説明

画像形成装置

【課題】異なる設置形式を有する吐出口が装備されているトナーボトルを組み付ける場合でも吐出口が外装カバーと干渉しないようにできる側板の対向間隔を設定できる構成を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体の奥側にて作像ユニットにトナー補給する補給部を有するトナー容器101を支持する本体構造体に対し、装置本体手前側にて作像ユニットにトナー補給する補給部102を有するトナー容器101を支持する画像形成装置であって、前記本体構造体は画像形成装置本体の手前側と奥側に互いに間隔をあけて対向配置された前側板103および後側板105とで構成され、前記トナー容器の補給部が前記前側板の前面より突出するように支持されるとともに、前記前側板103における前記補給部102の周囲を装置内部に向けて装置の奥側に向かう方向で凹入1020するように絞り形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、装置内に装備される作像部材を支持するための構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、複写機やプリンタ類はファクシミリ装置あるいはこれら各装置の機能を適宜組み合わせた複合機などが知られており、これらの装置には、画像形成処理を行うための作像部が設けられている。
【0003】
作像部には、画像情報などに応じた静電潜像が形成される潜像担持体や、その静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置や、トナー像を記録紙などに転写するための転写装置や記録紙の搬送装置及び転写後のトナー像を定着する定着装置などが装備されており、これら各装置の支持構造として、ユーザに対面する側の画像形成装置手前側とこの側と反対側で画像形成装置の背面側に相当する奥側との間で間隔を空けて対向配置された前側板と後側板とを用いて支持する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
一方、画像形成装置内に装備される各種装置には、ユーザの使用目的によって異なる形式の構造を備えているものがある。
【0005】
例えば、現像装置を例にすると、モノクロ画像を対象とした単一色の画像形成のために用いる場合とフルカラー画像を対象とした複数色の画像形成のために用いる場合とがある。
【0006】
これら各形式の現像装置には、現像剤濃度を一定に維持できるようにする目的で新規トナーを収容可能な空間を有したトナーボトルを、現像装置に対して着脱可能に設けることがある。
【0007】
トナーボトルとしては、例えば、筒状ボトルの周壁に内向きの螺旋状凸部をボトルの長手方向に沿って形成し、ボトルを回転させることでボトルの長手方向一端に設けてあるトナー吐出口に向けてトナーを螺旋移動させるようにした構成がある(例えば、特許文献2)。
【0008】
前記吐出口は、前記特許文献2に開示されているように、トナーボトルの駆動手段との係合部が設けてある長手方向他端と反対側の一端に設けてボトルの駆動部とは別になっている場合と、前記係合部と同じ側の端部に設けている場合とがある(例えば、特許文献3)。
【0009】
前記特許文献2,3に開示されている吐出口は、不用意なトナーの漏洩を防止するための蓋がチャックなどにより開閉される構成を備えており、トナーボトルの装填部に設けられて吐出口が装着されるケースに装備されている操作部材の揺動操作に連動してチャックを摺動させることにより前記チャックによる蓋の開閉操作が行われるようになっている。前記駆動部の設置位置は、保守などにおいて外装カバーが開放された際にユーザの手が触れないように画像形成装置の奥側に位置する側板側に設定されることが多い。
【0010】
トナーボトルは、ユーザの使用目的に応じて、例えば、単一色の画像形成を対象とする場合及び複数色の画像形成を行う場合に対応してその設置数が決められるものである。
【0011】
一方、トナーボトルの挿脱を画像形成装置の外装カバーを開放して行う場合には、ユーザ側に対面する装置本体の手前側の外装カバーが開閉操作されることとなるが、外装カバーの内面に近い位置にトナーボトルの吐出口および吐出口から吐き出されたトナーを現像装置の貯留部に向け移送するトナー導入部が設けられたトナー補給部が位置していると、前記吐出口やトナー導入部から漏洩した一部のトナーが外装カバーの内側に溜まりやすくなることから、外装カバーを開放した際に溜まったトナーの飛散などによってユーザの衣服や手が汚される場合がある。
【0012】
