説明

画像形成装置

【課題】現像剤を構成するトナー及び磁性キャリアを回収して収容する容器と、その容器に収容されたトナー及び磁性キャリアの透磁率を測定して容器におけるトナー及び磁性キャリアの収容量が設定量以上になったことを検出する収容検出器を採用する場合、被記録媒体に転写しないトナー像を感光体に形成するトナー放出動作が行われ、その転写しないトナー像が感光体の清掃装置で除去された後に容器に収容されることで、そのトナー放出動作を行わない場合に比べて容器内のトナーの割合が磁性キャリアの割合よりも増加することがあっても、その収容検出器による検出を確実に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】被記録媒体に転写しないトナー像を感光体に形成するトナー放出動作を実行する制御手段は、トナー放出動作を実行するときに、現像装置にある現像剤の磁性キャリアの一部を感光体に付着させるキャリア放出動作を実行する機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像剤で構成される画像を形成する複写機、プリンタ等の画像形成装置としては、例えば、磁性を有する現像剤により現像して画像を形成する作像装置と、その作像装置で不要となる現像剤を回収容器に回収するとともに、その回収容器内に回収されて蓄積される現像剤の蓄積量が所定のレベルに達したことを磁気センサにより検知する現像剤回収システムを備えたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、磁性を有する現像剤として、非磁性トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤や、磁性一成分現像剤(トナー)が例示されている。また、作像装置で不要となって現像剤回収システムで回収される現像剤として、作像装置で現像に供されず劣化して不要となる劣化現像剤や、作像装置で使用後に残留して清掃除去されて不要となる残留トナーが例示されている。
【0004】
また、像転写後の像担持体に残留した磁性体を含有してなる現像剤を除去するクリーニング装置として、像担持体から現像剤を除去するための除去部材と、その除去した現像剤を回収するための回収容器と、その回収容器の上部に配した磁石により回収容器内の現像剤を吸着して検出部材を動作させ、回収容器内の現像剤量を検出するための検出手段とを有するクリーニング装置を採用した画像形成装置が知られている(特許文献2)。
【0005】
特許文献2には、検出手段として、フォトインタラプタ、マイクロスイッチ、圧電素子等が例示されている。また、この画像形成装置によれば、簡単な構成によって、回収容器内に現像剤が満杯になったことを検出すること(満杯検出)を確実にできることが示されている。
【0006】
近年、このような画像形成装置のなかには、記録用紙等の被記録媒体に転写しない現像剤(トナー)像を感光体に形成し、現像装置内にある現像剤(トナー)をある一定の量をまとめて放出する動作を行うものがある。このトナー放出動作は、例えば、画像の品質の低下を招く要因を特殊トナー像の形成を伴うトナー放出動作を実行することにより排除して、その画像の品質を回復(維持)させるために行うことが多い。
【0007】
具体的には、例えば、現像装置に収容されている現像剤のなかで現像工程に供されず現像装置内に滞留して特性が劣化する現像剤が存在し、この特性が劣化した現像剤の存在により良好な現像がなされずひいては画像品質の低下を招くことがある。このため、その特性の劣化した現像剤を含む現像剤の一部を現像装置の外に放出するように特殊なトナー像を感光体に形成し、その放出した現像剤に代えて新しい現像剤を補給して現像剤の一部の入れ替えを行っている。このときの現像剤の劣化とは、例えば、帯電調整剤等の外添剤がトナー粒子から脱離することや、トナー粒子内に埋没してトナーに要求される特性が低下してしまうことなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−209286号公報
【特許文献2】特開平7−295452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、現像剤を構成するトナー及び磁性キャリアを回収して収容する容器と、その容器に収容されたトナー及び磁性キャリアの透磁率を測定して容器におけるトナー及び磁性キャリアの収容量が設定量以上になったことを検出する収容検出器を採用する場合、被記録媒体に転写しないトナー像を感光体に形成するトナー放出動作が行われ、その転写しないトナー像が感光体の清掃装置で除去された後に容器まで搬送されて容器に収容されることで、そのトナー放出動作を行わない場合に比べて容器内のトナーの割合が磁性キャリアの割合よりも増加することがあっても、その収容検出器による検出を確実に行うことができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(A1)の画像形成装置は、
感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記感光体の帯電された表面に光を照射して潜像を形成する露光装置と、
前記感光体に形成された潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤により現像してトナー像を形成し、かつ、前記現像剤を構成するトナー及び磁性キャリアが補給されるとともに前記現像剤の一部が排出される現像装置と、
前記感光体に形成されたトナー像を最終的に被記録媒体に転写する転写装置と、
前記感光体の転写後の表面に残留する少なくともトナーを除去する清掃装置と、
前記現像装置から排出された現像剤と前記清掃装置で除去された少なくともトナーを収容する容器と、
前記現像装置及び清掃装置と前記容器の間を接続してトナー及び磁性キャリアを前記容器まで搬送する回収搬送装置と、
前記容器に収容されたトナー及び磁性キャリアの透磁率を測定して前記容器におけるトナー及び磁性キャリアの収容量が設定量以上になったことを検出する収容検出器と、
前記被記録媒体に転写しないトナー像を前記感光体に形成するトナー放出動作を実行する制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記トナー放出動作を実行するときに、前記現像装置にある現像剤の磁性キャリアの一部を前記感光体に付着させるキャリア放出動作を実行する機能を備えているものである。
【0011】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記制御手段が、前記キャリア放出動作を実行する場合、前記トナー放出動作において前記転写しないトナー像を形成するときの作像条件の一部を、前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件に変更するものである。
【0012】
この発明(A3)の画像形成装置は、上記発明A2の画像形成装置において、前記制御手段が、前記作像条件の一部の変更として、前記露光装置により形成する潜像の前記感光体における潜像電位と前記現像装置に供給する現像バイアスのバイアス電位との差を前記作像条件における当該差よりも大きくすること、又は前記帯電装置により帯電される前記感光体の帯電電位と前記バイアス電位との差を前記作像条件における当該差よりも大きくすることを行うものである。
【0013】
この発明(A4)の画像形成装置は、上記発明A2又はA3の画像形成装置において、画像形成装置の内部の温度および湿度を検出する温湿検出器を有し、前記制御手段が、前記温湿検出器から得られる検出情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整するものである。
【0014】
この発明(A5)の画像形成装置は、上記発明A2からA4のいずれかの画像形成装置において、前記現像装置に収容されている現像剤のトナー濃度を検出する濃度検出器を有し、前記制御手段が、前記濃度検出器から得られる検出情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整するものである。
【0015】
この発明(A6)の画像形成装置は、上記発明A2からA5のいずれかの画像形成装置において、前記トナー放出動作において形成する前記転写しないトナー像の画素数を積算する積算手段を有し、前記制御手段が、前記積算手段から得られる積算情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整するものである。
【0016】
この発明(A7)の画像形成装置は、上記発明A6の画像形成装置において、前記制御手段が、前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件の調整として、前記トナー放出動作の1回の実行のなかで、前記キャリア放出動作を実行する時期とそれを実行しない時期を混在させる条件を採用するものである。
【0017】
この発明(A8)の画像形成装置は、上記発明A1からA7のいずれかの画像形成装置において、前記感光体、帯電装置、露光装置、現像装置及び清掃装置で構成される作像装置を複数有し、前記制御手段が、前記トナー放出動作と前記キャリア放出動作を、前記複数の作像装置毎に個別に実行するよう構成されているものである。
