説明

画像形成装置

【課題】モータの数を減らして、コストダウンを図ることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、正逆回転可能なモータ400と、感光ドラム61に接触する接触位置と、感光ドラム61から離間する離間位置との間で現像ローラ110を移動させる接離カム200と、現像ローラ用の駆動力を現像ローラ110に伝達する伝達位置と、駆動力を遮断する遮断位置とに移動可能な伝達部材の位置を切り替える切替カム300と、を備え、接離カム200とモータ400との間に電磁クラッチ410を設け、切替カム300とモータ400とを電磁クラッチ410を介さずに連結し、モータ400の正逆回転と電磁クラッチ410を利用して、接離カム200および切替カム300を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラを感光ドラムに接離させる接離カムと、現像ローラに対する駆動力の伝達を切り替える切替カムとを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像ローラを感光ドラムに対して接触・離間させるために直線方向に移動可能な接離カムと、接離カムを駆動するためのステッピングモータとを備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。また、この装置では、現像ローラを駆動するためのモータと、感光ドラムを駆動するためのモータが別々に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−162903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、感光ドラムを駆動するためのモータと、現像ローラを駆動するためのモータとを共通化することが望まれているが、モータを共通化すると、感光ドラムや現像ローラを別々に駆動させる制御が困難になるため、モータから現像ローラへの駆動力の伝達を適宜切り替えるための切替カムを設けることが必要となる。
【0005】
しかしながら、このような切替カムを駆動するためのモータをさらに追加すると、モータの数が増え、コストが高くなるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、モータの数を減らして、コストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、正逆回転可能なモータと、静電潜像が形成される感光ドラムと、前記感光ドラムに接触して当該感光ドラム上の静電潜像に現像剤を供給する現像ローラと、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間する離間位置との間で前記現像ローラを移動させる接離カムと、前記現像ローラ用の駆動力を前記現像ローラに伝達する伝達位置と、前記駆動力を遮断する遮断位置とに移動可能な伝達部材の位置を切り替える切替カムと、を備え、前記接離カムおよび前記切替カムのいずれか一方のカムと前記モータとの間に電磁クラッチを設け、他方のカムと前記モータとを電磁クラッチを介さずに連結し、前記モータの正逆回転と前記電磁クラッチを利用して、前記接離カムおよび前記切替カムを駆動させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、モータの正逆回転と電磁クラッチを利用することで、1つのモータで接離カムおよび切替カムを駆動することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1つのモータで接離カムおよび切替カムを駆動することができるので、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを簡略的に示す図である。
【図2】現像ローラが接触位置に位置する状態を示す断面図である。
【図3】現像ローラが離間位置に位置する状態を示す断面図である。
【図4】接離カムを示す斜視図である。
【図5】第1接離カム面と第1離間用レバーとの関係を示す図であり、カラーモードを示す図(a)と、モノクロモードを示す図(b)と、全離間モードを示す図(c)である。
【図6】第2接離カム面と第2離間用レバーとの関係を示す図であり、カラーモードを示す図(a)と、モノクロモードを示す図(b)と、全離間モードを示す図(c)である。
【図7】全離間モードにおけるモータ、接離カムおよび切替カムの関係を示す図である。
【図8】全離間モードからモノクロモードに移行したときのモータ、接離カムおよび切替カムの関係を示す図である。
【図9】モノクロモードからカラーモードに移行したときのモータ、接離カムおよび切替カムの関係を示す図である。
【図10】カラーモードからモノクロモードに移行したときのモータ、接離カムおよび切替カムの関係を示す図である。
【図11】モノクロモードから全離間モードに移行したときのモータ、接離カムおよび切替カムの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0012】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0013】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0014】
給紙部20は、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙搬送装置22とを備えている。
【0015】
画像形成部30は、スキャナユニット40と、プロセスユニット50と、転写ユニット70と、定着装置80とを備えている。
【0016】
