説明

画像形成装置

【課題】 シートがローラ対で搬送された場合に、シートが水滴を吸収してシート上の画像不良、シワ又は凹凸が発生する現象を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 シートPを挟持しつつ搬送する排出ローラ対105を備える画像形成装置100であって、排出ローラ対105の駆動ローラ71は、装置本体100Aの内部で発生した蒸気が凝結することによって排出ローラ対105に付着した水滴Gを吸水可能な吸水部材71bを有する画像形成装置100を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の電源をオン(ON)にした場合に、画像形成装置本体の内部では、シートが含有する水分が蒸発して搬送ローラ対に結露することがある。このような水滴が付着した搬送ローラ対によってシートが搬送されると、シートが水滴を吸収して、特に、シートの第1面に印字された後に時間を空けずに第2面に印字する場合に、印字部分に滲み等の画像不良が生じたり、シートにシワや凹凸が発生する。なお、昨今の画像形成装置の小型化及び高速化によって、そのような水蒸気の量は増加傾向にあり、搬送ローラ対に対する結露の発生頻度や、搬送ローラ対に付着した水滴量は、増加する一方である。
【0003】
前述のような画像不良、シートのシワや凹凸の発生を抑制する発明として、特許文献1に記載の発明がある。特許文献1に記載の発明は、搬送ローラに部分的に接触することで搬送ローラに付着した水滴を吸水する吸水部材を備える画像形成装置に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−291671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、吸水部材が接触していない搬送ローラ対の部位の水滴は、表面張力によって挟持部に溜まるために、充分に水滴を除去することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、シートがローラ対で搬送された場合に、シートが水滴を吸収してシート上の画像不良、シワ又は凹凸が発生するといった現象を抑制することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、シートを挟持しつつ搬送するローラ対を備える画像形成装置であって、前記ローラ対のうちの少なくとも一方のローラの少なくとも一部は、画像形成装置本体の内部で発生した蒸気が凝結することによって前記ローラ対に付着した水滴を吸水可能な吸水部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ローラ対を構成するローラ自体に吸水部材が設けられる。したがって、吸水部材は、前記ローラ対の挟持部に溜まる水滴を、直接的に吸水する。その結果、シートがローラ対で搬送された場合に、シートが水滴を吸収してシート上に画像不良、シワ又は凹凸が発生するといった現象が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】定着装置、及び、定着装置よりもシート搬送方向の下流側の排出ローラ対及び反転ローラ対の構成を示す断面図等である。
【図3】排出ローラ対の構成を示す正面図等である。
【図4】実施例2に係る排出ローラ対の構成を示す側面図等である。
【図5】実施例3に係る排出ローラ対の構成を示す断面図等である。
【図6】排出ローラ対の駆動ローラ及び従動コロに対して水蒸気が結露した状態を示す概念図である。
【図7】実施例4に係る排出ローラ対の構成を示す断面図である。
【図8】実施例5に係る排出ローラ対の構成を示す斜視図等である。
【図9】実施例5の変形例に係る排出ローラ対の構成を示す斜視図等である
【図10】実施例5の他の変形例に係る排出ローラ対の構成を示す斜視図等である。
【図11】実施例6に係る排出ローラ対の構成を示す斜視図等である。
【図12】実施例7に係る排出ローラ対の構成を示す斜視図等である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した両面印刷機能を有する画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部101が設けられる。画像形成部101は、『像担持体』である電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム10y、10m、10c、10kという)、『転写装置』である1次転写ローラ20y、20m、20c、20k等を含む。少なくとも感光体ドラム10については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体100Aに組み込まれる構成となっていても良い。
【0012】
画像形成装置100は、斜め方向に並設された像担持体となるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4個の感光体ドラム10y、10m、10c、10kを備えている。また、画像形成装置100は、感光体ドラム10に対向する中間転写体である中間転写ベルト25を備えている。中間転写ベルト25は、ループ状に形成され、駆動ローラ31及び懸架ローラ32に懸架されて回転するようになっている。感光体ドラム10の表面に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト25に1次転写される。
【0013】
