説明

画像形成装置

【課題】簡易な機構で現像器ユニットを装置本体から着脱可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】カラー複合機1は、複数の感光体ドラム32を有する感光体ユニット30と、複数の感光体ドラム32に対応して設けられるとともに現像ローラを有する複数の現像カートリッジ42と、複数の現像カートリッジ42を支持する支持部材41とを有し、本体ケース2から複数の感光体ドラム32の配列方向に引き出して着脱可能な現像器ユニット40と、を備えている。複数の現像カートリッジ42のそれぞれは、支持部材41において、現像ローラが感光体ドラム32に近接する現像位置と、現像ローラが現像位置よりも感光体ドラム32から離間して本体ケース2に対して着脱可能な着脱位置との間を移動可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置として、複数の感光体ドラムを有する感光体ユニットと、複数の現像器を有する現像器ユニット(現像器トレイ)と、が設けられており、これらが装置本体から着脱可能に構成されているものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−184553号公報(図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記装置においては、現像器ユニットを装置本体から取り外す際には、現像器ユニット全体を感光体ユニットから離間させることによって、現像器の現像ローラを感光体ドラムから離間させた後、現像器ユニットを装置本体から引き出す必要があった。そのため、現像器ユニット全体の重量を支持しながら移動させる大掛かりな機構が必要となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決すべく創案されたものであり、簡易な機構で現像器ユニットを装置本体から着脱可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、複数の感光体ドラムを有する感光体ユニットと、前記複数の感光体ドラムに対応して設けられるとともに現像ローラを有する複数の現像器と、前記複数の現像器を支持する支持部材とを有し、装置本体から前記複数の感光体ドラムの配列方向に引き出して着脱可能な現像器ユニットと、を備え、前記複数の現像器のそれぞれは、前記支持部材において、前記現像ローラが前記感光体ドラムに近接する現像位置と、前記現像ローラが前記現像位置よりも前記感光体ドラムから離間して前記現像器ユニットが前記装置本体に対して着脱可能となる着脱位置との間を移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、複数の現像器のそれぞれが、支持部材において、現像ローラが感光体ドラムに近接する現像位置と、現像ローラが現像位置よりも前記感光体ドラムから離間する着脱位置との間を移動可能に支持されているので、現像器ユニットを装置本体から着脱する際には、複数の現像器を着脱位置に移動させた状態で現像器ユニットを引き出せばよい。これにより、現像器ユニット全体の重量を支持しながら移動させる大掛かりな機構が不要となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、現像器ユニット全体の重量を支持しながら移動させる大掛かりな機構が不要となるので、簡易な機構で現像器ユニットを装置本体から着脱することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成を示す断面
図である。図2は、現像器ユニットのカラー現像位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。図3は、現像器ユニットの中間位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。図4は、現像器ユニットの着脱位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図であり、(d)はロック係合部の拡大図である。図5は、現像器ユニットのモノクロ現像位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。
【0010】
ここで、以下の説明において方向は、カラー複合機使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって右側を「前側」、紙面に向かって左側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「右側」、紙面に向かって手前側を「左側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0011】
図1に示すように、カラー複合機1は、装置本体の一例としての本体ケース2と、本体ケース2の上方に設けられたフラットベッドスキャナ3とを主に備えている。また、カラー複合機1は、本体ケース2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部4と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部5と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙ローラ6と、感光体ドラム32を露光する露光装置7とを主に備えている。
