説明

画像形成装置

【課題】トナー濃度センサの検出面をクリーニングする弾性体シート部材の曲がり癖による経時疲労を可及的に防止して正しいセンサ出力による正確なトナー濃度の制御を長期にわたって行う画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は二成分現像剤にて現像を行う現像器14と現像器14内に配置され二成分現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材17と攪拌搬送部材17の回転軸71に固設されて回転する弾性体シート74と現像器14内に検知面67を露出して配置されて検知面67を弾性体シート74により摺擦され、摺擦中はトナー濃度をより高い値で検知し摺擦後はトナー濃度をより低い値で検知する一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号78を出力するトナー濃度検知センサ62と、一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号78の中のトナー濃度をより低い値で検知する出力Min値78bが現れるタイミングを演算し、このタイミングで現像装置9が停止するよう制御する制御装置40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー濃度センサの検出面をクリーニングする弾性体シート部材の曲がり癖による経時疲労を可及的に防止して正しいセンサ出力による正確なトナー濃度の制御を長期にわたって行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置には、一成分現像剤(トナー)を用いる方式のものと、二成分現像剤を用いる方式のものとがある。一成分現像剤を用いる方式は、取り扱いと制御が比較的容易であるため、現像剤としては一成分トナーが主流を占めていた。
【0004】
ところで近年、印刷(以下、印字ともいう)処理の高速化に対する要望が強くなっている。印刷処理の高速化には二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できる。このため、二成分現像剤を用いた現像器が種々提案されるようになった。
【0005】
上記の二成分現像剤はトナーとキャリアで構成される。キャリアは現像器内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着してキャリアの表面を被覆する。
【0006】
キャリアは電荷を帯びたトナーを感光体上に運び、感光体上の静電潜像にトナーを転移させて、静電潜像上にトナー像を現像させる。表面のトナーを放出したキャリアは現像ローラ上に残り、再び現像器内に戻って現像器に補給される新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体上に運ぶ、というように繰り返し使用される。
【0007】
現像器へのトナーの補給はトナー供給装置から行われる。トナー供給装置から現像器へのトナーの補給路には、コイルスクリューを内蔵したパイプやトナーの重力による自然落下経路が用いられる。
【0008】
そして現像器にはトナー混合撹拌機構が内蔵されている。トナー混合撹拌機構は、トナー供給装置から供給(補給)されトナーを、トナー濃度の低下した二成分現像剤(以下、単に現像剤という)と混合撹拌しながら現像ローラに供給する。
【0009】
ここで、現像器の現像剤中のトナー濃度が高すぎると地汚れ等が発生する。逆にトナー濃度が低すぎると高濃度な画像が得られない。したがって高画質な画像を得るためには、現像器内の現像剤のトナー濃度を一定範囲内に制御することが必要である。
【0010】
そこで、このような現像剤を使って画像形成を行う電子写真方式の画像形成装置の現像器では、印字して消費したトナー量を測定するためのトナー濃度センサが設けられている。そしてトナー濃度が所定以下に低いことが検知されると現像器にトナーを補給するようにしている。
【0011】
一般に、トナー濃度センサには透磁率を検知するセンサが使用される。この透磁率の検知には、コイルのインダクタンス成分を利用するものや、周波数型、磁気ブリッジ型など、いくつかの方式がある。
【0012】
いずれにしても、トナー濃度センサとしては、現像器の内壁面の一部に検知面を露出させ、この検知面周辺の現像剤中のキャリアからの透磁率の変化を検知する。すなわち、トナー濃度が高いと透磁率が下りセンサ出力は弱くなる。トナー濃度が低いと透磁率が上がりセンサ出力は強くなる。
【0013】
このようなトナー濃度センサでは、その検知面に現像剤が滞留すると正確なトナー濃度を検知することができなくなる。正確なトナー濃度を検知できないと、トナー補給量の制御に誤作動を招くことになる。
【0014】