1次転写ローラ20y、20m、20c、20kに掛かるバイアスと感光体ドラム10上に形成されたトナー画像の電荷によって、トナー画像は、中間転写ベルト25に1次転写される。1次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト25の回転により、ループ状に2次転写ローラ33の方へと送られる。
【0014】
一方、シート格納部である収納カセット102に収納されている『記録媒体』であるシートP(紙等)は、ピックアップローラ41の回転により分離部42に搬送され、分離部42にて後続メディアを分離された後、一枚ずつレジストローラ対43に搬送される。シートPの先端がレジストローラ対43に当接して、中間転写ベルト25のトナー画像の先端に対して平行となるように、姿勢を修正する。
【0015】
そして、レジストローラ対43は、中間転写ベルト25に形成されたトナー画像の先端と、シートPの先端が一致するタイミングでシートを搬送する。この動作により、シートPは2次転写ローラ33へ搬送される。駆動ローラ31と2次転写ローラ33に挟持された中間転写ベルト25上のトナー画像は、電荷と圧の作用を受け、シートPに転写される。トナー画像を転写されたシートPは、中間転写ベルト25と2次転写ローラ33の回転により、定着装置50へ搬送される。
【0016】
定着装置50は、加熱ローラ51と加圧ローラ52を備える。定着装置50は、シートPに転写されたトナー画像を、熱と圧力の作用によってシートPに定着させる。定着装置50を通過したシートPは、搬送路切替手段である切替部材60へ搬送される。切替部材60は、図示しない切替駆動装置によって、回動支点61を中心に回動し、シートPを排出経路103及び反転経路104のいずれかの搬送路に誘導する。
【0017】
排出経路103の先には、『ローラ対』である排出ローラ対105が配置され、反転経路104の先には、『ローラ対』である反転ローラ対106が配置される。排出ローラ対105及び反転ローラ対106は、シートPを挟持しつつ搬送するローラ対である。特に、排出ローラ対105は、シートPを装置本体100Aの外部へと排出するローラ対であり、反転ローラ対106は、シートPをシート排出方向Mに搬送してから反転してシート反転方向Nすなわち再搬送経路107の方へと搬送するローラ対である。再搬送経路107では、複数の再搬送ローラ対90が設けられていて、再搬送ローラ対90がシートPをレジストローラ対43にまで搬送する。なお、シートPが搬送されるシート搬送方向Lには、シートPを排出するシート排出方向M、及び、シートPを反転するシート反転方向Nがある。
【0018】
また、装置本体100Aの内部には、内部の各機器の駆動を制御する『制御手段』であるコントローラ80が設けられている。コントローラ80は、シートPが排出ローラ対105の挟持部Jに到達する前に、排出ローラ対105を回転するように制御する。また、コントローラ80は、シートPが反転ローラ対106の挟持部Jに到達する前に、反転ローラ対106を回転するように制御する。
【0019】
図2(a)は、定着装置50、及び、定着装置50よりもシート排出方向M(シート搬送方向L)の下流側の排出ローラ対105及び反転ローラ対106の構成を示す断面図である。図2(a)に示されるように、切替部材60が回動支点61を中心に回動し、切替部材60の先端部が上位置Eに配置される場合には、反転経路104への経路は塞がれ、シートPは排出経路103を通って排出ローラ対105(排出部)へ搬送される。排出ローラ対105は駆動ローラ71及び従動コロ72を備える。
【0020】
駆動ローラ71は、図示しない駆動装置によって回転可能であり、従動コロ72は、駆動ローラ71に追従して回転する。駆動ローラ71及び従動コロ72がシートPを挟持しつつ搬送することにより、定着後のシートPは装置本体100Aの外部へと排出される。
【0021】
図2(b)は、定着装置50、及び、定着装置50よりもシート排出方向M(シート搬送方向L)の下流側の排出ローラ対105及び反転ローラ対106の構成を示す断面図である。図2(b)に示されるように、切替部材60が回動支点61を中心に回動し、切替部材60の先端部が下位置Fに配置される場合には、排出経路103への経路は塞がれ、シートPは反転経路104を通って反転ローラ対106(反転部)へ搬送される。反転ローラ対106は駆動ローラ81及び従動コロ82を備える。
【0022】
駆動ローラ81は、図示しない駆動装置によって、正回転と逆回転が可能であり、従動コロ82は、駆動ローラ81に追従して回転する。駆動ローラ81及び従動コロ82がシートPを挟持しつつ搬送することにより、定着後のシートPの後端を挟持できる範囲で、シートPを装置本体100Aの外部に向けて搬送する。そして、切替部材60の先端が再び図2(a)に示されるように上位置Eに復帰した後、駆動ローラ81及び従動コロ82は、逆回転しながら再び再搬送経路107へとシートPを挟持しつつ搬送する。
【0023】
ところで、前述の定着装置50、排出ローラ対105、及び、反転ローラ対106の配置によれば、シートPに含有されている水分は、定着熱によって、水蒸気として定着装置50の上方に位置する排出ローラ対105及び反転ローラ対106へと移動する。排出ローラ対105の駆動ローラ71、従動コロ72、及び、反転ローラ対106の駆動ローラ81、従動コロ82の表面温度が、定着熱によって発生した水蒸気の温度より低い場合を想定する。この場合には、その水蒸気は、駆動ローラ71、従動コロ72、駆動ローラ81、従動コロ82で結露する。
【0024】
