説明

画像形成装置

【課題】搬送ベルトから浮いた記録媒体が液滴吐出ヘッドに接触して液滴吐出ヘッドを損傷することを防止することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】用紙Pが搬送ベルト43から浮いたことを検知する浮き検知手段80と、搬送ベルト43から浮いた用紙Pを、インク吐出領域を通過しない浮き用紙搬送経路81に案内する浮き用紙案内部材82と、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したとき、吸引ファン44が発生する吸着力を低下させるCPUと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッドを有するヘッドアレイに記録媒体を搬送して液滴を吐出して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、複数個の液滴吐出ヘッドを千鳥状に配設することにより、記録媒体の幅方向(記録媒体搬送方向と直交する方向)の印字に対応するために長尺のヘッドアレイを構成し、このように構成されたヘッドアレイを記録媒体の長さ方向(記録媒体搬送方向)に複数配置することによってアレイユニット化して、記録媒体をOne−Passで搬送して液滴を吐出して画像形成を実現するラインヘッドアレイ構成の画像形成装置が知られている。
【0003】
このように構成された画像形成装置においては、高画質化、高速化の要求に対応するために、液滴吐出ヘッドと記録媒体間のギャップ間距離は、非常に狭いギャップ距離(例えば、1mm)に設定する必要がある。このため、液滴吐出ヘッドと記録媒体間のギャップ間距離よりも、搬送される記録媒体がカール、耳折れ、浮き等によりその厚さ方向に大きくなると、高速で搬送されてきた記録媒体が液滴吐出ヘッドに衝突したり、液滴吐出ヘッドのノズル面に接触することにより、異常画像を発生させるという問題があった。
【0004】
そこで、この種の画像形成装置としては、光学検知手段により記録媒体の浮きを検知する構成とすることにより、光学検知手段による記録媒体の検知後に液滴吐出ヘッドへの記録媒体の接触を防止するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載のものは、高速化要求により高速回転している搬送ベルトを即停止させることは非常に難しく、浮いた記録媒体とノズル面の接触時間を低減することはできても完全に接触を防止することはできないという問題があった。
【0006】
また、液滴吐出ヘッドを高速で記録媒体から離間させると液滴吐出ヘッドに振動や衝撃が加わり、液滴吐出ヘッドのメニスカスが破壊され、メンテナンスを行う必要が発生という問題や、高速回転している搬送ベルトより先に液滴吐出ヘッドを離間させる機構を設けることは、配置スペースおよびコストの面で難しいという問題があった。さらに、記録媒体の吸着力を増加させる制御は、記録媒体のカール状態(例えば、用紙の先端が完全に丸まっている場合等)によっては記録媒体のカールした部分を搬送ベルトに吸引できないため、実施困難であるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、搬送ベルトから浮いた記録媒体が液滴吐出ヘッドに接触して液滴吐出ヘッドを損傷することを防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、記録媒体に向けてインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録する液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドのインク吐出領域を前記記録媒体が通過するように、その表面が移動することにより前記記録媒体を搬送する搬送ベルトと、吸着力を発生して前記搬送ベルトに前記記録媒体を吸着させる吸着手段と、を備えた画像形成装置において、前記記録媒体が前記搬送ベルトから浮いたことを検知する浮き検知手段と、前記搬送ベルトから浮いた記録媒体を、前記インク吐出領域を通過しない浮き用紙搬送経路に案内する浮き用紙案内部材と、前記浮き検知手段が前記記録媒体の浮きを検知したとき、前記吸着手段が発生する吸着力を低下させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送ベルトから浮いた記録媒体が液滴吐出ヘッドに接触して液滴吐出ヘッドを損傷することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の搬送ユニットにおいて用紙が搬送ベルトにより吸引および搬送されながら画像形成される状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の搬送ユニットにおいて液滴吐出ヘッドと搬送ベルトのギャップ距離より大きなカールが用紙の先端部に発生した状態を示す図である。
