画像形成装置
【課題】転写材Pを担持搬送する転写搬送部材10の画像形成主走査方向における転写材の搬送領域外に、画像パターンと並んで画像調整用のトナーパターンを形成して、前記トナーパターンの濃度を濃度検知センサーSにより読み込むことで画像補正、並び画像制御を行う画像形成装置において、紙種毎に転写電圧設定値が異なる影響を受けて、前記トナーパターンの転写搬送部材への転写効率が変わってしまうために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが困難となる。
【解決手段】画像形成装置の記憶手段20に予め記憶されている、像担持体1から転写搬送部材10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルを参照することで、濃度検知手段Sにより読み込んだトナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行う。
【解決手段】画像形成装置の記憶手段20に予め記憶されている、像担持体1から転写搬送部材10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルを参照することで、濃度検知手段Sにより読み込んだトナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・ファクシミリ・プリンタやそれらの機能を集約した複合機等の画像形成装置に関するものである。より詳しくは、転写材を画像転写部に担持搬送するための転写搬送部材を備えた電子写真方式等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写搬送部材に直接転写された濃度検知用トナーパターンを濃度検知用センサーで読み取り画像補正制御を行う従来の画像形成装置の代表例としては、特許文献1と特許文献2が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、濃度検知用パターンが用紙の代わりに転写ローラへ二次転写され、濃度検知センサーにより濃度検知用パターンの濃度の検出が行われる技術が開示されている。転写ローラは導電性付与剤として白色のウィスカーを用いており、転写ローラ自身の色を白色にしたため、画像濃度の検知を簡略に行うことができる。また、二次転写後の画像濃度を測定することによって、より実際の画像(用紙上の画像)に近い濃度を検出することができる。
【0004】
また、特許文献2は、画像濃度制御が転写材上で実施するのと同様の状態で行うことができる中間転写体を備えたカラー画像形成装置の例が開示されている。カラー画像形成装置の二次転写搬送ベルト上に濃度パターンを形成し、そのパターンを濃度検知センサーで読み込んで濃度制御をおこなうことができる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−044122号公報
【特許文献2】特開平11−194578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の画像形成装置における、特に短期間の濃度変動を抑制するための画像制御技術として次のような技術が知られている。即ち、転写材の画像形成主走査方向における余白部、あるいは転写材を担持搬送する転写搬送ベルトの画像形成主走査方向における転写材の搬送領域外に、画像パターンと並行して画像調整用トナーパターン(トナーパッチ)を形成する。そのトナーパッチをパッチ検知センサーにより読み込んで、画像補正、並び画像制御する技術である。
【0007】
ところが、特許文献1や2の例にて、転写材を担持搬送する転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に画像パターンと並行してトナーパッチを形成して、画像補正並び画像制御する技術を実施すると次の事項が指摘された。即ち、紙種毎(転写材の種類毎)に転写電圧設定値が異なる影響を受けてトナーパッチの転写搬送部材上への転写効率が変わってしまうことがある。その結果、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが困難となる。
【0008】
本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紙種毎にトナーパッチの転写搬送部材上への転写効率が変わってしまっても、精度良く画像補正、並び画像制御を行うことが出来る画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成しるための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像が形成される像担持体と、転写材を担持して前記像担持体から前記転写材に前記トナー像を転写する転写部に搬送する転写搬送部材と、を有する画像形成装置であって、前記トナー像の形成と並行して画像調整用のトナーパターンを前記像担持体の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して前記転写部において前記転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に転写し、その転写されたトナーパターンの濃度を濃度検知手段により読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う制御部を有する前記画像形成装置において、前記画像形成装置の内部の温度と相対湿度を検知する環境検知センサーと、通紙される転写材の情報を認識する転写材情報認識手段を有し、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙種毎にトナーパッチの転写搬送部材への転写効率が変わってしまっても、精度良く画像補正、並び画像制御を行うことが出来る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の構成概略図である。
【図2】(a)は画像処理並び画像補正の制御ブロック回路図、(b)は出力画像の階調が再現特性を示す四限チャートである。
【図3】ドラムと転写搬送ベルトユニットの部分の中央部分省略の模式図である。
【図4】(a)はパッチ検センサーの濃度検知に関するブロック回路図、(b)は画像補正のフローチャートである。
【図5】(a)は紙分担電圧を決定するフローチャート、(b)は紙分担電圧テーブルの概略図である。
【図6】(a)は適正転写電圧を決定するフローチャート、(b)は転写効率テーブルの概略図である。
【図7】転写効率を決定するフローチャートである。
【図8】パッチ検センサーの動作フローチャートである。
【図9】実施例2の画像形成装置の構成概略図である。
【図10】(a)は適正転写電圧を決定するフローチャート、(b)はトナー電荷量検知手段の概略図である。
【図11】実施例3の画像形成装置の構成概略図である。
【図12】(a)は転写部の主要構成の断面概略図、(b)は転写部の等価回路である。
【図13】転写効率を決定するフローチャートである。
【図14】実施例4の画像形成装置の構成概略図である。
【図15】(a)は紙の厚み検知手段の構成概略図、(b)は紙の厚み検知手段の検知結果を表す剛性特性の概略図である。
【図16】実施例5の画像形成装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
【0013】
[実施例1]
(1)画像形成装置の概要
図1は本実施例における画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。本実施例の装置500は転写材を画像転写部に担持搬送する転写搬送部材として転写搬送ベルト10を用いた電子写真画像形成装置であり、リーダー部200とプリンタ部300を有する。リーダー部200から制御部(制御回路部:CPU(中央演算処理手段))60に入力する電気的な画像情報に基づいてシート状の転写材(記録材、記録媒体)Pにモノクロ画像(ブラック(Bk)単色)を形成して出力することができる。転写材Pは装置500によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHTシート、はがき、封筒、ラベル等が含まれる。
【0014】
制御部60は装置500の動作を統括的に制御しており、リーダー部200や操作パネル501からの信号、プリンタ部300内の各種のセンサー類からの信号に応じて所定の画像形成シーケンスに従ってプリンタ部300の画像形成動作を制御する。パネル501は装置500のユーザーインターフェース手段であり、使用者はパネル501から各種のユーザー設定情報を制御部60に入力することができる。パネル501には転写材情報認識手段としての紙情報入力手段70が設けられており、使用者はこの手段70により転写材(紙)Pの坪量情報をマニュアル入力することができる。装置500には装置の内部の温度と相対湿度を検知することができる環境検知センサー120が設けられている。このセンサー120から制御部60に環境検知情報が入力し、その入力情報が制御部60に内蔵の記憶装置(記憶手段:メモリ)20に常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0015】
リーダー部200は原稿の画像をCCDセンサー(固体撮像素子)201(図2の(a))によって電気的な画像情報として光電読み取りする機構部であり、その光電読み取り画像情報が制御部60に入力する。制御部60にインターフェイスを介して、パソコン、ファクシミリ等の外部ホスト装置(不図示)を接続して画像情報を入力してプリンタ部300に画像形成を実行させることもできる。
【0016】
プリンタ部200は電子写真画像形成機構部であり、回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。制御部60は、プリント開始信号に基づいて駆動源(メインモータ)Mを起動してドラム1を所定の速度(プロセススピード)にて矢印の時計方向に回転駆動する。ドラム1の外周囲にはドラム1の回転方向に沿ってドラム1に作用するプロセス手段としての、一次帯電器2、露光装置3、現像器4、転写帯電器31、及びクリーナ5が配設されている。
【0017】
帯電器2は、ドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、非接触帯電手段であるコロナ放電器、接触帯電手段である接触帯電ローラや接触帯電ブレードなど適宜の帯電手段を用いることが可能である。
【0018】
露光装置3は、ドラム1の帯電処理面を画像露光して露光パターンに対応した静電潜像を形成する潜像形成手段である。本実施例においてはこの露光装置3はレーザスキャナである。光源装置から発せられたレーザ光(画像情報に対応して変調されたレーザ光)を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって変更し、fθレンズによりドラム1の母線上に集光して露光(主走査露光)Lする。これにより、ドラム面の露光部分の電位が減衰して、明部電位Vlと非露光部分の暗部電位Vdとの静電コントラストによりドラム面に静電潜像が形成される。
【0019】
現像器4はドラム面の静電潜像を現像剤(有彩色トナー)によりトナー像T1として可視化する現像手段である。本実施例においては、現像器4には、ネガ帯電極性を有する非磁性トナーとポジ帯電極性を有する磁性キャリアが所定の混合比で混合された現像剤が所定量充填されている。ドラム1上の静電潜像に対して現像器4により静電的にトナーを転移させることで可視トナー像を形成する。画像形成方式としては、バックグランド露光方式と正規現像方式とによる方式と、イメージ露光方式と反転現像方式とによる方式とが有る。前者は、帯電したドラム表面に画像情報のバックグランド部に対応して露光し、バックグランド部以外の部分を現像する方式である。後者は、画像情報部に対応して露光し、非露光部分を現像する方式である。それぞれの特徴を生かして用いられている。
【0020】
ドラム1の下側には転写搬送ベルトユニット30が配設されている。このユニット30の構成については後述する。転写材Pはユニット30の下方に配設されている給送カセット(給紙部)80に積載して収容されている。給紙ロ−ラ81が所定の制御タイミングで駆動されることによりカセット80内の転写材Pが一枚分離給送され、搬送路82で搬送されてレジストローラ対6に搬送される。ローラ対6は制御部60で制御されるレジ駆動部(レジスト駆動部:不図示)により回転停止状態と駆動状態とに制御される。搬送路82で搬送された転写材Pはその時点では回転停止状態のローラ対6のニップ部に先端部が受け止められて斜行が矯正される。そして、ローラ対6はドラム1に対する画像形成と同期して所定の制御タイミングで駆動状態にされる。これにより、記録材Pがユニット30に対して搬送され、転写搬送部材であるベルト10に担持されて転写部7に搬送される。転写材Pが転写部7を通過している間、転写帯電器31に対して制御部60で制御される転写制御部(転写バイアス電源部)13から、定電圧、又は定電流の所定の転写バイアスが所定の制御タイミングで印加される。これにより、転写部7において、ドラム1側のトナー像T1がベルト10で搬送される転写材Pの面に順次に静電的に転写される。50は制御部60に内蔵されている転写電圧制御手段(ATVC;Auto Transfer Voltage Control)である。手段50は、ドラム1に形成されたトナー像T1を転写材Pに転写する転写部7の抵抗値を検知して、転写制御部13から転写部7(転写帯電器31)に適正な転写電圧を印加する。
【0021】
転写部7を通過した転写材Pは引き続きベルト10に乗って搬送され、分離ローラ33の部分においてベルト10の上面から曲率分離し、分離爪29の上側を通り、定着入口ガイド93に導かれて定着装置(定着部)9へと搬送される。装置9は定着ローラ92、加圧ローラ91を有する。また、図には省略したけれども、その各ローラ92、91をクリーニングする耐熱性クリーニング部材と、各ローラ内に設置された加熱ヒータを有する。また、ローラ92にジメチルシリコンオイルなどの離型剤オイルを塗布する塗布ローラと、そのオイル溜めと、ローラ92の表面温度を検知して定着温度を制御するサーミスタを有する。転写材Pはローラ92とローラ91との圧接部である定着ニップ部で挟持搬送されていく過程で加熱及び加圧される。これにより、転写材P上の未定着トナー像が固着像として定着され、画像形成物として、排紙ローラ11により装置外の排出トレイ12に排出されて積載される。転写部7で転写材Pにトナー像を転写した後のドラム1は表面に残留したトナーがクリーナ5によって除去されて清掃され、次の画像形成に供される。