以下に、結露による画像不良やシートPのシワ、凹凸付きの発生を防止する本発明の特徴を説明するが、排出ローラ対105、反転ローラ対106に本発明を適用した際の構成が類似しており、説明が重複するため、排出ローラ対105に特化して説明していく。
【0025】
図2(c)は、排出ローラ対105の構成を示す斜視図である。排出ローラ対105は、回転中心軸70Jに取り付けられた複数すなわち2つの駆動ローラ71を備える。駆動ローラ71の各々は、排出ローラ71a、及び、吸水部材71bを備える。すなわち、駆動ローラ71の一部は、装置本体100Aの内部で発生した蒸気が凝結することによって排出ローラ対105に付着した水滴Gを吸水する吸水部材71bとなっている。なお、この水滴は、直接に排出ローラ対105に付着するものの他に、同一の搬送路上の別の搬送ローラ対に付着した水滴がシートPに吸収されて、シートが排出ローラ対105へと移動させた水滴をも含む場合がある。
【0026】
ここでは、吸水部材71bは吸水ローラで構成される。各々の排出ローラ71aが回転中心軸70Jの中央側に配置され、各々の吸水部材71bが回転中心軸70Jの端部側に配置される。排出ローラ71aは、EPDMのソリッドローラ等の搬送性能を重視したローラである。吸水部材71bは、PE(ポリエチレン)、PVA(ポリビニールアルコール)、PU(ポリウレタン)、PVC(塩化ビニール)、ポリオレフィン、メラミン、等を基材とした発泡ローラ等の吸水性能を重視したローラである。なお、駆動ローラ71の全部が、水滴Gを吸水する前述の吸水部材71bとなっていても良い。
【0027】
駆動ローラ71は、吸水部材71b、及び、シートPを搬送する『搬送ローラ部材』である排出ローラ71aを、同一の『軸』である回転中心軸70Jに有する。そして、吸水部材71bは、排出ローラ71aの回転中心軸70Jの軸方向70J1の端部に配置される。また、排出ローラ71aは、円柱状に形成されて円形状の端部を有し、吸水部材71bは、円柱状に形成されて円形状の端部を有し、それらの双方の端部は貼り合わせられている。そのために、排出ローラ71aと吸水部材71bは一体的に回転する。また、吸水部材71b及び排出ローラ71aは、円柱状に形成されて、外周面同士が面一である(同一外径を有する)。なお、吸水部材71bは、不織布、フェルト等の、繊維状の部材であっても良い。
【0028】
また、排出ローラ対105は、軸である回転中心軸70Kに取り付けられた複数すなわち2つの従動コロ72を備える。従動コロ72は、排出ローラ71aと同様なローラである。ただし、従動コロ72は、駆動ローラ71の回転に従動して回転する。
【0029】
図3(a)は、排出ローラ対105の構成を示す断面図であり、図2(c)の矢印Aの方向から見た側面図に相当する。図3(a)に示されるように、定着装置50で発生した水蒸気は、排出ローラ対105の表面で結露する。例えば、シートPの片面を印字処理する場合には、省電力の観点から、排出ローラ対105を稼動させない場合がある。この場合に、駆動ローラ71及び従動コロ72の表面には、定着熱によって発生するシートPの内部の水分が、細かな水滴Gとなって付着する。なお、排出ローラ71aと吸水部材71bは同外径のため、実際に断面図を描くと重なるはずであるから、図3(a)中では、吸水部材71bの方の断面が描かれる共に、吸水部材71bの外径線として排出ローラ71aが描かれているものとする。
【0030】
図3(b)は、排出ローラ対105の構成を示す断面図であり、図2(c)の矢印Aの方向から見た側面図に相当する。図3(b)に示されるように、排出ローラ対105が稼動させられた直後には、結露した水滴Gは、駆動ローラ71及び従動コロ72の回転によって、駆動ローラ71及び従動コロ72の挟持部J(ニップ部)の付近に集められる。そして、水滴Gは、表面張力によって挟持部Jの付近に留まろうとする。なお、排出ローラ71aと吸水部材71bは同外径のため、図3(a)の場合と同様に、本図では重なっている。
【0031】
図3(c)は、排出ローラ対105の構成を示す断面図であり、図2(c)中の矢印Aの方向から見た側面図に相当する。図3(c)に示されるように、挟持部Jに集められた水滴Gは、吸水部材71bに吸収される。詳しくは、排出ローラ71a及び従動コロ72の挟持部Jの水滴は、排出ローラ71aの外周面を伝って吸水部材71bへと表面張力によって移動して、吸水部材71bに吸収される。また、吸水部材71b及び従動コロ72の挟持部Jの水滴は、直接的に吸水部材71bに吸収される。このようにして、駆動ローラ71と従動コロ72の表面に付着した水滴Gは除去される。なお、排出ローラ71aと吸水部材71bは同外径のため、図3(a)の場合と同様に、本図では重なっている。
【実施例2】
【0032】
図4(a)は、実施例2に係る排出ローラ対205の構成を示す正面図である。図4(b)は、排出ローラ対205の構成を示す側面図である。実施例2の排出ローラ対205の構成のうち実施例1の排出ローラ対105と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例2の排出ローラ対205が実施例1の排出ローラ対105と異なる点は、排出ローラ対205では、吸水部材71bに突出部71b1が形成される点である。
【0033】
図4(a)に示されるように、実施例2の構成では、排出ローラ対105に替えて排出ローラ対205が用いられる。排出ローラ対205は、特に、駆動ローラ71に替えて駆動ローラ271が用いられている。駆動ローラ271は、吸水部材71b、及び、シートPを搬送する『搬送ローラ部材』である排出ローラ71aを有する。そのために、駆動ローラ271の一部は、吸水部材71bである。吸水部材71bは、排出ローラ71aの外径よりも大きな外径を有している突出部71b1を有する。突出部71b1は、吸水部材71bの少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0034】
