説明

画像形成装置

【課題】用紙の重なりを検知することができ、かつ、安価に製造可能な画像形成装置を提供することである。
【解決手段】印刷部2は、搬送経路R1上に設けられ、かつ、用紙Pに対して画像を形成する。反転ローラ対25は、搬送経路R1から出力されてきた用紙Pの搬送方向を反転させる。搬送経路R2は、反転部25において搬送方向が反転させられた用紙Pが搬送され、搬送経路R1において印刷部2よりも上流側に接続されている。センサsen1は、搬送経路R1に設けられ、用紙Pの長さを検知する。センサsen2は、搬送経路R2に設けられ、用紙Pの長さを検知する。制御部30は、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長く、かつ、センサsen2が検知した用紙Pの長さが所定長さである場合には、複数の用紙Pが重なって搬送されていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、印刷媒体の両面に画像を印刷することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。該画像形成装置では、重送検知手段により用紙が重なって搬送されていることを検知する。
【0003】
しかしながら、重送検知手段は高価であるので、画像形成装置の製造コストの高騰につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−13365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、用紙の重なりを検知することができ、かつ、安価に製造可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、印刷媒体の両面に画像を印刷することができる画像形成装置において、印刷媒体が積載される給紙部と、前記給紙部に接続され、かつ、印刷媒体が搬送される第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路上に設けられ、かつ、前記印刷媒体に対して画像を形成する画像形成手段と、前記第1の搬送経路から出力されてきた前記印刷媒体の搬送方向を反転させる反転部と、前記反転部において搬送方向が反転させられた前記印刷媒体が搬送される第2の搬送経路であって、前記第1の搬送経路において前記画像形成手段よりも上流側に接続されている第2の搬送経路と、前記第1の搬送経路に設けられ、前記印刷媒体の長さを検知する第1の検知手段と、前記第2の搬送経路に設けられ、前記印刷媒体の長さを検知する第2の検知手段と、前記第1の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さよりも長く、かつ、前記第2の検知手段が検知した該印刷媒体の長さが所定長さである場合には、前記複数の印刷媒体が重なって搬送されていると判定する制御手段と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙の重なりを検知することができ、かつ、画像形成装置を安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】センサによる用紙の長さの判定時において制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図3】切り替え部の切り替え処理において制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図4】用紙の搬送方向を反転させるときに制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図5】センサによる用紙の長さの判定時において制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図6】図6(a)は、重送又は誤セット時の反転ローラ対の動作を示した図であり、図6(b)は、通常の反転ローラ対の動作を示した図である。
【図7】分離機構の第1例を示した図である。
【図8】分離機構の第2例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0010】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。以下では、図1の上下方向を単に上下方向と呼び、図1の左右方向を単に左右方向と呼び、図1の紙面垂直方向を単に前後方向と呼ぶ。
【0011】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成されている。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、用紙(印刷媒体)Pの両面に画像を形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部(画像形成部)2、給紙部15a,15b、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対(出力部)21、排紙トレイ23、搬送ローラ対24a〜24e、反転ローラ対(反転部)25、制御部30、切り替え部32及び搬送経路R1,R2を備えている。以下では、用紙Pにおいて、両面印刷時に、先に画像が印刷される面を表面と呼び、後から画像が印刷される面を裏面と呼ぶ。
【0012】
制御部30は、画像形成装置1全体の動作を制御し、例えば、CPUにより構成されている。
【0013】
