説明

画像形成装置

【課題】 簡単な構成でカートリッジの使用履歴や寿命に関する情報を現像剤担持体上に可視情報として表示し、カートリッジに設けられた部材が再利用可能かどうかを判断しやすくすること。
【解決手段】 静電潜像を現像する現像剤担持体を備えたカートリッジ5を着脱可能な画像形成装置100において、前記カートリッジ5の使用状態を検知するための検知手段を有し、前記現像剤担持体に前記使用状態を示す現像剤像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体を備えたプロセスカートリッジを着脱可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、静電潜像を現像する現像剤担持体を備える現像カートリッジや、現像剤担持体と電子写真感光体とを備えるプロセスカートリッジなどのカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とした構成が採用されている。
【0003】
最近、資源の有効利用という観点から、使用済みのカートリッジが回収され、カートリッジに用いられている部品が再利用されるようになってきている。しかし、カートリッジが使用されてきた使用状態によって、各々の部品が再利用可能か否かは異なる。そのためカートリッジ再生部門において、簡単な方法で回収されたカートリッジの使用状態を確認可能にすることが求められている。特許文献1では、像担持体や画像形成用ユニットの使用履歴や寿命に関する情報を像担持体に表示することで、画像形成用ユニットを回収後に画像形成用ユニットの使用状態を判断できる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3330463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術を更に発展させたものである。すなわち本発明は、カートリッジの使用状態を現像剤担持体に可視情報として表示し、簡単にカートリッジの使用状態を確認可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、静電潜像を現像する現像剤担持体を備えたカートリッジを着脱可能な画像形成装置において、前記カートリッジの使用状態を検知するための検知手段を有し、前記現像剤担持体に前記使用状態を示す現像剤像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成でカートリッジの使用状態を現像剤担持体に可視情報として表示し、簡単にカートリッジの使用状態を確認可能にする画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1における画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施例1における現像カートリッジを示す概略構成図である。
【図3】実施例1における現像剤量検知手段のブロック図である。
【図4】実施例1における供給ローラ内のトナー量と静電容量の関係を表す図である。
【図5】実施例1における使用履歴や寿命を現像ローラ上に表示するフローチャートである。
【図6】実施例1における現像ローラ上の表示状態を示す図である。
【図7】実施例2におけるプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【図8】実施例2における規制ブレードに印加するパルス電圧を示す図である。
【図9】実施例2における現像ローラ上の表示状態を示す図である。
【図10】実施例2における使用履歴や寿命を現像ローラ上に表示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
本実施例の画像形成装置100の構成を図1に示す。図1中、符号1で示されるのは像担持体たる感光体ドラムである。感光体ドラム1は矢印R1方向に回転する。2は帯電ローラである。3は露光装置、4は反射ミラーである。露光装置3から発信されたレーザービームが、反射ミラー4を介して感光体ドラム1上の露光位置Aに達するように配置されている。現像手段たる現像装置は負帯電性のブラックトナーを内包しており、現像カートリッジ5として画像形成装置100の装置本体に着脱可能に構成されている。
【0011】
