説明

画像書込み装置および画像形成装置

【課題】注目画素を取巻く主・副走査の画素を格納機能から同時に取出して、注目画素に対してデータ識別できることにより、1画素単位での線画を忠実に認識するデジタル発光素子書込み装置を提供する。
【解決手段】注目ラインの副走査3ライン目の画素を順にマトリクス判断していく。主走査5の画素101では、マトリクスより縦線と判断できる。ここで2値データから4値のコード化に変換する場合、偶数画素か奇数画素かも判断し、縦パターンの奇数と判断すると画素101は、01bコードとなる。さらに画素102では、横線の奇数と判断し、11bコードとなり、画素103は、0データの奇数で00bコード、画素104では、1dot孤立点の偶数と判断し、10bコード、画素105では、斜め線の偶数と判断し11bコードとなる。注目画素を取巻く主・副の画素を格納機能から同時に取出すことで、1画素単位で忠実に線画を表現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、デジタル複写機、複合機等の画像形成装置で用いるLEDアレイ
等の発光素子アレイを用いた画像書込装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体に光を照射して潜像を書き込む画像書込装置に、レーザー光によるLD走査方式
やLED発光素子をアレイ状にした発光素子アレイを用いた方式が利用されている。この
発光素子アレイ方式では、2値の画像を画像形成装置より出力すると、プロセス条件によ
り、1ドットの印字が横太りの楕円系に印字される。これが、1ドットの格子画像(5m
m間隔の画像)だとより鮮明に現れてきて、縦線が横線よりも太く印字されて縦横比が問
題になっていた。
この縦横比の問題を解決するために、LEDのバランス補正データを利用して制御して
いる方式がある。多値データでの対応としては、LED毎の階調データと複数のLEDか
らなるブロックの単位で出力バラツキを補正するデータと、ブロックの平均値に対する出
力バラツキを補正するデータとを加算し、加算したデータによりLEDのバラツキを抑え
ている。
2値での方式としては、2値の画像データとLED個々の補正データを加算させ階調を
忠実に再現する制御があるが、ドットの印字パワー(印字駆動電流制御)を調整している
ので、線画の向上ではあるが、縦横線幅の改善には至っていないのが実情であった。
また、LED発光素子アレイによっては、補正データと印字画像データを加算する方式
でないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の技術では、点灯回数を数回行って制御しているが、画像データを偶数
画素データ転送後、奇数画素データ転送を行う発光素子アレイユニットにおいて一度の画
像転送で各2回ずつの点灯としている。
また、特許文献2記載の技術では、データ転送を偶数データ・奇数データをそれぞれ数
回(2回ずつ)行い、偶数データでは、2回目のデータ転送時、主走査方向でパターン認
識し、1dot孤立点であれば、データを“1”から”0”に処理し、一方、奇数データ
は、1回目のデ―タで前記処理を行い、点灯時間との制御処理により、縦線幅を細くして
、縦横線幅の改善をしている。
しかし、従来の技術では、斜め線の画像に対しての制御については、考慮されていなか
った。
【0004】
そこで、本発明の第1の目的は、画像データ転送制御手段に複数ライン分の格納機能を
備えることにより、主・副走査方向の画像パターンを展開することができるデジタル発光
素子書込み装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、注目画素を取り巻く主・副走査の画素を格納機能から同時に取
り出して、注目画素に対してデータ識別できることにより、1画素単位での線画を忠実に
認識することができるデジタル発光素子書込み装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、注目画素を取り巻く主・副走査の画素のマトリクスは、操作設
定を可能にすることにより、データパターンを増減できるデジタル発光素子書込み装置を
提供することである。
本発明の第4の目的は、2値のデータを4値のコード化にすることにより、1画素単位
のデータを細分化できるデジタル発光素子書込み装置を提供することである。
本発明の第5の目的は、コード化する画素の識別を、決められたパターン認識すること
により、1画素単位のデータを細分化できるデジタル発光素子書込み装置を提供すること
である。
