説明

画像形成装置

【課題】回転駆動源の回転駆動力をブラック現像ローラに伝達/伝達遮断することができながら、回転駆動源を他の部材の駆動源としても使用することができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1モードでは、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25の両方と第1中間ギヤ37とが噛合する。第2モードでは、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合が解除される。第1中間ギヤ37の回転中心は、第3現像伝達ギヤ36の回転中心とブラック現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上におけるブラック現像ギヤ25のギヤ歯の移動方向の上流側に配置されている。これにより、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合が解除されるときに、第1中間ギヤ37がブラック現像ギヤ25から抜けやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタの一例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した感光体ドラムが並列に配置されている。各感光体ドラムに対応づけて、感光体ドラムにトナー像を形成するための現像ユニットが設けられている。
【0003】
カラー画像の形成時には、各現像ユニットが駆動されて、各感光体ドラムにトナー像が形成される。そして、各感光体ドラムに形成されたトナー像が直接または中間転写ベルトを介して用紙に転写されることにより、各色のトナー像の重ね合わせからなるカラー画像が用紙に形成される。
【0004】
一方、モノクロ画像の形成時には、ブラックの感光体ドラムのみにトナー像が形成され、そのブラックのトナー像が直接または中間転写ベルトを介して用紙に転写されるとよい。そのため、モノクロ画像の形成時には、ブラックの現像ユニットのみを駆動させ、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ユニットを駆動させる必要がない。
【0005】
そこで、ブラックの現像ユニットに駆動力を伝達するためのギヤ列と、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各現像ユニットに駆動力を伝達するためのギヤ列とを分けて設け、それらのギヤ列に駆動力を選択的に入力するようにした構成が提案されている。
【0006】
1つの提案に係る構成では、2つのギヤ列の間に揺動ギヤが設けられている。揺動ギヤには、モータの駆動力(回転)が入力されるようになっている。モータが第1の方向に回転されると、揺動ギヤが一方のギヤ列に噛合して、揺動ギヤの回転がそのギヤ列を介して各現像ユニットに伝達される。モータが第1の方向と反対の第2の方向に回転されると、揺動ギヤが他方のギヤ列に噛合して、揺動ギヤの回転がそのギヤ列を介してブラックの現像ユニットのみに伝達される。これにより、モノクロ画像の形成時には、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ユニットの駆動を停止させておくことができるので、それらの現像ユニット内のトナーの劣化などを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−72021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、その提案に係る構成では、モータがカラー画像の形成時とモノクロ画像の形成時とで互いに逆方向に回転されるので、そのモータをカラープリンタに備えられる他の部材の駆動源として使用することが困難である。たとえば、感光体ドラムや用紙を搬送するためのローラなどは、常に一方向に回転させなければならないので、これらの駆動源として現像ユニットの駆動源であるモータを使用することは困難である。
【0009】
本発明の目的は、回転駆動源の回転駆動力をブラック現像ローラに伝達/伝達遮断することができながら、回転駆動源を他の部材の駆動源としても使用することができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、画像形成装置において、回転駆動源と、ブラックの現像剤を担持するブラック現像ローラを有するブラック現像器と、前記回転駆動源からの所定方向の回転駆動力が伝達される第1ギヤと、前記回転駆動力を前記ブラック現像ローラに伝達するための第2ギヤと、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤと噛合するように設けられ、前記第1ギヤの回転中心と前記第2ギヤの回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における前記第2ギヤのギヤ歯の移動方向の上流側に回転中心が配置されるように設けられた第1中間ギヤと、直線移動可能に設けられ、その直線移動により、前記第1中間ギヤを移動させて、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤの両方と前記第1中間ギヤとが噛合する第1モードと、前記第2ギヤと前記第1中間ギヤとの噛合が解除される第2モードとに切り換えるための直動カム部材とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置には、第1ギヤ、第2ギヤおよび第1中間ギヤが備えられている。第1ギヤには、回転駆動源からの所定方向の回転駆動力が伝達される。第1中間ギヤは、第1ギヤおよび第2ギヤと噛合するように設けられている。
【0012】
また、直動カム部材が直線移動可能に設けられている。直動カム部材の直線移動により、第1モードと第2モードとに切り換えられる。第1モードでは、第1ギヤおよび第2ギヤの両方と第1中間ギヤとが噛合する。これにより、第1ギヤに伝達される回転駆動力は、第1中間ギヤを介して第2ギヤに伝達され、第2ギヤからブラック現像ローラに伝達される。その結果、ブラック現像ローラが回転する。第2モードでは、第2ギヤと第1中間ギヤとの噛合が解除される。そのため、第2モードでは、第1ギヤに伝達される回転駆動力が第2ギヤおよびブラック現像ローラに伝達されず、ブラック現像ローラは回転しない。
【0013】
このように、回転駆動源の回転駆動力をブラック現像ローラに伝達/伝達遮断することができる。よって、ブラック現像ローラを回転させる必要がないときには、ブラック現像ローラを停止させておくことができる。その結果、ブラック現像ローラの無駄な回転による現像剤の劣化およびブラック現像ローラの摩耗を防止することができる。
【0014】
そして、第2モードにおいても、回転駆動源から所定方向の回転駆動力を出力させて、その回転駆動力をブラック現像ローラ以外の部材の駆動に利用することができる。よって、回転駆動源をブラック現像ローラ以外の部材の駆動源としても使用することができる。
