説明

画像形成装置

【課題】トナー残量検知によりトナー供給を行う際に現像ユニット内のトナー残量を適切に保ち、供給過多になることを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】所定期間ごとに現像残検センサ18dが現像ユニット18内に所定量以上のトナーがあると検知した回数をカウントする検知回数カウンタを有し、検知回数カウンタのカウント値が所定値以下のときはサブホッパ17から現像ユニット18へトナーを供給し、検知回数カウンタのカウント値が増加に転じたときにサブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー収納容器からトナー収容室を介して現像ユニットにトナーを供給して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置は、像担持体である感光体ドラム表面に静電潜像を形成し、この潜像をトナーによって現像して可視像化し、これを記録媒体に転写して画像を形成する。このような画像形成装置にあっては、トナーを収納したトナー収納容器を装置本体に対して交換可能とすることで、消耗品であるトナーを補給可能にしたものがある。
【0003】
このトナー収納容器からトナーを供給する構成にあっては、トナー収納容器から直接現像ユニットへトナーを供給するのではなく、トナー収納容器と現像ユニットの間に中間トナー収容手段であるサブホッパを介在させているのが一般的である。すなわち、トナー収納容器からサブホッパにトナーを供給し、現像ユニット内にトナーがなくなると、サブホッパのトナー供給手段が動作して現像ユニットへトナーを供給する仕組みとなっている。
【0004】
具体的には、サブホッパと現像器のそれぞれにトナーを撹拌するとともにトナー供給、あるいはトナー搬送機能を有するトナー撹拌手段と、トナー残量検知センサが設けられている。そして、現像器内のトナー残量検知結果から、現像器内のトナーが「トナーなし」と判別された場合には、その上流であるサブホッパに対してトナー供給を要求し、トナーの補給を受けるものである。
【0005】
上記のようなトナー補給型の現像器の場合、現像器内のトナー量を適切に保つには現像器内のトナー残量を的確に検知する必要がある。しかし、実際にはサブホッパとトナー残量検知センサの配置の関係から、サブホッパからトナー供給を行っても、その供給されたトナーが現像器内で検知されるまでには物理的な距離分の遅延が発生する。すなわち、現像器は記録媒体の幅と略同じ長さを有する現像ローラを有しており、この現像ローラの周面にトナーを供給する必要があるため、サブホッパから供給されたトナーを現像ローラに沿って現像器の長手方向一方端側から他方端側へ撹拌搬送する。このため、現像器はサブホッパからのトナー受け部(トナー落下地点)が長手方向の一方端側に配置され、トナー残量検知センサは長手方向の他方端側に配置されている。これにより、サブホッパから現像器へトナーを供給しても、そのトナーが現像器の長手方向に撹拌搬送されてトナー残量検知センサ位置に至って検知されるまでにタイムラグが生ずる。
【0006】
前記タイムラグにより、サブホッパから十分なトナーが現像器に供給されたにもかかわらず、そのトナーがトナー残量検知センサによって検知される前に現像器が「トナーなし」と判別すると、サブホッパへトナー供給要求をする事態が起こり得る。このような場合、実際には現像器内へ余分にトナー供給してしまうことになり、現像器からトナー漏れが発生することもある。
【0007】
これを解決するための提案として、特許文献1に示すように、サブホッパから現像器へトナーが供給されている状態で、トナー残量検知手段により検出された「トナーあり」/「トナーなし」の検出状態と自重落下するトナー残量検知手段の検出値の推移に基づいて、サブホッパからのトナーの供給を停止するものがある。すなわち、トナーを供給している状態の時にトナー残量を検知して、その「トナーあり」を検出した検出値の推移を見ながらトナー残量を判断してトナー補給を停止させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−72145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の構成のように、トナー残量の変化の検出値の推移を見ながらトナー供給を止めていては、すぐに停止が必要な供給過多状態を解消することは難しい。