トナーの飛散が起こる場合には、その飛散量に関していうとトナーボトルの設置数に比例することから、複数色の画像形成を対象とする場合には、特許文献3に開示されているような吐出口を駆動部と同じ側に設けて画像形成装置の奥側に吐出口を位置させ、単一の画像形成を対象とする場合には漏洩量が複数色の場合よりも少ないことから、特許文献2に開示されているような吐出口と駆動部とをボトルの長手方向各端部にそれぞれ設け、吐出口を画像形成装置の手前側に位置させる構成とする場合もある。特許文献2,3に開示されている駆動部は、前述した理由により装置奥側の側板を対象として設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、前記特許文献2,3に開示されているような吐出口の設置形式を用いたトナーボトルは、画像形成装置内部において外装カバーよりも内側に設けられているフレームなどで構成された前側板及び後側板にそれぞれ支持されるようになっているが、特許文献3に開示された構成のトナーボトルは、吐出口と駆動部とが同じ側に設けられている関係で、特許文献2に開示されたトナーボトルにおける吐出口の設置部と軸方向長さが異なる。
つまり特許文献3に開示されているような吐出口と駆動部とが同じ側に配置されている構成では、吐出口のみをボトルの軸方向一方側に設けた特許文献2に開示されている構成よりも吐出口及び駆動部が占める軸方向長さが長くなる。
【0014】
図6,7は、トナーボトルにおけるトナー補給位置が異なるトナー補給機構を説明するための図であり、図6は特許文献2に開示された構成のトナーボトルを装填した場合を示し、図7は特許文献3に開示された構成のトナーボトルを装填した場合を示している。
【0015】
図6では、トナーボトルTBの吐出口(便宜上、図6では吐出口を含む装着部を符号TB1で示す)が画像形成装置の手前側に位置する外装カバーK1の内側でフレームからなる前側板FPの外側に突出しており、その突出寸法はL4である。なお、図6において符号DTは、現像装置側のトナー導入部を示しており、符号DBは、トナーボトルの軸方向において吐出口TB1の位置と反対側の端部に対向する後側板RPに設けられている駆動部を示している。
【0016】
一方、図7では、トナーボトルTB’の吐出口(便宜上、図7では吐出口を含む装着部をTB1’で示す)及び駆動部が同じ側で後側板RPから突出しており、前側板FPから突出する寸法はL3である。
【0017】
前側板FPから外装カバーK1に向けて突出する寸法L3,L4は、トナー補給部の一部をなす吐出口TB1が前側板FPから突出する構成である図6に示した構成の方が図7に示した構成よりも大きく必要となる(L4>L3)。
【0018】
近年、この種、画像形成装置においても加工コストなどの製品コストを低減することが要求されてきており、使用する部品の共通化などが実行されるようになっている。
そこで、上述したように、吐出口の設置形式が異なるトナーボトルを設置するに際して、いずれかのトナーボトルを対象として対向間隔を設定されている前側板及び後側板間に設置しようとすると、トナー補給部の設置形式によって前側板と外装カバーとの間に突出する寸法が異なることから外装カバーと干渉する場合があり、部品共通化が困難な場合があった。
【0019】
つまり、図7に示した構成(吐出口が後側板RP側に設けてある構成)を対象として、図6に示した構成(吐出口が前側板FP側に設けてある構成)のトナーボトル設置しようとすると、前側板FPと外装カバーK1との間の間隔が互いに異なることから(L4>L3)、図6に示した構成のトナーボトルは吐出口TB1を有するトナー補給部が外装カバーK1と干渉してしまうことになる。
【0020】
そこで、図7に示す前側板FRの位置を、例えば、後側板RPの一部を外側に向けて膨出させることにより後側板側RP側に移動させて前側板FPと外装カバーK1との間の間隔(L4)を確保することも考えられるが、このような構成とした場合には、図7において符号L1で示す記録紙の搬送サイズ内に干渉してしまい、これに伴い像担持体をはじめとする各種装置の支持位置を変化させなければならなくなるという新たな問題が生じる。
つまり、図6及び図7において前側板FPの位置を基準として、図6に示した前側板FPの位置を後側板RP側に変位させて前側板FPと外装カバーK1との間に吐出口が配置できるスペースを確保した場合には、図7に示した搬送サイズ(L1)内に前側板FPの位置が入り込むことになるので(図6において符号L2で示す搬送サイズの中心が後側板RP側に移動する)、前側板FP及び後側板RPにより支持されている像担持体をはじめとした各種装置の支持位置を変更しなければならず、結果として、トナーボトルの仕様、つまりトナー補給部の設置形式毎に構造体の構成が異なるものを準備しなければならない。
【0021】