【0012】
本体ケース2の前側には、フロントカバー2Aが下方を支点として前後に回動可能に設けられている。また、本体ケース2の上部には、本体ケース2から排出された用紙Pが蓄積される排紙トレイ2Bが設けられ、後側にはリアカバー2Cが設けられている。
【0013】
フラットベッドスキャナ3は、公知の構成を有する画像読取装置であり、複写の際には、画像を有する原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。
【0014】
給紙部4は、本体ケース2内の下部に設けられ、本体ケース2に着脱可能に装着される給紙カセット71と、給紙カセット71の後側上方の本体ケース2内に設けられた分離ローラ72および給紙ローラ73〜75と、感光体ユニット30の後側に設けられた第1搬送ローラ76と、第1搬送ローラ76に対向するように設けられた第2搬送ローラ77とを主に備えている。給紙カセット71内の用紙Pは、分離ローラ72により一枚ずつ分離されて給紙ローラ73〜75で上方へ送られ、第1搬送ローラ76と第2搬送ローラ77の間を通って画像形成部5(中間転写ベルト51と2次転写ローラ53の間)に供給される。
【0015】
画像形成部5は、感光体ユニット30と、現像器ユニット40と、転写ユニット50と、定着ユニット60とから主に構成されている。
【0016】
感光体ユニット30は、図2(c)に示すように、外枠を構成する支持フレーム31と、4つの感光体ドラム32と、スコロトロン型帯電器33と、を備えている。支持フレーム31は、上下に開口を有している。感光体ユニット30を本体ケース2に装着した状態において、感光体ドラム32は、その上部において中間転写ベルト51を介して1次転写ローラ52と接し、その斜め下部において現像ローラ42Aと当接する。
【0017】
現像器ユニット40は、図2(c)に示すように、支持部材41と、現像器の一例とし
ての現像カートリッジ42と、を備えている。
【0018】
支持部材41は、外枠を構成する支持フレーム41Aと、現像カートリッジ42を支持する現像器ホルダ41Bと、を備えている。現像器ホルダ41Bは、現像カートリッジ42を着脱可能に収容しており、支持フレーム41Aに対して固定された軸43まわりにゆりかごのように揺動可能となっている。
【0019】
現像カートリッジ42は、現像ローラ42Aと、供給ローラ42Bと、層厚規制ブレード42Cと、トナー収容部42Dと、を備えている。支持フレーム41Aは、上方に開口を有している。現像器ユニット40を本体ケース2に装着した状態において、現像器ホルダ41Bによって支持された現像ローラ42Aは、その斜め上部において感光体ドラム32と当接することができる。各現像カートリッジ42は、トナー収容部42Dに収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は同一である。
【0020】
図1に示すように、転写ユニット50は、感光体ユニット30と排紙トレイ2Bとの間に設けられ、中間転写ベルト51、4つの1次転写ローラ52、2次転写ローラ53、駆動ローラ54、従動ローラ55およびクリーニング部56を主に備えている。
【0021】
駆動ローラ54および従動ローラ55は、前後方向に離間して平行に配置され、その間にエンドレスベルトからなる中間転写ベルト51が張設されている。中間転写ベルト51の外周面の下側には各感光体ドラム32が対向して当接するとともに、後側には2次転写ローラ53が対向して当接している。
【0022】
各1次転写ローラ52は、中間転写ベルト51のうち、下側で張られた部分の内周面に接し、各感光体ドラム32との間に中間転写ベルト51を挟持するように各感光体ドラム32に対向して配置されている。また、2次転写ローラ53は、中間転写ベルト51を挟持するように駆動ローラ54に対向して配置されている。なお、2次転写ローラ53はリアカバー2Cに設けられている。1次転写ローラ52および2次転写ローラ53には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0023】
クリーニング部56は、中間転写ベルト51の前側上方に配置され、中間転写ベルト51上に残留したトナーをクリーニングローラ57で除去し、このクリーニングローラ57の後側に配置されたトナー貯留部58に除去したトナーを貯留するように構成されている。
【0024】
定着ユニット60は、中間転写ベルト51の後側上方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61と対向配置され加熱ローラ61を押圧する加圧ローラ62とを主に備えている。
【0025】
このように構成される画像形成部5では、まず、各感光体ドラム32の表面が、各スコロトロン型帯電器33により一様に帯電された後、露光装置7から照射されるレーザ光により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム32上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部42D内のトナーが、供給ローラ42Bの回転により現像ローラ42Aに供給され、現像ローラ42Aの回転により現像ローラ42Aと層厚規制ブレード42Cとの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ42A上に担持される。