【0022】
(2)ユニット30
ユニット30は、転写搬送部材としての可撓性の無端ベルト(エンドレスのベルト)10を有する。ベルト10は複数の懸架部材としての並行3本の、駆動ローラ32、分離ローラ33、張架ローラ34の間に懸回張設されている。ローラ32とローラ33は、それぞれ、ドラム1よりも転写材搬送方向に関して上流側と下流側とに位置している。以下の説明において、上流側と下流側とは転写材搬送方向もしくはベルト移動方向に関して上流側と下流側である。ローラ34はローラ32とローラ33の間においてベルト10の下行側のベルト部分に接触している。ベルト10の上行側ベルト部分の上面とドラム1の下面とが接触している。その接触部が転写部7である。帯電器31は転写部7においてベルト10を介してドラム1に対向して配設されている。
【0023】
ベルト10の材質としては、CR、ウレタン等の弾性特性を有するゴム材料、やPET、PVdF、PC(ポリカーボネート)やPI(ポリイミド)などの樹脂材料を用いることが出来る。または、その複合材料に対して、必要に応じて帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させものを用いることが出来る。本実施例においては、ベルト10は、周長440mm、厚み500μmtのCR系のゴム材料を用いた。引っ張り試験法(JIS−K6301)で測定したヤング率Eの値がE≦10MPa、ゴム硬度Hs(JIS−K6253準拠)の値が、Hs≦75°となるような弾性体のものを使用することが望ましい。ヤング率Eについては、10MPaを超過する領域では弾性特性が無くなってくるために、画像形成主走査方向におけるベルト10の寄り規制をするために樹脂材料からなるベルトと同様の高価な寄り制御機構が必要となってくる。ここで、画像形成主走査方向とは、転写材Pの搬送路面において転写材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また、ゴム硬度Hsについては、ゴム硬度が75°以上ではベルトの表層割れ等が発生しベルトの耐久性が低下する傾向にある。しかし、本実施例の画像形成装置に用いることが出来るベルト10のゴム材料特性としては、上記に示したヤング率E、並びゴム硬度Hsの範囲内に限定されるものではない。ベルト10の抵抗値は、体積抵抗率5.0×109〜1.0×1012Ω・cm(JIS−K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃50%RH)の範囲内で抵抗水準を振ったものを用いた。体積抵抗率5.0×109Ω・cm未満では特に高湿環境において、ベルト10を通じたリーク現象が発生し易い。一方、体積抵抗率1.0×1012Ω・cm超では、特に低湿環境において電荷の蓄積が顕著となり除電がなされ難くなる。ベルト10は、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトによって無端ベルトとし、駆動ローラ32及び従動回転する分離ローラ33、張架ローラ34に懸架されている。
【0024】
ローラ32は、外径φ20mmのSUS製芯金の周囲に厚み1.5mmtの導電性(体積抵抗値<105Ωcm以下)のゴムを成形したものを用いた。ローラ33は、不図示のバネ加圧機構に支持されており、ベルト10をその内周面側より押圧することでベルト10に張力を付与する機能も兼ねている。ローラ33の外径はφ19mmのSUS製のローラを用いた。ローラ33は、複数のベルト懸架部材32、33、34のうちの転写部7よりもベルト移動方向下流側に配置されていてベルト10から転写材Pを曲率分離する機能も兼ねる転写材分離用懸架部材である。ローラ34の外径はφ20mmのSUS製のローラを用い、ベルト10を挟んでクリーニングファーブラシ35を対向配置させた。ブラシ35はベルト上に残留するトナーを清掃除去する。
【0025】
また、ベルト10を挟んだローラ33の対向位置には、画像の状態をモニターするために、図3のように、ベルト10上に形成された画像調整用のトナーパターンT2を読み込むためのパッチ検センサー(パッチ検知センサー)Sが配置されている。センサーSはトナーパターンT2の濃度を検知する濃度検知手段であり、電子写真方式画像形成装置に一般的に用いられる光学式センサー(フォトセンサ)を用いた。このトナーパターンT2と潜さSは後述する。
【0026】
ベルト10は、所定の制御タイミングでローラ32が回転駆動されることで、矢印Bの反時計方向にドラム1の回転速度に対応した速度で循環移動する。本実施例に示す画像形成装置のプロセス速度としては、ベルト10が矢印Bの方向に300mm/secの速度で回転するようになっている。ベルト10が回転し、一定速度に達すると、転写材Pがローラ対6からベルト10の上行側ベルト部分上に送り出され、転写材Pがベルト10により転写部7へ向けて搬送される。ローラ対6の転写材搬送速度とベルト10の移動速度はほぼ対応している。これと同時に画像書き出し信号がONとなり、それを基準として所定の制御タイミングでドラム1に対して画像形成を行う。その後、転写部7にて、転写帯電器31に制御部13から所定の転写バイアスが印加されることにより、ドラム1上に形成されたトナー像T1が転写材Pに静電的に転写される。帯電器31にはコロナ放電のような非接触帯電器、または帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードのような帯電部材を用いた接触帯電器を用いることができるが、本実施例においては帯電ローラ(以下、転写ローラと記す)を用いた。転写ローラ31は、φ7.0mmの導電性の芯金と、厚さ3.5mmtの中抵抗の抵抗値を有するEPDM発泡弾性層からなる。ローラ硬度(Asker−C)は30°である。抵抗値は、4.9N(500g重)の荷重の下で接地(アース面)に対して該ローラ31を50mm/secの周速で回転させ、芯金に1000Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められ、その値は約106Ω(23℃/50%RH)であった。
【0027】
トナー像T1が転写された転写材Pは、ベルト10の搬送方向下流部にあるローラ33にて、ベルト10から分離離脱(曲率分離)して、分離爪29、ガイド93に導かれて定着装置9へと搬送される。また、転写材Pを分離した後のベルト10はブラシ35により清掃される。ブラシ35は、導電性ファーブラシであり、ベルト10を挟んでローラ34に対向配置した回転体であり、ベルト10の表面を摺擦する。これにより、ベルト10上に残留したトナー及びその他の異物を清掃すると共に、蓄積した電荷の除去(除電)を行っている。ブラシ35、並びローラ34の各軸芯は接地されている。ブラシ35としては、導電性ウェブ(不織布)を用いることもできる。
【0028】
(3)画像処理の概要
図2の(a)は、階調画像を得るための画像処理部の構成例を示すブロック図である。CCDセンサー201によって得られた画像の輝度信号は、画像処理部202において面順次の濃度信号に変換される。変換後の濃度信号は、初期設定時のプリンタのガンマ特性に応じた信号になるように、つまり原画像の濃度と出力画像の濃度とが一致するように、ルックアップテーブルLUT(ガンマルックアップテーブルγLUT)25によって特性が補正される。
【0029】
図2の(b)は本実施例の装置500における出力画像の階調が再現される様子を示す四限チャートである。第I象限は、原画像の濃度を濃度信号に変換するリーダー部200の読取特性を示す。第II象限は、濃度信号をレーザ出力信号に変換するためのLUT25の変換特性を示す。第III象限は、レーザ出力信号を出力画像の濃度に変換するプリンタ部300の記録特性を示す。第IV象限は、原画像の濃度と出力画像の濃度との関係を示す。即ち、装置のトータルの階調再現特性を示す。装置トータルの階調特性、つまり第IV象限の階調特性をリニアにするために、第III象限のプリンタ特性がノンリニアな分を第II象限のLUT25によって補正する。LUT25により、階調特性が変換された画像信号は、レーザドライバのパルス幅変調(PWM)回路26によってドット幅に対応するパルス信号に変換される。そのパルス信号がレーザ光源(不図示:図2の(a)中のレーザ光Lの発光源)のオン/オフを制御するLDドライバ27へ送られる。なお、本実施例では、Bk単色(モノクロ画像)のみだが、4色フルカラー画像形成装置の場合にはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびBk(ブラック)の全色ともにパルス幅変調による階調再現方法を用いる。そして、レーザ光源から出力されるレーザ光Lの走査によってドラム1上には、ドット面積の変化により階調が制御された、所定の階調特性を有する静電潜像が形成され、前述した現像、転写および定着という過程をへて階調画像が再生される。
【0030】
(4)トナーパターンT2の形成とセンサーS
図3はドラム1とユニット30の部分の中央部分省略の模式図である。転写部7の主要構成手段の画像形成主走査方向における寸法については、ベルト10はW10(ベルト幅)=360mm、ドラム1はW1(ドラム長さ)=350mm、転写ローラ31はW31(転写ローラ長さ)=340mmであるものを用いた。WPは転写材Pの最大通紙幅(転写材搬送領域)である。本実施例において転写材Pの通紙は転写材幅中心の中央基準搬送である。W10>W1>W31>WPである。
【0031】
T2は画像の状態をモニターするためにベルト10上に形成された画像調整用のトナーパターン(システム制御用現像剤像、システム制御用トナー像:以下、トナーパッチまたはパッチと記す)である。パッチT2は、例えば、現像器4にトナーを補給する量を判定するための画像濃度補正用パッチ画像、帯電・露光の補正量を判定するために画像データの階調性を保証するための中間調の階調補正用パッチ画像などである。パッチT2は、ドラム1の非画像形成部(ドラム端部領域:最大通紙幅WPの外側のドラム面領域)に形成され、それが転写部7において、ベルト10における最大通紙幅WPの外側(転写材搬送領域外)のベルト面領域W10Aに転写される。ドラム1の画像形成部には画像情報に対応したトナー像T1が形成され、そのトナー像T1がベルト10に担持されて搬送される転写材Pに対して転写部7にて転写される。そして、ベルト10の領域W10Aに形成されたパッチT2がセンサーSにより光電読み取りされ、その読み取り情報が制御部60に入力する。センサーSは、前記ベルト面領域W10Aに対応する位置であって、かつローラ33(転写材分離用懸架部材)に対向する位置に配置されている。制御部60はセンサーSから入力したパッチ読み取り情報に基づいて所要のシステム制御を実行する。即ち、制御部60は、センサーSの光電読み取り情報に基づいて画像制御を行う。
【0032】
より具体的には、トナー像T1の形成と並行して画像調整用のパッチT2をドラム1の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して転写部7においてベルト10の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外W10Aに転写する。制御部60は、その転写されたパッチT2の濃度を濃度検知手段であるセンサーSにより読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う。センサーSで情報読み取りされたベルト10上のパッチT2は引き続くベルト10の移動でブラシ35の位置に至りベルト10上から除去される。
【0033】
図4の(a)は、センサーSの出力信号を処理する回路構成例を示すブロック回路図である。センサーSに入力されるベルト10上に形成されたパッチT2からの反射光(近赤外光)は、電気信号に変換される。その電気信号は、A/D変換回路51によりディジタル信号に変換され、濃度換算回路52によって濃度情報に変換されて回路部(CPU)60に送られる。図4の(b)はγLUT補正テーブルを作成する処理を示すフローチャートで、通常の画像形成の開始に伴い開始される。まず、前回の画像形成動作中になされた画像補正フローにより得られたγLUT補正テーブルによりLUT25のテーブルデータを補正し(S21)、補正結果のテーブルデータをLUT25に設定し(S22)、LUT25を使用して画像を出力する(S23)。その際、ベルト10にパッチT2を形成してパッチT2の濃度を読み取る(S24)。そして、ΔDnを算出し(S25)、積算値ΔD=ΔD+ΔDnを得て(S26)、γLUT補正テーブルを作成する(S27)。その後、プリントジョブを継続するか否かを判定し(S28)、ジョブが継続する場合は処理をステップS21へ戻し、ジョブが終了する場合は処理を終了する。
【0034】
(5)転写効率決定方法の概要
前述した画像形成装置において、パッチT2の転写効率を決定して、その転写効率に基づき、パッチT2の濃度を補正してγLUT補正する方法を以下に説明する。
【0035】
図5の(a)は紙分担電圧を決定するプロセスを示したフローチャートである。装置500に内蔵されている環境検知センサー120により、装置500の温度、相対湿度は常に検知されている。検知された温度、相対湿度に基き絶対水分量が導かれ、その絶対水分量の情報は制御部60内の記憶装置20に常に読み出しが可能な状態で記憶される(S21)。この絶対水分量と紙情報入力手段70より入力された紙坪量情報(S22)、並び予め制御部60の記憶装置に記憶されている紙分担電圧テーブルを参照(S23)することで、紙分担電圧(a)が決定される(S24)。
【0036】
紙分担電圧テーブルの代表例を図5の(b)に示す。低湿環境、通常環境、湿潤環境とは、画像形成装置内部の環境条件が、絶対水分量において、各々1.0g/m3、10.3g/m3、24.3g/m3の場合を示している。また、図5の(b)は転写材Pの通紙面が1面目のときの紙分担電圧である。例えば、センサー120の検知結果に基づいて導かれた絶対水分量が10.3g/m3とする。また、ユーザーによりパネル501上の紙情報入力手段70から入力された転写材P(紙)の坪量が100g/m2であるとする。この場合は、図5の(b)の紙分担電圧テーブルより、紙分担電圧は750Vと決定される。
【0037】
図6の(a)は適正転写電圧を決定するプロセスを示したフローチャートである。近年の電子写真画像形成装置においては、現像器より感光体に現像される現像剤トナーの電荷量Qが一定となるように現像剤の補給制御がなされるのが一般的である。その前提において、前述のセンサー120により得られた装置内部の絶対水分量から、経験的にトナーQ/Sの代表値が予測可能である。予測されるトナーQ/Sの代表例を表1に示す。
【0038】
【表1】