そこで、本発明の目的は、前記従来のトナーボトルの支持構造体を備えた画像形成装置における問題に鑑み、異なるトナー補給部の設置形式を有するトナー容器を組み付ける場合でも、装置内部に装備されている記録媒体の搬送部などを含めた構造変更を不要にできる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的を達成するために本発明は、画像形成装置本体の奥側にて作像ユニットにトナー補給する補給部を有するトナー容器を支持する本体構造体に対し、装置本体手前側にて作像ユニットにトナー補給する補給部を有するトナー容器を支持する画像形成装置であって、前記本体構造体は画像形成装置本体の手前側と奥側に互いに間隔をあけて対向配置された前側板および後側板とで構成され、前記トナー容器の補給部が前記前側板の前面より突出するように支持されるとともに、前記前側板における前記補給部の周囲を装置内部に向けて装置の奥側に向かう方向で凹入するように絞り形成され、上記凹入部は、上記トナーにより形成されたトナー像を担持する用紙の搬送路と干渉しない搬送経路を除いた部分に上方の縁部が、そして、上記作像ユニットに装備される書き込みユニットの占有範囲下部近傍を含む範囲に下方の縁部がそれぞれ位置されていることを特徴とする画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、トナー容器の補給部が前側板の前面より突出して支持される構成に対し、前側板における補給部の周囲が装置内部に向けて装置の奥側に向かう方向で凹入するように絞り形成され、その凹入部における上方の縁部および下方の縁部の位置が用紙の搬送経路を除いた部分および書き込みユニットの占有範囲下部近傍にそれぞれ位置させてあるので、用紙の通路幅が凹入部により狭められることをなくして搬送に用いる部材の変更を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するための最良の形態による画像形成装置の外観図である。
【図2】図1に示した画像形成装置における画像形成部の構成を説明するための模式図である。
【図3】図2に示した画像形成部に用いられるトナー補給部を対象とした本発明の原理構造を説明するための図であり、(A)は、トナー容器のトナー補給部と前側板との関係を示す斜視図、(B)は平面図である。
【図4】図3に示した原理構成を用いた構造体の要部構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示した構造体の正面図である。
【図6】トナー補給位置が異なるトナー補給機構の一例を説明するための図である。
【図7】トナー補給位置が異なるトナー補給機構の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示す実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明による画像形成装置の外観図を示しており、同図に示す画像形成装置は、色毎の画像形成を行う作像部がこれら各作像部で形成された色の画像を重畳転写される転写ベルトの展張方向に並置した4連タンデム方式の電子写真カラー画像形成装置である。なお、本発明にいう画像形成装置は、複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置さらには、これらの機能を複合した装置を対象としている。
【0027】
図1中、符号100は、画像形成装置本体である。
画像形成装置本体100の上には、画像読取装置200が取り付られている。画像読取装置200は、上面にコンタクトガラスを備え、正面には手前側に突出した操作表示部90が設けられている。
画像読取装置200の上部には、自動原稿搬送装置(ADF)300が、背面側を支点として正面側を上下に開閉可能に取り付けられている。
画像読取装置200および自動原稿搬送装置300が取り付けられている画像形成装置本体100は、オプション装置である増設給紙装置400上に載置して完成品とされている。
【0028】
増設給紙装置400には、給紙カセット91が上下2段に備えてられており、各々、画像形成装置本体1の正面側から出し入れ自在とされている。また、画像形成装置本体100の右側面には、開閉ユニットとして両面ユニット92が開閉自在に取り付けられている。
【0029】
図2は、前記画像形成装置本体100の内部機構の全体概略構成が示されている。
図2において符号10c、10m、10y、10bは、それぞれシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックの4つの画像形成ユニットであり、タンデム式に並べて設けられている。
各画像形成ユニットには、それぞれドラム状の像担持体11c、11m、11y、11bが備えられ、その図中時計まわりの回転にともない、まず各帯電装置12c、12m、12y、12bで表面を一様に帯電し、次いで共通の書込み装置13からのレーザ光Lc、Lm、Ly、Lbで書き込みを行い、その後、各現像装置14c、14m、14y、14bによるトナー供給によって像担持体11c、11m、11y、11b上に色毎の単色画像が形成されるようになっている。
【0030】