そこで、現像器内の現像剤を撹拌しながら搬送する搬送スクリューの軸部のトナー濃度センサの検知面と対向する位置に、弾性体シート材を軸部に対して平行になるように固定してトナー濃度センサの検知面をクリーニングするようにしたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平05−150650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、現像器内に配置されたトナー濃度センサ検出面を摺擦してクリーニングする弾性体シート材は、長期にわたる使用で弾性が劣化し、検知面に滞留する現像剤を入れ換える撹拌能力が低下する。
【0017】
クリーニングする弾性体シート材が劣化すると、トナー濃度センサの検知面に現像剤が滞留し、トナー濃度センサが検知するトナー濃度「T(トナー)/D(現像剤)」が正常な値から異常値に変動するという問題を生じる。
【0018】
上記のように長期にわたる使用で弾性が劣化した弾性体シート材を仔細に調べると、平板状に伸びて配置されていたはずの弾性体シート材が、曲がり癖が付いたように変形していることが観察された。そのためトナー濃度センサの検出面を摺擦する作用が弱くなると考えられる。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、トナー濃度センサの検出面をクリーニングする弾性体シート部材の曲がり癖による経時疲労を防止して正しいセンサ出力による正確なトナー濃度の制御を長期にわたって行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、二成分現像剤にて現像を行う現像器と、該現像器内に配置され上記二成分現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材と、該攪拌搬送部材の回転軸に固設されて回転するクリーニングブレードと、上記現像器内に検知面を露出して配置され、上記攪拌搬送部材の1回転ごとに上記検知面を上記クリーニングブレードにより摺擦され、摺擦中はトナー濃度をより高い値で検知し摺擦後はトナー濃度をより低い値で検知する一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号を出力するトナー濃度検知センサと、該トナー濃度検知センサの上記一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号の中のトナー濃度をより低い値で検知するタイミングを演算し、上記攪拌搬送部材の停止に際し、上記クリーニングブレードの先端が上記タイミングの位置で停止するよう制御する制御装置と、を有して構成される。
【0021】
この画像形成装置において、例えば、上記トナー濃度検知センサは、上記現像器にトナーを補給するためのトナー補給用閾値を検知するために設けられ、上記一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号は、上記トナー濃度検知センサが上記トナー補給用閾値を検知するために検知中のトナー濃度検知信号に重畳して発生する信号である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、トナー濃度センサの検出面をクリーニングする弾性体シート部材の曲がり癖による経時疲労を可及的に防止して、正しいセンサ出力による正確なトナー濃度の制御を長期にわたって行う画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に係るプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】実施例1に係るプリンタの現像器を感光体ドラムと共に示す拡大断面図である。
【図4】(a)は実施例1に係るプリンタの現像器の現像槽内の第2の攪拌搬送部材とクリーニングブレードとトナー濃度センサ各部の配置関係を分かりやすく示すため現像槽各部の構成を図3(b)の矢印gで示す横方向から見た図、(b)は(a)の破線hで囲んで示す部分の拡大図である。
【図5】実施例1に係るプリンタの現像器のトナー濃度センサの出力の例を示す図である。
【図6】(a)は実施例1に係るプリンタのトナー濃度センサの本来の出力値であるべき出力信号に重畳して現れる小幅周期のパルス信号を示す図、(b)はそのパルス信号の形状をなだらかにし且つ周期を拡大して示す図である。
【図7】実施例1に係るプリンタの現像装置の感光体ドラムの停止タイミングを制御する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例では、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が使用されるが、以下の説明では二成分現像剤を単に現像剤という。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0026】
図1に示す画像形成装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、で構成されている。
【0027】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9y、9m、9c、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能に画像形成装置1本体のフレームに保持されている。
