説明

画像形成装置

【課題】複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を可及的に少なくすることができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ10は、インクR1〜R4(第1液体)が貯留される第1液体タンク14a〜14dと処理液R5(第2液体)が貯留される第2液体タンク16a〜16dとを有する複数の液体カートリッジ18a〜18d等を備え、制御部30(液体供給制御手段)は、制御部30(第1液体残量検知手段)が検知した複数の液体カートリッジのインクの残量を比較して、インクの残量が少ない液体カートリッジに係る第2液体タンクからインク吐出ヘッド22a〜22d(第2液体使用部)への処理液R5の供給量を、インクの残量が多い液体カートリッジに係る第2液体タンクからインク吐出ヘッドへの処理液R5の供給量よりも多くさせるように液体供給手段28を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体にインク等の第1液体を吐出する画像形成装置において、高い印字品質を維持したり、画質を向上させたりするために、第1液体の成分を凝集または析出させる第2液体を、記録媒体に塗布する技術が知られている(特許文献1参照)。しかし、第1液体および第2液体のそれぞれを、互いに独立した複数の液体タンクに収容した場合には、複数の液体タンクを配置するスペースを個別に確保する必要があるため、装置が大型化するという課題があった。
【0003】
この課題を解決する手段として、特許文献2には、複数の液体タンクを一体化させることによって、装置の小型化を図る技術が記載されている。この技術は、インクを貯蔵する第1収納部と記録性向上液を貯蔵する第2収納部とを一体化させてタンク部を構成し、インクが無くなった際にタンク部の全体を交換するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−141841号公報
【特許文献2】特開平8−216391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の先行技術では、第1収納部のインクが無くなった際に、タンク部の全体を交換するようにしていたので、第2収納部に残存した多くの記録性向上液が無駄に廃棄されるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を可及的に少なくすることができる、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、第1液体が貯留される第1液体タンクと第2液体が貯留される第2液体タンクとを有する複数の液体カートリッジと、前記複数の液体カートリッジが装着される複数のカートリッジ装着部と、前記複数の液体カートリッジの前記第1液体タンクのそれぞれに対応して連通され、画像を形成するために前記第1液体を使用する複数の第1液体使用部と、前記複数の液体カートリッジの前記第2液体タンクの全てに連通され、画像を形成するために前記第2液体を使用する第2液体使用部と、前記複数の液体カートリッジの前記第2液体タンクから前記第2液体を前記第2液体使用部に供給させるものであって、各前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量を調節する調節部を有する液体供給手段と、前記複数の液体カートリッジのそれぞれの前記第1液体タンクの液体残量を検知する第1液体残量検知手段と、前記液体供給手段を制御する液体供給制御手段と、を備え、前記液体供給制御手段は、前記第1液体残量検知手段が検知した前記複数の液体カートリッジの前記第1液体の液体残量を比較して、前記第1液体の残量が少ない前記液体カートリッジに係る前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量を、前記第1液体の残量が多い前記液体カートリッジに係る前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量よりも多くさせるように前記液体供給手段を制御することを特徴とする。
【0008】
この構成では、第1液体の残量が少ない液体カートリッジについては、それよりも第1液体の残量が多い液体カートリッジに比べて、第2液体使用部に供給する第2液体の量を多くするようにしているので、液体カートリッジの第1液体が無くなった時に、同じ液体カートリッジに残っている第2液体の量を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記の構成によって、複数の液体タンクが一体化された液体カートリッジを交換する際に、無駄に廃棄される残存液の量を可及的に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタ(画像形成装置)の全体構成を示す概念図である。
【図2】インクジェットプリンタに用いられるインク吐出ヘッド(第1液体使用部)のヘッド本体を示す平面図である。
【図3】インク吐出ヘッドのヘッド本体を示す部分拡大断面図である。
【図4】インクジェットプリンタに用いられる制御部の構成を示すブロック図である。図である。
【図5】制御部(液体供給制御手段)の制御動作を示すフロー図である。
【図6】制御部(液体供給制御手段)の制御動作を示すフロー図である。
【図7】制御部(液体供給制御手段)の制御動作を示すフロー図である。
【図8】第2実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る画像形成装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
[インクジェットプリンタの全体構成]
【0012】
図1は、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10の全体構成を示す概念図である。