【発明の効果】
【0018】
上記発明A1からA4の画像形成装置によれば、その各発明の構成を有しない場合に比べると、現像剤を構成するトナー及び磁性キャリアを回収して収容する容器と、その容器に収容されたトナー及び磁性キャリアの透磁率を測定して容器におけるトナー及び磁性キャリアの収容量が設定量以上になったことを検出する収容検出器を採用する場合、被記録媒体に転写しないトナー像を感光体に形成するトナー放出動作が行われ、その転写しないトナー像が感光体の清掃装置で除去された後に容器まで搬送されて容器に収容されることで、そのトナー放出動作を行わない場合に比べて容器内のトナーの割合が磁性キャリアの割合よりも増加することがあっても、その収容検出器による検出を確実に行うことができる。
【0019】
上記発明A5の画像形成装置では、その構成を有しない場合に比べて、現像装置に収容されている現像剤のトナー濃度が変動することに起因する容器内に収容されるトナーと磁性キャリアとの比率のばらつきを低減することができる。
【0020】
上記発明A6の画像形成装置では、その構成を有しない場合に比べて、トナー放出動作に伴い収容されるトナーの量に起因する容器内に収容されるトナーと磁性キャリアとの比率のばらつきを低減することができる。
【0021】
上記発明A7の画像形成装置では、その構成を有しない場合に比べて、トナー放出動作に伴い収容されるトナーが容器に収容される際に、そのトナー放出動作で形成される転写しないトナー像に対応したトナーが収容され始めてから収容し終わるまでの間において容器に対し、そのトナー放出動作に伴うトナーに加えて磁性キャリアを供給(収容)することができる。
【0022】
上記発明A8の画像形成装置では、その構成を有しない場合に比べて、複数の作像装置における実態の違いに応じて、各作像装置でのキャリア放出動作の実行による各感光体への磁性キャリアの付着量がそれぞれ適切に調整され、ひいては前記した収容検出器による検出をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置における一部(作像装置及び現像剤補給システム)を概念的に示す説明図である。
【図3】図1の画像形成装置に装備されるトナー及びキャリア等の回収システムの構成を示す一部断面説明図である。
【図4】図3の回収システムにおける搬送装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図3の回収システムで使用される容器と収容検出センサの構成を示す説明図である。
【図6】図3の容器の外形とその収容量の状態を示す説明図である。
【図7】容器内のトナー濃度に対する収容検出センサの出力との関係を測定した結果示すグラフ図である。
【図8】画像形成装置における主な制御に関する構成を示す説明図である。
【図9】トナー放出動作及びキャリア放出動作などの流れを示すフローチャートである。
【図10】特殊トナー像又は磁性キャリアを含む特殊トナー像の形成条件等を示す説明図である。
【図11】特殊トナー像の作像条件及び磁性キャリアを含む特殊トナー像の形成時における作像条件を示す説明図である。
【図12】温度及び湿度が異なる場合における現像装置内のトナー濃度の変動に対するキャリア付着が可能な電位差(Vdeve)の値を測定した結果を示すグラフ図である。
【図13】1回のトナー放出動作を実行するなかで、キャリア放出動作を実行する時期とそれを実行しない時期を混在させた場合の構成例を説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る画像形成装置1の概要を示し、図2はその画像形成装置1における一部(作像装置及び現像剤補給システム)を示し、図3はその画像形成装置1における他の一部(回収システム)を示している。
【0025】
この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、筐体10の内部空間に、公知の電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を利用して入力画像の情報に基づいて現像剤を構成するトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を保持して最終的に被記録材の一例としての記録用紙9に転写する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙9を収容して搬送する給紙装置40と、中間転写装置30でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置45、作像装置20及び中間転写装置30における不要な現像剤を回収する回収システム100、制御装置7等が設置されている。
【0026】
筐体10は、支持部材、外装カバー等で支持構造部や外装部が形成されている。図中の一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が主に搬送される搬送経路を示す。
【0027】
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像と特別色SA,SBの特別色トナー像をそれぞれ専用に形成することができる6つの作像装置20Y,20M,20C,20K,20SA,20SBで構成されている。6つの作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
【0028】
各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)は、図1や図2に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の表面(帯電と潜像の形成を行うことができる像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された表面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K,SA,SB)の現像剤のトナーで現像して可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)と、そのトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後の感光ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を除去するドラム清掃装置26とである。
【0029】
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置(図8:回転駆動部16A)から動力を受けて矢印で示す方向に回転する。帯電装置22は、感光ドラム21の表面に接触した状態で配置されるとともに帯電バイアスが供給される帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置である。帯電バイアスとしては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が帯電用電源部16Bから(図8)供給される。
【0030】
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置22としては、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用しているが、その他にも、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用してもよい。
【0031】
この露光装置23には、画像形成装置1に入力されるプリント対象となる画像の情報について画像処理装置27で必要な画像処理が施され、その処理後に得られる各色成分の画像信号が露光駆動部16C(図8)に送信されるようになっている。画像形成装置1には、画像読取装置や、パーソナルコンピュータ等の情報端末や、記憶媒体の読み書き装置等の図示しない画像情報機器が接続通信部12を介して接続可能となっており、その画像情報機器から画像の情報が入力される。
【0032】
現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、図2等に示すように、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する現像剤収容器24aを有し、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤を回転しながら保持して感光ドラム21と近接して対向する現像領域に搬送する現像ロール24bや、その収容されている現像剤を回転して攪拌しながら現像ロール24bに搬送する攪拌搬送部材24cや、現像ロール24bに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材24dを有している。
【0033】
