22Kは、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体22Y,22M,22C,22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。露光手段は、感光体22Y,22M,22C,22Kへスキャナ部24Y,24M,24C,24Kより露光光を照射し、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像を形成するように構成している。
【0026】
現像手段は、前記静電潜像を可視化するために、Y,M,C,Kの色毎に現像を行う4個の現像器26Y,26M,26C,26Kを備える構成で、各現像器には、スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSが設けられている。なお、各々の現像器26は脱着が可能である。
【0027】
転写手段は、感光体22から中間転写体28へ単色トナー像を転写するために、中間転写体28を時計周り方向に回転させる。そして、感光体22Y,22M,22C,22Kとその対向に位置する一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kの回転に伴って、単色トナー像を転写する。一次転写ローラ27に適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体22の回転速度と中間転写体28の回転速度に差をつけることにより、効率良く単色トナー像を中間転写体28上に転写する。これを一次転写という。
【0028】
更に転写手段は、ステーション毎に単色トナー像を中間転写体28上に重ね合わせ、重ね合わせた多色トナー像を中間転写体28の回転に伴い二次転写ローラ29まで搬送する。さらに記録媒体11を給紙トレイ21から二次転写ローラ29へ狭持搬送し、記録媒体11に中間転写体28上の多色トナー像を転写する。この二次転写ローラ29に適当なバイアス電圧を印加し、静電的にトナー像を転写する。これを二次転写という。二次転写ローラ29は、記録媒体11上に多色トナー像を転写している間、29aの位置で記録媒体11に当接し、印字処理後は29bの位置に離間する。
【0029】
定着手段は、記録媒体11に転写された多色トナー像を記録媒体11に溶融定着させるために、記録媒体11を加熱する定着ローラ32と記録媒体11を定着ローラ32に圧接させるための加圧ローラ33を備えている。定着ローラ32と加圧ローラ33は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ34、35が内蔵されている。定着装置31は、多色トナー像を保持した記録媒体11を定着ローラ32と加圧ローラ33により搬送するとともに、熱および圧力を加え、トナーを記録媒体11に定着させる。
【0030】
トナー定着後の記録媒体11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング手段30は、中間転写体28上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体28上に形成された4色の多色トナー像を記録媒体11に転写した後に残った廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0031】
図3を用いて、画像形成装置の色毎の走査線のプロファイル特性に関して説明する。同図において、(a)は画像形成装置のプロファイル特性として、レーザースキャン方向に上方にずれている領域を示す図である。また、(b)は画像形成装置のプロファイル特性として、レーザースキャン方向に下方にずれている領域を示す図である。301は理想的な走査線であり感光体22の回転方向に対して垂直に走査が行われる場合の特性を示す。
【0032】
なお、以下、説明におけるプロファイル特性は、画像処理部402で補正がなされるべき方向を前提として行うが、プロファイル特性としての定義は、これに限定されるものではない。つまり、画像形成部401のずれ方向として定義しておき、画像処理部402では、その逆特性の補正を行うように構成しても良い。図7にプロファイル定義による、画像処理部402で補正がなされるべき方向示す図と、画像形成部401のずれ方向を示す図の相関を示す。画像処理部402で補正がなされるべき方向として、図7(a)のようにプロファイル特性が示されている場合は、画像形成部401の曲がり特性は、その逆方向である図(b)のようなものとなる。逆に、画像形成部401の曲がり特性として、図7(c)のプロファイル特性が示されている場合、画像処理部402で補正がなされるべき方向としては図7(d)のようになる。
【0033】
また、プロファイル特性のデータの保持の仕方としては、例えば図9に示すように、乗り換えポイントの主走査方向の画素位置と、次の乗り換えポイントまでの変化の方向性を保持するようにする。具体的には、図9を例にとれば、(a)のプロファイル特性に対し、乗り換えポイントがP1,P2,P3,・・・Pmが定義される。各乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれが発生するポイントであり、方向としては、次の乗り換えポイントまで上向きに変化する場合と下向きに変化する場合がある。
【0034】
例えば、乗り換えポイントP2は、次の乗り換えポイントP3まで、上向きに乗り換えを行うべきポイントとなる。したがって、P2における乗り換え方向は、(b)に示すように上向き(↑)となる。同様に、P3においても、次の乗り換えポイントP4までは上向き(↑)となる。乗り換えポイントP4における乗り換え方向は、これまでの方向とは異なり下向き(↓)となる。この方向のデータの保持の仕方としては、例えば、上向きを示すデータとして”1”、下向きを示すデータとして”0”とすれば、図9(c)のようになる。この場合、保持するデータ数は乗り換えポイント数と同じだけとなり、乗り換えポイント数がm個であるならば、保持するビット数もmビットとなる。
【0035】
302は感光体22の位置精度や径のずれ、および図2に示す各色のスキャナ部24(24C,24M,24Y,24K)における光学系の位置精度に起因した、傾きおよび曲がりの発生した実際の走査線を示す。画像形成装置は、その記録デバイス(記録エンジン)毎にこのプロファイル特性が異なり、更に、カラー画像形成装置の場合は、色毎にその特性が異なる。
【0036】
図3(a)を用いて、レーザースキャン方向に上方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。
【0037】
本発明における乗り換えポイントとは、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(a)においては、上方への曲がり特性302上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるP1、P2、P3が乗り換えポイントに相当する。なお、図3(a)においてはP0を基準としたものとして記載している。同図からもわかるように、乗り換えポイント間の距離(L1、L2)は、曲がり特性302が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0038】
次に図3(b)を用いて、レーザースキャン方向に下方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。下方にずれている特性を示す領域においても、乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(b)においては、下方への曲がり特性302上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるPn、Pn+1が乗り換えポイントに相当する。図3(b)においても、図3(a)同様、乗り換えポイント間の距離(Ln、Ln+1)は、曲がり特性302が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0039】
このように、乗り換えポイントは、画像形成装置がもつ曲がり特性302の変化度合い密接に関係する。よって、
急激な曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数は多くなり、逆に緩やかな曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数が少なくなる。
【0040】
既に説明している通り、画像形成装置がもつ曲がり特性は、色毎にも異なるため、乗り換えポイントの数および位置はそれぞれ異なる。この色間の相違が、中間転写体28上に全色のトナー像を転写した画像においてレジストレーションずれとなって現れることとなる。本発明は、この乗り換えポイントでの処理に関するものであり、詳細に関しては、別図を用いて後述する。
【0041】
次に、図4を用いて、カラー画像形成装置における画像処理部402の処理について説明する。画像生成手段404は、不図示のコンピュータ装置等から受信する印刷データより、印刷処理が可能なラスターイメージデータを生成し、RGBデータおよび各画素のデータ属性を示す属性データとして画素毎に出力する。なお、画像生成手段404は、コンピュータ装置等から受信した画像データではなく、カラー画像形成装置内部に読取手段を構成し、読取手段からの画像データを扱う構成としても良い。ここでいう読取手段とは、少なくともCCD(Chaerged Couple Device)あるいはCIS(Contact Image sencor)を含むものである。読み取った画像データに対して、所定の画像処理を行う処理部をあわせてもたせるように構成しても良い。また、カラー画像装置内部に構成せず、図示しないインターフェースを介して、前記読取手段からデータを受け取るように構成しても良い。
【0042】
405は色変換手段であり、前記RGBデータを画像形成部402のトナー色にあわせてCMYKデータに変換し、CMKYデータと属性データをビットマップメモリ406へ格納する。記憶部406は、画像処理部402に構成した第1の記憶部であり、印刷処理を行うラスターイメージデータを一旦格納するものである。なお、記憶部406は、1ページ分のイメージデータを格納するページメモリで構成しても良いし、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリとして構成しても良い。