【0015】
また、第1中間ギヤの回転中心は、第1ギヤの回転中心と第2ギヤの回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における第2ギヤのギヤ歯の移動方向の上流側に配置されている。言い換えれば、第1中間ギヤの回転中心は、第1ギヤの回転中心と第2ギヤの回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における第1ギヤのギヤ歯の移動方向の下流側に配置されている。これにより、第1ギヤから第1中間ギヤに回転駆動力が伝達されるときに、第1中間ギヤ(ギヤ歯)は、第1ギヤから第1中間ギヤが第2ギヤに噛み込む方向と逆方向の力を受ける。また、第1中間ギヤから第2ギヤに回転駆動力が伝達されるときに、第1中間ギヤ(ギヤ歯)は、第2ギヤから第1中間ギヤが第1ギヤに噛み込む方向と逆方向の力を反力として受ける。そのため、第2ギヤと第1中間ギヤとの噛合が解除されるときに、第1中間ギヤが第2ギヤから抜けやすい。よって、第2ギヤと第1中間ギヤとの噛合をスムーズに解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのカラープリンタの模式的な断面図である。
【図2】図2は、カラープリンタの駆動機構の斜視図である。
【図3】図3は、駆動機構の左側面図であり、カラーモード時の状態を示す。
【図4】図4は、駆動機構の左側面図であり、モノクロモード時の状態を示す。
【図5】図5は、駆動機構の左側面図であり、非駆動モード時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.カラープリンタの全体構成
図1に示されるように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の正面には、カバーの一例としてのフロントカバー3が開口4を開閉可能に設けられている。
【0018】
なお、カラープリンタ1の正面側は、前後方向における前側である。また、カラープリンタ1が平面上に載置された状態で、その平面に直交する方向が上下方向である。そして、平面上に載置されたカラープリンタ1を前側から見て、カラープリンタ1の左右を規定する。
【0019】
本体ケーシング2内には、4つの感光ドラム5が設けられている。各感光ドラム5は、その周面が左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能なように設けられている。4つの感光ドラム5は、それぞれブラック、イエロー、マゼンタおよびシアン用であり、後側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアン用の順に前後方向に等間隔で並列に配置されている。
【0020】
各感光ドラム5の周囲には、帯電器6、現像器7および回収部材8が設けられている。帯電器6は、感光ドラム5の後上方に配置されている。現像器7は、感光ドラム5の前上方に配置されている。回収部材8は、感光ドラム5の後方に配置されている。
【0021】
現像器7は、現像剤の一例としてのトナーを収容する現像筐体71と、現像筐体71に保持される現像ローラ72とを備えている。現像筐体71の下端部には、左右方向に長い開口が形成されている。現像ローラ72は、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能なように、現像筐体71の下端部に設けられている。現像ローラ72の周面の一部は、現像筐体71の下端部の開口から露出し、感光ドラム5の表面(周面)に接触している。また、現像筐体71の左側面および右側面の上端部には、円柱状の押圧ボス73がそれぞれ左方および右方に突出して設けられている。
【0022】
なお、イエロー、マゼンタおよびシアンの感光ドラム5を総称するときは、「カラー感光ドラム5」という。また、ブラックの感光ドラム5をカラー感光ドラム5と区別するときには、ブラックの感光ドラム5を「ブラック感光ドラム5」という。そして、カラー感光ドラム5に対応して設けられている現像器7を「カラー現像器7」といい、ブラック感光ドラム5に対応して設けられている現像器7を「ブラック現像器7」という。
【0023】
本体ケーシング2内の最上部には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器10が配置されている。
【0024】
画像形成時において、感光ドラム5は、左側から見て時計回りに回転される。感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、帯電器6からの放電により一様に帯電された後、露光器10からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム5の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器7の現像ローラ72からのトナーの供給により、トナー像に現像される。
【0025】
また、本体ケーシング2内には、上下方向の中央より少し下方の位置に、用紙搬送ベルト11が設けられている。用紙搬送ベルト11は、2つのローラ12,13に巻回された無端状のベルトである。2つのローラ12,13は、上下方向において同じ位置に配置され、前後方向に間隔を空けて配置されている。これにより、用紙搬送ベルト11は、2つのローラ12,13の各上端間において、前後方向および左右方向に延びる平面状部分を有している。この平面状部分は、4つの感光ドラム5と接触している。
【0026】
用紙搬送ベルト11の平面状部分を挟んで各感光ドラム5と対向する位置には、転写ローラ14が配置されている。用紙搬送ベルト11および4つの転写ローラ14により、転写ベルトの一例が構成されている。
【0027】
本体ケーシング2の底部には、シートの一例としての用紙Pを収容する給紙カセット15が配置されている。給紙カセット15に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、用紙搬送ベルト11の平面状部分上に送り込まれる。そして、用紙Pは、用紙搬送ベルト11により、用紙搬送ベルト11と各感光ドラム5との間を通して後方に搬送される。
【0028】
画像形成時において、用紙搬送ベルト11は、左側から見て反時計回りに周回走行する。転写ローラ14には、転写バイアスが供給されている。用紙Pにモノクロ画像が形成されるときには、ブラックの感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。そして、そのトナー像は、転写バイアスの作用により、用紙搬送ベルト11によって搬送される用紙Pに転写される。これにより、用紙Pには、ブラックのトナー像からなるモノクロ画像が形成される。また、用紙Pにカラー画像が形成されるときには、2つ以上の感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。そして、それらのトナー像は、転写バイアスの作用により、用紙搬送ベルト11によって搬送される用紙Pに互いに重ね合わせて転写される。これにより、用紙Pには、各色のトナー像の重ね合わせによるカラー画像が形成される。
