画像形成装置
【課題】吸引排出による回復動作でヘッドタンク内の負圧が増加しても十分な回復を行う。
【解決手段】吸引排出動作を行なうとき、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、送液ポンプを駆動してメインタンクから当該回復動作を行っている記録ヘッドのヘッドタンク35に対して送液し、その後、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、送液ポンプの駆動を停止して送液を停止させる。
【解決手段】吸引排出動作を行なうとき、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、送液ポンプを駆動してメインタンクから当該回復動作を行っている記録ヘッドのヘッドタンク35に対して送液し、その後、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、送液ポンプの駆動を停止して送液を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するサブタンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンク(サブタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、記録ヘッドのノズルからのインクの染み出しやダレを防止するために負圧を発生する負圧形成機能(機構)をヘッドタンクに持たせたものが知られている。
【0004】
このヘッドタンクは、インクを収容するインク収容部の一面を形成する撓むことが可能なフィルム部材と、フィルム部材を外方に付勢する弾性部材とを含む負圧形成手段を有し、液体残量に応じて変位する変位部材(検知部材、検知フィラともいう。)を有し、また、インク収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構を有して、インク収容部から記録ヘッドにインクを供給する構成となっている。
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドにあっては、ヘッド内に気泡が流入すると吐出する液滴の吐出方向が曲がり、あるいは、所要量の液滴を吐出できず、また吐出そのものが不可能になるなどの吐出不良が発生する。
【0006】
そこで、ヘッドの性能を維持回復するために、例えば、ヘッドのノズル面を吸引手段が接続された吸引キャップで密閉して、ノズルから液体を吸引排出させる吸引排出方式、あるいは、ヘッドに加圧した液体を供給してノズルから排出させる加圧供給方式、これらを併用した吸引加圧方式などによって、ヘッド内の気泡やその他の異物をノズルから液体とともに排出させることが行われている。
【0007】
例えば、インクタンクのインク液を加圧してインク液室にインクを送るための加圧手段と、キャップ部材を介して記録ヘッドに負圧を発生させる負圧発生手段と、加圧手段を制御する制御手段と、負圧発生手段により記録ヘッドの吸引回復を行う吸引回復手段を備え、吸引回復手段は、制御手段によりインク液室内のインクを負圧発生手段により可撓性の弁を閉めてインク液室内の負圧を蓄積した後に、加圧手段により可撓性の弁を開けてインク流路内のインクをインク液室に流れ込ませるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−17876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述したように、負圧発生手段を含むヘッドタンクを備える液体吐出ヘッドユニットを使用する場合、吸引排出方式で回復動作を行なうと、吸引と共に負圧が強くなり、それと共に吸引が困難となり、空気や異物の排出を行うことができなくなる。そのため、再度回復動作を行うことになると、メンテナンス時間の浪費、インクの無駄な消費、及び排出した廃液を回収する廃液タンクの寿命が短くなる、という課題が生じる。
【0010】
一方、加圧供給方式の回復動作を行うためには、強い負圧及び強い正圧を流路内に印加することになり、各部品に耐圧性が求められる。また、インクタンクのインクを加圧して弁を開き流路に流し込む構成にあっては、加圧送液中はインクが大気圧に戻るのを防ぐため、圧力センサで検知しながら加圧手段を制御するものの、インクタンクや流路内の圧力を検知するのみで、直接ヘッドユニット内の圧力やインク量を把握していないため、適正なヘッドユニット内圧力の制御やインク量を制御できず、ノズル回復性能にバラツキが生じるという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドタンクを有するヘッドに対する回復動作の回復性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記記録ヘッドのノズルから前記液体を吸引排出させて前記ノズルの吐出状態を回復する回復動作を行う回復手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは、液体残量に応じて負圧を発生する負圧発生手段と、液体残量に応じて変位する変位部材とを有し、
前記キャリッジには、前記変位部材を検知する検知手段が設けられ、
前記回復手段で前記回復動作を行うとき、前記検知手段による前記変位部材の変位の検知から前記送液手段による前記ヘッドタンクへの送液を制御し、
前記回復動作中は前記ヘッドタンク内の圧力を所定の範囲内に維持する
構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置によれば、ヘッドタンクを有するヘッドに対する回復動作の回復性能の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の説明に供する画像形成装置の機構部の側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正断面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図7】サブタンクの負圧形成動作の説明に供する模式的説明図である。
【図8】サブタンクの負圧管理の説明に供する説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態の説明に供するヘッドタンクの変位部材の検知位置の説明に供する説明図である。
【図10】同じく変位部材の検知位置とヘッドタンク内圧力と排インク量の関係の説明に供する説明図である。
【図11】同じく制御部に回復動作制御を示すフロー図である。
【図12】本発明の第2実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図13】本発明の第3実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図14】本発明の第4実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図15】本発明の第5実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図16】本発明の第6実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図17】本発明の第7実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図18】本発明の第8実施形態の説明に供する環境湿度と変位部材(フィラ)開き量の関係の一例を示す説明図である。
【図19】同実施形態の供給インク量算出処理の説明に供するフロー図である。
【図20】同実施形態における回復動作制御の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
【0016】
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0017】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0018】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0019】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0020】
また、キャリッジ33の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ33にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられて、これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ33の主走査位置(キャリッジ位置)や移動量を検出するようにしている。
【0021】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0022】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0023】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0025】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0026】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0027】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0028】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0029】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0031】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0032】
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドタンク35の1つのノズル列分の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
【0033】
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部202を形成するタンクケースであるタンク本体201を有している。このタンク本体201の開口部は可撓性部材である可撓性フィルム部材203で密閉してインク収容部202を形成し、タンク本体201内に配置した弾性部材としてバネ204によって可撓性フィルム部材203を常時外方へ付勢している。
【0034】
これにより、タンク本体201のフィルム部材203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンク本体201のインク収容部202内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0035】