【0043】
407C,407M,407Y,407Kは、ハーフトーン処理部であり、記憶部406から出力される属性データおよび各色のデータにハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理部の具体的な構成としては、スクリーン処理によるもの、あるいは誤差拡散処理によるものがある。スクリーン処理は、所定の複数のディザマトリクスおよび入力される画像データ用いて、N値化するものである。また、誤差拡散処理は、入力画像データを所定の閾値と比較することにより、N値化を行い、その際の入力画像データと閾値との差分を以降にN値化処理する周囲画素に対して拡散させる処理である。
【0044】
408は、画像形成装置内部に構成した第2の記憶部であり、ハーフトーン処理部407(407C,407M,407Y,407K)により処理されたN値化データを記憶する。なお、記憶部408以降の画像処理する画素位置が乗り換えポイントである場合、記憶部408から読み出される時点で、1画素分の乗り換えが行われる。
【0045】
図8(a)は記憶部408が保持しているデータの状態を模式的に示す図である。同図(a)に示す通り、記憶部408が記憶している状態においては、画像処理部402としての補正方向、あるいは画像形成部401の曲がり特性によらず、ハーフトーン処理部407による処理後のデータが保持されている。同図の701のラインが読み出される時点で、画像処理部402で補正されるべき方向としてのプロファイル特性が上向きの場合、図8(b)のように、乗り換えポイントを境界として、上向きに1画素分ずらされた状態となる。また、画像処理部402で補正されるべき方向としてのプロファイル特性が下向きの場合、ライン701の画像データが、記憶部408から読み出された時点で、図8(c)のように、乗り換えポイントを境界として、下向きに1画素分ずらされた状態となる。
【0046】
409C,409M,409Y,409Kは、各色での補間判定部であり、入力されるN値化データの乗り換えポイント前後の画素の処理として、後段処理で補間を必要とする画素であるか、補間を行わなくても良い画素であるかを判定する。
【0047】
410C,410M,410Y,410Kは、記憶部408からのN値化データと補間判定部409の判定結果の同期をとるために構成したタイミング調整部である。411C,411M,411Y,411Kは補間判定部409とタイミング調整部410の出力データを一時的に保持する転送バッファである。なお、本説明においては、第1記憶部406、第2記憶部408、転送用バッファ411を別構成として説明したが、画像形成装置内部に共通の記憶部を構成するようにしても良い。
【0048】
412C,412M,412Y,412Kは、補間処理部であり、転送用バッファ411からの受信データに対して、同じく転送用バッファから転送されてくる補間判定部409による判定結果に基づき補間処理を行う。補間判定409からの判定結果は、画素毎の判定となるが、補間処理部412での補間処理は、画像形成装置がもつ曲がり特性に対応した乗り換えポイントの前後画素を使用する。図5に乗り換えポイントにおける補間の方法を示す。
【0049】
図5において、(a)は、レーザースキャン方向に対する、画像形成装置の曲がり特性を示す図である。領域1は画像処理部402として、上向きに補正を行わなければならない領域であり、反対に、領域2は画像処理部402として下向きに補正を行わなければならない領域である。なお、以降の補間処理の説明においては、説明の便宜上、乗り換えポイント間の最小間隔を16画素とするが、本発明はこれに限られるものではない。つまり、任意の画素数間隔にしても良いし、回路構成縮小のために2のべき乗の画素間隔にしても良い。
【0050】
図5の例における、乗り換えポイントPa前後の乗り換え前画像、すなわち、ハーフトーン処理部407の出力画像データ構成を(b)に示す。注目ラインは、図示する3ライン分の画像データの中央ラインである。注目ラインに着目した場合の1画素単位の乗り換え処理、すなわち、記憶部408の出力時の画像データ構成を(c)に示す。1画素を超える乗り換えポイント処理は、記憶部408から読み出す時点で行うため、補間処理部412に入力される時点での、乗り換えポイントPa前後の画素構成は、乗り換えポイントPaを境界にして、大きな段差となって現れる。
【0051】
補間処理部412は、注目ライン上に、段差となって現れる画像データに対して補間処理を行う。領域1における、補正の方向は上向きであるため、注目ラインの補間処理には、後ラインの画像データとの重み付け演算により行う。本説明における重み付けは、図5(d)に示す通り、対象となる副走査方向2画素の総和が、乗り換えポイントの最小値に合わせ16となるように、記載するが、本発明における重み付け係数の総和は16に限定されるものではない。演算に用いる回路の縮小化のために、2のべき乗となるようにしても良いし、より精度を上げるため、任意の係数で演算できるようにしても良い。また、以降の説明のように、重み付けの構成として、1画素単位に重み付け係数を変えるようにしても良いし、図6に示すように、複数画素単位で共通の重み付け係数を用いるようにしても良い。更には、重み付け係数の値に応じて、対応させる画素数を可変にするようにしても良い。なお、乗り換えポイントの定義は、レーザースキャン方向に対して、副走査方向に1画素ずれる位置が該当するため、補間の際の基準位置は左側として以降の説明をする。
【0052】
補間に用いる演算式を(式1)に記す。
【0053】
(補間画素値)=W1×(注目ラインの1ライン前画素値)+W2×(注目ライン画素値)+
W3×(注目ラインの1ライン後画素値)・・・・・・・・・・(式1)
※W1、W2、W3は任意の重み付け係数
本説明の例において、上記(式1)により得られる補間画素値の概念図を図5(e)に示す。(式1)による補間により、乗り換えポイントPaの前では、乗り換えポイントPaに近い画素ほど、後ラインの画素値の影響を受け、乗り換えポイントPaから遠くなる画素ほど、注目ライン、すなわち、黒データラインの影響を強く受ける。
【0054】
また、乗り換えポイントPaの後ろの画素では、乗り換えポイントPaに近い画素ほど、注目ラインの前ラインの影響を受ける結果となる。また、乗り換えポイントPaから遠い画素ほど、注目ラインの後ラインの影響を受ける結果となる。
【0055】
次に、下向きに補正を行わなければならない、領域b部分に関して説明する。下向きに補正する場合においては、補正画素値の演算に用いる重み付け係数が、注目ラインと注目ラインの前ラインに設定されることとなる。
【0056】
図5(f)には、ハーフトーン処理部407が出力した時点の画像データを示し、(g)に、記憶部408により、読み取られた時点の画像データを示す。乗り換えポイントPcにおいては、下向きの補正が行われるため、(g)に示す通り、乗り換えポイントPcを境界として、1画素を超える乗り換え処理段差が現れる。下向きの補正を行う場合のW1、W2、W3の値は(h)に示す通りであり、説明の便宜上、上向き補正処理時と同様、重み付け係数の総和が16となるようにしている。下向き補正時に対しても、(式1)を適用すると、乗り換えポイントPcを境界として、補正画素値が求まる。つまり、乗り換えポイントPcの前では、乗り換えポイントに近い画素ほど、前ラインの画素値の影響を受け、乗り換えポイントPcから遠くなる画素ほど、注目ラインの影響を強く受ける。また、乗り換えポイントPcの後ろの画素では、乗り換えポイントPcに近い画素ほど、注目ラインの影響を受け、乗り換えポイントPcから遠い画素ほど、注目ラインの前ラインの影響を受ける結果となる(図5(i))。
【0057】
このように、補間処理部412の補間処理により、補間の方向が上向きであっても、下向きであっても、主走査方向に連続する画素データが、1画素を超える乗り換え処理段差によって、大きな段差として現れることが防止される。
【0058】
413はパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)であり、補間処理部412が出力する色毎の画像データに対して、スキャナ部415C,415M,415Y,415K の露光時間へ変換される。そして、変換後の画像データは、画像形成部401の印字部415により出力される。
【0059】
なお、図9により、既に説明をしたプロファイル特性データに関しては、画像形成部401内部に、画像形成装置がもつ特性として、装置内部に保持されている。画像処理部402は、画像形成部401が保持しているプロファイル特性に応じて処理がなされるものである(プロファイル416C,416M,416Y,416K)。
【0060】
既に述べたとおり、電子写真方式の画像形成装置では、一般的にスクリーン処理などのハーフトーン処理によって画像が再現されている。しかしスクリーン処理が行われた階調画像に対してそのまま乗り換え処理を行うと、乗り換えポイント前後でディザパターンの位相の不整合が生じる。このため、ハーフトーン処理部407において、プロファイル特性401によって設定されたライン乗り換えポイントを参照して、予めライン乗り換えと反対の方向にディザパターンの位相をずらす処理(以下、位相ずらし処理と称する)を行う。
【0061】
以下で特にハーフトーン処理部407における位相ずらし処理を含んだスクリーン処理について説明する。
【0062】
図11は、記憶部406から入力された画像に対してハーフトーン処理部407においてスクリーン処理及び位相ずらし処理を行う様子を模式的に表したものである。
【0063】
ここではまずスクリーン処理について説明する。図11(a)は記憶部406からハーフトーン処理部407に入力された画像である。電子写真方式の画像形成装置は一般的に2値プリンタであるので、中間濃度は画像を小面積のエリアに分割し、エリア内のトナーと出力される紙の面積比によって表現する。エリア毎の色の面積を定めるため、図11(b)に示すような、ディザマトリクスと呼ばれるエリアと同じ面積で各画素に相当する部分に閾値を持つサブマトリクスを用意する。なおここでは便宜上、1種類のディザマトリクスに値を代入しているが、ハーフトーン処理部407C, 407M, 407Y, 407Kによって互いに異なるディザマトリクスを保持していてもよい。このディザマトリクスを図11(c)のように格子状に並べ、入力画像に重ね合わせ、画素毎に入力画像の画素値とディザマトリクスの閾値とを比較し、その大小関係によって対象の画素に色づけするかどうかを決定する。すると、図11(d)のようなスクリーン処理された画像が得られる。なお、ディザマトリクスの配列パターンは正方格子状に限定されず、図12に示すように、何列かおきに副走査方向にずれた配列である場合も含む。