【0028】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0029】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0030】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0031】
現像器14は、現像ローラ15の下方に位置する2つの現像槽内に、第1の攪拌搬送部材16、及び第2の攪拌搬送部材17を備えている。第1及び第2の攪拌搬送部材16及び17については詳しくは後述する。
【0032】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印a及びbで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ18と従動ローラ19を備えている。
【0033】
上記の転写ベルト8は、下方を循環移動するベルト表面に、ユニットと一体に組み込まれて転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接する一次転写ローラ21によりトナー像を直接転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0034】
この転写ベルトユニット3には、駆動ローラ18に掛け渡されている表面に、ベルトクリーナ24のクリーニングブレード25が当接して配置されている。ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0035】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25が転写ベルト8の表面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送部材により下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0036】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のトナーホッパー27(27y、27m、27c、27k)で構成される。4個のトナーホッパー27y、27m、27c、27kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容している。
【0037】
トナー供給部4は、同図にY、M、C、K(以下、関連する記載を「YMCK」として表わす)で示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーを、不図示のトナー供給路を介して現像装置9の現像器14に供給する。
【0038】
給紙部5は、1個の給紙カセット29を備えている。給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0039】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ19に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0040】
この二次転写部23と最下流の現像装置9mとの略中間位置で、転写ベルト8の下部走行部表面8aに近接して、拡散反射型濃度センサ36が配設されている。また、二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0041】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する不図示の搬出ローラ対及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する不図示の排紙ローラ対が配設されている。排紙トレー37より右方に位置する本体上面端部はやや傾斜して操作パネル部38が配置されている。
【0042】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部40が中心となっている。このプリンタコントローラ部40には、複数のバス41を介してネットワークコントローラ部42のI/F(インターフェイス)43、ヘッドコントローラ部44が接続されている。
【0043】
上記のネットワークコントローラ部42のI/F43には他のバス41を介して前述した操作パネル部38が接続されている。また、I/F43には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号が入力される。
【0044】
ネットワークコントローラ部42は、I/F43を介して外部から入力される印字データをヘッドコントローラ部44に送信し、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部38から入力される指示データをプリンタコントローラ部40に送信する。
【0045】