画像形成装置100の画像形成動作について説明する。矢印R1方向に100mm/secで回転している感光体ドラム1の表面上を、帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3、反射ミラー4により画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する。形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像装置(現像カートリッジ)5で現像し、トナー像を形成する。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、転写位置Bにおいて、感光体ドラム1の下部に配置された転写ローラ6によって転写材Pに転写される。トナー像を転写された転写材Pは定着器15に送られる。定着器15は転写材P上のトナー像を加圧及び加熱して転写材Pに定着し、最終画像とする。
【0012】
また感光体ドラムの回転方向において、トナー像を転写材Pに転写する感光体ドラム1の転写位置Bに対して下流側にはクリーニングブレード9が設置されている。クリーニングブレード9は感光体ドラム1に接触し、感光体ドラム1が転写材Pにトナー像を転写した後に、感光体ドラム1上に残ったトナーを掻き落とす。
【0013】
現像装置である現像カートリッジ5について図2を用いて詳細に説明する。現像カートリッジ5は、現像カートリッジ5の枠体であって、内部にトナーを収納するトナー容器21および、トナー容器21に支持された各部材からなる。トナー容器21の開口部には現像剤担持体たる現像ローラ25が設けられ、さらに現像ローラ25に当接するように現像剤規制部材たる規制ブレード27が設けられる。トナー容器21の内部にはトナー供給部材たる供給ローラ24が現像ローラ25に隣接して設けられる。
【0014】
現像ローラ25は、現像動作中は感光体ドラム1と接触した状態で回転する。現像ローラ25と供給ローラ24は画像形成装置100の装置本体に設けられた駆動装置(駆動手段)から駆動力が伝達されるため、同じタイミングで回転開始と停止が行なわれる。現像動作終了後は、画像形成装置100の装置本体に設けられたカム20が回転してトナー容器21上部を押すことで、トナー容器21が揺動中心軸30を回転軸として回転し、現像ローラ25が感光体ドラム1から離間する。離間後、駆動装置Pによって、回転駆動を停止している。
【0015】
現像ローラ25は、φ8(mm)の導電性の芯金28と、その周囲に形成したシリコンゴムを基層とした導電性弾性層からなる。表層にはアクリル・ウレタン系ゴム層がコートされている。現像ローラ25の外径はφ13(mm)、体積抵抗は約10Ω・cmである。現像動作中において、現像ローラ25は、前述の現像位置Cで感光体ドラム1に接触し、図2中の矢印R4方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、現像ローラ25の回転速度(周速)は160mm/secで、所定のDC電圧が印加される。なお、現像ローラ25上のトナー像を目視で認識可能とするためには現像ローラ25の表面とトナーの色が異なるほうが望ましい。
【0016】
供給ローラ24は、φ6(mm)の導電性の芯金29と、その周囲に形成した柔らかい連続気泡体からなる発泡表層たるウレタンスポンジ層から構成される。供給ローラ24の外径はφ15(mm)、体積抵抗は約10Ω・cmである。本実施例では、現像ローラ25の芯金28の中心と供給ローラ24の芯金29の中心との距離(以下、中心間距離)を13mmとし、現像ローラ25の表面が供給ローラ24のウレタンスポンジ層を、1.0mmほどの侵入量で押し込むように設置する。ここで侵入量とは、芯金28の中心と芯金29の中心間を結ぶ線分上で、供給ローラ24と現像ローラ25の外径の和から上記中心間距離を差し引いて2で割った長さである。供給ローラ24は、図2中の矢印R5方向に回転駆動できるようにトナー容器21に支持されている。画像形成中において、供給ローラ24の回転速度(周速)は、140mm/secで、所定のDC電圧が印加される。
【0017】
規制ブレード27は、可撓性を持ったリン青銅板金から成り、一端をトナー容器21に固定し、他端を自由端として現像ローラ25に当接させている。現像ローラ25の回転方向に対してカウンタ方向となる向きで、自由端近傍の平滑面が現像ローラ25の表面と摺擦するように配設されている。画像形成中において、規制ブレード27の電位が現像ローラ25の電位を基準として−200Vとなるように規制ブレード27にはDC電圧が印加される。なお、本実施例では、リン青銅の規制ブレード27を採用したが、トナー量を規制し、トナーに対して適切な摩擦電荷を与えることができれば、規制ブレード27表面をポリアミドエラストマー等の樹脂にしても良い。
【0018】
その他、現像ローラ25とトナー容器21の隙間を覆い、現像剤がトナー容器21から外に洩れ出ることを防止する洩れ防止シール26が設けられている。