【0029】
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後に、感光ドラム5の表面に残留するトナーなどの付着物は、回収部材8に供給されている回収バイアスの作用により、感光ドラム5の表面から回収部材8に回収される。
【0030】
用紙搬送ベルト11の後方には、定着器16が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器16に搬送される。定着器16では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ17に排出される。
2.駆動機構
本体ケーシング2内には、図2に示されるように、回転駆動源の一例としてのモータ21が設けられている。そして、本体ケーシング2内には、モータ21の出力軸に取り付けられたギヤ22と噛合するモータギヤ23と、モータギヤ23と噛合する2段ギヤ24と、4つの現像ギヤ25と、2段ギヤ24の回転(モータ21からの回転駆動力)を現像ギヤ25に伝達するための現像駆動伝達機構26と、現像駆動伝達機構26による回転駆動力の伝達/遮断を切り換える切換機構27と、現像ローラ72が感光ドラム5に圧接する方向に現像器7を押圧するための押圧機構28とが設けられている。
2−1.2段ギヤ
2段ギヤ24は、相対的に大径のモータギヤ噛合部31および相対的に小径の現像伝達ギヤ噛合部32を一体的に備えている。モータギヤ噛合部31および現像伝達ギヤ噛合部32は、共通の回転軸33を中心に回転可能に設けられている。回転軸33は、たとえば、本体ケーシング2に支持されている。2段ギヤ24は、モータギヤ23の前方に配置されている。モータギヤ噛合部31は、モータギヤ23と噛合している。
【0031】
また、モータギヤ噛合部31には、モータギヤ噛合部31の回転(モータ21からの回転駆動力)を感光ドラム5に伝達するためのギヤ列(図示せず)が接続されている。これにより、そのギヤ列および2段ギヤ24のモータギヤ噛合部31は、ドラム駆動伝達機構の一例をなしている。
2−2.現像ギヤ
4つの現像ギヤ25は、各現像器7の現像筐体71の左側面に回転可能に設けられ、前後方向に等間隔で配置されている。現像ギヤ25に伝達される回転駆動力により、現像ローラ72など、現像器7に備えられる各部材(回転駆動力によって回転する部材)が回転する。
2−3.現像駆動伝達機構
現像駆動伝達機構26には、第1現像伝達ギヤ34、第2現像伝達ギヤ35、第1ギヤの一例としての第3現像伝達ギヤ36、第1中間ギヤ37、第2中間ギヤ38、第3中間ギヤ39および第4中間ギヤ40が含まれる。第1現像伝達ギヤ34、第2現像伝達ギヤ35、第3現像伝達ギヤ36、第1中間ギヤ37、第2中間ギヤ38、第3中間ギヤ39および第4中間ギヤ40は、たとえば、本体ケーシング2に回転可能に支持されている。
【0032】
第1現像伝達ギヤ34は、現像伝達ギヤ噛合部32の前方に配置され、現像伝達ギヤ噛合部32と噛合している。
【0033】
第2現像伝達ギヤ35は、第1現像伝達ギヤ34の下方に配置され、第1現像伝達ギヤ34と噛合している。
【0034】
第3現像伝達ギヤ36は、第2現像伝達ギヤ35のやや前下方であって、4つの現像ギヤ25と同じ高さの位置に配置されている。第3現像伝達ギヤ36は、第2現像伝達ギヤ35と噛合している。
【0035】
第1中間ギヤ37の回転軸41は、第3現像伝達ギヤ36の回転中心とブラック現像器7の現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して下方に配置されて、本体ケーシング2に回転可能かつ上下方向に移動可能に支持されている。そして、第1中間ギヤ37は、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像器7の現像ギヤ25に対して、それらの下方から噛合している。
【0036】
なお、ブラック現像器7の現像ギヤ25は、第2ギヤの一例である。以下では、ブラック現像器7の現像ギヤ25を「ブラック現像ギヤ25」という。
【0037】
第2中間ギヤ38の回転軸42は、ブラック現像ギヤ25の回転中心とイエローの現像器7の現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して下方に配置されて、本体ケーシング2に回転可能かつ上下方向に移動可能に支持されている。そして、第2中間ギヤ38は、ブラック現像ギヤ25およびイエローの現像器7の現像ギヤ25に対して、それらの下方から噛合している。
【0038】
なお、イエローの現像器7の現像ギヤ25は、第3ギヤの一例である。以下では、イエローの現像器7の現像ギヤ25を「イエロー現像ギヤ25」という。
【0039】
第3中間ギヤ39の回転軸43は、イエロー現像ギヤ25の回転中心とマゼンタの現像器7の現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して上方に配置されて、本体ケーシング2に回転可能に支持されている。そして、第3中間ギヤ39は、イエロー現像ギヤ25およびマゼンタの現像器7の現像ギヤ25に対して、それらの上方から噛合している。
【0040】
第4中間ギヤ40の回転軸44は、マゼンタの現像器7の現像ギヤ25の回転中心とシアンの現像器7の現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して上方に配置されて、本体ケーシング2に回転可能に支持されている。そして、第4中間ギヤ40は、マゼンタの現像器7の現像ギヤ25およびシアンの現像器7の現像ギヤ25に対して、それらの上方から噛合している。
2−4.切換機構
切換機構27には、直動カム部材の一例としての駆動切断カム部材51と、モータ21からの回転駆動力がモータギヤ23および電磁クラッチ52を介して伝達される回転部材53と、回転部材53の回転を駆動切断カム部材51の往復直線移動に変換するリンク機構54とが含まれる。
【0041】
駆動切断カム部材51は、左右方向に厚みを有する細長い薄板状に形成され、現像駆動伝達機構26の左方で前後方向に延びるように配置されている。
【0042】
駆動切断カム部材51の後端部には、第1中間ギヤ用カム部55が上方に突出して形成されている。第1中間ギヤ用カム部55は、側面視台形状をなしている。具体的には、第1中間ギヤ用カム部55は、前後方向に延びる上面57と、上面57の前端縁から前下方に傾斜して延びる第1中間ギヤ用傾斜面56とを有している。駆動切断カム部材51の上面に対する第1中間ギヤ用傾斜面56の傾斜角度は、駆動切断カム部材51の上面に対する第3現像伝達ギヤ36の回転中心と第1中間ギヤ37の回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである。
【0043】
