説明

画像形成装置

【課題】トナーのゆるみ見掛け密度の違いに起因する補給能力の変動を補正し、正確なトナー補給制御を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体40上に形成された潜像を現像する現像装置60と、現像装置60内に供給するトナーを収容するトナー収容体61及びトナー収容体61に充填するトナーを収容するトナー容器80及びトナー容器80よりトナー収容体61にトナーを充填するトナー充填手段70とを有するトナー補給装置150と、トナー補給装置150の動作時間を制御するトナー補給制御手段401とを有し、トナー容器80はデータの入出力が可能な記憶手段145を有すると共に、記憶手段145に対してデータを読み込むデータ処理装置を画像形成装置本体100に有し、記憶手段145のデータが更新された際に、トナー補給制御手段401は画素情報と補給能力とによりトナー補給装置150の動作時間を算出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に適用される電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体表面を帯電手段により所定電位に一様に帯電し、露光手段により静電潜像を形成し、静電潜像をトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像手段により現像してトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置では、現像を行う際に現像装置内の現像剤よりトナーが消費されるため、トナー収容部より現像装置内にトナーの補給を行っている。画像形成装置本体にセットされたトナーボトルまたはトナーカートリッジといったトナー容器よりトナーはトナー収容体(サブホッパ)に充填され、現像装置内に補給される。また、トナー収容体がない場合には、トナー容器をトナー収容体の代替として用い、直接トナー補給を行う場合もある。
【0003】
従来、現像剤のトナー濃度を一定に保つようにトナー補給量を制御する方式が広く用いられている。現像装置内のトナー濃度を透磁率検知センサまたは光学検知センサによって検知し、基準トナー濃度と検知トナー濃度との差からトナー補給量を算出する方式が一般的である。トナー補給量はトナー補給装置(例えば搬送スクリュ)の動作時間によって制御される。予めトナー補給装置の補給能力を設定しておき、必要なトナー補給量からトナー補給装置の動作時間を算出してトナー補給制御を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トナー収容部より現像装置内へと補給するトナー量をトナー補給装置の動作時間により決定する制御方式では、適切なトナー補給量を制御できない場合があった。これは、トナー補給装置の動作時間とトナー補給量が常に一定であることが前提とされているためである。しかし、実際はトナーのゆるみ見掛け密度によってその関係は変動する。
【0005】
トナー収容体内の搬送用スクリュの動作時間とトナー補給経路を通過するトナー補給量検知結果に基づき、トナー補給時間とトナー補給量との関係を導出する方法が、例えば「特許文献1」に開示されている。また、予め各色のトナー毎にトナー補給時間とトナー補給量との対応関係を示すテーブルをCPUに持たせ、画素情報よりトナー補給量を算出してトナー補給手段の動作時間を決定する方法が、例えば「特許文献2」に開示されている。
【0006】
しかしながらトナーのゆるみ見掛け密度はトナーの色のみで変わるものではなく、トナー製造工程における製造ロットの違いによっても異なるため、色によって一概に補給能力を決定するとゆるみ見掛け密度の違いにより補給能力に誤差が生じてしまう。
本発明は上述の問題点を解決し、トナーのゆるみ見掛け密度の違いに起因する補給能力の変動を補正し、正確なトナー補給制御を行うことが可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、画素情報に応じた潜像を像担持体上に形成する潜像形成手段と、前記像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、前記現像装置内に供給するトナーを収容するトナー収容体及び前記トナー収容体に充填するトナーを収容するトナー容器及び前記トナー容器より前記トナー収容体にトナーを充填するトナー充填手段とを有するトナー補給装置と、前記トナー補給装置の動作時間を制御するトナー補給制御手段とを有し、前記トナー容器はデータの入出力が可能な記憶手段を有すると共に、前記記憶手段に対してデータを読み込むデータ処理装置を画像形成装置本体に有し、前記記憶手段のデータが更新された際に、このデータに基づいて前記トナー補給装置の補給能力を変化させ、前記トナー補給制御手段は前記画素情報と前記補給能力とにより前記トナー補給装置の動作時間を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶手段のデータが更新された際に、このデータに基づいてトナー補給装置の補給能力を変化させ、トナー補給制御装置は画素情報と補給能力とによりトナー補給装置の動作時間を算出するので、製造ロット毎のトナーのゆるみ見掛け密度を記録したトナー容器を採用することにより、トナーのゆるみ見掛け密度による補給能力変動を補正し、正確なトナー補給制御を