【0019】
図1に示した画像形成装置100は、現像カートリッジ5の構成要素の使用履歴や寿命を検知する検知手段を備えており、具体例を以下に説明する。本実施例では、トナー残量を検知する現像剤量検知手段と、現像ローラ25の使用履歴や寿命を検知する検知手段が設けられている。
【0020】
現像剤量検知手段について述べる。本実施例では、現像ローラ25の芯金28と供給ローラ24の芯金29との間の静電容量を検知することで、トナー残量に関する情報を得ることができる。この方法では、トナー残量と、上記芯金間の静電容量との間に相関関係があるため、静電容量を検知することでトナー残量を測定することが可能である。
【0021】
静電容量測定を用いたトナー残量の検知方法について図3を用いてさらに詳しく説明する。現像剤量検知手段は、検知回路113、コンパレーター114、トナー残量判断手段115等によって構成される。まず、供給ローラ24の芯金29に装置本体に設けられた電圧印加手段112から、電圧制御手段111によって制御された所定の交流バイアスを印加し、現像ローラ25の芯金28に誘起される交流電圧から芯金間の静電容量を検知する。なお現像ローラ25の芯金28に交流バイアスを印加して、芯金29に誘起される交流電圧からトナー残量測定を行うことも可能である。本実施例のように、感光体ドラム1と対向していない供給ローラ24の芯金29に交流電圧を印加する方が、供給ローラ24に交流バイアスを印加した際に、供給ローラ24や現像ローラ25から感光体ドラム1にトナーが移動しにくい点でより好ましい。
【0022】
静電容量の検知を行う際は、感光体ドラム1と現像ローラ25が離間し、現像ローラ25が停止した状態で行っている。これは、検知する静電容量に対して感光体ドラム1が与える影響を低減できることと、現像ローラ25を停止してから静電容量検知を行った方がより安定した出力が得られるためである。芯金29に検知用の電圧を印加する電圧印加手段112が接続され、芯金28には、画像形成装置100の装置本体に設けられた検知回路113が接続される。静電容量検知用の交流バイアスは、周波数50KHz、ピーク間電圧Vpp=200Vとした。芯金28に誘起される交流電圧は、検知回路113に接続されたコンパレータ−114で整流され、整流されたDC電圧そのものか、前記DC電圧を数値化した信号情報が検知回路113から出力値として出力される。
【0023】
芯金28と芯金29との間の静電容量と供給ローラ24内のトナー量とは、図4に示すような相関関係を有する。トナーの誘電率は空気に対して3倍前後であるため、供給ローラ24内のトナー量が増えるほど芯金28と芯金29の間の静電容量も増加する。図4に示される相関関係に基づきCPUからなるトナー残量判断手段115が、検知回路の出力信号からトナー残量を判断し、その結果をトナー残量値として出力する。さらに画像形成装置はトナー残量報知手段116を備える。トナー残量報知手段116はトナー残量判断手段115が出力したトナー残量値が一定値を下回ったときなどに、画像形成装置100に設けられた液晶画面や、画像形成装置100に接続されたコンピュータなどにその旨を表示することが可能である。
【0024】
なお、現像剤量検知手段は、現像カートリッジ5のトナー容器21が収納するトナーの残量を検知できるものであればよい。トナー容器21内に検知光を通過させ、その検知光の通過時間によってトナー容器21内に収納されているトナー残量を検出してもよい。また、露光手段の発光するピクセル数をカウントすることのできるピクセルカウント計数手段(ピクセルカウンター)を用いて、トナー使用量を推定し、トナー残量を求めてもよい。
【0025】
現像ローラ25の使用履歴や寿命を検知する検知手段について述べる。本実施例では現像ローラ25の回転距離を積算し、総回転距離のデータをもとに現像ローラ25の使用履歴や寿命を判定する。現像ローラ25の総回転距離は、総回転数と1回転当りの走行距離とから、これらを積算する演算を行って現像ローラ25の総回転距離を求める。現像ローラ25の総回転数は、例えば現像ローラ25の回転数を検知する図示しないカウンタによって検知される。カウンタは、現像ローラ25の駆動量を測定、検知する駆動量検知手段である。カウンタによる検知結果は本体メモリに書き込まれる。また、本体メモリには、予め現像ローラ25の1回転当りの走行距離が書き込まれる。
【0026】
なお、検知手段はこれに限定するものではなく、印刷枚数を積算検出する手段により累積印刷枚数のデータをもとに使用履歴や寿命を判定しても良い。また、感光体ドラム1の使用履歴や寿命を検知する際も、同様の構成で測定することができる。