【0010】
本発明は上記点に鑑みてなされてものであり、その目的は、トナー残量検知によりトナー供給を行う際に現像ユニット内のトナー残量を適切に保ち、供給過多になることを防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、トナーを収納したトナー収納容器と、前記トナー収納容器からトナーの供給を受けるトナー収容手段と、前記トナー収容手段からトナーの供給を受けて像担持体に形成された静電潜像をトナー現像する現像ユニットとを有する画像形成装置において、前記トナー収容手段内のトナーを前記現像ユニットへ供給するためのトナー供給手段と、前記トナー収容手段から供給されたトナーを現像ユニット内の長手方向の一方端側から他方端側へ搬送するためのトナー搬送手段と、所定期間内に前記現像ユニット内に所定量以上のトナーがあるか否かを繰り返し検知するトナー残量検知手段と、前記所定期間ごとに前記トナー残量検知手段が前記現像ユニット内に所定量以上のトナーがあると検知した回数をカウントする検知回数カウンタと、を有し、前記検知回数カウンタのカウント値が所定値以下のときは前記トナー収容手段から前記現像ユニットへトナーを供給し、前記トナー収容手段からのトナー供給後、前記所定期間ごとの前記検知回数カウンタのカウント値が増加に転じたときに前記トナー収容手段から前記現像ユニットへのトナー供給を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、トナー収容手段から現像ユニットへのトナー供給を、トナー残量検知手段によって所定期間内に「トナーあり」と検知される回数が増加した時点で停止することで、トナーの過供給を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の全体構成説明図である。
【図2】現像装置の構成断面図である。
【図3】現像装置の構成説明図である。
【図4】サブホッパの説明図である。
【図5】現像ユニットの説明図である。
【図6】現像開始時における現像ユニットのトナー残量検知結果に対するトナー供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】現像ユニットのトナー残量検知開始タイミングとサブホッパによるトナー供給開始タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】トナー供給制御を行う制御構成を示すブロック図である。
【図9】トナー供給要求とトナー供給の動作を説明するフローチャートである。
【図10】トナー供給終了シーケンスを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための一形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置の全体構成>
まず、図1を参照して第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成について、画像形成動作とともに説明する。なお、図1は第1実施形態に係る画像形成装置である電子写真複写機の模式断面説明図である。
【0016】
本実施形態の画像形成装置は、装置本体1の内部に画像を形成する画像形成部が設けられている。この画像形成部は、像担持体である感光体ドラム2が回転可能に設けられ、この感光体ドラム2の周囲にはその回転方向に沿って帯電ローラ3、レーザ露光手段4、現像装置5、転写ローラ6、クリーニング部材7が配置されている。
【0017】
また、装置本体1の下部には、シート等の記録媒体Pが収容されるユニバーサルカセット(不図示)が出し入れ自在に備えられ、該カセット内の記録媒体を感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部である転写部へ搬送する搬送ベルト8等を有する搬送手段9が設けられている。
【0018】
画像形成に際しては、レーザ露光手段4から画信号に応じたレーザ光が感光体ドラム2に照射される。感光体ドラム2は、帯電ローラ3によるバイアス印加によって一様に帯電されていて、前記レーザ光の照射により静電潜像が形成される。そして、この静電潜像が現像装置5によってトナー現像されて可視像が形成される。