本発明の第6の目的は、決められる主・副走査のパターンは任意に設定可能とすること
により、使用者のニーズにあった細線の強調ができるデジタル発光素子書込み装置を提供
することである。
本発明の第7の目的は、コード化した画素を、1ライン間の数回の読み出し転送によっ
て、回数毎に4値のコード化から2値のデータへ個々に変換させることにより、どのパタ
ーンでも細線を忠実に再現できるデジタル発光素子書込み装置を提供することである。
本発明の第8の目的は、コピーモード、プリンタモードの出力モードによりコード化し
た画素の処理を切り替えることにより、画像品質を維持できるデジタル発光素子書込み装
置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、2値の画像データに応じて発光制御される複数個の発光素子
が一方向に列設された発光素子アレイと、当該発光素子アレイの発光光を感光体に結像さ
せる結像部とからなる複数の発光素子アレイユニットと、1ライン分の画像データを前記
発光素子アレイユニット毎に分割して各発光素子アレイユニットに転送して当該発光素子
アレイユニットの各発光素子を駆動させて主走査する画像データ転送制御手段と、を備え
た画像書込み装置において、前記複数の発光素子アレイユニットが、前記感光体の軸線方
向を主走査方向として副走査方向に所定量ずれて、主走査方向で所定量重なる状態で千鳥
状に配列され、前記画像データ転送制御手段が、主走査1ライン間に1ライン分の画像デ
ータを前記各発光素子アレイユニット毎に分割し転送して、1ライン間に複数回データ転
送制御して点灯時間を可変制御させて各発光素子を駆動させ、且つ複数ライン分の格納機
能を備えたことにより、前記第1の目的を達成する。
【0006】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、所定の注目画素を取り巻く主
・副走査の画素を前記格納機能から取り出して、注目画素に対してデータ識別を行うこと
により、前記第2の目的を達成する。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において、前記注目画素を取り巻く主・
副走査の画素のマトリクスを操作設定する設定手段をさらに備えたことにより、前記第3
の目的を達成する。
請求項4記載の発明では、請求項1、請求項2または請求項3記載の発明において、前
記2値の画像データを4値のコード化することにより、前記第4の目的を達成する。
【0007】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、前記コード化する画素の識別
は、決められたパターンを認識することにより決定されることにより、前記第5の目的を
達成する。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、決められる主・副走査のパタ
ーンは任意に設定可能であることにより、前記第6の目的を達成する。
【0008】
請求項7記載の発明では、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において
、コード化した画素は、前記画像データ転送制御手段による1ライン間の数回の読み出し
転送によって、回数毎に4値のコード化から2値のデータへ個々に変換させ、発光素子ア
レイユニットに転送することにより、前記第7の目的を達成する。
請求項8記載の発明では、請求項7記載の発明において、コピーモード、プリンタモー
ドの出力モードによりコード化した画素の処理を切り替えることにより、前記第8の目的
を達成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デジタル発光素子書込み装置において、画像データ転送制御手段に複
数ライン分の格納機能を備えることで、主・副走査方向の画像パターンを展開することが
でき、主・副の画像パターンも制御することで、出力する画像の線幅を改善することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例となる複写機の概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施例となる複写機のプロセスを示した図である。
【図3】LED書込制御回路の各ブロックを説明した図である。
【図4】LEDヘッドへのデータ転送を示した図である。
【図5】データ処理の方法を示した図である。
【図6】ドット径と画像(1dot格子)を示した図である。