【0027】
使用履歴や寿命を現像ローラ25上に表示するフローを図5に示す。画像形成動作終了時に、上述の検知手段によって、現像カートリッジ5の構成要素が寿命に到達したかどうかを判断する(S003)。寿命に到達していなければ、寿命が検知されるまで画像形成動作を継続する(S007)。
【0028】
一方、寿命が検知されたときは、検知結果を感光体ドラム1上に現像することを利用して、現像ローラ25上に現像剤像として現像残パターンを形成し、使用履歴や寿命に関する情報を表示する。ここで現像残パターンとは、現像ローラ25が感光体ドラム1の静電潜像を現像した後、現像ローラ25上に残る現像剤によって形成される現像剤像である。例えば、「トナー切れ」が検知された時には、図6(A)に示すように現像残パターンを用いて、現像ローラ25に、トナーの残量として「0%」と表示する。同時に、前述のカウンタによる検知結果に基づき、そのときの現像ローラ25の総回転距離を「2000」といった数値にて表示する。これにより、カートリッジを回収した時に現像ローラ25に表示された数値を見るだけで容易に、カートリッジの使用状態を判断することができる。
【0029】
現像剤パターンを現像ローラ25上に形成する際には、通常の画像形成プロセス動作を実行するのと同様に、画像形成動作を開始する(S004)。感光体ドラム1表面上を帯電ローラ2で所定電位に帯電する。露光位置Aにおいて、露光装置3、反射ミラー4により画像信号に応じて発信されたレーザービームにより、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する。ここで、カートリッジの使用状態を示すパターンを現像ローラ25上に形成するため、このパターンとは反転させた静電潜像を感光体ドラム1上に形成する。
【0030】
形成した静電潜像を現像位置Cにおいて現像カートリッジ5の現像ローラ25で現像し、感光体ドラム1上にトナー像を形成する。このとき、静電潜像を現像するために使用されなかったトナーが現像ローラ25上に残る。この残ったトナーが現像残パターンとして使用履歴や寿命に関する情報を表示する。
【0031】
現像ローラ25に現像残パターンが形成された後も、現像ローラ25の回転が続けられると、現像残パターンがトナー容器21の中に入り込んで表示された情報が隠れてしまう。また、現像残パターンの形成部が洩れ防止シート26と接触してしまうと、現像残パターンが消されてしまう可能性もある。そのため、現像残パターンがトナー容器21から露出し表示情報を確認できる位置である現像位置Cから洩れ防止シール26までの領域に表示部分が来るように、現像ローラ25を停止させる(S005)。これにより使用履歴や寿命に関する情報を現像ローラ25上に表示することができる(S006)。本実施例では上記のような表示をしたが、構成要素の使用履歴や寿命に関する情報であれば、図6(B)に示すように文字、記号、バーコード等で表示しても良い。
【0032】
上記のように現像ローラ25上に使用履歴や寿命に関する情報を表示しても、現像カートリッジ5を画像形成装置100の装置本体から取り出す際、或いは再生部門に送る際、その情報が消えてしまう可能性がある。そこで、現像カートリッジ5を画像形成装置本体から取り出す際、予め準備していたカバー部材で現像ローラ25を被うように装着しても良い。
【0033】
再生部門に回収された現像カートリッジに、現像ローラ25上に使用履歴や寿命に関する情報が表示されていれば、現像カートリッジに用いられる各部材の再利用の可否を検討する。回収した現像カートリッジの各部材は表示内容によって例えば廃棄処分にし、或いは再生処理する。
【0034】
また現像ローラ上に仕様履歴や寿命に関する情報が表示されていなければ、回収した現像カートリッジは寿命が未だ尽きていないものと判断する。いずれにしても、使用履歴や寿命に関する情報が現像ローラ25上に表示されているか否かによって、回収した現像カートリッジの再生の可否を的確に決めることができる。
【0035】
以上まとめると、本実施例では、現像ローラに現像カートリッジの使用状態を現像残パターン(現像剤像)として表示する。従来、カートリッジの使用履歴を表示する現像剤像は、感光体ドラム1を持ったプロセスカートリッジ等にしか表示できなかったが、本実施例によれば、カートリッジの使用状態を、感光体ドラムを備えない現像カートリッジにも表示することが可能になる。
【0036】