【0019】
上記画像形成と同期して、ユニバーサルカセットから記録媒体が搬送手段9によって前述した画像形成動作と同期するように感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部へと搬送され、転写ローラ6へのバイアス印加により感光体ドラム2上のトナー像が記録媒体へ転写される。
【0020】
トナー像が転写された記録媒体は、定着手段(不図示)に搬送され、ここで加熱、加圧されてトナー像が定着された後、排出部へと排出される。また、記録媒体Pへトナー像を転写した後に感光体ドラム2に残留したトナーはクリーニング部材7によって除去される。
【0021】
<現像装置>
次に感光体ドラム2に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置について説明する。
【0022】
本実施形態の現像装置5は、図2の断面及び図3の斜視図に示すように、トナーを収納したトナーボトル16と、トナーボトル16からトナーの供給を受けるサブホッパ17と、サブホッパ17からトナーの供給を受けて感光体ドラム2に形成された静電潜像をトナー現像する現像ユニット18とを有する。
【0023】
トナーボトル16は装置本体に対して着脱自在な筒状のトナー収納容器であり、トナーが収納されたトナーボトルが装置本体に回転可能に装着される。このトナーボトル16が回転することにより、ボトル内のトナーがトナー収容手段であるサブホッパ17に供給される。サブホッパ17は、トナーボトル16から現像ユニット18に供給されるトナーを一時貯留し、現像ユニット18からのトナー要求信号に応じて現像ユニット18へ一定量のトナーを供給するものである。
【0024】
現像ユニット18は、感光体ドラム2に近接して現像ローラ19が配置され、現像ローラ19とその内部のマグネットローラ(不図示)とによって、回転する現像ローラ19の周面にトナーが穂状に形成されて付着する。そして、現像ローラ19に付着したトナーが現像バイアスの印加により感光体ドラム2に形成された静電潜像に応じて付着することで現像が行われる構成になっている。
【0025】
なお、現像ローラ19は、装置本体の主要部材を駆動するメインモータの駆動力をローラクラッチにより伝達、遮断することにより現像期間のみ回転する。
【0026】
本実施形態の現像装置5は、図8に示すように、CPU、ROM、RAMを有する制御部20が画像形成に際して、メインモータM0や現像ローラクラッチCLの駆動を制御する。また、この制御部20は後述するように、サブホッパ17からの要求に応じてボトルモータM1の駆動を制御し、現像ユニット18からの要求によりホッパモータM2の駆動を制御して現像ユニット18へトナー供給を行う。
【0027】
図3はトナーボトル16、サブホッパ17、現像ユニット18の配置説明図であり、図4はサブホッパ17の内部説明図、図5は現像ユニット18の内部説明図である。
【0028】
筒状のトナーボトル16の先端にはキャップ(不図示)が設けられており、このキャップがサブホッパ17に設けられたカップリング17a(図4参照)と係合した際に、キャップを開放することでサブホッパであるトナー収容手段内へトナー排出可能となる。また、トナーボトル16は外周には螺旋状の凹凸16a(図3参照)が形成されており、ボトルモータM1を駆動してトナーボトル16を回転させることにより、ボトル内のトナーを図3の矢印a方向に搬送し、サブホッパ17にトナーを供給できる。
【0029】
サブホッパ17は、図4に示すように、トナーボトル16のキャップが係合するカップリング17aがボトルモータM1によって回転可能に設けられ、下部には現像ユニット18にトナーを供給するための供給口17bが形成されている。また、サブホッパ17には、サブホッパ17内のトナーを撹拌するとともに前記供給口17bから現像ユニット18へ供給するためのトナー供給手段としての撹拌スクリュー17cが回転可能に設けられている。これにより、ホッパモータM2によって撹拌スクリュー17cが所定量回転することにより、所定量のトナーが供給口17bから現像ユニット内へ落下して供給される。
【0030】
また、サブホッパ17には、内部のトナー残量を検知するための第1のトナー残量検知手段としてのホッパ残検センサ17dが設けられている。このホッパ残検センサ17dによる検知結果に応じ、ホッパ内のトナー残量が所定量以下に減少したときは、トナーボトル16を回転させてサブホッパ17へトナー補給をする。