予測されたトナーQ/S値と、予め制御部60の記憶装置に記憶されている転写効率テーブルを参照(S41)することで、転写に必要な転写電荷密度を決定する(S42)。転写効率テーブルの代表例を図6の(b)に示す。転写効率テーブルとは次のような情報のことである。即ち、トナー電荷量Q/Sと、ドラム1のトナー像を転写材Pに転写する際に転写ローラ31に印加する転写バイアスにより転写部7に付与される転写電荷密度から、トナー像のドラム1からベルト10への転写効率を導く事ができる特性が整理された情報である。ここで、上記の転写バイアスは本実施例では定電圧である。
【0039】
図6の(b)のグラフ(1)、(2)、(3)は、各々トナーQ/S=0.012μC/cm2、0.018μC/cm2、0.024μC/cm2の条件における、転写電荷密度[μC/cm2]と前記転写効率[%]の関係特性を現している。例えば、画像形成装置内部の絶対水分量が10.3g/m3であった場合、表1より予測されるトナーの電荷量Q/S=0.018μC/cm2となる。トナーQ/S=0.018μC/cm2の時に転写効率が最良となる条件の転写電荷密度σはσ=0.015μC/cm2となる(S42)。前記の転写電荷密度σと、本実施例の画像形成装置のプロセス速度や転写ローラ31の画像形成主走査方向の寸法(長手寸法)W31から、転写目標電流値が決定される(S43)。次にドラム1よりトナー像を転写する転写部7における、トナー像を介在させない状態の抵抗値を、ある所定の転写電圧を印加することで検知する(S44)。前記転写目標電流(S43)と前記にて得られた転写部7の抵抗値(S44)とから適正転写電圧(b)が決定される(S45)。
【0040】
図7はトナーパッチ部の転写効率を決定するプロセスを示したフローチャートである。図5の(a)の紙分担電圧決定フロー(S51)、並びに図6の(a)の適正転写電圧決定フロー(S52)により、紙分担電圧(a)、並び適正転写電圧(b)が決定される。ドラム1の画像形成部に形成された画像情報に対応したトナー像T1を転写材Pに転写するために、転写部7に印加する転写印加電圧は、「(c)転写印加電圧=(a)紙分担電圧+(b)適正転写電圧」として決定される(S53)。転写部7にて、ドラム1の画像形成部に形成された画像情報に対応したトナー像T1を転写材Pに転写すると同時に、ドラム1の非画像形成部に形成されたパッチT2を転写材Pの主走査方向の外側の領域にてベルト上10に転写している。そのトナーパッチ部に流れる転写電流は、前記「転写印加電圧(c)」を、図6の(a)の適正転写電圧決定フローチャート上のS44にて示した「転写部抵抗値」で除したものとなる(S54)。このパッチ部転写電流(S54)が転写部7に通電される際に転写部7に付与される転写電荷密度は、本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手寸法W31の情報から求められる(S55)。例えば、パッチ部転写電流値I[μA]が20μAであった場合、単位時間t[sec]、その単位時間t[sec]あたりに転写部7を通過する電荷量をQ[μC]とすると、I=Q/tと表せる。よって、電荷量Qは、Q=I/tより、Q=20μCとなる。前記した転写電荷密度をσ、転写部面積をS[cm2]とすると、σ=Q/Sで求められる。ここで、転写部面積をS[cm2]は、転写電圧が印加される転写ローラ31の長手寸法W31と、単位時間t[sec]あたりの副走査方向の移動距離を掛けたものである。本実施例においては、W31は340mm=34.0cmであり、副走査方向の移動距離は30.0cm(ベルト10の移動速度300mm/sec=30.0cm/sec)である。よって、σ=20μC/(34.0cm×30.0cm)=0.020μC/cm2となる。前記求められた転写電荷密度、並び図6の(b)に示した「転写効率テーブル」を参照(S56)することで、パッチT2の転写効率が決定される(S57)。例えば、前記求められた転写電荷密度が0.020μC/cm2であったとすると、パッチT2の転写効率は83%である。
【0041】
図8はセンサーSによりパッチT2の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスを示したフローチャートである。装置500に複数枚の連続した画像形成ジョブが入力されると、転写材Pはカセット80から給紙されて、ローラ対6に搬送される(S31)。前述の図7に示した転写効率決定フロー(S32)が実施され、ドラム1の画像部と非画像部に対して、それぞれ、画像情報に対応したトナー像T1とパッチT2の作像が開始される(S33)。画像形成と同期してレジスト駆動モータ(不図示)がONされることで、ローラ対6により転写材Pがベルト10に給送される。そして、転写材がベルト10に担持されてドラム1とベルト10が当接対向する転写部7に順次送られる(S34)。続いて、トナー像T1の転写材P上への転写、並び転写材搬送領域の主走査方向外側に形成されているパッチT2のベルト10上への転写が行われる(S35)。ベルト10上に形成されたパッチT2の濃度はセンサーSによって検知され(S36)、必要な信号変換を経て制御部60にまで送られる(図4の(a))。更に、制御部60に送られたパッチ濃度情報は、制御部60内おいて、図8のフローS32により決定された転写効率に応じて濃度補正(S37)が行われて画像補正(γLUT補正)のために用いられる。γLUT補正に関しては、前記(3)項の画像処理の概要で述べたとおりである。
【0042】
よって、本実施例1に示す画像形成装置では、センサーSにより検知したベルト10上の画像調整用のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0043】
上記をまとめると、制御部60は、次のようにして、センサーSにより読み込んだパッチT2の検知信号を補正して画像制御を行う。即ち、センサー120からの入力情報と手段70からの入力情報と、記憶装置20に予め記憶されている、ドラム1からベルト10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、上記検知信号を補正して画像制御を行う。これにより、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来る。そのために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来て、色味変動の少ない画像形成装置を提供することが出来る。
【0044】
[実施例2]
画像形成装置500が設置されている環境条件、特に高湿環境においては装置500を立ち上げた直後からの短期の間に、トナー電荷量が変化してしまう場合がある。トナー電荷量が変化すると前述の転写効率も変わってしまう。そこで、より好ましくは、実施例1にて説明した図6の(a)適正転写電圧決定フローチャートの中に、トナー電荷量Q/Sを検知するプロセスを加える。これにより、より正確なパッチT2の転写効率が求められて、更に精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0045】
(1)画像形成装置の概要
図9は本実施例2の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。図10の(a)はトナーQ/S検知プロセスを加えた適正転写電圧決定フローチャート、(b)はトナーの電荷量検知方法の説明図である。本実施例2の装置500は、実施例1の装置500(図1)に、更にトナーQ/S検知手段(トナー電荷量検知手段)40を備えたものである。この手段40以外の装置構成は実施例1の装置500と同様であるから再度の説明は省略する。
【0046】
(2)トナーの電荷量検知方法の概要
トナーQ/S検知手段40によるトナーの電荷量検知方法の概要を以下に説明する。図10の(b)にその概略図を示す通り、現像器4内にはトナーTをドラム1へ現像する際の現像電流を検知する現像電流計AMが備えられており、現像電流計AMで検知される現像電流より、現像されたトナーが持つ電荷量が分かる。例えば、ドラム1上の静電潜像を現像してドラム1上にトナー像を形成する現像においては、現像スリーブGSに電源Eにより現像バイアス電圧が印加される。そして現像工程においては、電荷(図では負電荷)を担持するトナーTが現像スリーブGSからドラム1に移動することにより、バイアス電圧印加回路に現像電流が流れる。現像スリーブGSからドラム1へはトナーTの移動によってのみ電流が流れるので、電流計AMにより現像電流を測定して、移動電荷量を計測できる。また、トナーTを現像させるためのドラム1上に形成する静電潜像の大きさを既知の面積Sとしておけば、前記の計測された移動電荷量Qとから、トナー電荷量Q/Sが分かる。本実施例の装置500における現像電流(μA)とトナー電荷量Q/Sの関係は表2に示す通りであった。得られたトナーQ/Sは、本実施例の装置500の制御部60に内蔵される不図示の記憶手段に、常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0047】
【表2】
(3)トナーQ/S検知プロセスを加えた適正転写電圧決定フロー
図10の(a)のフローチャート図に沿って説明する。前述のトナーQ/S検知手段40により検知されたトナーQ/S値(S71)、並び予め制御部60の記憶装置に記憶されている前述の図6の(b)に示す転写効率テーブルを参照(S72)することで、転写に必要な転写電荷密度を決定する(S73)。例えば、トナーQ/S検知手段40により検知されたトナーの電荷量Q/S=0.018μC/cm2である場合、トナーQ/S=0.018μC/cm2の時に転写効率が最良となる条件の転写電荷密度σはσ=0.015μC/cm2となる(S73)。前記の転写電荷密度σと、装置500のプロセス速度や転写ローラ31の長手寸法W31から、転写目標電流値が決定される(S74)。次にドラム1よりトナー像を転写する転写部7における、トナー像を介在させない状態の抵抗値を、ある所定の転写電圧を印加することで検知する(S75)。前記転写目標電流(S74)と前記にて得られた転写部7の抵抗値(S75)とから適正転写電圧(b)が決定される(S76)。
【0048】
本実施例の画像形成装置500における紙分担電圧決定プロセスは実施例1の装置500における図5の(a)のフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、転写効率決定プロセス、およびパッチ検センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは、それぞれ、実施例1の装置500における図7、図8に示したフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0049】
上記をまとめると、制御部60は、次のようにして、センサーSにより読み込んだパッチT2の検知信号を補正して画像制御を行う。即ち、センサー120からの入力情報と手段70からの入力情報と、手段40からの入力情報と、記憶装置20に予め記憶されている、ドラム1からベルト10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、上記検知信号を補正する。その補正した信号により画像制御を行う。転写効率テーブルは、トナー電荷量と、ドラム1に形成されたトナー像T1を転写材Pに転写する際に転写部7に付与される転写電荷密度とから、ドラム1よりベルト10)へ転写されるパッチT2の転写効率を導くテーブルである。
【0050】
本実施例2の画像形成装置も、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0051】
[実施例3]
(1)画像形成装置の概要
図11は本実施例3の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。本実施例の装置500は、実施例2の装置500(図9)において、ドラム1から転写材Pにトナー像を転写する際の転写バイアスの印加手段として定電流電源15を用いた。また、転写部7の抵抗値を検知するための転写部抵抗検知手段51を備えたものである。上記の電源15と手段51以外の装置構成は実施例2の装置500と同様であるから再度の説明は省略する。
【0052】
(2)転写効率決定方法の概要
転写バイアスの印加手段として定電流電源15を用いた場合の転写効率決定方法について詳細を説明する。装置500の画像形成主走査方向の断面模型図を図12の(a)に、その等価回路を(b)に示す。(a)において、1はドラム、10はベルト、31は転写ローラ、Pは転写材である紙、T1は転写材Pに転写されるトナー像、T2は画像形成主走査方向における紙搬送領域外W10Aに形成されるパッチ、15は転写バイアス印加手段である定電流電源である。WPは転写材Pの画像形成主走査方向における寸法(紙幅)、W31は転写ローラ31の画像形成主走査方向における寸法(長さ寸法)、Rdは転写部7の抵抗値を検知するための検知抵抗、V1は検知抵抗の両端にかかる検知電圧を示す。本実施例において、転写部7の主要構成手段の画像形成主走査方向における寸法は、ベルト10はW10=360mm、ドラム1はW1=350mm、転写ローラ31はW31=340mmであるものを用いた。
【0053】
等価回路である(b)において、Aは定電流電源15を、Rtrは転写材Pとトナー像が無い条件での転写部7の抵抗値を、Rpは転写材Pの抵抗値を示している。また、It(Itotal)は転写部7を流れる総電流値を、I1は転写材Pの領域を流れる転写電流値を、I2はトナーパッチ部の領域を流れる転写電流値を示している。転写部7の抵抗値Rtrは、転写部7に転写材P、並びトナー像Tを介在させない条件において、転写部7にある所定の電流を通電した時に、(a)に示す検知抵抗Rdの両端にかかる電圧V1を検知することで求められる。転写材Pの抵抗値Rpは、紙情報入力手段70から入力された紙坪量情報と、制御部60の記憶手段に記憶されてる紙坪量、紙厚み、絶対水分量、並び紙抵抗値と紙分担電圧の相関性が整理されている紙分担電圧テーブル(図5の(b))を参照することで求められる。
【0054】
(b)の等価回路から、転写材Pを流れる転写電流I1、並びパッチT2部を流れる転写電流値I2は、以下の式1)、式2)により導かれる。
【0055】
I1=It・Rtr/(2Rtr+Rp)× WP/W31 ・・・1)
I2=It・(Rtr+Rp)/(2Rtr+Rp)×(W31−WP)/W31
・・・2)
また、式1)より以下の式3)が導かれる。
【0056】
It=I1・(2Rtr+Rp)/Rtr×W31/WP ・・・3)