駆動ローラ271は、シリコン等を基材とした、搬送性能を重視した排出ローラ71aを有する。また、駆動ローラ271は、PE(ポリエチレン)、PVA(ポリビニールアルコール)、PU(ポリウレタン)、PVC(塩化ビニール)、ポリオレフィン、メラミン、等を基材とした発泡ローラ等の吸水性能を重視した吸水部材71bを有する。突出部71b1も吸水部材71bと同一材質である。
【0035】
駆動ローラ271の構成から、排出ローラ71a、吸水部材71b、及び、突出部71b1は、一体的に回転する。突出部71b1は、吸水部材71bの周方向で複数個所すなわち4箇所設けられている。また、突出部71b1は、従動コロ72の軸方向すなわち回転中心軸70Kの端部と隣接して配置されている。
【実施例3】
【0036】
図5(a)は、実施例3に係る画像形成装置が備える排出ローラ対305の構成を示す断面図である。実施例3の排出ローラ対305の構成のうち実施例1〜2の排出ローラ対105、205と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例3においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例3の排出ローラ対305が実施例1の排出ローラ対105と異なる点は、排出ローラ対305では、排出コロ72rの外周面に溝部72xが形成され、吸水部材72cが溝部72xから露出している点である。
【0037】
図5(a)に示されるように、実施例3の構成では、排出ローラ対105に替えて排出ローラ対305が用いられる。排出ローラ対305は、特に、駆動ローラ71に替えて駆動ローラ371が用いられ、従動コロ72に替えて従動コロ372が用いられている。ローラ』である従動コロ372は、吸水部材72c、及び、中空状に形成されて吸水部材72cの外周面を覆うと共にシートPを搬送する『搬送ローラ部材』である排出コロ72rを、同一の『軸』である回転中心軸70Kに有する。そのために、従動コロ372の一部は、装置本体100Aの内部で発生した水蒸気が凝結することによって排出ローラ対305に付着した水滴Gを吸水可能な吸水部材72cである。回転中心軸70Kと直交する方向で回転中心軸70Kから近い順に、吸水部材72c、排出コロ72rが配置されている。排出コロ72rの外周面には、吸水部材72cの一部を露出させる溝部72xが形成されている。
【0038】
別の表現をすると、従動コロ372は、外層部を形成する排出コロ72rと、内層部を形成する吸水部材72cと、を備える。排出コロ72rは、コロ片72a及びコロ片72bを有する。そして、コロ片72aとコロ片72bとの間に形成される隙間によって、排出コロ72rの表面には、溝部72x(スリット)が形成される。
【0039】
吸水部材72cは、円柱状に形成される。排出コロ72rは、中空円筒状に形成されて吸水部材72cの外周面を覆う。溝部72xは、排出コロ72rの回転中心軸70Kの軸方向の中央部に形成される。なお、排出コロ72rの中央部は、排出コロ72rの軸方向の中央を意味するが、仮想中央線(中央)を跨いた領域も含む概念とする。すなわち、溝部72xは、仮想中央線を跨ぎながら多少蛇行して形成されていても良い。
【0040】
図5(b)は、従動コロ372の構成を示す分解斜視図である。吸水部材72cは、回転中心軸70Kに通され、回転中心軸70Kに形成される2つの軸溝70K1、70K2の間の略中央に配置される。コロ片72aとコロ片72bは、それぞれ、爪72zと、リブ72yを有する。コロ片72aとコロ片72bの各々は、矢印Bの方向に移動させられ、吸水部材72cを内包するよう配置される。矢印Bの方向の移動量は、互いのリブ72yが吸水部材72c及び回転中心軸70Kの間の隙間に挿入されて突き当たる位置で規制されている。そして、2つのコロ片72a、72bは、吸水部材72cを内包するように配置される。その後に、コロ片72aの爪72zが軸溝70K1に嵌まり、コロ片72bの爪72zが軸溝70K2に嵌り、コロ片72a、72bの位置の規制が完了する。
【0041】
また、吸水部材72cにスリット72dが形成され、コロ片72a、72bにリブ72Lが形成され、リブ72Lがスリット72dに嵌るので、吸水部材72cはコロ片72a、72bと一体的に回転可能になる。なお、吸水部材72cにスリット72d等を設けず、吸水部材72c及びコロ片72a、72bが一体的に回転しない構成としても良い。
【0042】
図6(a)は、駆動ローラ371及び従動コロ372に結露した状態を示す概念図である。図6(a)の状態では、駆動ローラ371及び従動コロ372は、静止している。
【0043】
図6(b)は、駆動ローラ371及び従動コロ372が稼動した直後の状態を示す概念図である。図6(b)に示されるように、結露した水滴Gは、駆動ローラ371及び従動コロ372の回転によって挟持部Jの付近に集められ、その後は表面張力によって挟持部Jの付近に留まろうとする。
【0044】
図6(c)は、駆動ローラ371及び従動コロ372が稼動して間もなくの状態を示す概念図である。図6(c)に示されるように、挟持部Jに集められた水滴Gは、溝部72xから吸水部材72cに吸収される。従って、駆動ローラ371と従動コロ372の表面に付着した水滴Gは除去される。
【0045】