【0031】
現像ユニット18は、図5に示すように、長手の現像枠体内に現像ローラ19が収容されている。そして、前記現像ローラ19に撹拌したトナーを供給するためのトナー撹拌室18aが形成されている。トナー撹拌室18a内には長手方向の一方端側から他方端側にトナーを撹拌しながら搬送するトナー搬送手段としての撹拌スクリュー18bが回転可能に設けられている。
【0032】
また、トナー撹拌室18aの長手方向一方端側にサブホッパ17から供給されるトナーを受けるトナー受け部18cが配置されている。サブホッパ17からトナー受け部18cに落下したトナーは撹拌スクリュー18bの回転により、トナー撹拌室18aの長手方向一方端側から長手方向他方端側へと撹拌されながら搬送される。そして、前記長手方向他方端側にはトナー撹拌室18a内のトナー残量を検知するための第2のトナー残量検知手段としての現像残検センサ18dが設けられている。すなわち、現像ユニット18内のトナー残量検知位置は現像ユニットの長手方向他方端側に配置されている。
【0033】
前記現像残検センサ18dによるトナー残量検知結果に応じ、トナー撹拌室内のトナー残量が所定量以下に減少したときは、サブホッパ17へトナーの供給を要求し、撹拌スクリュー17cを駆動させてトナーの補給を受ける。
【0034】
なお、ボトルモータM1、ホッパモータM2、ローラクラッチCLなどのアクチュエータは、メインモータM0が動作中のみ動作が可能となっている。
【0035】
<現像ユニットへのトナー供給>
次に現像ユニット18へのトナー供給構成について説明する。
【0036】
本実施形態の現像装置にあっては、トナーボトル16からサブホッパ17にトナーが供給される。なお、トナーボトル16からサブホッパ17にトナー供給されるのは、ホッパ残検センサ17dがサブホッパ17内のトナー量が所定量以下となったことを検知することにより、サブホッパ17内が「トナーなし」と判別されたときである。また、本実施形態ではサブホッパ17から現像ユニット18へトナーを供給している期間中にホッパ残検センサ17dによるトナー残量検知が行われる。すなわち、ホッパ残検センサ17dによるトナー残量検知期間と、サブホッパ17による現像ユニット18へのトナー供給期間とは同じである。
【0037】
前記サブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給は、現像残検センサ18dにより現像ユニット18内のトナーが所定量以下になったことが検知され、「トナーなし」と判別されたときに行われる。このとき、現像残検センサ18dで「トナーなし」を検知することにより、サブホッパ17にトナー供給を要求し、サブホッパ17から供給されたトナーが実際に現像残検センサ18dにより検知されるまでには前述したようにタイムラグがある。すなわち、サブホッパ17から現像ユニット18の長手方向一方端側に落下したトナーは、撹拌スクリュー18bにより現像ユニット18の長手方向他方端側まで搬送され、現像残検センサ18dに到達した時に初めてトナー供給を検知できる仕組みとなっている。
【0038】
ここで問題となるのが、上記タイムラグにより、現像ユニット18が必要なトナー量よりも多くのトナーをサブホッパ17が供給してしまう場合である。次にサブホッパ17から現像ユニット18へ余分にトナー供給してしまう状況を説明する。
【0039】
(画像形成開始時のトナー残量検知とトナー供給)
図6(a)は、画像形成中のトナー供給動作において、トナー供給回数を余分に行なってしまう場合のタイミングチャートである。
【0040】
現像残検センサ18dは、メインモータM0と現像ローラクラッチCLが動作中にのみ、すなわち現像している期間にのみトナー残量検知が可能である。ホッパ残検センサ17dは、同様にメインモータM0とホッパモータM2が動作中にのみトナー残量検知が可能となる条件がある。これらの条件が成立時にトナー残検センサによりトナー残量を検知する。
【0041】
そして、現像残検センサ18dは所定期間内に現像ユニット内に所定量以上のトナーがあるか否かを繰り返し検知する。本実施形態の現像残検センサ18dにあっては、1500(ms)間の現像期間に現像ユニット18のトナー残量を検知する。そして、1500(ms)のトナー残量検知期間中に100(ms)単位で、トナー撹拌室18a内にトナーが所定量以上あるか否かを15回検知する。現像残検センサ18dは検知に際してトナーが所定量以上あると検知したときはONし、検知しないときはOFFとなる。