【0064】
図13に示すのは、ハーフトーン処理部407における、位相ずらし処理を含んだスクリーン処理のフローを表したものである。図14に示すのは入力画像とディザマトリクスとの関係を模式的に表したものである。(X,Y)は入力画像のある画素の座標、(X1,Y1)は当該画素のディザテーブル内での座標とする。IN[X][Y]は入力画素値、OUT[X][Y]は出力画素値、入力画像の主走査方向の幅をX_MAX、副走査方向の幅をY_MAX、ディザテーブルの主走査方向の幅をX_DMAX、副走査方向の幅をY_DMAXとする。また、T[X1][Y1]はディザテーブル、OFFSET[X]は位相ずらしテーブルを表す。
【0065】
まずS2においてプロファイル特性を参照して位相ずらしテーブルOFFSETを作成する。これはプロファイル特性から得られた、画素の主操作方向の座標Xに依存するテーブルであり、乗り換え処理と逆方向にディザパターンの位相をずらす変位量を表すものである。例えば前述の乗り換えポイント.Paにおいて副走査方向に1画素分上向きに乗り換え処理を行うような場合、OFFSET[Pa] = -1となる。この変位量は、S9においてディザテーブル副走査カウンタに足され剰余演算することで得られる。すなわち、図15に示すとおり、ディザテーブルが周期的に並んでいるため、X_DMAX、Y_DMAXによる剰余によって該当するX1、Y1を得られることから(式2)、(式3)が得られる。
【0066】
Y1 = ( Y + OFFSET[X]) MOD Y_DMAX・・・・・(式2)
X1 = X MOD X_DMAX・・・・・・・・・・・・・(式3)
これらによって位相がずらされたディザテーブル内の座標が得られる。
【0067】
S11において位相ずらし量が考慮されたディザテーブルの参照が行われ、出力画素値OUTが(式4)によって決定する。
【0068】
OUT[Y][X] = T[Y1][X1][IN[Y][X]]・・・・・(式4)
上述のS9〜S11の試行によって、位相ずらし量が考慮されたスクリーン処理の出力値が得られる。S4〜S8において入力画像内の全ての画素に対して繰り返される。
【0069】
図16は入力画像にディザパターン位相ずらしを適用した画像処理を行う場合と、行わない場合との中間画像及び出力結果を模式的に表したものである。同図(a)はハーフトーン処理部407に入力された階調画像であり、同図(b)(c)(d)は本実施例を適用しない場合、同図(e)(f)(g)は本実施例を適用した場合のものである。図16(b)は(a)をスクリーン処理した画像、同図(c)は(b)をライン乗り換え処理した画像、同図(d)は(c)の出力結果である。また、図16(e)は同図(a)を位相ずらし処理を含むスクリーン処理をした結果、同図(f)は(e)をライン乗り換え処理した画像、同図(g)は(f)の出力結果である。
【0070】
上記のように位相ずらし処理を追加することによって上述の図16(d)に示されるような不整合がなくなり、同図(g)のような出力画像が記憶部408に出力される。
【0071】
このように、階調画像をスクリーン処理によって再現する際に、記憶部408におけるライン乗り換えにより、ハーフトーン処理部407において予めディザマトリクスの位相を逆にずらしておく位相ずらし処理を追加する。このことによって、ディザパターンに副走査方向の位相のずれが生じてしまう現象を防ぐことが可能となる。
【0072】
以下に本発明の実施例1の処理フローを詳細に説明する。
【0073】
図1は、実施例1における消耗部品交換時の処理を示すフローチャートである。
【0074】
消耗部品が交換されたら、画像処理部402は、画像処理を一旦停止して、画像形成部401にあるプロファイル416を取得する(S1001)。
【0075】
画像処理部402は、画像処理部402の不揮発性メモリ418に保存してある前回取得したプロファイル419と取得したプロファイル416を比較する。両プロファイルに差分がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。両プロファイルに差分があれば、次の処理へ進む(S1002)。
【0076】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像があるかどうかを検索する。スクリーン画像がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像があれば、次の処理へ進む(S1003)。
【0077】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、その元となる入力画像が記憶部406にあるかかどうかを検索する。入力画像がなければ、記憶部408にあるスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける。記憶部406に入力画像があれば、次の処理へ進む(S1004)。
【0078】
画像処理部402は、元の入力画像のある記憶部408にあるスクリーン画像に対して削除を行う(S1005)。
【0079】
画像処理部402は、削除したスクリーン画像に元となる入力画像に対して、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行い、スクリーン処理を行う(S1006)。
【0080】
画像処理部402は、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける(S1007)。
【0081】
以上の処理により、消耗部品交換によりプロファイルが変化した場合、変化後のプロファイルに従って画像処理を行う。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施例1では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化しても、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、入力画像が階調画像で、スクリーン線等のディザパターンによって出力されるような画像であっても、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0083】
実施例1では、どのようなディザパターンでスクリーン処理されたスクリーン画像においても、再度入力画像からスクリーン処理を行っている。誤差拡散方式でスクリーン処理されているスクリーン画像や、ディザパターンの位相ずらしを行っていないスクリーン画像の場合、そのまま変化後のプロファイルにてライン乗り換え処理を行っても、筋むらや濃度むらはそれほど発生しない。
【0084】
実施例2では、スクリーン画像のスクリーン処理方法に応じた処理フローについて説明する。
【0085】
図10は、実施例2における消耗部品交換時の処理を示すフローチャートである。
【0086】
消耗部品が交換されたら、画像処理部402は、画像処理を一旦停止して、画像形成部401にあるプロファイル416を取得する(S2001)。
【0087】
画像処理部402は、画像処理部402の不揮発性メモリ418に保存してある前回取得したプロファイル419と取得したプロファイル416を比較する。両プロファイルに差分がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。両プロファイルに差分があれば、次の処理へ進む(S2002)。
【0088】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像があるかどうかを検索する。スクリーン画像がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像があれば、次の処理へ進む(S2003)。
【0089】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、そのスクリーン画像のスクリーン処理方法を確認する。スクリーン処理方法は、画像毎に記憶部420に記録されている(S2004)。
【0090】
画像処理部402は、スクリーン画像にディザパターン位相ずらしがされていなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像にディザパターン位相ずらしが行われていれば、次の処理へ進む(S2005)
画像処理部402は、スクリーン画像が誤差拡散方式でスクリーン処理されていれば、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。誤差拡散方式でスクリーン処理されたスクリーン画像であれば、次の処理へ進む(S2006)
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、その元となる入力画像が記憶部406にあるかかどうかを検索する。入力画像がなければ、記憶部408にあるスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける。記憶部406に入力画像があれば、次の処理へ進む(S2007)。
【0091】
画像処理部402は、元の入力画像のある記憶部408にあるスクリーン画像に対して削除を行う(S2008)。
【0092】
画像処理部402は、削除したスクリーン画像に元となる入力画像に対して、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行い、スクリーン処理を行う(S2009)。
【0093】
画像処理部402は、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける(S2010)。
【0094】
以上の処理により、消耗部品交換によりプロファイルが変化した場合、変化後のプロファイルに従って画像処理を行う。
【0095】
以上説明したように、本発明の実施例2では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化した場合、印刷結果に影響のある場合にのみ、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、効率的に、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0096】