【0013】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、搬送機構12によって搬送される「記録媒体」としての用紙Pの表面に、互いに異なる液体R1〜R5を使用して画像を形成するものであり、第1液体R1〜R4のいずれか1つが貯留される第1液体タンク14a〜14dと同じ第2液体R5が貯留される第2液体タンク16a〜16dとを有する複数(本実施形態では4つ)の液体カートリッジ18a〜18dと、液体カートリッジ18a〜18dのそれぞれを保持するカートリッジ装着部20a〜20dと、第1液体R1〜R4を使用する複数の第1液体使用部22a〜22dと、第2液体R5を使用する1つの第2液体使用部24とを備えている。
【0014】
また、インクジェットプリンタ10は、第1液体タンク14a〜14dのそれぞれに貯留されている第1液体R1〜R4を、対応する第1液体使用部22a〜22dに供給する第1液体供給手段26a〜26dと、第2液体タンク16a〜16dのそれぞれに貯留されている第2液体R5を、第2液体使用部24に供給する第2液体供給手段28と、制御部30とを備えている。
[搬送機構の構成]
【0015】
搬送機構12は、用紙カセット(図示省略)に収容された用紙Pを、第1液体使用部22a〜22dおよび第2液体使用部24に導くものであり、一対のプーリー32a,32bと、一対のプーリー32a,32b間に環状に掛け渡された無端ベルト34と、一方のプーリー32aを回転させるモータ36とを備えており、モータ36が制御部30に導電線(図示省略)を介して電気的に接続されている。モータ36は、その回転数を把握可能なサーボモータまたはステッピングモータ等であり、制御部30でモータ36の回転数が制御されることによって、用紙Pの搬送速度が制御される。そして、搬送機構12における無端ベルト34の上方に、第1液体使用部22a〜22dおよび第2液体使用部24が並んで配置されており、無端ベルト34の上面に載置された用紙Pが、まず、第2液体使用部24の直下を通過し、その後、第1液体使用部22a〜22dの直下を通過するようになっている。
[液体カートリッジの構成]
【0016】
図1に示すように、液体カートリッジ18a〜18dは、インクが貯留される第1液体タンク14a〜14dと、処理液が貯留される第2液体タンク16a〜16dとが一体化されたものであり、これらの液体カートリッジ18a〜18dがカートリッジ装着部20a〜20dに対して着脱可能に装着されている。液体カートリッジ18a〜18dのいずれかの第1液体R1〜R4が無くなると、その液体カートリッジ18a〜18dの全体がカートリッジ装着部20a〜20dから取り外されて交換される。本実施形態における「第1液体R1〜R4」は、ブラックインク、シアンインク、マゼンダインクおよびイエローインクであり、「第2液体R5」は、処理液である。そこで、以下では、「第1液体R1〜R4」を「インクR1〜R4」と読み替え、「第2液体R5」を「処理液R5」と読み替えて説明する。
【0017】
第2液体タンク16a〜16dに貯留される処理液R5としては、第1液体タンク14a〜14dに貯留されるインクR1〜R4の成分を凝集または析出させるものが用いられ、たとえば、顔料系のインクR1〜R4に対しては、顔料色素を凝集させるものが用いられ、染料系のインクR1〜R4に対しては、染料色素を析出させるものが用いられる。処理液R5の材料としては、カチオン性化合物、とりわけカチオン系高分子やカチオン性界面活性剤、カルシウム塩、マグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等を適宜選択可能であり、これらの処理液R5が塗布された用紙Pの塗布領域にインクR1〜R4が着弾すると、多価金属塩等がインクR1〜R4の着色剤である染料または顔料に作用して、不溶性または難溶性の金属複合体等が凝集または析出により形成される。その結果、インクR1〜R4の用紙P内への浸透度が低下し、インクR1〜R4を用紙P上に定着させ易くなる。
[液体使用部の構成]
【0018】
第1液体使用部22a〜22dおよび第2液体使用部24のそれぞれは、画像を形成するために、互いに異なるインクR1〜R4および処理液R5を使用する部分である。「液体使用部」は、画像形成に直接的に寄与する部分は勿論、補助的に寄与する部分をも含む概念であり、本実施形態では、第1液体使用部22a〜22dが、画像形成に直接寄与する「インク吐出ヘッド」であり、第2液体使用部24が、画像形成に補助的に寄与する「処理液吐出ヘッド」である。そこで、以下では、「第1液体使用部22a〜22d」を「インク吐出ヘッド22a〜22d」と読み替え、「第2液体使用部24」を「処理液吐出ヘッド24」と読み替えて説明する。
【0019】
図2は、インクジェットプリンタ10に用いられるインク吐出ヘッド22a〜22dのヘッド本体42を示す平面図であり、図3は、インク吐出ヘッド22a〜22dのヘッド本体42を示す部分拡大断面図である。
【0020】
図1に示すように、インク吐出ヘッド22a〜22dは、搬送機構12で搬送される用紙PにインクR1〜R4を吐出するものであり、用紙Pの搬送方向(以下、「副走査方向」という。)に対して直交する方向(以下、「主走査方向」という。)に長尺な略直方体状のヘッドホルダ40を有している。そして、このヘッドホルダ40の下面に、インクR1〜R4を吐出するヘッド本体42が装着されている。つまり、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、ライン式のプリンタである。
【0021】
図3に示すように、ヘッド本体42は、流路ユニット44とその上面に接合されたアクチュエータユニット46とを有している。流路ユニット44は、ステンレス鋼からなる複数の金属製のプレートからなる積層体であり、最下層を構成するノズルプレート44aの下面が吐出面48となっている。そして、この吐出面48には、複数のノズル50が、主走査方向に600dpiの間隔でインクR1〜R4のいずれか1つを吐出できるように形成されている。また、流路ユニット44の内部には、マニホールド52(図2)および副マニホールド52aが形成されており、さらに、副マニホールド52aからアパーチャ54および圧力室56を経てノズル50に至る複数の個別インク流路58が形成されている。また、図2に示すように、流路ユニット44の上面44bには、マニホールド52に連通する複数のインク供給口52bが形成されている。そして、ヘッド本体42の上方には、インク供給口52bに連通するリザーブユニット(図示省略)が配置されており、リザーブユニットが、後述する連通路60a〜60dを介して、液体カートリッジ18a〜18dの第1液体タンク14a〜14dに対応して連通されている。