【0042】
また、本実施形態にあっては、図8に示すように、前記現像残検センサ18dがトナーが所定量以上あると検知した回数(ONした回数)をカウントする検知回数カウンタ23が設けられている。そして、検知回数カウンタ23のカウント値が所定値以下のときはサブホッパ17から現像ユニット18へトナーを供給する。本実施形態では、前記検知回数カウンタ23のカウント値に基づき、トナー残量検知期間中に3回以上所定量以上のトナーがあることを検知したとき、現像ユニット18内に「トナーあり」と判別し、2回以下の場合は「トナーなし」と判別する。
【0043】
上記検知の結果、「トナーなし」と判別された場合にはサブホッパ17に対してトナー供給の要求を行うことで、ホッパモータM2が回転して現像ユニット18へ一定量のトナー供給が行われる。このホッパモータM2が回転中にはホッパ残検センサ17dによりサブホッパ17内のトナー残量検知も行う。
【0044】
ここで、トナー残量検知開始タイミングとトナー供給開始タイミングを一致させてトナー供給を行う場合、トナー供給をするか否かを判別するトナー残量検知結果は実際には一回前に行った検知結果によって判別することになる。そのため、画像形成開始のときに、現像残検センサによる前回の検知結果が「トナーなし」だったとすると、図6(a)に示すように、画像形成が開始された最初の現像期間において、メモリに記憶されている前回の検知結果に応じてホッパモータM2が駆動してトナー供給(z)する。そして、画像形成開始後の最初の現像期間に対応する検知期間(A)でのトナー残量検知結果が「トナーなし」を検知すると、これに応じてホッパモータM2が駆動してトナー供給(a)する。同様に検知期間(B)での「トナーなし」検知でトナー供給(b)する。そして、検知期間(C)の検知結果が「トナーあり」を検知すると、これに応じてホッパモータM2の駆動を停止してトナー供給を停止する。なお、本実施形態では後述するように、サブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給停止は、現像残検センサ18dがONした回数(検知回数カウンタ23のカウント値)が前回の検知期間で現像残検センサ18dがONした回数よりも増加したときにトナー供給を停止する。
【0045】
従って、画像形成開始からの現像残検センサ18dによる「トナーなし」検知は(A)(B)の2回であるにもかかわらず、サブホッパ17からのトナー供給は(z)(a)(b)の3回行われ、結果としてトナーが過剰に供給される事態が生ずる。
【0046】
そこで、本実施形態にあっては、図6(b)に示すように、画像形成開始時には例え前回のトナー残量検知結果が「トナーなし」であっても、サブホッパ17からのトナー供給は行わない。
【0047】
トナー供給を行う場合には、画像形成開始後のトナー残量検知を行った結果に基づいて行うものである。すなわち、図6(b)に示すように、画像形成開始後の最初の検知期間(A)でのトナー残量検知結果が「トナーなし」を検知すると、これに応じてホッパモータM2が駆動してトナー供給(a)する。また、次に検知期間(B)の「トナーなし」検知でトナー供給(b)する。そして、次の検知期間(C)での検知結果が検知回数カウンタ23のカウント値が増加に転じて「トナーあり」を検知すると、これに応じてホッパモータM2の駆動を停止してトナー供給を停止する。この結果、現像残検センサ18dによる「トナーなし」検知(A)(B)の2回に対して、サブホッパ17からのトナー供給はこれに対応した(a)(b)の2回であり、図6(a)の場合に比べてサブホッパ17からのトナー供給回数は1回少なくなる。
【0048】
このように、本実施形態にあっては画像形成開始後の現像残検センサ18dによる「トナーなし」検知に応じてサブホッパ17がトナー供給することにより、トナーの過供給を防止する。
【0049】
(トナー残量検知期間とトナー供給期間)