実施例1や2では、スクリーン画像の元となる入力画像がない場合は、そのまま印刷を継続せざるをえなかった。
【0097】
実施例3では、消耗部品交換前にスクリーン画像のスクリーン処理方法の変更を行う。
【0098】
図17は、実施例3における消耗部品交換の寿命予告時の画像処理を示すフローチャートである。
【0099】
画像処理部402は、画像処理402に画像が入力されたら(S3001)、画像形成部401の消耗部品管理部417から消耗部品の寿命予告の通知がきているかを確認する(S3002)。
【0100】
画像処理部402は、消耗部品管理部417より消耗部品の寿命予告の通知がきていなければ、入力画像に予め設定されているスクリーン処理方式でスクリーン処理を行う(S3005)。プロファイル416に従って、ディザパターンの位相ずらしを行いスクリーン画像を生成する。
【0101】
画像処理部402は、消耗部品管理部417より消耗部品の寿命予告の通知がきていれば、入力画像に予め設定されているスクリーン処理方式にかかわらず、誤差拡散方式でスクリーン処理を行う。プロファイル416に従ったディザパターンの位相ずらしは行わない(S3006)。
【0102】
画像処理部402は、生成されたスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行う(S3007)。ライン乗り換え処理された画像の印刷を行う(S3008)。
【0103】
以上のように、消耗部品の寿命予告時は、プロファイルの変化に備えて、予め筋むらや濃度むらの起こりにくいスクリーン処理方法を選択しておく。
【0104】
以上説明したように、本発明の実施例3では、消耗部品の寿命予告時は、プロファイルの変化に備えて、予め筋むらや濃度むらの起こりにくいスクリーン処理方法を選択しておく。このことにより、消耗部品交換直後の印刷において筋むらや濃度むらの発生を抑制することが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは、例えば電子写真プロセスを有するレーザビームプリンタ(LBP)やデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(MFP)等において、入力画像を、安定した品質の濃度によって再現する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタあるいは複写機等の画像形成装置に用いられる画像記録方式として、電子写真方式が知られている。電子写真方式は、レーザビームを利用して感光ドラム上に潜像を形成して、帯電した色材(以下、トナーと称する)により現像するものである。画像の記録は、現像されたトナーによる画像を転写紙に転写して定着させることにより行う。
【0003】
近年、電子写真方式の画像形成装置の画像形成スピード高速化のために、トナーの色数と同数の現像機および感光ドラムを備え、画像搬送ベルト上や、記録媒体上に順次異なる色の画像を転写するタンデム方式のカラー画像形成装置が増えている。このタンデム方式の画像形成装置においては、レジストレーションずれを生じさせる複数の要因が存在することが知られており、各要因に対して様々な対処方法が提案されている。
【0004】
その1つの要因が、偏向走査装置のレンズの不均一性や取り付け位置ずれ、および偏光走査装置の画像形成装置本体への組み付け位置ずれである。この位置ずれにより、走査線に傾きや曲がりが生じ、その曲がりの度合い(以下、プロファイルと称する)が色毎に異なることとなり、レジストレーションずれとなる。
【0005】
プロファイルは各画像形成装置、すなわち記録エンジン毎、更には各色で特性が異なる。プロファイルの一例を図18(a)〜(d)に示す。図18において、横軸は画像形成装置における主走査方向位置を示す。主走査方向に直線的に表現している線2411は、曲がりのない理想的な特性であることを示す。また、曲線で示した線2401、線2402、線2403、線2404は、色毎のプロファイルを示している。シアン(以下、C)の特性は線2401、マゼンタ(以下、M)は線2402、イエロー(以下、Y)は線2403、ブラック(以下、K)は線2404の特性となっている。縦軸は理想的な特性に対して、副走査方向へのずれ量を示す。同図からもわかるように、曲線の変化点は、色毎に異なっている。特に、多色画像を形成するために、複数のレーザビームによって各色の画像に対応する複数の静電潜像を形成する場合には、この異なりが、定着後の画像データにおいて、レジストレーションずれとなって現れる。
【0006】
このレジストレーションずれへの対処方法として、特許文献1には、偏光走査装置の組立工程にて、光学センサを用いて走査線の曲がりの大きさを測定し、レンズを機械的に回転させて走査線の曲がりを調整した後、接着剤で固定する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、光学センサを用いて走査線の傾きと曲がりの大きさを測定し、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正した画像を形成する方法が記載されている。この方法は、画像データを処理することで電気的に補正をするため、機械的な調整部材や組立時の調整工程が不要になる。したがって、カラー画像形成装置の大きさを小型化することが可能となり、且つ、特許文献1、2に記載されている方法よりも安価にレジストレーションずれに対処することが出来る。この電気的なレジストレーションずれ補正は、1画素単位の補正と1画素未満の補正に分かれる。1画素単位の補正は図19に示すように傾きと曲がりの補正量に応じて画素を1画素単位で副走査方向へオフセットさせる。なお、以後の記載においては、オフセットさせる位置を乗り換えポイント、オフセットさせる処理をライン乗り換え処理と称する。つまり、図19(a) においては、P1〜P5が乗り換えポイントに該当する。
【0008】
1画素未満の補正は図20に示すように、ビットマップ画像データの階調値を副走査方向の前後の画素で調整する。つまり、図19(a)のようなプロファイル特性により、上向きに曲がっている場合は、階調補正前のビットマップ画像データを、プロファイルの示す方向と副走査側に逆方向に扱う。このような手法によって、1画素未満の補正を実施することにより、1画素単位の補正により生じる乗り換えポイント境界における不自然な段差を解消し、画像の平滑化を図ることが出来る。
【0009】
また、上述のライン乗り換え処理が、スクリーン処理によって再現される階調画像内で行われると、出力画像のディザパターンが乗り換えポイントにおいてずれる。このため、予め設定されたプロファイルを参照して、入力画像の乗り換えポイントにおいて乗り換えとは逆の向きに1ライン分の位相をずらしたディザパターンを用いる手法が提案されている。このことによって、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002-116394号公報
【特許文献2】特開2004-170755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ドラムカートリッジのように走査線の傾きや曲がりに影響する消耗部品が交換されるとき、プロファイル特性が変わる。
【0012】
印刷ジョブ中に、このような消耗部品が寿命に達し、部品交換を行うと、部品交換前のプロファイル特性でディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像が画像形成装置内に残ってしまう。
【0013】
これらのスクリーン画像を部品交換後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行い、印刷を行うと、正しいプロファイル特性でディザパターンの位相ずらしを行っていないことになる。このため、部品交換前後のプロファイル特性で乗り換えポイントが異なる場合、乗り換えポイントで、ディザパターンがずれて筋むらや濃度むらが発生してしまう。
【0014】
逆に、これらのスクリーン画像を部品交換前のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行い、印刷を行うと、正しいプロファイル特性でライン乗り換え処理を行っていないため、走査線の傾きや曲がりを充分に補正できない。
【0015】
また、交換部品の交換の時期を変更させると、画像形成装置の安全性や耐久性に支障をきたす可能性がある。このため、上記問題を避けるために、消耗部品交換の時期を変更することができない。
【0016】
本発明は、上記問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と、
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化しても、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、入力画像が階調画像で、スクリーン線等のディザパターンによって出力されるような画像であっても、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1における消耗部品交換時の処理を示すフローチャート。
【図2】中間転写体を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の断面図。
【図3】走査線のプロファイル特性。
【図4】カラー画像形成装置の構成図。
【図5】乗り換えポイントの補間方法。
【図6】重み付け構成の一例。
【図7】補正がなされるべき方向とずれ方向。
【図8】レジストレーションずれと乗り換え処理の様子。
【図9】プロファイル特性のデータ保持方法。
【図10】実施例2におけるにおける消耗部品交換時の処理を示すフローチャート。
【図11】入力画像に対してスクリーン処理及び位相ずらし処理を行う様子。
【図12】何列かおきに副走査方向にディザマトリクスがずれた配列の一例。
【図13】位相ずらし処理を含んだスクリーン処理のフローチャート。
【図14】入力画像とディザマトリクスとの関係。
【図15】ディザテーブルが周期的に並ぶ様子。
【図16】入力画像をディザ位相ずらしを適用した画像処理を行う場合と、行わない場合との中間画像及び出力結果。
【図17】実施例3における消耗部品交換の寿命予告時の画像処理を示すフローチャート。
【図18】プロファイル特性の一例。
【図19】ライン乗り換え処理の様子。