給紙部15a,15bはそれぞれ、用紙(印刷媒体)Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16a,16b及び給紙ローラ17a,17bを含む。給紙部15aは、給紙部15bよりも右側に配置されている。用紙トレイ16a,16bには、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。用紙トレイ16aにおいて、用紙Pは、表面が下側を向くように積載される。一方、用紙トレイ16bにおいて、用紙Pは、表面が上側を向くように積載される。給紙ローラ17a,17bは、用紙トレイ16a,16bに載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。
【0014】
搬送経路R1は、給紙部15a,15bに接続され、上方に向かって延びており、図示しないガイドにより構成されている通紙経路である。すなわち、搬送経路R1の始点は、給紙部15a,15bである。給紙部15a,15bから供給された用紙Pは、搬送経路R1を搬送される。
【0015】
搬送ローラ対24aは、搬送経路R1上に設けられており、給紙ローラ17a,17bが取り出した用紙Pを上方へと搬送する。タイミングローラ対19は、搬送経路R1上に設けられており、給紙ローラ17a,17b及び搬送ローラ対24aにより搬送されてきた用紙Pにトナー画像が印刷部2において2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを上方へ搬送する。
【0016】
印刷部2は、搬送経路R1上に設けられており、給紙部15a,15bから供給されてくる用紙にトナー画像を形成し、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14及び作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)を含んでいる。また、作像ユニット22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)を含んでいる。
【0017】
感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)は、円筒形状をなしている。感光体ドラム4の周面には、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)により静電潜像が形成された後に、図示しない現像装置により静電潜像に基づくトナー画像が現像される。静電潜像の形成及びトナー画像の現像については、一般的な処理であるので詳細な説明を省略する。
【0018】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されている。中間転写ベルト11には、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0019】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11と対向し、ドラム形状をなしている。そして、2次転写ローラ14は、転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト11との間を通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。
【0020】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、搬送経路R1上に設けられており、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる。搬送ローラ対24bは、搬送経路R1上に設けられており、定着装置20を通過した用紙Pを搬送する。
【0021】
排紙ローラ対21は、搬送経路R1から出力されてきた用紙Pを、排紙トレイ23(すなわち、外部)に出力する。排紙トレイ23には、印刷済みの用紙Pが積載される。
【0022】
反転ローラ対25は、搬送経路R1から出力されてきた用紙Pの搬送方向を反転させる。より詳細には、反転ローラ対25は、用紙Pを挟んだ状態で用紙Pの一部が外部(排紙トレイ23上)に露出するまで左方向に搬送した後、回転方向を反転させることによって、用紙Pの搬送方向を反転させる。
【0023】
切り換え部32は、搬送経路R1から排紙ローラ対21又は反転ローラ対25のいずれに用紙Pを出力するのかを切り換える機構であり、揺動する爪により構成されている。
【0024】
搬送経路R2は、反転ローラ対25において搬送方向が反転させられた用紙Pが搬送され、搬送経路R1において印刷部2及びタイミングローラ対19よりも上流側に接続されている。搬送経路R2は、図示しないガイドにより構成されている。搬送経路R2上には、搬送ローラ対24c〜24eが、搬送方向の上流側から下流側へとこの順に並ぶように設けられている。搬送ローラ対24c〜24eは、用紙Pを搬送経路R1から搬送経路R2へと搬送する。これにより、用紙Pは、裏面が左側を向いた状態で搬送経路R1を上方に搬送される。よって、印刷部2は、用紙Pの裏面に対して画像を形成する。
【0025】
センサsen1は、搬送経路R1において搬送ローラ対24aの上流側に設けられており、用紙Pの長さを検知する。センサsen2は、搬送経路R2において搬送ローラ対24c,24d間に設けられ、用紙Pの長さを検知する。センサsen3は、搬送経路R1において定着装置20と搬送ローラ対24bとの間に設けられ、用紙Pの長さを検知する。
【0026】
(画像形成装置の動作)
以上のように構成された画像形成装置1では、図1に示すように、用紙P1,P2が重なって搬送されていること(以下、重送と称す)を検知することができる。以下に、重送の検知における画像形成装置1の動作の概略について説明する。