次にトナー残量検知開始とトナー供給開始タイミングについて説明する。現像残検センサ18dのトナー残量検知の開始タイミングと、サブホッパ17によるトナー供給開始タイミングとを同期させないで、それぞれを独立して動作させると、トナー残量検知期間が終わるタイミング、すなわちトナー供給要否の確定タイミングと、サブホッパ17による1回あたりのトナー供給終了タイミングがずれることがある。すると、現像残検センサ18dによるトナー残量検知結果が「トナーなし」から「トナーあり」となる直前に、サブホッパ17がその前の「トナーなし」の検知結果を受けてトナー供給を開始する事態が生ずる。これは、前述したタイムラグにより本来、現像ユニット18にはトナーがある状態まで供給されているにもかかわらず、その検知が遅れたために、直前の「トナーなし」検知結果によりサブホッパ17から1回分過剰なトナーが供給されてしまうことになる。
【0050】
そこで、本実施形態にあっては、上記ずれが生じないように現像残検センサ18dのトナー残量検知の開始タイミングと、サブホッパ17によるトナー供給開始タイミングとが一致するように構成している。そして、本実施形態では現像残検センサ18dによる現像ユニット18のトナー残量検知期間よりも、サブホッパ17によるトナー供給期間が短くなるように構成している。
【0051】
すなわち、図7のタイミングチャートに示すように、現像残検センサ18dによるトナー残量検知期間をX(ms)とすると、サブホッパ17によるトナー供給期間は、前記トナー残量検知期間をX(ms)よりも短い期間Y(ms)となるように構成している。
【0052】
そして、前記X−Y≧Zの期間は、現像ユニット18からのトナー供給の要求に応じてサブホッパ17がトナー供給を行った結果を前記現像残検センサ18dで検知する期間としている。前記期間Zにおける検知結果により、再度トナー供給を要求するかを反映させることができる。
【0053】
従って、前述の現像ユニット18のトナー残量検知期間をX(ms)と、サブホッパ17からのトナー供給処理を行うための撹拌動作を兼ねたトナー供給期間Y(ms)と、現像残検センサ18dでトナー残量の検知ができたかどうかを判断して再度トナー供給の要求をするかどうかを反映させる期間Z(ms)との関係は以下のように設定されている。
【0054】
X(ms)≧Y(ms)+Z(ms)
前述のように、現像ユニット18とサブホッパ17のトナー検知時間とトナー供給結果の反映時間の関係を設定することで、トナー供給要求に対するトナー供給を的確に行うことができる。また、現像ユニット18からのトナー要求回数とサブホッパ17からのトナー供給回数の関係を必ず1対1の関係にすることができ、必ず1回の要求に対して1回の補給の実行とすることで、サブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給過多を防止することができる。
【0055】
<現像ユニットへのトナー供給制御>
次に現像残検センサ18dによる検知結果によるトナー供給要求に対するサブホッパ17によるトナー供給の制御構成について、図8の制御ブロック図及び図9の動作フローチャートに基づいて説明する。
【0056】
本実施形態のトナー供給制御構成は、図8に示すように、CPU、ROM、RAMを有する制御部20がホッパ残検センサ17d、現像残検センサ18d等からの検知信号を入力し、これらの信号に基づいてボトルモータM1、ホッパモータM2を駆動制御する。また、図8において、要求カウンタ部21は、現像残検センサ18dの検知結果により、サブホッパ17に対して現像ユニット18へのトナーの供給を要求した回数をカウントするためのカウンタである。供給カウンタ部22は、サブホッパ17が現像ユニット18へトナーを供給した回数をカウントするカウンタである。また、検知回数カウンタ23は、現像残検センサ18dがトナーが所定量以上あると検知した回数をカウントするカウンタである。
【0057】
上記構成において、まず最初に、現像ユニット18が動作開始できる条件が成立しているかどうかを判断する(S1)。すなわち、メインモータM0と現像ローラクラッチCLがONしていなければ動作開始できないので処理を終了する。
【0058】
(トナー供給開始)
前記ステップS1において、起動条件が成立してた場合、現像ユニット18は動作を開始するが、それと同時に現像ユニット18内のトナー撹拌動作が行われるため、これに合わせて現像残検センサ18dによる現像ユニット18内のトナー残量検知を行う(S2)。トナー残量検知は、前述したように1500(ms)のトナー残量検知期間中に100(ms)単位で、トナー撹拌室18a内にトナーが所定量以上あるか否かを15回検知する。このとき、トナーが所定量以上あると検知した回数の値、(検知回数カウンタ23のカウント値)をメモリに記憶する。
