説明

画像形成装置

【課題】 電力供給が不安定になることなく、バスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することができ、システム全体の消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通信ケーブルを介して、外部機器との通信及び外部機器からの電力受給が可能な第1及び第2通信部と、第1及び第2通信部が受信した画像データを処理して出力データを生成する出力データ生成部と、商用電源から電力を受給し、出力データ生成部に供給する電源供給部と、第1及び第2通信部に電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かを検出する電力供給検出部と、電力供給検出部による検出結果に基づいて、電源供給部から出力データ生成部への電力供給を遮断し、第1通信部及び第2通信部のいずれか一方が受給した電力を出力データ生成部に供給する電力供給制御部により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、さらに詳しくは、画像データを処理して出力データを生成する画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral:複合機)の電源供給部が商用電源から受給する電力を低減させるために、通信ケーブルを介して外部機器から供給されるバスパワーを利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。一般に、MFPなどの画像形成装置の電源供給部は、容量が大きいことから電力損失も大きい。このため、外部機器から供給されるバスパワーを利用することによって電源供給部が商用電源から受給する電力を減らすことで、画像形成装置と外部機器とを含むシステム全体の消費電力を低減させることができる。
【0003】
上記特許文献1に記載の画像処理装置では、PC(パーソナルコンピュータ)がUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して接続され、USBケーブルを介してPCから供給される電力を利用して起動要因監視部及び省エネスタンバイ時電圧制御部が駆動される。起動要因監視部は、省エネスタンバイ時に、省エネスタンバイ状態から通常動作状態への復帰要因を検知する。省エネスタンバイ時電圧制御部は、電圧供給する対象として、起動要因監視部又は省エネスタンバイ時に動作する部分を選択する。
【0004】
しかし、USBケーブルを介して供給される電力は最大2.5Wであることから、USBI/F(インターフェース)が受給したバスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することは困難であった。例えば、描画データをデコードして画像データを生成するためのPDL(Page Description Language:ページ記述言語)処理部の場合、10W程度の電力が要求されることから、USBI/Fのバスパワーでは駆動できなかった。
【0005】
そこで、USBI/Fよりも大きな電力を供給可能なインターフェース、例えば、高速シリアル通信の通信規格であるIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394において規定された通信インターフェースが受給したバスパワーを利用することが考えられる。しかしながら、電力受給が可能であり、それぞれ通信ケーブルを介して外部機器が接続される複数の通信部を備える装置では、複数の通信部がいずれも電力を受給した場合に、電力供給が不安定になってしまうという問題があった。例えば、各通信部が受給した電力を高負荷モジュールに供給すれば、高電圧側の通信部から低電圧側の通信部に電流が逆流することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−278110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電力供給が不安定になることなく、バスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することができ、システム全体の消費電力を低減させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。特に、電力受給が可能な複数の通信部がいずれも電力を受給した場合であっても、高負荷モジュールに対する電力供給が不安定になることのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による画像形成装置は、通信ケーブルを介して、外部機器との通信及び外部機器からの電力受給が可能な第1及び第2通信部と、第1及び第2通信部が受信した画像データを処理して出力データを生成する出力データ生成部と、商用電源から電力を受給し、上記出力データ生成部に供給する電源供給部と、第1及び第2通信部に電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かを検出する電力供給検出部と、上記電力供給検出部による検出結果に基づいて、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断し、第1通信部及び第2通信部のいずれか一方が受給した電力を上記出力データ生成部に供給する電力供給制御部とを備えて構成される。
【0009】
