説明

画像検査システム

【課題】検査結果データを外部に出力する際のデータ出力タイミングの同期、非同期を複数の出力ごとに設定する。
【解決手段】検査制御/処理部4によって、複数の出力I/F7、それぞれのデータ出力タイミングの同期/非同期設定をし、出力制御部6によって、設定されたデータ出力タイミングで、検査結果データを外部に出力するよう複数の出力I/F7の出力制御をすることで実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象を撮像した画像に対して画像処理により所定の検査処理を行う画像検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの製造ラインにおいて製造された検査対象を撮像装置にて撮像し、撮像した画像に対して画像処理により所定の検査処理を行う画像検査システムがある。
【0003】
このような画像検査システムでは、撮像された画像に対して行う検査処理によって得られる複数の検査結果データを、それぞれ異なる外部機器に出力するための複数の出力インターフェースを備えている場合がある。画像検査システムの複数の出力インターフェースに接続された外部機器は、画像検査システムより出力インターフェースを介して出力された検査結果データを用いて、当該外部機器の機能に応じた所定の処理を実行することになる。
【0004】
ところで、高速処理が可能な画像処理を同期式の回路で行い、マトリクス演算などは非同期式の回路で処理をする画像処理システムが考案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−148965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように画像検査システムが備える複数の出力インターフェースは、入力インターフェースが異なる様々な外部機器との接続に対応できるようになっているため、それぞれ通信速度が異なっている。
【0006】
したがって、各出力インターフェースから、接続された外部機器に対して検査結果データを出力する際に、データ出力タイミングを全て同期するように出力させた場合、通信速度の遅い出力インターフェースに引きずられてしまい、画像検査システムの検査処理自体に遅延が生じてしまうといった問題がある。
【0007】
逆に、各出力インターフェースから、接続された外部機器に対して検査結果データを出力する際に、データ出力タイミングを全て非同期となるように出力させた場合、いくつかの外部機器に出力された検査結果データを用い、この外部機器同士が連携しながらの制御処理などが困難となってしまうといった問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、検査結果データを外部に出力する際のデータ出力タイミングの同期、非同期を複数の出力ごとに設定することができる画像検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像検査システムは、検査対象を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像を読み出して画像処理により所定の検査処理を行う検査処理手段と、前記検査処理手段によって行われた所定の検査処理の結果である検査結果データを外部に出力する複数の出力手段と、前記複数の出力手段、それぞれのデータ出力タイミングの同期/非同期設定をする設定手段と、前記設定手段によって設定されたデータ出力タイミングで、前記検査結果データを外部に出力するよう前記複数の出力手段の出力制御をする出力制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検査結果データを外部に出力する際のデータ出力タイミングの同期、非同期を複数の出力手段ごとに設定することができる。これにより、同期を選択した出力手段間では、検査結果データの先頭が一致、つまり検査結果データが同期して外部に出力されるため、同期出力された検査結果データの関連付けを容易にすることを可能とする。また、非同期を選択した出力手段では、ベストエフォート型の通信を実現することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、例えば図1に示すように構成された画像検査システムに適用される。この画像検査システムは、主として製造ラインにおいて部品等の品種の識別、異種部品の混入検査、組立作業や製品検査などの自動化のために、部品や製品等の検査対象の外観検査に使用されるものであって、画像処理の結果が検査対象の面積、形状、位置などの測定・認識に用いられ、これにより検査対象の良品、不良品などが判定される。
【0012】
この画像検査システムは、検査対象を撮像する撮像部1と、撮込み制御部2と、画像データを一時的に記憶する複数の画像メモリ3と、検査制御/処理部4と、検査用データ記憶部5と、出力制御部6と、複数の出力I/F(インターフェース)7とを備えている。出力I/F7は、例えば、パラレルI/F7A、シリアルI/F7B(RS−232C、RS485など)、高速シリアルI/F7C(Ethernet:登録商標、USBなど)、記憶媒体用I/F7D(SDメモリカード、CFメモリカードなどに対応)などである。
【0013】
撮込み制御部2は、図示しない操作入力部を介した外部からのユーザによる要求や内部からの要求に応じて、複数ある画像メモリ3から撮像部1で撮像された検査対象の画像の画像データを撮り込み可能なメモリ領域を有する画像メモリ3を検出して撮り込むよう、つまり画像データをメモリ領域に空きのある画像メモリ3に書き込むよう制御する。
【0014】
このとき、撮込み制御部2は、撮り込み可能なメモリ領域を有する画像メモリ3が存在しない場合、出力制御部6に対して、現在、画像データの撮り込みができない旨を出力I/F7を介して接続された外部機器に対して通知する信号を出力させるよう指示をする。
【0015】
検査制御/処理部4は、画像メモリ3に記憶された画像データと、検査用データ記憶部5に記憶された検査用データとを用いて、検査対象の良否検査などといった検査処理を行い検査結果データを生成する。例えば、検査制御/処理部4は、画像メモリ3に記憶された画像データと、検査用データ記憶部5に予め記憶されていた良品の画像データとの比較を行って、製品の面積、形状、位置などを測定し、良品又は不良品であるという検査結果データを生成する。
【0016】
検査制御/処理部4は、複数の出力I/F7のそれぞれのデータ出力タイミングを、同期させるのか、非同期とするのかを、図示しない操作入力部を介した外部からのユーザによる指示に応じてあらかじめ設定しておく。検査制御/処理部4は、生成した検査結果データを、上述したようにあらかじめ設定された同期、非同期といった出力設定に応じて出力制御部6に対して指示を行うことで、出力I/F7を介して接続された外部機器に対して設定されたデータ出力タイミングで検査結果データを出力させるよう制御する。