【0026】
現像ローラ42A上に担持されたトナーは、現像ローラ42Aが感光体ドラム32に対向して接触するときに、感光体ドラム32上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム32上でトナーが選択的に担持されて静電潜像が可視像化され、トナ
ー像が形成される。各感光体ドラム32上に形成された各色のトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラ52の作用により中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて転写される。
【0027】
中間転写ベルト51に転写されたトナー像は、画像形成部5に供給された用紙Pが中間転写ベルト51と2次転写ローラ53の間を通過するときに、転写バイアスが印加された2次転写ローラ53の作用により用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、定着ユニット60に搬送されて、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過することでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ6によって本体ケース2の外部に排出されて排紙トレイ2Bに蓄積される。
【0028】
次に、感光体ユニット30および現像器ユニット40の着脱に関する詳細な構成について、図2〜図5を参照して説明する。図2(b)に示すように、支持フレーム41Aの壁のうち、現像ローラ42Aの回転軸方向の壁には、4つの孔41Cが形成されており、現像器ホルダ41Bは、支持フレーム41Aの孔41Cから外向きに突出した操作部41Dをそれぞれ備えている。孔41Cは、操作部41Dを上下方向に移動させることが可能な縦長の形状を呈している。また、図2(a)に示すように、カラー複合機1は、第1操作バー80と、第2操作バー90と、第2操作バー駆動部材100と、ロック部材110をさらに備えている。
【0029】
第1操作バー80は、支持フレーム41Aに対し4つの現像ローラ42Aの配列方向に移動可能に支持されたバー本体81と、4つの操作部41Dに係合可能な傾斜部材82と、を備えている。バー本体81は、支持フレーム41Aの左右両側で前後に延びる部材である。支持フレーム41Aの両側のバー本体81は、支持フレーム41Aの前側で接続されており、前後方向に一体に移動できるようになっている。傾斜部材82は、その上面が前側から後側に向かって下がる傾斜面となっている。この傾斜面の前側半分は、後側の端部を中心に上下に傾動可能な傾動部材82Aから構成されている。傾動部材82Aは、バネ82Bにより下から上方へ付勢されている。
【0030】
第2操作バー90は、本体ケース2に設けられており、図2においては仮想線で示している。第2操作バー90は、4つの操作部41Dとそれぞれ係合可能な段差を形成する4つの凹部91と、最も前側の操作部41Dと係合可能な段差を形成する1つの凹部92と、を備えている。4つの凹部91の間隔は、4つの操作部41Dの間隔と同一である。
【0031】
第2操作バー駆動部材100は、第2操作バー90の後側端部と噛合しており、図示しない制御部の制御に応じて回転することによって、第2操作バー90を前後にスライド移動させる。
【0032】
なお、孔41C、操作部41D、傾斜部材82、第2操作バー90などについて、左側面(紙面手前側)のもののみを図示しているが、これらは右側面(紙面奥側)にも同様に設けられている。
【0033】
ロック部材110は、現像器ユニット40の支持フレーム41Aの後側に設けられており、棒状部材111と、棒状部材111の下端部に形成された鉤部112と、棒状部材111の上端部を支持フレーム41Aから離間する方向に付勢するバネ113と、棒状部材111の上端部を保持し、支持フレーム41Aからの脱落を防止する保持部材114と、を備えている。ロック部材110の鉤部112は、現像器ユニット40を本体ケース2に完全に収容し、第1操作バー80を後方へ押し込んだ状態において、爪が下方に突出することで本体ケース2に設けられたロック係合部2D(図4(d)参照)に係合している。
【0034】
また、図2(a)および図4(c)に示すように、感光体ユニット30は、現像ローラ42Aの回転軸に係合して現像ローラ42Aの移動を案内するとともに、感光体ドラム32に対する現像ローラ42Aの位置を位置決めする溝部34を備えている。
【0035】
<カラー現像位置>
図2(a),(b)に示すように、操作部41Dが傾斜部材82の傾動部材82Aの上に載り、傾動部材82Aがバネ82Bによって上方に付勢され、さらに操作部41Dが第2操作バー90の凹部91に係合した状態では、図2(c)に示すように、4つの現像ローラ42Aは、4つの感光体ドラム32とそれぞれ当接する現像位置にある(カラー現像位置)。4つの現像ローラ42Aがカラー現像位置に配置された状態では、カラー複合機1は、4つの感光体ドラム32を用いてカラー現像を行うことができる。このカラー現像位置においては、現像器ユニット40の引き出し方向から見て、現像ローラ42Aは感光体ドラム32と一部オーバーラップしている。
【0036】
<中間位置>