プリンタコントローラ部40には、バス41を介して、更に、EEPROM(electrically erasable programable ROM) 45、ROM(read only memory)46、給紙モータ47が接続されている。
【0046】
プリンタコントローラ部40は、ROM46に格納されている制御プログラムを読出し、その読み出した制御プログラムにしたがって、拡散反射型センサ36、レジストセンサ49、YMCKごとのDDS(developer drum set、本例では現像装置9を指す)新旧検知センサ51等から受信するセンサ出力に応じて各部を制御する。
【0047】
また、プリンタコントローラ部40は、YMCKごとのトナー濃度センサ62(62y、62m、62c、62k)から受信するセンサ出力信号が、トナー補給閾値を超えるか否かを監視し、トナー補給閾値を超えたときは、YMCKごと対応するトナー補給装置57、58、59、61を駆動してトナーを現像装置9に補給する。
【0048】
また、プリンタコントローラ部40は、ネットワークコントローラ部42から受信した印字データに基づいて、一方ではヘッドコントローラ部44を介しYMCKごとのヘッド(光書込ヘッド13)の光書き込みを制御する。
【0049】
また、プリンタコントローラ部40は、上記の印字データに基づいて、他方では給紙モータ47を制御して用紙を二次転写部23まで搬送させ、高圧ユニット52を制御してYMCKごとの駆動装置53、54、55、56の帯電ローラ12、現像ローラ15、一次転写ローラ21、二次転写ローラ35等へバイアス電圧を印加する。
【0050】
また、プリンタコントローラ部40は、YMCKごとのトナー濃度センサ62がトナー補給閾値を検知するために出力する出力信号に重畳して現れる小幅周期のパルス信号から算出した所望のタイミングをEEPROM45に一時的に格納し、その格納した所望のタイミングでYMCKごとの駆動装置53、54、55、56の駆動を停止させる。
【0051】
図3は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図である。図3に示すように、現像器14は、外壁63と内部隔壁64とで仕切られる2つの現像槽65(65a、65b)を備えている。
【0052】
上方の現像槽65aには、前述した現像ローラ15と第1の攪拌搬送部材16が配置されている。現像ローラ15には、ドクターブレード66が当接している。下方の現像槽65aには前述した第2の攪拌搬送部材17が配置されている。この現像槽65aにはトナー濃度センサ62がその検知面67を槽内に露出して配置されている。
【0053】
第1の攪拌搬送部材16は、回転軸68とこの回転軸68に螺旋状に固設された螺旋状フィン69とで構成されている。第2の攪拌搬送部材17は、回転軸71とこの回転軸71に螺旋状に固設された螺旋状フィン72とで構成されている。
【0054】
第1の攪拌搬送部材16は、矢印cで示すように図の反時計回り方向に回転し、現像槽65a内の現像剤を螺旋状フィン69で攪拌しながら矢印eで示すように図の紙面奥行き方向手前から向こう側へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0055】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽65a内の現像剤に混合され、図の紙面奥行き方向向こう側の不図示の出口で現像槽65bに送り戻す。
【0056】
現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17は、矢印dで示すように図の反時計回り方向に回転し、現像槽65b内の現像剤を螺旋状フィン72で攪拌しながら矢印fで示すように図の紙面奥行き方向向こう側から手前へ搬送する。
【0057】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ62がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーホッパー27から補給口を介してトナーが補給される。
【0058】
第2の攪拌搬送部材17は、現像剤を攪拌搬送しながら、図の紙面奥行き方向手前側の不図示の供給口で、現像剤を現像槽65aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0059】
上記のトナー濃度センサ62の検知面67は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面67に滞留しやすい。現像剤が検知面67に滞留するとトナー濃度センサ62の検知精度が低下する。
【0060】
このトナー濃度センサ62の検知精度の低下を防止するために、現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17の回転軸71には、トナー濃度センサ62の検知面67に対向して回転する位置に、ブレード保持部73とこのブレード保持部73に保持された弾性体シート(ブレード)74から成るクリーニングブレード75が固設されている。
【0061】