【図20】補間処理の様子。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0021】
図4は、実施例1の電子写真方式のカラー画像形成装置において、静電潜像作成に関係する各ブロックの構成を説明する図である。カラー画像形成装置は画像形成部401と画像処理部402により構成し、画像処理部402でビットマップ画像情報を生成し、それに基づき画像形成部401が記録媒体上への画像形成を行う。
【0022】
図2は、電子写真方式のカラー画像形成装置の一例である中間転写体28を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の断面図である。図2を用いて、電子写真方式のカラー画像形成装置における画像形成部401の動作を説明する。
【0023】
画像形成部401は、画像処理部402が処理した露光時間に応じて露光光を駆動し、静電潜像を形成して、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体11へ転写してその記録媒体上の多色トナー像を定着させる。
【0024】
帯電手段は、Y,M,C,Kの色毎に感光体22Y,22M,22C,22Kを帯電させるための4個の注入帯電器23Y,23M,23C,23Kを備える構成で、各注入帯電器にはスリーブ23YS,23MS,23CS,23KSを備えている。
【0025】
感光体22Y,22M,22C,22Kは、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体22Y,22M,22C,22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。露光手段は、感光体22Y,22M,22C,22Kへスキャナ部24Y,24M,24C,24Kより露光光を照射し、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像を形成するように構成している。
【0026】
現像手段は、前記静電潜像を可視化するために、Y,M,C,Kの色毎に現像を行う4個の現像器26Y,26M,26C,26Kを備える構成で、各現像器には、スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSが設けられている。なお、各々の現像器26は脱着が可能である。
【0027】
転写手段は、感光体22から中間転写体28へ単色トナー像を転写するために、中間転写体28を時計周り方向に回転させる。そして、感光体22Y,22M,22C,22Kとその対向に位置する一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kの回転に伴って、単色トナー像を転写する。一次転写ローラ27に適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体22の回転速度と中間転写体28の回転速度に差をつけることにより、効率良く単色トナー像を中間転写体28上に転写する。これを一次転写という。
【0028】
更に転写手段は、ステーション毎に単色トナー像を中間転写体28上に重ね合わせ、重ね合わせた多色トナー像を中間転写体28の回転に伴い二次転写ローラ29まで搬送する。さらに記録媒体11を給紙トレイ21から二次転写ローラ29へ狭持搬送し、記録媒体11に中間転写体28上の多色トナー像を転写する。この二次転写ローラ29に適当なバイアス電圧を印加し、静電的にトナー像を転写する。これを二次転写という。二次転写ローラ29は、記録媒体11上に多色トナー像を転写している間、29aの位置で記録媒体11に当接し、印字処理後は29bの位置に離間する。
【0029】
定着手段は、記録媒体11に転写された多色トナー像を記録媒体11に溶融定着させるために、記録媒体11を加熱する定着ローラ32と記録媒体11を定着ローラ32に圧接させるための加圧ローラ33を備えている。定着ローラ32と加圧ローラ33は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ34、35が内蔵されている。定着装置31は、多色トナー像を保持した記録媒体11を定着ローラ32と加圧ローラ33により搬送するとともに、熱および圧力を加え、トナーを記録媒体11に定着させる。
【0030】
トナー定着後の記録媒体11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。クリーニング手段30は、中間転写体28上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体28上に形成された4色の多色トナー像を記録媒体11に転写した後に残った廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0031】
図3を用いて、画像形成装置の色毎の走査線のプロファイル特性に関して説明する。同図において、(a)は画像形成装置のプロファイル特性として、レーザースキャン方向に上方にずれている領域を示す図である。また、(b)は画像形成装置のプロファイル特性として、レーザースキャン方向に下方にずれている領域を示す図である。301は理想的な走査線であり感光体22の回転方向に対して垂直に走査が行われる場合の特性を示す。
【0032】
なお、以下、説明におけるプロファイル特性は、画像処理部402で補正がなされるべき方向を前提として行うが、プロファイル特性としての定義は、これに限定されるものではない。つまり、画像形成部401のずれ方向として定義しておき、画像処理部402では、その逆特性の補正を行うように構成しても良い。図7にプロファイル定義による、画像処理部402で補正がなされるべき方向示す図と、画像形成部401のずれ方向を示す図の相関を示す。画像処理部402で補正がなされるべき方向として、図7(a)のようにプロファイル特性が示されている場合は、画像形成部401の曲がり特性は、その逆方向である図(b)のようなものとなる。逆に、画像形成部401の曲がり特性として、図7(c)のプロファイル特性が示されている場合、画像処理部402で補正がなされるべき方向としては図7(d)のようになる。
【0033】
また、プロファイル特性のデータの保持の仕方としては、例えば図9に示すように、乗り換えポイントの主走査方向の画素位置と、次の乗り換えポイントまでの変化の方向性を保持するようにする。具体的には、図9を例にとれば、(a)のプロファイル特性に対し、乗り換えポイントがP1,P2,P3,・・・Pmが定義される。各乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれが発生するポイントであり、方向としては、次の乗り換えポイントまで上向きに変化する場合と下向きに変化する場合がある。
【0034】
例えば、乗り換えポイントP2は、次の乗り換えポイントP3まで、上向きに乗り換えを行うべきポイントとなる。したがって、P2における乗り換え方向は、(b)に示すように上向き(↑)となる。同様に、P3においても、次の乗り換えポイントP4までは上向き(↑)となる。乗り換えポイントP4における乗り換え方向は、これまでの方向とは異なり下向き(↓)となる。この方向のデータの保持の仕方としては、例えば、上向きを示すデータとして”1”、下向きを示すデータとして”0”とすれば、図9(c)のようになる。この場合、保持するデータ数は乗り換えポイント数と同じだけとなり、乗り換えポイント数がm個であるならば、保持するビット数もmビットとなる。
【0035】
302は感光体22の位置精度や径のずれ、および図2に示す各色のスキャナ部24(24C,24M,24Y,24K)における光学系の位置精度に起因した、傾きおよび曲がりの発生した実際の走査線を示す。画像形成装置は、その記録デバイス(記録エンジン)毎にこのプロファイル特性が異なり、更に、カラー画像形成装置の場合は、色毎にその特性が異なる。
【0036】
図3(a)を用いて、レーザースキャン方向に上方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。
【0037】
本発明における乗り換えポイントとは、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(a)においては、上方への曲がり特性302上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるP1、P2、P3が乗り換えポイントに相当する。なお、図3(a)においてはP0を基準としたものとして記載している。同図からもわかるように、乗り換えポイント間の距離(L1、L2)は、曲がり特性302が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0038】
次に図3(b)を用いて、レーザースキャン方向に下方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。下方にずれている特性を示す領域においても、乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(b)においては、下方への曲がり特性302上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるPn、Pn+1が乗り換えポイントに相当する。図3(b)においても、図3(a)同様、乗り換えポイント間の距離(Ln、Ln+1)は、曲がり特性302が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0039】
このように、乗り換えポイントは、画像形成装置がもつ曲がり特性302の変化度合い密接に関係する。よって、
急激な曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数は多くなり、逆に緩やかな曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数が少なくなる。
【0040】
既に説明している通り、画像形成装置がもつ曲がり特性は、色毎にも異なるため、乗り換えポイントの数および位置はそれぞれ異なる。この色間の相違が、中間転写体28上に全色のトナー像を転写した画像においてレジストレーションずれとなって現れることとなる。本発明は、この乗り換えポイントでの処理に関するものであり、詳細に関しては、別図を用いて後述する。
【0041】