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられるトナー補給装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるサブホッパを説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に用いられるサブホッパの上室を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に用いられるサブホッパの下室を説明する概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に用いられるトナー補給制御装置のブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるトナー補給制御装置の制御動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態におけるトナーのゆるみ見掛け密度と補給能力との関係を示す線図である。
【図9】本発明の一実施形態における累積出力画素数と補給能力との関係を説明する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を適用した画像形成装置の一例であるカラー複写機1を示している。このカラー複写機1は中央に画像形成装置本体である複写機本体100が、その下部にテーブル状に構成された給紙部200がそれぞれ配置され、複写機本体100の上方にスキャナ300が、スキャナ300の上方に自動原稿搬送装置(ADF)400がそれぞれ配設されている。
【0011】
複写機本体100には、複数のローラ14,15,16に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された像担持体としての中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、各ローラ14,15,16のうち1つのローラが図示しない駆動手段によって回転駆動され、これにより中間転写ベルト10は矢印で示す時計回り方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト10の上部走行辺には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの画像形成手段である作像ユニット18が並設されている。すなわち、ローラ14とローラ15との間の走行辺上に4個の作像ユニット18を配置して潜像形成手段としてのタンデム画像形成装置20を構成している。
【0012】
4個の作像ユニット18は、中間転写ベルト10に接する像担持体としての感光体ドラム40を具備している。感光体ドラム40の周りには、帯電装置、現像装置、クリーニング装置、除電装置等が配置され、さらに感光体ドラム40と中間転写ベルト10との当接位置における中間転写ベルト10の内側には転写装置12が設けられている。本実施形態では、4個の作像ユニット18は同一構造であるが、現像装置内のトナー色がブラック、シアン、マゼンタ、イエロの4色に分けられている。また、各作像ユニット18の上方には光変調されたレーザ光を各感光体ドラム40の表面に照射する露光装置21が配置され、このレーザ光は帯電装置と現像装置との間で感光体ドラム40に対して照射を行う。露光装置21は各作像ユニット18に設けてもよいが、共通の露光装置21を用いることによりコストの点で有利となる。
【0013】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と対向する側には2次転写装置22が設けられている。2次転写装置22は、2個のローラ23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を巻き掛け、この2次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介してローラ16に押圧されるように配置されている。図1において2次転写装置22の左方には、シート上に担持されたトナー像を定着するための定着装置25が設けられている。定着装置25は、加圧ローラ27とこれに押圧された定着ベルト26とを有している。また2次転写装置22には、画像転写後のシートを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えられている。もちろん、2次転写装置22として非接触のチャージャを用いてもよく、その場合には転写後のシートを定着装置25まで搬送するシート搬送装置を別途設ける必要が生じる。なお、図示の例では2次転写装置22及び定着装置25の下方に、タンデム画像形成装置20と平行に配置された、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を有している。
【0014】
上述した構成のカラー複写機を用いて画像形成を行う場合には、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、自動原稿搬送装置400を開放してスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じて原稿を押さえる。その後図示しないスタートスイッチを押下すると、自動原稿搬送装置400に原稿をセットした場合には原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動した後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合には直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射すると共に原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取センサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0015】