この現像装置24はいずれも、その現像ロール24bに現像用電源部16D(図8)から現像バイアスが供給されるとともに、その現像ロール24b及び攪拌搬送部材24cが回転駆動装置28(回転駆動部16A)からの動力を受けて所要の方向に回転させられる。各現像装置24における現像剤のトナーは、現像剤収容器24a内において攪拌搬送部材24cにより攪拌されながら搬送されることでキャリアと擦れ合い、これにより所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)に摩擦帯電される。また、特別色SA,SBの現像剤におけるトナーは、例えば、上記4色では表現が困難又は不可能であった色材等で構成される。具体的には、上記4色以外の色のトナー、点字用の発泡性トナー、蛍光色トナー、光沢を向上させるトナー等である。
【0034】
また、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、図2に示すように、現像剤の補給システム5により、各現像剤が補給されるようになっている。補給システム5は、4色(Y,M,C,K)及び特別色(SA,SB)の補給現像剤(磁性キャリアを含む非磁性トナー)をそれぞれ収納する着脱交換式の現像剤カートリッジ50(Y,M,C,K,SA,SB)と、各現像剤カートリッジ50の補給現像剤を各現像装置24にそれぞれ必要な量だけ搬送する補給装置60(Y,M,C,K,SA,SB)とで構成されている。
【0035】
補給装置60はいずれも、各現像剤カートリッジ50の排出口から排出される補給現像剤を受け入れて一時的に貯留するとともに、その貯留されている補給現像剤を各現像装置24にむけてそれぞれ送り出すものである。各補給装置60から送り出される補給現像剤は、接続搬送装置65を通して各現像装置24に搬送される。
【0036】
図2等における符号55は、現像剤カートリッジ50内の補給現像剤を排出口にむけて搬送する搬送部材52を回転駆動させる駆動装置である。符号65は、補給装置60内に貯留されている補給現像剤の一部を送出口にむけて送り出す送出部材62等を回転駆動させる駆動装置であり、符号63は、補給装置27内に貯留されている補給現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材である。また、符号57は、補給装置60内に貯留されている補給現像剤の設定値以上の有無を検出する残量検出センサであり、符号29は、現像装置24内に収容されている現像剤のトナー濃度(現像剤中におけるトナーの重量割合)を検出する濃度検出センサである。
【0037】
さらに、現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)は、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤のキャリアの劣化に対処するため現像剤の一部(磁性キャリアとそれに付着する非磁性トナー)を現像装置24の外部に排出させるようになっている。いわゆるトリクル現像方式を採用している。この現像剤の一部の排出は、現像剤収容器24aの一端部に攪拌搬送部材24cで搬送される現像剤の一部が乗り越えて排出される排出口を通して行われる。各現像装置24から排出される現像剤は、後述する回収システム100によって回収される。
【0038】
一次転写装置25は、感光ドラム21の表面に接触して回転するとともに一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が転写用電源部16E(図8)から印加される。この一次転写装置25は、中間転写装置30を構成するものとして扱ってもよい。ドラム清掃装置26は、一次転写位置を通過した後の感光ドラム21の表面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード26aと、弾性ブレード26aで除去したトナー等の付着物を回収して後述する回収システム100に対して送り出すように駆動する送出部材26b等で構成されている。
【0039】
中間転写装置30は、図1等に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール35と、二次転写ロール35を通過した後に中間転写ベルト31に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を除去するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
【0040】
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして構成されている。支持ロール32e(又は二次転写ロール35)には、二次転写バイアスが転写用電源部16E(図8)から供給される。二次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。ベルト清掃装置36は、二次転写位置を通過した後の中間転写ベルト31の表面に接触して残留トナー等の付着物を除去する弾性ブレード36aと、弾性ブレード36aで除去したトナー等の付着物を回収して後述する回収システム100に対して送り出すように駆動する送出部材36b等で構成されている。
【0041】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置4は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。給紙装置40から送りされる記録用紙9は、複数の用紙搬送ロール対43a,43b,43c,…や搬送ガイド材で構成される搬送路を経由して中間転写装置30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写ロール35の間)に搬送される。
【0042】
定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。この定着装置45でトナー像の定着が終了して画像が形成された記録用紙9は、複数の搬送ロール対や搬送ガイド材で構成される排出搬送路を通して筐体10等に設置される排出部に搬送されて収容される。
【0043】
この画像形成装置1による基本的な画像形成動作は、以下に説明するように行われる。ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターン(フルカラーモード)を説明する。
【0044】
前記した画像情報機器などから画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印で示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の表面に対し、画像処理装置27から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。次いで、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを供給して静電的に付着させる。
【0045】
このときの現像工程について詳述すると、各現像装置24では、現像ロール24b及び攪拌搬送部材24dが回転駆動し、その現像剤収容部24a内に収容されている現像剤Gが攪拌搬送部材24dで攪拌されながら現像ロール24bに至るまで搬送される。この攪拌して搬送された現像剤Gは、回転する現像ロール24bに付着し、層厚規制部材24eで所要の厚さに規制された後に、感光ドラム21と対向する現像領域に搬送される。そして、この現像領域に搬送された現像剤G(実施の形態1ではトナー成分)は、現像ロール24bと感光ドラム21の間に供給される現像バイアスで形成される現像電界により感光ドラム21に供給されて、静電潜像部分に付着する。一方、この現像に供されなかった現像剤Gの多くは、回転する現像ロール24bによって現像剤収容部24aに戻される。このようにして各感光ドラム21で形成された各色成分の静電潜像は、現像装置24を通過することにより、その対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0046】
次いで、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25により、中間転写装置30の中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、二次転写ロール34が給紙装置40から搬送されて送り込まれる用紙9に一括して二次転写させる。トナー像が二次転写された用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置45に導入されて必要な定着処理(加熱及び加圧)を受け、そのトナー像が定着される。定着が終了した後の用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、例えば筐体10に形成される図示しない排出収容部に排出されて収容される。
【0047】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された用紙9が出力される。
【0048】
また、この画像形成装置1は、前記特別色SA,SBのトナー像を形成する場合、その作像装置20SA,20SBにおいて前述した作像装置20(Y,M,C,K)と同様の動作が行われることにより各感光ドラム21に特別色SA,SBのトナー像が形成される。また、この作像装置20SA,20SBで形成された特別色SA,SBのトナー像は、中間転写装置30により最終的に記録用紙9に(例えば、他の色のトナー像と併せて)転写される。記録用紙9に転写された特別色SA,SBのトナー像は、定着装置45で定着される。