図2に示すカラー現像位置から、図3(a),(b)に示すように、第2操作バー駆動部材100によって、第2操作バー90を後方に移動させると、操作部41Dと第2操作バー90の凹部91との係合が解除される。この状態では、4つの現像ローラ42Aは、図3(c)に示すように、対応する感光体ドラム32からそれぞれわずかに離間する(中間位置)。4つの現像ローラ42Aが中間位置に配置された状態では、カラー複合機1は、例えば、クリーニング部56により4つの感光体ドラム32のクリーニングを行うことができる。
【0037】
<着脱位置>
図2に示すカラー現像位置から、図4(a),(b)に示すように、ユーザが第1操作バー80を前方に引くと、操作部41Dと第1操作バー80の傾斜部材82との係合が解除される。この状態では、4つの現像ローラ42Aは、図4(c)に示すように、対応する感光体ドラム32から離間し、支持フレーム41A内に完全に収容される。すなわち、現像器ユニット40の引き出し方向から見て、現像ローラ42Aは感光体ドラム32とオーバーラップしない位置に移動する(着脱位置)。本実施形態において、第1操作バー80のバー本体81の後側端部には、バー本体81から下方に突出した係止解除用部材83が設けられている。ユーザが第1操作バー80を前方に引くと、係止解除用部材83が棒状部材111の上端部に係合し、棒状部材111が回動する。これにより、鉤部112が上方へ移動して、本体ケース2との係合が解除される。4つの現像ローラ42Aが着脱位置に配置された状態では、カラー複合機1は、感光体ユニット30および現像器ユニット40の少なくとも一方を本体ケース2から引き出すことができる。
【0038】
本実施形態において、支持フレーム41Aの現像ローラ42Aの回転軸方向の外壁面には、前後に延びる一対のガイド部44,45と、後側端部に位置する車輪46とが設けられている。そして、本体ケース2には、ガイド部45に沿うガイド部121と、ガイド部121の後側端部に設けられて車輪46の後側への移動を規制するストッパ部122と、前側端部に位置する車輪123とが設けられている。ユーザが第1操作バー80を引くと、車輪123が回転してガイド部44が車輪123の上を移動し、前側に送り出されるとともに、車輪46がガイド部121上で転がることによって、現像器ユニット40が本体ケース2から引き出される。
【0039】
<モノクロ現像位置>
図2に示すカラー現像位置から、図5(a),(b)に示すように、第2操作バー駆動部材100によって、第2操作バー90を前方に移動させると、操作部41Dと第2操作バー90の凹部91との係合が解除され、最前部の操作部41Dのみが凹部92に係合す
る。かかる状態では、図5(c)に示すように、前側の現像ローラ42Aが感光体ドラム32と当接する現像位置にあり、残りの3つの現像ローラ42Aは、対応する感光体ドラム32からそれぞれわずかに離間する(モノクロ現像位置)。4つの現像ローラ42Aがモノクロ現像位置に配置された状態では、カラー複合機1は、最前部の感光体ドラム32を用いてモノクロ現像を行うことができる。
【0040】
次に、感光体ユニット30および現像器ユニット40の引き出し動作について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、排紙トレイを開けた状態を説明するための図である。図7は、感光体ユニットを引き出した状態を説明するための図である。図8は、現像器ユニットを引き出した状態を説明するための図である。
【0041】
まず、図1に示す状態から、ユーザは、図6に示すように、排紙トレイ2Bを上方へ開ける。続いて、ユーザは、フロントカバー2Aを開け、第1操作バー80を引くことによって現像ローラ42Aを着脱位置(図4参照)に移動させるとともに鉤部112の係止を解除させる。これにより、感光体ユニット30および現像器ユニット40が引き出し可能な状態となる。
【0042】
ここで、図7に示すように、ユーザが支持フレーム31の前壁面に設けられた把手35を把持して前に引くと、支持フレーム31の後側に設けられた車輪36が本体ケース2に設けられた車輪載置部124からガイド部125の上に上がり、転がることによって、感光体ユニット30が本体ケース2から引き出される。この状態において、ユーザは、感光体ドラム32を交換することができる。
【0043】
一方、図4に示した着脱状態から、図8に示すようにユーザが第1操作バー80を前に引くと、現像器ユニット40が本体ケース2から引き出される。この状態において、ユーザは、現像器ホルダ41B内に収容された現像カートリッジ42を交換することができる。
【0044】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
現像器ユニット40を本体ケース2から着脱する際には、支持部材41に対して複数の現像カートリッジ42を着脱位置に移動させ、現像器ユニット40を引き出せばよい。これにより、現像器ユニット40全体の重量を支持しながら現像カートリッジ42を感光体ドラム32から離間させる大掛かりな機構が不要となるので、簡易な機構で現像器ユニット40を本体ケース2から着脱することができるようになる。また、現像カートリッジ42を交換する際に現像器ユニット40のみを引き出せばよいので、本体ケース2の転倒防止にもつながる。
【0045】