また、図示しないスタートスイッチを押下すると、中間転写ベルト10が走行移動し、同時に各作像ユニット18にて感光体ドラム40がそれぞれ回転を開始し、各感光体ドラム40上にそれぞれブラック、イエロ、マゼンタ、シアンの単色画像が形成される。そして、中間転写ベルト10の走行と共に転写装置12が各単色画像を順次重畳転写させ、中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成される。
【0016】
一方、図示しないスタートスイッチが押下されると、給紙部200の給紙ローラ42の1つが選択的に回転駆動され、ペーパバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つからシートが送り出される。送り出されたシートは分離ローラ45で1枚ずつに分離されて給紙路46に送られ、搬送ローラ47によって搬送されて複写機本体100内の給紙路48へと送られ、レジストローラ対49に突き当てられて一時停止される。手差し給紙を選択した場合には、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上のシートを給送し、分離ローラ52で1枚ずつに分離して給紙路53に入れ、レジストローラ対49に突き当てて一時停止させる。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対49を回転させ、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを給送し、2次転写装置22によってシート上に一括してフルカラー画像を転写させる。
【0017】
画像転写後のシートは、2次転写装置22によって搬送され定着装置25に送り込まれ、定着装置25において熱と圧力とにより転写画像を定着された後、切替爪55に案内されて排出ローラ56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切替爪55に案内されてシート反転装置28に送られ、そこで反転されて再び転写位置へと送られて裏面に画像を転写された後、定着装置25を経由して排出ローラ56によって排紙トレイ57上に排出される。一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写体クリーニング装置17によって画像転写後に残留トナーを除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備えられる。
【0018】
図2は、作像ユニット18の現像装置60にトナーを補給するトナー補給装置150の概略図である。同図において、トナーを収容したトナー容器80は複写機本体100に設けられた図示しないセット部にセットされる。このセット部にはトナー容器80に挿入されるノズル90が図示しない機枠に設けられており、トナー容器80をセット部へセットすることによりシャッタ81が側方へ押し出されてノズル90が挿入される。ノズル90は単管構造になっており、ノズル90の挿入側とは反対側の端部にはトナー移送チューブ59が接続されている。
【0019】
トナー容器80はその下部中央にトナー排出口83が設けられており、このトナー排出口83はポリエチレンやナイロン等の樹脂からなりトナー容器80に固定された口金部材82に形成されている。トナー排出口83は、通常はシャッタ81によって閉塞されているが、トナー容器80がセット部へセットされるとシャッタ81がノズル90によって側方へと押し出され、ノズル90の開口とトナー排出口83とが連通する。図中、符号91はシャッタ81の戻し用ばねであり、トナー容器80がセット部から取り出されるとトナー排出口83を閉塞させる位置にシャッタ81を戻すべく付勢している。なお、トナー容器はボトル形状のものであってもよい。
【0020】
現像装置60は、その上部に内部に供給するトナーを収容するトナー収容体としてのサブホッパ61を有しており、トナー容器80から送られたトナーは一旦このサブホッパ61内に収納される。サブホッパ61上には、トナー容器80のトナーをサブホッパ61内に移送させて充填させるトナー充填手段としての粉体ポンプ70が設けられている。粉体ポンプ70は1軸偏心スクリュポンプであり、金属等の剛性を有する材料で構成され偏心したスクリュ形状を呈するロータ71と、ゴム等の弾性体で構成され2条スクリュ形状を呈するステータ72と、これ等を包括しかつ粉体の搬送路を形成する樹脂材料等で構成されたホルダ73とを有している。ロータ71は、ピン継ぎ手により連結された駆動軸74に一体的に連結されたギヤ75(図3参照)が図示しないアイドルギヤを介して第1クラッチ76と駆動連結され、第1クラッチ76のオン・オフにより粉体ポンプ70の作動が制御される。なお、第1クラッチ76と後述する第2クラッチ68とは、図示しない駆動装置によって駆動される回転駆動軸79上に設けられている。ホルダ73の先端、すなわち図2の右端にはトナー吸い込み部77が設けられており、このトナー吸い込み部77にはトナー移送チューブ59が接続されている。なお、粉体ポンプ70を用いればトナー容器80のトナー排出口がサブホッパ61のトナー受け取り口よりも鉛直方向において低い位置にあるような場合であっても、トナー容器80内のトナーをスムーズに搬送することができる。