この画像形成装置では、電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かの検出結果に基づいて、電源供給部からの電力供給が遮断され、第1通信部又は第2通信部が受給した電力が出力データ生成部に選択的に供給される。この様な構成によれば、第1通信部及び第2通信部のいずれもが電力を受給した場合であっても、出力データ生成部に対する電力供給が不安定になることはない。従って、電力供給が不安定になることなく、バスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することができ、システム全体の消費電力を低減させることができる。
【0010】
第2の本発明による画像形成装置は、上記構成に加え、上記電力供給制御部が、上記電源供給部、第1通信部及び第2通信部のいずれもが上記出力データ生成部に電力供給可能である場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断するとともに、第1通信部及び第2通信部のいずれか一方が受給した電力を上記出力データ生成部に供給するように構成される。
【0011】
この様な構成によれば、電源供給部、第1通信部及び第2通信部がいずれも出力データ生成部に電力供給可能であれば、第1通信部及び第2通信部を優先して電力供給を行わせることができる。従って、電源供給部、第1通信部及び第2通信部が電力供給可能である場合に、システム全体の消費電力を効果的に低減させることができる。
【0012】
第3の本発明による画像形成装置は、上記構成に加え、第1通信部が、第2通信部よりも大きな電力を外部機器から受給する手段として構成され、上記電力供給制御部が、上記電源供給部、第1通信部及び第2通信部のいずれもが上記出力データ生成部に電力供給可能である場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断するとともに、第1通信部が受給した電力を上記出力データ生成部に供給するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、より大きな電力を外部機器から受給する第1通信部を優先して電力供給が行われるので、第1通信部及び第2通信部がいずれも電力を受給した場合であっても、高負荷モジュールに対する電力供給が不安定になることなく、電力供給を行わせることができる。
【0014】
第4の本発明による画像形成装置は、上記構成に加え、上記電力供給制御部が、第1通信部及び第2通信部に外部機器が接続されていない場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断するように構成される。この様な構成によれば、第1通信部及び第2通信部に外部機器が接続されていない場合における消費電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による画像形成装置によれば、第1通信部及び第2通信部のいずれもが電力を受給した場合であっても、出力データ生成部に対する電力供給が不安定になることはない。特に、より大きな電力を外部機器から受給する第1通信部を優先して電力供給が行われるので、第1通信部及び第2通信部がいずれも電力を受給した場合であっても、高負荷モジュールに対する電力供給が不安定になることなく、電力供給を行わせることができる。従って、電力供給が不安定になることなく、バスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することができ、システム全体の消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による画像形成装置を含む文書管理システム100の一構成例を示したシステム図である。
【図2】図1のMFP20の概略構成の一例を示したブロック図である。
【図3】図2のMFP20におけるメインCPU24の構成例を示したブロック図であり、メインCPU24内の機能構成の一例が示されている。
【図4】図2のMFP20における電源管理部27の構成例を示したブロック図であり、電源管理部27内の機能構成の一例が示されている。
【図5】図1のMFP20に接続された通信インターフェースの電力供給能力の一例を示した図である。
【図6】図2のMFP20において電力供給制御に用いられる受給切替テーブル52の一例を示した図である。
【図7】図2のMFP20におけるメインCPU24の起動処理の一例を示したフローチャートである。
【図8】図2のMFP20の電源管理部27におけるバスパワーの受給判定処理の一例を示したフローチャートである。
【図9】図2のMFP20におけるPDL処理部28の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<文書管理システム>
図1は、本発明の実施の形態による画像形成装置を含む文書管理システム100の一構成例を示したシステム図であり、画像形成装置の一例としてMFP20が示されている。この文書管理システム100は、MFP20と、通信ケーブル11〜13を介してMFP20に接続された端末装置1及び文書サーバー2からなり、端末装置1又は文書サーバー2から転送された描画データがMFP20により処理される。
【0018】
MFP20は、スキャナ機能、プリンタ機能、FAX(ファクシミリ)機能、複写機能を有し、これらの機能を選択的に実行させることができる画像形成装置である。通信ケーブル11〜13は、所定の通信規格において規定された通信インターフェース間で通信データを伝送するための伝送線である。
【0019】
例えば、通信ケーブル11は、シリアル通信用I/F、具体的には、USBI/F間を接続するためのUSBケーブルである。また、通信ケーブル12は、イーサネット(Ethernet、登録商標)などのLAN(ローカルエリアネットワーク)I/F間を接続するためのLANケーブルである。また、通信ケーブル13は、USBI/Fよりもデータ転送速度が速い高速シリアル通信用I/F間を接続するための通信ケーブルである。