クリーニングブレード75は、攪拌搬送部材17の回転軸71と共に回転し、図3(b)に示すように、トナー濃度センサ62の検知面67を弾性体シート74により摺擦して、検知面67に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。
【0062】
これにより、トナー濃度センサ62の検知面67に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。
【0063】
図4(a)は、上記の現像槽65b内の第2の攪拌搬送部材17とクリーニングブレード75とトナー濃度センサ62の各部の配置関係を分かりやすく示すため、現像槽65b内の各部の構成を、図3(b)の矢印gで示す横方向から見た図である。
【0064】
図4(b)は、図4(a)の破線hで囲んで示す部分の拡大図である。なお、図4(a)と図4(b)では第2の攪拌搬送部材17の螺旋状フィン72の傾きが逆になっているが、これは図4(b)には図4(a)を紙面の反対側から見た場合を示しているためである。
【0065】
尚、図4(a),(b)には、図3(a),(b)に示す構成と同一の構成部分には図3(a),(b)と同一の番号を付与して示している。図4(a)に示すように、トナー濃度センサ62は、検出精度を上げるために、その検知面67を現像槽65bの槽内にやや突き出るように露出して配置されている。
【0066】
ただし、現像剤の流れを円滑にするように、槽内の内壁は、トナー濃度センサ62の検知面67の突出した角部から前後左右に傾斜をもってなだらかに形成されている。
【0067】
図5は、上述したトナー濃度センサ62の出力の例を示す図である。尚、図5は横軸に時間(秒(s))を示し、縦軸にトナー濃度センサ62の出力平均(電圧(V))を示している。実線のグラフ76(76a、76b、76c)は、トナー濃度センサ62の出力値の変化を示している。
【0068】
ここで、トナー濃度センサ62の出力を説明するために、再び二成分現像剤をキャリアとトナーに分けて考える。トナーが多いと二成分現像剤の透磁率が下がり透磁センサつまりトナー濃度センサ62の出力値が下がる。
【0069】
逆にトナーが少ないと二成分現像剤の透磁率が上昇し透磁センサつまりトナー濃度センサ62の出力値が上昇する。このことからトナーを補給すべき現像剤濃度に対応するトナー濃度センサ62の出力値を補給閾値77(図5の破線で示す値)として例えばEEPROM45等に予め設定しておく。
【0070】
そして、図5の時間t1で印字を開始してから、時間t2で減少したトナーの量をトナー濃度センサ62の出力値の上昇によって検知し、トナー濃度センサ62の出力値の上昇に対応するYMCKいずれかの現像装置9のトナー補給装置を駆動して現像装置9にトナーを補給する。
【0071】
そして、時間t3で、トナー濃度センサ62の出力値が補給閾値77を満たせば、トナー補給装置の駆動を停止させ、トナーの補給を止める。
【0072】
尚、図には示していないが、トナー濃度が所定値より低下し(時間t2参照)、トナー補給の動作を行っても所定時間内(時間t3参照)にトナー濃度が上昇しないときは、トナーホッパー27にトナーが無いと判断して印字処理を停止する。
【0073】
ところで、図5に実線のグラフ76(76a、76b、76c)で示すトナー濃度センサ62の出力値は、出力値の平均を示している。ここでいう平均とは、トナー濃度センサ62の本来の出力値であるべき実線のグラフ76(76a、76b、76c)に重畳して現れる小幅周期のパルス信号の値を平均することである。
【0074】
図6(a)は、トナー濃度センサ62の本来の出力値であるべき出力信号に重畳して現れる小幅周期のパルス信号を示す図であり、図6(b)はそのパルス信号の形状をなだらかにし且つ周期を拡大して示す図である。
【0075】
ここで、トナー濃度センサ62の本来の出力値に重畳されて上記のような小幅周期のパルス信号が発生する理由を説明する。
【0076】
図3(b)に示したように、クリーニングブレード75の弾性体シート74は、第2の攪拌搬送部材17の回転軸71の回転に伴われて一定周期でトナー濃度センサ62の検知面67を摺擦する。
【0077】
弾性体シート74が検知面67を摺擦中は、弾性体シート74が検知面67に対して現像剤を押し付ける状態となって検知面67における現像剤の密度が上昇し、トナー濃度センサ62の出力値がやや上昇する。
【0078】
そして、弾性体シート74による検知面67の摺擦が終了した直後は、弾性体シート74が検知面67近傍の現像剤を跳ね飛ばすため、検知面67近傍に空隙が生じて検知面67における現像剤の密度が低下し、トナー濃度センサ62の出力値がやや下降する。
【0079】
このように、第2の攪拌搬送部材17による撹拌動作時に弾性体シート74が検知面67を摺擦する周期に合わせて、トナー濃度センサ62の検知出力値が周期的に変化する。これが図6(a),(b)に示す小幅周期のパルス信号78である。
【0080】
すなわち、パルス信号78のMax値78aは、クリーニングブレード75の弾性体シート74がトナー濃度センサ62の検知面67を摺擦したタイミングを示している。そして、パルス信号78のMin値78bは、弾性体シート74が検知面67から離れたタイミングを示している。