【図7】ドット径と画像(1dot斜め)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施例に係る複写機の概要を示したブロック図である。この複写機は、原稿
を読み取る読取手段としての読取部100、読み取られた原稿情報を記憶する記憶手段と
しての画像情報記憶部300、記憶された情報を転写紙に複写するための書込部500、
また一連のプロセスを実行制御するシステム制御装置302、このシステム制御装置にキ
ー入力を行う操作手段としての操作部400等で構成されている。
【0012】
次に、図1及び図2を参照して読取部100の構成を説明する。図2は、本実施例に係
る複写機の構成を示した側面図である。
まず、オペレータが原稿を挿入口から挿入すると、原稿は、ローラ1の回転に応じて密
着センサ2と白色ローラ3間を搬送される。搬送中の原稿には、密着センサ2に取り付い
ているLEDにより照射され、その反射光は密着センサ2に結像され、原稿画像情報が読
み取られる。
図1のセンサ101上に結像した原稿画像は電気信号に変換され、このアナログ信号は
、画像増幅回路102で増幅される。A/D(アナログ/デジタル)変換回路103は、
画像増幅回路102で増幅されたアナログ画像信号を画素毎の多値デジタル画像信号に変
換する。
【0013】
そして、変換されたデジタル画像信号は、同期制御回路106から出力されるクロック
に同期して出力されシェーディング補正回路104により、光量ムラ、コンタクトガラス
の汚れ、センサの感度ムラ等による歪を補正する。この補正されたデジタル画像情報は、
画像処理回路105でデジタル記録画像情報に変換された後、画像メモリ部301に書き
込まれる。
【0014】
次に、画像メモリ部301に書き込まれた画像信号が転写紙に形成するための一連のプ
ロセスを制御しているシステム制御装置302と書込部500の構成について説明する。
システム制御装置302は、全体制御を行う機能があり、読取制御回路107、同期制御
回路106、画像メモリ部301、LED書込制御回路502での画像データ転送と駆動
制御回路504によりスキャナ駆動装置108、プリンタ駆動装置505を介してモータ
等を駆動させ読み取り原稿及び転写紙の搬送を円滑に制御している。
書込部500では、画像メモリ部301より同期信号クロックにより転送された画像信
号をLED書込制御回路502で1画素単位ビット変換し、LPH503で赤外光に変換
出力される。
【0015】
続いて、図2を参照して記録紙にいたるまでのプロセスを説明する。
帯電装置4は、感光体ドラム5を−1200Vに一様に帯電させるグリッド付きのスコ
ロトロンチャージャと呼ばれるものである。発光素子アレイユニット(LEDヘッド)6
は、LEDをアレー状に並べ、SLA(セルフォック(登録商標)レンズアレー)を介して感光体ドラム5に照射される。発光素子アレイユニット6のLEDヘッドは、図1のLPH503に相当する。
感光体ドラム5にデジタル画像情報に基づいたLED光が照射されると、光導電現象で
感光体表面の電荷が感光体ドラム5のアースに流れて消滅する。ここで原稿濃度の淡い部
分は、LEDを発光させないようにし、原稿濃度の濃い部分は、LEDを発光させる。こ
れにより感光体ドラム5のLED光非照射部は画像の濃淡に対応した静電潜像が形成され
る。
【0016】
この静電潜像を現像ユニット7によって現像する。現像ユニット7内のトナーは、撹拌
により負に帯電されておりバイアスは−700Vに印加されているため、LED光照射部
分だけにトナーが付着する。
一方転写紙は、3つの給紙台及び手差しから選択し、レジストローラ8で所定のタイミ
ングで感光体ドラム5の下部を通過し、この時に転写チャージャ9によりトナー像を記録
紙上に転写させる。記録紙は次に感光体ドラム5より分離チャージャ10により分離され
て搬送タンク11により搬送されて定着ユニット12に送られる。そして、そこでトナー
が記録紙に定着される。トナーが定着された記録紙は排紙トレイ14または13により機
外の前後に送られ排紙される。
【0017】
次に、画像メモリ部301から書込部500への画像信号の流れを説明する。
画像信号の流れは、画像メモリ部301から偶数画素(EVEN)、奇数画素(ODD
)の2値画像データが同時に転送速度16MHzでLED書込制御回路502に送られて
くる。2画素パラレルで送られてきた画像信号は、LED書込制御回路502内部で一旦
、1ラインに合成した後、3分割に割り当て、LEDヘッド503_1、503_2、5
03_3へ4画素同時に転送される。
【0018】