スキャナユニット40は、装置本体10内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、スキャナユニット40では、レーザビームが図の2点鎖線で示す経路を通って、プロセスユニット50の各感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射される。
【0017】
プロセスユニット50は、装置本体10の前面に配置されたフロントカバー11を開放することによって形成される開口部10Aを通して、装置本体10に着脱可能となっている。プロセスユニット50は、ドロワ60と、ドロワ60に着脱可能に設けられる4つの現像カートリッジ100とを備えている。
【0018】
ドロワ60は、4つの感光ドラム61を備える他、図示しない公知の帯電器などを備えている。
【0019】
現像カートリッジ100には、現像剤の一例としてのトナーを感光ドラム61に接触して供給する現像ローラ110が回転可能に設けられるとともに、公知のトナー収容室、供給ローラなどが適宜設けられている。
【0020】
転写ユニット70は、給紙部20とプロセスユニット50の間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。
【0021】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外側の面が各感光ドラム61に接している。また、搬送ベルト73の内側には、各感光ドラム61との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光ドラム61に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0022】
定着装置80は、プロセスユニット50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0023】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム61の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ110によって現像カートリッジ100内のトナーが感光ドラム61上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0024】
次に、搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム61と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム61上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0025】
排紙部90は、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ91を備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ91によって搬送され、装置本体10の外部に排出される。
【0026】
<接離カム200および切替カム300の構造>
次に、接離カム200および切替カム300の構造を詳細に説明する。
接離カム200は、前後方向(複数の現像ローラ110の配列方向)に移動可能な直動カムであり、装置本体10に設けられた正逆回転可能な駆動源の一例としてのモータ400に対して電磁クラッチ410を介して連結されている。そして、接離カム200は、前後動することによって、現像ローラ110を、感光ドラム61に接触する接触位置(図2の位置)と、感光ドラム61から離間する離間位置(図3の位置)との間で移動させるように構成されている。
【0027】
ここで、各現像ローラ110は、図2に示すように、ドロワ60に回動可能に設けられる複数の押圧部材63によって現像カートリッジ100を介して感光ドラム61に向けて付勢されるようになっている。なお、押圧部材63は、図示せぬトーションバネによって図示時計回りに付勢されることで、現像カートリッジ100に形成された突起101を感光ドラム61に向けて付勢している。
【0028】
また、ドロワ60には、現像ローラ110を感光ドラム61から離間させるために、押圧部材63の付勢力に抗して現像カートリッジ100の突起101を押圧する離間用レバー64が各現像カートリッジ100に対応して複数設けられている。これにより、図3に示すように、離間用レバー64を図示時計回りに回動させると、離間用レバー64の押圧部641によって突起101が斜め上方に押されて、現像ローラ110が感光ドラム61から離間する。そして、各離間用レバー64は、図4に示す接離カム200によってそれぞれ作動するようになっている。
【0029】
具体的に、接離カム200は、装置本体10に前後方向に移動可能に支持されており、主に、第1接離カム面201と、3つの第2接離カム面202とを有している。
【0030】
第1接離カム面201は、複数の現像ローラ110のうちモノクロ用の第1現像ローラ110A(図1参照)を当該第1現像ローラ110Aに対応した第1感光ドラム61Aに対して接離させるためのカム面であり、前後方向に対して傾斜するように形成されている。また、第1接離カム面201の前側には、第1現像ローラ110Aを離間位置に保持するための第1保持面203が、前後方向に平行となるように形成されている。
【0031】
これにより、図5(a)〜(c)に示すように、接離カム200を後方に移動させると、第1接離カム面201が、第1現像ローラ110Aに対応した第1離間用レバー64Aに当接して当該第1離間用レバー64Aを図示時計回りに押し下げる。そして、第1離間用レバー64Aが第1保持面203まで押し下げられると、当該第1保持面203で第1離間用レバー64A(押圧部材63の付勢力)を受けることで、第1現像ローラ110Aが離間位置に保持される。
【0032】