【0022】
図3に示すように、アクチュエータユニット46は、複数の個別インク流路58の圧力室56に対応する複数のアクチュエータ(図示省略)を有している。複数のアクチュエータのそれぞれは、圧電層とこれを挟むように配置された電極とを有しており、電極に電圧を付与することで圧力室56の内部のインクR1〜R4に吐出エネルギーを付与できるように構成されている。すなわち、アクチュエータユニット46はユニモルフ型の圧電アクチュエータから構成されている。また、図示していないが、電極には、ドライバICを搭載したフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)の一方端部が電気的に接続されており、当該FPCの他方端部は、制御部30(図1)に電気的に接続されている。本実施形態では、インク吐出ヘッド22a〜22dにおける主走査方向および副走査方向の解像度がいずれも600dpiであり、アクチュエータユニット46は、ノズル50から吐出されるインクR1〜R4のドット間隔が副走査方向に600dpiとなるように制御部30によって制御される。したがって、用紙P上には、主走査方向および副走査方向に1/600インチ間隔で区画された格子状の単位領域が規定される。
【0023】
図1に示すように、処理液吐出ヘッド24は、搬送機構12で搬送される用紙Pにインク吐出ヘッド22a〜22dの搬送方向上流側で処理液R5を吐出するものであり、その流路ユニット44に第2液体タンク16a〜16dが接続される点を除いて、インク吐出ヘッド22a〜22dと同様に構成されている。つまり、処理液吐出ヘッド24は、主走査方向に長尺な略直方体状のヘッドホルダ40を有しており、ヘッドホルダ40の下面に処理液R5を吐出するヘッド本体42が装着されている。そして、ヘッド本体42の上方には、処理液供給口に連通するリザーブユニットが配置されており、リザーブユニットが、複数の液体カートリッジ18a〜18dの第2液体タンク16a〜16dの全てに連通されいる。
【0024】
処理液吐出ヘッド24のアクチュエータユニット46は、圧電層とこれを挟むように配置された電極とを有する複数のアクチュエータを有しており、電極には、ドライバICを搭載したFPCの一方端部が電気的に接続されており、当該FPCの他方端部は、制御部30(図1)に電気的に接続されている。処理液吐出ヘッド24における主走査方向および副走査方向の解像度は、インク吐出ヘッド22a〜22dと同様に、いずれも600dpiであり、これにより、処理液吐出ヘッド24から吐出された処理液R5を上記単位領域に正確に着弾させることができる。用紙Pに対する処理液R5の着弾位置とインクR1〜R4の着弾位置とを正確に一致させるために、処理液吐出ヘッド24とインク吐出ヘッド22a〜22dとは、用紙Pに対して同じ位置的条件(距離、吐出角等)で配置されている。
[液体供給手段の構成]
【0025】
第1液体供給手段26a〜26dのそれぞれは、第1液体タンク14a〜14dとインク吐出ヘッド22a〜22dとを連通するチューブからなる連通路60a〜60dと、連通路60a〜60dの途中に、連通路60a〜60dを上流側と下流側とに分断するようにして設けられたサブタンク62a〜62dとを有しており、サブタンク62a〜62dの上流側に位置する連通路60a〜60dには、ポンプ64a〜64dが設けられている。また、サブタンク62a〜62dとインク吐出ヘッド22a〜22dとは、循環路66a〜66dを介して連通されており、これらの間でポンプ等(図示省略)を用いてインクR1〜R4が循環されるようになっている。さらに、サブタンク62a〜62dの内部空間は、大気開放弁(図示省略)を介して大気に連通されている。したがって、ポンプ等を用いてインクR1〜R4を循環させると、インク吐出ヘッド22a〜22d内の気泡がサブタンク62a〜62dに移動され、大気開放弁から大気中に放散される。
【0026】
第2液体供給手段28は、4つの入口70a〜70dと1つの出口70eとを有し、4つの入口70a〜70dの1つを選択的に有効化する切替弁70と、第2液体タンク16a〜16dと切替弁70の4つの入口70a〜70dとを連通させる連通路72a〜72dと、処理液吐出ヘッド24と切替弁70の1つの出口70eとを連通させる連通路74と、連通路74の途中に、連通路74を上流側と下流側とに分断するようにして設けられたサブタンク76とを有しており、サブタンク76の上流側に位置する連通路74には、ポンプ78が設けられている。また、サブタンク76と処理液吐出ヘッド24とは、循環路80を介して連通されており、サブタンク76の内部空間は、大気開放弁(図示省略)を介して大気に連通されている。
【0027】
ポンプ64a〜64d、切替弁70およびポンプ78は、制御部30に対して導電線(図示省略)を介して電気的に接続されており、制御部30によってこれらの動作が制御される。したがって、本実施形態では、制御部30によって制御される切替弁70が「第2液体」としての処理液R5の供給量を調節する「調節部」となっている。
[制御部の構成]
【0028】
図4は、インクジェットプリンタ10に用いられる制御部30の構成を示すブロック図である。
【0029】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラムや各種のデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを有している。そして、図4に示すように、CPUで制御プログラムが実行されることによって、ヘッド制御部90、画像データ記憶部92、処理液吐出データ記憶部94、処理液吐出データ作成部96、処理液吐出データ変更部98、搬送制御部100、液体移送制御部102および残量検知部104が実現される。