図13はベルト10の画像形成主走査方向における転写材搬送領域の外側領域W10Aに形成されるパッチT2の転写効率を決定するためのプロセスを示したフローチャートである。転写効率を決定するフローが開始されると、トナーQ/S検知手段40によりトナーQ/Sが検知される(S61)。前記トナーQ/Sと図6の(b)に示した転写効率テーブルを参照(S62)することにより転写電荷密度が決定される(S63)。前記転写電荷密度と本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手方向寸法W31とから、転写目標電流値Itgtが求められる(S64)。前記転写目標電流値Itgtを前記の式3)のI1に代入することで、転写部7を流れる総電流値It(=転写ローラに通電する電流値)が決定される(S65)。次に、前記転写部7を流れる総電流値Itを式2)のItに代入することで、パッチT2部を流れるパッチ部転写電流値I2が導かれる(S66)。その導かれたパッチT2部を流れる転写電流値I2と、本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手方向寸法W31とから、パッチ部転写電荷密度が求められる(S67)。前記パッチ部転写電荷密度、既に検知されているトナーQ/S値、並び転写効率テーブルを参照(S68)することで、パッチT2の転写効率が決定される(S69)。
【0057】
本実施例3の画像形成装置における、センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは実施例1の図8に示したフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0058】
本実施例3に示す画像形成装置においても、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0059】
[実施例4]
(1)画像形成装置の概要
図14は本実施例4の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。実施例2の装置500(図9)において、マニュアルの転写材情報認識手段である紙情報入力手段70に代えて、通紙される転写材Pの厚みを自動的に検知して制御部60にフィードバックする転写材情報認識手段である紙の厚み検知手段100を備えたものである。この紙の厚み検知手段100を除くその他の装置構成は、実施例2の装置500と同様であるから再度の説明を省略する。
【0060】
(2)紙の厚み検知方法の概要説明
本実施例の装置500においては、カセット80からローラ対6に至る搬送路82の途中に、給紙された転写材Pの転写材情報認識手段100が配設されている。手段100はベルト10により搬送される転写材Pに関する情報を認識する手段である。本実施例の手段100は、超音波を用いて転写材Pの剛性を検知する転写材剛性検知手段である。図15の(a)は手段100の模式図である。カセット80から一枚分離給紙された転写材Pは搬送路82中を、上流側の搬送ローラ対104・105と下流側の搬送ローラ対106・107により挟持されてローラ対6に向かって矢印Cの方向に搬送されている。その搬送路途中にて、超音波発信素子101と受信素子102を搬送される転写材Pと接触する様に上流側と下流側に配置する。画像形成動作中などに、転写材Pが素子101と素子102の双方に接する位置に搬送されると、素子101より超音波信号103が発信される。信号103としては、ある一定の周波数/出力の信号を発信しており、発信された信号103は転写材Pの剛性特性に応じて信号が変化する。その変化した信号が素子102に受信される。制御部60は、素子101からの発信信号と素子102による受信信号の変化分(減衰率)を計算する。減衰率は、図15の(b)のように、転写材Pの剛性特性値と相関がある。制御部60にはその相関特性データが参照テーブルとして記憶されている。制御部60は、その相関特性データに基づいて、通紙された転写材Pに関して計算される減衰率Y1に対応する剛性特性値X1を導出する。また、この剛性特性値は転写材Pである紙の坪量(厚み)と相関性がある。転写材Pとして紙の米坪量が50g/m2(厚み50μm)紙、64g/m2(厚み65μm)紙、80g/m2(厚み80μm)紙を、本実施例の装置500に通紙して、手段100により剛性特性値を求めたところ表3に示すような結果となった。
【0061】
【表3】
本実施例の画像形成装置における、画像調整用パッチT2の転写効率決定プロセス、並びパッチ検センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは実施例2と同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0062】
本実施例4に示す画像形成装置においても、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0063】
[実施例5]
(1)画像形成装置例の概要
図16は本実施例における画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。実施例4の装置500と共通する構成部材・部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施例の装置500はフルカラー電子写真方式画像形成装置であり、第1乃至第4の4つの電子写真画像形成部U(UY・UM・UC・UK)が並設されている。各画像形成部Uは実施例4の装置500の画像形成部と同様にドラム(第1の像担持体)1、一次帯電器2、露光装置3、現像器4、クリーナ5を有する。ドラム1は矢印Rの反時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで回転駆動される。第1の画像形成部UYはドラム1にイエロー色(Y色)のトナー像を形成する。第2の画像形成部UMはドラム1にマゼンタ色(M色)のトナー像を形成する。第3の画像形成部UCはドラム1にシアン色(C色)のトナー像を形成する。第4の画像形成部UKはドラム1にブラック色(Bk色)のトナー像を形成する。静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0064】
第1乃至第4の画像形成部UY・UM・UC・UKの下側には中間転写ベルトユニット70が配設されている。ユニット70は、可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(第2の像担持体)74と、そのベルト74を張架する複数本の張架ローラとしての、テンションローラ71、駆動ローラ72、二次転写対向ローラ73、の3本のローラを有する。ベルト74はローラ72が駆動されることで矢印Zの時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで循環移動される。ローラ71とローラ72との間の上行側ベルト部分の内側には各画像形成部UY・UM・UC・UKのドラム下面に対応する位置に一次転写ローラ75が配設されている。各ローラ75はベルト74を介してドラム1の下面に圧接している。ベルト74とドラム下面との圧接部が一次転写部である。ベルト74として、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、その体積抵抗率を1E+9〜1E+14[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.1[mm]としたものを用いている。
【0065】
ユニット70の下側には、実施例4の装置500と同様の構成の転写搬送ベルトユニット30が配設されている。帯電器(二次転写ローラ)31は、ベルト(二次転写ベルト)10とベルト74を介して二次転写対向ローラ73に対向している。ベルト74とベルト10との圧接部がベルト74に形成されたトナー像をベルト10に担持されて搬送される転写材Pに転写する転写部(二次転写部)77である。ベルト10として、引っ張り試験法(JIS−K−6301)で測定したヤング率の値が10MPa以下となるような弾性体のものを使用している。ベルト10はローラ32により矢印Bの反時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで循環移動される。ベルト10として、引っ張り試験法(JIS−K−6301)で測定したヤング率の値が10MPa以下となるような弾性体のものを使用している。ベルト10のヤング率を10MPa以下程度の十分に弾性変形が可能な部材を使用することで、ベルト10の画像形成主走査方向におけるベルト寄り制御手段を簡易、かつ低コストなこう請求項とすることが可能となる。また、十分に弾性変形が可能な部材は、応力緩和現象も起こりやすいため、ベルト10の寿命低下も防ぐことが可能になる。
【0066】
第1乃至第4の各画像形成部UY・UM・UC・UKのドラム1に形成されるY色トナー像、M色トナー像、C色トナー像、Bk色トナー像が一次転写において、循環移動するベルト74の面に順次に重畳されて一次転写される。これにより、第4の画像形成部UKの一次転写部を通過したベルト面には4色フルカラーのトナー像が形成される。そのトナー像が引き続くベルト74の移動で二次転写部77に搬送される。一方、所定の制御タイミングでベルト10により転写材Pが二次転写部77に搬送されて、ベルト74上のトナー像が転写材P上に二次転写される。即ち、ローラ31によってトナーと逆極性の二次転写電流が印加されることによってベルト74上のトナー像が転写材P上へ一括して転写される。ローラ31には、イオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と芯金からなり、外径が24mm、ローラ表面粗さRz=6.0〜12.0(μm)、抵抗値がN/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加で1E+5〜1E+7Ωの転写ローラを使用している。ローラ31には、供給バイアスが可変となっている、二次転写高圧電源13が取り付けられている。二次転写部77で未定着トナー像が載った転写材Pは引き続きベルト10で搬送されて、ローラ33の位置でベルト10から分離される。その後、定着装置9に運ばれ、トナー像を定着した後、機械の外に排出される。
【0067】
また、ベルト10の転写材搬送領域外のベルト面領域W10Aは画像調整用トナーパターン(トナーパッチ)T2が形成されてセンサーSにより読み込みがなされる。
【0068】
ベルト74、ベルト12の前記回動速度は1例であり、上記条件に限定されるものでは無い。本実施の形態では、張架ローラ33がベルト10から転写材Pの分離部にあたる分離張架ローラとなっている。
【0069】
(2)トナーの電荷量検知方法の概要
本実施例におけるトナーQ/S検知手段40によるトナーの電荷量検知手法は、実施例2で説明した手法と同様な手法を用いた。即ち、各画像形成部UY・UM・UC・UKにおいて、現像器4内には、トナーをドラム1へ現像する際の現像電流を検知するために、実施例2の図10の(b)に示した現像電流計AMが備えられている。そして、現像電流計AMで検知される現像電流より、現像されたトナーが持つ電荷量が分かる。その他のトナーQ/S検知方法については実施例2と同様であるために説明を省略する。本実施例の画像形成装置における現像電流(μA)とトナー電荷量Q/Sの関係は表2に示す通りであった。得られたトナーQ/Sは、本実施例の画像形成装置の制御部60に内蔵される記憶手段(不図示)に、常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0070】
本実施例の画像形成装置における、紙の厚み検知プロセス、画像調整用パッチT2の転写効率決定プロセスは実施例4と同様であるために説明を省略する。また、センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスも実施例4と同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0071】
本実施例5に示す画像形成装置においても、実施例3の画像形成装置と同様に、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0072】
[その他]
1)画像形成装置のトナー像形成方式は実施例の電子写真画像形成プロセスに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成プロセス、像担持体として磁気記録磁性体を用いた磁気記録画像形成プロセスなどの他の画像形成プロセスであってもよい。
【0073】
2)転写材情報認識手段100は、実施例の転写材剛性検知手段に限られない。転写材を挟持搬送するローラ対の転写材の厚みに対応した離間量から転写材の厚みを検知する転写材厚み検知手段であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
T1・・トナー像、1、74・・像担持体、P・・転写材、7,77・・転写部、10・・転写搬送部材、500・・画像形成装置、T2・・画像調整用のトナーパターン、W10A・・転写材搬送領域外、S・・濃度検知手段、60・・制御部、120・・環境検知センサー、70,100・・転写材情報認識手段、20・・記憶手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・ファクシミリ・プリンタやそれらの機能を集約した複合機等の画像形成装置に関するものである。より詳しくは、転写材を画像転写部に担持搬送するための転写搬送部材を備えた電子写真方式等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写搬送部材に直接転写された濃度検知用トナーパターンを濃度検知用センサーで読み取り画像補正制御を行う従来の画像形成装置の代表例としては、特許文献1と特許文献2が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、濃度検知用パターンが用紙の代わりに転写ローラへ二次転写され、濃度検知センサーにより濃度検知用パターンの濃度の検出が行われる技術が開示されている。転写ローラは導電性付与剤として白色のウィスカーを用いており、転写ローラ自身の色を白色にしたため、画像濃度の検知を簡略に行うことができる。また、二次転写後の画像濃度を測定することによって、より実際の画像(用紙上の画像)に近い濃度を検出することができる。
【0004】
また、特許文献2は、画像濃度制御が転写材上で実施するのと同様の状態で行うことができる中間転写体を備えたカラー画像形成装置の例が開示されている。カラー画像形成装置の二次転写搬送ベルト上に濃度パターンを形成し、そのパターンを濃度検知センサーで読み込んで濃度制御をおこなうことができる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−044122号公報