また、逆に、図5(c)の位置から接離カム200を前方に移動させると、押圧部材63によって付勢されている第1離間用レバー64Aが、第1保持面203および第1接離カム面201上を滑るように移動することで、図5(a)の位置に戻って、第1現像ローラ110Aが接触位置に移動することとなる。
【0033】
図4に示すように、第2接離カム面202は、カラー用の第2現像ローラ110B(図1参照)を当該第2現像ローラ110Bに対応した第2感光ドラム61Bに対して接離させるカム面であり、前後方向に対して傾斜するように形成されている。また、第2接離カム面202の前側には、第2現像ローラ110Bを離間位置に保持するための第2保持面204が、前後方向に平行となるように形成されている。
【0034】
これにより、第2接離カム面202および第2保持面204が、前述した第1接離カム面201および第1保持面203と同じ作用を発揮するようになっている。すなわち、図6(a)〜(c)に示すように、接離カム200を後方に移動させると、第2現像ローラ110Bに対応した第2離間用レバー64Bが図示時計回りに回動して第2現像ローラ110Bが離間位置に保持される。また、接離カム200を前方に移動させると、第2離間用レバー64Bが図示反時計回りに回動して第2現像ローラ110Bが接触位置に移動するようになっている。
【0035】
また、図4に示すように、隣接する一対の第2接離カム面202の間の距離はそれぞれ同じ距離であるのに対し、隣接する第1接離カム面201と第2接離カム面202の間の距離は、一対の第2接離カム面202間の距離とは異なる距離に設定されている。言い換えると、複数の離間用レバー64は同じピッチで配置されているため、第1離間用レバー64Aに対する第1接離カム面201の位置と、第2離間用レバー64Bに対する第2接離カム面202の位置が異なるようになっている。
【0036】
さらに、言い換えると、各離間用レバー64は各現像ローラ110に対して同じ位置に配置されるため、第1現像ローラ110Aに対する第1接離カム面201の位置と、第2現像ローラ110Bに対する第2接離カム面202の位置が異なるようになっている。これにより、図5,6に示すように、第1離間用レバー64Aおよび第2離間用レバー64Bの動き出しのタイミングを変えることができ、現像ローラ110の接離状態のモードを3つのモードに切り替えることが可能となっている。
【0037】
具体的には、現像ローラ110の接離状態を、図5(a)および図6(a)に示すようにすべての現像ローラ110が各感光ドラム61に接触するカラーモードと、図5(b)および図6(b)に示すように、モノクロ用の第1現像ローラ110Aのみが接触するモノクロモードと、図5(c)および図6(c)に示すように、すべての現像ローラ110が各感光ドラム61から離間する全離間モードとに切り替えることが可能となっている。
【0038】
図1に示すように、切替カム300は、装置本体10に前後方向に移動可能に支持される直動カムであり、モータ400に対して正回転用伝達機構の一例としての振子ギヤ機構420を介して連結されている。そして、切替カム300は、前後動することによって、複数の現像ローラ110への駆動力の伝達を許容・禁止するように構成されている。
【0039】
具体的に、切替カム300は、図7〜図9に示すように、前後動することによって、第1伝達部材および第2伝達部材の一例としての第1ギヤ441および第2ギヤ442の位置を伝達位置(図8,9の位置)と、遮断位置(図7の位置)に切り替えるように構成されている。ここで、伝達位置とは、現像ローラ110を駆動するためのモータ430の駆動力を現像ローラ110に伝達する位置をいい、遮断位置とは、モータ430から現像ローラ110への駆動力を遮断する位置をいう。
【0040】
具体的に、モータ430から各現像ローラ110に駆動力を伝達する機構は、前述した第1ギヤ441および第2ギヤ442と、モノクロ用の第1現像ローラ110Aに対応した第1駆動ギヤ443と、カラー用の第2現像ローラ110Bに対応した複数の第2駆動ギヤ444と、第1ギヤ441とモータ430とを連結するための複数のギヤ445,446と、各第2駆動ギヤ444を連結するためのギヤ447とを備えている。
【0041】
第1ギヤ441は、駆動力の伝達方向における上流側に配置されるギヤ445周りを公転可能に構成されており、第1駆動ギヤ443に対して連結・離間可能となっている。第2ギヤ442は、第1駆動ギヤ443周りを公転可能に構成されており、第2駆動ギヤ444に対して連結・離間可能となっている。
【0042】
切替カム300は、第1ギヤ441の位置を切り替える第1切替カム面310と、第2ギヤ442の位置を切り替える第2切替カム面320とを備え、第1ギヤ441を遮断位置に保持するための第1支持面330と、第2ギヤ442を遮断位置に保持するための第2支持面340とを備えている。そして、第1ギヤ441に対する第1切替カム面310の位置(例えば第1ギヤ441の中心に対する第1切替カム面310の前端の位置)と、第2ギヤ442に対する第2切替カム面320の位置は、異なるように設定されている。
【0043】
これにより、図7〜図9に示すように、第1ギヤ441および第2ギヤ442の動き出しのタイミングを変えることができ、現像ローラ110の駆動状態のモードを3つのモードに切り替えることが可能となっている。具体的には、現像ローラ110の駆動状態を、図7に示すように、すべての現像ローラ110に駆動力が伝達されない非伝達モードと、図8に示すように、モノクロ用の第1現像ローラ110A(第1駆動ギヤ443)のみに駆動力を伝達するモノクロモードと、図9に示すように、すべての現像ローラ110(第1駆動ギヤ443およびすべての第2駆動ギヤ444)に駆動力を伝達するカラーモードとに切り替えることが可能となっている。
【0044】
振子ギヤ機構420は、切替カム300に対してモータ400の正回転時の駆動力のみを伝達する機構であり、主に、サンギヤ421と、プラネタリギヤ422と、連結部材423とを備えている。サンギヤ421は、複数のギヤ401を介してモータ400に連結されている。