【0021】
図2及び図3に示すように、サブホッパ61はその縦断面形状がほぼ逆三角形状に形成され、その内部は上下仕切り部材64によって重力方向に分割され、上室62と下室63とが形成されている。床面積が下室63よりも大きい上室62には、互いに逆方向に回転する一対の上スクリュ84,85と、両スクリュ間に配置され両端部が開放された仕切板66とが設けられている。仕切板66は上下仕切り部材64と一体に形成されているが、双方を別部材で構成してもよい。
【0022】
このように構成された上室62は、図4に示すように符号Aで示す位置が粉体ポンプ70によって搬送されたトナーの供給位置であり、位置Aに供給されたトナーは上スクリュ84,85の回転によって矢印P1方向、すなわち反時計回り方向に循環される。符号Bは上室62と下室63との連通孔であり、上スクリュ84,85によって矢印P1方向に循環しているトナーは連通孔Bから下室63へと落下する。また、図5に示すように下室63には下スクリュ86が設けられており、連通孔Bから位置B’に供給されたトナーは下スクリュ86の回転により矢印P2方向に移動される。符号Cは下室63と現像装置60とを連通する補給口であり、矢印P2方向に移動されたトナーは補給口Cから落下して現像装置60内へと補給される。
【0023】
このように構成されたサブホッパ61には粉体ポンプ70によって供給されたトナーが一旦収納され、収納されたトナーは各スクリュ84.85.86によって現像装置60へと移送される。各スクリュ84,85,86の各ギヤ84a,85a,86aは、アイドルギヤ列87を介して回転駆動軸79に設けられた第2クラッチ68と駆動連結され、第2クラッチ68により駆動のオン・オフが制御される。各スクリュ84,85,86は、例えばスクリュ径や回転数を異ならせることによって上スクリュ84,85のトナー搬送量が下スクリュ86のそれよりも多くなるように設定されている。従って、本形態の上スクリュ84,85と下スクリュ86とは同時に駆動されるので、通常下室63はトナーがほぼ満杯状態であると共に上室62のトナーは矢印P1方向に循環し、下室63のトナーが補給されるとその分のトナーが連通孔Bから下室63へと落下する。なお、各スクリュ84,85,86の駆動は別々に制御することも可能である。
【0024】
サブホッパ61には、粉体ポンプ70で移送されたトナーが供給される位置Aのトナー循環方向上流側近傍の側壁に、トナーの有無を検知するトナー量検知手段としてのトナーエンドセンサ69が設けられている。本形態で示すトナーエンドセンサ69は振動式のセンサであり、上室62内のトナーに接触する検知面69aにてトナーの有無を検知している。
【0025】
上述のように構成されたトナー補給装置150は現像装置60へのトナー補給指令が発せられると、第2クラッチ68がオンして各スクリュ84,85,86が作動して下スクリュ86の回転時間に応じた量のトナーが現像装置60に補給される。トナー容器80からサブホッパ61へのトナー補給は、トナーエンドセンサ69が上室62内のトナーを監視しており、トナーがセンサ69の検知位置よりも減少すると粉体ポンプ70が作動してトナー容器80内のトナーがサブホッパ61内へ補給される。このとき、粉体ポンプ70によるトナー移送量は下スクリュ86で現像装置60に補給する量よりも多くなるように設定されている。なお、サブホッパ61は上下室に分割していない構造であってもよい。
【0026】
粉体ポンプ70を何回か作動させてもトナーエンドセンサ69のトナー検知量が規定量を下回ったままであるときには、トナー容器80のトナーがほぼなくなったトナーニアエンドと判断され、所定動作、例えば図示しない操作パネルに対してカートリッジ交換時である旨の表示を行って所定作像回数後の作動停止等を行う。また、トナーニアエンドが検知されたとき、サブホッパ61内にトナーが全くないわけではないので現像装置60のトナー濃度は低下せず、トナーニアエンド検知時に画像濃度が不安定となることはない。
【0027】
上述の効果を確実に得るためには、粉体ポンプ70によりトナーが補給される位置Aの上流近傍にトナーエンドセンサ69を配置することが好ましく、この位置でトナー量が不足してもサブホッパ61はその内部空間を利用して最大量のトナーを蓄えられるようにトナー循環経路を形成している。従って、上室62において粉体ポンプ70によりトナーが補給される位置Aから下室63へ供給する連通孔Bまでは上スクリュ84,85によってトナーが循環する経路の半周以上の間隔を空けており、トナーが少ない状態のときにトナー容器80からのトナーが直ちに下室63に落下することがなく、トナーニアエンドと判断されても現像装置60へのトナー補給をある程度継続することができる。これにより、トナーニアエンド時によく生じていた、画像濃度の変動による記録物の画質低下を確実に抑制することができる。
【0028】