また、支持フレーム41Aの側壁に形成された孔41Cから突出した操作部41Dによって現像カートリッジ42の位置を変更することができるので、現像カートリッジ42の位置の変更が容易である。そして、支持フレーム41Aから取り外されないゆりかご状の現像器ホルダ41Bにこの操作部41Dを設けることで、孔41Cを支持フレーム41Aの上縁部まで開口させる必要がないので、支持フレーム41Aの剛性を高く保つことができる。
【0046】
また、現像カートリッジ42の位置を、感光体ドラム32からわずかに離間した中間位置とすることができるので、小さい移動量で感光体ドラム32および中間転写ベルト51のクリーニングを行うことができる。
【0047】
また、複数の現像カートリッジ42の位置を、複数の現像カートリッジ42の全てが現像位置にあるカラー現像位置と、複数の現像カートリッジ42の1つが現像位置にあり、
残りが感光体ドラム32から離間する位置にあるモノクロ現像位置とに切換可能であるので、カラー色のトナーが無くなった場合でも、モノクロ印刷をすることが可能である。
【0048】
また、感光体ユニット30に現像カートリッジ42と係合する溝部34を設けたので、現像カートリッジ42の感光体ドラム32に対する位置決めが容易である。
【0049】
また、第1操作バー80の操作によって複数の現像カートリッジ42をカラー現像位置および着脱位置に移動させることができるので、操作が容易である。
さらに、この第1操作バー80は、支持フレーム41Aに設けられているため、現像器ユニット40を引き出す際に、第1操作バー80が操作部41Dと干渉することがない。
【0050】
また、第1操作バー80および第2操作バー90の操作によって複数の現像カートリッジ42をカラー現像位置、着脱位置および中間位置に移動させることができるので、操作が容易である。これら第1操作バー80および第2操作バー90は、現像器ユニット40の側方に設けられているので、現像器ユニット40の着脱の邪魔にならない。
さらに、感光体ユニット30に設けられた溝部34により、現像ローラ42Aの両端を位置決めするので、感光体ドラム32と現像ローラ42Aの互いの軸の平行度を確実に出すことができる。
【0051】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0052】
前記した実施形態では、現像カートリッジ42を支持する現像器ホルダ41Bが支持フレーム41Aに対して回動可能な構成を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の現像器ユニットは、現像ローラを有する現像器を支持部材に対してスライド移動させる構成であってもよい。
【0053】
前記した実施形態では、画像形成装置の一例としてカラー複合機1を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、カラー複写機や画像読取装置(フラットベッドスキャナ)を備えないカラープリンタなどにも適用することができる。
【0054】
前記した実施形態では、レーザを光源とした露光装置7を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、発光素子の光源は、LEDやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などであってもよい。
【0055】
前記した実施形態では、感光体ユニット30および現像器ユニット40が本体ケース2の前側から前後方向に引き出される構成を示したが、これに限定されず、感光体ユニット30および現像器ユニット40が本体ケース2(装置本体)の側面から引き出される構成であってもよい。
【0056】
前記した実施形態では、現像位置において現像ローラ42Aが感光体ドラム32と当接する例を示したが、感光体ドラム32上での現像が可能な限り、現像ローラ42Aは現像位置において感光体ドラム32に近いが離間した状態であってもよい。すなわち、本明細書でいう現像ローラが感光体ドラムに近接するとは、現像ローラが感光体ドラムに当接する場合としない場合とを含む。
【0057】
前記した実施形態では、第2操作バー90に操作部41Dと係合可能な凹部91,92を形成し、第2操作バー90の移動によって、操作部41Dと凹部91,92が係合することで現像ローラ42Aと感光体ドラム32とが近接し、操作部41Dと凹部91,92
の係合が解除されることで現像ローラ42Aと感光体ドラム32とが離間する構成を示したが本発明はこれに限定されない。例えば、第2操作バーの下面に凸部(段差)を形成し、第2操作バーの移動により、操作部が凸部に押し下げられることで現像ローラが感光体ドラムから離間し、操作部が凸部から外れることで現像ローラが感光体ドラムに近接する構成としてもよい。ここで、「近接」とは、感光体ドラムと現像ローラとが接触している状態に限定されず、接触はしないが、感光体ドラムと現像ローラとが離間した状態よりも近づいている状態を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成を示す断面図である。
【図2】現像器ユニットのカラー現像位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。
【図3】現像器ユニットの中間位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。
【図4】現像器ユニットの着脱位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図であり、(d)はロック係合部の拡大図である。