【0045】
プラネタリギヤ422は、その回転軸がサンギヤ421の回転軸に連結部材423によって連結されることで、サンギヤ421周りを転動(公転)可能となっている。そして、このプラネタリギヤ422は、図8,9に示すように、モータ400の正回転時(図示時計回りに回転するとき)には、図示反時計回りに揺動する連結部材423によって切替カム300に向けて付勢されることで切替カム300のギヤ歯部301に噛み合う(連結する)ようになっている。また、図10に示すように、モータ400の逆回転時には、図示時計回りに揺動する連結部材423によって、プラネタリギヤ422が切替カム300のギヤ歯部301から離間(連結が解除)されるようになっている。
【0046】
これにより、図7〜図9に示すように、モータ400の正回転時には、当該モータ400の駆動力を利用して切替カム300を前方に動かすことが可能であり、モータ400の逆回転時には、当該モータ400と切替カム300との連結が切られるようになっている。
【0047】
また、切替カム300の上方に配置される接離カム200の前部には、下方に延びて切替カム300の前端に係合可能な係合部230が設けられている。この係合部230は、モータ400の逆回転時において前後方向で切替カム300の前端に係合することで、接離カム200とともに切替カム300を後方に移動させるように構成されている。言い換えると、モータ400の逆回転時の駆動力が接離カム200を介して切替カム300に伝わるように構成されている。
【0048】
これにより、図10,11に示すように、モータ400の逆回転時には、接離カム200と切替カム300が一緒に動いて初期位置に戻るので、初期位置において接離カム200と切替カム300との位置関係を略一定にすることが可能となっている。
【0049】
そして、接離カム200と切替カム300は、図1に示す制御装置450によって制御されている。制御装置450は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROMに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて各演算処理を行うことによって制御を実行する。
【0050】
具体的に、制御装置450は、第1現像ローラ110Aが離間位置から接触位置に移動する前に第1ギヤ441を遮断位置から伝達位置に移動させるとともに、第2現像ローラ110Bが離間位置から接触位置に移動する前に第2ギヤ442を遮断位置から伝達位置に移動させるように、電磁クラッチ410を制御する。これにより、止まっている現像ローラ110を、回転している感光ドラム61に接触させることで、現像ローラ110が磨耗するのを抑えることが可能となっている。
【0051】
また、装置本体10には、接離カム200の初期位置(図7の位置)を検知するセンサ460が設けられ、制御装置450は、センサ460からの信号に基づいて、接離カム200が初期位置に到達したか否かを判断し、到達していない場合にはモータ400を制御して接離カム200を初期位置に戻す制御も行っている。これにより、制御装置450は、図11に示すように、モータ400の逆回転により接離カム200を初期位置に戻そうとしたときに、接離カム200が初期位置からずれている場合には、センサ460からの信号に基づいて、ずれ量を算出し、このずれ量に基いてモータ400を正回転または逆回転させて接離カム200の位置を微調整するので、接離カム200を確実に初期位置に戻すことが可能となっている。
【0052】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
モータ400の正逆回転と電磁クラッチ410を利用することで、1つのモータ400で接離カム200および切替カム300を駆動することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0053】
現像ローラ110が離間位置から接触位置に移動する前に、第1ギヤ441(または第2ギヤ442)が遮断位置から伝達位置に移動するので、止まっている現像ローラ110を、回転している感光ドラム61に接触させることで、現像ローラ110が磨耗するのを抑えることができる。
【0054】
第1現像ローラ110Aに対する第1接離カム面201の位置と、第2現像ローラ110Bに対する第2接離カム面202の位置が異なるとともに、第1ギヤ441に対する第1切替カム面310の位置と、第2ギヤ442に対する第2切替カム面320の位置が異なるので、現像ローラ110と感光ドラム61との接離状態や現像ローラ110の駆動状態を3つのモードで切り替えることができる。
【0055】
モータ400の逆回転時の駆動力が接離カム200を介して切替カム300に伝わるように構成されているので、初期位置において接離カム200と切替カム300との位置関係を略一定にすることができる。
【0056】
モータ400の逆回転時には振子ギヤ機構420によって切替カム300とモータ400との連結を完全に切ることができるので(プラネタリギヤ422が切替カム300から離間するので)、例えばワンウェイクラッチによって逆回転時の駆動力を切る構造に比べ、切替カム300を初期位置に戻すときの負荷を減らすことができる。
【0057】
接離カム200側に電磁クラッチ410を設けたので、切替カム300を先に動かした後に接離カム200を動かす構造(前述したような現像ローラ110が離間位置から接触位置に移動する前に第1ギヤ441等が遮断位置から伝達位置に移動する構造)を容易に作ることができる。
【0058】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