【0030】
ヘッド制御部90は、画像データ記憶部92に記憶された画像データに基づいてインク吐出ヘッド22a〜22dのアクチュエータを制御するインク吐出ヘッド制御部90aと、処理液吐出データ記憶部94に記憶された処理液吐出データに基づいて処理液吐出ヘッド24のアクチュエータを制御する処理液吐出ヘッド制御部90bとを有している。ここで、画像データは、インク吐出ヘッド22a〜22dから用紙P上の各単位領域に吐出するインクR1〜R4の量を、ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で示すものであり、処理液吐出データは、処理液吐出ヘッド24から用紙P上の各単位領域に吐出する処理液R5の量を、ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で示すものである。したがって、制御部30では、画像データおよび処理液吐出データに含まれる液滴のドット数やドットサイズに基づいて、インクR1〜R4および処理液R5の消費量を求めることができる。
【0031】
処理液吐出データ作成部96は、画像データ記憶部92に記憶された画像データに基づいて処理液吐出データを作成するものであり、処理液吐出データ変更部98は、処理液吐出データ記憶部94に記憶された処理液吐出データを、操作パネル106から入力された情報等に基づいて適宜変更するものである。
【0032】
液体移送制御部102は、第1液体供給手段26a〜26dを制御する「第1液体供給制御手段」としての機能と、第2液体供給手段28を制御する「第2液体供給制御手段」としての機能とを有するものであり、液体移送制御部102によって、ポンプ64a〜64d、切替弁70およびポンプ78の状態が把握される。したがって、制御部30では、液体移送制御部102で把握されるポンプ能力やポンプ稼動時間に関する情報に基づいて、第1液体供給手段26a〜26dおよび第2液体供給手段28によるインクR1〜R4および処理液R5の移送量を求めることができる。
【0033】
残量検知部104は、第1液体タンク14a〜14dおよび第2液体タンク16a〜16dにおけるインクR1〜R4および処理液R5の残量を、画像データおよび処理液吐出データに含まれる液滴のドット数やドットサイズに基づいて、或いは、ポンプ能力やポンプ稼動時間に関する情報に基づいて算出するものであり、当該残量が予め設定された所定の基準値に達したことを残量検知部104が検知したとき、残量検知部104から検知信号が出力される。つまり、残量検知部104は、複数の液体カートリッジ18a〜18dのそれぞれの第1液体タンク14a〜14dにおけるインクインクR1〜R4の残量を検知する「第1液体残量検知手段」としての機能と、複数の液体カートリッジ18a〜18dのそれぞれの第2液体タンク16a〜16dにおける処理液R5の残量を検知する「第2液体残量検知手段」としての機能とを有している。なお、所定の基準値は、制御部30のEEPROM等に記憶されており、操作パネル106から入力される信号に基づいて適宜書き換えられる。
【0034】
操作パネル106は、処理液吐出データ変更部98および残量検知部104に対して各種の情報を入力する「情報入力手段」としての機能と、残量検知部104から与えられた信号に基づいて液体カートリッジ18a〜18dを交換すべきことを報知する「報知手段」としての機能とを有している。或る第1液体タンク14a〜14dにおける「第1液体」としてのインクR1〜R4の残量が所定の基準値未満(第2基準値に対応。例えば、残量0に相当する値や0に近い値が該当する。)になったことを「第1液体残量検知手段」としての残量検知部104が検知すると、操作パネル106は、残量検知部104から出力された検知信号に基づいて、液体カートリッジ18a〜18dを交換すべきことを報知するように、その表示部(図示省略)に文字等を表示する。
[制御部の制御動作]
【0035】
インクジェットプリンタ10の印刷動作を実行すると、「第1液体供給制御手段」としての制御部30によって第1液体供給手段26a〜26dが制御され、第1液体タンク14a〜14dのインクR1〜R4が、ポンプ64a〜64dおよびサブタンク62a〜62dを介してインク吐出ヘッド22a〜22dに供給される。また、「第2液体供給制御手段」としての制御部30によって第2液体供給手段28が制御され、第2液体タンク16a〜16dの処理液R5が、切替弁70、ポンプ78およびサブタンク76を介して処理液吐出ヘッド24に供給される。以下に、図5〜図7を参照しながら、「第2液体供給制御手段」としての制御部30の制御動作を説明する。
【0036】
図5に示すように、この制御動作が開始されると、まず、ステップS1において、複数の液体カートリッジ18a〜18dについて、処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給する処理液R5の量を多くさせる優先順位が仮決めされる。本実施形態では、処理液吐出ヘッド24の上流側に位置する連通路74の途中にサブタンク76が設けられており、サブタンク76に供給された処理液R5が処理液吐出ヘッド24に供給されるので、「処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給する処理液R5の量」とは、「処理液吐出ヘッド24に供給する処理液R5の量」を意味する(以下、同じ。)。そして、本実施形態では、インクR1〜R4が使用頻度の高い順に無くなると予測できることから、その使用頻度に着目して優先順位が仮決めされる。つまり、ブラックインクR1が貯留されている液体カートリッジ18a、シアンインクR2が貯留されている液体カートリッジ18b、マゼンダインクR3が貯留されている液体カートリッジ18cおよびイエローインクR4が貯留されている液体カートリッジ18dの順に処理液R5の量を多くさせるように、優先順位が仮決めされる。この優先順位を説明の便宜上「K→C→M→Y」と記載する。