各画像形成ユニットにおいて形成された色毎の画像は、各像担持体11c、11m、11y、11bと対面する展張面を有した無端状ベルトからなる中間転写体15に対し、各1次転写装置16c、16m、16y、16bからの転写バイアスにより順次転写されて重畳される1次転写工程によりフルカラー画像として形成される。
【0031】
一方、適宜タイミングで給送ローラ20の1つが選択的に回転され、画像形成装置本体100内の給紙カセット21または上述した増設給紙装置400内の給紙カセット91から所定用紙(記録媒体)22を繰り出すようになっている。
繰り出された所定用紙(記録媒体)は、用紙搬送路(記録媒体搬送路)23を通して搬送されて一対のレジストローラ24間に突き当てられることで中間転写体15上のフルカラー画像の一との整合を採るためのレジストタイミングが設定された上で2次転写装置25の位置に向けて給送され、2次転写装置25による転写バイアスを介して重畳画像を一括転写されるようになっている。
【0032】
一括転写による2次転写工程を終了した所定用紙(記録媒体)22は、用紙搬送路23を通過して定着装置30の定着ニップ部に送られ、定着ニップ部を通過する際に作用する熱・圧力によってトナーが融解・浸透されることで定着され、排出ローラ26によって画像形成装置本体100上の排紙トレイ27に排出される。
【0033】
1次転写終了後の各像担持体11c、11m、11y、11bは、一次クリーニング装置17c、17m、17y、17bによりクリーニングされることにより残トナーや紙粉などの異物が除去される。また、2次転写終了後の中間転写体15は、2次クリーニング装置18によってクリーニングされることにより残トナーが除去される。
【0034】
一方、2次転写行程を終えた所定用紙(記録媒体)22に対して表裏両面への画像を形成する場合には、定着装置30を通過した所定用紙(記録媒体)22が搬送路切換爪33によって搬送方向を切り換えられて両面ユニット92に向け搬送される。
【0035】
両面ユニット92では、スイッチバック路93において所定用紙(記録媒体)22をスイッチバックさせて表裏反転してから再給紙路94を通過させて再度画像形成装置本体100側のレジストローラ24に向け給送するようになっており、所定用紙(記録媒体)22は、レジストローラ24によるレジストタイミング設定によって再度2次転写工程を実施される。なお、両面ユニット92は、支軸35を支点として開閉可能(符号Rで示す方向)に設けられており、所定用紙(記録媒体)22のジャムが発生した場合には、その搬送経路および給紙部36を外部に露呈できる状態に開放することができるようになっている。
【0036】
次に、本実施例の特徴部について説明する。
本実施例の特徴は、現像装置に対する補給トナーを収容しているトナー容器の形式、特にトナー補給部の設置形式の違いに関わらず後側板から突出するトナー補給部を支持する場合と同様に、所定用紙(記録媒体)の搬送幅、特に搬送幅中心を確保したままで前側板と外装カバーとの間の対向間隔を広げることができることにある。
【0037】
図3は、前記特徴の原理構造を説明するための図であり、図3(A)は、前側板とトナー補給部に用いられるトナー容器の吐出部分との関係を示す斜視図であり、図3(B)は、前側板及び後側板を示す平面図である。
図3に示すトナー容器101は、図2において符号28c、28m、28y、28kで示した複数色のトナーを収容した容器ではなく、黒色トナーのみを用いる場合を対象としたものであり、図6において説明したように、前側板側にトナーの補給部が設けられている形式に相当している。
【0038】
トナー容器101における装置本体100の手前側に設けられているトナー補給部は、トナー容器101の端部寄りに設けられているトナーの吐出口101A(図3(A)では、便宜上、吐出口をこれが設けられているトナー容器の端部が装填されるカバー部材を符号101Aで示す)と、これに近接して配置されている現像装置側のトナー導入部102とで構成されている。トナー補給部に用いられる吐出口101Aおよびトナー導入部102は、画像形成装置本体100の筐体構造体をなす前側板103よりも外側で画像形成装置本体100の外装カバー104の内面奥側に配置されている。
【0039】
トナー容器101を支持するための構造体の構成としては、図3(B)に示すように、画像形成装置本体100の筐体をなす構造体として用いられる前述した前側板103と後側板105とが用いられる。
前側板103は、画像形成装置本体100の手前側に位置し、後側板105は画像形成装置本体100の奥側に位置するフレーム体である。これら各側板には、作像部で用いられる装置のうちの一部の装置、例えば、書き込み装置13がトナー容器101と共に支持されるようになっている。
【0040】
図3(B)に示すように、トナー容器101は、図6に示した場合と同様に、長手方向で奥側の後側板105によって支持されている駆動部106に係合可能な駆動部101B備えており、駆動部101Bと反対側である長手方向で画像形成装置本体100の手前側に位置する前側板103から内部に装填されるようになっている。