本実施形態で示すカラー複写装置1は、現像装置60へのトナー補給制御手段としてトナー補給制御装置401を有しており、このブロック図を図6に示す。図6においてカラー複写装置1は、2成分現像方式の現像装置60、現像装置60にトナーを補給するトナー補給装置150、画素情報を取得する画素情報取得手段151を備え、現像装置60は透磁率検知方式により2成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ152を有している。
【0029】
本実施形態ではトナー容器80にトナー情報を記録した記憶手段145を設け、トナー容器80毎に記憶された情報に基づいたトナー補給制御を実施している。トナー容器80は、このトナー容器80内に貯容されているトナーの特性情報の書き込み及び読み出しが可能な記憶手段145を有し、複写機本体100に設けられたトナー補給制御装置401によって記憶手段145のデータを読み込み、トナー容器80の保有するデータが更新された際に、記憶手段145からのゆるみ見掛け密度情報と画素情報取得手段151からの画素情報に基づいてトナー補給装置150の補給能力を補正する。
【0030】
また記憶手段145にはトナー容器80の固有ID情報が記憶されている。この固有情報は、例えばトナーの製造年月日や製造ロット等、トナー容器に入っているトナー固有の情報が記憶されている。記憶手段145はIDチップやバーコード等、本体側の図示しない読取装置と連携し自動読み込みが可能であることが好ましい。トナー入れ替え時に、セットされたトナーの特性値情報を取得する記憶手段145をIDチップとすることによって画像形成装置本体側が非接触で情報を読み取ることが可能となり、手入力での煩雑さや入力エラーを防ぐことが可能となる。
【0031】
次に、トナー補給制御装置401の制御動作を図7に示すフローチャートを用いて説明する。トナー補給制御装置401によるトナー補給制御は、通紙毎若しくは所定時間毎の間隔で実行される。先ず、入力画像より画素情報取得手段151を用いて各色の画素情報を得ておき、その画素情報より通紙毎若しくは所定時間毎のトナー消費量を算出してトナー補給量の算出を行う。そして、所定の制御間隔でトナー消費量と同量のトナー補給を行うことで、トナー濃度の変動を抑制する。トナー補給量は、サブホッパ61内に設けられている下スクリュ86の動作時間によって制御されるが、トナーのゆるみ見掛け密度の違いによりトナー補給装置150の補給能力が変動するため、補給能力の補正を行う。
【0032】
図8は、トナーのゆるみ見掛け密度とトナー補給装置150の補給能力との関係(シアン)を示している。同図に示すように、ゆるみ見掛け密度が高くなると補給能力も増加する傾向がある。本実施形態で示すカラー複写装置1に用いられるイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーは、何れも製造ロットによりゆるみ見掛け密度が0.38±0.02(g/cm)の範囲でばらつくことがある。
【0033】
ここで、ゆるみ見掛け密度の測定方法について説明する。先ず、10gのトナーを50mlのメスシリンダに入れた後、蓋をして50回振る。そして、蓋を開けて10分間静置後に目盛りを読み取り、計量したトナー量との比を算出してゆるみ見掛け密度とする。
【0034】
トナーの製造ロット毎に上述の方法によってゆるみ見掛け密度を測定し、トナー容器80固有の記憶手段145にそれぞれ記憶する。そして、記憶手段145が有するゆるみ見掛け密度情報をトナー容器80の交換時にトナー補給制御装置401が読み込み、トナー補給制御に用いる。ここで、トナー容器80の交換を行った直後に記憶手段145の情報に基づいてトナー補給能力を変更してしまうと、トナー容器80の交換前のトナーが現像装置60やサブホッパ61内に残留しているため、補給量に誤差が生じてしまう。この不具合の発生を防止すべく、トナー容器80の交換時より交換前のトナーが消費されるまでの旧トナー消費完了画素数を予め求めておく。トナー容器80の交換時から旧トナー消費完了画素数に至るまでは交換前トナーのゆるみ見掛け密度に基づく補給能力を用い、旧トナー消費完了画素数経過後には交換後トナーのゆるみ見掛け密度に基づく補給能力へと変更する。
【0035】
トナーニアエンド検知からの累積出力画素数は、各色の入力画素情報を加算することで算出し、旧トナー消費完了画素数にて交換後トナーのゆるみ見掛け密度に基づく補給能力になる。図9に示すように、累積出力画素数と補給能力との関係は1次線形でよく、トナーニアエンド検知からの累積出力画素数に基づいて補給能力を算出し、これを補給能力算出値として図9に破線で示す。トナーニアエンド検知からトナー容器80の交換までは交換前トナーのゆるみ見掛け密度に基づく補給能力を補給制御に用いる。トナー容器80の交換時より、補給能力算出値に基づいて補給制御に用いる補給能力(図9に実線で示す)を変更する。その後、0.05mg/msずつ段階的に更新していき、旧トナー消費完了画素数となったとき交換後トナーのゆるみ見掛け密度に基づく補給能力とする。
【0036】
トナー補給制御装置401により、トナー補給量と補給能力とからトナー補給時間(下スクリュ86の動作時間)を算出し、トナー補給制御を行う。加えて、現像装置60内の現像剤のトナー濃度を濃度測定手段としてのトナー濃度センサ152により検知する。現像装置60内のトナー濃度は適正範囲内に制御する必要があり、トナー濃度が適正範囲より高くなりすぎた場合にはトナー飛散等が、トナー濃度が低くなりすぎた場合にはキャリア付着等がそれぞれ発生してしまう。そのためトナー濃度に上下限を設け、トナー濃度が上限値となった場合には補給を停止し、トナー濃度が下限値となった場合には補給を行うことで、トナー濃度を上下限範囲内に保つように制御している。