【0037】
インクR1〜R4の残量に差異がなければ、液体カートリッジ18a〜18dの処理液R5を、仮決めされた優先順位で消費させることによって、液体カートリッジ18a〜18dにおけるインクR1〜R4と処理液R5とをほぼ同じタイミングで無くならせることができる。しかし、インクR1〜R4の残量に差異があれば、残量が少ないインクR1〜R4が早く無くなるため、上記優先順位「K→C→M→Y」を入れ替える必要がある。そこで、ステップS3〜S9では、インク残量による優先順位の入替え処理が実行される。
【0038】
図5に示すように、ステップS3において入替え処理が開始されると、ステップS5において、複数の液体カートリッジ18a〜18dの間でインクR1〜R4の残量に差異があるか否かが判断され、所定量以上の差異がなければ、「NO」と判断されてステップS9に進み、当該入替え処理が完了される。一方、所定量以上の差異があれば、「YES」と判断されて、ステップS7が実行される。ステップS7では、インクR1〜R4の残量が少ない液体カートリッジ18a〜18dを、多いものよりも優先させるように優先順位が見直され、その優先順位に従って優先順位が入替えられる。そして、全ての液体カートリッジ18a〜18dについて、優先順位の見直しおよび入替えが終わると、ステップS9において当該入替え処理が完了される。この入替え処理で入替えられた優先順位は、たとえば「C→Y→K→M」のようになる。ここでの所定量について、具体的には未使用時の液体カートリッジのインク量を1とすると0.01となる。
【0039】
液体カートリッジ18a〜18dにおいて、インクR1〜R4の残量に比べて処理液R5の残量が多いと、その液体カートリッジ18a〜18dでは、インクR1〜R4が無くなったときに処理液R5が多く残り、処理液R5が無駄になると考えられる。そこで、ステップS11〜S19では、さらに、インクR1〜R4と処理液R5との残量差による優先順位の入替え処理が実行される。
【0040】
図6に示すように、ステップS11において入替え処理が開始されると、ステップS13において、液体カートリッジ18a〜18dにおける処理液R5の残量がインクR1〜R4の残量よりも多いか否かが判断され、「NO」と判断されると、ステップS19に進み、当該入替え処理が完了され、「YES」と判断されると、次のステップS15に進む。ステップS15では、インクR1〜R4の残量が所定の基準値未満であるか否かが判断され、「YES」と判断されると、ステップS19に進み、当該入替え処理が完了され、「NO」と判断されると、すなわち、「第1液体」としてのインクR1〜R4の残量が所定の基準値(第1基準値に対応。)よりも多いと判断されると、ステップS17が実行される。つまり、インクR1〜R4の残量が所定の基準値未満であれば、その液体カートリッジ18a〜18dの処理液R5を優先的に消費する必要があるので、その液体カートリッジ18a〜18dについては、優先順位の入替えの対象から除外される。ステップS15の所定の基準値は、具体的には未使用時の液体カートリッジのインク量を1とすると0.25となる。
【0041】
ステップS17では、「第2液体」としての処理液R5の残量から「第1液体」としてのインクR1〜R4の残量を差し引いた残量差が大きい液体カートリッジ18a〜18dについては、それよりも残量差が小さい液体カートリッジ18a〜18dよりも処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給する処理液R5の量を多くさせるように優先順位が見直され、その優先順位に従って優先順位が入替えられる。そして、全ての液体カートリッジ18a〜18dについて、優先順位の見直しおよび入替えが終わると、ステップS19において当該入替え処理が完了される。この入替え処理で入替えられた優先順位は、たとえば「(C)→Y→M→K:Cは基準値以下」となる。
【0042】
このように、ステップS1〜S19では、「第2液体供給制御手段」としての制御部30が有する「優先順位決定手段」によって、複数の液体カートリッジ18a〜18dについて、処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給する処理液R5の量を多くさせる優先順位が決定される。ステップS1〜S19により液体カートリッジ18a〜18dの優先順位が決まると、ステップS21において、処理液R5の供給割合が仮決めされる。たとえば、優先順位が上記の「C→Y→M→K」であれば、シアンインクR2が貯留されている液体カートリッジ18bが35%、イエローインクR4が貯留されている液体カートリッジ18dが30%、マゼンダインクR3が貯留されている液体カートリッジ18cが20%、ブラックインクR1が貯留されている液体カートリッジ18aが15%、を分担するように処理液R5の供給割合が仮決めされる。この供給割合を説明の便宜上「C:35%、Y:30%、M:20%、K:15%」と記載する。
【0043】
処理液R5の供給割合が仮決めされた場合でも、或る液体カートリッジ18a〜18dにおける処理液R5の残量が供給割合に応じた供給量よりも少なければ、全体の供給量を100%にするために、他の液体カートリッジ18a〜18dの処理液R5の供給割合を増やす必要がある。そこで、ステップS23〜S29では、供給割合の調整処理が実行される。
【0044】
図7に示すように、ステップS23において調整処理が開始されると、ステップS25において、「第2液体残量検知手段」としての制御部30が検知した液体カートリッジ18a〜18dにおける処理液R5の残量が、ステップS21で仮決めされた供給割合に応じた供給量(以下、「仮決め供給量」という。)よりも少ないか否かが判断され、「NO」と判断されると、ステップS29に進み、当該調整処理が完了され、「YES」と判断されると、次のステップS27が実行される。ステップS27では、全体の供給量が100%となるように、処理液R5の残量が「仮決め供給量」よりも少ない液体カートリッジ18a〜18dの供給割合が、処理液R5の残量が「仮決め供給量」よりも多い液体カートリッジ18a〜18dに振り分けられる。たとえば、上記の例では、シアンインクR2が貯留されている液体カートリッジ18bが35%を分担するように供給割合が仮決めされているが、その液体カートリッジ18bにおける処理液R5の残量が10%相当分しかなければ、ステップS27では、残りの25%相当分が他の液体カートリッジ18a,18c,18dに振り分けられる。そして、全ての液体カートリッジ18a〜18dについて供給割合の調整が終わると、ステップS29において当該調整処理が完了される。この調整処理で調整された供給割合は、たとえば「C:10%、Y:40%、M:30%、K:20%」となる。