なお、実施例3では、コロ片72a、72bの外径と吸水部材72cの外径とで形成される段差を有する構成であったが、この実施例に限定されなくても良い。すなわち、コロ片72a、72bの外径と吸水部材72cの露出部位の外径が等しくても良い。また、溝部72xの幅や数は、適宜自由に設定できるものとする。
【0046】
実施例1の構成では、吸水部材71bが排出ローラ71aの端部に配置されているため、水滴Gは、端から端へ移動することで、吸水部材71bに吸水される。一方、実施例3の構成では、挟持部Jの略中央に吸水部材72cを配置されているため、水滴Gは、端から中央へ移動することで、吸水部材72cに吸水される。従って、実施例3の構成は、実施例1の構成と比較して、水滴Gの移動距離が短く、吸水部材72cが水滴を除去する時間が短く、より高速の画像形成装置に適用できる、といった利点がある。
【実施例4】
【0047】
図7(a)は、実施例4に係る排出ローラ対405の構成を示す断面図である。図7(b)は、排出ローラ対405の構成を示す断面図である。実施例4の排出ローラ対405の構成のうち実施例1〜3の排出ローラ対105、205、305と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例4においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例4の排出ローラ対405が実施例3の排出ローラ対305と異なる点は、排出ローラ対405では、吸水部材472bの両端部が半径方向に突出する突出部472b1を有する点である。
【0048】
図7(a)に示されるように、実施例4の構成では、排出ローラ対305に替えて排出ローラ対405が用いられる。排出ローラ対405は、特に、駆動ローラ371が用いられ、従動コロ72に替えて従動コロ472が用いられている。『ローラ』である従動コロ472は、吸水部材472b、及び、中空状に形成されて吸水部材472bの外周面を覆うと共にシートPを搬送する『搬送ローラ部材』である排出コロ472aを、同一の『軸』である回転中心軸70Kに有する。そのために、従動コロ472は、吸水部材472bを一部に含む。回転中心軸70Kと直交する方向で回転中心軸70Kから近い順に、吸水部材472b、排出コロ472aが配置されている。吸水部材472bは、排出コロ472aの軸方向の端部から突出している突出部472b1を有する。そして、突出部472b1は、排出コロ472aの外周面よりも突出している。
【0049】
吸水部材472bは、円柱状の円柱部472b2と、円柱部472b2の端部に設けられて円板状に形成された突出部472b1と、を有する。排出コロ472aは、中空円筒状に形成されて円柱部472b2の外表面を覆う。突出部472b1の外径は、排出コロ472aの外径よりも大きく設定されている。
【0050】
また、吸水部材472bの少なくとも一部は、排出コロ472aの外径より突出していることから、以下の効果が得られる。すなわち、突出部472b1が排出コロ472aの表面の水滴を吸水する。また、シートPが挟持部Jを抜けた後、吸水部材472bの突出部472b1が、シートPの後端を蹴り出すため、実施例2と同様に、排出積載部におけるシートPの後端もたれ等の課題も同時に解決し、排出整列性の向上といった効果も期待できる。
【実施例5】
【0051】
図8(a)は、実施例5に係る排出ローラ対505の構成を示す斜視図である。実施例5の排出ローラ対505の構成のうち実施例1〜4の排出ローラ対105〜405と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例5においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例5の排出ローラ対505が実施例1の排出ローラ対105と異なる点は、排出ローラ571aが螺旋状に形成された『螺旋状凹凸部』である螺旋状溝571xを外周面に有する点である。また、排出ローラ571aと同軸に設けられた吸水部材571bは、排出ローラ571aと同一外径となっておらず、排出ローラ571aの外径に比べて外径が小さく形成されている点である。すなわち、吸水部材571bの外周面の外径は、吸水部材571bを有する少なくとも一方のローラである駆動ローラ571の外周面の外径の中で最も小さく設定されている。
【0052】
図8(b)は、駆動ローラ571の構成を示す側面図である。図8(b)に示されるように、駆動ローラ571は、排出ローラ571a、及び、排出ローラ571aの端面に取り付けられた吸水部材571bを有する。そして、排出ローラ571aの外周面には、螺旋状溝571xが形成されている。螺旋状溝571xの螺旋の方向は、回転中心軸70Jの中心から左方向を見た場合には、右回りに中心点から離間するように向かっており、回転中心軸70Jの中心から右方向を見た場合には、左回りに中心点から離間するように向かっている。そして、図8(a)に示されるように、回転中心軸70Jは、矢印Hで示す方向に回転している。そのために、挟持部Jに溜まる水滴は、螺旋状溝71xによって、回転中心軸70Jの中心点から離間する方向、すなわち吸水部材571bへと誘導されることになる。
【0053】
また、吸水部材571bは、排出ローラ571aの外周面よりも外径が小さく形成されている。このために、排出ローラ対505が回転するときに、吸水部材571bは、従動コロ72に接触しない。このために、吸水部材571bが磨耗し難くなっている。
【0054】