【0081】
図3(b)に示したように弾性体シート74が検知面67を摺擦中は、弾性体シート74が屈曲した状態となって検知面67を摺擦する。そして、図3(a)に示したように弾性体シート74が検知面67から離れているときは、弾性体シート74は本来の直立した状態で回転している。
【0082】
弾性体シート74が図3(b)に示す検知面67を摺擦中の状態で第2の攪拌搬送部材17が停止、つまり現像器14が現像を停止、つまり機構的には駆動伝達を担当する感光体ドラム10が停止すると、弾性体シート74は、弾性体であるがゆえに、屈曲した状態を長期間強いられて曲がり癖が付いたように変形してしまう。
【0083】
弾性体シート74に曲がり癖が付いたように変形していると、弾性が劣化して、トナー濃度センサ62の検知面67に滞留する現像剤を跳ね飛ばして後続する現像剤と入れ換える摺擦能力が低下する。
【0084】
弾性体シート74の摺擦能力が低下すると、トナー濃度センサ62による補給閾値77の検知に誤検知が発生する。補給閾値77の検知に誤検知が発生すると現像器14のトナー濃度を適正に維持できなくなり、感光体ドラム10に形成されるトナー画像の品質が低下する。
【0085】
したがって、クリーニングブレード75を交換しなければならないが、クリーニングブレード75だけを交換するということは、周辺部材との均衡を従前通りに維持する上で技術的に困難であり、第2の攪拌搬送部材17ごと交換する必要がある。場合によっては現像器14そのものを交換しなければならない場合も生じてくる。これでは不経済である。
【0086】
そこで、発明者は弾性体シート74に曲がり癖が付かないようにすることを発案した。すなわち、弾性体シート74が検知面67を摺擦中の屈曲した状態を長期間強いられることがないようすることである。
【0087】
つまり、弾性体シート74が検知面67を摺擦中の位置にあるとき、感光体ドラム10を停止させないことである。換言すれば、感光体ドラム10を停止させる場合は、弾性体シート74が検知面67から離れている状態のときに、つまり、パルス信号78がMin値78bを示しているタイミングで感光体ドラム10を停止させることである。
【0088】
このように弾性体シート74が検知面67から離れている上体で装置全体の駆動を停止させれば弾性体シート74に曲がり癖が付いたように変形してしまうことがなく、装置全体の寿命を長期化させることができる。
【0089】
図7は、プリンタコントローラ部40によって行われる弾性体シート74が検知面67から離れている状態のタイミングの位置にあるとき感光体ドラム10を停止させる制御の処理を示すフローチャートである。
【0090】
図7において、プリンタコントローラ部40(以下、単に制御部40という)は、印字を開始する(ステップS1)。続いて、制御部40は、先ず、CMYKごとのトナー濃度センサ62の出力値vを個々に読み出す(ステップS2)。
【0091】
次に、制御部40は、ステップS2の処理で個々に読み出したCMYKごとのトナー濃度センサ62の小幅周期のパルス信号78の出力値vの平均値(出力平均値V)を算出し、その算出した出力平均値Vがトナー補給閾値77以下であるか否か判別する(ステップS3)。
【0092】
そして、トナー濃度センサ62の出力平均値Vがトナー補給閾値77以下なら(S3の判別がYes)、制御部40は、ステップS2の処理で読み出したCMYKごとのトナー濃度センサ62の小幅周期のパルス信号78の出力値vの周期を検出する(ステップS4)。
【0093】
次に、制御部40は、印字が終了(外部のホスト機器からの印字データが無い、又は操作パネル部からの停止指示)か否かを判別する(ステップS5)。そして、印字終了でなければ(S5の判別がNo)、ステップS2に戻って、ステップS2〜S5の処理を繰り返す。
【0094】
また、上記ステップS3の判別で、トナー濃度センサ62の出力平均値Vがトナー補給閾値77を超えていたときは(S3の判別がNo)、制御部40は、そのトナー濃度の低いトナーの色に対応するYMCKいずれかのトナー補給装置(57、58、59又は61)からトナー補給を実行して(ステップS6)、ステップS3に戻り、ステップS3、S6を繰り返す。
【0095】
そして、トナーの濃度が適正値に回復したときは(S3の判別がYes)、制御部40は、再びステップS4、S5に進み、S5の判別がNoなら、更にステップS2〜S5、又はS2、S6、S3〜S5の処理を繰り返す。
【0096】
やがて、ステップS5の処理で印字終了が判別されたときは(S5の判別がYes)、制御部40は、YMCKごとの感光体ドラム10の停止位置を決定する(ステップS7)。
【0097】
この処理は、ステップS4で検出しているCMYKごとのトナー濃度センサ62の出力値の小幅周期のパルス信号78の出力値vが出力Min値78bとなる周期の直近のタイミングtを算出する処理である。
【0098】
そして、制御部40は、その算出したトナー濃度センサ62の出力値の小幅周期のパルス信号78の出力値vが出力Min値78bとなるタイミングで感光体ドラム10を停止させて(ステップS8)、印字処理を終了する。