【0027】
図1では、給紙部15aから供給された用紙P1,P2が重送されている。給紙部15aでは、用紙Pは、表面が下側を向くように積載されている。そのため、用紙P1,P2が重送されると、用紙P1の表面上に用紙P2が重なってしまう。その結果、用紙P1の表面に印刷されるべき画像の一部が用紙P2に印刷されてしまう。すなわち、印刷ミスが発生してしまう。
【0028】
そこで、画像形成装置1では、制御部30は、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長いか否かを判定する。所定長さとは、ユーザにより選択された用紙Pの長さである。これにより、制御部30は、用紙Pの長さが適切な長さであるのか、用紙Pの長さが不適切な長さであるのかを判定している。用紙Pの長さが不適切である状態とは、用紙P1,P2が重送されている(重送)状態又はユーザにより選択された用紙Pよりも長い用紙Pが誤ってセットされた(誤セット)状態である。ただし、センサsen1により用紙Pの長さを検知した段階では、重送であるのか誤セットであるのかの判定は不可能である。
【0029】
そこで、制御部30は、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長い場合には、切り替え部32により用紙Pを反転ローラ対25に出力させると共に、用紙Pの搬送方向を反転ローラ対25により反転させる。この際、図1に示すように、重送であれば、用紙P1は、トレイ23上に出力される。一方、用紙P2は、反転ローラ対25により搬送経路R2に搬送される。この後、制御部30は、センサsen2が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長いか否かを判定する。そして、制御部30は、センサsen2が検知した用紙Pの長さが所定長さである場合には、用紙P1,P2が重送されていたと判定し、センサsen2が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長い場合には、誤セットされた用紙Pが搬送されていたと判定する。
【0030】
以下に、図面を参照しながら、画像形成装置1の動作の詳細について説明する。図2は、センサsen1による用紙Pの長さの判定時において制御部30が行う動作を示したフローチャートである。図3は、切り替え部32の切り替え処理において制御部30が行う動作を示したフローチャートである。図4は、用紙Pの搬送方向を反転させるときに制御部30が行う動作を示したフローチャートである。図5は、センサsen2による用紙Pの長さの判定時において制御部30が行う動作を示したフローチャートである。図6(a)は、重送又は誤セット時の反転ローラ対25の動作を示した図であり、図6(b)は、通常の反転ローラ対25の動作を示した図である。
【0031】
まず、センサsen1による用紙Pの長さの判定時に制御部30が行う動作について、図2を参照しながら説明する。
【0032】
制御部30は、用紙Pの供給に給紙部15a,15bのいずれを用いるのかを確認する(ステップS1)。制御部30は、用紙Pの供給に用いる給紙トレイが給紙部15aであるのか否かを判定する(ステップS2)。給紙部15aが用いられる場合には、図1に示すように重送が発生すると、用紙P1の表面に印刷すべき画像の一部が用紙P2の表面に印刷される印刷ミスが発生する。この場合には、重送の検知を行う必要がある。一方、給紙部15bが用いられる場合には、重送が発生すると、用紙P1の裏面に用紙P2が重なる。そのため、用紙P1の表面に印刷すべき画像の一部が用紙P2の表面に印刷される印刷ミスが発生しない。この場合には、重送の検知を行う必要がない。そこで、制御部30は、ステップS2では、重送の検知の要否を判定している。給紙部15aが用いられる場合には、本処理はステップS3に進む。給紙部15aが用いられない場合には、本処理は終了する。すなわち、制御部30は、通常の印刷動作を行わせる。
【0033】
給紙部15aが用いられる場合、制御部30は、給紙部15aに用紙Pの供給を開始させる(ステップS3)。更に、制御部30は、センサsen1の状態を確認する(ステップS4)。制御部30がセンサsen1の状態を確認するとは、センサsen1の前に用紙Pが存在するか否かを制御部30が確認することを意味する。なお、センサsen1は、例えば、用紙Pが存在している場合には、ローレベルの検知信号を制御部30に出力し、用紙Pが存在していない場合には、ハイレベルの検知信号を制御部30に出力する。よって、制御部30は、制御信号のレベルを検知することにより、センサsen1の状態を確認する。制御部30は、センサsen1に用紙Pが到達したか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、制御部30は、センサsen1の検知信号がハイレベルからローレベルに切り替わったか否かを判定する。センサsen1に用紙Pが到達した場合には、本処理はステップS6に進む。センサsen1に用紙Pが到達していない場合には、本処理はステップS4に戻る。
【0034】
センサsen1に用紙Pが到達した場合には、制御部30は、ユーザにより選択された用紙Pの長さ(所定長さ)をセットする(ステップS6)。そして、制御部30は、ステップS6においてセットした長さ(所定長さ)の用紙Pがセンサsen1の前を通過するのに要する時間がステップS4から経過したか否かを判定する(ステップS7)。時間が経過した場合には、本処理はステップS8に進む。時間が経過していない場合には、本処理はステップS7に戻る。
【0035】