また、タンク本体201の外側には、一端部側を支軸206で揺動可能に支持され、スプリング210によってタンク本体201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205がフィルム部材203に接着などで固定され、可撓性フィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。
【0036】
この変位部材205をキャリッジ33に設ける後述する第2検知手段(第2センサ)301や装置本体側に配置された後述する第1検知手段(第1センサ、満タン検知センサ)251などで検知することでヘッドタンク35内のインク残量や負圧などを検知することができる。
【0037】
また、タンク本体201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口部209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンク本体201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0038】
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になったことを検出することができる。
【0039】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系とヘッドタンクの変位部材を検知する検知手段の配置例について図5を参照して説明する。
【0040】
まず、インクカートリッジ(以下、「メインタンク」ともいう。)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ポンプユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。
【0041】
この送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプであり、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する送液動作と、ヘッドタンク35からメインタンク10にインクを戻す逆送動作とを行なえるようにしている。
【0042】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル板34Nのノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
【0043】
さらに、キャリッジ33には、変位部材205の第1検知部205Aを検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられ、装置本体側には変位部材205の第2検知部205Bを検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。これらの第1、第2センサ251、301の検知結果を使用してヘッドタンク35に対するインク供給動作を制御することができる。
【0044】
なお、上述した送液ポンプ241、吸引ポンプ812の駆動制御などの本発明に係る維持回復動作の制御は、制御部500によって行なわれる。
【0045】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
【0046】
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明に係る回復動作を制御する手段(回復制御手段)などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な記憶保持手段を兼ねる不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0047】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81(吸引ポンプ812を含む)の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体側に設けられた図示しない大気開放ソレノイド、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
【0048】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0049】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0050】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0051】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0052】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0053】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御、ヘッドタンク35に対するインク供給の制御などに使用する。
【0054】
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bのほか、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0055】
次に、このように構成した画像形成装置におけるヘッドタンク35の負圧形成動作について図7を参照して説明する。
【0056】
図7(a)に示すように、ヘッドタンク35にメインタンク10からインクを供給した後、上述したようにしてヘッドタンク35からインクを吸引し、あるいは、記録ヘッド34を駆動して滴吐出(画像形成に寄与しない液滴の吐出:空吐出)を行ない、ヘッドタンク35内のインク量を減少させることで、同図(b)に示すように、バネ204の付勢力に抗して可撓性フィルム部材203が内側に変位しようとし、バネ204の付勢力でヘッドタンク35内に負圧が発生する。
【0057】
さらに、送液ポンプ241にてヘッドタンク35内を吸引することで、可撓性フィルム部材203がヘッドタンク35の内方に引き込まれ、バネ204が更に圧縮されて負圧が高まる。なお、上述したように、記録ヘッド34からの吐出、あるいは吸引ポンプ812による吸引によっても、同様に負圧を高めることができる。
【0058】
この状態からヘッドタンク35内へインクを供給すると、可撓性フィルム部材203がヘッドタンク35の外方向に押し出されるので、バネ204が伸びて負圧が低下する。
【0059】
これらの動作を繰り返すことで、ヘッドタンク35内の負圧を一定内に保つよう制御することができる。
【0060】
すなわち、図8に示すように、ヘッドタンク35内の負圧はヘッドタンク35内のインク量と相関関係にあり、ヘッドタンク35内のインク量が多いとき、ヘッドタンク35内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、ヘッドタンク35内の負圧は大きく強くなる。そして、ヘッドタンク35内の負圧が弱すぎると記録ヘッド34からインクが漏液することになり、負圧が強すぎると記録ヘッド34から空気や塵を混入してしまい、吐出不良が生じやすくなる。
【0061】
そこで、ヘッドタンク35内の負圧が所定の負圧制御範囲A内に収まるヘッドタンク35内から排出するインク量(排インク量)Bの範囲内になるように、ヘッドタンク35に対するインク供給を制御するようにしている。
【0062】
次に、本発明の第1実施形態について図9ないし図11を参照して説明する。図9はヘッドタンクの変位部材の検知位置の説明に供する説明図、図10は変位部材の検知位置とヘッドタンク内圧力と排インク量の関係の説明に供する説明図、図11は制御部に回復動作制御の一例を示すフロー図である。
【0063】
まず、本実施形態において、ヘッドタンク35の変位部材205(第1センサ251で検知する第1検知部205A)は、変位方向に一定の厚み(幅)を有する部材である。ここで、変位部材205のタンク本体201側と反対側の外側端を第1検知位置205aとし、タンク本体201側の内側端を第2検知位置205bとする。
【0064】
また、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、ヘッドタンク35内の負圧が印刷時のインク供給上限位置に対応する負圧よりも低い圧力(負圧が小さい又は正圧)になるように、ヘッドタンク35及び第1センサ251が配置されているものとする。これにより、図10に示すように、変位部材205の第1検知位置205aと第2検知位置205bとの間で変位部材205が変位するように送液を制御することができる。
【0065】
そこで、図11を参照して、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、記録ヘッド34のノズル面を吸引キャップ82aでキャッピングする。そして、変位部材205(フロー図では「フィラ」と表記する。)の位置が、第1検知位置205aを検知する位置よりも多い位置であることを確認する。その後、吸引ポンプ812を駆動して、記録ヘッド34からインクを吸引排出させる。
【0066】
この吸引排出によって、ヘッドタンク35内のインクが消費されて変位部材205はタンク本体201側に変位する。
【0067】
ここで、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、送液ポンプ241を駆動してメインタンク10から当該回復動作を行っている記録ヘッド34のヘッドタンク35に対して送液させる。
【0068】
この送液動作により、ヘッドタンク35の液体残量が増加して変位部材205はタンク本体201から離れる方向に変位する。
【0069】
そして、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、送液ポンプ241の駆動を停止して送液を停止させる。
【0070】
その後、回復動作の終了か否かを判別し、回復動作の終了であれば、吸引ポンプ812の駆動を停止した後、吸引キャップ82aの離間、ワイピング、空吐出などの回復動作終了動作を行う。
【0071】
このようにして、回復動作を行っている間、ヘッドタンク35内に送液を行うことにより、ヘッドタンク35内の圧力を一定の圧力範囲内に維持してノズル回復動作を行うことができる。
【0072】
ここで、上記のような回復動作中の送液動作を行わない比較例について説明する。
【0073】
この場合、吸引ポンプ812によって記録ヘッド34からのインクの吸引排出を行なうと、ヘッドタンク35内の液体残量が減少することによって、ヘッドタンク35の負圧が高くなっていく。そして、ヘッドタンク35やヘッド34から吸引ポンプ812による吸引で、吸引キャップ82aとノズル面との間の密閉空間に印加できる負圧力にて吸引可能な一定量のインクを排出すると、ヘッドタンク35側の負圧が密閉空間内の負圧よりも高くなって、それ以上の吸引排出ができなくなり、気泡や塵など微少異物の吸引排除が困難になる。