【0049】
さらに、この画像形成装置1による画像形成動作では、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における各感光ドラム21の一次転写後の表面がドラム清掃装置26によって清掃され、中間転写装置30の中間転写ベルト31がベルト清掃装置36によって清掃される。また、各作像装置20における各現像装置24(Y,M,C,K,SA,SB)では、前記したトリックル現像方式により現像剤の一部が外部に排出される。このとき、ドラム清掃装置26では一次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去され、ベルト清掃装置36では二次転写されなかった未転写のトナーが最も多く除去される。また、各現像装置24では、キャリアとそのキャリアに付着するトナーとが排出される。そして、このドラム清掃装置26及びベルト清掃装置36で除去されたトナー等と各現像装置24から排出されるキャリア及びトナーは、後述するように回収システム100に回収される。
【0050】
次に、回収システム100について説明する。
【0051】
回収システム100は、図3等に示すように、主としてトナー及びキャリアを搬送する回収搬送装置101と、回収搬送装置101で搬送されたトナー及びキャリアを収容する2つの回収容器200A,200Bとで構成されている。
【0052】
回収搬送装置101は、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の現像装置24及びドラム清掃装置26からそれぞれ送出されるトナー及びキャリアを1つにまとめて搬送する第1搬送装置110と、中間転写装置30のベルト清掃装置36から送出されるトナーを搬送する第2搬送装置120と、第1搬送装置110及び第2搬送装置120から搬送されたトナー及びキャリアを搬送する第3搬送装置130と、第3搬送装置130から搬送されたトナー及びキャリアを搬送する第4搬送装置140と、第4搬送装置140で搬送されたトナー及びキャリアを回収容器200A,200Bのいずれかに切り替えて搬送する第5搬送装置150を備えている。
【0053】
第1搬送装置110は、筐体10の後方の部位において各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)の下方になる位置にほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材112と、管状部材112の内部空間で回転してトナー及びキャリアをその搬送方向の下流側に搬送する搬送部材113と、搬送部材113に回転動力を伝える第1駆動装置114とで構成されている。搬送方向は、図3等において矢印で示す方向である。また、第1搬送装置100における搬送方向の下流側は、実施の形態1では黒色の作像装置20Kが配置される側となる。
【0054】
この第1搬送装置110の管状部材112には、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における現像装置24の排出口及びドラム清掃装置26の送出口との間をそれぞれ接続してトナー及びキャリアを搬送する接続搬送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)が接続されている。接続搬送装置115はいずれも、各作像装置20(Y,M,C,K,SA,SB)における現像装置24の排出口及びドラム清掃装置26の送出口と第1搬送装置110の管状部材112とを接続するようにほぼ上下の方向(鉛直方向)にそって配置される管状部材116と、管状部材116の内部空間において上下の方向に進退して内壁に付着するトナー等を取り崩す崩し部材117と、崩し部材117を進退運動させるための動力を伝える駆動装置118とで構成されている。実施の形態1では崩す崩し部材117として、回転軸がなく線材を螺旋状に巻いたコイルスプリングを使用している。
【0055】
第2搬送装置120は、筐体10の後方の部位において中間転写装置30のベルト清掃装置36の下方になる位置にほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材122と、管状部材122の内部空間で回転してトナーをその搬送方向下流側に搬送する図示しない搬送部材と、搬送部材に回転動力を伝える第2駆動装置124とで構成されている。第2搬送装置120における搬送方向下流側は、実施の形態1では黒色の作像装置20Kが配置されて第1搬送装置110の管状部材112の下流端側となる。
【0056】
この第2搬送装置120の管状部材122には、ベルト清掃装置36の送出口との間を接続してトナーを搬送する接続搬送装置125が接続されている。接続搬送装置125は、ベルト清掃装置36の送出口と管状部材122とを接続するようにほぼ上下の方向にそって配置される管状部材で少なくとも構成されている。なお、第2搬送装置120は、第3搬送装置130がベルト清掃装置36から作像装置20側とは反対側の位置に離れた位置に配置される場合には、その設置を省略することができる。この場合は、例えば、接続搬送装置125を第1搬送装置110の管状部材112に接続した構成にすればよい。
【0057】
第3搬送装置130は、第1搬送装置110の管状部材112と第2搬送装置120の管状部材122の接合部から下方側にある第4搬送装置140にむけてほぼ上下の方向にそって配置される管状部材132と、管状部材132の内部空間において上下の方向に進退して内壁に付着するトナー等を取り崩す崩し部材(実施の形態1ではコイルスプリング)133と、崩し部材133を進退運動させるための動力を伝える第3駆動装置134とで構成されている。
【0058】
第4搬送装置140は、図3や図4に示すように、第3搬送装置130の管状部材132の下端部と交差する状態になり、全体がほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材142と、管状部材142の内部空間で回転してトナー及びキャリアを搬送方向下流側にむけて搬送する搬送部材143と、搬送部材143に回転動力を伝える第4駆動装置144とで構成されている。実施の形態1における第4搬送装置140の搬送方向下流側は、容器200A,200Bが配置される側となる。また、搬送部材143としては、回転軸に螺旋状に巻きつく形態の搬送羽根を形成したスクリューオーガーを使用している。
【0059】
第5搬送装置150は、図3や図4に示すように、第4搬送装置140の管状部材142の下流側端部の下部に配置されて接続され、全体がほぼ水平の状態になるよう配置される管状部材152と、管状部材152の内部空間で回転してトナー及びキャリアを両方向にむけて搬送することができる搬送部材153と、搬送部材153に正方向及び逆方向の回転動力を伝える第5駆動装置154とで構成されている。管状部材152は、接続管部155を介して第4搬送装置140の管状部材142の下流側端部と接続されている一方で、接続管部155の両側の位置に存在し且つ下方に突出した状態で配置される排出部156,157を介して容器200A,200Bの受入部210A,210Bにそれぞれ接続される構造になっている。
【0060】
この第5搬送装置150は、搬送切り替え装置の機能を備えている。すなわち、図4に示すように、第5駆動装置154で発生させる回転動力の回転方向について制御することにより、搬送部材153を正転方向C1に回転させた場合には、搬送部材153が第4搬送装置140から搬送されたトナー及びキャリアを、第1容器200Aと接続される第1排出部156にむけて搬送することになる。一方、搬送部材153を逆転方向C2に回転させた場合には、搬送部材153が第4搬送装置140から搬送されたトナー及びキャリアを、第2容器200Bと接続される第2排出部157にむけて搬送することになる。
【0061】
容器200A,200Bはいずれも、図3、図5、図6等に示すように、外観がほぼ長方体の形状からなる容器であり、その上面部201にトナー及びキャリア等を受け入れる受け口210A,210Bが形成され、その1つの側面部202に取っ手部220A,220Bが形成されている。また、この容器200A,200Bは、筐体10の下部に形成された容器装着部に着脱自在に装着されて交換できるようになっている。その装着に当たっては、容器200A,200Bを容器装着部に設けられた設置枠105に嵌め入れることで、受け口210A,210Bが回収システム100の第5搬送装置150における接続管部155,156の下方に存在して接続された状態に保たれる。
【0062】
また、筐体10の容器装着部には、容器200A,200Bが装着されたときに、容器200A,200Bの各取っ手部220が形成された側面部202とは反対側の側面部203と対峙する部位に、容器200A,200B内に収容される磁性キャリアの透磁率を測定して収容される非磁性トナーT及び磁性キャリアCの収容量が設定した量以上になったことを検出する収容検出センサ106A,106Bがそれぞれ設けられている。
【0063】