また、駆動切断カム部材51には、第1中間ギヤ用カム部55に対して前方に間隔を空けた位置に、第2中間ギヤ用カム部59が上方に突出して形成されている。第2中間ギヤ用カム部59は、側面視台形状をなしている。具体的には、第2中間ギヤ用カム部59は、駆動切断カム部材51の上面から上方に延びる後面58と、後面58の上端縁から前方に延びる上面61と、上面61の前端縁から前下方に傾斜して延びる第2中間ギヤ用傾斜面60とを有している。駆動切断カム部材51の上面に対する第2中間ギヤ用傾斜面60の傾斜角度は、駆動切断カム部材51の上面に対するブラック現像ギヤ25の回転中心と第2中間ギヤ38の回転中心と第1中間ギヤ37の回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである。
【0044】
回転部材53は、中心軸線が左右方向に延びる円板状をなし、本体ケーシング2に回転可能に支持されている。
【0045】
リンク機構54には、駆動切断カム部材51の後端部から左方に突出する前リンク軸62と、回転部材53から左方に突出する後リンク軸63と、左右方向に厚みを有する細長い薄板状に形成され、一端部(前端部)に前リンク軸62が回動可能に挿通され、他端部(後端部)に後リンク軸63が回動可能に挿通されたリンク部材64とが含まれる。
2−5.押圧機構
押圧機構28には、1対の押圧直動部材65と、左側の押圧直動部材65に駆動力を伝達する押圧駆動伝達機構66(図3参照)と、右側の押圧直動部材65を左側の押圧直動部材65と同期して移動させるための同期移動機構67とが含まれる。
【0046】
1対の押圧直動部材65は、現像駆動伝達機構26および切換機構27の上方で、左右方向に互いに間隔を空けて配置されている。各押圧直動部材65は、前後方向に延び、左右方向に厚みを有する細長い薄板状をなし、本体ケーシング2内のホルダ(図示せず)により、前後方向に移動可能に保持されている。
【0047】
各押圧直動部材65の左右方向の内側面には、4つの現像器7の押圧ボス73に対応づけて、4つの押圧作用部68が形成されている。4つの押圧作用部68は、前後方向に互いに隣り合う2つの押圧作用部68の各前端縁間の間隔が一定となるように、前後方向に並べて形成されている。ブラック現像器7の押圧ボス73に対応する押圧作用部68、つまり最後方の押圧作用部68は、残りの3つの押圧作用部68よりも前後方向に長く形成されている。この寸法の違いにより、後述するように、すべての現像ローラ72を感光ドラム5に圧接(押圧)させたり、ブラック現像器7の現像ローラ72(以下「ブラック現像ローラ72」という。)のみを感光ドラム5に圧接させたり、すべての現像ローラ72を感光ドラム5に圧接させたり、その圧接を解除したりすることができる。
【0048】
押圧駆動伝達機構66には、図3に示されるように、駆動切断カム部材51の前端部に形成された出力ラックギヤ81と、出力ラックギヤ81と噛合する第1伝達ギヤ82と、第1伝達ギヤ82と噛合する第2伝達ギヤ83と、第2伝達ギヤ83と噛合する第3伝達ギヤ84と、左側の押圧直動部材65の前端部の下面に形成され、第3伝達ギヤ84と噛合する入力ラックギヤ85とが含まれる。第1伝達ギヤ82、第2伝達ギヤ83および第3伝達ギヤ84は、本体ケーシング2に回転可能に支持されている。駆動切断カム部材51の前端部には、上方に突出する側面視台形状の突出部69が形成されており、出力ラックギヤ81は、その突出部69の上面に形成されている。
【0049】
同期移動機構67には、図2に示されるように、各押圧直動部材65の後端部の上面に形成されたラックギヤ86と、各ラックギヤ86に噛合するピニオンギヤ87と、左右のピニオンギヤ87が相対回転不能に取り付けられる連結軸88とが含まれる。
3.動作
カラープリンタ1は、動作モードとして、用紙Pにカラー画像を形成するカラーモードと、用紙Pにモノクロ画像を形成するモノクロモードと、すべての現像器7の現像ローラ72が駆動されない非駆動モードとを有している。
【0050】
第1モードの一例としてのカラーモードでは、図3に示されるように、後リンク軸63が回転部材53の回転中心の前方に位置して、駆動切断カム部材51およびリンク部材64が前後方向に一直線状に延びている。このとき、第1中間ギヤ用カム部55および第2中間ギヤ用カム部59は、それぞれ第1中間ギヤ37の回転軸41および第2中間ギヤ38の回転軸42の下方に位置している。言い換えれば、第1中間ギヤ37の回転軸41および第2中間ギヤ38の回転軸42は、それぞれ第1中間ギヤ用カム部55の上面57および第2中間ギヤ用カム部59の上面61に当接している。第1中間ギヤ37の回転軸41と第1中間ギヤ用カム部55の第1中間ギヤ用傾斜面56の後端縁との間には、第2中間ギヤ38の回転軸42と第2中間ギヤ用カム部59の第2中間ギヤ用傾斜面60の後端縁との間の間隔よりも大きい間隔が空いている。
【0051】
そして、第1中間ギヤ37は、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25と噛合している。第2中間ギヤ38は、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25と噛合している。第3中間ギヤ39は、イエロー現像ギヤ25およびマゼンタの現像器7の現像ギヤ25と噛合している。第4中間ギヤ40は、マゼンタの現像器7の現像ギヤ25およびシアンの現像器7の現像ギヤ25と噛合している。
【0052】
モータ21が駆動されると、モータ21からの回転駆動力により、モータギヤ23が左側から見て時計回りに回転する。これに伴い、モータギヤ23と噛合している2段ギヤ24が左側から見て反時計回りに回転する。また、2段ギヤ24の現像伝達ギヤ噛合部32と噛合している第1現像伝達ギヤ34が左側から見て時計回りに回転し、第1現像伝達ギヤ34と噛合している第2現像伝達ギヤ35が左側から見て反時計回りに回転する。さらに、第2現像伝達ギヤ35と噛合している第3現像伝達ギヤ36が左側から見て時計回りに回転する。
【0053】
そして、第1中間ギヤ37が第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25と噛合しているので、第3現像伝達ギヤ36の回転に伴って、第1中間ギヤ37が左側から見て反時計回りに回転し、ブラック現像ギヤ25が左側から見て時計回りに回転する。
【0054】
また、第2中間ギヤ38がブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25と噛合しているので、ブラック現像ギヤ25の回転に伴って、第2中間ギヤ38が左側から見て反時計回りに回転し、イエロー現像ギヤ25が左側から見て時計回りに回転する。
【0055】
さらに、第3中間ギヤ39がイエロー現像ギヤ25およびマゼンタの現像器7の現像ギヤ25と噛合しているので、イエロー現像ギヤ25の回転に伴って、第3中間ギヤ39が左側から見て反時計回りに回転し、マゼンタの現像器7の現像ギヤ25が左側から見て時計回りに回転する。
【0056】
また、第4中間ギヤ40がマゼンタの現像器7の現像ギヤ25およびシアンの現像器7の現像ギヤ25と噛合しているので、マゼンタの現像器7の現像ギヤ25の回転に伴って、第4中間ギヤ40が左側から見て反時計回りに回転し、シアンの現像器7の現像ギヤ25が左側から見て時計回りに回転する。