【特許文献2】特開平11−194578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の画像形成装置における、特に短期間の濃度変動を抑制するための画像制御技術として次のような技術が知られている。即ち、転写材の画像形成主走査方向における余白部、あるいは転写材を担持搬送する転写搬送ベルトの画像形成主走査方向における転写材の搬送領域外に、画像パターンと並行して画像調整用トナーパターン(トナーパッチ)を形成する。そのトナーパッチをパッチ検知センサーにより読み込んで、画像補正、並び画像制御する技術である。
【0007】
ところが、特許文献1や2の例にて、転写材を担持搬送する転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に画像パターンと並行してトナーパッチを形成して、画像補正並び画像制御する技術を実施すると次の事項が指摘された。即ち、紙種毎(転写材の種類毎)に転写電圧設定値が異なる影響を受けてトナーパッチの転写搬送部材上への転写効率が変わってしまうことがある。その結果、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが困難となる。
【0008】
本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、紙種毎にトナーパッチの転写搬送部材上への転写効率が変わってしまっても、精度良く画像補正、並び画像制御を行うことが出来る画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成しるための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像が形成される像担持体と、転写材を担持して前記像担持体から前記転写材に前記トナー像を転写する転写部に搬送する転写搬送部材と、を有する画像形成装置であって、前記トナー像の形成と並行して画像調整用のトナーパターンを前記像担持体の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して前記転写部において前記転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に転写し、その転写されたトナーパターンの濃度を濃度検知手段により読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う制御部を有する前記画像形成装置において、前記画像形成装置の内部の温度と相対湿度を検知する環境検知センサーと、通紙される転写材の情報を認識する転写材情報認識手段を有し、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙種毎にトナーパッチの転写搬送部材への転写効率が変わってしまっても、精度良く画像補正、並び画像制御を行うことが出来る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の画像形成装置の構成概略図である。
【図2】(a)は画像処理並び画像補正の制御ブロック回路図、(b)は出力画像の階調が再現特性を示す四限チャートである。
【図3】ドラムと転写搬送ベルトユニットの部分の中央部分省略の模式図である。
【図4】(a)はパッチ検センサーの濃度検知に関するブロック回路図、(b)は画像補正のフローチャートである。
【図5】(a)は紙分担電圧を決定するフローチャート、(b)は紙分担電圧テーブルの概略図である。
【図6】(a)は適正転写電圧を決定するフローチャート、(b)は転写効率テーブルの概略図である。
【図7】転写効率を決定するフローチャートである。
【図8】パッチ検センサーの動作フローチャートである。
【図9】実施例2の画像形成装置の構成概略図である。
【図10】(a)は適正転写電圧を決定するフローチャート、(b)はトナー電荷量検知手段の概略図である。
【図11】実施例3の画像形成装置の構成概略図である。
【図12】(a)は転写部の主要構成の断面概略図、(b)は転写部の等価回路である。
【図13】転写効率を決定するフローチャートである。
【図14】実施例4の画像形成装置の構成概略図である。
【図15】(a)は紙の厚み検知手段の構成概略図、(b)は紙の厚み検知手段の検知結果を表す剛性特性の概略図である。
【図16】実施例5の画像形成装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
【0013】
[実施例1]
(1)画像形成装置の概要
図1は本実施例における画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。本実施例の装置500は転写材を画像転写部に担持搬送する転写搬送部材として転写搬送ベルト10を用いた電子写真画像形成装置であり、リーダー部200とプリンタ部300を有する。リーダー部200から制御部(制御回路部:CPU(中央演算処理手段))60に入力する電気的な画像情報に基づいてシート状の転写材(記録材、記録媒体)Pにモノクロ画像(ブラック(Bk)単色)を形成して出力することができる。転写材Pは装置500によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHTシート、はがき、封筒、ラベル等が含まれる。
【0014】
制御部60は装置500の動作を統括的に制御しており、リーダー部200や操作パネル501からの信号、プリンタ部300内の各種のセンサー類からの信号に応じて所定の画像形成シーケンスに従ってプリンタ部300の画像形成動作を制御する。パネル501は装置500のユーザーインターフェース手段であり、使用者はパネル501から各種のユーザー設定情報を制御部60に入力することができる。パネル501には転写材情報認識手段としての紙情報入力手段70が設けられており、使用者はこの手段70により転写材(紙)Pの坪量情報をマニュアル入力することができる。装置500には装置の内部の温度と相対湿度を検知することができる環境検知センサー120が設けられている。このセンサー120から制御部60に環境検知情報が入力し、その入力情報が制御部60に内蔵の記憶装置(記憶手段:メモリ)20に常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0015】
リーダー部200は原稿の画像をCCDセンサー(固体撮像素子)201(図2の(a))によって電気的な画像情報として光電読み取りする機構部であり、その光電読み取り画像情報が制御部60に入力する。制御部60にインターフェイスを介して、パソコン、ファクシミリ等の外部ホスト装置(不図示)を接続して画像情報を入力してプリンタ部300に画像形成を実行させることもできる。
【0016】
プリンタ部200は電子写真画像形成機構部であり、回転可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。制御部60は、プリント開始信号に基づいて駆動源(メインモータ)Mを起動してドラム1を所定の速度(プロセススピード)にて矢印の時計方向に回転駆動する。ドラム1の外周囲にはドラム1の回転方向に沿ってドラム1に作用するプロセス手段としての、一次帯電器2、露光装置3、現像器4、転写帯電器31、及びクリーナ5が配設されている。
【0017】
帯電器2は、ドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、非接触帯電手段であるコロナ放電器、接触帯電手段である接触帯電ローラや接触帯電ブレードなど適宜の帯電手段を用いることが可能である。
【0018】
露光装置3は、ドラム1の帯電処理面を画像露光して露光パターンに対応した静電潜像を形成する潜像形成手段である。本実施例においてはこの露光装置3はレーザスキャナである。光源装置から発せられたレーザ光(画像情報に対応して変調されたレーザ光)を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって変更し、fθレンズによりドラム1の母線上に集光して露光(主走査露光)Lする。これにより、ドラム面の露光部分の電位が減衰して、明部電位Vlと非露光部分の暗部電位Vdとの静電コントラストによりドラム面に静電潜像が形成される。
【0019】
現像器4はドラム面の静電潜像を現像剤(有彩色トナー)によりトナー像T1として可視化する現像手段である。本実施例においては、現像器4には、ネガ帯電極性を有する非磁性トナーとポジ帯電極性を有する磁性キャリアが所定の混合比で混合された現像剤が所定量充填されている。ドラム1上の静電潜像に対して現像器4により静電的にトナーを転移させることで可視トナー像を形成する。画像形成方式としては、バックグランド露光方式と正規現像方式とによる方式と、イメージ露光方式と反転現像方式とによる方式とが有る。前者は、帯電したドラム表面に画像情報のバックグランド部に対応して露光し、バックグランド部以外の部分を現像する方式である。後者は、画像情報部に対応して露光し、非露光部分を現像する方式である。それぞれの特徴を生かして用いられている。
【0020】
ドラム1の下側には転写搬送ベルトユニット30が配設されている。このユニット30の構成については後述する。転写材Pはユニット30の下方に配設されている給送カセット(給紙部)80に積載して収容されている。給紙ロ−ラ81が所定の制御タイミングで駆動されることによりカセット80内の転写材Pが一枚分離給送され、搬送路82で搬送されてレジストローラ対6に搬送される。ローラ対6は制御部60で制御されるレジ駆動部(レジスト駆動部:不図示)により回転停止状態と駆動状態とに制御される。搬送路82で搬送された転写材Pはその時点では回転停止状態のローラ対6のニップ部に先端部が受け止められて斜行が矯正される。そして、ローラ対6はドラム1に対する画像形成と同期して所定の制御タイミングで駆動状態にされる。これにより、記録材Pがユニット30に対して搬送され、転写搬送部材であるベルト10に担持されて転写部7に搬送される。転写材Pが転写部7を通過している間、転写帯電器31に対して制御部60で制御される転写制御部(転写バイアス電源部)13から、定電圧、又は定電流の所定の転写バイアスが所定の制御タイミングで印加される。これにより、転写部7において、ドラム1側のトナー像T1がベルト10で搬送される転写材Pの面に順次に静電的に転写される。50は制御部60に内蔵されている転写電圧制御手段(ATVC;Auto Transfer Voltage Control)である。手段50は、ドラム1に形成されたトナー像T1を転写材Pに転写する転写部7の抵抗値を検知して、転写制御部13から転写部7(転写帯電器31)に適正な転写電圧を印加する。
【0021】
転写部7を通過した転写材Pは引き続きベルト10に乗って搬送され、分離ローラ33の部分においてベルト10の上面から曲率分離し、分離爪29の上側を通り、定着入口ガイド93に導かれて定着装置(定着部)9へと搬送される。装置9は定着ローラ92、加圧ローラ91を有する。また、図には省略したけれども、その各ローラ92、91をクリーニングする耐熱性クリーニング部材と、各ローラ内に設置された加熱ヒータを有する。また、ローラ92にジメチルシリコンオイルなどの離型剤オイルを塗布する塗布ローラと、そのオイル溜めと、ローラ92の表面温度を検知して定着温度を制御するサーミスタを有する。転写材Pはローラ92とローラ91との圧接部である定着ニップ部で挟持搬送されていく過程で加熱及び加圧される。これにより、転写材P上の未定着トナー像が固着像として定着され、画像形成物として、排紙ローラ11により装置外の排出トレイ12に排出されて積載される。転写部7で転写材Pにトナー像を転写した後のドラム1は表面に残留したトナーがクリーナ5によって除去されて清掃され、次の画像形成に供される。
【0022】
(2)ユニット30
ユニット30は、転写搬送部材としての可撓性の無端ベルト(エンドレスのベルト)10を有する。ベルト10は複数の懸架部材としての並行3本の、駆動ローラ32、分離ローラ33、張架ローラ34の間に懸回張設されている。ローラ32とローラ33は、それぞれ、ドラム1よりも転写材搬送方向に関して上流側と下流側とに位置している。以下の説明において、上流側と下流側とは転写材搬送方向もしくはベルト移動方向に関して上流側と下流側である。ローラ34はローラ32とローラ33の間においてベルト10の下行側のベルト部分に接触している。ベルト10の上行側ベルト部分の上面とドラム1の下面とが接触している。その接触部が転写部7である。帯電器31は転写部7においてベルト10を介してドラム1に対向して配設されている。
【0023】
ベルト10の材質としては、CR、ウレタン等の弾性特性を有するゴム材料、やPET、PVdF、PC(ポリカーボネート)やPI(ポリイミド)などの樹脂材料を用いることが出来る。または、その複合材料に対して、必要に応じて帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させものを用いることが出来る。本実施例においては、ベルト10は、周長440mm、厚み500μmtのCR系のゴム材料を用いた。引っ張り試験法(JIS−K6301)で測定したヤング率Eの値がE≦10MPa、ゴム硬度Hs(JIS−K6253準拠)の値が、Hs≦75°となるような弾性体のものを使用することが望ましい。ヤング率Eについては、10MPaを超過する領域では弾性特性が無くなってくるために、画像形成主走査方向におけるベルト10の寄り規制をするために樹脂材料からなるベルトと同様の高価な寄り制御機構が必要となってくる。ここで、画像形成主走査方向とは、転写材Pの搬送路面において転写材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また、ゴム硬度Hsについては、ゴム硬度が75°以上ではベルトの表層割れ等が発生しベルトの耐久性が低下する傾向にある。しかし、本実施例の画像形成装置に用いることが出来るベルト10のゴム材料特性としては、上記に示したヤング率E、並びゴム硬度Hsの範囲内に限定されるものではない。ベルト10の抵抗値は、体積抵抗率5.0×109〜1.0×1012Ω・cm(JIS−K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃50%RH)の範囲内で抵抗水準を振ったものを用いた。体積抵抗率5.0×109Ω・cm未満では特に高湿環境において、ベルト10を通じたリーク現象が発生し易い。一方、体積抵抗率1.0×1012Ω・cm超では、特に低湿環境において電荷の蓄積が顕著となり除電がなされ難くなる。ベルト10は、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトによって無端ベルトとし、駆動ローラ32及び従動回転する分離ローラ33、張架ローラ34に懸架されている。