さらに、駆動ローラ571の軸方向の寸法は、従動コロ72の軸方向の寸法よりも小さく設定されている。このために、排出ローラ571aの表面の水滴は、従動コロ72の外周面を軸方向に伝って確実に吸水部材571bへと移動する。
【0055】
また、吸水部材571bは、螺旋状溝71xの突き当たりの位置に配置される。そのために、排出ローラ対505の挟持部Jに溜まる水滴は、吸水部材571bに突き当たって、吸水部材571bに吸水される。
【0056】
図9(a)は、実施例5の変形例に係る排出ローラ対605の構成を示す斜視図である。図9(a)に示されるように、排出ローラ対605は、駆動ローラ371及び従動コロ672を有する。従動コロ672は、排出コロ672a、及び、排出コロ672aの端部に取り付けられた吸水部材672bを有する。そして、排出コロ672aの外周面には、排出コロ672aの2周分の『螺旋状凹凸部』である螺旋状溝672xが形成されている。このように、螺旋状溝672xは、排出コロ672aの複数周分で形成されていても良い。
【0057】
図9(b)は、実施例5の他の変形例に係る排出ローラ対705の構成を示す斜視図である。図9(b)に示されるように、排出ローラ対705は、駆動ローラ771及び従動コロ772を有する。駆動ローラ771は、排出ローラ771a、及び、排出ローラ771aの端部に取り付けられた吸水部材771bを有する。そして、排出ローラ771aの外周面には、螺旋状溝が形成されていない。その代わりに、吸水部材を有さない従動コロ772である排出コロ772aの外周面には、『螺旋状凹凸部』である螺旋状溝772xが形成されている。
【0058】
図10(a)は、実施例5の他の変形例に係る排出ローラ対805の構成を示す斜視図である。図10(a)に示されるように、排出ローラ対805は、駆動ローラ871及び従動コロ72を有する。駆動ローラ871は、排出ローラ871a、及び、排出ローラ871aの端部に取り付けられた吸水部材871bを有する。そして、排出ローラ871aの外周面には、螺旋状に形成された『螺旋状凹凸部』である螺旋状凸部871yが形成されている。
【0059】
図10(b)は、実施例5の他の変形例に係る排出ローラ対905の構成を示す斜視図である。図10(b)に示されるように位、排出ローラ対905は、駆動ローラ971及び従動コロ72を有する。駆動ローラ971は、排出ローラ971a、及び、排出ローラ971aの端部に取り付けられた吸水部材971bを有する。また、回転中心軸70Jには固定溝70J2が形成されており、この固定溝70J2には付勢座面部材901が取り付けられている。そして、付勢座面部材901を座面として付勢部材902が押圧部材903を押圧し、押圧部材903が吸水部材971bを排出ローラ971aに向かって押圧するようになっている。
【実施例6】
【0060】
図11(a)は、実施例6に係る排出ローラ対1105の構成を示す斜視図である。実施例6の排出ローラ対1105の構成のうち実施例1〜5の排出ローラ対105〜905と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例6においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例6の排出ローラ対1105が実施例3の排出ローラ対305と異なる点は、駆動ローラ1171の表面には、直線状溝1171x、及び、螺旋状溝1171yが形成される点である。
【0061】
図11(a)に示されるように、駆動ローラ1171は、円板で形成された吸水部材1171c、及び、吸水部材1171cを回転中心軸70Jの方向で挟み込む排出ローラ1171rを有する。排出ローラ1171rは、排出ローラ片1171a及び排出ローラ片1171bを有する。排出ローラ片1171a及び排出ローラ片1171bの各々には、螺旋状溝1171yが形成されている。また、螺旋状溝1171yの螺旋の方向は、軸方向の外側から中央へと向かうように設定されている。また、吸水部材1171cの外周面の外径は、排出ローラ1171rの外周面の外径よりも小さくなるように設定されている。ここでは、吸水部材1171cの外周面の外径は、排出ローラ1171rの外周面の外径よりも0.5mm小さく設定されている。
【0062】
図11(b)は、排出ローラ対1105によって水滴を移動する動作を示す斜視図である。図11(b)に示されるように、排出ローラ対1105が回転するときには、水滴は螺旋状溝1171yによって駆動ローラ1171の軸方向の中心へと向かうことになる。そして、駆動ローラ1171の軸方向の中央で露出する吸水部材1171cによって、水滴は吸水されていく。
【実施例7】
【0063】
図12(a)は、実施例7に係る排出ローラ対1205の構成を示す斜視図である。実施例7の排出ローラ対1205の構成のうち実施例1〜6の排出ローラ対105〜1105と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例7においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例7の排出ローラ対1205が実施例1の排出ローラ対105と異なる点は、以下の点である。すなわち、駆動ローラ1271が、排出ローラ1271a及び吸水部材1271bの間に、排出ローラ1271a及び吸水部材1271bの外周面よりも小さい外径で形成されるスペーサ1271cを有する点である。
【0064】
図12(a)に示されるように、駆動ローラ1271は、排出ローラ1271a、吸水部材1271b、及び、排出ローラ1271a及び吸水部材1271bの間に配置されるスペーサ1271cを有する。スペーサ1271cは、排出ローラ1271a及び吸水部材1271bの外周面よりも小さい外径で形成されている。そのために、排出ローラ1271a、スペーサ1271c及び吸水部材1271bによって凹部が形成されることになる。また、吸水部材1271bは、その凹部を塞ぐように形成されている。