収容検出センサ106は、その検出面部106aが容器200A,200Bの側面部203に接近又は接触した状態になるよう設置されており、その状態において容器200内の磁性キャリアの透磁率を検出するようになっている。また、収容検出センサ106は、収容量が設定量Yに至ると、その出力が閾値以上の高い値となり、その出力が得られたときに収容量が設定した量Y以上になったことを検出したものとなる。設定した量Yに相当する収容量は、例えば、図6に示すように満杯になると想定される収容量(一点鎖線X)よりも少し少ない量(一点鎖線Y:満杯に近い量であって満杯の検出を開始する目安の量)である。図6中の左側に容器200A(200B)を示し、その右側に容器200の容量(最大の収容量)CPを示す。
【0064】
回収システム100では、容器200A,200Bが収容されるトナー及びキャリアで満杯の状態になることについて、容量検出センサ106の出力が設定量Y以上であることを示す値になった後における画像形成枚数(プリント枚数)の累積値が予め設定する閾値枚数を超えたときを検出することで判定している。
【0065】
この回収システム100は、以下のように作動する。
【0066】
回収システム100は、作像装置20及び中間転写装置30等が作動してトナー像の形成がなされる時期に併せて作動する。つまり、回収システム100では、回収搬送装置101である前記第1〜第5の搬送装置110,120,130,140,150及び接続搬送部115における各搬送部材が各駆動装置の始動によりそれぞれ駆動する。
【0067】
これにより、各作像装置20における現像装置24からトリクル現像方式により排出される廃棄トナーT1及びキャリアC1とそのドラム清掃装置26で除去されて送り出される除去トナーT2が、各接続搬送装置115(Y,M,C,K,SA,SB)により落下する状態で搬送されて第1搬送装置110の管状部材112に集められた後、回転駆動する搬送部材113により矢印で示す搬送方向に搬送される。また、中間転写装置30におけるベルト清掃装置36で除去されて送り出される除去トナーT3が接続搬送部125により落下するように搬送されて第2搬送装置120により矢印で示す搬送方向に搬送される。
【0068】
続いて、第1搬送装置110及び第2搬送装置120によりそれぞれ搬送されたトナーT1〜T3及びキャリアC1は、第3搬送装置130により落下する状態で搬送された後、第4搬送装置140により第5搬送装置にむけて矢印で示す搬送方向に搬送される。第5搬送装置150まで搬送されたトナーT1〜T3及びキャリアC1は、第5搬送装置150において搬送部材153の回転方向の切り替えによってその搬送される方向も切り替えられ、その各搬送により排出部156又は排出部157のいずれか一方に達するよう搬送され、最後に排出部156又は排出部157から落下して第1容器200A又は第2容器200Bの収容空間内に収容される。
【0069】
また、回収システム100では、第1容器200A及び第2容器200Bに収容されるトナーT1〜T3及びキャリアC1の収容量について収容検出センサ106A及び106Bにより磁性キャリアC1の透磁率が測定されて検出が行われる。また、前述したように容量検出センサ106A,Bのいずれかの出力が設定値以上になった後における画像形成枚数(プリント枚数)の積算値が閾値枚数を超えたときに、容器200A、Bのいずれかが満杯になったと判定され、例えば利用者に満杯になった容器200の交換を促すための報知が行われる。
【0070】
また、画像形成装置1では、各作像装置20において記録用紙9に転写しないトナー像(以下、このトナー像を「特殊トナー像」と略称する)STを感光ドラム21に形成するトナー放出動作をそれぞれ実行するよう構成されている。
【0071】
トナー放出動作としては、例えば、作像装置20における現像装置24に収容されている現像剤のトナーの劣化に対処するため、記録用紙9に形成する画像を構成するトナー像とは異なる特殊なトナー像を現像により形成することで現像装置20の外部に放出させる動作がある。
【0072】
このトナー放出動作は、以下の理由で行われる。すなわち、まず現像装置24では、画像濃度が比較的低濃度の(画像面積率が小さい)画像の形成(現像)が連続して行われると、現像に使用されず現像ロール24bにより現像装置24の現像剤収容部24aに再び戻されて攪拌搬送部材24cによる攪拌作用や層規制部材24dによる摺擦作用などのストレスを受ける機会が増えるので、トナーの特性が劣化(帯電調整剤等の外添剤の脱落やトナー粒子内への埋没による帯電特性の劣化など)しやすくなり、このトナーの劣化に起因した現像不良、ひいては画質の低下を誘発することがある。このような劣化したトナーの量を減らすため、現像装置24内にあるトナーの一部について、現像装置24の外部に意図的に排出し、これにより、現像装置24におけるトナー濃度が低下することで補給システム5により現像剤カートリッジ50から新しい現像剤(トナー)を現像装置24に補給して入れ替える(リフレッシュさせる)ようにしている。
【0073】
トナー放出動作は、各作像装置20において特殊トナー像STとして画像濃度が高いトナー像を感光ドラム21に形成して現像装置24からトナーの一部を排出させ、その特殊トナー像STを中間転写ベルト31に転写させず、ドラム清掃装置26により除去するものである。このとき一次転写装置25には、転写用電源部16Eから一次転写バイアスを供給しないか、またはトナーが中間転写ベルト31に転写されにくい条件のバイアスを供給して特殊トナー像STの中間転写ベルト31への転写を防止している。なお、このトナー放出動作では、特殊トナー像STの一部又は全部を中間転写ベルト31に一次転写させ、それをベルト清掃装置36で除去するように対応することも可能である。この場合は、二次転写位置においては、転写用電源部16Eから二次転写バイアスを供給しないか、またはトナーが二次転写ロール35に転写されにくい条件のバイアスを供給する。
【0074】
また、このトナー放出動作を実行する時期は、例えば、予め設定する低濃度の画像形成(現像)が設定枚数だけ連続して行われた後の時期である。また、トナー放出動作は、画像形成動作とは異なる特別な動作モードを設定して実行されるか、あるいは、画像形成動作のなかに組み込んで実行される。画像形成動作のなかに組み込んで実行する場合は、感光ドラム21の画像形成有効領域のうち画像(トナー像)が形成されない領域に特殊トナー像STを形成する。画像が形成されない領域とは、例えば、図10に示すように、感光ドラム21の画像形成有効領域において、記録用紙9の片面に形成することになる画像Iaの形成領域E1と画像Ibの形成領域E2との間に存在する非画像形成領域Sである。
【0075】
一方、このトナー放出動作が実行された場合は、その特殊トナー像STを構成する比較的多めのトナーT4がドラム清掃装置26等で除去されて回収システム100により容器200(A,B)に収容されることになる。この結果、特殊トナー像STを構成するトナーT4が回収システム100で回収される時期は、容器200(A,B)に収容されるトナーT1〜T4及びC1におけるトナーTの割合が磁性キャリアCの割合に比べて急増することになる。
【0076】
この場合、回収システム100の収容検出センサ106(A,B)が検出すべき検出領域に相当する容器200(A,B)の部位に対して、特殊トナー像STを構成するトナーT4が収容されて蓄積すると、トナーTの割合が磁性キャリアCの割合に比べて急増することで磁性キャリアCの割合が減るため、収容検出センサ106(A,B)が磁性キャリアCの透磁率を十分に測定することができず、収容量が設定量Y(図6)に達しているにもかかわらず、それを検出できないことが発生することがある。図7は、トナー濃度に対する収容検出センサ106の出力の変動状態を測定した結果を示すものである。図7では、収容検出センサ106の出力が限界値付近やその限界値を下回る値になると、設定量Yに達したことを正常に検出できなくなることを示している。
【0077】
この収容検出センサ106(A,B)の誤検出(検出不能)が発生すると、容器200(A,B)内に設定量を超えるトナー及びキャリアが収容されているにもかかわらず、前記した容器200(A,B)の満杯の検出が正常に行われなくなる。すなわち、収容検出センサ106から設定量を超えた検出結果がないため、満杯の状態とみなすための画像形成枚数のカウント動作が実行されなくなる。この結果、容器200(A,B)にトナー及びキャリアが次々と収容されて満杯の状態になり、容器200(A,B)の受け口210から溢れ出してしまい、その溢れ出したトナーにより筐体10の内部が汚染されることになる。また、回収搬送装置101の管状部材がトナー等で目詰まりしてしまう。
【0078】
そこで、この画像形成装置1においては、上記した不具合があることに鑑み、トナー放出動作を実行するときに、作像装置20における現像装置24にある現像剤の磁性キャリアCの一部を感光ドラム21に付着させるキャリア放出動作を実行する機能を具備させている。
【0079】
キャリア放出動作は、各作像装置20においてトナー放出動作を実行する毎に又はその実行する複数の時期の一部のときに、特殊トナー像STの形成に併せて各現像装置24からキャリアの一部を排出させて各感光ドラム21にそれぞれ付着させ、その付着させたキャリアを特殊トナー像STと同様に中間転写ベルト31に転写させず、ドラム清掃装置26により除去するものである。このときキャリアを中間転写ベルト31に転写させないためには、一次転写装置25には、転写用電源部16Eから一次転写バイアスを供給しないか、又は通常の画像形成時の設定値よりも低い値に設定された転写バイアスが供給される。また、キャリア放出動作を実行する時期は、トナー放出動作の実行時期と同じ時期であるほか、例えば、予め設定する画像形成枚数の積算値に達した以後の時期や、特殊トナー像STの画素数の積算値が予め設定する閾値を超えたときの時期などが挙げられる。