【0045】
このように、ステップS21〜S29では、「第2液体供給制御手段」としての制御部30が有する「供給割合決定手段」によって、上記優先順位に基づいて処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給させる処理液R5の供給割合が決定される。ステップS21〜S29により液体カートリッジ18a〜18dにおける処理液R5の供給割合が決まると、ステップS31において、第2液体供給手段28によって処理液R5が供給される。本実施形態では、第2液体供給手段28が4つの入口70a〜70dの1つを選択的に有効化する切替弁70を有しているので、「第2液体供給制御手段」としての制御部30によって、切替弁70を切替えるタイミングが制御され、上記供給割合に応じた量の処理液R5が処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給される。
[第1実施形態の効果]
【0046】
第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10では、ステップS5において、「第2液体供給制御手段」としての制御部30が、「第1液体残量検知手段」としての制御部30が検知した複数の液体カートリッジ18a〜18dのインクR1〜R4の残量を比較し、ステップS7において、インクR1〜R4の残量が少ない液体カートリッジ18a〜18dに係る第2液体タンク16a〜16dから処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76への処理液R5の供給量を、インクR1〜R4の残量が多い液体カートリッジ18a〜18dに係る第2液体タンク16a〜16dから処理液吐出ヘッド24への処理液R5の供給量よりも多くさせるように第2液体供給手段28を制御するようにしているので、液体カートリッジ18a〜18dのインクR1〜R4が無くなった時に、同じ液体カートリッジ18a〜18dに残っている処理液R5の量を少なくすることができる。これにより、液体カートリッジの交換の際に、処理液R5が無駄になるのを防止することができる。
【0047】
また、ステップS17では、インクR1〜R4と処理液R5との残量差が大きい液体カートリッジ18a〜18dについては、それよりも残量差が小さい液体カートリッジ18a〜18dよりも処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76に供給する処理液R5の量を多くさせるように優先順位を入替えるようにしているので、処理液R5の残量をバランスよく減らすことができる。
(第2実施形態)
【0048】
第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10では、インクR1〜R4の残量が所定の基準値未満の液体カートリッジ18a〜18dを優先順位の決定の対象外とし、その液体カートリッジ18a〜18dの処理液R5を優先的に消費させるように第2液体供給手段28を制御するようにしているが(ステップS15)、第2実施形態に係るインクジェットプリンタでは、さらに、インクR1〜R4の残量が所定の基準値(第3基準値に対応。)以上の液体カートリッジ18a〜18dを優先順位の決定の対象外とし、かつ、その対象外の液体カートリッジ18a〜18dについて、処理液吐出ヘッド24に連通するサブタンク76への処理液R5の供給を停止させるように第2液体供給手段28を制御するようにしてもよい。この場合の基準値(第3基準値に対応。)としては、ステップS15(図6)の判断で使用した基準値(第1基準値に対応。)よりも大きい残量に相当する値が用いられる。
この構成によれば、近い将来に交換が必要となる液体カートリッジ18a〜18dだけを優先順位の決定の対象として、それらの液体カートリッジ18a〜18dにおける処理液R5の残量を効果的に減らすことができる。
(第3実施形態)
【0049】
図8は、第3実施形態に係るインクジェットプリンタ120の構成を示す概念図である。図8に示すように、第3実施形態に係るインクジェットプリンタ120では、複数の液体カートリッジ18a〜18eの第1液体タンク14a〜14eに貯留される「第1液体」は、ブラックインクR1、複数色のカラーインクR2〜R4および処理液R5であり、複数の「第1液体使用部」は、ブラックインクR1を吐出するインク吐出ヘッド22a、複数色のカラーインクR2〜R4を吐出する複数のインク吐出ヘッド22b〜22dおよび処理液R5を吐出する処理液吐出ヘッド22eである。一方、複数の液体カートリッジ18a〜18eの第2液体タンク16a〜16eに貯留される「第2液体」は、加湿液R6であり、「第2液体使用部」は、インク吐出ヘッド22a,22b〜22dおよび処理液吐出ヘッド22eの吐出面48を加湿する加湿部125である。なお、液体カートリッジ18eに関連する構成要素については、液体カートリッジ18a〜18dに関連する構成要素と類似の参照番号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
加湿部125は、加湿液R6を気化させる気化部122と、気化部122で気化された加湿液R6をインク吐出ヘッド22a,22b〜22dおよび処理液吐出ヘッド22eに与える加湿液供給部124と、外気センサ140と、湿度センサ142とを有している。
【0051】