【0065】
図12(b)は、駆動ローラ1271の構成を示す拡大側面図である。図12(b)に示されるように、駆動ローラ1271及び従動コロ72の挟持部Jに水滴が溜まると、水滴は、排出ローラ1271aの表面に形成された『螺旋状凹凸部』である螺旋状溝1271xに案内されて回転中心軸70Jの外方へと移動する。そして、水滴はスペーサ1271cの外周面側の凹部の中に溜まってから吸水部材1271bに吸収される。
【0066】
実施例1〜4の構成によれば、排出ローラ対105、205、305、405を構成する駆動ローラ71、271又は従動コロ372、472自体に吸水部材71b、72c、472bが設けられる。したがって、吸水部材71b、72c、472bは、排出ローラ対105におけるシートPの挟持部Jに溜まる水滴Gを、直接的に吸水する。その結果、シートPが水滴Gを吸収してシートPにシワや凹凸が発生する現象が抑制される。なお、吸水部材に吸水された水滴は、後に蒸発によって無くなる。
【0067】
詳しくは、定着装置50から発生した蒸気が排出ローラ対105、205、305、405に結露して水滴Gとなる。水滴Gは、排出ローラ対105、205、305、405の回転に伴って、表面張力で排出ローラ対105、205、305、405の挟持部Jに集められる。挟持部Jの水滴Gは、シートPが搬送される前の短時間に吸水部材71b、72c、472bによって除去される。
【0068】
特に、シートPの両面印刷をする場合に第1面の印刷終了後から時間を空けずに第2面の印刷をする場合を想定する。この場合に、排出ローラ対105、205、305、405の挟持部Jに溜まる水滴Gが原因となる転写不良で、シートPに滲み等の画像不良やシワや凹凸付記が発生する現象が抑制される。
【0069】
特開2004−240104号公報に記載の画像形成装置は、紙搬送部と、紙搬送部の近傍に設置された結露検出手段及び加熱手段と、を備える。そして、結露を検出すると同時に、結露が検出された場合に加熱手段を動作させ、結露が加熱手段によって解消されるまで紙搬送動作を停止するようになっている。このような構成では、結露検出手段及び加熱手段を要することで、コストアップを招来する。また、結露検出手段及び加熱手段を配置する空間が必要となる。さらに、加熱手段を作動するランニングコストが掛かる上に、結露が除去されるまでに時間を要してユーザが欲しいときにシートPを受け取ることができない。これに対して、本願発明では、結露検出手段や加熱手段の配設に伴うコストアップやスペースの確保の問題を解決できる。
【0070】
また、特開2008−241774号公報に記載の画像形成装置は、印刷時に印刷指示内容とは異なる画像を形成し、該画像を形成したシートを搬送して画像形成装置本体内に発生した水滴にシートを接触させて取り除く装置である。このような構成では、ユーザは無駄なシートを使用する。また、吸水したシートが排出された後に本来の印刷が開始されるため、ユーザがシートを受け取るまでに時間が掛かる。これに対して、本願発明では、無駄なシートを印刷することなく、ユーザが欲しいときにシートPを受け取ることができる。
【0071】
実施例1〜2の構成によれば、排出ローラ対105の挟持部Jでは、回転中心軸70Jに沿う方向の中央側で挟持圧が高くなる傾向がある。その一方で、吸水部材71bには、例えば吸水するために発泡材料等が用いられて、吸水部材71bは磨耗を避けなければならない状況にある。これらを勘案して、吸水部材71bは、排出ローラ71aの端部に配置される。
【0072】
実施例1の構成によれば、吸水部材71b及び排出ローラ71aが面一に形成される。こうした構成であると、水滴Gが排出ローラ71a及び吸水部材71bを伝って移動し易い。
【0073】
実施例2の構成によれば、吸水部材71bに突出部71b1がある。こうした構成であると、シートPが排出ローラ対105を通過した後に、突出部71b1がシートPの後端を蹴り出す。その結果、ローラ対が排出トレイにシートPを排出する排出ローラ対105である場合には、排出トレイにおけるシートPの後端もたれが解消され、排出されるシートPの整列性が向上する。
【0074】
実施例3の構成によれば、水滴Gが排出ローラ対305の挟持部Jに溜まると、水滴Gが溝部72xから浸入して吸水部材72cに吸水される。
【0075】
実施例3の構成によれば、実施例1のように排出ローラ対105のローラの一端部から他端部へと水滴Gが移動する時間よりも、排出ローラ対305のローラの端部から中央側へと水滴Gが移動する時間の方が短くて済む。その結果、吸水部材72cによる水滴Gの吸水効率が向上する。
【0076】
実施例4の構成によれば、水滴Gが排出ローラ対405の挟持部Jに溜まると、水滴Gが突出部472b1の内部を伝って吸水される。
【0077】
実施例4の構成によれば、吸水部材472bに突出部472b1が設けられると、シートPが排出ローラ対405を通過した後に、突出部472b1がシートPの後端を蹴り出す。その結果、ローラ対が排出トレイにシートPを排出する排出ローラ対405である場合には、排出トレイにおけるシートPの後端もたれが解消され、排出されるシートPの整列性が向上する。
【0078】
実施例1〜4の構成によれば、シートPが排出ローラ対105、205、305、405の挟持部Jに到達する前にコントローラ80が排出ローラ対105、205、305、405を回転する。こうすると、吸水部材71b、72c、472bが水滴Gを吸水する時間が長くなり、シートP上の画像不良やシワ及び凹凸の発生が抑制される。