現像残パターンは特殊な器具が無くても、視認可能であって、文字や記号を用いて使用状態を詳しく表示することが可能になるため、カートリッジ回収時に、部品の再利用を判断する効率が向上する。なお、現像ローラおよび感光体ドラムを備えるプロセスカートリッジを着脱可能な画像形成装置において、プロセスカートリッジの現像ローラに現像残パターンを形成しても良い。このとき、プロセスカートリッジが回収された際、部品の再利用を検討する前に、感光体ドラムをプロセスカートリッジから取り外す必要がある場合でも、現像ローラ25にはプロセスカートリッジの使用状態が示された状態になる。そのため感光体ドラム以外の部品について再利用の可否を作業員が目視で確認しやすくなる。
【0037】
<実施例2>
本発明の第2の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置100は、感光体ドラム1を備えたプロセスカートリッジ200が着脱可能となるよう構成されている。まずプロセスカートリッジ200の構成を図7に示す。図7に示すように、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ユニット31、クリーニング装置9を一体に結合することによって、プロセスカートリッジ200を形成する。ここで現像ユニット31とは、現像ローラ25、規制ブレード27、供給ローラ24等を備えた現像装置であって、プロセスカートリッジ200の一部を形成し、現像ローラ25を用いて感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像するものである。本実施例では、実施例1において画像形成装置100の装置本体に装備されていた感光体ドラム1、帯電ローラ2、クリーニング装置9が、プロセスカートリッジ200に含まれ、画像形成装置100の装置本体に着脱可能とされている。しかし、その他の基本構成は実施例1と変わりはないため変更点のみ説明する。
【0038】
本実施例の特徴とするところは、現像ローラ25上に現像剤像を濃淡パターンとして表示することで、現像剤を消費することなくプロセスカートリッジ200の使用履歴(使用状態)を示す点にある。また、実施例1では現像カートリッジの構成要素の何れかの部品が寿命を迎えたことが検知されたとき、その寿命及びそれ以外の構成要素の使用履歴を現像ローラ25上に表示した。本実施例では、1回の画像形成動作、又は1ジョブの画像形成動作が行われる度毎に、使用履歴を現像ローラ25上に表示する。
【0039】
ここで、1回の画像形成動作とは1枚のコピー又はプリント画像を得る動作であり、1ジョブの画像形成動作とは、記録媒体(記録用紙)1枚、又は一連の複数枚の記録用紙のコピーないしはプリント動作を意味する。1枚のコピー又はプリントを行って、その動作を終えるときは、その1回の画像形成動作が1ジョブであり、連続してn回コピー又はプリント動作を行ったときには、その一連のn回の動作が1ジョブの画像形成動作である。
【0040】
本実施例では、プロセスカートリッジ200の構成要素のうち使用履歴を検知する手段としてトナー残量を検知する現像剤量検知手段が設けられている。現像剤量検知手段について説明する。本実施例では、露光手段の発光するピクセル数をカウントすることのできるピクセルカウント計数手段(ピクセルカウンター)を用いて、トナー使用量を推定する(以下ピクセルカウント方式と称す)。
【0041】
ピクセルカウント方式では、1ピクセルカウントあたりのトナー使用量を本体メモリに記憶しておき、ピクセルカウンターでカウントされたピクセルカウント積算値からトナー使用量を推定する。ピクセルカウント積算値は、画像形成装置100の装置本体に設けられた本体メモリに記憶される。そして、トナー残量が少なくなってきたら、トナー切れの時期や現像カートリッジの交換時期を精度良く検知するために、実施例1で用いた静電容量を用いたトナー残量検知を実行する。なお「トナー切れ」とは、現像ユニット31内にトナーが完全になくなった状態を指すのではなく、維持したい水準の画像品質を維持することができるトナー量を下回った状態を意味する。
【0042】
現像ローラ25上の濃淡パターンとして使用履歴を表示する方法について説明する。現像ローラ25と規制ブレード27間の電位差が変わると現像ローラ25が担持するトナーの量が変化する。これを利用して、使用履歴を示す現像剤像を形成する。本実施例では、規制ブレード27に印加するDC電圧の大きさを複数の値に切り替えることが可能である。
【0043】