次に、図4を用いて、カラー画像形成装置における画像処理部402の処理について説明する。画像生成手段404は、不図示のコンピュータ装置等から受信する印刷データより、印刷処理が可能なラスターイメージデータを生成し、RGBデータおよび各画素のデータ属性を示す属性データとして画素毎に出力する。なお、画像生成手段404は、コンピュータ装置等から受信した画像データではなく、カラー画像形成装置内部に読取手段を構成し、読取手段からの画像データを扱う構成としても良い。ここでいう読取手段とは、少なくともCCD(Chaerged Couple Device)あるいはCIS(Contact Image sencor)を含むものである。読み取った画像データに対して、所定の画像処理を行う処理部をあわせてもたせるように構成しても良い。また、カラー画像装置内部に構成せず、図示しないインターフェースを介して、前記読取手段からデータを受け取るように構成しても良い。
【0042】
405は色変換手段であり、前記RGBデータを画像形成部402のトナー色にあわせてCMYKデータに変換し、CMKYデータと属性データをビットマップメモリ406へ格納する。記憶部406は、画像処理部402に構成した第1の記憶部であり、印刷処理を行うラスターイメージデータを一旦格納するものである。なお、記憶部406は、1ページ分のイメージデータを格納するページメモリで構成しても良いし、複数ライン分のデータを記憶するバンドメモリとして構成しても良い。
【0043】
407C,407M,407Y,407Kは、ハーフトーン処理部であり、記憶部406から出力される属性データおよび各色のデータにハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理部の具体的な構成としては、スクリーン処理によるもの、あるいは誤差拡散処理によるものがある。スクリーン処理は、所定の複数のディザマトリクスおよび入力される画像データ用いて、N値化するものである。また、誤差拡散処理は、入力画像データを所定の閾値と比較することにより、N値化を行い、その際の入力画像データと閾値との差分を以降にN値化処理する周囲画素に対して拡散させる処理である。
【0044】
408は、画像形成装置内部に構成した第2の記憶部であり、ハーフトーン処理部407(407C,407M,407Y,407K)により処理されたN値化データを記憶する。なお、記憶部408以降の画像処理する画素位置が乗り換えポイントである場合、記憶部408から読み出される時点で、1画素分の乗り換えが行われる。
【0045】
図8(a)は記憶部408が保持しているデータの状態を模式的に示す図である。同図(a)に示す通り、記憶部408が記憶している状態においては、画像処理部402としての補正方向、あるいは画像形成部401の曲がり特性によらず、ハーフトーン処理部407による処理後のデータが保持されている。同図の701のラインが読み出される時点で、画像処理部402で補正されるべき方向としてのプロファイル特性が上向きの場合、図8(b)のように、乗り換えポイントを境界として、上向きに1画素分ずらされた状態となる。また、画像処理部402で補正されるべき方向としてのプロファイル特性が下向きの場合、ライン701の画像データが、記憶部408から読み出された時点で、図8(c)のように、乗り換えポイントを境界として、下向きに1画素分ずらされた状態となる。
【0046】
409C,409M,409Y,409Kは、各色での補間判定部であり、入力されるN値化データの乗り換えポイント前後の画素の処理として、後段処理で補間を必要とする画素であるか、補間を行わなくても良い画素であるかを判定する。
【0047】
410C,410M,410Y,410Kは、記憶部408からのN値化データと補間判定部409の判定結果の同期をとるために構成したタイミング調整部である。411C,411M,411Y,411Kは補間判定部409とタイミング調整部410の出力データを一時的に保持する転送バッファである。なお、本説明においては、第1記憶部406、第2記憶部408、転送用バッファ411を別構成として説明したが、画像形成装置内部に共通の記憶部を構成するようにしても良い。
【0048】
412C,412M,412Y,412Kは、補間処理部であり、転送用バッファ411からの受信データに対して、同じく転送用バッファから転送されてくる補間判定部409による判定結果に基づき補間処理を行う。補間判定409からの判定結果は、画素毎の判定となるが、補間処理部412での補間処理は、画像形成装置がもつ曲がり特性に対応した乗り換えポイントの前後画素を使用する。図5に乗り換えポイントにおける補間の方法を示す。
【0049】
図5において、(a)は、レーザースキャン方向に対する、画像形成装置の曲がり特性を示す図である。領域1は画像処理部402として、上向きに補正を行わなければならない領域であり、反対に、領域2は画像処理部402として下向きに補正を行わなければならない領域である。なお、以降の補間処理の説明においては、説明の便宜上、乗り換えポイント間の最小間隔を16画素とするが、本発明はこれに限られるものではない。つまり、任意の画素数間隔にしても良いし、回路構成縮小のために2のべき乗の画素間隔にしても良い。
【0050】
図5の例における、乗り換えポイントPa前後の乗り換え前画像、すなわち、ハーフトーン処理部407の出力画像データ構成を(b)に示す。注目ラインは、図示する3ライン分の画像データの中央ラインである。注目ラインに着目した場合の1画素単位の乗り換え処理、すなわち、記憶部408の出力時の画像データ構成を(c)に示す。1画素を超える乗り換えポイント処理は、記憶部408から読み出す時点で行うため、補間処理部412に入力される時点での、乗り換えポイントPa前後の画素構成は、乗り換えポイントPaを境界にして、大きな段差となって現れる。
【0051】
補間処理部412は、注目ライン上に、段差となって現れる画像データに対して補間処理を行う。領域1における、補正の方向は上向きであるため、注目ラインの補間処理には、後ラインの画像データとの重み付け演算により行う。本説明における重み付けは、図5(d)に示す通り、対象となる副走査方向2画素の総和が、乗り換えポイントの最小値に合わせ16となるように、記載するが、本発明における重み付け係数の総和は16に限定されるものではない。演算に用いる回路の縮小化のために、2のべき乗となるようにしても良いし、より精度を上げるため、任意の係数で演算できるようにしても良い。また、以降の説明のように、重み付けの構成として、1画素単位に重み付け係数を変えるようにしても良いし、図6に示すように、複数画素単位で共通の重み付け係数を用いるようにしても良い。更には、重み付け係数の値に応じて、対応させる画素数を可変にするようにしても良い。なお、乗り換えポイントの定義は、レーザースキャン方向に対して、副走査方向に1画素ずれる位置が該当するため、補間の際の基準位置は左側として以降の説明をする。
【0052】
補間に用いる演算式を(式1)に記す。
【0053】
(補間画素値)=W1×(注目ラインの1ライン前画素値)+W2×(注目ライン画素値)+
W3×(注目ラインの1ライン後画素値)・・・・・・・・・・(式1)
※W1、W2、W3は任意の重み付け係数
本説明の例において、上記(式1)により得られる補間画素値の概念図を図5(e)に示す。(式1)による補間により、乗り換えポイントPaの前では、乗り換えポイントPaに近い画素ほど、後ラインの画素値の影響を受け、乗り換えポイントPaから遠くなる画素ほど、注目ライン、すなわち、黒データラインの影響を強く受ける。
【0054】
また、乗り換えポイントPaの後ろの画素では、乗り換えポイントPaに近い画素ほど、注目ラインの前ラインの影響を受ける結果となる。また、乗り換えポイントPaから遠い画素ほど、注目ラインの後ラインの影響を受ける結果となる。
【0055】
次に、下向きに補正を行わなければならない、領域b部分に関して説明する。下向きに補正する場合においては、補正画素値の演算に用いる重み付け係数が、注目ラインと注目ラインの前ラインに設定されることとなる。
【0056】
図5(f)には、ハーフトーン処理部407が出力した時点の画像データを示し、(g)に、記憶部408により、読み取られた時点の画像データを示す。乗り換えポイントPcにおいては、下向きの補正が行われるため、(g)に示す通り、乗り換えポイントPcを境界として、1画素を超える乗り換え処理段差が現れる。下向きの補正を行う場合のW1、W2、W3の値は(h)に示す通りであり、説明の便宜上、上向き補正処理時と同様、重み付け係数の総和が16となるようにしている。下向き補正時に対しても、(式1)を適用すると、乗り換えポイントPcを境界として、補正画素値が求まる。つまり、乗り換えポイントPcの前では、乗り換えポイントに近い画素ほど、前ラインの画素値の影響を受け、乗り換えポイントPcから遠くなる画素ほど、注目ラインの影響を強く受ける。また、乗り換えポイントPcの後ろの画素では、乗り換えポイントPcに近い画素ほど、注目ラインの影響を受け、乗り換えポイントPcから遠い画素ほど、注目ラインの前ラインの影響を受ける結果となる(図5(i))。
【0057】
このように、補間処理部412の補間処理により、補間の方向が上向きであっても、下向きであっても、主走査方向に連続する画素データが、1画素を超える乗り換え処理段差によって、大きな段差として現れることが防止される。
【0058】
413はパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)であり、補間処理部412が出力する色毎の画像データに対して、スキャナ部415C,415M,415Y,415K の露光時間へ変換される。そして、変換後の画像データは、画像形成部401の印字部415により出力される。
【0059】
なお、図9により、既に説明をしたプロファイル特性データに関しては、画像形成部401内部に、画像形成装置がもつ特性として、装置内部に保持されている。画像処理部402は、画像形成部401が保持しているプロファイル特性に応じて処理がなされるものである(プロファイル416C,416M,416Y,416K)。
【0060】
既に述べたとおり、電子写真方式の画像形成装置では、一般的にスクリーン処理などのハーフトーン処理によって画像が再現されている。しかしスクリーン処理が行われた階調画像に対してそのまま乗り換え処理を行うと、乗り換えポイント前後でディザパターンの位相の不整合が生じる。このため、ハーフトーン処理部407において、プロファイル特性401によって設定されたライン乗り換えポイントを参照して、予めライン乗り換えと反対の方向にディザパターンの位相をずらす処理(以下、位相ずらし処理と称する)を行う。