【0024】
ローラ32は、外径φ20mmのSUS製芯金の周囲に厚み1.5mmtの導電性(体積抵抗値<105Ωcm以下)のゴムを成形したものを用いた。ローラ33は、不図示のバネ加圧機構に支持されており、ベルト10をその内周面側より押圧することでベルト10に張力を付与する機能も兼ねている。ローラ33の外径はφ19mmのSUS製のローラを用いた。ローラ33は、複数のベルト懸架部材32、33、34のうちの転写部7よりもベルト移動方向下流側に配置されていてベルト10から転写材Pを曲率分離する機能も兼ねる転写材分離用懸架部材である。ローラ34の外径はφ20mmのSUS製のローラを用い、ベルト10を挟んでクリーニングファーブラシ35を対向配置させた。ブラシ35はベルト上に残留するトナーを清掃除去する。
【0025】
また、ベルト10を挟んだローラ33の対向位置には、画像の状態をモニターするために、図3のように、ベルト10上に形成された画像調整用のトナーパターンT2を読み込むためのパッチ検センサー(パッチ検知センサー)Sが配置されている。センサーSはトナーパターンT2の濃度を検知する濃度検知手段であり、電子写真方式画像形成装置に一般的に用いられる光学式センサー(フォトセンサ)を用いた。このトナーパターンT2と潜さSは後述する。
【0026】
ベルト10は、所定の制御タイミングでローラ32が回転駆動されることで、矢印Bの反時計方向にドラム1の回転速度に対応した速度で循環移動する。本実施例に示す画像形成装置のプロセス速度としては、ベルト10が矢印Bの方向に300mm/secの速度で回転するようになっている。ベルト10が回転し、一定速度に達すると、転写材Pがローラ対6からベルト10の上行側ベルト部分上に送り出され、転写材Pがベルト10により転写部7へ向けて搬送される。ローラ対6の転写材搬送速度とベルト10の移動速度はほぼ対応している。これと同時に画像書き出し信号がONとなり、それを基準として所定の制御タイミングでドラム1に対して画像形成を行う。その後、転写部7にて、転写帯電器31に制御部13から所定の転写バイアスが印加されることにより、ドラム1上に形成されたトナー像T1が転写材Pに静電的に転写される。帯電器31にはコロナ放電のような非接触帯電器、または帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードのような帯電部材を用いた接触帯電器を用いることができるが、本実施例においては帯電ローラ(以下、転写ローラと記す)を用いた。転写ローラ31は、φ7.0mmの導電性の芯金と、厚さ3.5mmtの中抵抗の抵抗値を有するEPDM発泡弾性層からなる。ローラ硬度(Asker−C)は30°である。抵抗値は、4.9N(500g重)の荷重の下で接地(アース面)に対して該ローラ31を50mm/secの周速で回転させ、芯金に1000Vの電圧を印加して測定された電流の関係から求められ、その値は約106Ω(23℃/50%RH)であった。
【0027】
トナー像T1が転写された転写材Pは、ベルト10の搬送方向下流部にあるローラ33にて、ベルト10から分離離脱(曲率分離)して、分離爪29、ガイド93に導かれて定着装置9へと搬送される。また、転写材Pを分離した後のベルト10はブラシ35により清掃される。ブラシ35は、導電性ファーブラシであり、ベルト10を挟んでローラ34に対向配置した回転体であり、ベルト10の表面を摺擦する。これにより、ベルト10上に残留したトナー及びその他の異物を清掃すると共に、蓄積した電荷の除去(除電)を行っている。ブラシ35、並びローラ34の各軸芯は接地されている。ブラシ35としては、導電性ウェブ(不織布)を用いることもできる。
【0028】
(3)画像処理の概要
図2の(a)は、階調画像を得るための画像処理部の構成例を示すブロック図である。CCDセンサー201によって得られた画像の輝度信号は、画像処理部202において面順次の濃度信号に変換される。変換後の濃度信号は、初期設定時のプリンタのガンマ特性に応じた信号になるように、つまり原画像の濃度と出力画像の濃度とが一致するように、ルックアップテーブルLUT(ガンマルックアップテーブルγLUT)25によって特性が補正される。
【0029】
図2の(b)は本実施例の装置500における出力画像の階調が再現される様子を示す四限チャートである。第I象限は、原画像の濃度を濃度信号に変換するリーダー部200の読取特性を示す。第II象限は、濃度信号をレーザ出力信号に変換するためのLUT25の変換特性を示す。第III象限は、レーザ出力信号を出力画像の濃度に変換するプリンタ部300の記録特性を示す。第IV象限は、原画像の濃度と出力画像の濃度との関係を示す。即ち、装置のトータルの階調再現特性を示す。装置トータルの階調特性、つまり第IV象限の階調特性をリニアにするために、第III象限のプリンタ特性がノンリニアな分を第II象限のLUT25によって補正する。LUT25により、階調特性が変換された画像信号は、レーザドライバのパルス幅変調(PWM)回路26によってドット幅に対応するパルス信号に変換される。そのパルス信号がレーザ光源(不図示:図2の(a)中のレーザ光Lの発光源)のオン/オフを制御するLDドライバ27へ送られる。なお、本実施例では、Bk単色(モノクロ画像)のみだが、4色フルカラー画像形成装置の場合にはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびBk(ブラック)の全色ともにパルス幅変調による階調再現方法を用いる。そして、レーザ光源から出力されるレーザ光Lの走査によってドラム1上には、ドット面積の変化により階調が制御された、所定の階調特性を有する静電潜像が形成され、前述した現像、転写および定着という過程をへて階調画像が再生される。
【0030】
(4)トナーパターンT2の形成とセンサーS
図3はドラム1とユニット30の部分の中央部分省略の模式図である。転写部7の主要構成手段の画像形成主走査方向における寸法については、ベルト10はW10(ベルト幅)=360mm、ドラム1はW1(ドラム長さ)=350mm、転写ローラ31はW31(転写ローラ長さ)=340mmであるものを用いた。WPは転写材Pの最大通紙幅(転写材搬送領域)である。本実施例において転写材Pの通紙は転写材幅中心の中央基準搬送である。W10>W1>W31>WPである。
【0031】
T2は画像の状態をモニターするためにベルト10上に形成された画像調整用のトナーパターン(システム制御用現像剤像、システム制御用トナー像:以下、トナーパッチまたはパッチと記す)である。パッチT2は、例えば、現像器4にトナーを補給する量を判定するための画像濃度補正用パッチ画像、帯電・露光の補正量を判定するために画像データの階調性を保証するための中間調の階調補正用パッチ画像などである。パッチT2は、ドラム1の非画像形成部(ドラム端部領域:最大通紙幅WPの外側のドラム面領域)に形成され、それが転写部7において、ベルト10における最大通紙幅WPの外側(転写材搬送領域外)のベルト面領域W10Aに転写される。ドラム1の画像形成部には画像情報に対応したトナー像T1が形成され、そのトナー像T1がベルト10に担持されて搬送される転写材Pに対して転写部7にて転写される。そして、ベルト10の領域W10Aに形成されたパッチT2がセンサーSにより光電読み取りされ、その読み取り情報が制御部60に入力する。センサーSは、前記ベルト面領域W10Aに対応する位置であって、かつローラ33(転写材分離用懸架部材)に対向する位置に配置されている。制御部60はセンサーSから入力したパッチ読み取り情報に基づいて所要のシステム制御を実行する。即ち、制御部60は、センサーSの光電読み取り情報に基づいて画像制御を行う。
【0032】
より具体的には、トナー像T1の形成と並行して画像調整用のパッチT2をドラム1の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して転写部7においてベルト10の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外W10Aに転写する。制御部60は、その転写されたパッチT2の濃度を濃度検知手段であるセンサーSにより読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う。センサーSで情報読み取りされたベルト10上のパッチT2は引き続くベルト10の移動でブラシ35の位置に至りベルト10上から除去される。
【0033】
図4の(a)は、センサーSの出力信号を処理する回路構成例を示すブロック回路図である。センサーSに入力されるベルト10上に形成されたパッチT2からの反射光(近赤外光)は、電気信号に変換される。その電気信号は、A/D変換回路51によりディジタル信号に変換され、濃度換算回路52によって濃度情報に変換されて回路部(CPU)60に送られる。図4の(b)はγLUT補正テーブルを作成する処理を示すフローチャートで、通常の画像形成の開始に伴い開始される。まず、前回の画像形成動作中になされた画像補正フローにより得られたγLUT補正テーブルによりLUT25のテーブルデータを補正し(S21)、補正結果のテーブルデータをLUT25に設定し(S22)、LUT25を使用して画像を出力する(S23)。その際、ベルト10にパッチT2を形成してパッチT2の濃度を読み取る(S24)。そして、ΔDnを算出し(S25)、積算値ΔD=ΔD+ΔDnを得て(S26)、γLUT補正テーブルを作成する(S27)。その後、プリントジョブを継続するか否かを判定し(S28)、ジョブが継続する場合は処理をステップS21へ戻し、ジョブが終了する場合は処理を終了する。
【0034】
(5)転写効率決定方法の概要
前述した画像形成装置において、パッチT2の転写効率を決定して、その転写効率に基づき、パッチT2の濃度を補正してγLUT補正する方法を以下に説明する。
【0035】
図5の(a)は紙分担電圧を決定するプロセスを示したフローチャートである。装置500に内蔵されている環境検知センサー120により、装置500の温度、相対湿度は常に検知されている。検知された温度、相対湿度に基き絶対水分量が導かれ、その絶対水分量の情報は制御部60内の記憶装置20に常に読み出しが可能な状態で記憶される(S21)。この絶対水分量と紙情報入力手段70より入力された紙坪量情報(S22)、並び予め制御部60の記憶装置に記憶されている紙分担電圧テーブルを参照(S23)することで、紙分担電圧(a)が決定される(S24)。
【0036】
紙分担電圧テーブルの代表例を図5の(b)に示す。低湿環境、通常環境、湿潤環境とは、画像形成装置内部の環境条件が、絶対水分量において、各々1.0g/m3、10.3g/m3、24.3g/m3の場合を示している。また、図5の(b)は転写材Pの通紙面が1面目のときの紙分担電圧である。例えば、センサー120の検知結果に基づいて導かれた絶対水分量が10.3g/m3とする。また、ユーザーによりパネル501上の紙情報入力手段70から入力された転写材P(紙)の坪量が100g/m2であるとする。この場合は、図5の(b)の紙分担電圧テーブルより、紙分担電圧は750Vと決定される。
【0037】
図6の(a)は適正転写電圧を決定するプロセスを示したフローチャートである。近年の電子写真画像形成装置においては、現像器より感光体に現像される現像剤トナーの電荷量Qが一定となるように現像剤の補給制御がなされるのが一般的である。その前提において、前述のセンサー120により得られた装置内部の絶対水分量から、経験的にトナーQ/Sの代表値が予測可能である。予測されるトナーQ/Sの代表例を表1に示す。
【0038】
【表1】
予測されたトナーQ/S値と、予め制御部60の記憶装置に記憶されている転写効率テーブルを参照(S41)することで、転写に必要な転写電荷密度を決定する(S42)。転写効率テーブルの代表例を図6の(b)に示す。転写効率テーブルとは次のような情報のことである。即ち、トナー電荷量Q/Sと、ドラム1のトナー像を転写材Pに転写する際に転写ローラ31に印加する転写バイアスにより転写部7に付与される転写電荷密度から、トナー像のドラム1からベルト10への転写効率を導く事ができる特性が整理された情報である。ここで、上記の転写バイアスは本実施例では定電圧である。
【0039】
図6の(b)のグラフ(1)、(2)、(3)は、各々トナーQ/S=0.012μC/cm2、0.018μC/cm2、0.024μC/cm2の条件における、転写電荷密度[μC/cm2]と前記転写効率[%]の関係特性を現している。例えば、画像形成装置内部の絶対水分量が10.3g/m3であった場合、表1より予測されるトナーの電荷量Q/S=0.018μC/cm2となる。トナーQ/S=0.018μC/cm2の時に転写効率が最良となる条件の転写電荷密度σはσ=0.015μC/cm2となる(S42)。前記の転写電荷密度σと、本実施例の画像形成装置のプロセス速度や転写ローラ31の画像形成主走査方向の寸法(長手寸法)W31から、転写目標電流値が決定される(S43)。次にドラム1よりトナー像を転写する転写部7における、トナー像を介在させない状態の抵抗値を、ある所定の転写電圧を印加することで検知する(S44)。前記転写目標電流(S43)と前記にて得られた転写部7の抵抗値(S44)とから適正転写電圧(b)が決定される(S45)。
【0040】
図7はトナーパッチ部の転写効率を決定するプロセスを示したフローチャートである。図5の(a)の紙分担電圧決定フロー(S51)、並びに図6の(a)の適正転写電圧決定フロー(S52)により、紙分担電圧(a)、並び適正転写電圧(b)が決定される。ドラム1の画像形成部に形成された画像情報に対応したトナー像T1を転写材Pに転写するために、転写部7に印加する転写印加電圧は、「(c)転写印加電圧=(a)紙分担電圧+(b)適正転写電圧」として決定される(S53)。転写部7にて、ドラム1の画像形成部に形成された画像情報に対応したトナー像T1を転写材Pに転写すると同時に、ドラム1の非画像形成部に形成されたパッチT2を転写材Pの主走査方向の外側の領域にてベルト上10に転写している。そのトナーパッチ部に流れる転写電流は、前記「転写印加電圧(c)」を、図6の(a)の適正転写電圧決定フローチャート上のS44にて示した「転写部抵抗値」で除したものとなる(S54)。このパッチ部転写電流(S54)が転写部7に通電される際に転写部7に付与される転写電荷密度は、本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手寸法W31の情報から求められる(S55)。例えば、パッチ部転写電流値I[μA]が20μAであった場合、単位時間t[sec]、その単位時間t[sec]あたりに転写部7を通過する電荷量をQ[μC]とすると、I=Q/tと表せる。よって、電荷量Qは、Q=I/tより、Q=20μCとなる。前記した転写電荷密度をσ、転写部面積をS[cm2]とすると、σ=Q/Sで求められる。ここで、転写部面積をS[cm2]は、転写電圧が印加される転写ローラ31の長手寸法W31と、単位時間t[sec]あたりの副走査方向の移動距離を掛けたものである。本実施例においては、W31は340mm=34.0cmであり、副走査方向の移動距離は30.0cm(ベルト10の移動速度300mm/sec=30.0cm/sec)である。よって、σ=20μC/(34.0cm×30.0cm)=0.020μC/cm2となる。前記求められた転写電荷密度、並び図6の(b)に示した「転写効率テーブル」を参照(S56)することで、パッチT2の転写効率が決定される(S57)。例えば、前記求められた転写電荷密度が0.020μC/cm2であったとすると、パッチT2の転写効率は83%である。