規制ブレード27に印加するDC電圧は、本体に設けられた電圧制御手段によって電圧制御され、必要なタイミングでその電圧値を切り替える。例えば、図8に示すように現像ローラ25の回転中に規制ブレード27に印加するDC電圧の値を切り換えて規制ブレード27にパルス電圧を加えることが可能である。一方、このとき現像ローラ25には一定値のDC電圧を印加する。これにより現像ローラ25の回転に応じて、現像ローラ25と規制ブレード27の間の電位差が変化する。これにより現像ローラ25に担持されるトナーの量が周期的に変化し、現像ローラ25上には現像ローラ25の回転方向に応じて濃淡が変化する現像剤像のパターンが現像ローラ25の長手方向全域に形成できる。本実施例では、濃淡パターンでトナー残量を表示しており、3段階のパターンがある。図9に示すように、トナー残量が多い時から順に、現像ローラ25上に第一、第二、第三の濃淡パターンを表示する。
【0044】
使用履歴を現像ローラ25上に表示するまでのフローを図10に示す。画像形成時に、ピクセルカウントを計測する(S102)。画像形成動作終了時に、計測したピクセルカウントを積算し積算値Pcountを算出する(S103)。次に、積算値Pcountが所定値Pth1に到達しているかを判断(S104)する。到達していないときには、トナー残量が十分に多いことを意味するため電圧制御手段により規制ブレード27に第一のパルス電圧を印加し、現像ローラ25を所定時間回転させながら第一の濃淡パターン(図10(A)参照)を作成する(S105)。積算値Pcountが所定値Pth1に到達していると判断したときには、積算値Pcountが所定範囲Pth1≦Pcount≦Pth2であるかを判断する(S106)。積算値Pcountが上記の所定範囲内であると判断した時には、規制ブレード27に第二のパルス電圧を印加し、現像ローラ25を所定時間回転させながら第二の濃淡パターン(図10(B)参照)を作成する(S107)。範囲外であると判断した時には、トナー残量が少なくなっていることを意味するため、実施例1で用いた静電容量を用いたトナー残量検知を実行する(S108)。トナー容器21に含まれるトナーが所定量を下回ったときには、プロセスカートリッジ200が使用できない状態(寿命に到達した状態)として、「トナー切れ」をユーザーに報知する(S110)。
【0045】
ここで「トナー切れ」の報知内容は、トナーが所定量を下回ったことや、カートリッジの交換を促す報知であって、例えば「トナーが少なくなりました。」「トナー切れです。」「カートリッジを交換してください。」等の表示があげられる。トナーが残っていると判断されたときには、規制ブレード27に第三のパルス電圧を印加し、現像ローラ25を所定時間回転させながら第三の濃淡パターン(図10(C)参照)を作成する(S109)。ここで現像ローラ25が回転を続けると表示された情報が消えてしまう。そのため、表示情報を確認できる位置である現像位置Cから洩れ防止シール26までの領域に表示部分が来るように、現像ローラ25を停止させる。
【0046】
なお図10に示されるように第一から第三の濃淡パターンは、それぞれ、濃淡が表示される周期が異なる。本実施例では規制ブレード27に印加するDC電圧を切り換えることにより、それぞれの濃淡パターンを表示したが、現像ローラ25と規制ブレード27間の電位差を切り換えることが条件のため、現像ローラ25に印加するDC電圧を切り換えても良い。
【0047】
また現像ローラ25に現像剤の濃淡パターンを形成した後、画像形成を再開する場合には、現像ローラ25と、規制ブレード27に印加する電圧の値を画像形成に適した値に戻し、現像ローラ25を駆動させる。これにより現像ローラ25に画像形成に適した量のトナーを担持させることができる。
【0048】
ここで、現像ローラ25に濃淡パターンを形成する時に利用した現像剤は、現像ローラ25に担持され続けるか、トナー容器21に回収されるので、画像形成のために再利用することが可能である。即ち、実施例1と異なり現像ローラ25に現像剤像を形成しても、現像剤を消費することがない。そのため、プロセスカートリッジ200が使用寿命に至った場合に限らず、1回の画像形成動作、又は1ジョブの画像形成動作が行われる度毎にプロセスカートリッジの使用状態を現像ローラ25に表示することができる。
【0049】
このように、1回の画像形成動作、又は1ジョブの画像形成動作が行われる度毎に使用履歴を現像ローラ25上に表示しておけば、ユーザーは常にプロセスカートリッジ200の使用履歴を把握することが可能となる。さらにプロセスカートリッジ200のおよその交換時期を把握することも可能になる。この際は濃淡パターンとプロセスカートリッジ200の使用状態を対応させた表などをラベルとしてプロセスカートリッジ200に張り付けておくなどすれば、ユーザーがプロセスカートリッジ200の使用状態を把握する助けとなる。
【0050】