【0061】
以下で特にハーフトーン処理部407における位相ずらし処理を含んだスクリーン処理について説明する。
【0062】
図11は、記憶部406から入力された画像に対してハーフトーン処理部407においてスクリーン処理及び位相ずらし処理を行う様子を模式的に表したものである。
【0063】
ここではまずスクリーン処理について説明する。図11(a)は記憶部406からハーフトーン処理部407に入力された画像である。電子写真方式の画像形成装置は一般的に2値プリンタであるので、中間濃度は画像を小面積のエリアに分割し、エリア内のトナーと出力される紙の面積比によって表現する。エリア毎の色の面積を定めるため、図11(b)に示すような、ディザマトリクスと呼ばれるエリアと同じ面積で各画素に相当する部分に閾値を持つサブマトリクスを用意する。なおここでは便宜上、1種類のディザマトリクスに値を代入しているが、ハーフトーン処理部407C, 407M, 407Y, 407Kによって互いに異なるディザマトリクスを保持していてもよい。このディザマトリクスを図11(c)のように格子状に並べ、入力画像に重ね合わせ、画素毎に入力画像の画素値とディザマトリクスの閾値とを比較し、その大小関係によって対象の画素に色づけするかどうかを決定する。すると、図11(d)のようなスクリーン処理された画像が得られる。なお、ディザマトリクスの配列パターンは正方格子状に限定されず、図12に示すように、何列かおきに副走査方向にずれた配列である場合も含む。
【0064】
図13に示すのは、ハーフトーン処理部407における、位相ずらし処理を含んだスクリーン処理のフローを表したものである。図14に示すのは入力画像とディザマトリクスとの関係を模式的に表したものである。(X,Y)は入力画像のある画素の座標、(X1,Y1)は当該画素のディザテーブル内での座標とする。IN[X][Y]は入力画素値、OUT[X][Y]は出力画素値、入力画像の主走査方向の幅をX_MAX、副走査方向の幅をY_MAX、ディザテーブルの主走査方向の幅をX_DMAX、副走査方向の幅をY_DMAXとする。また、T[X1][Y1]はディザテーブル、OFFSET[X]は位相ずらしテーブルを表す。
【0065】
まずS2においてプロファイル特性を参照して位相ずらしテーブルOFFSETを作成する。これはプロファイル特性から得られた、画素の主操作方向の座標Xに依存するテーブルであり、乗り換え処理と逆方向にディザパターンの位相をずらす変位量を表すものである。例えば前述の乗り換えポイント.Paにおいて副走査方向に1画素分上向きに乗り換え処理を行うような場合、OFFSET[Pa] = -1となる。この変位量は、S9においてディザテーブル副走査カウンタに足され剰余演算することで得られる。すなわち、図15に示すとおり、ディザテーブルが周期的に並んでいるため、X_DMAX、Y_DMAXによる剰余によって該当するX1、Y1を得られることから(式2)、(式3)が得られる。
【0066】
Y1 = ( Y + OFFSET[X]) MOD Y_DMAX・・・・・(式2)
X1 = X MOD X_DMAX・・・・・・・・・・・・・(式3)
これらによって位相がずらされたディザテーブル内の座標が得られる。
【0067】
S11において位相ずらし量が考慮されたディザテーブルの参照が行われ、出力画素値OUTが(式4)によって決定する。
【0068】
OUT[Y][X] = T[Y1][X1][IN[Y][X]]・・・・・(式4)
上述のS9〜S11の試行によって、位相ずらし量が考慮されたスクリーン処理の出力値が得られる。S4〜S8において入力画像内の全ての画素に対して繰り返される。
【0069】
図16は入力画像にディザパターン位相ずらしを適用した画像処理を行う場合と、行わない場合との中間画像及び出力結果を模式的に表したものである。同図(a)はハーフトーン処理部407に入力された階調画像であり、同図(b)(c)(d)は本実施例を適用しない場合、同図(e)(f)(g)は本実施例を適用した場合のものである。図16(b)は(a)をスクリーン処理した画像、同図(c)は(b)をライン乗り換え処理した画像、同図(d)は(c)の出力結果である。また、図16(e)は同図(a)を位相ずらし処理を含むスクリーン処理をした結果、同図(f)は(e)をライン乗り換え処理した画像、同図(g)は(f)の出力結果である。
【0070】
上記のように位相ずらし処理を追加することによって上述の図16(d)に示されるような不整合がなくなり、同図(g)のような出力画像が記憶部408に出力される。
【0071】
このように、階調画像をスクリーン処理によって再現する際に、記憶部408におけるライン乗り換えにより、ハーフトーン処理部407において予めディザマトリクスの位相を逆にずらしておく位相ずらし処理を追加する。このことによって、ディザパターンに副走査方向の位相のずれが生じてしまう現象を防ぐことが可能となる。
【0072】
以下に本発明の実施例1の処理フローを詳細に説明する。
【0073】
図1は、実施例1における消耗部品交換時の処理を示すフローチャートである。
【0074】
消耗部品が交換されたら、画像処理部402は、画像処理を一旦停止して、画像形成部401にあるプロファイル416を取得する(S1001)。
【0075】
画像処理部402は、画像処理部402の不揮発性メモリ418に保存してある前回取得したプロファイル419と取得したプロファイル416を比較する。両プロファイルに差分がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。両プロファイルに差分があれば、次の処理へ進む(S1002)。
【0076】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像があるかどうかを検索する。スクリーン画像がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像があれば、次の処理へ進む(S1003)。
【0077】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、その元となる入力画像が記憶部406にあるかかどうかを検索する。入力画像がなければ、記憶部408にあるスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける。記憶部406に入力画像があれば、次の処理へ進む(S1004)。
【0078】
画像処理部402は、元の入力画像のある記憶部408にあるスクリーン画像に対して削除を行う(S1005)。
【0079】
画像処理部402は、削除したスクリーン画像に元となる入力画像に対して、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行い、スクリーン処理を行う(S1006)。
【0080】
画像処理部402は、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける(S1007)。
【0081】
以上の処理により、消耗部品交換によりプロファイルが変化した場合、変化後のプロファイルに従って画像処理を行う。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施例1では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化しても、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、入力画像が階調画像で、スクリーン線等のディザパターンによって出力されるような画像であっても、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0083】
実施例1では、どのようなディザパターンでスクリーン処理されたスクリーン画像においても、再度入力画像からスクリーン処理を行っている。誤差拡散方式でスクリーン処理されているスクリーン画像や、ディザパターンの位相ずらしを行っていないスクリーン画像の場合、そのまま変化後のプロファイルにてライン乗り換え処理を行っても、筋むらや濃度むらはそれほど発生しない。
【0084】
実施例2では、スクリーン画像のスクリーン処理方法に応じた処理フローについて説明する。
【0085】
図10は、実施例2における消耗部品交換時の処理を示すフローチャートである。
【0086】
消耗部品が交換されたら、画像処理部402は、画像処理を一旦停止して、画像形成部401にあるプロファイル416を取得する(S2001)。
【0087】
画像処理部402は、画像処理部402の不揮発性メモリ418に保存してある前回取得したプロファイル419と取得したプロファイル416を比較する。両プロファイルに差分がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。両プロファイルに差分があれば、次の処理へ進む(S2002)。
【0088】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像があるかどうかを検索する。スクリーン画像がなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像があれば、次の処理へ進む(S2003)。
【0089】
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、そのスクリーン画像のスクリーン処理方法を確認する。スクリーン処理方法は、画像毎に記憶部420に記録されている(S2004)。
【0090】
画像処理部402は、スクリーン画像にディザパターン位相ずらしがされていなければ、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。スクリーン画像にディザパターン位相ずらしが行われていれば、次の処理へ進む(S2005)
画像処理部402は、スクリーン画像が誤差拡散方式でスクリーン処理されていれば、停止した画像処理を再開して処理フローから抜ける。誤差拡散方式でスクリーン処理されたスクリーン画像であれば、次の処理へ進む(S2006)
画像処理部402は、記憶部408にスクリーン画像がある場合、その元となる入力画像が記憶部406にあるかかどうかを検索する。入力画像がなければ、記憶部408にあるスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける。記憶部406に入力画像があれば、次の処理へ進む(S2007)。