【0041】
図8はセンサーSによりパッチT2の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスを示したフローチャートである。装置500に複数枚の連続した画像形成ジョブが入力されると、転写材Pはカセット80から給紙されて、ローラ対6に搬送される(S31)。前述の図7に示した転写効率決定フロー(S32)が実施され、ドラム1の画像部と非画像部に対して、それぞれ、画像情報に対応したトナー像T1とパッチT2の作像が開始される(S33)。画像形成と同期してレジスト駆動モータ(不図示)がONされることで、ローラ対6により転写材Pがベルト10に給送される。そして、転写材がベルト10に担持されてドラム1とベルト10が当接対向する転写部7に順次送られる(S34)。続いて、トナー像T1の転写材P上への転写、並び転写材搬送領域の主走査方向外側に形成されているパッチT2のベルト10上への転写が行われる(S35)。ベルト10上に形成されたパッチT2の濃度はセンサーSによって検知され(S36)、必要な信号変換を経て制御部60にまで送られる(図4の(a))。更に、制御部60に送られたパッチ濃度情報は、制御部60内おいて、図8のフローS32により決定された転写効率に応じて濃度補正(S37)が行われて画像補正(γLUT補正)のために用いられる。γLUT補正に関しては、前記(3)項の画像処理の概要で述べたとおりである。
【0042】
よって、本実施例1に示す画像形成装置では、センサーSにより検知したベルト10上の画像調整用のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0043】
上記をまとめると、制御部60は、次のようにして、センサーSにより読み込んだパッチT2の検知信号を補正して画像制御を行う。即ち、センサー120からの入力情報と手段70からの入力情報と、記憶装置20に予め記憶されている、ドラム1からベルト10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、上記検知信号を補正して画像制御を行う。これにより、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来る。そのために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来て、色味変動の少ない画像形成装置を提供することが出来る。
【0044】
[実施例2]
画像形成装置500が設置されている環境条件、特に高湿環境においては装置500を立ち上げた直後からの短期の間に、トナー電荷量が変化してしまう場合がある。トナー電荷量が変化すると前述の転写効率も変わってしまう。そこで、より好ましくは、実施例1にて説明した図6の(a)適正転写電圧決定フローチャートの中に、トナー電荷量Q/Sを検知するプロセスを加える。これにより、より正確なパッチT2の転写効率が求められて、更に精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0045】
(1)画像形成装置の概要
図9は本実施例2の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。図10の(a)はトナーQ/S検知プロセスを加えた適正転写電圧決定フローチャート、(b)はトナーの電荷量検知方法の説明図である。本実施例2の装置500は、実施例1の装置500(図1)に、更にトナーQ/S検知手段(トナー電荷量検知手段)40を備えたものである。この手段40以外の装置構成は実施例1の装置500と同様であるから再度の説明は省略する。
【0046】
(2)トナーの電荷量検知方法の概要
トナーQ/S検知手段40によるトナーの電荷量検知方法の概要を以下に説明する。図10の(b)にその概略図を示す通り、現像器4内にはトナーTをドラム1へ現像する際の現像電流を検知する現像電流計AMが備えられており、現像電流計AMで検知される現像電流より、現像されたトナーが持つ電荷量が分かる。例えば、ドラム1上の静電潜像を現像してドラム1上にトナー像を形成する現像においては、現像スリーブGSに電源Eにより現像バイアス電圧が印加される。そして現像工程においては、電荷(図では負電荷)を担持するトナーTが現像スリーブGSからドラム1に移動することにより、バイアス電圧印加回路に現像電流が流れる。現像スリーブGSからドラム1へはトナーTの移動によってのみ電流が流れるので、電流計AMにより現像電流を測定して、移動電荷量を計測できる。また、トナーTを現像させるためのドラム1上に形成する静電潜像の大きさを既知の面積Sとしておけば、前記の計測された移動電荷量Qとから、トナー電荷量Q/Sが分かる。本実施例の装置500における現像電流(μA)とトナー電荷量Q/Sの関係は表2に示す通りであった。得られたトナーQ/Sは、本実施例の装置500の制御部60に内蔵される不図示の記憶手段に、常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0047】
【表2】
(3)トナーQ/S検知プロセスを加えた適正転写電圧決定フロー
図10の(a)のフローチャート図に沿って説明する。前述のトナーQ/S検知手段40により検知されたトナーQ/S値(S71)、並び予め制御部60の記憶装置に記憶されている前述の図6の(b)に示す転写効率テーブルを参照(S72)することで、転写に必要な転写電荷密度を決定する(S73)。例えば、トナーQ/S検知手段40により検知されたトナーの電荷量Q/S=0.018μC/cm2である場合、トナーQ/S=0.018μC/cm2の時に転写効率が最良となる条件の転写電荷密度σはσ=0.015μC/cm2となる(S73)。前記の転写電荷密度σと、装置500のプロセス速度や転写ローラ31の長手寸法W31から、転写目標電流値が決定される(S74)。次にドラム1よりトナー像を転写する転写部7における、トナー像を介在させない状態の抵抗値を、ある所定の転写電圧を印加することで検知する(S75)。前記転写目標電流(S74)と前記にて得られた転写部7の抵抗値(S75)とから適正転写電圧(b)が決定される(S76)。
【0048】
本実施例の画像形成装置500における紙分担電圧決定プロセスは実施例1の装置500における図5の(a)のフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、転写効率決定プロセス、およびパッチ検センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは、それぞれ、実施例1の装置500における図7、図8に示したフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0049】
上記をまとめると、制御部60は、次のようにして、センサーSにより読み込んだパッチT2の検知信号を補正して画像制御を行う。即ち、センサー120からの入力情報と手段70からの入力情報と、手段40からの入力情報と、記憶装置20に予め記憶されている、ドラム1からベルト10へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、上記検知信号を補正する。その補正した信号により画像制御を行う。転写効率テーブルは、トナー電荷量と、ドラム1に形成されたトナー像T1を転写材Pに転写する際に転写部7に付与される転写電荷密度とから、ドラム1よりベルト10)へ転写されるパッチT2の転写効率を導くテーブルである。
【0050】
本実施例2の画像形成装置も、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0051】
[実施例3]
(1)画像形成装置の概要
図11は本実施例3の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。本実施例の装置500は、実施例2の装置500(図9)において、ドラム1から転写材Pにトナー像を転写する際の転写バイアスの印加手段として定電流電源15を用いた。また、転写部7の抵抗値を検知するための転写部抵抗検知手段51を備えたものである。上記の電源15と手段51以外の装置構成は実施例2の装置500と同様であるから再度の説明は省略する。
【0052】
(2)転写効率決定方法の概要
転写バイアスの印加手段として定電流電源15を用いた場合の転写効率決定方法について詳細を説明する。装置500の画像形成主走査方向の断面模型図を図12の(a)に、その等価回路を(b)に示す。(a)において、1はドラム、10はベルト、31は転写ローラ、Pは転写材である紙、T1は転写材Pに転写されるトナー像、T2は画像形成主走査方向における紙搬送領域外W10Aに形成されるパッチ、15は転写バイアス印加手段である定電流電源である。WPは転写材Pの画像形成主走査方向における寸法(紙幅)、W31は転写ローラ31の画像形成主走査方向における寸法(長さ寸法)、Rdは転写部7の抵抗値を検知するための検知抵抗、V1は検知抵抗の両端にかかる検知電圧を示す。本実施例において、転写部7の主要構成手段の画像形成主走査方向における寸法は、ベルト10はW10=360mm、ドラム1はW1=350mm、転写ローラ31はW31=340mmであるものを用いた。
【0053】
等価回路である(b)において、Aは定電流電源15を、Rtrは転写材Pとトナー像が無い条件での転写部7の抵抗値を、Rpは転写材Pの抵抗値を示している。また、It(Itotal)は転写部7を流れる総電流値を、I1は転写材Pの領域を流れる転写電流値を、I2はトナーパッチ部の領域を流れる転写電流値を示している。転写部7の抵抗値Rtrは、転写部7に転写材P、並びトナー像Tを介在させない条件において、転写部7にある所定の電流を通電した時に、(a)に示す検知抵抗Rdの両端にかかる電圧V1を検知することで求められる。転写材Pの抵抗値Rpは、紙情報入力手段70から入力された紙坪量情報と、制御部60の記憶手段に記憶されてる紙坪量、紙厚み、絶対水分量、並び紙抵抗値と紙分担電圧の相関性が整理されている紙分担電圧テーブル(図5の(b))を参照することで求められる。
【0054】
(b)の等価回路から、転写材Pを流れる転写電流I1、並びパッチT2部を流れる転写電流値I2は、以下の式1)、式2)により導かれる。
【0055】
I1=It・Rtr/(2Rtr+Rp)× WP/W31 ・・・1)
I2=It・(Rtr+Rp)/(2Rtr+Rp)×(W31−WP)/W31
・・・2)
また、式1)より以下の式3)が導かれる。
【0056】
It=I1・(2Rtr+Rp)/Rtr×W31/WP ・・・3)
図13はベルト10の画像形成主走査方向における転写材搬送領域の外側領域W10Aに形成されるパッチT2の転写効率を決定するためのプロセスを示したフローチャートである。転写効率を決定するフローが開始されると、トナーQ/S検知手段40によりトナーQ/Sが検知される(S61)。前記トナーQ/Sと図6の(b)に示した転写効率テーブルを参照(S62)することにより転写電荷密度が決定される(S63)。前記転写電荷密度と本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手方向寸法W31とから、転写目標電流値Itgtが求められる(S64)。前記転写目標電流値Itgtを前記の式3)のI1に代入することで、転写部7を流れる総電流値It(=転写ローラに通電する電流値)が決定される(S65)。次に、前記転写部7を流れる総電流値Itを式2)のItに代入することで、パッチT2部を流れるパッチ部転写電流値I2が導かれる(S66)。その導かれたパッチT2部を流れる転写電流値I2と、本実施例の装置500のプロセス速度や転写バイアスが印加される転写ローラ31の長手方向寸法W31とから、パッチ部転写電荷密度が求められる(S67)。前記パッチ部転写電荷密度、既に検知されているトナーQ/S値、並び転写効率テーブルを参照(S68)することで、パッチT2の転写効率が決定される(S69)。
【0057】
本実施例3の画像形成装置における、センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは実施例1の図8に示したフローチャートと同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0058】
本実施例3に示す画像形成装置においても、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0059】
[実施例4]
(1)画像形成装置の概要
図14は本実施例4の画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。実施例2の装置500(図9)において、マニュアルの転写材情報認識手段である紙情報入力手段70に代えて、通紙される転写材Pの厚みを自動的に検知して制御部60にフィードバックする転写材情報認識手段である紙の厚み検知手段100を備えたものである。この紙の厚み検知手段100を除くその他の装置構成は、実施例2の装置500と同様であるから再度の説明を省略する。
【0060】
(2)紙の厚み検知方法の概要説明