時間が経過した場合、制御部30は、センサsen1の状態を確認する(ステップS8)。そして、制御部30は、センサsen1の前に用紙Pが存在するか否かを判定する(ステップS9)。すなわち、制御部30は、センサsen1の検知信号がローレベルであるか否かを判定する。ステップS9では、制御部30は、用紙Pの長さが所定長さよりも長いか否かを判定することにより、重送又は誤セットが発生しているか否かを判定している。用紙Pが存在する場合には、本処理はステップS10に進む。用紙Pが存在しない場合には、本処理は終了する。
【0036】
用紙Pが存在する場合には、制御部30は、用紙Pの長さが所定長さよりも長いことを意味するフラグをセットする(ステップS10)。フラグは、重送又は誤セットのいずれかが発生していることを意味するフラグである。この後、本処理は終了する。
【0037】
次に、切り替え部32の切り替え処理において制御部30が行う動作について図3を参照しながら説明する。なお、前提として、図3の処理が行われる前は、切り替え部32は、用紙Pが排紙ローラ対21に出力される方向を向いている。
【0038】
制御部30は、用紙が到達したタイミングでフラグを確認する(ステップS11)。次に、制御部30は、フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS12)。フラグがセットされている場合には、本処理はステップS13に進む。フラグがセットされていない場合には、本処理は終了する。すなわち、制御部30は、通常の印刷動作を行わせる。
【0039】
フラグがセットされている場合には、制御部30は、用紙Pが反転ローラ対25に出力される方向を向くように切り替え部32を切り替える(ステップS13)。この後、本処理は終了する。
【0040】
次に、用紙Pの搬送方向を反転させるときに制御部30が行う動作について、図4を参照しながら説明する。
【0041】
制御部30は、センサsen3の状態を確認する(ステップS14)。次に、制御部30は、センサsen3の検知信号がハイレベルからローレベルに切り替わったか否かを判定する(ステップS15)。検知信号がローレベルに切り替わった場合には、本処理はステップS16に進む。検知信号がローレベルに切り替わっていない場合には、本処理はステップS14に戻る。
【0042】
検知信号がローレベルに切り替わった場合、制御部30は、フラグを確認する(ステップS16)。次に、制御部30は、フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS17)。フラグがセットされている場合には、本処理はステップS18に進む。フラグがセットされていない場合には、本処理はステップS19に進む。
【0043】
フラグがセットされている場合には、制御部30は、ステップS16から用紙Pの搬送方向を反転させるために反転ローラ対25の回転を反転させるまでの時間を第1の時間にセットする(ステップS18)。この後、本処理はステップS20に進む。
【0044】
フラグがセットされてない場合には、制御部30は、ステップS16から用紙Pの搬送方向を反転させるために反転ローラ対25の回転を反転させるまでの時間を第2の時間にセットする(ステップS19)。この後、本処理はステップS20に進む。ここで、第2の時間は第1の時間よりも短い時間である。以下に、第2の時間が第1の時間よりも短い時間に設定される理由について図6を参照しながら説明する。
【0045】
ステップS17においてフラグがセットされている場合には、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長い。すなわち、重送又は誤セットが発生している。重送が発生している場合には、図1に示すように、用紙P1を用紙P2から分離する必要がある。そのため、反転ローラ対25は、用紙P1が外部に出力されるまで用紙P2を外部に露出した後、用紙P2の搬送方向を反転させる必要がある。そこで、ステップS18では、制御部30は、相対的に長い第1の時間が経過した後に反転ローラ対25の回転を反転させている。
【0046】
一方、ステップS17においてフラグがセットされていない場合には、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さである。すなわち、重送又は誤セットが発生しておらず、単なる両面印刷である。よって、反転ローラ対25は、用紙Pの搬送方向を反転させるのに必要な量だけ用紙Pを搬送すればよい。そこで、ステップS19では、制御部30は、相対的に短い第2の時間が経過した後に反転ローラ対25の回転を反転させている。以上の動作により、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さよりも長い場合に用紙Pが外部に露出する部分の長さ(図6(a)参照)は、センサsen1が検知した用紙Pの長さが所定長さである場合に用紙Pが外部に露出する長さ(図6(b)参照)よりも長くなる。
【0047】
前記ステップS20において、制御部30は、ステップS16からの経過時間を確認する(ステップS20)。
【0048】
次に、制御部30は、ステップS18で定めた第1の時間、又は、ステップS19で定めた第2の時間がステップS16から経過したか否かを判定する(ステップS21)。時間が経過した場合には、本処理はステップS22に進む。時間が経過していない場合には、本処理はステップS20に戻る。
【0049】
時間が経過した場合には、制御部30は、用紙Pが排出ローラ対21に出力される方向を向くように切り替え部32を切り替える(ステップS22)。これにより、反転後に用紙Pが搬送経路R1に逆流することが防止される。この後、本処理はステップS23に進む。