【0074】
また、ヘッド34内の負圧が強いと、ヘッド内流路におけるインクの流動性が低下することになり、ヘッド34内にあるインクや微小異物などが停滞し、ノズルの回復性能が著しく低下する。
【0075】
そのため、一度の回復動作でノズルのノズル詰りが解消されなかった場合には、繰り返し回復動作を行う必要があり、結果的に、無駄なインク消費と多大なメンテナンス時間(回復動作に要する時間)を浪費してしまうことになる。
【0076】
これに対し、本実施形態のように構成することで、ヘッドタンク35及びヘッド34側の負圧が高くなることが防止されて、吸引ポンプによる吸引で、確実にヘッド内のインクを吸引排出させて、気泡や異物を排出でき、回復動作の回復性能が向上する。
【0077】
なお、図11の処理では、キャッピングの後に変位部材205の位置確認を行っているが、これは、第1センサ251のみによるON/OFF制御を行っている例によるもので、これに限らない。例えば、キャリッジ動作し、第2センサ301にて変位部材205の位置確認を行うこともでき、この場合は、当然にキャッピングの前に位置確認を行う処理をすることになる(キャッピングするとキャリッジの移動ができないため)。この点は、後述する第2実施形態移行も同様であるので、再説を省略する。
【0078】
ここで、第1検知位置及び第2検知位置とサブタンク内圧力との関係について説明する。
【0079】
まず、第1検知位置及び第2検知位置とサブタンク内圧力との関係は、第1センサ251の設置位置と、変位部材205の変位方向における厚み、形状により設定することができる。
【0080】
例えば、本実施形態では、第1センサ251で変位部材205の第2検知位置205bを検知したときには、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧である0kPa以上になるようにし、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、回復性能を考慮した所定の負圧下限値以上になるように設定している。
【0081】
この場合、例えば、各部品の耐圧性を考慮して、第1センサ251で変位部材205の第2検知位置205bを検知したときには、耐圧を考慮した正圧上限値になるように設定し、同じく第1検知位置205aを検知したときも、第2検知位置205bを検知したときよりも小さい正圧値になるように設定することもできる。
【0082】
次に、本発明の第2実施形態について図12に示すフロー図を参照して説明する。
【0083】
上述したように、変位部材205の第1検知位置205a、第2検知位置205bを第1センサ251で検知しながらノズル回復動作を行うため、ノズル回復動作を行う前に、変位部材205は第1センサ251によって検知できる位置にあることを確認する必要がある。言い換えれば、ヘッドタンク35内圧力が所定の圧力範囲内(所定の液体残量範囲内)にあることを確認する必要がある。
【0084】
そこで、本実施形態では、回復動作を開始する前(ここでは、キャッピングの前としているが、吸引開始前であればよい。)に、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放してヘッドタンク35内を大気圧にした後、大気開放機構207を閉じる。その後、前記第1実施形態と同様な処理を行っている。
【0085】
ヘッドタンク35内を大気開放することで、変位部材205は必ず大気開放に対応する位置に変位する。つまり、図9で言えば、変位部材205の第2検知位置205bが第1センサ251よりも左側(タンク本体201から離間する方向)に位置することになり、以後の吸引動作に伴う液体消費によって変位部材205がタンク本体201側に変位するので、第1検知位置205aを検知できる。
【0086】
次に、本発明の第3実施形態について図13の説明図を参照して説明する。
【0087】
本実施形態では、上記第2実施形態と同様な目的を達成するため、装置本体側の第2センサ301を使用している。
【0088】
つまり、図13に示すように、第2センサ301が変位部材205(第2検知部205B)を検知するまでキャリッジ33を移動し、第2センサ301にて変位部材205を検知したときのキャリッジ位置をキャリッジ用エンコーダ90によって検知する。そして、予め記憶しておいた、変位部材205を第1センサ251にて検知した状態で、第2センサ301にて変位部材205を検知したときのキャリッジ位置と検知した位置とを比較し、変位部材205が所定の圧力範囲となる位置にあるか確認する。
【0089】
次に、本発明の第4実施形態について図14のフロー図を参照して説明する。
【0090】
本実施形態では、ノズル回復動作を行う前に、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置にあるか否かを判別する。
【0091】
そして、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置にあるときには、送液ポンプ241を正転駆動して、変位部材205が第1センサ251で検知されるまで、例えば第2検知位置295bが検知されるまで(所定の圧力範囲内になるまで)、ヘッドタンク35に送液する。
【0092】
また、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置になければ、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過正圧の位置にあるか否かを判別する。
【0093】
そして、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過正圧の位置にあるときには、送液ポンプ241を逆転駆動して、変位部材205が第1センサ251で検知されるまで、例えば第2検知位置295bが検知されるまで(所定の圧力範囲内になるまで)、ヘッドタンク35からメインタンク10に逆送する。
【0094】
その後、回復動作を開始する(キャッピング或いは吸引動作を開始する)。
【0095】
これにより、回復動作中に、変位部材205の第1、第2検知位置205a、205bを第1センサ251で検知して、正しく送液動作を行うことができる。
【0096】
次に、回復動作中の吸引量(吸引流量)と送液量(供給流量)との関係について説明する。
【0097】
次に、本発明の第5実施形態について図15のフロー図を参照して説明する。
【0098】
上述したように、回復動作を行っているときに変位部材205を第1センサ251で検知、監視しながら送液ポンプ241を駆動して送液を行うことから、送液ポンプ241のインク供給流量は、吸引ポンプ812によるインク吸引流量よりも大きく(供給流量>吸引流量)している。
【0099】
そこで、本実施形態では、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知して送液ポンプ241を駆動し、送液を開始した後、変位部材205の第2検知位置205bを検知しない間に、予め定めた所定時間が経過したときには、送液ポンプ241の駆動を停止して送液を停止する。この場合には、図示しないが、インク供給動作不良を報知することが好ましい。
【0100】
ここで、所定時間は、第1検知位置205aから第2検知位置205bまでの差分のインク量に対し、送液ポンプ241の最小流量と吸引ポンプ812の最大流量の差分流量を割って算出することができる。
【0101】
つまり、所定時間≧((第2検知位置−第1検知位置)[mm]/インク量換算[cc/mm])/(送液ポンプ最小流量−吸引ポンプ最大流量)[cc/sec]、で得ることができる。
【0102】
次に、本発明の第6実施形態について図16のフロー図を参照して説明する。
【0103】
本実施形態では、回復動作初期の大気開放動作で、変位部材205は第2検知位置205b側が第1センサ251よりも図9で左側に位置している。したがって、吸引動作に伴って、変位部材205は、図9で矢印B方向に変位するので、第1センサ251の検知出力は、第2検知位置205bを検知したときに、変位部材205を検知していない状態(例えばOFF状態:検知)から変位部材205を検知する状態(例えばON状態:非検知)に遷移することになる。
【0104】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態から変位部材205を検知した状態に遷移したときに、送液ポンプ241を駆動する。
【0105】
このインク供給にて、変位部材205は液体残量が増加する方向(図9の矢印A方向)に変位することになる。
【0106】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知している状態から変位部材205を検知していない状態に遷移したときに、送液ポンプ241を停止する。
【0107】
このようにすれば、変位部材の一方の端部(第2検知位置205b)の検知のみで送液動作を制御することができる。
【0108】
次に、本発明の第7実施形態について図17のフロー図を参照して説明する。
【0109】
本実施形態では、回復動作初期の大気開放動作で、変位部材205は第2検知位置205b側が第1センサ251よりも図9で左側に位置している。したがって、吸引動作に伴って、変位部材205は、図9で矢印B方向に変位するので、第1センサ251の検知出力は、変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、変位部材205を検知していない状態(例えばOFF状態:検知)から変位部材205の検知する状態(例えばON状態:非検知)に遷移し、吸引動作が継続することで、再び、変位部材205の第1検知位置205a側で、変位部材205を検知していない状態に遷移することになる。
【0110】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態(非検知)から変位部材205を検知した状態(検知)に遷移し、更に変位部材205を検知していない状態(非検知)に遷移したときに、送液ポンプ241を駆動する。
【0111】
このインク供給にて、変位部材205は液体残量が増加する方向(図9の矢印A方向)に変位することになる。
【0112】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態から変位部材205を検知する状態に遷移したときに、送液ポンプ241を停止する。
【0113】
このようにすれば、変位部材の一方の端部(第1検知位置205a)の検知のみで送液動作を制御することができる。
【0114】
次に、本発明の第8実施形態について図18を参照して説明する。図18は環境湿度と変位部材(フィラ)開き量の関係の一例を示す説明図である。なお、フィラ開き量とは、変位部材がタンク本体から離れる方向(図9の矢印A方向)に変位するときの変位量を意味する。
【0115】
ヘッドタンク35の可撓性フィルム部材203は、温度、湿度、気圧などの装置の周囲環境によって伸縮特性が変化する。例えば、湿度の変化によりフィルム部材203が伸縮する場合、大気開放機構207にて大気開放したとき、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧になり、変位部材205がそれに伴い変位した位置は、湿度環境により異なる位置となる。