【0020】
通信ケーブル11〜13が接続されるMFP20の通信インターフェースは、いずれもバスパワーを利用して電力供給可能な通信部である。具体的に説明すれば、通信ケーブル12が接続される通信インターフェースは、通信規格のPOE(Power Over Ethernet)において規定された通信部である。POE規格は、IEEE802.3af及び802.3atとして標準化された通信規格である。また、通信ケーブル13が接続される通信インターフェースは、IEEE1394において規定された通信部である。
【0021】
端末装置1は、表示部及び操作部を備えたPCなどの情報処理端末である。端末装置1では、印刷し、或いは、FAX送信するための描画データが作成される。この描画データは、描画を指示するための所定のPDLにより記述されたプログラムであり、文字コードと、字体などのフォント、文字のサイズ、文字の印字位置などを指定するためのコマンドからなる。
【0022】
文書サーバー2は、端末装置1から転送された描画データなどの文書データを保持する情報処理装置である。このMFP20には、通信ケーブル11及び13を介して端末装置1がそれぞれ接続され、通信ケーブル12を介して端末装置1及び文書サーバー2が接続されている。MFP20では、端末装置1及び文書サーバー2から転送された描画データをデコードして画像データが生成される。この画像データは、記録紙に印刷され、或いは、外部機器へFAX送信される。
【0023】
<MFP>
図2は、図1のMFP20の概略構成の一例を示したブロック図である。このMFP20は、USBI/F21、LANI/F22、高速シリアル通信用I/F23、メインCPU24、描画データ記憶部25、電源供給部26、電源管理部27、PDL処理部28、画像形成部29、DC−DCコンバータ31及びFET32により構成される。
【0024】
USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23は、通信ケーブル11〜13を介して、端末装置1などの外部機器が接続され、外部機器と所定の通信プロトコルに基づいて通信する通信部である。USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23は、いずれも通信ケーブル11〜13を介して外部機器からの電力受給が可能な送受信回路からなる。
【0025】
USBI/F21には、通信ケーブル11が接続され、LANI/F22には、通信ケーブル12が接続され、高速シリアル通信用I/F23には、通信ケーブル13が接続されている。USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23は、バスを介してメインCPU24及び描画データ記憶部25に接続されている。
【0026】
描画データ記憶部25には、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23が受信した描画データが保持される。PDL処理部28は、描画データ記憶部25から描画データを読み出してデコードすることにより、画像データを生成し、画像形成部29へ出力する描画データデコード部である。画像形成部29は、PDL処理部28からの画像データを記録紙に印刷し、或いは、FAX送信する。
【0027】
電源供給部26は、電源ケーブル14を介して商用電源から電力を受給し、USBI/F21、LANI/F22、高速シリアル通信用I/F23、メインCPU24、電源管理部27、PDL処理部28及び画像形成部29に供給する電源回路からなる。この電源供給部26では、PDL処理部28を含む各デバイスが電圧12Vで動作することから、商用電源から受給した交流電圧を電圧12Vの直流電圧に変換して出力する動作が行われる。
【0028】
DC−DCコンバータ31は、LANI/F22が受給した直流電圧を所定の直流電圧に変換し、PDL処理部に供給する電圧変換部であり、所定の変換回路からなる。FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)32は、ゲート端子に印加される電圧に基づいて、電力供給を遮断するための半導体スイッチング素子である。
【0029】
FET32は、DC−DCコンバータ31からPDL処理部28への電力供給路と、高速シリアル通信用I/F23からPDL処理部28への電力供給路と、電源供給部26からPDL処理部28への電力供給路とにそれぞれ設けられている。これらのFET32は、択一的にオンされ、2以上のFET32が同時にオンすることはない。
【0030】
ここで、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23は、いずれも所定の駆動限界値を越える電力を外部機器から受給し、受給した電力によってPDL処理部28を駆動することができる。一方、USBI/F21は、上記駆動限界値以下の電力を外部機器から受給することから、受給した電力ではPDL処理部28を十分に駆動することはできない。また、高速シリアル通信用I/F23は、LANI/F22よりも大きな電力を外部機器から受給する。
【0031】
USBI/F21が、電圧5Vの電力を受給するのに対し、LANI/F22は、電圧48Vの電力を受給し、また、高速シリアル通信用I/F23は、電圧12Vの電力を受給する。DC−DCコンバータ31では、LANI/F22が受給した電力を電圧12Vの直流電圧に変換して出力する動作が行われる。
【0032】
メインCPU24は、所定のキー割込信号に基づいて、初期化プログラムを実行し、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23を初期化(リセット)する。上記キー割込信号は、電源供給部26をオンさせるための電源スイッチの操作に基づいて生成される。