【0057】
このように、カラーモードでは、モータ21からの回転駆動力がすべての現像器7の現像ギヤ25に伝達されて、すべての現像ギヤ25が回転する。その結果、すべての現像器7の現像ローラ72が回転する。
【0058】
また、カラーモードでは、押圧直動部材65の各押圧作用部68(図2参照)が各現像器7の押圧ボス73に上方から押圧している。これにより、すべての現像ローラ72が感光ドラム5に圧接している。
【0059】
押圧駆動伝達機構66において、第1伝達ギヤ82は、出力ラックギヤ81の後端部と噛合し、第3伝達ギヤ84は、入力ラックギヤ85の前端部と噛合している。
【0060】
同期移動機構67において、ピニオンギヤ87は、ラックギア85の前端部と噛合している。
【0061】
カラーモードから第3モードの一例としてのモノクロモードに移行されるときには、電磁クラッチ52が伝達状態にされて、モータ21からの回転駆動力が回転部材53に伝達され、回転部材53が左側から見て反時計回りに約90°回転される。回転部材53の回転に伴って、図4に示されるように、後リンク軸63が回転部材53の回転中心に対する前方の位置から上方の位置に移動し、リンク部材64の後端部が後上方に円弧を描きながら移動する。このリング部材64の移動に伴って、駆動切断カム部材51が前後方向に延びた姿勢のまま、後方に移動する。
【0062】
駆動切断カム部材51の移動の途中で、第2中間ギヤ38の回転軸42が第2中間ギヤ用カム部59の上面61上から第2中間ギヤ用傾斜面60上に移動する。そして、その後の駆動切断カム部材51の移動に伴って、回転軸42は、第2中間ギヤ用傾斜面60に沿って下方に移動する。これにより、第2中間ギヤ38は、ブラック現像ギヤ25との噛合状態を維持したまま、後下方に移動し、イエロー現像ギヤ25から離間する。その結果、図4に示されるように、第2中間ギヤ38とイエロー現像ギヤ25との噛合が解除される。
【0063】
回転部材53の回転が停止した時点で、回転軸42は、駆動切断カム部材51の上面上に位置し、その後は、第2中間ギヤ38とイエロー現像ギヤ25との噛合が解除された状態が維持される。
【0064】
また、駆動切断カム部材51の後方への移動に伴って、第1伝達ギヤ82が左側から見て時計回りに回転する。第1伝達ギヤ82の回転に伴って、第2伝達ギヤ83が左側から見て反時計回りに回転し、さらに、第3伝達ギヤ84が左側から見て時計回りに回転する。そして、第3伝達ギヤ84の回転に伴って、押圧直動部材65が前方に移動し、カラー現像器7の押圧ボス73から押圧作用部68が離間する。その結果、カラー感光ドラム5に対するカラー現像器7の現像ローラ72の圧接状態が解除される。ブラック現像器7の押圧ボス73は、押圧作用部68によって依然として上方から押圧されており、ブラック現像ローラ72は、ブラック感光ドラム5に圧接している。
【0065】
モノクロモードでは、第2中間ギヤ38とイエロー現像ギヤ25との噛合が解除された状態で、モータ21が駆動される。モータ21からの回転駆動力は、カラーモード時と同様に、モータギヤ23、2段ギヤ24、第1現像伝達ギヤ34、第2現像伝達ギヤ35、第3現像伝達ギヤ36および第1中間ギヤ37を介して、ブラック現像ギヤ25に伝達される。また、ブラック現像ギヤ25と第2中間ギヤ38とが噛合しているので、第2中間ギヤ38が左側から見て反時計回りに回転する。しかし、第2中間ギヤ38とイエロー現像ギヤ25との噛合が解除されているので、第2中間ギヤ38の回転は、イエロー現像ギヤ25に伝達されない。
【0066】
これにより、モノクロモードでは、ブラック現像ギヤ25が回転し、その他の現像器7の現像ギヤ25は回転しない。その結果、カラー現像器7の現像ローラ72が停止したまま、ブラック現像ローラ72が回転する。
【0067】
モノクロモードから第2モードの一例としての非駆動モードに移行されるときには、電磁クラッチ52が伝達状態にされて、モータ21からの回転駆動力が回転部材53に伝達され、回転部材53が左側から見て反時計回りに約90°回転される。回転部材53の回転に伴って、図5に示されるように、後リンク軸63が回転部材53の回転中心に対する上方の位置から後方の位置に移動し、リンク部材64の後端部が後下方に円弧を描きながら移動する。このリング部材64の移動に伴って、駆動切断カム部材51が前後方向に延びた姿勢のまま、後方に移動する。
【0068】
駆動切断カム部材51の移動の途中で、第1中間ギヤ37の回転軸41が第1中間ギヤ用カム部55の上面57上から第1中間ギヤ用傾斜面56上に移動する。そして、その後の駆動切断カム部材51の移動に伴って、回転軸41は、第1中間ギヤ用傾斜面56に沿って下方に移動する。これにより、第1中間ギヤ37は、第3現像伝達ギヤ36との噛合状態を維持したまま、後下方に移動し、ブラック現像ギヤ25から離間する。その結果、図5に示されるように、第1中間ギヤ37とブラック現像ギヤ25との噛合が解除される。
【0069】
回転部材53の回転が停止した時点で、回転軸41は、駆動切断カム部材51の上面57上に位置し、その後は、第1中間ギヤ37とブラック現像ギヤ25との噛合が解除された状態が維持される。
【0070】
また、駆動切断カム部材51の後方への移動に伴って、第1伝達ギヤ82が左側から見て時計回りに回転する。第1伝達ギヤ82の回転に伴って、第2伝達ギヤ83が左側から見て反時計回りに回転し、さらに、第3伝達ギヤ84が左側から見て時計回りに回転する。そして、第3伝達ギヤ84の回転に伴って、押圧直動部材65が前方に移動し、ブラック現像器7の押圧ボス73から押圧作用部68が離間する。これにより、ブラック感光ドラム5に対するブラック現像器7の現像ローラ72の圧接状態が解除される。その結果、すべての感光ドラム5に対する現像ローラ72の圧接状態が解除される。
【0071】
非駆動モードでは、第1中間ギヤ37とブラック現像ギヤ25との噛合が解除されているので、モータ21が駆動されても、モータ21からの回転駆動力がブラック現像ギヤ25に伝達されない。そのため、すべての現像器7の現像ローラ72の回転が停止されたまま、モータ21からの回転駆動力により、現像ローラ72以外の部材を駆動することができる。
【0072】
非駆動モードからフルカラーモードに戻されるときには、電磁クラッチ52が伝達状態にされて、モータ21からの回転駆動力が回転部材53に伝達され、回転部材53が左側から見て反時計回りに約180°回転される。回転部材53の回転に伴って、後リンク軸63が回転部材53の回転中心に対する後方の位置から前方の位置に移動し、リンク部材64の後端部が円弧を描きながら移動する。このリング部材64の移動に伴って、駆動切断カム部材51が前後方向に延びた姿勢のまま、前方に移動する。
【0073】
駆動切断カム部材51の移動の途中で、第1中間ギヤ用カム部55の第1中間ギヤ用傾斜面56が第1中間ギヤ37の回転軸41に当接する。そして、その当接後の駆動切断カム部材51の移動に伴って、回転軸41は、第1中間ギヤ用傾斜面56上を上面57に向けて移動し、第1中間ギヤ用傾斜面56から前上方に向かう力を受ける。これにより、第1中間ギヤ37は、第3現像伝達ギヤ36との噛合状態を維持したまま、前上方に移動し、図4に示されるように、ブラック現像ギヤ25と噛合する。