【図5】図4の用紙の先端部の状態を示す拡大図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の搬送ユニットにおいて浮き検知手段を設けた状態を示す図である。
【図7】浮き検知手段の検知原理を示す図である。
【図8】(a)は、浮き用紙案内部材の斜視図であり、(b)は、浮き用紙案内部材の側面図である。
【図9】浮き用紙案内部材と搬送ベルト、液滴吐出ヘッドと搬送ベルトのギャップの関係を示す図である。
【図10】浮き用紙案内部材上に用紙搬送駆動機構を配置した構成を示す図である。
【図11】用紙搬送駆動機構の制御を示す図である。
【図12】浮き検知手段による検知に応じた吸引ファンの駆動制御を説明する図である。
【図13】浮き検知手段による検知に応じた吸引ファンの駆動制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1〜図3に示すように、画像形成装置100はライン型画像形成装置として構成されており、装置本体1と、用紙Pを積載し給紙する給紙トレイ2と、印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイ3と、用紙Pを給紙トレイ2から排紙トレイ3まで搬送する搬送ユニット4と、搬送ユニット4によって搬送される用紙Pに液滴を吐出し印字するヘッドアレイユニット5と、印刷終了後または所要のタイミングでヘッドアレイユニット5の各ヘッドの維持回復を行う維持回復機構であるクリーニング装置6とを備えている。
【0013】
装置本体1は、図示しない前後側板およびステー等で構成されており、給紙トレイ2上に積載されている用紙Pは、分離ローラ21および給紙ローラ22によって1枚ずつ搬送ユニット4に給紙される。搬送ユニット4は、搬送駆動ローラ41aおよび搬送従動ローラ41bと、これら搬送駆動ローラ41aと搬送従動ローラ41bの間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。
【0014】
この搬送ベルト43の表面には複数の図示しない穴が形成されており、搬送ベルト43の下部には用紙Pを吸引する吸引ファン44が配置されている。
【0015】
また、搬送駆動ローラ41a、搬送従動ローラ41b上部には、それぞれ搬送ガイドローラ42a、42bが図示しないガイドに保持されて、自重にて搬送ベルト43に当接している。
【0016】
搬送駆動ローラ41aは図示しないモータにより回転されることで搬送ベルト43が周回移動し、用紙Pは搬送ベルト43上に吸引ファン44により吸い付けられ、搬送ベルト43の周回移動によって搬送される。なお、搬送従動ローラ41b、搬送ガイドローラ42a、42bは搬送ベルト43に従動して回転する。
【0017】
搬送ユニット4の上部には、用紙Pに液滴(インク)を吐出して用紙Pに画像を形成する液滴吐出ヘッド101で構成されるヘッドアレイユニット5が矢印A方向に移動可能に配置されている。搬送ベルト43は、液滴吐出ヘッド101のインク吐出領域を用紙Pが通過するように、その表面が無端移動することにより用紙Pを搬送するようになっている。また、ヘッドアレイユニット5は、維持回復動作時(クリーニング時)にはクリーニング装置6上方までスライド移動するようになっている。なお、本実施の形態では、無端状の搬送ベルト43をその表面が無端移動するように構成しているが、これに限らず、例えば、搬送ベルト43を、2つのローラの一方により巻き出して他方のローラにより巻き取るように構成し、これら2つのローラの回転によりその表面が移動するようにしてもよい。
【0018】
ヘッドアレイユニット5は、「1色当たり液滴を吐出する千鳥状に配列された6個の液滴吐出ヘッド101とベース部材103で構成されるヘッドアレイ51」を少なくとも1つ用紙のほぼ全幅にわたって装置本体1の図示しない測板等へ固定配置されて構成される。
【0019】
本実施の形態においては、4つのヘッドアレイ51を備えており、用紙搬送方向上流側から、第1列(a列ともいう。)はヘッドアレイ51a1、第2列(b列ともいう。)はヘッドアレイ51b1、第3列(c列ともいう。)はヘッドアレイ51c1、第4列(d列ともいう。)はヘッドアレイ51d1となる。以下、これらの列を区別しないときは、単にヘッドアレイ51という。なお、本実施の形態においては、1色当たり液滴吐出ヘッド101は6個にて1ラインを構成しているが、6個に限定されるものではない。
【0020】
ヘッドアレイ51は、各色イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の液滴を吐出させるようにして、1ライン分の画像を形成できるようにしている。
【0021】