【0079】
実施例5〜7の構成によれば、吸水部材を有する排出ローラの外周面には、吸水部材の外周面に向かって螺旋状に形成されて排出ローラ対が回転するときに挟持部に溜まる水滴を吸水部材の外周面に向かって誘導する螺旋状凹凸部が設けられる。または、吸水部材を有しない排出ローラの外周面には、吸水部材の外周面に向かって螺旋状に形成されて排出ローラ対が回転するときに挟持部に溜まる水滴を吸水部材の外周面に向かって誘導する螺旋状凹凸部が設けられる。そのために、水滴は、排出ローラ対の回転と共に、螺旋状凹凸部に案内されて吸水部材に吸水される。
【0080】
なお、実施例1〜7では、排出ローラ対の構成に関して説明したが、反転ローラ対の構成に適用することは可能である。すなわち、排出ローラ対105及び反転ローラ対106の少なくとも一方の少なくとも一部が、水滴Gを吸水する『吸水部材』を一部に含むローラであれば良い。ただし、排出ローラ対105及び反転ローラ対106の少なくとも一方は、水滴Gを吸水する『吸水部材』を全部とするローラであっても良い。
【0081】
実施例1及び2では、排出ローラ対の中の駆動ローラの構成に関して説明したが、従動コロに適用することが可能である。また、実施例3及び4では、排出ローラ対の中の従動コロの構成に関して説明したが、駆動ローラに適用することが可能である。実施例5〜7に関しても同様に、駆動ローラ及び従動コロのいずれに本発明を適用しても良い。
【0082】
なお、実施例1〜7の吸水部材の材質は、実施例1の吸水部材の材質と同様で良い。また、実施例1の排出ローラ71a、従動コロ72、実施例3の駆動ローラ371、排出コロ72r、実施例4の排出コロ472aの材質は、実施例1の排出ローラ71aと同様で良い。さらに、実施例5〜7の吸水部材以外のローラ又はコロの材質も、同様のことが言える。
【符号の説明】
【0083】
71、271、371、471・・・駆動ローラ(ローラ)
72、372、472・・・・・・・従動コロ(ローラ)
71b、72c、472b・・・・・吸水部材
100・・・・・・・・・・・・・・画像形成装置
105、205、305、405・・排出ローラ対(ローラ対)
106・・・反転ローラ対(ローラ対)
G・・・・・水滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持しつつ搬送するローラ対を備える画像形成装置であって、
前記ローラ対のうちの少なくとも一方のローラは、装置本体の内部で発生した蒸気が凝結することによって前記ローラ対に付着した水滴を吸水する吸水部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラは、前記吸水部材、及び、シートを搬送する搬送ローラ部材を、同一の軸に有し、
前記吸水部材は、前記搬送ローラ部材の軸方向の端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸水部材及び前記搬送ローラ部材は、同一外径を有する円柱状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸水部材及び前記搬送ローラ部材は、円柱状に形成され、
前記吸水部材は、前記搬送ローラ部材の外径よりも大きな外径を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ローラは、前記吸水部材、及び前記吸水部材を覆うように配設され、シートを搬送する搬送ローラ部材を有し、
前記搬送ローラ部材の外周面には、前記吸水部材の一部を露出させる溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記搬送ローラ部材の軸方向の中央部に形成されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ローラは、前記吸水部材、及び前記吸水部材を覆うように配設され、シートを搬送する搬送ローラ部材を有し、
前記吸水部材は、前記搬送ローラ部材の軸方向の端部から突出している突出部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記突出部は、前記搬送ローラ部材の外周面よりも突出していることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ローラ対のうちの少なくとも一方のローラの外周面には、前記ローラ対が回転するときに前記ローラ対の挟持部に溜まる水滴を前記吸水部材に誘導する螺旋状凹凸部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記吸水部材の外周面の外径は、前記吸水部材を有する前記少なくとも一方のローラの外周面の外径の中で最も小さく設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
シートが前記ローラ対の挟持部に到達する前に、前記ローラ対を回転するように制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−106842(P2012−106842A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257546(P2010−257546)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】