【0091】
画像処理部402は、元の入力画像のある記憶部408にあるスクリーン画像に対して削除を行う(S2008)。
【0092】
画像処理部402は、削除したスクリーン画像に元となる入力画像に対して、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行い、スクリーン処理を行う(S2009)。
【0093】
画像処理部402は、プロファイル416に従ってディザパターンの位相ずらしを行ったスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行い、画像処理を再開して処理フローから抜ける(S2010)。
【0094】
以上の処理により、消耗部品交換によりプロファイルが変化した場合、変化後のプロファイルに従って画像処理を行う。
【0095】
以上説明したように、本発明の実施例2では、走査線の傾きや曲がりに影響する交換部品が交換されることによりプロファイル特性が変化した場合、印刷結果に影響のある場合にのみ、変化後のプロファイル特性に応じた画像処理を行う。このことにより、効率的に、ライン乗り換えによってディザパターンがずれて筋むらや濃度むらを防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0096】
実施例1や2では、スクリーン画像の元となる入力画像がない場合は、そのまま印刷を継続せざるをえなかった。
【0097】
実施例3では、消耗部品交換前にスクリーン画像のスクリーン処理方法の変更を行う。
【0098】
図17は、実施例3における消耗部品交換の寿命予告時の画像処理を示すフローチャートである。
【0099】
画像処理部402は、画像処理402に画像が入力されたら(S3001)、画像形成部401の消耗部品管理部417から消耗部品の寿命予告の通知がきているかを確認する(S3002)。
【0100】
画像処理部402は、消耗部品管理部417より消耗部品の寿命予告の通知がきていなければ、入力画像に予め設定されているスクリーン処理方式でスクリーン処理を行う(S3005)。プロファイル416に従って、ディザパターンの位相ずらしを行いスクリーン画像を生成する。
【0101】
画像処理部402は、消耗部品管理部417より消耗部品の寿命予告の通知がきていれば、入力画像に予め設定されているスクリーン処理方式にかかわらず、誤差拡散方式でスクリーン処理を行う。プロファイル416に従ったディザパターンの位相ずらしは行わない(S3006)。
【0102】
画像処理部402は、生成されたスクリーン画像に対して、プロファイル416に従ってライン乗り換え処理を行う(S3007)。ライン乗り換え処理された画像の印刷を行う(S3008)。
【0103】
以上のように、消耗部品の寿命予告時は、プロファイルの変化に備えて、予め筋むらや濃度むらの起こりにくいスクリーン処理方法を選択しておく。
【0104】
以上説明したように、本発明の実施例3では、消耗部品の寿命予告時は、プロファイルの変化に備えて、予め筋むらや濃度むらの起こりにくいスクリーン処理方法を選択しておく。このことにより、消耗部品交換直後の印刷において筋むらや濃度むらの発生を抑制することが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と、
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項2】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法以外でスクリーン処理されており、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項3】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法でスクリーン処理されているかを判定する第3判定手段と、
前記第3判定手段により、画像形成装置内にある前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理手段でスクリーン処理されていた場合、前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項4】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
そのプロファイル特性に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がないと判断した場合、前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項5】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法でスクリーン処理されており、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がないと判断した場合、警告表示を行う警告表示手段と、
前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項6】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
走査線の傾きや曲がりに影響する消耗部品の寿命到達を予告する消耗部品寿命予告手段と、
前記消耗部品寿命予告手段によって、消耗部品の寿命到達の予告が行われた後、消耗部品が交換されるまで、スクリーン処理を特定のスクリーン処理方法に強制的に変更するスクリーン処理変更手段とを備える画像形成装置。
【請求項7】
前記特定のスクリーン処理方法とは、プロファイル特性に応じたディザ位相ずらしを行わずにスクリーン処理する方法であることを特徴とする請求項2,3,6の画像形成装置。
【請求項8】
前記特定のスクリーン処理方法とは、誤差拡散方式によるスクリーン処理であることを特徴とする請求項2,3,6の画像形成装置。
【請求項1】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と、
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項2】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法以外でスクリーン処理されており、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がある場合、前記画像を破棄するスクリーン画像削除手段と、
前記入力画像に対して変化後のプロファイル特性でスクリーン処理を行う再スクリーン処理手段と
前記スクリーン手段で生成されたスクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項3】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法でスクリーン処理されているかを判定する第3判定手段と、
前記第3判定手段により、画像形成装置内にある前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理手段でスクリーン処理されていた場合、前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項4】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
そのプロファイル特性に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がないと判断した場合、前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項5】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
ライン乗り換えを行う位置情報を検出する、プロファイル特性検出手段と、
前記プロファイル特性検出手段より取得したプロファイル特性が前回取得したものから変化したとき、前記プロファイル特性変化前にスクリーン処理されたスクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像が特定のスクリーン処理方法でスクリーン処理されており、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像が画像形成装置内に残存しているかを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段により、前記スクリーン画像が画像形成装置内にあり、かつ、前記スクリーン画像の元となる入力画像がないと判断した場合、警告表示を行う警告表示手段と、
前記スクリーン画像を変化後のプロファイル特性でライン乗り換え処理を行うライン乗り換え手段とを備える画像形成装置。
【請求項6】
走査線の傾きや曲がりを、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、
その補正量に応じてディザの位相をずらした画像を形成する画像形成装置において、
走査線の傾きや曲がりに影響する消耗部品の寿命到達を予告する消耗部品寿命予告手段と、
前記消耗部品寿命予告手段によって、消耗部品の寿命到達の予告が行われた後、消耗部品が交換されるまで、スクリーン処理を特定のスクリーン処理方法に強制的に変更するスクリーン処理変更手段とを備える画像形成装置。
【請求項7】
前記特定のスクリーン処理方法とは、プロファイル特性に応じたディザ位相ずらしを行わずにスクリーン処理する方法であることを特徴とする請求項2,3,6の画像形成装置。
【請求項8】
前記特定のスクリーン処理方法とは、誤差拡散方式によるスクリーン処理であることを特徴とする請求項2,3,6の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−7979(P2011−7979A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150564(P2009−150564)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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