このヘッドアレイユニット5は、各ヘッドアレイ51の上方に、各ヘッドアレイ51に所要の色のインクを供給する分配器であるディストリビュータ52a〜52dが配置され、ディストリビュータ52とヘッドアレイ51間は供給チューブ53にて接続されている。
【0022】
ディストリビュータ52の上流側にはサブタンク54が配置され、水頭差によりインクがヘッドアレイ51のヘッドに供給される。さらに、サブタンク54の上流側には図示しないインクメインタンクが配置され、いずれも供給チューブを介してインクが供給される。
【0023】
搬送ユニット4の下流側には用紙Pを排紙トレイ3に排紙する搬送ガイド7が設けられている。搬送ガイド7にて案内されて搬送される用紙Pは排紙トレイ3に排紙される。排紙トレイ3は、用紙Pの幅方向を規制する対のサイドフェンス31と用紙Pの先端を規制するエンドフェンス32を備えている。
【0024】
クリーニング装置6は、ヘッドアレイユニット5の第1ないし第2列の各ヘッドアレイ51に対応して、それぞれのクリーニング手段61a1〜61d1、が千鳥状に配置されている。なお、クリーニング装置6の各部の表記についてもヘッドアレイユニット5の場合と同様とする。それぞれのクリーニング手段61の下部にはヘッドアレイ51のヘッドからインクを吸引するための吸引ポンプ62(62a、62b)が配置されている。
【0025】
また、この画像形成装置においては、印刷終了後、液滴を吐出するヘッドアレイ51の液滴吐出ヘッド101をクリーニング手段61でキャッピングした状態でノズルからインクを吸引する場合、あるいは、ヘッドアレイ51のヘッドのノズル面に付着したインクをクリーニング手段61で清掃する場合は、印刷停止後、搬送ユニット4全体が搬送従動ローラ41bを支点に図1で矢印B方向に回動し、ヘッドアレイユニット5との間の空間を画像形成時よりも大きくすることで、ヘッドアレイユニット5の移動スペースを確保するようにしている。このとき、クリーニング装置6上部に配置されている搬送ガイド7も支点71にて矢印C方向上方に回動され、クリーニング装置6の上方が開放される。
【0026】
そして、搬送ユニット4と搬送ガイド7がそれぞれ解放(解除)された後に、ヘッドアレイユニット5が用紙通紙方向(矢印A方向)に移動し、クリーニング装置6上方で停止され、クリーニング手段61が上昇して各ヘッドアレイ51のヘッドのクリーニング動作(維持回復動作)に移行する。
【0027】
図3は、用紙Pが吸引ファン44にて吸着力F1で保持されつつ搬送ベルト43にて搬送され、ヘッドアレイ51に千鳥状に配列された液滴吐出ヘッド101にて、画像を形成する概念図を示す。
【0028】
図3に示すように、搬送ユニット4において、用紙Pは、搬送ベルト43の回転により、用紙P搬送方向(矢印方向)に搬送されるようになっている。このとき、用紙Pが搬送ベルト43より、浮き上らないようにするため、搬送ユニット4の直下に配置した複数の吸引ファン44からなる吸引ファン群45を駆動させ、吸引ファン44が吸い込むエアーの吸着力によって、用紙Pを搬送ベルト43の方向に保持させるようになっている。
【0029】
図4は、液滴吐出ヘッド101と搬送ベルト43のギャップ距離より大きなカールが用紙Pの先端部に発生した場合を示す。
【0030】
図4に示すように、搬送ユニット4において、液滴吐出ヘッド101と搬送ベルト43のギャップ距離より、大きなカールが用紙Pの先端部に発生した場合、先端部のカールを矯正することは難しい。この理由は、図5に拡大図を示すように、搬送ベルト43の表面に開けられた図示しない無数の穴の位置と、カールした用紙Pの先端の位置がズレて搬送されている場合は、カールした用紙Pの位置を吸引できないためである。
【0031】
よって、液滴吐出ヘッド101と搬送ベルト43のギャップ距離より、大きなカールが用紙Pの先端部に発生した状態で液滴吐出ヘッド101に搬送されるので、液滴吐出ヘッド101に用紙Pが衝突するか、または、液滴吐出ヘッド101のノズル面を用紙Pが擦傷することによって、液滴吐出ヘッド101が破損し、結果として正常な画像形成ができなくなることがある。
【0032】
図6に示すように、搬送ユニット4においては、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知した後、吸引ファン44を制御して用紙Pが搬送ベルト43に保持される吸着力を低減させる。これにより、用紙Pの浮きが増長される。そこで、液滴吐出ヘッド101より搬送経路上の上流側に配置された浮き用紙案内部材82により、この浮き用紙案内部材82の上部に形成された浮き用紙搬送経路81側に、浮きを増長させた用紙Pを案内させることにより、浮いた用紙Pが液滴吐出ヘッド101に衝突することを防止するようになっている。
【0033】