気化部122は、加湿液R6を貯留する「サブタンク」としての加湿液槽126と、加湿液槽126の内部に配設された気化装置(超音波発生装置等)128とを有しており、加湿液槽126には、第2液体供給手段28を構成する連通路74の下流側端部が接続されている。したがって、液体カートリッジ18a〜18eの加湿液R6は、連通路72a〜72e、切替弁70、ポンプ78および連通路74を経て加湿液槽126に貯留され、気化装置128によって気化される。加湿液供給部124は、インク吐出ヘッド22a,22b〜22dおよび処理液吐出ヘッド22eの吐出面48を覆うキャップ130a〜130eと、加湿液槽126とキャップ130a〜130eとを接続する加湿流路132と、加湿流路132に設けられたポンプ134および逆止弁136とを有している。したがって、制御部30によってポンプ134を駆動すると、加湿液槽126内で気化された加湿液R6が加湿流路132を通してキャップ130a〜130eに与えられ、各吐出面48の乾燥が防止される。
【0052】
第3実施形態に係るインクジェットプリンタ120では、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ10と同様に、「第2液体供給制御手段」としての制御部30によって第2液体供給手段28が制御され、第2液体タンク16a〜16eの加湿液R6が、所定の供給割合に応じた量だけ加湿部125に与えられる。加湿部125で必要となる加湿液R6の総量は、外気温度や湿度によって変動するので、制御部30では、外気センサ140が検知した外気温度や湿度センサ142が検知した湿度に基づいて、加湿液R6の総量が調節される。
(第4実施形態)
【0053】
第4実施形態に係るインクジェットプリンタでは、複数の液体カートリッジの第1液体タンクに貯留される「第1液体」は、複数色のカラーインクであり、複数の「第1液体使用部」は、複数色のカラーインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドである。また、「第2液体」は、ブラックインクであり、「第2液体使用部」は、ブラックインクを吐出するインク吐出ヘッドである。したがって、第4実施形態では、使用頻度の高いブラックインクを、全ての液体カートリッジからインク吐出ヘッドに供給することが可能であり、液体カートリッジの交換時期を遅らせることができる。
(その他の実施形態)
【0054】
上述の各実施形態では、連通路72a〜72eを切り替える切替弁70を「第2液体」の供給量を調節する「調節部」として用いているが、他の実施形態では、連通路72a〜72eの流路断面積の大きさを変える流路断面調節装置(図示省略)を「調節部」として用いてもよい。この場合に、4つの入口70a〜70dの流路断面積を、上述した優先順位の高い液体カートリッジ18a〜18dに対応するものほど大きくなるように調節し、それぞれの入口70a〜70dから同時に処理液R5が供給されるように、「第2液体供給制御手段」としての制御部30で「調節部」としての流路断面調節装置を制御してもよい。このような構成にすることにより、優先順位の高い液体カートリッジ18a〜18dから供給される処理液R5の量が多くなり、かつ、供給する時間を短縮することが可能となる。
【0055】
また、上述の各実施形態では、制御部30の残量検知部104を「第1液体タンク」の液体残量を検知する「第1液体残量検知手段」として用いているが、他の実施形態では、第1液体タンク14a〜14dに取り付けられた液位センサを「第1液体残量検知手段」として用いてもよい。また、第2液体タンク16a〜16dに取り付けられた液位センサを「第2液体残量検知手段」として用いてもよい。
【0056】
また、他の実施形態では、液体カートリッジ18a〜18dを交換すべきことを、ランプ点灯や音声出力によって報知するようにしてもよい。これらの場合には、ランプや音声発生装置が「報知手段」となる。また、画像形成装置に印刷指令を送信するパーソナルコンピュータに報知信号を送信し、当該パーソナルコンピュータの表示部に液体カートリッジ18a〜18dを交換すべきことが報知されるような構成としてもよい。
【0057】
そして、他の実施形態では、本発明をインク以外の液体を吐出する画像形成装置に適用してもよいし、ファクシミリおよびコピー機等のようなプリンタ以外の画像形成装置に適用してもよい。さらに、液体吐出方式としては、上述したユニモルフ型のアクチュエータユニットではなく、バイモルフタイプのアクチュエータであってもよいし、アクチュエータ方式に代えて、発熱素子で液体の体積を膨張させたときの圧力を利用して液体を吐出させる方式を用いてもよい。また、上述の実施形態は、ライン式のインクジェットヘッドに適用されているが、本発明はシリアル形式のインクジェットヘッドにも適用できる。
【符号の説明】
【0058】
P… 用紙
R1〜R4… インク
R5… 処理液
R6… 加湿液
10… インクジェットプリンタ(画像形成装置)
12… 搬送機構
14a〜14d… 第1液体タンク
16a〜16d… 第2液体タンク
18a〜18d… 液体カートリッジ
20a〜20d… カートリッジ装着部
22a〜22d… インク吐出ヘッド(第1液体使用部)
24… 処理液吐出ヘッド(第2液体使用部)
26a〜26d… 第1液体供給手段
28… 第2液体供給手段
30… 制御部(液体供給制御手段、第1液体残量検知手段、第2液体残量検知手段)
106… 操作パネル(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体が貯留される第1液体タンクと第2液体が貯留される第2液体タンクとを有する複数の液体カートリッジと、
前記複数の液体カートリッジが装着される複数のカートリッジ装着部と、
前記複数の液体カートリッジの前記第1液体タンクのそれぞれに対応して連通され、画像を形成するために前記第1液体を使用する複数の第1液体使用部と、
前記複数の液体カートリッジの前記第2液体タンクの全てに連通され、画像を形成するために前記第2液体を使用する第2液体使用部と、