【0033】
また、メインCPU24は、初期化プログラムに基づいて、電源管理部27に受給判定処理を開始させるための起動信号Trを生成し、電源管理部27へ出力する。メインCPU24により、USBI/F21、LANI/F22又は高速シリアル通信用I/F23が受信した描画データが描画データ記憶部25内に書き込まれる。
【0034】
このメインCPU24では、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23の受信状態を監視し、外部機器が接続されているか否かが検出される。そして、外部機器の接続状態に応じて所定の検出信号Ifが生成され、電源管理部27へ出力される。
【0035】
電源管理部27は、メインCPU24からの起動信号Trに基づいて起動し、検出信号Ifと、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23が受給した電力の電圧レベルに基づいて、各FET31を制御する制御回路からなる。
【0036】
電源管理部27には、LANI/F22により受給され、DC−DCコンバータ31による降圧後の電圧Vpと、高速シリアル通信用I/F23により受給された電圧Viとが入力される。また、電源管理部27では、所定のFET制御信号Sp,Si及びSmが生成され、各FET32へ出力される。
【0037】
FET制御信号Spは、DC−DCコンバータ31を介してLANI/F22からPDL処理部28に供給される電力を遮断するFET32に対する制御信号である。FET制御信号Siは、高速シリアル通信用I/F23からPDL処理部28に供給される電力を遮断するFET32に対する制御信号である。FET制御信号Smは、電源供給部26からPDL処理部28に供給される電力を遮断するFET32に対する制御信号である。
【0038】
<メインCPU>
図3は、図2のMFP20におけるメインCPU24の構成例を示したブロック図であり、メインCPU24内の機能構成の一例が示されている。このメインCPU24は、初期化プログラム実行部41、起動信号生成部42及びI/F接続検出部43からなる。初期化プログラム実行部41は、キー割込信号に基づいて、初期化プログラムを実行し、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23を初期化する。
【0039】
起動信号生成部42は、初期化プログラムの実行後、所定の起動信号Trを生成し、電源管理部27へ出力する。I/F接続検出部43は、初期化プログラムの実行後、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23の受信状態を監視して、外部機器が接続されているか否かを検出し、検出信号Ifを生成して電源管理部27へ出力する。
【0040】
検出信号Ifは、例えば、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23のいずれか1つでも外部機器が接続されていれば、イネーブル(論理値1)となる信号である。一方、検出信号Ifは、USBI/F21、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23のいずれにも外部機器が接続されていない場合には、ディセーブル(論理値0)となる。
【0041】
<電源管理部>
図4は、図2のMFP20における電源管理部27の構成例を示したブロック図であり、電源管理部27内の機能構成の一例が示されている。この電源管理部27は、受給判定部51、受給切替テーブル52及び電力供給制御部53からなる。
【0042】
受給判定部51は、メインCPU24からの起動信号Trに基づいて、受給判定処理を開始し、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23に電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かを検出する電力供給検出部である。上記受給判定処理は、メインCPU24からの検出信号Ifと、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23によりそれぞれ受給された電圧Vp及びViとを参照する。
【0043】
そして、If,Vp及びViに基づいて、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23に電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かを判定し、その判定結果を電力供給制御部53へ出力することにより行われる。
【0044】
電力供給制御部53は、受給判定部51による判定結果に基づいて、電源供給部26からPDL処理部28への電力供給を遮断し、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23のいずれか一方が受給した電力をPDL処理部28に供給する。具体的には、I/F21〜23に対する外部機器の接続状態と、I/F22及び23の受給状態とに対応付けて、FET32のオン又はオフを保持する受給切替テーブル52に基づいて、FET制御信号Sp,Si及びSmを生成し、各FET32へ出力する。
【0045】
例えば、電源供給部26と、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23とのいずれもがPDL処理部28に対して電力供給可能である場合、電源供給部26からPDL処理部28への電力供給が遮断される。そして、LANI/F22及び高速シリアル通信用I/F23のいずれか一方が受給した電力がPDL処理部28に供給される。