すなわち、本実施の形態では、搬送ベルト43から浮いた用紙Pが液滴吐出ヘッド101と接触して液滴吐出ヘッド101に傷を着けるのを防止するために、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したら、用紙Pの浮きを増長させて搬送ベルト43の搬送面から用紙Pを浮き上らせて、この用紙Pを液滴吐出ヘッド101の用紙搬送方向上流側に設けた浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に誘導する構成とすることにより、搬送ベルト43から浮いた用紙Pが液滴吐出ヘッド101の下に進入して液滴吐出ヘッド101に傷を着けるのを防止するようになっている。
【0034】
浮き検知手段80は、図2に示すように、一対の受光部80aと投光部80bからなる光学センサとして構成されており、用紙Pの厚さを検知するようになっている。浮き検知手段80を構成する受光部80aと投光部80bは、液滴吐出ヘッド101より上流側でかつ搬送ガイドローラ42bの下流側に設置されており、給紙機構から用紙Pが給紙されて搬送ベルト43に搬送されてからの用紙Pの浮きを検知できるように設置されている。この浮き検知手段80は、図示しない本体測板に、位置ズレや振動が発生しない様に高精度に位置決めされて取り付けられている。
【0035】
なお、図2では、浮き検知手段80は、一対の受光部80aと投光部80bからなる光学センサとして構成されているが、受光部80aと投光部80bを複数対設置するための設置スペースが十分に確保できるのであれば、浮き検知手段80を複数対の受光部80aと投光部80bから構成するようにしてもよい。
【0036】
浮き検知手段80の検知原理を説明する。図7に示すように、投光部80bから投光されて受光センサとしての受光部80aに受光された光は、受光部80aの後段に接続されている図示しない制御回路によって受光量に比例した電圧値に変換され、コンパレータ91に出力されるようになっている。
【0037】
コンパレータ91には閾値となる電圧値が入力されており、コンパレータ91に入力された電圧値と、受光部80aから入力された電圧値と比較することにより、用紙浮きの判断を行うようになっている。
【0038】
用紙Pに浮きが発生した場合には、浮き検知手段80において、投光部80bから投光された光が用紙Pの浮きにより遮蔽されるため、受光部80aの受光量が低下する。この場合、コンパレータ91に入力された閾値よりも受光量から変換された電圧値が低くなるため、コンパレータ91は、デジタル信号のHigh信号を後段のCPU92に対して出力するようになっている。一方、用紙浮きが無い場合には、コンパレータ91は、デジタル信号のLow信号を後段のCPU92に出力するようになっている。CPU92は、コンパレータ91からのHigh信号を受けると用紙Pに浮きが発生したと判断し、吸着力が弱くなるように吸引ファン44に吸引制御指令を出すようになっている。
【0039】
図8(a)、図8(b)に示すように、浮き用紙案内部材82は、搬送ベルト43に対して液滴吐出ヘッド101側の用紙搬送方向上流側に設けられている。浮き用紙案内部材82は、浮いた用紙Pをその上部の浮き用紙搬送経路81に案内するとともに、搬送されてきた用紙Pの除去をし易いように用紙Pがストック可能な構造となっている。浮き用紙案内部材82は、取り付け穴83を図示しない本体ステー穴に合わせてネジで止めることにより高精度に固定されるようになっている。
【0040】
図9に示すように、液滴吐出ヘッド101と搬送ベルト43のギャップL1と、浮き用紙案内部材82の用紙搬送方向上流側の端部と搬送ベルト43のギャップL2の設定を、L1≧L2に設定することが好ましい。この場合、用紙Pの浮きを増長させたときに、用紙Pは、浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81の側に容易に搬送されることになり、液滴吐出ヘッド101に接触しない。
【0041】
また、浮き検知手段80の設置位置は、搬送ベルト43からL1/2(L1の半分)だけ離隔した位置とすることが好ましい。この場合、搬送ベルト43からL1/2だけ離隔した位置で浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知するため、用紙Pが液滴吐出ヘッド101に衝突することを確実に回避することができる。
【0042】
図10に示すように、浮き用紙案内部材82に、用紙Pを浮き用紙搬送経路81の奥に搬送する用紙搬送駆動機構85を設けるとともに、用紙Pの浮きを検知したら、用紙搬送駆動機構85を駆動するようにすると好適である。この場合、用紙Pを浮き用紙案内部材82の上部の浮き用紙搬送経路81上に確実にストックすることが可能となる。用紙搬送駆動機構85は、例えば、微小経のローラから構成されている。なお、図10では、用紙搬送駆動機構85は、1つのローラ状の部材から構成されているが、用紙Pをニップする2つのローラから構成してもよい。
【0043】