【0080】
また、キャリア放出動作は、トナー放出動作において特殊トナー像STを形成するときの作像条件の一部を、磁性キャリアCの感光ドラム21への付着が促進される条件に変更することで行われる。つまり、特殊トナー像STを形成するときに、その特殊トナー像STの作像条件(例えば帯電、露光及び現像の各工程に関する条件)の一部について、現像装置24内のキャリアの一部が感光ドラム21へ移行して付着しやすくなる条件に変更して作像動作を実行する。実施の形態1では、詳細については後述するが、図11の分図a,bに示すように、露光装置23により形成する潜像の感光ドラム21における潜像電位Viと現像装置24に供給する現像バイアスのバイアス電位Vbとの差(「Vdeve=|Vb−Vi|」→Vdeve2)を、特殊トナー像STの作像条件における当該差(Vdeve1)よりも大きくするようにしている(Vdeve2>Vdeve1)。図11における符号Vhは、帯電装置24により帯電されたときの感光ドラム21の帯電電位を示す。
【0081】
画像形成装置1では、図8に示すように、制御装置7により、前述した画像形成動作、現像剤の補給動作、回収動作、トナー放出動作、キャリア放出動作等の各動作が制御される。
【0082】
まず、制御装置7は、演算処理装置、記憶素子及び装置、制御装置、入出力装置等で構成されるものであり、その記憶素子に格納される制御プログラム及びデータに基づいて所要の制御動作を実行するようになっている。記憶素子及び装置は、ROM,RAM等の記憶素子や磁気ディスク装置等の記録装置で構成されている。
【0083】
制御装置7には、前述した現像剤残量検出センサ67、トナー濃度センサ29等の検出器や、画像処理装置27や、接続通信部12や、各種の情報の入力や表示を行う入力・表示装置(操作パネル等)15が接続されており、それらから制御に必要な情報が入力されるようになっている。また、制御装置7には、作像装置20、中間転写装置30、給紙装置40及び定着装置45の動作を制御する作像制御部71や、補給システム5の動作を制御する補給制御部72や、回収システム100の動作を制御する回収制御部73や、画像処理装置27や、接続通信部12や、入力・表示装置15等と接続されており、それらの各動作に必要な制御信号を送信するようになっている。作像制御部71、補給制御部72及び回収制御部73は、制御装置7の一部として構成されるが、制御装置7とは独立した専用の制御装置として構成してもよい。
【0084】
作像制御部71は、その制御対象となる作像装置20、中間転写装置30、給紙装置40及び定着装置45の各駆動部材に回転動力を伝達する回転駆動装置(回転駆動部)16Aをはじめ、帯電バイアスを供給する帯電用電源部16B、露光装置23を駆動する露光駆動部16C、現像バイアスを供給する現像用電源部16D、一次転写バイアス及び二次転写バイアスを供給する転写用電源部17E等と接続されている。トナー放出動作とキャリア放出動作は、その各動作に必要な制御信号が作像制御部71を通して送信されるようになっている。補給制御部72は、その制御対象である補給システム5における回転駆動装置55,56と接続されている。回収制御部73は、その制御対象である回収システム5の搬送装置101における駆動装置114,118,124,134,144,154と接続されている。
【0085】
以下、画像形成装置1におけるトナー放出動作を含むキャリア放出動作について詳しく説明する。
【0086】
画像形成装置1は、図9に示すように、制御装置7においてトナー放出動作を実行する時期が到来したか否かが判断される(ステップS10)。このときの判断は、例えば、前述したように予め設定する低濃度の画像形成動作が連続して行わるときの枚数が設定枚数に達したか否かの情報に基づいて行われる。この低濃度の画像形成動が連続して何枚行われたかの枚数情報は、画像処理装置28や入力・表示装置15から得られる。
【0087】
トナー放出動作の実行時期が到来したと判定されると、キャリア動作を実行する時期であるか否かが判断される(S11)。このときの判断は、例えば、前述したように予め設定する画像形成枚数の積算値が設定枚数に達したか否かの情報に基づいて行われる。この画像形成枚数の積算値の情報は、画像処理装置28等から得られる。
【0088】
ステップS11においてキャリア動作の実行時期でないと判定された場合には、特殊トナー像STの形成動作のみが実行される(S12)。このときは、図10に示すように、各作像装置20の感光ドラム21(の画像形成有効領域となる表面部分を平面に展開したときの全域)における先行の画像形成領域E1と後続の画像形成領域E2との間となる非画像形成領域Sに、特殊トナー像STが帯電、露光及び現像の作像動作の実行により形成される。
【0089】
特殊トナー像STは、例えば、感光ドラム21における画像形成領域Eの軸方向の全域に相当する長さでもって形成される。また、特殊トナー像STにおける感光ドラム21の回転方向A(プロセス方向にも該当する)に対する長さ(幅)及び画像濃度については一定に設定されるが、変更するようにしても構わない。さらに、特殊トナー像STは、画像形成領域E1,E2のうち実際に画像が形成された領域Ia、Ibを除く背景部の領域(EBK)と画像形成領域E1,E2の軸方向(プロセス方向Aとほぼ直交する方向)に存在する非画像形成領域ESに相当する軸方向の領域部分などに限定して形成してもよい。このように特殊トナー像STの形成(画像)パターンについては、特に限定されない。また、特殊トナー像STの画像パターンの情報については、例えば画像処理装置27の記憶部か又は制御装置7の記憶部に格納されている。
【0090】
このトナー放出動作で形成された特殊トナー像STは、中間転写ベルト31に転写されず、ドラム清掃装置26で除去され、しかる後、その特殊トナー像STを構成するトナーT4が回収システム100により回収されて容器200(A,B)に収容される(S13)。また、このトナー放出動作の実行により、各現像装置24では、トナー濃度検出センサ29が低下するため補給システム5が作動し、対応する現像剤カートリッジ50から新しい現像剤(キャリアを含むトナー)が補給される。
【0091】
一方、ステップS11においてキャリア動作の実行時期であると判定された場合には、特殊トナー像STの形成動作に加えてキャリアの付着動作が併せて実行される(S15)。このときは、図10に示すように、前述したとおり各作像装置20の感光ドラム21における非画像形成領域S等に特殊トナー像STが形成されるが、その特殊トナー像STはその像中に現像装置24内における磁性キャリアの一部のキャリアC2が含まれるように形成される。
【0092】
実施の形態1におけるキャリアの付着動作は、図11bに示すように、特殊トナー像STを形成するための潜像電位Vi2を、そのバイアス電位Vbとの差Vdeve2が、特殊トナー像STを形成する通常の作像条件における潜像電位Vi1とバイアス電位Vbの差Vdeve1(図11a)よりも大きくなるように変更することで行っている。これにより、感光ドラム21の非画像領域Sとなる表面には、特殊トナー像STを構成する非磁性トナーTに加え、電位差Vdeve2を大きくしたことに対応して増大された現像電界により電荷が注入されて帯電極性の反転した磁性キャリアC2が当該現像電界の作用を受けて移行することで付着する。この結果、感光ドラム21には、特殊トナー像として、磁性キャリアC2を含む特殊トナー像ST+C2が形成されることになる。
【0093】
このキャリア付着動作を伴うトナー放出動作で形成された特殊トナー像ST+C2は、中間転写ベルト31に転写されず、ドラム清掃装置26で除去され、しかる後、その特殊トナー像ST+C2を構成するトナーT4及び磁性キャリアC2が回収システム100により回収されて容器200(A,B)に収容される(S13)。また、このキャリア放出動作を伴うトナー放出動作が実行された場合も、各現像装置24では、トナー濃度検出センサ29が低下するため補給システム5が作動し、対応する現像剤カートリッジ50から新しい現像剤(キャリアを含むトナー)が補給される。
【0094】
また、このキャリア放出動作を伴うトナー放出動作が実行された場合は、回収システム100における容器200(A,B)には、特殊トナー像STを構成するトナーT4に加えて磁性キャリアC2が併せて収容される。このようにして容器200(A,B)に収容されたときのトナー及びキャリアにおけるトナーの割合の急増は、特殊トナー像STが形成されるにもかかわらず、磁性キャリアC2が存在することにより抑制される。
【0095】
この結果、トナー放出動作に併せてキャリア放出動作が実行されて特殊トナー像ST+C2が形成された後、その磁性キャリアC2を含む特殊トナー像ST+C2がドラム清掃装置26で除去されて搬送装置101により容器200(A,B)まで搬送されて収容され、特に収容検出センサ106が検出する領域に存在した場合には、磁性キャリアC2の存在によりその透磁率が収容検出センサ106で確実に検出されるようになる。
【0096】