【0074】
その後、駆動切断カム部材51の移動の途中で、第2中間ギヤ用カム部59の第2中間ギヤ用傾斜面60が第2中間ギヤ38の回転軸42に当接する。そして、その当接後の駆動切断カム部材51の移動に伴って、回転軸42は、第2中間ギヤ用傾斜面60上を上面61に向けて移動し、第2中間ギヤ用傾斜面60から前上方に向かう力を受ける。これにより、第2中間ギヤ38は、ブラック現像ギヤ25との噛合状態を維持したまま、前上方に移動し、図3に示されるように、イエロー現像ギヤ25に噛合する。
4.作用効果
4−1.作用効果1
以上のように、レーザプリンタ1には、第3現像伝達ギヤ36、ブラック現像ギヤ25および第1中間ギヤ37が備えられている。第3現像伝達ギヤ36には、モータ21からの所定方向の回転駆動力が伝達される。第1中間ギヤ37は、ブラック現像ギヤ25と噛合/噛合解除可能に設けられている。
【0075】
また、駆動切断カム部材51が直線移動可能に設けられている。駆動切断カム部材51の直線移動により、第1モードと第2モードとに切り換えられる。
【0076】
第1モードでは、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25の両方と第1中間ギヤ37とが噛合する。これにより、第3現像伝達ギヤ36に伝達される回転駆動力は、第1中間ギヤ37を介してブラック現像ギヤ25に伝達され、ブラック現像ギヤ25からブラック現像ローラ72に伝達される。その結果、ブラック現像ローラ72が回転する。
【0077】
第2モードでは、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合が解除される。そのため、第2モードでは、第3現像伝達ギヤ36に伝達される回転駆動力がブラック現像ギヤ25およびブラック現像ローラ72に伝達されず、ブラック現像ローラ72は回転しない。
【0078】
このように、モータ21の回転駆動力をブラック現像ローラ72に伝達/伝達遮断することができる。よって、ブラック現像ローラ72を回転させる必要がないときには、ブラック現像ローラ72を停止させておくことができる。その結果、ブラック現像ローラ72の無駄な回転によるトナーの劣化およびブラック現像ローラ72の摩耗を防止することができる。
【0079】
そして、第2モードにおいても、モータ21から所定方向の回転駆動力を出力させて、その回転駆動力をブラック現像ローラ72以外の部材の駆動に利用することができる。よって、モータ21をブラック現像ローラ72以外の部材の駆動源としても使用することができる。
【0080】
また、第1中間ギヤ37の回転中心は、第3現像伝達ギヤ36の回転中心とブラック現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上におけるブラック現像ギヤ25のギヤ歯の移動方向の上流側に配置されている。言い換えれば、第1中間ギヤ37の回転中心は、第3現像伝達ギヤ36の回転中心とブラック現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における第3現像伝達ギヤ36のギヤ歯の移動方向の下流側に配置されている。これにより、第3現像伝達ギヤ36から第1中間ギヤ37に回転駆動力が伝達されるときに、第1中間ギヤ37(ギヤ歯)は、第3現像伝達ギヤ36から第1中間ギヤ37がブラック現像ギヤ25に噛み込む方向と逆方向の力を受ける。また、第1中間ギヤ37からブラック現像ギヤ25に回転駆動力が伝達されるときに、第1中間ギヤ37(ギヤ歯)は、ブラック現像ギヤ25から第1中間ギヤ37が第3現像伝達ギヤ36に噛み込む方向と逆方向の力を反力として受ける。そのため、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合が解除されるときに、第1中間ギヤ37がブラック現像ギヤ25から抜けやすい。よって、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合をスムーズに解除することができる。
4−2.作用効果2
駆動切断カム部材51には、第1中間ギヤ用カム部55が形成されている。駆動切断カム部材51の直線移動に伴って、第1中間ギヤ用カム部55が第1中間ギヤ37を移動させることにより、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37とが噛合する。
4−3.作用効果3
より具体的には、第1中間ギヤ用カム部55は、第1中間ギヤ用傾斜面56を有している。駆動切断カム部材51の移動に伴って、第1中間ギヤ用傾斜面56が第1中間ギヤ37の回転軸41に当接し、第1中間ギヤ37が第1中間ギヤ用傾斜面56から力を受けることにより、第1中間ギヤ37が移動して、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37とが噛合する。
【0081】
そして、駆動切断カム部材51の移動方向に沿った直線に対する第1中間ギヤ用傾斜面56の傾斜角度は、直線に対する第3現像伝達ギヤ36の回転中心と第1中間ギヤ37の回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである。そのため、第1中間ギヤ用傾斜面56から第1中間ギヤ37の回転軸41に第1中間ギヤ37の回転中心とブラック現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分と直交する方向の力を与えることができる。その結果、第1中間ギヤ37を第3現像伝達ギヤ36の回転中心まわりに良好に移動させることができ、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37とを良好に噛合させることができる。
4−4.作用効果4
レーザプリンタ1には、イエローの現像器7の現像ローラ72を有するイエローの現像器7と、回転駆動力をその現像ローラ72に伝達するためのイエロー現像ギヤ25とが備えられている。また、第2中間ギヤ38がイエロー現像ギヤ25と噛合/噛合解除可能に設けられている。
【0082】
なお、イエローの現像器7の現像ローラ72は、カラー現像ローラの一例である。
【0083】
そして、駆動切断カム部材51の直線移動により、第1モード、第2モードおよび第3モードに切り換えられる。
【0084】
第1モードでは、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25の両方と第1中間ギヤ37とが噛合し、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25の両方と第2中間ギヤ38とが噛合する。これにより、第3現像伝達ギヤ36に伝達される回転駆動力は、第1中間ギヤ37を介してブラック現像ギヤ25に伝達され、ブラック現像ギヤ25から第2中間ギヤ38を介してイエロー現像ギヤ25に伝達される。その結果、ブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72が回転する。