【0046】
このとき、電力供給制御部53では、より大きな電力を外部機器から受給する通信インターフェースを優先する制御が行われ、高速シリアル通信用I/F23が受給した電力がPDL処理部28に供給される。
【0047】
また、I/F21〜23に外部機器が接続されていない場合には、電源供給部26からPDL処理部28への電力供給が遮断される。なお、I/F22及び23のいずれもが電力供給可能でない場合であっても、I/F21〜23のいずれかに電力供給可能でない外部機器が接続されていれば、電源供給部26からPDL処理部28への電力供給を遮断するためのFET32をオンさせ、電源供給部26に電力供給させる。
【0048】
図5は、図1のMFP20に接続された通信インターフェースの電力供給能力の一例を示した図である。USBインターフェースでは、供給電圧5V、供給電力2.5Wの電力が供給される。一方、POE(LAN)インターフェースでは、供給電圧48V、供給電力15.4Wの電力が供給され、IEEE1394インターフェースでは、供給電圧12V、供給電力18Wの電力が供給される。
【0049】
PDL処理部28が10W程度の電力を要求する場合、POEインターフェース及びIEEE1394インターフェースは、供給電力が大きく、PDL処理部28に対して電力供給が可能である。これに対し、USBインターフェースは、供給電力が小さいので、PDL処理部28に対して十分な電力を供給することができない。
【0050】
<受給切替テーブル>
図6は、図2のMFP20において電力供給制御に用いられる受給切替テーブル52の一例を示した図である。この受給切替テーブル52には、電圧Vi,Vp及び検出信号Ifの状態に対応付けて、FET制御信号Si,Sp及びSmの信号状態が保持されている。FET制御信号Si,Sp及びSmの信号状態は、通信インターフェース及び外部機器の接続状態ごとに保持されている。
【0051】
具体的には、高速シリアル通信用I/F23(IEEE1394)に対し、Viがイネーブル、すなわち、電力供給可能な外部機器が接続されている場合、Vpがイネーブルであるか、或いは、ディセーブルであるかに関わらず、Siがオンされる。このとき、Ifはイネーブルであり、Sp及びSmはオフである。
【0052】
LANI/F22(POE)に対し、Viがディセーブルであり、かつ、Vpがイネーブルである場合、Spがオンされる。このとき、Ifはイネーブルであり、Si及びSmはオフである。USBI/F21を含むI/F21〜23に対し、Vi及びVpがディセーブルであり、かつ、Ifがイネーブルである場合、Smがオンされ、Si及びSpはオフである。そして、I/F21〜23に外部機器が接続されていない場合には、Vi,Vp,Ifが全てディセーブルであり、Si,Sp,Smが全てオフされる。
【0053】
<メインCPUの起動処理>
図7のステップS101〜S104は、図2のMFP20におけるメインCPU24の起動処理の一例を示したフローチャートである。まず、メインCPU24は、電源スイッチの操作に基づいて電源供給部26がオンし、キー割込信号を受信すれば、初期化プログラムを実行する(ステップS101)。
【0054】
次に、メインCPU24は、各I/F21〜23を初期化し、起動信号Trを生成し、電源管理部27へ出力する(ステップS102,S103)。そして、メインCPU24は、I/F21〜23に対する外部機器の接続状態を検出し、その検出結果を電源管理部27へ出力する(ステップS104)。
【0055】
<受給判定処理>
図8のステップS201〜S208は、図2のMFP20の電源管理部27におけるバスパワーの受給判定処理の一例を示したフローチャートである。まず、電源管理部27は、電圧Viが12Vを受給しているか否かを判断する(ステップS201)。このとき、電圧Viが12Vを受給していれば、高速シリアル通信用I/F23が接続されていると判断し、FET制御信号Siをオンするとともに、Sp及びSmをいずれもオフする。これにより、PDL処理部28が、高速シリアル通信用I/F23を介して電力を受給する(ステップS202,S203)。
【0056】
一方、電圧Viが12Vを受給していなければ、電源管理部27は、電圧Vpが12Vを受給しているか否かを判断する(ステップS204)。このとき、電圧Vpが12Vを受給していれば、LANI/F22が接続されていると判断し、FET制御信号Spをオンするとともに、Si及びSmをいずれもオフする。これにより、PDL処理部28が、LANI/F22を介して電力を受給する(ステップS205,S203)。
【0057】
さらに、電圧Vpも12Vを受給していなければ、電源管理部27は、検出信号Ifがイネーブル、すなわち、論理値1であるか否かを判断する(ステップS206)。このとき、検出信号Ifがイネーブルであれば、いずれかのI/F21〜23に外部機器が接続されているが、外部から電源を受給できないと判断し、FET制御信号Smをオンするとともに、Si及びSpをいずれもオフする。これにより、PDL処理部28が、電源供給部26を介して商用電源を受給する(ステップS207,S203)。
【0058】
検出信号Ifがイネーブルでない場合には、I/F21〜23のいずれにも外部機器が接続されていないと判断し、全てのFET制御信号Si,Sp,Smをオフして(ステップS208)、この処理を終了する。
【0059】
<PDL処理部>
図9のステップS301〜S304は、図2のMFP20におけるPDL処理部28の動作の一例を示したフローチャートである。まず、PDL処理部28は、電力が供給されれば、所定の初期化プログラムを実行する(ステップS301)。
【0060】