【0041】
トナー容器101は、図6、図7において説明したように、トナー補給部の設置形式が異なることで前側板103からトナーの吐出口101Aが位置する端部に至る突出量が異なる場合がある。
【0042】
設置形式において、端部が外装カバー104に干渉する構成の設置形式を用いるトナー容器の場合には、図3に示す前側板103の構成が用いられる。
つまり、前側板103におけるトナー容器101の吐出口101Aが位置する周囲が画像形成装置本体100の内部に向けて本体奥側に凹入するように絞り形成されている(便宜上、図3(B)において絞り形成されている部分を凹入部と称して符号1020で示す)。
【0043】
図3(B)において符号S1で示す凹入量は、図6、7において説明したように、トナーの補給部位置の違いによる前側板103と外装カバー104との間の対向間隔が異なっていても、図6に示したトナー補給の設置形式を対象とした前側板103の前面と外装カバー104の前面との間の対向間隔(L4)が得られる量とされている。
これにより、前側板103は、トナー容器101の周囲のみが後側板105に向けて凹入されていることにより、トナー容器101の設置位置と異なる位置に支持されている部材は、図7において符号L1で示した側板同士の対向間隔を維持されているので、前側板103の前面と外装カバー104の内面との間の対向間隔はトナー補給部の設置形式に関わらず一定となっている。このため、トナー補給部の設置形式の違いに応じて支持構造を変更する必要がなく、例えば、図7に示したトナー補給部の設置形式を対象とする側板同士の対向間隔(L1)を前提とした各種装置、つまり、書き込み装置をそのまま支持することができる。このため、凹入部1020を有する前側板103を用いた場合でも、図7において符号L1で示す側板同士の対向間隔を前提とする装置の搬送幅中心が変化しないので、この対向間隔を前提とした装置の支持構造を変更する必要がない。
【0044】
一方、凹入部1020は前側板103の平坦面と連続する部分が段部となっており、本実施例では、段部が位置する空間において吐出口101Aからトナー導入部102へのトナーの受け渡しを行う位置(図3(B)中、符号FTで示す範囲)としている。つまり、図7に示したトナー補給部の設置形式を対象とした側板同士の対向間隔(L1)を前提とする支持部間隔を有する現像装置のトナー導入部の位置を凹入部1020内に設けてある吐出口の位置に対応させることができるようになっている。これによっても、前述したように、図6に示したトナー補給部の設置形式を用いる際に図7に示したトナー補給部の設置形式を前提とする装置の支持構造を変更することなくそのまま用いることができることになる。
【0045】
この構成により、トナーの受け渡し位置が整合されることになり、位置ずれによるトナーの零れや飛散を防止できるとともに、トナーの搬送手段などを必要とすることなく直接的な受け渡しが可能となる。
【0046】
図4は、前述した前側板103および後側板105を用いた筐体構造体を示す図であり、同図において、前側板103と後側板105とは図2に示したレーザ光路を妨げないように開口部を備えたステー106および底板107を横架することで互いに一体化されている。
前側板103には、図3で説明したトナー補給部の設置形式を有するトナー容器101を挿入するための開口部103Aが設けられており、開口部103Aの周囲は、画像形成装置本体100の内部に向けて奥側に凹入させて絞り形成された凹入部1020が設けられている。凹入部1020の底部には、トナー容器101や書き込み装置13を装填するための開口部103Aが設けられている。
【0047】
凹入部1020は、その形成に際し、図5において矢印SPで示す所定用紙(記録媒体)の搬送路と干渉しないように搬送経路を除いた部分に上方の縁部1020Aが、また、書き込み装置13の占有範囲下部近傍を含む範囲に下方の縁部1020Bが位置するように形成されている。これにより、所定用紙(記録媒体)の通路幅が凹入部によって狭められないようにして所定用紙(記録媒体)の搬送に用いる部材の変更などを不要にすることができる。
また、凹入部1020は、前述したように、搬送対象となる所定用紙(記録媒体)の搬送路サイズに影響しない装置を対象に絞り形成範囲が設定されている。つまり、搬送路サイズに影響しない装置としては、書き込み装置13がある。このため、凹入部1020は、書き込み装置13の下方に縁部1020Bを位置させる形状とされている。
【0048】
書き込み装置13の下方に縁部を位置させることができる理由は、書き込み装置13からの走査範囲、特に主査方向での走査範囲が像担持体の軸方向長さよりも短いことにある。
【0049】