【0085】
第2モードでは、ブラック現像ギヤ25と第1中間ギヤ37との噛合が解除される。また、イエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38との噛合が解除される。そのため、第2モードでは、第3現像伝達ギヤ36に伝達される回転駆動力は、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25に伝達されない。よって、ブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72は回転しない。
【0086】
第3モードでは、第3現像伝達ギヤ36およびブラック現像ギヤ25の両方と第1中間ギヤ37とが噛合し、イエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38との噛合が解除される。これにより、第3現像伝達ギヤ36に伝達される回転駆動力は、第1中間ギヤ37を介してブラック現像ギヤ25に伝達されるが、イエロー現像ギヤ25には伝達されない。よって、ブラック現像ローラ72は回転し、カラー現像器7の現像ローラ72は回転しない。
【0087】
このように、モータ21の回転駆動力をブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72の両方またはブラック現像ローラ72のみに切り換えて伝達することができる。よって、ブラック現像ローラ72を回転させる必要がないときには、ブラック現像ローラ72を停止させておくことができる。また、カラー現像器7の現像ローラ72を回転させる必要がないときには、カラー現像器7の現像ローラ72を停止させておくことができる。その結果、ブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72の無駄な回転によるトナーの劣化ならびにブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72の摩耗を防止することができる。
【0088】
また、第2中間ギヤ38の回転中心は、ブラック現像ギヤ25の回転中心とイエロー現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上におけるイエロー現像ギヤ25のギヤ歯の移動方向の上流側に配置されている。言い換えれば、第2中間ギヤ38の回転中心は、ブラック現像ギヤ25の回転中心とイエロー現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上におけるブラック現像ギヤ25のギヤ歯の移動方向の下流側に配置されている。これにより、ブラック現像ギヤ25から第2中間ギヤ38に回転駆動力が伝達されるときに、第2中間ギヤ38(ギヤ歯)は、ブラック現像ギヤ25から第2中間ギヤ38がイエロー現像ギヤ25に噛み込む方向と逆方向の力を受ける。また、第2中間ギヤ38からイエロー現像ギヤ25に回転駆動力が伝達されるときに、第2中間ギヤ38(ギヤ歯)は、イエロー現像ギヤ25から第2中間ギヤ38がブラック現像ギヤ25に噛み込む方向と逆方向の力を反力として受ける。そのため、イエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38との噛合が解除されるときに、第2中間ギヤ38がイエロー現像ギヤ25から抜けやすい。よって、エロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38との噛合をスムーズに解除することができる。
4−5.作用効果5
駆動切断カム部材51には、第2中間ギヤ用カム部59が形成されている。駆動切断カム部材51の直線移動に伴って、第2中間ギヤ用カム部59が第2中間ギヤ38を移動させることにより、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38とが噛合する。
4−6.作用効果6
より具体的には、第2中間ギヤ用カム部59は、第2中間ギヤ用傾斜面60を有している。駆動切断カム部材51の移動に伴って、第2中間ギヤ用傾斜面60が第2中間ギヤ38の回転軸に当接し、第2中間ギヤ38が第2中間ギヤ用傾斜面60から力を受けることにより、第2中間ギヤ38が移動して、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38とが噛合する。
【0089】
そして、駆動切断カム部材51の移動方向に沿った直線に対する第2中間ギヤ用傾斜面60の傾斜角度は、直線に対するブラック現像ギヤ25の回転中心と第2中間ギヤ38の回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである。そのため、第2中間ギヤ用傾斜面60から第2中間ギヤ38の回転軸に第2中間ギヤ38の回転中心とイエロー現像ギヤ25の回転中心とを結ぶ線分と直交する方向の力を与えることができる。その結果、第2中間ギヤ38をブラック現像ギヤ25の回転中心まわりに良好に移動させることができ、ブラック現像ギヤ25およびイエロー現像ギヤ25と第2中間ギヤ38とを良好に噛合させることができる。
4−7.作用効果7
カラープリンタ1には、ブラック現像器7からブラックのトナーが供給されるブラック感光ドラムと、カラー現像器7からトナーが供給されるカラー感光ドラム5とが備えられている。また、ブラック感光ドラム5およびカラー感光ドラム5にそれぞれブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72を圧接させるための押圧機構28が備えられている。
【0090】
押圧機構28は、モータ21からの回転駆動力を利用して、ブラック現像ローラ72およびカラー現像器7の現像ローラ72をそれぞれブラック感光ドラム5およびカラー感光ドラム5に圧接させ、また、その圧接状態を解除する。すなわち、モータ21が押圧機構28の駆動源として使用される。これにより、カラープリンタ1に備えられる駆動源の数をさらに減らすことができる。
4−8.作用効果8
切換機構27には、モータ21からの回転駆動力によって回転する回転部材53と、回転部材53の回転を駆動切断カム部材51の往復直線移動に変換するリンク機構54とが含まれている。そのため、モータ21からの回転駆動力を利用して、駆動切断カム部材51を往復直線移動させることができる。すなわち、モータ21を駆動切断カム部材51の駆動源として使用することができる。その結果、カラープリンタ1に備えられる駆動源の数を減らすことができる。
4−9.作用効果9
また、モータ21からの回転駆動力をブラック感光ドラム5およびカラー感光ドラム5に伝達するドラム駆動伝達機構(2段ギヤ24のモータギヤ噛合部31など)が備えられている。モータ21からの回転駆動力を利用して、ブラック感光ドラム5およびカラー感光ドラム5を回転(駆動)させることができる。すなわち、モータ21をブラック感光ドラム5およびカラー感光ドラム5の駆動源として使用することができる。その結果、カラープリンタ1に備えられる駆動源の数を減らすことができる。