図11に示すように、CPUは、図7と同様に吸引ファン44に吸引制御指令を出すとともに、用紙搬送駆動機構85を制御するようになっている。
【0044】
図11においては、図7と同様に、受光部80aに受光された光は、図示しない制御回路によって受光量に比例した電圧値に変換され、コンパレータ91に出力される。用紙Pに浮きが発生した場合には、浮き検知手段80において、投光部80bから投光された光が用紙Pの浮きにより遮蔽されて受光部80aの受光量が低下するので、コンパレータ91は、デジタル信号のHigh信号を後段のCPU92に対して出力するようになっている。一方、用紙浮きが無い場合には、コンパレータ91は、デジタル信号のLow信号を後段のCPU92に出力するようになっている。CPU92は、コンパレータ91からのHigh信号を受けると、用紙Pに浮きが発生したと判断して吸着力が弱くなるように吸引ファン44に吸引制御指令を出すとともに、用紙搬送駆動機構85の駆動を制御するようになっている。
【0045】
図12に示すように、浮き検知手段80にて用紙Pの浮きを検知したら、吸引ファン44の回転を停止させることによって、用紙Pの浮きを増長させて、確実に浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に用紙Pを搬送する。また、吸引ファン44を停止させる以外にも、吸引ファン44の制御パルスや駆動電圧を切替えることにより吸引ファン44の回転数を低下させたりする制御を実施することで、用紙Pの浮きを増長させるようにしてもよい。
【0046】
なお、搬送ユニット4は、吸引ファン44のエアー吸引により吸着力を発生させる構成に限らず、搬送ベルト43に電圧を印加して静電吸着力を発生させることにより用紙Pを吸着、搬送するいわゆる静電搬送方式の構成としてもよい。この場合、搬送ベルト43に印可している電圧を低下させることによって、搬送ベルト43の静電吸着力を低下させて、用紙Pの浮きを増長させる制御も可能である。
【0047】
図13に示すように、浮き検知手段80にて用紙Pの浮きを検知したら、吸引ファン44の回転方向を切替える(逆転させる)制御を実施する構成としてもよい。この場合、吸引ファン44の逆転により、用紙Pの方向にエアーを吹付けることによって、用紙Pの浮きを増長させて、用紙Pを確実に浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に用紙Pを搬送することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置100は、用紙Pが搬送ベルト43から浮いたことを検知する浮き検知手段80と、搬送ベルト43から浮いた用紙Pを、インク吐出領域を通過しない浮き用紙搬送経路81に案内する浮き用紙案内部材82と、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したとき、吸引ファン44が発生する吸着力を低下させるCPU92と、を備えたことを特徴とする。
【0049】
この構成により、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したとき、CPU92により吸引ファン44が発生する吸着力が低下させられるので、浮いた用紙Pが浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に案内されることとなる。このため、搬送ベルト43から浮いた用紙Pが液滴吐出ヘッド101に接触して液滴吐出ヘッド101を損傷することを防止することができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、浮き用紙案内部材82は、液滴吐出ヘッド101よりも用紙媒体搬送方向上流側に配置されたことを特徴とする。
【0051】
この構成により、液滴吐出ヘッド101よりも用紙媒体搬送方向上流側に配置された浮き用紙案内部材82により、浮いた用紙Pが浮き用紙搬送経路81に案内されることとなる。このため、搬送ベルト43から浮いた用紙Pが液滴吐出ヘッド101に接触して液滴吐出ヘッド101を損傷することを防止することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、液滴吐出ヘッド101と搬送ベルト43との間のギャップL1と、浮き用紙案内部材82の用紙搬送方向上流側の端部と搬送ベルト43との間のギャップL2を、L1≧L2となるよう設定したことを特徴とする。
【0053】
この構成により、搬送ベルト43から浮いた用紙Pを容易に浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に案内することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、浮き検知手段80は、ギャップL1の半分の高さだけ搬送ベルト43の上に離隔して配置されたことを特徴とする。