次に、図3を参照してLED書込制御回路502の各ブロックの説明を行う。
まず、画像データ入力部512について説明する。2値画像信号、すなわち偶数画素(
EVEN)、奇数画素(ODD)及びタイミング信号は、画像メモリ部301より低電圧
作動信号素子LVDSレシーバを使用しパラレルからシリアルに変換され、LED書込制
御回路502に16MHzで送られてくる。このLED書込制御回路502でもLVDS
レシーバを使用し、シリアル信号からパラレル信号に変換し、PKDE・PKDO・CL
KA・LSYNC_N・LGATE_N・FGATEIPU_Nとして、IC510に入
力する。
【0019】
次に、画像データRAM部1のSRAM550_1〜6について説明する。
IC510から2画素単位で出力されたDEOI[1:0]データは、CLKAに同期
しながら1ラインずつSRAM1から順に格納される。そして、SRAM1〜3まで3ラ
イン分のデータが格納され、4ライン目をSRAM4に転送している間に、他のSRAM
5、6、1、2、3のデータをアドレス順に読み出しIC510へ転送する。
転送されたデータのうち、SRAM1の1ライン目のデータに注目し、そのデータを取
り巻く主・副のデータと比較し2値から4値へコード化して次段へ転送する。さらに、2
ライン目のデータの処理は、5ライン目をSRAM5に転送している間に、SRAM6、
1、2、3、4のデータを順に読み出し2ライン目の注目データを主・副と比較し2値か
ら4値へコード化して次段へ転送する。
このようにSRAM1〜6を順番にトグルさせて、1ライン分のデータを格納させなが
ら、格納していない他5個のSRAMをアドレス順に同時に読み出し、注目ラインに対し
て主・副のマトリクスパターンとして2値から4値へコード化する。
【0020】
続いて、画像データRAM部2のSRAM514A_1〜514A_3、514B_1
〜514B_3について説明する。
IC510内にて、4値にコード化された偶数画素(EVEN 2ビット)、奇数画素
(ODD 2ビット)の画像信号を、4画素単位にし、SRAMDI[7:0]としてS
RAMアドレス信号ADRA[10:0]及びADRB[10:0]により、A群SRA
M3個(514A_1〜514A_3)、B群SRAM3個(514B_1〜514B_
3)に転送速度8MHzで格納される。
501_1〜503_3は、総dot数23040dot(A3幅7680dot×3
本)で画像信号転送が3分割方式のため、主走査1ライン分の画像信号をA群のSRAM
514A_1にLEDヘッド1・503_1の画像信号を、SRAM514A_2にLE
Dヘッド2・503_2の画像信号を、SRAM514A_3にLEDヘッド3・503
_3の画像信号を格納する。
8MHzでA群SRAM3個514A_1〜514A_3に順次格納された画像信号は
、次の2ライン目に16MHzでA群SRAM3個(514A_1〜514A_3)から
同時に読み出され、再びIC510へ入力され、画像信号を4画素(2ビト*4画素=8
ビット)から次のアドレスの4画素とラッチさせ8画素の中から、偶数画素4個分を取り
出し、画像データ遅延部のフィールドメモリ515_1〜515_3に転送速度8MHz
で送られる。このとき、LEDヘッド1・503_1は副走査の基準のため遅延動作しな
い。
【0021】
LEDヘッド2・503_2の画像信号はフィールドメモリ515_1へ、LEDヘッ
ド3・503_3はフィールドメモリ515_3へ転送される。SRAM群からの読み出
しは、1ライン間の4回行い、偶数画素分、奇数画素分、さらに2回目の偶数画素、奇数
画素を4画素単位に制御させる。
1ライン目のSRAMからの読み出し制御を行っている間に、次のラインをB群のSR
AM514B_1〜514B_3の3個にA群と同様に画像信号を格納する。
このリード、ライト動作をA郡SRAM3個514A_1〜514A_3、B郡SRA
M3個514B_1〜514B_3をトグル動作させることによりライン間の繋ぎを行う

【0022】
次に、画像データ遅延部のフィールドメモリ515_1〜515_3について説明する

(1)LEDヘッド2・503_2の画像データ遅延部のフィールドメモリ515_1
、515_2、A3幅LEDヘッド505_1〜505_3の3本を千鳥配置しているた
め、LEDヘッド1・503_1を基準とし、LEDヘッド2・503_2はメカレイア
ウト上、副走査方向に17.5mmずらして取り付けている。
このため、A郡SRAM3個(514A_1〜514A_3)、B郡SRAM3個(5
14B_1〜514B_3)から出力された画像信号を同時に処理し、LEDヘッド2・