【0059】
そして、トナーが所定量以上あると検知した回数のカウント値が2回以下の場合は、「トナーなし」と判別し、3回以上の場合は「トナーあり」と判別する。検知結果により「トナーあり」と判別した場合には、トナー補給の必要がないのでステップS10に進んでトナー要求回数とトナー供給回数をクリアして処理を終了する。
【0060】
しかし、ステップ2において「トナーなし」と判別した場合には、サブホッパ17に対して現像ユニット18へのトナー要求をし、トナー要求カウンタのカウント数を1つインクリメントする(S3)。
【0061】
次に前記検知回数カウンタ23のカウント値が、その前の検知期間で検知したときのカウント値よりも増加しているか否かを判別する(S4)。そして、このカウント値が増加していないときは、現像ユニット18内へのトナー補給をする必要がある。このとき、本実施形態では、現像ユニット18からトナー要求された回数よりも多くサブホッパ17からトナー補給しないようにしている。そのため、ステップ6へ進み、制御部は現像ユニット18からサブホッパ17へトナー要求された回数であるトナー要求カウンタ部21のカウント値が、サブホッパ17から現像ユニット18へトナー供給した回数である供給カウンタ部22のカウント値以下であるかどうかを判別する。
【0062】
そして、トナー要求回数分トナー供給ができていなければサブホッパモータM2が回転しているか否かを判定し(S7)、この時すでにホッパモータM2がONしている場合には、トナー供給動作を実行中であると判断する。一方、ホッパモータM2が停止中であればサブホッパモータをONし(S8)、トナー供給を開始すると同時に実行カウンタのカウント数を1つインクリメントし(S9)、ステップ1へ戻る。
【0063】
上記のようにトナー供給制御することで、仮に動作条件の成立の可否によりトナー供給動作タイミングにズレが生じた場合でも、サブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給回数がトナー供給を要求した回数以下となるように、トナー供給回数を制限する。このように、トナー要求回数以上のトナー供給を防止し、現像ユニット18へのトナー供給過多を防止する。
【0064】
(トナー供給停止)
前記のようにしてサブホッパ17から現像ユニット18へトナーを供給し、現像残検センサ18dによりトナー量が所定以上あると検知されるとトナー供給を停止する。次にこのトナー供給の停止制御を具体的に説明する。
【0065】
本実施形態にあっては、前述したように1500(ms)のトナー残量検知期間中に100(ms)単位で、トナー撹拌室18a内にトナーが所定量以上あるか否か現像残検センサ18dによって検知する。したがって、本実施形態ではトナー残量検知期間内に15回トナーの有無を検知し、3回以上所定量以上トナーがあることを検知したときは「トナーあり」と判別する。
【0066】
このとき、サブホッパ17からのトナー供給後、トナー残量検知期間内における現像残検センサ18dがONする回数、すなわち検知回数カウンタ23のカウント値がその前のトナー残量検知期間内における検知回数カウンタ23のカウント値に対して増加に転じた場合は、とりあえずサブホッパ17からのトナー供給を停止する。例えば、図10に示すように、検知期間(A)のときに検知回数カウンタ23のカウント値が「0」であると、サブホッパ17から現像ユニット18へトナーを供給(a)する。そして、次に検知期間(B)では検知回数カウンタ23のカウント値が「2」であったとすると、カウント値が前回のカウント値「0」から増加に転じたときに(カウント値が「1」になったとき)サブホッパ17から現像ユニット18へのトナー供給(a)を停止する。そして、図9のフローチャートのステップS10に進んでトナー要求回数とトナー供給回数をクリアする。
【0067】
しかし、この検知期間(B)での検知回数カウンタ23のカウント値は「2」(所定回数以下)であるために、「トナーなし」と判断され、これを受けてサブホッパ17からトナー供給(b)がなされる。
【0068】