【0099】
このように、本実施例によれば、各色のトナー補給閾値を検知するためのトナー濃度センサの出力信号に重畳される小幅周期のパルス信号を個々に検出し、そのパルス信号の周期でセンサ出力がMin値になるタイミングを算出する。
【0100】
そして、Min値のタイミングで装置全体が停止するときのクリーニングブレードの弾性体シートの位置が、屈曲状態を強制されない位置であるので、印字が終了した場合は毎回そのMin値のタイミングで装置全体を停止させる。
【0101】
これにより、クリーニングブレードの弾性体シートに曲がり癖が付いたような変形が生じることを防止し、常に正しいトナー濃度センサの出力に基づいて長期にわたり正確なトナー濃度の制御ができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、二成分現像剤を使用する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に使用される現像装置及びこれを備えたプロセスカートリッジ並びに画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 フルカラー画像形成装置
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 第1の攪拌搬送部材
17 第2の攪拌搬送部材
18 駆動ローラ
19 従動ローラ
21 一次転写ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) トナーホッパー
29 給紙カセット
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 拡散反射型濃度センサ
37 排紙トレー
38 操作パネル部
40 プリンタコントローラ
41 バス
42 ネットワークコントローラ部
43 I/F(インターフェイス)
44 ヘッドコントローラ部
45 EEPROM(electrically erasable programableROM)
46 ROM(read only memory)
47 給紙モータ
49 レジストセンサ
51 DDS(developer drum set:現像装置)新旧検知センサ
52 高圧ユニット
53 Y−駆動装置
54 M−駆動装置
55 C−駆動装置
56 K−駆動装置
57 Yトナー補給装置
58 Mトナー補給装置
59 Cトナー補給装置
61 Kトナー補給装置
62 トナー濃度センサ
62y Yトナー濃度センサ
62m Mトナー濃度センサ
62c Cトナー濃度センサ
62k Kトナー濃度センサ
63 外壁
64 内部隔壁
65(65a、65b) 現像槽
66 ドクターブレード
67 検知面
68、71 回転軸
69、72 螺旋状フィン
73 ブレード保持部
74 弾性体シート(ブレード)
75 クリーニングブレード
76(76a、76b、76c) トナー濃度センサの出力平均(V)
77 補給閾値
78 パルス信号
78a パルス信号Max値
78b パルス信号Min値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分現像剤にて現像を行う現像器と、
該現像器内に配置され前記二成分現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材と、
該攪拌搬送部材の回転軸に固設されて回転するクリーニングブレードと、
前記現像器内に検知面を露出して配置され、前記攪拌搬送部材の1回転ごとに前記検知面を前記クリーニングブレードにより摺擦され、摺擦中はトナー濃度をより高い値で検知し摺擦後はトナー濃度をより低い値で検知する一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号を出力するトナー濃度検知センサと、
該トナー濃度検知センサの前記一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号の中のトナー濃度をより低い値で検知するタイミングを演算し、前記攪拌搬送部材の停止に際し、前記クリーニングブレードの先端が前記タイミングの位置で停止するよう制御する制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー濃度検知センサは、前記現像器にトナーを補給するためのトナー補給用閾値を検知するために設けられ、前記一定周期の小振幅のトナー濃度検知信号は、前記トナー濃度検知センサが前記トナー補給用閾値を検知するために検知中のトナー濃度検知信号に重畳して発生する信号である、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98413(P2012−98413A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244528(P2010−244528)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】