次に、PDL処理部28は、印刷ジョブなどの所定のジョブが発生すれば、I/F21〜23が受信した描画データを解析して画像データを生成し、画像形成部29へ出力する(ステップS302〜S304)。
【0061】
本実施の形態によれば、I/F22及び23のいずれもが電力を受給した場合であっても、PDL処理部28に対する電力供給が不安定になることはない。従って、電力供給が不安定になることなく、バスパワーを利用して高負荷モジュールを駆動することができ、システム全体の消費電力を低減させることができる。また、バスパワーが利用できるときには、バスパワーを利用して電力供給することにより、電源供給部26が受給する電力を低減させるので、電源供給部26を長寿命化することができる。
【0062】
また、電源供給部26と、I/F22及び23とがいずれもPDL処理部28に電力供給可能であれば、I/F22及び23を優先して電力供給を行わせることができる。従って、電源供給部26が電力供給可能である場合に、システム全体の消費電力を効果的に低減させることができる。
【0063】
特に、より大きな電力を外部機器から受給するI/F23を優先して電力供給が行われるので、I/F22及び23がいずれも電力を受給した場合であっても、高負荷モジュールに対する電力供給が不安定になることなく、電力供給を行わせることができる。また、I/F21〜23に外部機器が接続されていない場合における消費電力を低減させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、電源供給部26がオンするタイミングで受給判定処理を開始させる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、通常モードと、PDL処理部28に対する電力供給を遮断することにより、通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードとが切替可能である場合に、省電力モードから通常モードに復帰するタイミングで受給判定処理を開始させても良い。
【0065】
また、本実施の形態では、バスパワーを利用してPDL処理部28を駆動する場合の例について説明したが、バスパワーを利用して駆動する高負荷モジュールはこれに限られるものではない。例えば、I/F21〜23が受信した画像データ(圧縮された画像データ)をデコードして非圧縮の画像データを出力データとして生成する画像処理部に対して、バスパワーを供給するものにも本発明は適用することができる。受信した画像データから上記画像処理部により生成された出力データは、印刷、表示、記憶又は送信用データとして処理される。
【符号の説明】
【0066】
1 端末装置
2 文書サーバー
11〜13 通信ケーブル
14 電源ケーブル
20 MFP
21 USBI/F
22 LANI/F
23 高速シリアル通信用I/F
24 メインCPU
25 描画データ記憶部
26 電源供給部
27 電源管理部
28 PDL処理部
29 画像形成部
31 DC−DCコンバータ
32 FET
41 初期化プログラム実行部
42 起動信号生成部
43 I/F接続検出部
51 受給判定部
52 受給切替テーブル
53 電力供給制御部
100 文書管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルを介して、外部機器との通信及び外部機器からの電力受給が可能な第1及び第2通信部と、
第1及び第2通信部が受信した画像データを処理して出力データを生成する出力データ生成部と、
商用電源から電力を受給し、上記出力データ生成部に供給する電源供給部と、
第1及び第2通信部に電力供給が可能な外部機器が接続されているか否かを検出する電力供給検出部と、
上記電力供給検出部による検出結果に基づいて、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断し、第1通信部及び第2通信部のいずれか一方が受給した電力を上記出力データ生成部に供給する電力供給制御部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記電力供給制御部は、上記電源供給部、第1通信部及び第2通信部のいずれもが上記出力データ生成部に電力供給可能である場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断するとともに、第1通信部及び第2通信部のいずれか一方が受給した電力を上記出力データ生成部に供給することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1通信部は、第2通信部よりも大きな電力を外部機器から受給する手段として構成され、
上記電力供給制御部は、上記電源供給部、第1通信部及び第2通信部のいずれもが上記出力データ生成部に電力供給可能である場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断するとともに、第1通信部が受給した電力を上記出力データ生成部に供給することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記電力供給制御部は、第1通信部及び第2通信部に外部機器が接続されていない場合に、上記電源供給部から上記出力データ生成部への電力供給を遮断することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−6179(P2012−6179A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141903(P2010−141903)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】