503_2へ転送すると、LEDヘッド1・503_1に対してLEDヘッド2・503
_2は、副走査方向に17.5mm(17.5mm/42.3μm(600dpiの1d
ot)=416ライン)ずれて印字してしまう。
【0023】
このメカ的なずれを補正するため、4MHzでA群SRAM514A_2、B群SRA
M514B_2から出力されたLEDヘッド2・503_2の画像信号を8画素単位とし
てフィールドメモリ515_1に転送ライン順に2MHzで180ライン(固定)書き込
む。次に、書き込まれた順に2MHzでフィールドメモリ515_1より画像信号を読み
出すと同時に、カスケード接続されたフィールドメモリ515_2に236ライン(可変
)書き込む。
【0024】
次に、書き込まれた順に8MHzでフィールドメモリ515_2より画像信号を読み出
し、L2DFMO[7:0]として、再びIC510へ入力する。これによりLEDヘッ
ド2・503_2の画像信号は、416ライン遅延されたことになる。遅延させるライン
数はLEDヘッド2・503_2の部品制度、組付のバラツキにより個々に異なるため、
1ライン(42.3um)単位での制御が可能である。
【0025】
(2)LEDヘッド3・503_3画像データ遅延部
A3幅LEDヘッド(503_1〜503_3)3本を千鳥配置しているため、LED
ヘッド1・503_1を基準とし、LEDヘッド3・503_3はメカレイアウト上、副
走査方向に0.5mmずらして取り付けている。
このため、A郡SRAM3個514A_1〜514A_3、B郡SRAM3個(514
B_1〜514B_3)から出力された画像信号を同時に処理し、LEDヘッド3・50
3_3へ転送するとLEDヘッド1・503_1に対してLEDヘッド3・503_3は
、副走査方向に0.5mm(0.5mm/42.3μm(600dpiに1dot)=1
2ライン)ずれて印字してしまう。
【0026】
このメカ的なずれを補正するため、4MHzでA群SRAM514A_3、B群SRA
M3・514B_3から出力されたLEDヘッド3・503_3の画像信号を8画素単位
としてフィールドメモリ515_3に転送ライン順に2MHzで12ライン書き込む。
次に、書き込まれた順に2MHzでフィールドメモリ515_3より画像信号を読み出
し、L3DFMO[7:0]として再びIC510へ入力する。これにより、LEDヘッ
ド3・503_3の画像信号は12ライン遅延されたことになる。
遅延させるライン数はLEDヘッド3・503_3の部品制度、組付のバラツキにより
個々に異なるため、1ライン(42.3um)単位での制御が可能である。
【0027】
次に、画像データRAM部2のSRAM郡514A_1〜3、514B_1〜3につい
て説明する。
画像データRAM部1からのLEDヘッド1の画像データL1DI[7:0]と画像デ
ータ遅延部からのLEDヘッド2、3の画像データL2DFMO[7:0]、L3DFM
O[7:0]は、IC510を介して画像データRAM部2のSRAM郡514A_1〜
3、514B_1〜3へそれぞれ2MHzの転送速度で格納される。
格納された画像データは、次のライン間に8MHzの転送速度で4回読み出される。ア
ドレスはLEDヘッド7680dotであり8画素単位なので960アドレス分となる。
この960アドレスを4回繰り返す。8画素単位で読み出された画像データは、IC51
0内で4画素単位にデータ変換され、画像データ出力部519に転送される。
また、SRAM群550A_1〜3で読み出されている間、SRAM群550B_1〜
3では次のラインデータを書き込み、交互にラインの書き込み、読出しが行われる。
【0028】
続いて、画像データ出力部519について説明する。
画像データRAM部2で処理されたLEDヘッド1〜3の4ビット単位の画像データは
、LPH制御信号とともに出力され、ドライバを介し、各LEDヘッド503_1〜50
3_3に8MHzのスピードで転送される(L1〜L3CLKは4MHzの立ち上がり、
立下りエッジでデータが確定される)。
【0029】
次に、光量補正RAM部516について説明する。
LEDヘッド503_1〜503_3には各LED素子の光量バラツキを補正するため
にLED素子毎の補正データ及びLEDアレイチップ毎の補正データを各LEDヘッド内
に光量補正ROMを搭載している。
電源投入時、IC510のCPLD制御によりまずLEDヘッド503_1の光量補正
データを読出し、シリアル/パラレル変換し、8ビット単位の補正データHOSEID[
7:0]としてアドレスにより光量補正RAM部516に格納する。全ての補正データを