【0116】
具体的には、高湿時は、フィルム部材203が伸びることで、低湿時に比べ変位部材205はタンク本体201から離れる位置(図18の実線図示の位置)となり、低湿時は、フィルム状部材203が縮むことで、高湿時に比べ、変位部材205はタンク本体201側に近づく位置(図18の破線図示の位置)に変位する。
【0117】
そこで、第1センサ251にて検知したときの変位部材205の位置よりも、ヘッドタンク35内が大気圧になったときに変位した変位部材205の位置の方が、ヘッドタンク35のタンク本体201から離れる側に第1センサ251が設置されている場合の回復動作の一例について説明する。
【0118】
この場合、回復動作を行う前に、予めヘッドタンク35内の圧力が大気圧になったときの変位部材205の位置を第2センサ301にて検知してキャリッジ位置として記憶する。
【0119】
その後、送液ポンプ241にてインクを逆送することで、第1センサ251で変位部材205を検知し、その状態でキャリッジ33を移動して、第2センサ301にて検知した位置を記憶し、先に検知して記憶したヘッドタンク35内が大気圧になったときの変位部材205の位置との差分から、変位部材205が第1センサ251で検知された時点から大気圧になるまで(あるいは、所定のノズル回復用上限値圧力になるまで)のノズル回復動作中の供給インク量を算出する。
【0120】
そして、ノズル回復動作を行うときに、変位部材205を第1センサ251にて検知したとき送液ポンプ241を駆動し、上記算出したノズル回復動作中供給インク量分をインク供給したとき送液ポンプ241を停止する。
【0121】
このとき、第1センサ251で検知する変位部材205の位置は第1検知位置205a及び第2検知位置205bの予め定めたいずれか一方で行う。
【0122】
また、回復動作中に供給するインク量は、予め算出した回復動作中供給インク量に更に正圧力を強めるため、所定量分追加した量とすることもできる。
【0123】
また、回復動作中の送液ポンプ241の駆動制御は、回復動作中の供給インク量から送液ポンプ241の最大流量を考慮して算出した送液ポンプ駆動時間分、送液ポンプ241を駆動させる制御とすることもできる。
【0124】
この場合、[供給ポンプ駆動時間=回復動作中供給インク量/送液ポンプ最大流量]、で求められる。
【0125】
また、環境変化に対応した回復動作の他の例として、前述したように、湿度を検知する湿度センサを使用して、湿度変化に応じてインク供給量を変化させることもできる。
【0126】
例えば、所定の低湿環境で、第1センサ251にて、ヘッドタンク35内が所定の圧力となる変位部材205の第2検知位置251bを検知する場合、所定の低湿環境に比べ、湿度が上昇したことを検知したときには、回復動作を行うとき、第2検知位置205bを検知しても送液ポンプ241の駆動を止めず、湿度差分に合わせて予め定めた追加インク供給分を送液してから送液ポンプ241の駆動を停止する。
【0127】
これにより、湿度変化など環境変化に合わせて回復動作の適正なヘッドタンク内圧力の範囲内で回復動作を行うことができる。
【0128】
次に、この環境湿度の変化を反映した制御の一例について図19及び図20のフロー図を参照して説明する。
【0129】
まず、図19を参照して、供給インク量算出処理について説明する。この処理では、大気解放機構207を一旦開いてヘッドタンク35を大気開放した後、大気解放機構207を閉じる。
【0130】
その後、第2センサ301にて変位部材205の位置検知を行った後、送液ポンプ241を逆転駆動(メインタンク10側への吸引駆動=逆送)を行い、第1センサ251によって変位部材205を検知する。
【0131】
これにより、大気開放位置と第1センサ251が変位部材205を検知する位置との差分量が検出され、この差分量から供給インク量を算出する。
【0132】
そして、このときの周囲環境を記憶して供給インク量を保存する。
【0133】
次に、図20を参照して、環境変化により供給量を所定量分変更する処理を含む回復動作について第1検知位置にて制御する場合を例に説明する。
【0134】
まず、変位部材205の位置を確認した後、キャッビングを行う。そして、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別する。ここで、第1検知位置205aを検知したときには、環境変化が有るか否かを判別する。
【0135】
そしt、環境変化がなければ、送液ポンプ241を駆動して、前述した供給インク量分の送液を行って送液ポンプ241の駆動を停止する。これに対し、環境変化があれば、送液ポンプ241を駆動して、前述した供給インク量分に環境変化の補正量分を加算又は減算した量の送液を行って送液ポンプ241の駆動を停止する。
【0136】
その後、回復動作終了であれば、吸引ポンプ812を停止し、回復終了動作を行う。
【0137】
また、上記実施形態において、回復動作を行うとき、吸引ポンプ812によるインク吸引動作と、第1センサ251にて変位部材205を検知しながら、駆動する送液ポンプ241のインク供給動作とは、連続動作のみでなく、所定時間の間隔を開けて駆動する間欠駆動とし、ヘッド34内の圧力に起伏のある圧力変動を起して回復動作を行うようにすることもできる。
【0138】
以上のように、ヘッドタンク35の変位部材205をキャリッジ33に搭載された第1センサ251にて検知することで、ヘッドタンク35内の液体量を直接監視しながら、送液ポンプ241によって、ヘッドタンク35に液体を供給する制御を行う。
【0139】
これにより、回復動作を行うときに、吸引ポンプによってヘッドタンク内から液体が吸引排出されても、第1センサによって変位部材を検知し、送液ポンプにて液体を供給することで、液体の吸引排出量に応じてヘッドタンクやヘッド内の負圧が強まることなく、一定の所定圧で液体を吸引排出することが継続して可能となり、ヘッドのノズルからの液体排出流動性が悪くなることなく、ヘッド内にある液体や微小な異物などが停滞することなく、高い回復性能を得ることができる。
【0140】
以上のヘッドタンクに対する供給、排出動作を行うための各種制御(処理)は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【0141】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0142】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0143】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0144】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0145】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0146】
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 可撓性部材(可撓性フィルム部材)
205 変位部材(フィラ)
205a
251 第1センサ(検知手段)
301…第2センサ
500…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するサブタンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンク(サブタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、記録ヘッドのノズルからのインクの染み出しやダレを防止するために負圧を発生する負圧形成機能(機構)をヘッドタンクに持たせたものが知られている。
【0004】
このヘッドタンクは、インクを収容するインク収容部の一面を形成する撓むことが可能なフィルム部材と、フィルム部材を外方に付勢する弾性部材とを含む負圧形成手段を有し、液体残量に応じて変位する変位部材(検知部材、検知フィラともいう。)を有し、また、インク収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構を有して、インク収容部から記録ヘッドにインクを供給する構成となっている。
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドにあっては、ヘッド内に気泡が流入すると吐出する液滴の吐出方向が曲がり、あるいは、所要量の液滴を吐出できず、また吐出そのものが不可能になるなどの吐出不良が発生する。
【0006】
そこで、ヘッドの性能を維持回復するために、例えば、ヘッドのノズル面を吸引手段が接続された吸引キャップで密閉して、ノズルから液体を吸引排出させる吸引排出方式、あるいは、ヘッドに加圧した液体を供給してノズルから排出させる加圧供給方式、これらを併用した吸引加圧方式などによって、ヘッド内の気泡やその他の異物をノズルから液体とともに排出させることが行われている。
【0007】
例えば、インクタンクのインク液を加圧してインク液室にインクを送るための加圧手段と、キャップ部材を介して記録ヘッドに負圧を発生させる負圧発生手段と、加圧手段を制御する制御手段と、負圧発生手段により記録ヘッドの吸引回復を行う吸引回復手段を備え、吸引回復手段は、制御手段によりインク液室内のインクを負圧発生手段により可撓性の弁を閉めてインク液室内の負圧を蓄積した後に、加圧手段により可撓性の弁を開けてインク流路内のインクをインク液室に流れ込ませるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−17876
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述したように、負圧発生手段を含むヘッドタンクを備える液体吐出ヘッドユニットを使用する場合、吸引排出方式で回復動作を行なうと、吸引と共に負圧が強くなり、それと共に吸引が困難となり、空気や異物の排出を行うことができなくなる。そのため、再度回復動作を行うことになると、メンテナンス時間の浪費、インクの無駄な消費、及び排出した廃液を回収する廃液タンクの寿命が短くなる、という課題が生じる。
【0010】
一方、加圧供給方式の回復動作を行うためには、強い負圧及び強い正圧を流路内に印加することになり、各部品に耐圧性が求められる。また、インクタンクのインクを加圧して弁を開き流路に流し込む構成にあっては、加圧送液中はインクが大気圧に戻るのを防ぐため、圧力センサで検知しながら加圧手段を制御するものの、インクタンクや流路内の圧力を検知するのみで、直接ヘッドユニット内の圧力やインク量を把握していないため、適正なヘッドユニット内圧力の制御やインク量を制御できず、ノズル回復性能にバラツキが生じるという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヘッドタンクを有するヘッドに対する回復動作の回復性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記記録ヘッドのノズルから前記液体を吸引排出させて前記ノズルの吐出状態を回復する回復動作を行う回復手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは、液体残量に応じて負圧を発生する負圧発生手段と、液体残量に応じて変位する変位部材とを有し、