この収容検出センサ106の検出が正常に行われると、制御装置7では、その検出後の画像形成枚数が積算され始め、その積算値が設定枚数に達すると、容器200(A,B)が満杯になったとみなし、それ以降の画像形成動作の実行を停止させる(禁止する)とともに、入力・表示装置15に容器の交換を促す警告メッセージを表示される。これにより、満杯になったと判断された容器200が交換されるようになり、収容検出センサ106の検出が正常に行われなかった場合における容器200からのトナー等の溢れ出しや搬送装置100の目詰まり等の不具合の発生を回避することができる。
【0097】
この画像形成装置1では、キャリア放出動作の実行時期であるかを判断する工程(ステップS11)で使用する情報である画像形成枚数の積算値に対する設定枚数として、例えば、図6に示すように収容検出センサ106で検出する収容量Yよりも少ない予測収容量Zに達すると見込まれる枚数に設定することができる。
【0098】
このような設定枚数に設定した場合には、キャリア放出動作が予測収容量Zに達した後に実行されるようになる。この結果、収容検出センサ106の透磁率の検出が有効に行われると予想される容器200の領域W(図6)に対して収容されるトナー及びキャリアにおけるトナーの割合が急増すること(換言すれば、キャリアの割合が急激に低下すること)を防止することができ、収容検出センサ106の正常な検出を効率よく実現させることが可能になる。また、予測収容量Zに達する前の段階では、キャリア放出動作が実行されないので、現像装置24からのキャリアの不要な放出や、そのキャリアの放出に伴う不具合)の発生を抑制することができる。キャリアの放出に伴う不具合とは、例えば、現像装置24から放出されたキャリアC2がドラム清掃装置26の弾性ブレード26aの先端部(エッジ部)と回転する感光ドラム21の表面の間に食い込んだ状態で存在することで、感光ドラム21の表面に傷をつけることなどである。
【0099】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、キャリア放出動作におけるキャリア付着動作として、特殊トナー像STの作像条件の一部である潜像電位と現像バイアス電位との差(Vdeve2)を通常の特殊トナー像STの作像条件における当該差(Vdeve1)よりも大きくするように潜像電位を変更する構成例を示したが、キャリアの感光ドラム21への付着を促進することが可能であれば、これ以外の作像条件の変更を行う構成例を適用することができる。
【0100】
この他の構成例としては、図11cに示すように、帯電電位Vhと現像バイアスのバイアス電位Vbとの差(Vcl=|Vh−Vb|→Vcl2)を、通常の特殊トナー像STの作像条件における当該差(Vcl1)よりも大きくするように変更する例が挙げられる。この場合の電位差(Vcl)を変更する手段としては、図11cに示すように、現像バイアスの電位Vbを変更する方法を適用すればよいが、この他にも帯電電位Vhを変更する方法を適用することも可能である。
【0101】
このような作像条件の一部についての変更を行った場合は、図10に示すように特殊トナー像STを形成する非画像形成領域Sのうち特殊トナー像STが形成されない背景部となる領域SBGに現像装置24からキャリアC2が移行して付着する。つまり、特殊トナー像STの背景部となる感光ドラム21の領域にキャリアC2を付着させることができる。このときの磁性キャリアC2の感光ドラム21への付着は、上記した電位差(Vcl)の変更により、正規の帯電極性にある磁性キャリアがその電位差の変更に対応して増大される電界の作用を受けて感光ドラム21に移行しやすくなることで行われる。そして、このようにして感光ドラム21に付着したキャリアC2は、特殊トナー像STのトナーT4と共にドラム清掃装置26で除去され、しかる後、回収システム100で回収されて容器200(A,B)に収容される。
【0102】
また、実施の形態1では、キャリア放出動作におけるキャリア付着条件について予め設定する条件をそのまま適用する場合を例示したが、例えばキャリア付着量の安定化又は適正化を図るために以下の構成例を適用することが可能である。
【0103】
1つの構成例1は、画像形成装置1の筐体10の内部の温度及び湿度に応じてキャリア付着条件を調整するものである。これは、その温度及び湿度によってキャリアを付着させるための条件を調整してその付着量を安定化させる要があるからである。換言すれば、この場合、温度及び湿度の状態が変動すると、同一のキャリア付着条件では感光ドラム21に付着するキャリアの量も変動するのである。図12は、温度及び湿度の状態が異なる場合におけるキャリア付着のために必要な電位差(Vdeve)の条件を示すものである。図12aは中温中湿(22℃、50%RH)の状態にある場合を示し、同図bは高温高湿(28℃、80%RH)の状態にある場合を示している。
【0104】
この構成例1を適用する場合は、図1や図2に示すように、画像形成装置1に筐体10の内部の温度及び湿度を検出する温湿検出センサ13を設置するとともに、図8に示すようにその温湿検出センサ13を制御装置7に接続して検出情報を送信するようにする。そして、図9に示すように、キャリア放出動作を実行するときに、特殊トナー像の形成動作とキャリア付着動作を実行する工程(S15)に先立って、キャリアの付着条件を調整する動作を行う(S14)。このときのキャリア付着条件の調整動作は、温湿検出センサ13の検出情報に基づいて予め設定するキャリア付着条件に変更することで行われる。例えば、キャリア付着条件として、特殊トナー像STの作像条件における電位差(Vdeve)を変更する構成(図11b)を採用する場合には、高温高湿の状態での電位差(Vdeve)を中温中湿の状態での電位差Vdeveよりも全体として小さい値に変更すればよい。
【0105】
この結果、キャリア放出動作を実行した場合に、感光ドラム21の表面に付着するキャリアC2の量が、上記した温度及び湿度の変動にかかわらず、ほぼ一定に保たれるようになる。これにより、ドラム清掃装置26に到達するキャリアC2の量が安定するようになり、回収システム100により容器200へ収容されるキャリアC2の量も安定するようになり収容検出センサ106による検出を確実に行うことができる。しかも、キャリアC2の付着量の変動により多めのキャリアC2が付着した場合に、そのキャリアC2の一部がドラム清掃装置26の弾性ブレード26aの先端部と感光ドラム21の間に滞留して食い込むおそれを回避することもできる。
【0106】
他の構成例2は、現像装置24に収容されている現像剤のトナー濃度に応じてキャリア付着条件を調整するものである。これは、そのトナー濃度によってキャリアを付着させるための条件を調整してその付着量を安定化させる必要があるからである。換言すれば、そのトナー濃度が変動すると、同一のキャリア付着条件では感光ドラム21に付着するキャリアの量が変動するのである。図12は、トナー濃度が異なる場合におけるキャリア付着のために必要な電位差(Vdeve)の条件を示すものである。図12では、前述したように温度及び湿度の状態が異なる2つの場合について示している。
【0107】
この構成例2を適用する場合は、図2に示すように、作像装置20における現像装置24に収容されている現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ29を設置するとともに、図8に示すようにそのトナー濃度検出センサ29を制御装置7に接続して検出情報を送信するようにする。そして、構成例1を採用する場合と同様に、キャリア放出動作を実行するときに、図9に示すごとく特殊トナー像の形成動作とキャリア付着動作を実行する工程(S15)に先立って、キャリアの付着条件を調整する動作を行う(S14)。このときのキャリア付着条件の調整動作は、トナー濃度検出センサ29の検出情報に基づいて予め設定するキャリア付着条件に変更することで行われる。例えば、キャリア付着条件として、特殊トナー像STの作像条件における電位差(Vdeve)を変更する構成を採用する場合には、電位差(Vdeve)をトナー濃度の低下する割合に比例して又は段階的に小さい値に変更すればよい。
【0108】
この結果、キャリア放出動作を実行した場合に、感光ドラム21の表面に付着するキャリアC2の量が、上記したトナー濃度の変動にかかわらず、ほぼ一定に保たれるようになる。これにより、構成例1の場合で説明した作用効果とほぼ同じ作用効果が得られる。この構成例2は、構成例1と組み合わせて採用することも可能である。この場合には、感光ドラム21へのキャリアC2の付着量が更に安定化させる。
【0109】
また他の構成例3は、トナー放出動作で形成する特殊トナー像STの画素数の積算値に応じてキャリア付着条件を調整するものである。これは、その画素数の積算値によってキャリアを付着させるための条件を調整してその付着量を適正化させる必要があるからである。換言すれば、特殊トナー像STの画素数の積算値が変動すると、同一のキャリア付着条件では感光ドラム21に付着させるキャリアの量が過剰になることがあるからである。例えば、特殊トナー像STの形成パターンがそれ以前の形成パターンに比べて画素数の積算値を少なくする条件になる場合、同じ量のキャリアを付着させていると、キャリアの付着量が必要以上の量になってしまうことがある。
【0110】