格納後、今度は、光量補正データSRAMから読出し、再びLEDヘッド503_1へ転
送させる。この動作をLEDヘッド2、3と順に行う。
転送した光量補正データは、LEDヘッド503_1〜503_3の電源をOFFしな
い限り、LEDヘッド503_1〜503_3内部にて補正データが保持される構成とな
っている。
【0030】
次に、システム制御装置302について説明する。
LED書込制御回路502への書き込み条件設定は、システム制御装置302からの制
御信号入力データバスLDATA[7:0]、アドレスバスLADR[5:0]、ラッチ
信号VDBCS、Pセンサパターン信号SGATE_NをIC510に入力することによ
り、制御される。
【0031】
以上説明してきた、機械全体構成、LED書込制御回路502により構成される本実施
例の具体的なLEDヘッドへの画像データの転送制御と点灯時間、さらに印字ドット径と
画像について以下に記載する。
まず、全体制御を捕らえるため、LEDヘッドへのデータ転送方式について説明する。
図4には、LEDヘッドへのデータ転送についてのタイミングを記載してある。RLS
YNCは、主走査1ライン間隔であり、クロックの立ち上がり、立下りエッジにより、画
像データを転送する。DATAは4画素単位の画像データである。
転送画像データは、まずLEDヘッド7680画素分(3840画素*2)の(1)偶
数画素データ:EVEN DATAを転送する。画素数は、LEDヘッド全画素7680
dotの半分の3840dotで4dot同時転送なので、3840/4=960カウン
ト分となる。転送後、LOAD信号によりデータをラッチさせる。
【0032】
次に、(2)奇数画素データ:ODD DATAを転送し、再びLOAD信号にてラッ
チさせる。再度、(3)偶数データ、(4)奇数データ転送しラッチ、印字とデータ転送
を2回繰り返す。
点灯信号:STRBは、LOWアクティブであり、(1)の偶数画素データの印字は、
(2)の奇数画素データ転送時にLOW5にしてLED発光し、(2)の奇数画素データ
の印字では、(3)の偶数画素データ転送時にLOW6にしてLED発光させる。
再度、(3)の偶数画素データに印字は、(4)の奇数画素データ転送時にLOW7に
して印字させ、(4)の奇数画素データの印字はその後LOW8で行う。
このとき、STRB信号はLOWでLED発光であり、LOWの期間を制御することに
よって画像印字時間を調整、ドットパワーを制御でき画像濃度を均一できる。画像濃度は
プロセス条件等により規制されていて、機械条件としては、主走査1ライン間隔の10%
前後のSTRB点灯・印字が適性である。10%とは、コピー線速と画素密度との関係よ
り、計算すると本件では主走査間隔705.6usecであり、その10%であると70
.56usec点灯期間となる。
さらに、コピアモードでは、データ転送を1回で、点灯信号を1回ずつの制御、つまり
、図4のデータ転送(1)→(2)とSTRB5、6で5、6は10%印字をする。本件
では、データ転送2回{(1)(2)で1回目、(3)(4)で2回目}となり、STR
B信号も5、7でduty10%、6、8でduty10%をする。この10%を比率制
御で3:1に分配して転送させる。よって、7.5%と2.5%となる。
【0033】
次に、前記のDATA転送に至るまでの本件におけるデータ処理について図5を参照し
て説明する。
主走査0〜23・・・・は1ラインデータであり、副走査1〜5はライン数となりこれ
が複数ライン分の格納機能部となる。この格納により、主・副のマトリクスパターンが確
定できる。
格納されたライン毎のデータより例として、注目ライン副走査3を上げる。注目画素(
主走査1)の画素100は黒でありデータは1である。ここで画素100と取り巻く主・
副の3画素×3画素のマトリクスでみると、画素100は、斜め線だと判断できる。
主走査方向のみでの判断では、この画素100は1dot孤立点と判断してしまうが、
主・副のマトリクスパターンでは、斜めパターンであるならば、あらかじめ決められたパ
ターンに合てはまるので、4値のコード化では、11bとなる。これにより、斜め線は、
データの間引きはしないことで画像を鮮明にできることになる。
【0034】
上記の方法で、注目ラインの副走査3ライン目の画素を順にマトリクス判断していくと
、主走査5の画素101では、マトリクスより縦線と判断できる。ここで2値データから
4値のコード化に変換する場合、偶数画素か奇数画素かも判断し、縦パターンの奇数と判
断すると画素101は、01bコードとなる。