前記実施形態では、モータ400を接離カム200と切替カム300に連結したが、本発明はこれに限定されず、モータ400の駆動力が定着装置80に伝達されるように、モータ400と定着装置80とを連結してもよい。この場合には、定着装置80専用のモータが不要になるので、更なるコストダウンを図ることができる。
【0060】
前記実施形態では、接離カム200や切替カム300を直動カムとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば中心から円周までの距離が異なる円板カムなどであってもよい。
【0061】
前記実施形態では、接離カム200等を駆動するためのモータ400とは別に、現像ローラ110を駆動するためのモータ430を設けたが、本発明はこれに限定されず、モータ400の駆動力で現像ローラ110を駆動するように構成してもよい。
【0062】
前記実施形態では、正回転用伝達機構として振子ギヤ機構420を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばワンウェイクラッチなどであってもよい。
【0063】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタや複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、切替カム300は、モータ400に対して振子ギヤ機構420を介して連結され、接離カム200は、モータ400に対して電磁クラッチ410を介して連結されていたが、切替カム300がモータ400に対して電磁クラッチを介して連結され、接離カム200が振子ギヤ機構420を介して連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 カラープリンタ
10 装置本体
61 感光ドラム
110 現像ローラ
200 接離カム
300 切替カム
400 モータ
410 電磁クラッチ
420 振子ギヤ機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転可能なモータと、
静電潜像が形成される感光ドラムと、
前記感光ドラムに接触して当該感光ドラム上の静電潜像に現像剤を供給する現像ローラと、
前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間する離間位置との間で前記現像ローラを移動させる接離カムと、
前記現像ローラ用の駆動力を前記現像ローラに伝達する伝達位置と、前記駆動力を遮断する遮断位置とに移動可能な伝達部材の位置を切り替える切替カムと、を備え、
前記接離カムおよび前記切替カムのいずれか一方のカムと前記モータとの間に電磁クラッチを設け、他方のカムと前記モータとを電磁クラッチを介さずに連結し、前記モータの正逆回転と前記電磁クラッチを利用して、前記接離カムおよび前記切替カムを駆動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ローラが前記離間位置から前記接触位置に移動する前に、前記伝達部材が前記遮断位置から前記伝達位置に移動するように、前記電磁クラッチを制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像ローラおよび前記感光ドラムを複数備え、
前記接離カムは、前記複数の現像ローラのうち第1現像ローラを当該第1現像ローラに対応した第1感光ドラムに対して接離させる第1接離カム面と、前記第1現像ローラとは別の第2現像ローラを当該第2現像ローラに対応した第2感光ドラムに対して接離させる第2接離カム面と、を備え、
前記切替カムは、前記第1現像ローラに対応する第1伝達部材の位置を切り替える第1切替カム面と、前記第2現像ローラに対応する第2伝達部材の位置を切り替える第2切替カム面とを備え、
前記第1現像ローラに対する前記第1接離カム面の位置と前記第2現像ローラに対する第2接離カム面の位置が異なるとともに、前記第1伝達部材に対する前記第1切替カム面と前記第2伝達部材に対する前記第2切替カム面の位置とが異なることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接離カムおよび前記切替カムは、前記複数の現像ローラの配列方向に移動可能な直動カムであり、
前記他方のカムと前記モータとの間に、当該他方のカムに対して前記モータの正回転時の駆動力のみを伝達する正回転用伝達機構を設け、
前記モータの逆回転時において前記一方のカムが前記配列方向で前記他方のカムに係合することで、前記モータの逆回転時の駆動力が前記一方のカムを介して前記他方のカムに伝わるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記正回転用伝達機構は、
サンギヤと、当該サンギヤ周りを転動するプラネタリギヤと、前記サンギヤの軸と前記プラネタリギヤの軸を連結する連結部材とを有する振子ギヤ機構であり、
前記モータの正回転時に前記他方のカムに連結され、前記モータの逆回転時に前記他方のカムとの連結が解除されるように構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方のカムは、前記接離カムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録シートに形成された現像剤像を熱定着する定着装置を備え、
前記モータの駆動力が前記定着装置に伝達されるように、前記モータと前記定着装置が連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−212074(P2012−212074A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78450(P2011−78450)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】