前記キャリッジには、前記変位部材を検知する検知手段が設けられ、
前記回復手段で前記回復動作を行うとき、前記検知手段による前記変位部材の変位の検知から前記送液手段による前記ヘッドタンクへの送液を制御し、
前記回復動作中は前記ヘッドタンク内の圧力を所定の範囲内に維持する
構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置によれば、ヘッドタンクを有するヘッドに対する回復動作の回復性能の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の説明に供する画像形成装置の機構部の側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正断面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図7】サブタンクの負圧形成動作の説明に供する模式的説明図である。
【図8】サブタンクの負圧管理の説明に供する説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態の説明に供するヘッドタンクの変位部材の検知位置の説明に供する説明図である。
【図10】同じく変位部材の検知位置とヘッドタンク内圧力と排インク量の関係の説明に供する説明図である。
【図11】同じく制御部に回復動作制御を示すフロー図である。
【図12】本発明の第2実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図13】本発明の第3実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図14】本発明の第4実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図15】本発明の第5実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図16】本発明の第6実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図17】本発明の第7実施形態における回復動作制御を示すフロー図である。
【図18】本発明の第8実施形態の説明に供する環境湿度と変位部材(フィラ)開き量の関係の一例を示す説明図である。
【図19】同実施形態の供給インク量算出処理の説明に供するフロー図である。
【図20】同実施形態における回復動作制御の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
【0016】
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0017】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0018】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0019】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0020】
また、キャリッジ33の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ33にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられて、これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ33の主走査位置(キャリッジ位置)や移動量を検出するようにしている。
【0021】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0022】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0023】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0025】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0026】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0027】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0028】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0029】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0031】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0032】
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドタンク35の1つのノズル列分の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
【0033】
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部202を形成するタンクケースであるタンク本体201を有している。このタンク本体201の開口部は可撓性部材である可撓性フィルム部材203で密閉してインク収容部202を形成し、タンク本体201内に配置した弾性部材としてバネ204によって可撓性フィルム部材203を常時外方へ付勢している。
【0034】
これにより、タンク本体201のフィルム部材203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンク本体201のインク収容部202内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0035】
また、タンク本体201の外側には、一端部側を支軸206で揺動可能に支持され、スプリング210によってタンク本体201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205がフィルム部材203に接着などで固定され、可撓性フィルム部材203の動きに連動して変位部材205が変位する。
【0036】
この変位部材205をキャリッジ33に設ける後述する第2検知手段(第2センサ)301や装置本体側に配置された後述する第1検知手段(第1センサ、満タン検知センサ)251などで検知することでヘッドタンク35内のインク残量や負圧などを検知することができる。
【0037】
また、タンク本体201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口部209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンク本体201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0038】
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になったことを検出することができる。
【0039】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系とヘッドタンクの変位部材を検知する検知手段の配置例について図5を参照して説明する。
【0040】
まず、インクカートリッジ(以下、「メインタンク」ともいう。)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ポンプユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。
【0041】
この送液ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆型ポンプであり、メインタンク10からヘッドタンク35にインクを供給する送液動作と、ヘッドタンク35からメインタンク10にインクを戻す逆送動作とを行なえるようにしている。
【0042】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル板34Nのノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク100に排出される。
【0043】
さらに、キャリッジ33には、変位部材205の第1検知部205Aを検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられ、装置本体側には変位部材205の第2検知部205Bを検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。これらの第1、第2センサ251、301の検知結果を使用してヘッドタンク35に対するインク供給動作を制御することができる。
【0044】
なお、上述した送液ポンプ241、吸引ポンプ812の駆動制御などの本発明に係る維持回復動作の制御は、制御部500によって行なわれる。
【0045】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
【0046】
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明に係る回復動作を制御する手段(回復制御手段)などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な記憶保持手段を兼ねる不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0047】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81(吸引ポンプ812を含む)の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体側に設けられた図示しない大気開放ソレノイド、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
【0048】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0049】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0050】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0051】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0052】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0053】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御、ヘッドタンク35に対するインク供給の制御などに使用する。