なお、本実施形態では検知回数カウンタ23のカウント値が増加に転ずるパターンとして、「0」から「1」になる場合、「1」から「2」になる場合は、カウント値が増加に転じた時点でサブホッパ17からのトナー供給を停止する。しかし、その後「トナーなし」と判別されるためにサブホッパ17から再度トナー供給がなされる。一方、増加に転じた前記カウント値が「3」以上になった場合は、カウント値が増加に転じた時点でサブホッパ17からのトナー補給を停止し、かつ、このとき「トナーあり」と判別されるためにそのままトナー補給を停する。
【0069】
このように、現像残検センサ18dによるトナー検知回数が前回よりも増加したときに、サブホッパ17からのトナー供給を停止することにより、トナーの供給過多を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
CL …ローラクラッチ
M0 …メインモータ
M1 …ボトルモータ
M2 …ホッパモータ
P …記録媒体
1 …装置本体
2 …感光体ドラム
3 …帯電ローラ
4 …レーザ露光手段
5 …現像装置
6 …転写ローラ
7 …クリーニング部材
8 …搬送ベルト
9 …搬送手段
16 …トナーボトル
16a …凹凸
17 …サブホッパ
17a …カップリング
17b …供給口
17c …撹拌スクリュー
17d …ホッパ残検センサ
18 …現像ユニット
18a …トナー撹拌室
18b …撹拌スクリュー
18c …トナー受け部
18d …現像残検センサ
19 …現像ローラ
20 …制御部
21 …要求カウンタ部
22 …供給カウンタ部
23 …検知回数カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収納したトナー収納容器と、前記トナー収納容器からトナーの供給を受けるトナー収容手段と、前記トナー収容手段からトナーの供給を受けて像担持体に形成された静電潜像をトナー現像する現像ユニットとを有する画像形成装置において、
前記トナー収容手段内のトナーを前記現像ユニットへ供給するためのトナー供給手段と、
前記トナー収容手段から供給されたトナーを現像ユニット内の長手方向の一方端側から他方端側へ搬送するためのトナー搬送手段と、
所定期間内に前記現像ユニット内に所定量以上のトナーがあるか否かを繰り返し検知するトナー残量検知手段と、
前記所定期間ごとに前記トナー残量検知手段が前記現像ユニット内に所定量以上のトナーがあると検知した回数をカウントする検知回数カウンタと、
を有し、
前記検知回数カウンタのカウント値が所定値以下のときは前記トナー収容手段から前記現像ユニットへトナーを供給し、
前記トナー収容手段からのトナー供給後、前記所定期間ごとの前記検知回数カウンタのカウント値が増加に転じたときに前記トナー収容手段から前記現像ユニットへのトナー供給を停止する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ユニットが前記トナー供給手段からトナー供給を受けるトナー受け部は前記現像ユニットの長手方向一方端側にあり、
前記トナー残量検知手段によるトナー残量検知位置は前記現像ユニットの長手方向他方端側にあることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー残量検知手段による検知は、前記現像ユニットが駆動して現像している期間に行われ、画像形成開始後の検知結果に応じてトナーを供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー収容手段から前記現像ユニットへトナーを供給した回数をカウントする供給カウンタ部と、
前記トナー残量検知手段の検知結果により前記トナー収容手段へトナー供給を要求した回数をカウントする要求カウンタ部と、
を有し、
前記供給カウンタ部と前記要求カウンタ部とのカウント値から、前記トナー収容手段から前記現像ユニットへのトナー供給回数が前記トナー供給を要求した回数以下となるように、トナー供給回数を制限することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−83645(P2012−83645A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231448(P2010−231448)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】