さらに画素102では、横線の奇数と判断し、11bコードとなり、画素103は、0
データの奇数で00bコード、画素104では、1dot孤立点の偶数と判断し、10b
コード、画素105では、斜め線の偶数と判断し11bコードとなる。
このように、第2の実施例では、注目画素を取り巻く主・副の画素を格納機能から同時
に取り出すことで、注目画素のデータを認識でき、1画素単位で忠実に線画を表現できる

さらに、第3の実施例では、取り囲むマトリクスの画素を3画素×3画素から5画素×
5画素にもできるようにし、よりパターンのバリエーションを増すことができるようにな
っている。このように第3の実施例では、注目画素を取り巻く主・走査の画素のマトリク
スは、操作設定可能にさせているので、データパターンを増減でき、より忠実に線画を再
現することができる。
【0035】
第4の実施例では、注目画素を2値から4値へコード化することで、LEDヘッドへの
画像データ変換ができるようにする。よって、第4の実施例では、2値のデータを4値の
コード化することで、1画素単位のデータを細分化することができる。
第5の実施例では、第4の実施例において、コード化する画素の識別は、決められたパ
ターンを認識することにより決定する。そのため、1画素単位のデータを細分化でき、縦
・横・斜めの線幅の比率を改善することができる。
第6の実施例では、第5の実施例において、決められる主・副走査のパターンは任意に
設定可能としている。そのため、使用者のニーズにあった細線を強調することができる。
【0036】
図5に注目ライン106副走査3のパターン認識した画素のコードを表した。変換され
た画素は、注目画素101と注目画素104が対象となっている。これはコード化した画
素が4画素単位で、図3の画像データRAM部から読み出され、1ラッチさせて8画素単
位とされていて、さらにここから、偶数画素、奇数画素を4画素単位でセレクトしていく
。図4で(1)〜(4)のデータ転送順を述べたがこれに合うのが図5(1)〜(4)と
した。
図5の(1)と(3)は偶数データであり、注目ライン106のコード化画素から偶数
のみ選択し、コード化を1ビットのデータに変換させる。(1)では、00b→0、10
→1、11→1とし、(3)では、00b→0、11b→1と同様だが、10b→0とす
る。
(1)、(3)のLPHCLK1・107、LPHCLK2・108のデータ値は同様
であるが、LPHCLK3・109では、(1)が1010に対して、(3)は1000
となりデータを0にしていることになる。そうすれば点灯信号がONになってもデータが
0なので印字しないため、1回目の点灯信号の時間のみとなり線幅を細くすることができ
る。
【0037】
また、(2)と(4)は奇数データであり、注目ライン106のコード化した画素の奇
数のみ選択し、コード化を1ビットのデータに変換すると、01bコードを(2)では0
にし、(4)では1にすることでデータ変換する。よって、LPHCLK1・107の(
2)が0001であり(4)が0101となる。
上記のように、ある注目画素を主・副走査パターンからコード化し1ライン間に数回読
み出して転送し、データ変換と点灯時間から線を細くすることができるのが第7の実施例
である。この第7の実施例では、コード化した画素を、1ライン間の数回の読み出し転送
によって、回数毎に4値のコード化から2値のデータへ個々に変換させているので、どの
パターンでも細線を忠実に再現することができる。
また、第8の実施例においては、出力するモード、すなわち、コピアモードとプリンタ
モードに切り分け可能にすることで、コピアモードでの画像処理での画像とプリンタモー
ドでのデータ処理での階調性、線画を忠実に再現できる。本制御はプリンタモードでの制
御となる。
【0038】
続いて、図6を参照して、1ドット十字の印字ドット径と画像について説明する。
まず、偶数画素データ9をduty7.5%印字し、次に奇数データ10をduty2
.5%で印字する。duty2.5%なので点灯時間が少ないので濃度が薄くなる。
次に、再び偶数画素データ11をduty2.5%で印字する。1dot孤立点をパタ
ーン認識した場合は、データ0なので印字はしない。最後に奇数画素データ12をdut
y7.5%で印字する。
よって、ドット径は縦線では、データ処理制御によりduty7.5%のみ印字し、横
線では、duty2.5%+7.5%の10%印字となり、かつエッジ効果で濃度が強調
されることになる。上記の印字形式により、画像の縦線幅13と横線幅14の比率が改善
される。
【0039】