【0054】
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bのほか、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0055】
次に、このように構成した画像形成装置におけるヘッドタンク35の負圧形成動作について図7を参照して説明する。
【0056】
図7(a)に示すように、ヘッドタンク35にメインタンク10からインクを供給した後、上述したようにしてヘッドタンク35からインクを吸引し、あるいは、記録ヘッド34を駆動して滴吐出(画像形成に寄与しない液滴の吐出:空吐出)を行ない、ヘッドタンク35内のインク量を減少させることで、同図(b)に示すように、バネ204の付勢力に抗して可撓性フィルム部材203が内側に変位しようとし、バネ204の付勢力でヘッドタンク35内に負圧が発生する。
【0057】
さらに、送液ポンプ241にてヘッドタンク35内を吸引することで、可撓性フィルム部材203がヘッドタンク35の内方に引き込まれ、バネ204が更に圧縮されて負圧が高まる。なお、上述したように、記録ヘッド34からの吐出、あるいは吸引ポンプ812による吸引によっても、同様に負圧を高めることができる。
【0058】
この状態からヘッドタンク35内へインクを供給すると、可撓性フィルム部材203がヘッドタンク35の外方向に押し出されるので、バネ204が伸びて負圧が低下する。
【0059】
これらの動作を繰り返すことで、ヘッドタンク35内の負圧を一定内に保つよう制御することができる。
【0060】
すなわち、図8に示すように、ヘッドタンク35内の負圧はヘッドタンク35内のインク量と相関関係にあり、ヘッドタンク35内のインク量が多いとき、ヘッドタンク35内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、ヘッドタンク35内の負圧は大きく強くなる。そして、ヘッドタンク35内の負圧が弱すぎると記録ヘッド34からインクが漏液することになり、負圧が強すぎると記録ヘッド34から空気や塵を混入してしまい、吐出不良が生じやすくなる。
【0061】
そこで、ヘッドタンク35内の負圧が所定の負圧制御範囲A内に収まるヘッドタンク35内から排出するインク量(排インク量)Bの範囲内になるように、ヘッドタンク35に対するインク供給を制御するようにしている。
【0062】
次に、本発明の第1実施形態について図9ないし図11を参照して説明する。図9はヘッドタンクの変位部材の検知位置の説明に供する説明図、図10は変位部材の検知位置とヘッドタンク内圧力と排インク量の関係の説明に供する説明図、図11は制御部に回復動作制御の一例を示すフロー図である。
【0063】
まず、本実施形態において、ヘッドタンク35の変位部材205(第1センサ251で検知する第1検知部205A)は、変位方向に一定の厚み(幅)を有する部材である。ここで、変位部材205のタンク本体201側と反対側の外側端を第1検知位置205aとし、タンク本体201側の内側端を第2検知位置205bとする。
【0064】
また、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、ヘッドタンク35内の負圧が印刷時のインク供給上限位置に対応する負圧よりも低い圧力(負圧が小さい又は正圧)になるように、ヘッドタンク35及び第1センサ251が配置されているものとする。これにより、図10に示すように、変位部材205の第1検知位置205aと第2検知位置205bとの間で変位部材205が変位するように送液を制御することができる。
【0065】
そこで、図11を参照して、記録ヘッド34の回復動作を行うときには、記録ヘッド34のノズル面を吸引キャップ82aでキャッピングする。そして、変位部材205(フロー図では「フィラ」と表記する。)の位置が、第1検知位置205aを検知する位置よりも多い位置であることを確認する。その後、吸引ポンプ812を駆動して、記録ヘッド34からインクを吸引排出させる。
【0066】
この吸引排出によって、ヘッドタンク35内のインクが消費されて変位部材205はタンク本体201側に変位する。
【0067】
ここで、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、送液ポンプ241を駆動してメインタンク10から当該回復動作を行っている記録ヘッド34のヘッドタンク35に対して送液させる。
【0068】
この送液動作により、ヘッドタンク35の液体残量が増加して変位部材205はタンク本体201から離れる方向に変位する。
【0069】
そして、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したか否かを判別し、第1センサ251が変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、送液ポンプ241の駆動を停止して送液を停止させる。
【0070】
その後、回復動作の終了か否かを判別し、回復動作の終了であれば、吸引ポンプ812の駆動を停止した後、吸引キャップ82aの離間、ワイピング、空吐出などの回復動作終了動作を行う。
【0071】
このようにして、回復動作を行っている間、ヘッドタンク35内に送液を行うことにより、ヘッドタンク35内の圧力を一定の圧力範囲内に維持してノズル回復動作を行うことができる。
【0072】
ここで、上記のような回復動作中の送液動作を行わない比較例について説明する。
【0073】
この場合、吸引ポンプ812によって記録ヘッド34からのインクの吸引排出を行なうと、ヘッドタンク35内の液体残量が減少することによって、ヘッドタンク35の負圧が高くなっていく。そして、ヘッドタンク35やヘッド34から吸引ポンプ812による吸引で、吸引キャップ82aとノズル面との間の密閉空間に印加できる負圧力にて吸引可能な一定量のインクを排出すると、ヘッドタンク35側の負圧が密閉空間内の負圧よりも高くなって、それ以上の吸引排出ができなくなり、気泡や塵など微少異物の吸引排除が困難になる。
【0074】
また、ヘッド34内の負圧が強いと、ヘッド内流路におけるインクの流動性が低下することになり、ヘッド34内にあるインクや微小異物などが停滞し、ノズルの回復性能が著しく低下する。
【0075】
そのため、一度の回復動作でノズルのノズル詰りが解消されなかった場合には、繰り返し回復動作を行う必要があり、結果的に、無駄なインク消費と多大なメンテナンス時間(回復動作に要する時間)を浪費してしまうことになる。
【0076】
これに対し、本実施形態のように構成することで、ヘッドタンク35及びヘッド34側の負圧が高くなることが防止されて、吸引ポンプによる吸引で、確実にヘッド内のインクを吸引排出させて、気泡や異物を排出でき、回復動作の回復性能が向上する。
【0077】
なお、図11の処理では、キャッピングの後に変位部材205の位置確認を行っているが、これは、第1センサ251のみによるON/OFF制御を行っている例によるもので、これに限らない。例えば、キャリッジ動作し、第2センサ301にて変位部材205の位置確認を行うこともでき、この場合は、当然にキャッピングの前に位置確認を行う処理をすることになる(キャッピングするとキャリッジの移動ができないため)。この点は、後述する第2実施形態移行も同様であるので、再説を省略する。
【0078】
ここで、第1検知位置及び第2検知位置とサブタンク内圧力との関係について説明する。
【0079】
まず、第1検知位置及び第2検知位置とサブタンク内圧力との関係は、第1センサ251の設置位置と、変位部材205の変位方向における厚み、形状により設定することができる。
【0080】
例えば、本実施形態では、第1センサ251で変位部材205の第2検知位置205bを検知したときには、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧である0kPa以上になるようにし、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知したときには、回復性能を考慮した所定の負圧下限値以上になるように設定している。
【0081】
この場合、例えば、各部品の耐圧性を考慮して、第1センサ251で変位部材205の第2検知位置205bを検知したときには、耐圧を考慮した正圧上限値になるように設定し、同じく第1検知位置205aを検知したときも、第2検知位置205bを検知したときよりも小さい正圧値になるように設定することもできる。
【0082】
次に、本発明の第2実施形態について図12に示すフロー図を参照して説明する。
【0083】
上述したように、変位部材205の第1検知位置205a、第2検知位置205bを第1センサ251で検知しながらノズル回復動作を行うため、ノズル回復動作を行う前に、変位部材205は第1センサ251によって検知できる位置にあることを確認する必要がある。言い換えれば、ヘッドタンク35内圧力が所定の圧力範囲内(所定の液体残量範囲内)にあることを確認する必要がある。
【0084】
そこで、本実施形態では、回復動作を開始する前(ここでは、キャッピングの前としているが、吸引開始前であればよい。)に、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開放してヘッドタンク35内を大気圧にした後、大気開放機構207を閉じる。その後、前記第1実施形態と同様な処理を行っている。
【0085】
ヘッドタンク35内を大気開放することで、変位部材205は必ず大気開放に対応する位置に変位する。つまり、図9で言えば、変位部材205の第2検知位置205bが第1センサ251よりも左側(タンク本体201から離間する方向)に位置することになり、以後の吸引動作に伴う液体消費によって変位部材205がタンク本体201側に変位するので、第1検知位置205aを検知できる。
【0086】
次に、本発明の第3実施形態について図13の説明図を参照して説明する。
【0087】
本実施形態では、上記第2実施形態と同様な目的を達成するため、装置本体側の第2センサ301を使用している。
【0088】
つまり、図13に示すように、第2センサ301が変位部材205(第2検知部205B)を検知するまでキャリッジ33を移動し、第2センサ301にて変位部材205を検知したときのキャリッジ位置をキャリッジ用エンコーダ90によって検知する。そして、予め記憶しておいた、変位部材205を第1センサ251にて検知した状態で、第2センサ301にて変位部材205を検知したときのキャリッジ位置と検知した位置とを比較し、変位部材205が所定の圧力範囲となる位置にあるか確認する。
【0089】
次に、本発明の第4実施形態について図14のフロー図を参照して説明する。
【0090】
本実施形態では、ノズル回復動作を行う前に、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置にあるか否かを判別する。
【0091】