前記複数の液体カートリッジの前記第2液体タンクから前記第2液体を前記第2液体使用部に供給させるものであって、各前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量を調節する調節部を有する液体供給手段と、
前記複数の液体カートリッジのそれぞれの前記第1液体タンクの液体残量を検知する第1液体残量検知手段と、
前記液体供給手段を制御する液体供給制御手段と、を備え、
前記液体供給制御手段は、前記第1液体残量検知手段が検知した前記複数の液体カートリッジの前記第1液体の液体残量を比較して、前記第1液体の残量が少ない前記液体カートリッジに係る前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量を、前記第1液体の残量が多い前記液体カートリッジに係る前記第2液体タンクから前記第2液体使用部への前記第2液体の供給量よりも多くさせるように前記液体供給手段を制御することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記液体供給制御手段は、前記複数の液体カートリッジについて前記第2液体使用部に供給する前記第2液体の量を多くさせる優先順位を決定する優先順位決定手段と、前記優先順位に基づいて前記第2液体使用部に供給させる前記第2液体の供給割合を決定する供給割合決定手段とを有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の液体カートリッジのそれぞれの前記第2液体タンクの液体残量を検知する第2液体残量検知手段をさらに有し、
前記液体供給制御手段は、或る前記液体カートリッジにおける前記第2液体残量検知手段が検知した前記第2液体の残量が前記供給割合に基づいて決まる所定の供給量よりも少なくなっているとき、前記第2液体使用部に供給すべき前記第2液体を他の前記液体カートリッジから供給させるように前記液体供給手段を制御することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の液体カートリッジのそれぞれの前記第2液体タンクの液体残量を検知する第2液体残量検知手段をさらに有し、
前記液体供給制御手段は、前記第1液体の残量が所定の第1基準値よりも多く、かつ、前記第2液体の残量から前記第1液体の残量を差し引いた残量差が大きい前記液体カートリッジについては、それよりも前記残量差が小さい前記液体カートリッジよりも前記第2液体使用部に供給する前記第2液体の量を多くさせるように前記優先順位を入れ替えることを特徴とする、請求項2ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記液体供給手段は、前記複数の液体カートリッジの前記第2液体タンクのそれぞれと前記第2液体使用部とを連通させる複数の連通路と、前記複数の連通路を切り替える切替弁と、前記第2液体使用部が連通された前記第2液体タンクの前記第2液体を前記第2液体使用部に供給するポンプとを有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
或る前記第1液体タンクにおける前記第1液体の残量が所定の第2基準値未満になったことを前記第1液体残量検知手段が検知したときにその第1液体タンクを含む前記液体カートリッジを交換すべきことを報知する報知手段を備えることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記液体供給制御手段は、前記第1液体の残量が所定の第3基準値以上の前記液体カートリッジについて、前記優先順位の決定の対象外とし、かつ、その対象外の前記液体カートリッジについて、前記第2液体使用部への前記第2液体の供給を停止させるように前記液体供給手段を制御することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記複数の液体カートリッジの前記第1液体タンクに貯留される前記第1液体は、ブラックインクおよび複数色のカラーインクであり、
前記複数の第1液体使用部は、前記ブラックインクを吐出するインク吐出ヘッドおよび前記複数色のカラーインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドであり、
前記第2液体は、前記ブラックインクおよび前記複数色のカラーインクの成分を凝集または析出させる処理液であり、
前記第2液体使用部は、前記処理液を吐出する処理液吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の液体カートリッジの前記第1液体タンクに貯留される前記第1液体は、ブラックインクおよび複数色のカラーインクであり、
前記複数の第1液体使用部は、前記ブラックインクを吐出するインク吐出ヘッドおよび前記複数色のカラーインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドであり、
前記第2液体は、加湿液であり、
前記第2液体使用部は、前記加湿液を気化させる気化部と、前記気化部で気化された前記加湿液を前記インク吐出ヘッドに与える加湿液供給部とを有する加湿部であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数の液体カートリッジの前記第1液体タンクに貯留される前記第1液体は、複数色のカラーインクであり、
前記複数の第1液体使用部は、前記複数色のカラーインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドであり、
前記第2液体は、ブラックインクであり、
前記第2液体使用部は、前記ブラックインクを吐出するインク吐出ヘッドであることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−76283(P2012−76283A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221670(P2010−221670)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】