本実施例の装置500においては、カセット80からローラ対6に至る搬送路82の途中に、給紙された転写材Pの転写材情報認識手段100が配設されている。手段100はベルト10により搬送される転写材Pに関する情報を認識する手段である。本実施例の手段100は、超音波を用いて転写材Pの剛性を検知する転写材剛性検知手段である。図15の(a)は手段100の模式図である。カセット80から一枚分離給紙された転写材Pは搬送路82中を、上流側の搬送ローラ対104・105と下流側の搬送ローラ対106・107により挟持されてローラ対6に向かって矢印Cの方向に搬送されている。その搬送路途中にて、超音波発信素子101と受信素子102を搬送される転写材Pと接触する様に上流側と下流側に配置する。画像形成動作中などに、転写材Pが素子101と素子102の双方に接する位置に搬送されると、素子101より超音波信号103が発信される。信号103としては、ある一定の周波数/出力の信号を発信しており、発信された信号103は転写材Pの剛性特性に応じて信号が変化する。その変化した信号が素子102に受信される。制御部60は、素子101からの発信信号と素子102による受信信号の変化分(減衰率)を計算する。減衰率は、図15の(b)のように、転写材Pの剛性特性値と相関がある。制御部60にはその相関特性データが参照テーブルとして記憶されている。制御部60は、その相関特性データに基づいて、通紙された転写材Pに関して計算される減衰率Y1に対応する剛性特性値X1を導出する。また、この剛性特性値は転写材Pである紙の坪量(厚み)と相関性がある。転写材Pとして紙の米坪量が50g/m2(厚み50μm)紙、64g/m2(厚み65μm)紙、80g/m2(厚み80μm)紙を、本実施例の装置500に通紙して、手段100により剛性特性値を求めたところ表3に示すような結果となった。
【0061】
【表3】
本実施例の画像形成装置における、画像調整用パッチT2の転写効率決定プロセス、並びパッチ検センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスは実施例2と同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0062】
本実施例4に示す画像形成装置においても、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0063】
[実施例5]
(1)画像形成装置例の概要
図16は本実施例における画像形成装置500の概略構成を示す縦断面図である。実施例4の装置500と共通する構成部材・部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施例の装置500はフルカラー電子写真方式画像形成装置であり、第1乃至第4の4つの電子写真画像形成部U(UY・UM・UC・UK)が並設されている。各画像形成部Uは実施例4の装置500の画像形成部と同様にドラム(第1の像担持体)1、一次帯電器2、露光装置3、現像器4、クリーナ5を有する。ドラム1は矢印Rの反時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで回転駆動される。第1の画像形成部UYはドラム1にイエロー色(Y色)のトナー像を形成する。第2の画像形成部UMはドラム1にマゼンタ色(M色)のトナー像を形成する。第3の画像形成部UCはドラム1にシアン色(C色)のトナー像を形成する。第4の画像形成部UKはドラム1にブラック色(Bk色)のトナー像を形成する。静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0064】
第1乃至第4の画像形成部UY・UM・UC・UKの下側には中間転写ベルトユニット70が配設されている。ユニット70は、可撓性を有するエンドレスの中間転写ベルト(第2の像担持体)74と、そのベルト74を張架する複数本の張架ローラとしての、テンションローラ71、駆動ローラ72、二次転写対向ローラ73、の3本のローラを有する。ベルト74はローラ72が駆動されることで矢印Zの時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで循環移動される。ローラ71とローラ72との間の上行側ベルト部分の内側には各画像形成部UY・UM・UC・UKのドラム下面に対応する位置に一次転写ローラ75が配設されている。各ローラ75はベルト74を介してドラム1の下面に圧接している。ベルト74とドラム下面との圧接部が一次転写部である。ベルト74として、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、その体積抵抗率を1E+9〜1E+14[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.1[mm]としたものを用いている。
【0065】
ユニット70の下側には、実施例4の装置500と同様の構成の転写搬送ベルトユニット30が配設されている。帯電器(二次転写ローラ)31は、ベルト(二次転写ベルト)10とベルト74を介して二次転写対向ローラ73に対向している。ベルト74とベルト10との圧接部がベルト74に形成されたトナー像をベルト10に担持されて搬送される転写材Pに転写する転写部(二次転写部)77である。ベルト10として、引っ張り試験法(JIS−K−6301)で測定したヤング率の値が10MPa以下となるような弾性体のものを使用している。ベルト10はローラ32により矢印Bの反時計方向に所定の速度、本実施例では300mm/secで循環移動される。ベルト10として、引っ張り試験法(JIS−K−6301)で測定したヤング率の値が10MPa以下となるような弾性体のものを使用している。ベルト10のヤング率を10MPa以下程度の十分に弾性変形が可能な部材を使用することで、ベルト10の画像形成主走査方向におけるベルト寄り制御手段を簡易、かつ低コストなこう請求項とすることが可能となる。また、十分に弾性変形が可能な部材は、応力緩和現象も起こりやすいため、ベルト10の寿命低下も防ぐことが可能になる。
【0066】
第1乃至第4の各画像形成部UY・UM・UC・UKのドラム1に形成されるY色トナー像、M色トナー像、C色トナー像、Bk色トナー像が一次転写において、循環移動するベルト74の面に順次に重畳されて一次転写される。これにより、第4の画像形成部UKの一次転写部を通過したベルト面には4色フルカラーのトナー像が形成される。そのトナー像が引き続くベルト74の移動で二次転写部77に搬送される。一方、所定の制御タイミングでベルト10により転写材Pが二次転写部77に搬送されて、ベルト74上のトナー像が転写材P上に二次転写される。即ち、ローラ31によってトナーと逆極性の二次転写電流が印加されることによってベルト74上のトナー像が転写材P上へ一括して転写される。ローラ31には、イオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層と芯金からなり、外径が24mm、ローラ表面粗さRz=6.0〜12.0(μm)、抵抗値がN/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加で1E+5〜1E+7Ωの転写ローラを使用している。ローラ31には、供給バイアスが可変となっている、二次転写高圧電源13が取り付けられている。二次転写部77で未定着トナー像が載った転写材Pは引き続きベルト10で搬送されて、ローラ33の位置でベルト10から分離される。その後、定着装置9に運ばれ、トナー像を定着した後、機械の外に排出される。
【0067】
また、ベルト10の転写材搬送領域外のベルト面領域W10Aは画像調整用トナーパターン(トナーパッチ)T2が形成されてセンサーSにより読み込みがなされる。
【0068】
ベルト74、ベルト12の前記回動速度は1例であり、上記条件に限定されるものでは無い。本実施の形態では、張架ローラ33がベルト10から転写材Pの分離部にあたる分離張架ローラとなっている。
【0069】
(2)トナーの電荷量検知方法の概要
本実施例におけるトナーQ/S検知手段40によるトナーの電荷量検知手法は、実施例2で説明した手法と同様な手法を用いた。即ち、各画像形成部UY・UM・UC・UKにおいて、現像器4内には、トナーをドラム1へ現像する際の現像電流を検知するために、実施例2の図10の(b)に示した現像電流計AMが備えられている。そして、現像電流計AMで検知される現像電流より、現像されたトナーが持つ電荷量が分かる。その他のトナーQ/S検知方法については実施例2と同様であるために説明を省略する。本実施例の画像形成装置における現像電流(μA)とトナー電荷量Q/Sの関係は表2に示す通りであった。得られたトナーQ/Sは、本実施例の画像形成装置の制御部60に内蔵される記憶手段(不図示)に、常に読み出しが可能な状態で記憶される。
【0070】
本実施例の画像形成装置における、紙の厚み検知プロセス、画像調整用パッチT2の転写効率決定プロセスは実施例4と同様であるために説明を省略する。また、センサーSによりパッチT2部の濃度を読み込んでパッチ濃度の転写効率補正を行うプロセスも実施例4と同様であるために説明を省略する。また、γLUT補正に関しても、実施例1の画像処理の概要の項にて説明したものと同様であるためにその説明を省略する。
【0071】
本実施例5に示す画像形成装置においても、実施例3の画像形成装置と同様に、センサーSにより検知したベルト10上のパッチT2の濃度に対して、その転写効率の減衰分を補正することが出来るために、精度の良い画像補正、並び画像制御を行うことが出来る。
【0072】
[その他]
1)画像形成装置のトナー像形成方式は実施例の電子写真画像形成プロセスに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成プロセス、像担持体として磁気記録磁性体を用いた磁気記録画像形成プロセスなどの他の画像形成プロセスであってもよい。
【0073】
2)転写材情報認識手段100は、実施例の転写材剛性検知手段に限られない。転写材を挟持搬送するローラ対の転写材の厚みに対応した離間量から転写材の厚みを検知する転写材厚み検知手段であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
T1・・トナー像、1、74・・像担持体、P・・転写材、7,77・・転写部、10・・転写搬送部材、500・・画像形成装置、T2・・画像調整用のトナーパターン、W10A・・転写材搬送領域外、S・・濃度検知手段、60・・制御部、120・・環境検知センサー、70,100・・転写材情報認識手段、20・・記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体と、転写材を担持して前記像担持体から前記転写材に前記トナー像を転写する転写部に搬送する転写搬送部材と、を有する画像形成装置であって、前記トナー像の形成と並行して画像調整用のトナーパターンを前記像担持体の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して前記転写部において前記転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に転写し、その転写されたトナーパターンの濃度を濃度検知手段により読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う制御部を有する前記画像形成装置において、
前記画像形成装置の内部の温度と相対湿度を検知する環境検知センサーと、通紙される転写材の情報を認識する転写材情報認識手段を有し、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーの電荷量を検知するトナー電荷量検知手段を備えており、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、前記トナー電荷量検知手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写効率テーブルは、トナー電荷量と、前記像担持体に形成された前記トナー像を前記転写材に転写する際に前記転写部に付与される転写電荷密度とから、前記像担持体より前記転写搬送部材へ転写される前記トナーパターンの転写効率を導くテーブルであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写材情報認識手段は、転写材の搬送路に設けられた転写材の厚みを検知する厚み検知手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像が形成される像担持体と、転写材を担持して前記像担持体から前記転写材に前記トナー像を転写する転写部に搬送する転写搬送部材と、を有する画像形成装置であって、前記トナー像の形成と並行して画像調整用のトナーパターンを前記像担持体の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に形成して前記転写部において前記転写搬送部材の画像形成主走査方向における転写材搬送領域外に転写し、その転写されたトナーパターンの濃度を濃度検知手段により読み込みその検知信号に基づいて画像調整制御を行う制御部を有する前記画像形成装置において、
前記画像形成装置の内部の温度と相対湿度を検知する環境検知センサーと、通紙される転写材の情報を認識する転写材情報認識手段を有し、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーの電荷量を検知するトナー電荷量検知手段を備えており、前記制御部は、前記環境検知センサーからの入力情報と前記転写材情報認識手段からの入力情報と、前記トナー電荷量検知手段からの入力情報と、記憶手段に予め記憶されている、前記像担持体から前記転写搬送部材へのトナー像の転写効率特性が整理された転写効率テーブルと、に基づいて、前記濃度検知手段により読み込んだ前記トナーパターンの検知信号を補正して画像制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写効率テーブルは、トナー電荷量と、前記像担持体に形成された前記トナー像を前記転写材に転写する際に前記転写部に付与される転写電荷密度とから、前記像担持体より前記転写搬送部材へ転写される前記トナーパターンの転写効率を導くテーブルであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写材情報認識手段は、転写材の搬送路に設けられた転写材の厚みを検知する厚み検知手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−14093(P2012−14093A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152802(P2010−152802)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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