そして、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置にあるときには、送液ポンプ241を正転駆動して、変位部材205が第1センサ251で検知されるまで、例えば第2検知位置295bが検知されるまで(所定の圧力範囲内になるまで)、ヘッドタンク35に送液する。
【0092】
また、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過負圧の位置になければ、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過正圧の位置にあるか否かを判別する。
【0093】
そして、変位部材205の位置が所定の圧力範囲外となる過正圧の位置にあるときには、送液ポンプ241を逆転駆動して、変位部材205が第1センサ251で検知されるまで、例えば第2検知位置295bが検知されるまで(所定の圧力範囲内になるまで)、ヘッドタンク35からメインタンク10に逆送する。
【0094】
その後、回復動作を開始する(キャッピング或いは吸引動作を開始する)。
【0095】
これにより、回復動作中に、変位部材205の第1、第2検知位置205a、205bを第1センサ251で検知して、正しく送液動作を行うことができる。
【0096】
次に、回復動作中の吸引量(吸引流量)と送液量(供給流量)との関係について説明する。
【0097】
次に、本発明の第5実施形態について図15のフロー図を参照して説明する。
【0098】
上述したように、回復動作を行っているときに変位部材205を第1センサ251で検知、監視しながら送液ポンプ241を駆動して送液を行うことから、送液ポンプ241のインク供給流量は、吸引ポンプ812によるインク吸引流量よりも大きく(供給流量>吸引流量)している。
【0099】
そこで、本実施形態では、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知して送液ポンプ241を駆動し、送液を開始した後、変位部材205の第2検知位置205bを検知しない間に、予め定めた所定時間が経過したときには、送液ポンプ241の駆動を停止して送液を停止する。この場合には、図示しないが、インク供給動作不良を報知することが好ましい。
【0100】
ここで、所定時間は、第1検知位置205aから第2検知位置205bまでの差分のインク量に対し、送液ポンプ241の最小流量と吸引ポンプ812の最大流量の差分流量を割って算出することができる。
【0101】
つまり、所定時間≧((第2検知位置−第1検知位置)[mm]/インク量換算[cc/mm])/(送液ポンプ最小流量−吸引ポンプ最大流量)[cc/sec]、で得ることができる。
【0102】
次に、本発明の第6実施形態について図16のフロー図を参照して説明する。
【0103】
本実施形態では、回復動作初期の大気開放動作で、変位部材205は第2検知位置205b側が第1センサ251よりも図9で左側に位置している。したがって、吸引動作に伴って、変位部材205は、図9で矢印B方向に変位するので、第1センサ251の検知出力は、第2検知位置205bを検知したときに、変位部材205を検知していない状態(例えばOFF状態:検知)から変位部材205を検知する状態(例えばON状態:非検知)に遷移することになる。
【0104】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態から変位部材205を検知した状態に遷移したときに、送液ポンプ241を駆動する。
【0105】
このインク供給にて、変位部材205は液体残量が増加する方向(図9の矢印A方向)に変位することになる。
【0106】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知している状態から変位部材205を検知していない状態に遷移したときに、送液ポンプ241を停止する。
【0107】
このようにすれば、変位部材の一方の端部(第2検知位置205b)の検知のみで送液動作を制御することができる。
【0108】
次に、本発明の第7実施形態について図17のフロー図を参照して説明する。
【0109】
本実施形態では、回復動作初期の大気開放動作で、変位部材205は第2検知位置205b側が第1センサ251よりも図9で左側に位置している。したがって、吸引動作に伴って、変位部材205は、図9で矢印B方向に変位するので、第1センサ251の検知出力は、変位部材205の第2検知位置205bを検知したときに、変位部材205を検知していない状態(例えばOFF状態:検知)から変位部材205の検知する状態(例えばON状態:非検知)に遷移し、吸引動作が継続することで、再び、変位部材205の第1検知位置205a側で、変位部材205を検知していない状態に遷移することになる。
【0110】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態(非検知)から変位部材205を検知した状態(検知)に遷移し、更に変位部材205を検知していない状態(非検知)に遷移したときに、送液ポンプ241を駆動する。
【0111】
このインク供給にて、変位部材205は液体残量が増加する方向(図9の矢印A方向)に変位することになる。
【0112】
そこで、第1センサ251の検知出力が変位部材205を検知していない状態から変位部材205を検知する状態に遷移したときに、送液ポンプ241を停止する。
【0113】
このようにすれば、変位部材の一方の端部(第1検知位置205a)の検知のみで送液動作を制御することができる。
【0114】
次に、本発明の第8実施形態について図18を参照して説明する。図18は環境湿度と変位部材(フィラ)開き量の関係の一例を示す説明図である。なお、フィラ開き量とは、変位部材がタンク本体から離れる方向(図9の矢印A方向)に変位するときの変位量を意味する。
【0115】
ヘッドタンク35の可撓性フィルム部材203は、温度、湿度、気圧などの装置の周囲環境によって伸縮特性が変化する。例えば、湿度の変化によりフィルム部材203が伸縮する場合、大気開放機構207にて大気開放したとき、ヘッドタンク35内の圧力が大気圧になり、変位部材205がそれに伴い変位した位置は、湿度環境により異なる位置となる。
【0116】
具体的には、高湿時は、フィルム部材203が伸びることで、低湿時に比べ変位部材205はタンク本体201から離れる位置(図18の実線図示の位置)となり、低湿時は、フィルム状部材203が縮むことで、高湿時に比べ、変位部材205はタンク本体201側に近づく位置(図18の破線図示の位置)に変位する。
【0117】
そこで、第1センサ251にて検知したときの変位部材205の位置よりも、ヘッドタンク35内が大気圧になったときに変位した変位部材205の位置の方が、ヘッドタンク35のタンク本体201から離れる側に第1センサ251が設置されている場合の回復動作の一例について説明する。
【0118】
この場合、回復動作を行う前に、予めヘッドタンク35内の圧力が大気圧になったときの変位部材205の位置を第2センサ301にて検知してキャリッジ位置として記憶する。
【0119】
その後、送液ポンプ241にてインクを逆送することで、第1センサ251で変位部材205を検知し、その状態でキャリッジ33を移動して、第2センサ301にて検知した位置を記憶し、先に検知して記憶したヘッドタンク35内が大気圧になったときの変位部材205の位置との差分から、変位部材205が第1センサ251で検知された時点から大気圧になるまで(あるいは、所定のノズル回復用上限値圧力になるまで)のノズル回復動作中の供給インク量を算出する。
【0120】
そして、ノズル回復動作を行うときに、変位部材205を第1センサ251にて検知したとき送液ポンプ241を駆動し、上記算出したノズル回復動作中供給インク量分をインク供給したとき送液ポンプ241を停止する。
【0121】
このとき、第1センサ251で検知する変位部材205の位置は第1検知位置205a及び第2検知位置205bの予め定めたいずれか一方で行う。
【0122】
また、回復動作中に供給するインク量は、予め算出した回復動作中供給インク量に更に正圧力を強めるため、所定量分追加した量とすることもできる。
【0123】
また、回復動作中の送液ポンプ241の駆動制御は、回復動作中の供給インク量から送液ポンプ241の最大流量を考慮して算出した送液ポンプ駆動時間分、送液ポンプ241を駆動させる制御とすることもできる。
【0124】
この場合、[供給ポンプ駆動時間=回復動作中供給インク量/送液ポンプ最大流量]、で求められる。
【0125】
また、環境変化に対応した回復動作の他の例として、前述したように、湿度を検知する湿度センサを使用して、湿度変化に応じてインク供給量を変化させることもできる。
【0126】
例えば、所定の低湿環境で、第1センサ251にて、ヘッドタンク35内が所定の圧力となる変位部材205の第2検知位置251bを検知する場合、所定の低湿環境に比べ、湿度が上昇したことを検知したときには、回復動作を行うとき、第2検知位置205bを検知しても送液ポンプ241の駆動を止めず、湿度差分に合わせて予め定めた追加インク供給分を送液してから送液ポンプ241の駆動を停止する。
【0127】
これにより、湿度変化など環境変化に合わせて回復動作の適正なヘッドタンク内圧力の範囲内で回復動作を行うことができる。
【0128】
次に、この環境湿度の変化を反映した制御の一例について図19及び図20のフロー図を参照して説明する。
【0129】
まず、図19を参照して、供給インク量算出処理について説明する。この処理では、大気解放機構207を一旦開いてヘッドタンク35を大気開放した後、大気解放機構207を閉じる。
【0130】
その後、第2センサ301にて変位部材205の位置検知を行った後、送液ポンプ241を逆転駆動(メインタンク10側への吸引駆動=逆送)を行い、第1センサ251によって変位部材205を検知する。
【0131】
これにより、大気開放位置と第1センサ251が変位部材205を検知する位置との差分量が検出され、この差分量から供給インク量を算出する。
【0132】
そして、このときの周囲環境を記憶して供給インク量を保存する。
【0133】
次に、図20を参照して、環境変化により供給量を所定量分変更する処理を含む回復動作について第1検知位置にて制御する場合を例に説明する。
【0134】
まず、変位部材205の位置を確認した後、キャッビングを行う。そして、第1センサ251で変位部材205の第1検知位置205aを検知したか否かを判別する。ここで、第1検知位置205aを検知したときには、環境変化が有るか否かを判別する。
【0135】
そしt、環境変化がなければ、送液ポンプ241を駆動して、前述した供給インク量分の送液を行って送液ポンプ241の駆動を停止する。これに対し、環境変化があれば、送液ポンプ241を駆動して、前述した供給インク量分に環境変化の補正量分を加算又は減算した量の送液を行って送液ポンプ241の駆動を停止する。
【0136】
その後、回復動作終了であれば、吸引ポンプ812を停止し、回復終了動作を行う。
【0137】