【0017】
このような構成の画像検査システムは、検査制御/処理部4の制御により、検査結果データの出力を待つことなく、次の検査対象を撮像した画像を次々に撮り込んで検査処理を実行するように、撮像された画像の画像データを撮り込み、検査処理を行い、検査結果データを出力するという一連の検査処理動作を多重化させた、いわゆるスワップ動作をすることもできる。
【0018】
次に、本発明の実施の形態として示す画像検査システムの検査制御/処理部4からの指示を受けた出力制御部6によってなされる複数の出力I/F7、それぞれに対する同期、非同期設定に応じたデータ出力タイミングの制御処理動作の一例について説明する。
【0019】
まず、図2に示すタイミングチャートを用いて、出力I/F7のパラレルI/F7A、シリアルI/F7B、高速シリアルI/F7Cのデータ出力タイミングを全て同期させた場合について説明する。
【0020】
図2(a)は、パラレルI/F7Aから出力されるData1(Data1−1,1−2,1−3…)のデータ出力タイミングを示し、図2(b)は、シリアルI/F7Bから出力されるData2(Data2−1,2−2,2−3…)のデータ出力タイミングを示し、図2(c)は、高速シリアルI/F7Cから出力されるData3(Data3−1,3−2,3−3…)のデータ出力タイミングを示している。
【0021】
図2に示すように、パラレルI/F7A、シリアルI/F7B、高速シリアルI/F7C、それぞれから出力させる検査結果データのデータ出力タイミングを全て同期させると、例えば、最も通信速度の速い高速シリアルI/F7Cから大容量の検査結果データを出力させるようにしたとしても、出力させる検査結果データの容量によっては、高速シリアルI/F7Cよりも通信速度の遅いパラレルI/F7A、シリアルI/F7Bから検査結果データを出力させる場合よりも遅くなってしまう虞がある。
【0022】
このような場合、検査結果データを出力するための時間を最も必要とする出力I/F7に引きずられる形で、他の出力I/F7から検査結果データを出力する時間も遅くなってしまうため、画像検査システムにおける検査タクトを、これ以上、短縮することができないといった問題が発生してしまう。
【0023】
そこで、本発明の実施の形態として示す画像検査システムでは、検査制御/処理部4により複数の出力I/F7、それぞれに対する同期、非同期設定をすることができることから、例えば、図3に示すように、出力I/F7のパラレルI/F7A、シリアルI/F7Bのデータ出力タイミングを同期させ、高速シリアルI/F7Cのデータ出力タイミングだけを非同期とするように設定することができる。
【0024】
図3(a)は、パラレルI/F7Aから出力されるData1(Data1−1,1−2,1−3…)のデータ出力タイミングを示し、図3(b)は、シリアルI/F7Bから出力されるData2(Data2−1,2−2,2−3…)のデータ出力タイミングを示し、図3(c)は、高速シリアルI/F7Cから出力されるData3(Data3−1,3−2,3−3…)のデータ出力タイミングを示している。
【0025】
図3に示すように、パラレルI/F7A、シリアルI/F7Bから出力される検査結果データ(Data1,2)は、パラレルI/F7A、シリアルI/F7Bに較べて大きな容量の検査結果データ(Data3)を出力している高速シリアルI/F7Cの出力時間に引きずられることがなく、Data1,2の出力時間に応じて出力がなされるため、高速シリアルI/F7Cから検査結果データが出力されるのを待つことなく、次の検査結果データを出力することができる。したがって、画像検査システムの検査タクトを、最も早いデータ出力タイミングとなるパラレルI/F7A、シリアルI/F7Bに合わせることができるため、高速な検査タクトを実現することができる。
【0026】
例えば、図3(a)、(b)に示す検査結果データであるData1,2を外部機器の制御に用いられるデータとし、図3(c)に示す検査結果データであるData3を不良画像データとして、この不良画像データを出力し、外部のサーバなどに保存するといった構成において特に有効となる。この場合、図3(c)に示すData3は、不良画像データであることから、検査処理により得られた画像データの全てを高速シリアルI/F7Cから出力することはないため、画像検査システムの検査タクトを同期出力させているData1,2に合わせて高速化を図ったとしても、全く問題なく必要な不良画像データのみを確実に出力させていくことができる。
【0027】
このように、本発明の実施の形態として示す画像検査システムは、検査結果データを外部に出力する際のデータ出力タイミングの同期、非同期を複数の出力手段ごとに設定することができるため、同期を選択した出力I/F7間では、検査結果データの先頭が一致、つまり検査結果データが同期して外部に出力されるため、同期出力された検査結果データの関連付けを容易にすることができ、非同期を選択した出力I/F7では、接続された外部機器との間でベストエフォート型の通信を実現することができる。
【0028】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態として示す画像検査システムの構成について説明するための図である。
【図2】画像検査システムの複数の出力I/Fのデータ出力タイミングを全て同期させるように制御した場合について説明するためのタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施の形態として示す画像検査システムの複数の出力I/Fのデータ出力タイミングを同期、非同期を任意に設定した場合について説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0030】
1 撮像部
2 撮込み制御部
3 画像メモリ
4 検査制御/処理部
5 検査用データ記憶部
6 出力制御部
7 出力I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像を読み出して画像処理により所定の検査処理を行う検査処理手段と、
前記検査処理手段によって行われた所定の検査処理の結果である検査結果データを外部に出力する複数の出力手段と、
前記複数の出力手段、それぞれのデータ出力タイミングの同期/非同期設定をする設定手段と、
前記設定手段によって設定されたデータ出力タイミングで、前記検査結果データを外部に出力するよう前記複数の出力手段の出力制御をする出力制御手段とを備えること
を特徴とする画像検査システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−110121(P2009−110121A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279538(P2007−279538)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】