つまり、担持体での主走査範囲は像担持体の軸方向長さよりも短く、これに応じて所定用紙の通紙幅が設定されるので、書き込み装置13の横方向での支持位置間隔は主走査に必要な範囲を確保できればよく、主走査範囲を外れた同方向での支持位置間隔は装置内部に向けて短縮できる。特に、搬送路中心に位置するポリゴンミラーを用いた主走査方向に走査光を振り分ける構成においては、主走査方向最外側での走査機能が殆どないことから主走査方向最外側近傍に位置する側板同士の間隔を狭めることも可能である。
【0050】
この理由により凹入部1020の絞り形成範囲を書き込み装置13の占有範囲を含む位置に下方の縁部1020Bを位置させることで、書き込み装置13の主走査方向端部に位置する前側板103の前面と外装カバー104の内面との対向間隔が比較的自由に広げられてトナー補給部の設置スペースを確保しやすくなる。しかも、ステー106には書き込み装置13からの走査光路を確保するための開口が設けられているので、走査光路を設けるために一部を分割するようなことがなく、分割した場合のように強度の低下を防止することができる。
【0051】
一方、凹入部1020は、図5に示すように、前側板103に設けてある開口部103Aが、トナー容器の装填部103A1と、この下方に位置する矩形状とされた書き込み装置13の装填部103A2とを含む形状とされている。本実施例の凹入部1020は、開口部103Aの形状に対応して上縁部がトナー容器の装填部103A1から書き込み装置13の装填部103A2の側端部に向けて下降する縁部形状となるように絞り形成されている。
【0052】
これにより、水平方向と垂直方向との合成方向に凹入部1020の縁部が沿うように形成される(図5において符号CLで示す方向に傾斜)ことで前側板103の縦方向及び横方向での断面剛性を高めて前側板103がねじれたりするのを防止することができる。
【0053】
さらに、本実施例では、前側板103の剛性を高めるための構成として、凹入部1020の凹入方向だけでなく、凹入部1020の近傍に位置する絞り成形部1021との凹入方向を相反する方向としている。つまり、図5(B)に示すように、凹入部1020,1021同士で絞り形成する方向が相反する方向(図5(B)では平坦面を基準として正、負各方向と表示して相反する方向に凹入方向が示されている)とされて、各凹入部1020,1021間には平坦面が設けてある。
【0054】
これにより、前側板103の表裏両面に対する断面剛性を高めることができると共に、このような凹入部1020を形成する際に隣り合うのと違って平坦面を連続させているので、凹入部同士が連続した場合にプレス加工による板材の延伸量増加が原因して板厚が極薄になるのを抑制して破断しやすくなるのを防止することができる。なお、前側板103は、上述したプレス加工が可能な板金部材とする代わりに樹脂成型品を用いることも可能であり、樹脂成型品とする場合にも平坦面を凹入部同士の間に設けることで成型時での樹脂流れの悪化やこれによる凹入部での充填量不足の発生を防止できる。
【0055】
また、前側板103の外装カバー104に対向する面には、凹入部1020の上縁部近傍の平坦面に位置決めスタッド108が設けられており、トナー容器101や図5において符号PCUで示すプロセスカートリッジ、つまり、作像ユニットの取付けの際の位置決めを容易化するようになっている。これにより、前側板103において断面剛性を高める機能を有する凹入部1020近傍に位置決めスタッド108が位置することにより、位置決めの際に前側板103及び位置決めスタット108に作用する外力に対する耐久力を高めることができる。
【0056】
さらに本実施例においては、前側板103及び後側板105を一体化するために用いられるステー106の支持構造として、ステー106の長手方向一端が凹入部1020の内側底部に位置し、長手方向他端が後側板105に固定されるようになっており、支持位置として、トナー容器101の装填部と図5において符号SPで示した所定用紙(記録媒体)の搬送路とを隔絶する位置とされている。これにより、ステー106の使用材料の量を低減できると共に軽量化することができ、しかも、トナー容器101から飛散したトナーが搬送路を移動する所定用紙(記録媒体)へ付着しようとするのを遮蔽することができる。
【0057】
本実施例は以上のような構成であるから、構造体をなす前側板103,後側板105はステー106及び底板107を用いて一体化される。
前側板103は、トナー容器101の設置形式、つまりトナー補給部の設置位置に応じて選択され、図3に示したトナー容器101を用いる場合には、トナー容器101の装填口103A1を有する開口部103Aの周囲に装置本体100の内部に向け凹入するように絞り形成された凹入部1020を備えた構成が用いられる。これにより、前側板103のみをトナー容器の仕様に合わせて選択するだけでこれ以外の部材の変更を不要にしてトナー容器の仕様毎に前側板と外装カバーとの間の対向間隔が異なるように構造体の全体構造を変更する必要がない。
【0058】