【0050】
次に、制御部30は、反転ローラ対25の回転方向を反転させる(ステップS23)。これにより、用紙Pの搬送方向が反転させられ、用紙Pは、搬送経路R2に送り出される。この後、本処理は終了する。
【0051】
次に、センサsen2による用紙Pの長さの判定時において制御部30が行う動作について図5を参照しながら説明する。
【0052】
制御部30は、反転ローラ対25及び搬送ローラ対24cに用紙Pを搬送経路R2へと搬送させる(ステップS24)。
【0053】
次に、制御部30は、フラグを確認する(ステップS25)。次に、制御部30は、フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS26)。フラグがセットされている場合には、本処理はステップS27に進む。フラグがセットされていない場合には、本処理はステップS39に進む。
【0054】
フラグがセットされている場合には、制御部30は、センサsen2の状態を確認する(ステップS27)。そして、制御部30は、センサsen2に用紙Pが到達したか否かを判定する(ステップS28)。すなわち、制御部30は、センサsen2の検知信号がハイレベルからローレベルに切り替わったか否かを判定する。センサsen2に用紙Pが到達した場合には、本処理はステップS29に進む。センサsen2に用紙Pが到達していない場合には、本処理はステップS27に戻る。
【0055】
センサsen2に用紙Pが到達した場合には、制御部30は、ユーザにより選択された用紙Pの長さ(所定長さ)をセットする(ステップS29)。そして、制御部30は、ステップS29においてセットした長さ(所定長さ)の用紙Pがセンサsen2の前を通過するのに要する時間がステップS29から経過したか否かを判定する(ステップS30)。時間が経過した場合には、本処理はステップS31に進む。時間が経過していない場合には、本処理はステップS30に戻る。
【0056】
時間が経過した場合、制御部30は、センサsen2の状態を確認する(ステップS31)。そして、制御部30は、センサsen2の前に用紙Pが存在するか否かを判定する(ステップS32)。すなわち、制御部30は、センサsen2の検知信号がローレベルであるか否かを判定する。ステップS32では、制御部30は、用紙Pの長さが所定長さよりも長いか否かを判定することにより、重送又は誤セットのいずれが発生しているのかを判定している。用紙Pが存在しない場合には、本処理はステップS33に進む。用紙Pが存在する場合には、本処理はステップS34に進む。
【0057】
用紙Pが存在しないことは、用紙P1,P2が重送されたものの、反転ローラ対25により用紙P1が用紙P2から分離されて外部に出力された結果、用紙P2の長さが所定長さとなっていることを意味する。そこで、制御部30は、重送が発生したと判定する(ステップS33)。この後、本処理はステップS37に進む。
【0058】
用紙Pが存在する場合には、用紙P1,P2が重送されたのではないため、反転ローラ対25により用紙Pが外部に出力されても、用紙Pの長さが所定長さよりも長いままであることを意味する。そこで、制御部30は、誤セットが発生したと判定する(ステップS34)。
【0059】
次に、制御部30は、用紙Pに対する両面印刷の実行の確認を行う(ステップS35)。そして、制御部30は、用紙Pに対する両面印刷を行うか否かを判定する(ステップS36)。両面印刷を行う場合には、本処理はステップS39に進む。両面印刷を行わない場合(すなわち、片面印刷を行う場合)には、本処理はステップS37に進む。
【0060】
前記ステップS37において、制御部30は、搬送経路R2内の用紙Pの搬送方向を搬送ローラ対24c〜24eにより反転させる(ステップS37)。そして、制御部30は、反転ローラ対25を介して用紙Pを外部に出力させる(ステップS38)。この後、本処理は終了する。
【0061】
前記ステップS39において、制御部30は、通常の両面印刷の処理を画像形成装置1に行わせる(ステップS39)。すなわち、制御部30は、搬送ローラ対24c〜24eに用紙Pを反転経路R1へと搬送させる。そして、制御部30は、用紙Pの裏面に画像を印刷部2に形成させる。なお、通常の両面印刷の処理は、一般的な動作であるので、これ以上の説明を省略する。この後、本処理は終了する。
【0062】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1によれば、用紙P1,P2の重送を検知できる。より詳細には、画像形成装置1では、センサsen1が検知する用紙P1の長さが所定長さよりも長い場合には、反転ローラ対25は、搬送経路R1から出力されてきた用紙Pの搬送方向を反転させている。これにより、用紙P1,P2に重送が発生している場合には、反転ローラ対25において、用紙P1が用紙P2から分離され、センサsen2が検知する用紙P2の長さが所定長さとなる。よって、制御部30は、センサsen1,sen2が検知する用紙Pの長さを判定することによって、重送の発生を検知することが可能である。
【0063】
また、画像形成装置1では、重送の判定のために特許文献1に記載の画像形成装置に用いられている重送検知手段が用いられておらず、一般的なセンサsen1,sen2により重送の検知が行われている。よって、画像形成装置1を安価に製造することができる。
【0064】
また、画像形成装置1によれば、制御部30は、センサsen1,sen2が検知する用紙Pの長さが所定長さより長い場合には、誤セットと判定する。これにより、画像形成装置1は、誤セットと重送とを区別して判定することが可能である。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明に係る画像形成装置は、前記実施形態に係る画像形成装置1に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0066】