さらに、図7にて、斜め線の印字ドットと画像について説明する。従来は、主走査方向
での1dot孤立点での制御のため斜め線の場合、上記の図6と同様に縦線と認識してし
まい偶数画素データなら1回目印字し2回目印字しないでduty10%に対して、du
ty7.5%となり濃度が薄くなり、線がかすれ気味になってしまうので、本件により主
・副走査パターンにより斜め線の認識により2回とも印字し、duty10%の点灯時間
で濃度もコピーと同様になり、いろいろなパターンでの線を忠実に表現できるようになる

【符号の説明】
【0040】
100 読取部
101 センサ
102 画像増幅回路
103 AD変換回路
104 シェーディング補正回路
105 画像処理回路
106 同期制御回路
107 読取制御回路
108 スキャナ駆動装置
300 画像情報記憶部
301 画像メモリ部
302 システム制御装置
400 操作部
500 書込部
502 LED書込制御回路
503 LEDヘッド1〜3
504 駆動制御回路
505 プリンタ駆動装置
510 IC
512 画像データ入力部
516 光量補正RAM部
514A SRAM1〜3
514B SRAM1〜3
519 画像データ出力部
550 SRAM1〜SRAM6
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特願2003−412065
【特許文献2】特願2005−36620

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値の画像データに応じて発光制御される複数個の発光素子が一方向に列設された発光素
子アレイと、
当該発光素子アレイの発光光を感光体に結像させる結像部とからなる複数の発光素子ア
レイユニットと、
1ライン分の画像データを前記発光素子アレイユニット毎に分割して各発光素子アレイ
ユニットに転送して当該発光素子アレイユニットの各発光素子を駆動させて主走査する画
像データ転送制御手段と、を備えた画像書込装置において、
前記複数の発光素子アレイユニットが、前記感光体の軸線方向を主走査方向として副走
査方向に所定量ずれて、主走査方向で所定量重なる状態で千鳥状に配列され、
前記画像データ転送制御手段が、主走査1ライン間に1ライン分の画像データを前記各
発光素子アレイユニット毎に分割し転送して、1ライン間に複数回データ転送制御して点
灯時間を可変制御させて各発光素子を駆動させ、且つ複数ライン分の格納機能を備えたこ
とを特徴とするデジタル発光素子書込み装置。
【請求項2】
所定の注目画素を取り巻く主・副走査の画素を前記格納機能から取り出して、注目画素に
対してデータ識別を行うことを特徴とする請求項1記載のデジタル発光素子書込み装置。
【請求項3】
前記注目画素を取り巻く主・副走査の画素のマトリクスを操作設定する設定手段をさらに
備えたことを特徴とする請求項2記載のデジタル発光素子書込み装置。
【請求項4】
前記2値の画像データを4値のコード化することを特徴とする請求項1、請求項2または
請求項3記載のデジタル発光素子書込み装置。
【請求項5】
前記コード化する画素の識別は、決められたパターンを認識することにより決定されるこ
とを特徴とする請求項4記載のデジタル発光素子書込み装置。
【請求項6】
決められる主・副走査のパターンは任意に設定可能であることを特徴とする請求項5記載
のデジタル発光素子書込み装置。
【請求項7】
コード化した画素は、前記画像データ転送制御手段による1ライン間の数回の読み出し転
送によって、回数毎に4値のコード化から2値のデータへ個々に変換させ、発光素子アレ
イユニットに転送することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のデ
ジタル発光素子書込み装置。
【請求項8】
コピーモード、プリンタモードの出力モードによりコード化した画素の処理を切り替える
ことを特徴とする請求項7記載のデジタル発光素子書込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−91513(P2012−91513A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246070(P2011−246070)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2005−269681(P2005−269681)の分割
【原出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】