さらに、本実施例によれば、プロセスカートリッジ200が寿命に至る前に画像形成装置本体から取り外され、回収された場合であっても、現像ローラ25にはプロセスカートリッジ200の使用状態が表示された状態になる。よってプロセスカートリッジ200の回収部門において、プロセスカートリッジ200を形成する部品が再利用可能であるかをより適切に判断できる。
【0051】
なお、本実施例では使用履歴を検知する手段としてトナー残量を検知する現像剤量検知手段を採用した。しかし、プロセスカートリッジの構成要素である感光体ドラム1、現像ローラ25、クリーニング装置9などの使用履歴を別の手段で検知してもよい。現像ローラ25や感光体ドラム1の駆動量(回転数や回転距離の累計)を検知する検知手段(駆動量検知手段)や、画像形成を行った記録媒体の数量(枚数や面積)を測定、検知する検知手段(記録媒体検知手段)を別に設けてもよい。それらを組み合わせることで、プロセスカートリッジの使用履歴(使用状態)を濃淡パターンとして現像ローラ25上に表示しても良い。
【0052】
また、本実施例においてプロセスカートリッジが使用寿命に至った場合には、実施例1と同様に、現像ローラ25上に現像残パターンを形成するなど、現像ローラ25に形成する現像剤像として現像残パターンと濃淡パターンを適宜組み合わせてもよい。これにより現像剤像の形成による現像剤の消費を抑えつつ、プロセスカートリッジの回収時にはプロセスカートリッジの使用状態を、より詳細に示すことができる。
【0053】
またプロセスカートリッジを着脱可能な画像形成装置を例に挙げて本実施例を説明したが、現像カートリッジを着脱可能な画像形成装置において、現像ローラに濃淡パターンを形成するようにしてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザー
4 反射ミラー
5 現像カートリッジ
6 転写ローラ
9 クリーニング装置
15 定着器
20 カム
21 トナー容器
24 供給ローラ
25 現像ローラ
26 漏れ防止シール
27 規制ブレード
30 揺動中心軸
100 画像形成装置
200 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を現像する現像剤担持体を備えたカートリッジを着脱可能な画像形成装置において、前記カートリッジの使用状態を検知するための検知手段を有し、前記現像剤担持体に前記使用状態を示す現像剤像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤像は、前記現像剤担持体が前記静電潜像を現像した後、前記現像剤担持体に残る現像剤によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジは前記現像剤担持体に担持される現像剤の量を規制する現像剤規制部材を有し、前記画像形成装置は、前記現像剤規制部材又は前記現像剤担持体に印加する電圧の値を前記現像剤担持体の駆動に伴って変化させることで、前記現像剤像として、現像剤の濃淡が変化するパターンを前記現像剤担持体に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段として、前記静電潜像が形成される像担持体、または前記現像剤担持体の駆動量を測定するための駆動量検知手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段として、前記カートリッジに収納された現像剤の量を検知するための現像剤量検知手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段として、前記画像形成装置が画像を形成した記録媒体の数量を検知するための記録媒体検知手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤担持体の表面の色と前記現像剤担持体に担持される現像剤の色が異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カートリッジは前記静電潜像が形成される像担持体を備えたプロセスカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤像を形成した後、前記現像剤像が前記カートリッジの枠体から露出した状態で前記現像剤担持体の駆動を停止することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25027(P2013−25027A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158963(P2011−158963)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】