【0037】
上述の構成より、記憶手段145のデータが更新された際に、このデータに基づいてトナー補給装置150の補給能力を変化させ、トナー補給制御装置401は画素情報と補給能力とによりトナー補給装置150の動作時間を算出するので、製造ロット毎のトナーのゆるみ見掛け密度を記録したトナー容器80を採用することにより、トナーのゆるみ見掛け密度による補給能力変動を補正し、正確なトナー補給制御を実施することができる。
【0038】
また、記憶手段145をIDチップとすることにより、画像形成装置本体側が非接触で情報を読み取ることができ、手入力での煩雑さや入力ミスを防ぐことができる。また、記憶手段145に記憶されたデータが更新された際には累積出力画素数に応じて補給能力を変化させることにより、トナー容器80が交換されてもすぐに現像装置60内のトナーが入れ替わるわけではなくトナーの入れ替わり具合に応じて補給能力を補正することができ、正確なトナー補給制御を実施することができる。また、トナー補給制御装置401はトナー濃度センサ152の測定結果に基づいてトナー濃度上下限範囲内にトナー濃度を維持するようにトナー補給装置150の動作を制御するので、トナー濃度が上下限範囲外となることを防止して異常の発生を防止することができる。さらに、サブホッパ61がトナーエンドセンサ69を有し、トナーエンドセンサ69により検知されたトナー量が閾値を下回ったときに粉体ポンプ70よりサブホッパ61にトナーが充填されるので、サブホッパ61内のトナー不足による補給量のばらつきを最小限に抑えることができる。
【0039】
上記実施形態では画像形成装置1として複数の感光体ドラム40を有するカラー複写機を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限定されず、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、これらの複合機、感光体ドラム40を1つのみ有するモノクロ複写機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置(カラー複写機)
20 潜像形成手段(タンデム画像形成装置)
40 像担持体(感光体ドラム)
60 現像装置
61 トナー収容体(サブホッパ)
69 トナー量検知手段(トナーエンドセンサ)
70 トナー充填手段(粉体ポンプ)
80 トナー容器
100 画像形成装置本体(複写機本体)
150 トナー補給装置
152 濃度測定手段(トナー濃度センサ)
145 記憶手段
401 トナー補給制御手段(トナー補給制御装置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2003−5503号公報
【特許文献2】特開平5−27528号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素情報に応じた潜像を像担持体上に形成する潜像形成手段と、前記像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、前記現像装置内に供給するトナーを収容するトナー収容体及び前記トナー収容体に充填するトナーを収容するトナー容器及び前記トナー容器より前記トナー収容体にトナーを充填するトナー充填手段とを有するトナー補給装置と、前記トナー補給装置の動作時間を制御するトナー補給制御手段とを有し、前記トナー容器はデータの入出力が可能な記憶手段を有すると共に、前記記憶手段に対してデータを読み込むデータ処理装置を画像形成装置本体に有し、前記記憶手段のデータが更新された際に、このデータに基づいて前記トナー補給装置の補給能力を変化させ、前記トナー補給制御手段は前記画素情報と前記補給能力とにより前記トナー補給装置の動作時間を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記記憶手段に記憶されたデータはトナー特性情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記記憶手段はIDチップであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記記憶手段に記憶されたデータが更新された際には、累積出力画素数に応じて補給能力を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置において、
トナー濃度を測定する濃度測定手段を有し、前記トナー補給制御手段は前記濃度測定手段の測定結果に基づいてトナー濃度上下限範囲内にトナー濃度を維持するように前記トナー補給装置の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記トナー収容体は内部のトナー量を検知するトナー量検知手段を有し、前記トナー量検知手段により検知されたトナー量が閾値を下回ったとき、前記トナー充填手段より前記トナー収容体へトナーが充填されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97261(P2013−97261A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241430(P2011−241430)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】