【0055】
この構成により、液滴吐出ヘッド101に接触する可能性のある浮いた用紙Pを確実に浮き検知手段80により検知でき、浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に案内することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、CPU92は、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したとき、吸引ファン44の風量を弱めることで吸着力を低下させることを特徴とする。
【0057】
この構成により、吸引ファン44の風量を弱めることにより、用紙Pの浮きが増長されるので、浮きが増長された用紙Pを確実に浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に案内することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、CPU92は、浮き検知手段80が用紙Pの浮きを検知したとき、吸引ファン44を逆転させることを特徴とする。
【0059】
この構成により、吸引ファン44を逆転することにより用紙Pの浮きが増長されるので、浮きが増長された用紙Pを確実に浮き用紙案内部材82により浮き用紙搬送経路81に案内することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 装置本体
4 搬送ユニット
5 ヘッドアレイユニット
43 搬送ベルト
44 吸引ファン(吸着手段)
45 吸引ファン群
51 ヘッドアレイ
80 浮き検知手段
80a 受光部
80b 投光部
81 浮き用紙搬送経路
82 浮き用紙案内部材
85 用紙搬送駆動機構
92 CPU(制御手段)
100 画像形成装置
101 液滴吐出ヘッド
103 ベース部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2007−76109号公報
【特許文献2】特開2000−255830号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に向けてインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドのインク吐出領域を前記記録媒体が通過するように、その表面が移動することにより前記記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
吸着力を発生して前記搬送ベルトに前記記録媒体を吸着させる吸着手段と、を備えた画像形成装置において、
前記記録媒体が前記搬送ベルトから浮いたことを検知する浮き検知手段と、
前記搬送ベルトから浮いた記録媒体を、前記インク吐出領域を通過しない浮き用紙搬送経路に案内する浮き用紙案内部材と、
前記浮き検知手段が前記記録媒体の浮きを検知したとき、前記吸着手段が発生する吸着力を低下させる制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記浮き用紙案内部材は、前記液滴吐出ヘッドよりも記録媒体搬送方向上流側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記液滴吐出ヘッドと前記搬送ベルトとの間の第1の間隙量と、前記浮き用紙案内部材の記録媒体搬送方向上流側の端部と前記搬送ベルトとの間の第2の間隙量を、前記第1の間隙量≧前記第2の間隙量となるよう設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記浮き検知手段は、前記第1の間隙量の半分の高さだけ前記搬送ベルトの上に離隔して配置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸着手段は、エアーの吸引により吸着力を発生する吸引ファンを有し、
前記制御手段は、前記浮き検知手段が前記記録媒体の浮きを検知したとき、前記吸引ファンの風量を弱めることで吸着力を低下させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吸着手段は、エアーの吸引により吸着力を発生する吸引ファンを有し、
前記制御手段は、前記浮き検知手段が前記記録媒体の浮きを検知したとき、前記吸引ファンを逆転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86426(P2013−86426A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230904(P2011−230904)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】