【図5】現像器ユニットのモノクロ現像位置を説明するための図であり、(a)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの外部構造を示す図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は感光体ユニットおよび現像器ユニットの内部構造を示す図である。
【図6】排紙トレイを開けた状態を説明するための図である。
【図7】感光体ユニットを引き出した状態を説明するための図である。
【図8】現像器ユニットを引き出した状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1 カラー複合機
2 本体ケース
5 画像形成部
30 感光体ユニット
32 感光体ドラム
34 溝部
40 現像器ユニット
41 支持部材
41A 支持フレーム
41B 現像器ホルダ
41C 孔
41D 操作部
42 現像カートリッジ
42A 現像ローラ
50 転写ユニット
60 定着ユニット
80 第1操作バー
81 バー本体
82 傾斜部材
82A 傾動部材
82B バネ
90 第2操作バー
91 凹部
92 凹部
100 第2操作バー駆動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体ドラムを有する感光体ユニットと、
前記複数の感光体ドラムに対応して設けられるとともに現像ローラを有する複数の現像器と、前記複数の現像器を支持する支持部材とを有し、装置本体から前記複数の感光体ドラムの配列方向に引き出して着脱可能な現像器ユニットと、を備え、
前記複数の現像器のそれぞれは、前記支持部材において、前記現像ローラが前記感光体ドラムに近接する現像位置と、前記現像ローラが前記現像位置よりも前記感光体ドラムから離間して前記現像器ユニットが前記装置本体に対して着脱可能となる着脱位置との間を移動可能に支持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持部材は、支持フレームと、当該支持フレームに対し移動可能に支持され、前記現像器が装着される現像器ホルダとを備えてなり、
前記支持フレームは、前記現像ローラの回転軸方向の壁に孔が形成され、
前記現像器ホルダは、前記支持フレームの前記孔から外向きに突出した操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の現像器は、前記現像位置と前記着脱位置の間の中間位置に停止して支持されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の現像器は、前記複数の現像器のすべてが前記現像位置にある第一の状態と、前記複数の現像器の1つが前記現像位置にあり、前記複数の現像器の残りが対応する前記中間位置にある第二の状態と、を切換可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体ユニットは、前記現像器に係合して、前記現像器の移動を案内するとともに前記感光体ドラムに対する前記現像器の位置を位置決めする溝部が形成され、
前記現像器の着脱位置においては前記現像器と前記溝部との係合が解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持フレームに対し前記複数の現像ローラの配列方向に移動可能に支持され、前記操作部と係合可能な傾斜面を有する傾斜部材を備えた第1操作バーを備え、
前記第1操作バーを移動させることにより、前記傾斜面が前記操作部を押圧して前記現像器を前記現像位置と前記着脱位置との間で移動可能としたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持フレームに対し前記複数の現像ローラの配列方向に移動可能に支持され、前記操作部と係合可能な傾斜面を有する傾斜部材を備えた第1操作バーと、
前記装置本体に対し前記複数の現像ローラの配列方向に移動可能に支持され、前記操作部と係合して当該操作部を前記感光体ドラムに対して近接・離間させる方向に移動可能とする段差が設けられた第2操作バーと、
前記第2操作バーを移動させることによって、前記操作部と前記段差とを係合させて前記操作部を移動させる第2操作バー駆動部材と、をさらに備え、
前記傾斜部材は、前記操作部に近接・離間する方向に移動可能に構成されるとともに、前記傾斜面を前記操作部へ向けて付勢するバネを有し、
前記第1操作バーを移動させることにより、前記傾斜面が前記操作部を押圧して前記現像器は前記現像位置と前記着脱位置との間で移動可能とされ、前記操作部と前記段差とが係合することで前記現像器は前記現像位置と前記中間位置との間で移動可能とされることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−234216(P2012−234216A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194036(P2012−194036)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2011−94737(P2011−94737)の分割
【原出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】