しかも、凹入部1020が、所定用紙の搬送路と干渉しないように搬送経路を除いた部分に上方の縁部を位置させ、書き込み装置の占有範囲近傍を含む範囲に下方の縁部をそれぞれ位置させてあることにより、所定用紙の搬送に用いる部材などの変更を不要にすることができる。
【0059】
従って、トナー補給部の設置形式が異なるトナー容器を用いた場合でも、外装カバー104と干渉しないように前側板103と外装カバー104の内面との対向間隔を確保することができる。特に、対向間隔を拡げることができるので、余裕分を構造体の幅方向サイズの縮小化に用いることができ、装置の小型化も可能となる。
【0060】
本実施例においては、前側板103に凹入部1020が設けてあることが認識できるので、この前側板103を用いる対象となるトナー容器との関連性が明確となり、構造体の組み立てに際しての部品取り付けミスなどを防止することができる。しかも、凹入部1020を備えた前側板103を用いる場合には前側板103と外装カバー104との対向間隔が広げられることになるので、例えば、トナー容器103はもちろんのこと、その下方に配置される書き込み装置13の着脱操作の際に手を差し入れる空間が大きく採れることにより狭い空間の場合と違って組み立て作業性や交換作業性を向上させることができる。
【0061】
また、前記対向間隔の拡大に関しては、広くされた対向間隔内の空間にトナー補給部が位置することでトナー補給部の設置作業が容易となるばかりでなく、前側板103の外側にトナー補給部が位置することで所定用紙(記録媒体)の搬送路とトナー補給部とが遮断されて飛散したトナーが所定用紙(記録媒体)の搬送路内に進入するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0062】
13 書き込み装置
100 画像形成装置
101 トナー容器
101A 吐出口
101B 駆動部
102 トナー導入部
103 前側板
103A 開口部
103A1 トナー容器装填部
103A2 書き込み装置装填部
104 外装カバー
105 後側板
1020 凹入部
1020A 上方の縁部
1020B 下方の縁部
L3,L4 前側板と外装カバーとの対向間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2006−146142号公報
【特許文献2】特開2002−189337号公報
【特許文献3】特開2004−54280号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の奥側にて作像ユニットにトナー補給する補給部を有するトナー容器を支持する本体構造体に対し、装置本体手前側にて作像ユニットにトナー補給する補給部を有するトナー容器を支持する画像形成装置であって、
前記本体構造体は画像形成装置本体の手前側と奥側に互いに間隔をあけて対向配置された前側板および後側板とで構成され、
前記トナー容器の補給部が前記前側板の前面より突出するように支持されるとともに、前記前側板における前記補給部の周囲を装置内部に向けて装置の奥側に向かう方向で凹入するように絞り形成され、
上記凹入部は、上記トナーにより形成されたトナー像を担持する用紙の搬送路と干渉しない搬送経路を除いた部分に上方の縁部が、そして、上記作像ユニットに装備される書き込みユニットの占有範囲下部近傍を含む範囲に下方の縁部がそれぞれ位置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記前側板の手前に開閉可能な外装カバーを設け、前記外装カバー裏面と前記前側板前面との距離が前記トナー容器の向きに関わらず一定となるように前記前側板における前記補給部の周囲を装置内部に向けて装置の奥側に向かう方向で凹入するように絞り形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補給部には、前記トナー容器側のトナー吐出口および現像装置側のトナー導入部が備えられ、前記トナー吐出口は、前記前板前面と前記外装カバー裏面との間で前記凹入するように絞り形成された部分に配置され、前記トナー吐出口からのトナーを受け入れるトナー導入部は前記凹入するように絞り形成された部分に位置する段部内に位置させてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−159861(P2012−159861A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−120748(P2012−120748)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2006−346355(P2006−346355)の分割
【原出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】