5.変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0091】
たとえば、第1中間ギヤ37は、ブラック現像ギヤ25に対して噛合/噛合解除可能に設けられているとしたが、ブラック現像ギヤ25および第3現像伝達ギヤ36に対して噛合/噛合解除可能に設けられていてもよい。
【0092】
また、第2中間ギヤ38は、イエローの現像器7の現像ギヤ25に対して噛合/噛合解除可能に設けられているとしたが、ブラック現像ギヤ25に対して噛合/噛合解除可能に設けられていてもよいし、ブラック現像ギヤ25およびイエローの現像器7の現像ギヤ25に対して噛合/噛合解除可能に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 カラープリンタ
5 感光ドラム
7 現像器
21 モータ
24 2段ギヤ
25 現像ギヤ
26 現像駆動伝達機構
28 押圧機構
31 モータギヤ噛合部
36 第3現像伝達ギヤ
37 第1中間ギヤ
38 第2中間ギヤ
51 駆動切断カム部材
53 回転部材
54 リンク機構
55 第1中間ギヤ用カム部
56 第1中間ギヤ用傾斜面
59 第2中間ギヤ用カム部
60 第2中間ギヤ用傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源と、
ブラックの現像剤を担持するブラック現像ローラを有するブラック現像器と、
前記回転駆動源からの所定方向の回転駆動力が伝達される第1ギヤと、
前記回転駆動力を前記ブラック現像ローラに伝達するための第2ギヤと、
前記第1ギヤおよび前記第2ギヤと噛合するように設けられ、前記第1ギヤの回転中心と前記第2ギヤの回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における前記第2ギヤのギヤ歯の移動方向の上流側に回転中心が配置される第1中間ギヤと、
直線移動可能に設けられ、その直線移動により、前記第1中間ギヤを移動させて、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤの両方と前記第1中間ギヤとが噛合する第1モードと、前記第2ギヤと前記第1中間ギヤとの噛合が解除される第2モードとに切り換えるための直動カム部材とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記直動カム部材には、前記第1中間ギヤを移動させて、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤと前記第1中間ギヤとを噛合させるための第1中間ギヤ用カム部が形成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1中間ギヤ用カム部は、前記直動カム部材の移動に伴って、前記第1中間ギヤを移動させるための第1中間ギヤ用傾斜面を有し、
前記直動カム部材の移動方向に沿った直線に対する前記第1中間ギヤ用傾斜面の傾斜角度は、前記直線に対する前記第1ギヤの回転中心と前記第1中間ギヤの回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
カラーの現像剤を担持するカラー現像ローラを有するカラー現像器と、
前記回転駆動力を前記カラー現像ローラに伝達するための第3ギヤと、
前記第2ギヤおよび前記第3ギヤと噛合するように設けられ、前記第2ギヤの回転中心と前記第3ギヤの回転中心とを結ぶ線分に対して当該線分上における前記第3ギヤのギヤ歯の移動方向の上流側に回転中心が配置される第2中間ギヤとをさらに備え、
前記直動カム部材の直線移動により、前記第1中間ギヤおよび前記第2中間ギヤを移動させて、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤの両方と前記第1中間ギヤとが噛合し、前記第2ギヤおよび前記第3ギヤの両方と前記第2中間ギヤとが噛合する前記第1モードと、前記第2ギヤと前記第1中間ギヤとの噛合が解除される前記第2モードと、前記第1ギヤおよび前記第2ギヤの両方と前記第1中間ギヤとが噛合し、前記第3ギヤと前記第2中間ギヤとの噛合が解除される第3モードとに切り換えられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記直動カム部材には、前記第2中間ギヤを移動させて、前記第2ギヤおよび前記第3ギヤと前記第2中間ギヤとを噛合させるための第2中間ギヤ用カム部が形成されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2中間ギヤ用カム部は、前記直動カム部材の移動に伴って、前記第2中間ギヤを移動させるための第2中間ギヤ用傾斜面を有し、
前記直動カム部材の移動方向に沿った直線に対する前記第2中間ギヤ用傾斜面の傾斜角度は、前記直線に対する前記第3ギヤの回転中心と前記第2中間ギヤの回転中心とを結ぶ線分の傾斜角度とほぼ同じである、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ブラック現像ローラからブラックの現像剤像が供給されるブラック感光ドラムと、
前記カラー現像ローラからカラーの現像剤が供給されるカラー感光ドラムと、
前記回転駆動力により、前記第1モードにおいては、前記ブラック感光ドラムおよび前記カラー感光ドラムにそれぞれ前記ブラック現像ローラおよび前記カラー現像ローラを圧接させ、前記第2モードにおいては、前記ブラック感光ドラムと前記ブラック現像ローラとの圧接状態および前記カラー感光ドラムと前記カラー現像ローラとの圧接状態を解除し、前記第3モードにおいては、前記ブラック感光ドラムに前記ブラック現像ローラを圧接させ、前記カラー感光ドラムと前記カラー現像ローラとの圧接状態を解除する押圧機構とをさらに備える、請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回転駆動力によって回転する回転部材と、
前記回転部材の回転を前記直動カム部材の往復直線移動に変換するリンク機構とをさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ブラック現像ローラからブラックの現像剤像が供給されるブラック感光ドラムと、
前記カラー現像ローラからカラーの現像剤が供給されるカラー感光ドラムと、
前記回転駆動力を前記ブラック感光ドラムおよび前記カラー感光ドラムに伝達するドラム駆動伝達機構とを備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−215604(P2012−215604A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78988(P2011−78988)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】