なお、画像形成装置1において、反転ローラ対25の左側に重なった用紙P1,P2を分離する分離機構が設けられていてもよい。図7は、分離機構の第1例を示した図である。図8は、分離機構の第2例を示した図である。
【0067】
図7に示すように、分離機構は、反転ローラ対25の左側に設けられた爪50aであってもよい。また、分離機構は、用紙Pを外部に出力するように回転するローラ50bであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、用紙の重なりを検知することができ、かつ、画像形成装置を安価に製造できる点において優れている。
【符号の説明】
【0069】
sen1〜sen3 センサ
1 画像形成装置
2 印刷部
15a,15b 給紙部
21 排紙ローラ対
24a〜24e 搬送ローラ対
25 反転ローラ対
30 制御部
32 切り替え部
50a 爪
50b ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の両面に画像を印刷することができる画像形成装置において、
印刷媒体が積載される給紙部と、
前記給紙部に接続され、かつ、印刷媒体が搬送される第1の搬送経路と、
前記第1の搬送経路上に設けられ、かつ、前記印刷媒体に対して画像を形成する画像形成手段と、
前記第1の搬送経路から出力されてきた前記印刷媒体の搬送方向を反転させる反転部と、
前記反転部において搬送方向が反転させられた前記印刷媒体が搬送される第2の搬送経路であって、前記第1の搬送経路において前記画像形成手段よりも上流側に接続されている第2の搬送経路と、
前記第1の搬送経路に設けられ、前記印刷媒体の長さを検知する第1の検知手段と、
前記第2の搬送経路に設けられ、前記印刷媒体の長さを検知する第2の検知手段と、
前記第1の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さよりも長く、かつ、前記第2の検知手段が検知した該印刷媒体の長さが所定長さである場合には、前記複数の印刷媒体が重なって搬送されていると判定する制御手段と、
を備えていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
前記第1の搬送経路に接続され、前記印刷媒体を外部に出力する出力部と、
前記第1の搬送経路から前記反転部又は前記出力部のいずれに前記印刷媒体を出力するのかを切り換える切り換え手段と、
を更に備えており、
前記制御手段は、前記第1の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さよりも長い場合には、前記切り換え手段に該印刷媒体を前記反転部に出力させること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記反転部は、前記印刷媒体を挟んだ状態で該印刷媒体の一部が外部に露出するまで搬送した後に、回転方向を反転させることによって、該印刷媒体の搬送方向を反転させるローラ対であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記反転部は、前記第1の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さよりも長い場合に、該印刷媒体が外部に露出する部分の長さが、該第1の検知手段が検知した該印刷媒体の長さが所定長さである場合に、該印刷媒体が外部に露出する部分の長さよりも長くなるように、該印刷媒体を搬送すること、
を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷媒体は、前記給紙部において、画像が印刷される表面が下側を向くように積載されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記複数の印刷媒体が重なって搬送されていると判定した場合には、該複数の印刷媒体の搬送方向を反転させて、前記反転部を介して外部に出力させること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さよりも長く、かつ、前記第2の検知手段が検知した前記印刷媒体の長さが所定長さである場合、片面印刷のときには、該複数の印刷媒体の搬送方向を反転させて、前記反転部を介して外部に出力させ、両面印刷のときには、該複数の印刷媒体を前記第1の搬送経路に搬送して前記画像形成手段に該複数の印刷媒体の裏面に画像を形成させること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記反転部には、重なった前記複数の印刷媒体を分離する分離機構が設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記分離機構は、爪であること、
を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記分離機構は、前記印刷媒体を外部に出力するように回転するローラであること、
を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−95544(P2013−95544A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238593(P2011−238593)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】