また、上記実施形態において、回復動作を行うとき、吸引ポンプ812によるインク吸引動作と、第1センサ251にて変位部材205を検知しながら、駆動する送液ポンプ241のインク供給動作とは、連続動作のみでなく、所定時間の間隔を開けて駆動する間欠駆動とし、ヘッド34内の圧力に起伏のある圧力変動を起して回復動作を行うようにすることもできる。
【0138】
以上のように、ヘッドタンク35の変位部材205をキャリッジ33に搭載された第1センサ251にて検知することで、ヘッドタンク35内の液体量を直接監視しながら、送液ポンプ241によって、ヘッドタンク35に液体を供給する制御を行う。
【0139】
これにより、回復動作を行うときに、吸引ポンプによってヘッドタンク内から液体が吸引排出されても、第1センサによって変位部材を検知し、送液ポンプにて液体を供給することで、液体の吸引排出量に応じてヘッドタンクやヘッド内の負圧が強まることなく、一定の所定圧で液体を吸引排出することが継続して可能となり、ヘッドのノズルからの液体排出流動性が悪くなることなく、ヘッド内にある液体や微小な異物などが停滞することなく、高い回復性能を得ることができる。
【0140】
以上のヘッドタンクに対する供給、排出動作を行うための各種制御(処理)は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【0141】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0142】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0143】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0144】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0145】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0146】
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 可撓性部材(可撓性フィルム部材)
205 変位部材(フィラ)
205a
251 第1センサ(検知手段)
301…第2センサ
500…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記記録ヘッドのノズルから前記液体を吸引排出させて前記ノズルの吐出状態を回復する回復動作を行う回復手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは、液体残量に応じて負圧を発生する負圧発生手段と、液体残量に応じて変位する変位部材とを有し、
前記キャリッジには、前記変位部材を検知する検知手段が設けられ、
前記回復手段で前記回復動作を行うとき、前記検知手段による前記変位部材の変位の検知から前記送液手段による前記ヘッドタンクへの送液を制御し、
前記回復動作中は前記ヘッドタンク内の圧力を所定の範囲内に維持する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変位部材は第1検知位置と第2検知位置を有し、
前記第1検知位置は前記ヘッドタンクの液体残量が少なくなる側の位置であり、前記第2検知位置は前記ヘッドタンクの液体残量が多くなる側の位置であり、
前記検知手段が前記変位部材の前記第1検知位置を検知したときに前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段が前記変位部材の前記第2検知位置を検知したときに前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヘッドタンクへの送液を開始した後、予め定めた所定時間が経過しても前記変位部材の前記第2検知位置を検知しないときには、前記ヘッドタンクへの送液を停止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段が前記変位部材の第2検知位置を検知したときの前記ヘッドタンク内の圧力が大気圧以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第1検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が少ない位置であるときには、前記検知手段が前記変位部材の前記第2位置を検知するまで、前記ヘッドタンクに対して送液することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回復動作を行っているときの前記送液手段による送液量は吸引排出量よりも多いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第2検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が多い位置とし、
前記回復動作を行うとき、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から検知した状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知した状態から前記変位部材を検知しない状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第2検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が多い位置とし、
前記回復動作を行うとき、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から検知した状態に遷移し、更に前記変位部材を検知していない状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から前記変位部材を検知した状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ヘッドタンクへの送液を停止するとき、予め定めた所定量の送液を継続した後、送液を停止することを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定量は、装置の環境湿度に応じて変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するヘッドタンクと、
前記記録ヘッド及び前記ヘッドタンクを搭載したキャリッジと、
前記ヘッドタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクへの液体供給を行う送液手段と、
前記記録ヘッドのノズルから前記液体を吸引排出させて前記ノズルの吐出状態を回復する回復動作を行う回復手段と、を備え、
前記ヘッドタンクは、液体残量に応じて負圧を発生する負圧発生手段と、液体残量に応じて変位する変位部材とを有し、
前記キャリッジには、前記変位部材を検知する検知手段が設けられ、
前記回復手段で前記回復動作を行うとき、前記検知手段による前記変位部材の変位の検知から前記送液手段による前記ヘッドタンクへの送液を制御し、
前記回復動作中は前記ヘッドタンク内の圧力を所定の範囲内に維持する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変位部材は第1検知位置と第2検知位置を有し、
前記第1検知位置は前記ヘッドタンクの液体残量が少なくなる側の位置であり、前記第2検知位置は前記ヘッドタンクの液体残量が多くなる側の位置であり、
前記検知手段が前記変位部材の前記第1検知位置を検知したときに前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段が前記変位部材の前記第2検知位置を検知したときに前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヘッドタンクへの送液を開始した後、予め定めた所定時間が経過しても前記変位部材の前記第2検知位置を検知しないときには、前記ヘッドタンクへの送液を停止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段が前記変位部材の第2検知位置を検知したときの前記ヘッドタンク内の圧力が大気圧以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第1検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が少ない位置であるときには、前記検知手段が前記変位部材の前記第2位置を検知するまで、前記ヘッドタンクに対して送液することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回復動作を行っているときの前記送液手段による送液量は吸引排出量よりも多いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第2検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が多い位置とし、
前記回復動作を行うとき、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から検知した状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知した状態から前記変位部材を検知しない状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回復動作を開始する前に、前記変位部材の位置が前記検知手段で前記第2検知位置が検知される位置よりも前記ヘッドタンクの液体残量が多い位置とし、
前記回復動作を行うとき、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から検知した状態に遷移し、更に前記変位部材を検知していない状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を行い、
前記検知手段の検知出力が、前記変位部材を検知していない状態から前記変位部材を検知した状態に遷移したときに、前記ヘッドタンクへの送液を停止する
ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ヘッドタンクへの送液を停止するとき、予め定めた所定量の送液を継続した後、送液を停止することを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定量は、装置の環境湿度に応じて変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−59899(P2013−59899A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199314(P2011−199314)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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