この構成例3を適用する場合は、例えば、図8に示すように、画像処理装置27から特殊トナー像STの画素数に関する情報を読み出して制御装置7に送信するようにするとともに、その画素数を積算できるように構成する。そして、構成例1又は2を採用する場合と同様に、キャリア放出動作を実行するときに、図9に示すごとく特殊トナー像の形成動作とキャリア付着動作を実行する工程(S15)に先立って、キャリアの付着条件を調整する動作を行う(S14)。このときのキャリア付着条件の調整動作は、画像処理装置27から読み出される画素数の情報とその積算値のカウント情報に基づいて予め設定するキャリア付着条件に変更することで行われる。例えば、キャリア付着条件として特殊トナー像STの作像条件における電位差(Vdeve)を変更する構成を採用する場合には、電位差(Vdeve)を特殊トナー像STの画素数の積算値が低下する割合に比例して又は段階的に小さい値に変更すればよい。
【0111】
この結果、キャリア放出動作を実行した場合に、感光ドラム21の表面に付着するキャリアC2の量が、上記した特殊トナー像STの画素数の変動(増減)に応じて、ほぼ一定した比率に保たれるようになる。これにより、構成例1の場合に説明した作用効果とほぼ同じ作用効果が得られる。この構成例3は、構成例1及び2の一方又は双方と組み合わせて採用することも可能である。この場合には、感光ドラム21へのキャリアC2の付着量が安定化されることに加えて適正化されるようになる。
【0112】
さらに他の構成例4は、1回のトナー放出動作を実行するなかでキャリア放出動作(付着動作)を実行する時期Q1とそれを実行しない時期Q2を混在させることでキャリア付着条件を調整するものである。その時期Q1,Q2は、特殊トナー像STの幅方向の形成時間を所要の数に分割することで設定される。図13に、その時期Q1,Q2をそれぞれ2つずつ交互に配置して混在させる設定パターンを示す。この場合、キャリア放出動作を実行する時期Q1にはキャリアC2を含む特殊トナー像ST+C2が感光ドラム21に形成され、そのキャリア放出動作を実行しない時期Q2には特殊トナー像STのみが感光ドラム21に形成される。そして、このような時期Q1,Q2の混在させる設定パターンに関する情報は、例えば画像処理装置27の記憶部か、あるいは制御装置7の記憶部に格納される。
【0113】
この構成例4を適用する場合は、例えば、図8に示すように、キャリア放出動作を伴うトナー放出動作を実行するときに、画像処理装置27又は制御装置7の記憶部から時期Q1,Q2の混在させる設定パターンを読み出して露光装置23の露光駆動部16C(図8)に送信できように構成する。そして、構成例1〜3を採用する場合と同様に、キャリア放出動作を実行するときに、図9に示すごとく特殊トナー像の形成動作とキャリア付着動作を実行する工程(S15)に先立って、キャリアの付着条件を調整する動作を行う(S14)。このときのキャリア付着条件の調整動作は、画像処理装置27又は制御装置7の記憶部から読み出される設定パターンに基づいて2種の特殊トナー像ST+C2、STを混在させて形成することで行われる。例えば、キャリア付着条件としてキャリアの付着量を相対的に少なくしたいときには、キャリア放出動作を実行しない時期Q2を増やす方向に変更すればよい。
【0114】
この結果、キャリア放出動作を実行した場合に、感光ドラム21の表面に付着するキャリアC2の量が、上記した時期Q1,Q2の混在割合に応じて調整されるようになる。この構成例4は、構成例1〜3の少なくとも1つ又は複数のものと組み合わせて採用することも可能である。この場合は、感光ドラム21へのキャリアC2の付着量が安定化させることに加えて適正化されるようになる。
【0115】
画像形成装置1については、中間転写装置3を使用せずに記録用紙9を複数の作像装置20の一次転写位置を通過させるように搬送する用紙搬送装置を採用したものや、単色画像を形成するものであってもよい。作像装置20の数も単数又は他の複数の内容に変更することが可能である。回収システム100として、1つの容器200を使用するものを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 …画像形成装置
5 …補給システム(補給装置)
7 …制御装置(制御手段)
9 …記録用紙(被記録媒体)
13…温湿検出センサ(温湿検出手段)
20…作像装置
21…感光ドラム(感光体)
22…帯電装置
23…露光装置
24…現像装置
26…ドラム清掃装置(清掃装置)
29…トナー濃度検出センサ(濃度検出器)
50…現像剤カートリッジ(現像剤収容器)
101…回収搬送装置
106…収容検出センサ(収容検出器)
200…容器
T …トナー
C …磁性キャリア
ST…特殊トナー像(被記録媒体に転写しないトナー像)
C2…感光ドラムに付着する磁性キャリア
Vi…潜像電位
Vb…バイアス電位
Vh…帯電電位
Q1…キャリア放出動作を実行する時期
Q2…キャリア放出動作を実行しない時期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記感光体の帯電された表面に光を照射して潜像を形成する露光装置と、
前記感光体に形成された潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤により現像してトナー像を形成し、かつ、前記現像剤を構成するトナー及び磁性キャリアが補給されるとともに前記現像剤の一部が排出される現像装置と、
前記感光体に形成されたトナー像を最終的に被記録媒体に転写する転写装置と、
前記感光体の転写後の表面に残留する少なくともトナーを除去する清掃装置と、
前記現像装置から排出された現像剤と前記清掃装置で除去された少なくともトナーを収容する容器と、
前記現像装置及び清掃装置と前記容器の間を接続してトナー及び磁性キャリアを前記容器まで搬送する回収搬送装置と、
前記容器に収容されたトナー及び磁性キャリアの透磁率を測定して前記容器におけるトナー及び磁性キャリアの収容量が設定量以上になったことを検出する収容検出器と、
前記被記録媒体に転写しないトナー像を前記感光体に形成するトナー放出動作を実行する制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記トナー放出動作を実行するときに、前記現像装置にある現像剤の磁性キャリアの一部を前記感光体に付着させるキャリア放出動作を実行する機能を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記キャリア放出動作を実行する場合、前記トナー放出動作において前記転写しないトナー像を形成するときの作像条件の一部を、前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件に変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記作像条件の一部の変更として、前記露光装置により形成する潜像の前記感光体における潜像電位と前記現像装置に供給する現像バイアスのバイアス電位との差を前記作像条件における当該差よりも大きくすること、又は前記帯電装置により帯電される前記感光体の帯電電位と前記バイアス電位との差を前記作像条件における当該差よりも大きくすることを行う請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置の内部の温度および湿度を検出する温湿検出器を有し、
前記制御手段は、前記温湿検出器から得られる検出情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整する請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置に収容されている現像剤のトナー濃度を検出する濃度検出器を有し、
前記制御手段は、前記濃度検出器から得られる検出情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整する請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー放出動作において形成する前記転写しないトナー像の画素数を積算する積算手段を有し、
前記制御手段は、前記積算手段から得られる積算情報に応じて、前記キャリア放出動作における前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件を調整する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記磁性キャリアの前記感光体への付着が促進される条件の調整として、前記トナー放出動作の1回の実行のなかで、前記キャリア放出動作を実行する時期とそれを実行しない時期を混在させる条件を採用する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記感光体、帯電装置、露光装置、現像装置及び清掃装置で構成される作像装置を複数有し、
前記制御手段は、前記トナー放出動作と前記キャリア放出動作を、前記複数の作像装置毎に個別に実行するよう構成されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−150267(P2012−150267A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8757(P2011−8757)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】