説明

画像消去装置および画像消去装置における用紙搬送方法

【課題】画像消去装置におけるシートの重送を防止する。
【解決手段】シート積載トレイは、画像消去を行うシートを供給する。第1の給紙ローラは、シート積載トレイからシートを取り込む。一対の分離ローラは、第1の給紙ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートを分離する。一対の第2の給紙ローラは、分離ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートをシート搬送方向に搬送する。搬送検出センサは、第2の給紙ローラの近傍に設けられ、シートの通過を検知する。シート搬送装置は、シートを搬送する。積載装置は、加熱装置によって画像消去されたシートを積載する。制御装置は、搬送検出センサの出力に基づいてシートの重送を検知した場合、一対の分離ローラの一方をシート搬送方向、他方をシート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像消去装置および画像消去装置における用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源化の要請から消色可能な現像剤によって画像形成する画像形成装置および消色装置が導入されている。この消色装置は、消色可能な現像剤にて画像形成された記録媒体(使用済みシート)に熱や光を加えて現像剤を消色し、画像を消去することができるため、画像消去後の記録媒体の再利用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−94959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術においては、画像消去の対象である使用済みシートが重送(ダブルフィード)された場合、あるいは、ステイプル処理が施されているシート束や付箋紙などが貼付されたシートが取り込まれた場合には、搬送路内にシートが詰まってしまい、ジャムを起こしてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、画像消去の対象である使用済みシートの重送を防止し、画像消去が可能な画像消去装置および画像消去装置における用紙搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によれば、画像消去装置は、シート積載トレイと、第1の給紙ローラと、一対の分離ローラと、一対の第2の給紙ローラと、搬送検出センサと、シート搬送装置と、加熱装置と、積載装置と、を備える。
【0007】
シート積載トレイは、画像消去を行うシートを供給する。第1の給紙ローラは、シート積載トレイからシートを取り込む。一対の分離ローラは、第1の給紙ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートを分離する。
【0008】
一対の第2の給紙ローラは、一対の分離ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートをシート搬送方向に搬送する。搬送検出センサは、一対の第2の給紙ローラの近傍に設けられ、シートの通過を検知する。
【0009】
シート搬送装置は、シートを搬送する。加熱装置は、シートを現像剤の消色温度以上に加熱し、シートに形成された画像を消去する。積載装置は、画像消去されたシートを積載する。制御装置は、搬送検出センサの出力に基づいてシートの重送を検知した場合、一対の分離ローラの一方をシート搬送方向、他方をシート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施態様の画像消去装置を示す概略構成図。
【図2】図1に示す画像消去装置の内部構造を示す斜視図。
【図3】図1に示す画像消去装置のシート搬送機構を下面側から見た図。
【図4】図1に示す画像消去装置の分離ローラの構造を示す断面図。
【図5】図1に示す画像消去装置の第2の給紙ローラの構造を示す断面図。
【図6】図1に示す画像消去装置の構成例を示すブロック図。
【図7】ステイプルされていないシートの搬送方法を説明する図。
【図8】ステイプルされたシート束の搬送方法を説明する図。
【図9】本発明の応用例に係る画像消去装置の要部の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施態様によれば、画像消去装置は、シート積載トレイと、第1の給紙ローラと、一対の分離ローラと、一対の第2の給紙ローラと、搬送検出センサと、シート搬送装置と、加熱装置と、積載装置と、を備える。
【0012】
シート積載トレイは、画像消去を行うシートを供給する。第1の給紙ローラは、シート積載トレイからシートを取り込む。一対の分離ローラは、第1の給紙ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートを分離する。
【0013】
一対の第2の給紙ローラは、一対の分離ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートをシート搬送方向に搬送する。搬送検出センサは、一対の第2の給紙ローラの近傍に設けられ、シートの通過を検知する。
【0014】
シート搬送装置は、シートを搬送する。加熱装置は、シートを現像剤の消色温度以上に加熱し、シートに形成された画像を消去する。積載装置は、画像消去されたシートを積載する。制御装置は、搬送検出センサの出力に基づいてシートの重送を検知した場合、一対の分離ローラの一方をシート搬送方向、他方をシート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させる。
【0015】
以下、添付図面を例にとって、本発明の実施態様について詳細に説明する。
<第1の実施態様>
図1は、本発明の一実施態様の画像消去装置1を示す概略構成図である。図2は、図1に示す画像消去装置1の内部構造を示す斜視図である。図3は、図1に示す画像消去装置1のシート搬送機構を下面側から見た図である。
【0016】
図1に示すように、画像消去装置1は、シート積載トレイ9と、第1の給紙ローラ10と、一対の分離ローラ11A,11Bと、一対の第2の給紙ローラ12A,12Bと、第1の搬送検出センサ13と、第2の搬送検出センサ14と、シート搬送装置20と、加熱装置15と、積載装置22A,22B,22Cと、を備える。
【0017】
シート積載トレイ9は、画像消去するシート状の記録媒体(以下、単に「シート」と呼ぶ)を積載し、供給するトレイである。第1の給紙ローラ10は、回転駆動によって、シート積載トレイ9からシートを順次取り込むローラである。
【0018】
分離ローラ11A,11Bは、第1の給紙ローラ10よりもシート搬送方向(矢印X方向)の下流側に設けられ、回転駆動によってシートを分離する一対のローラである。例えば、ステイプルされていないシート束が取り込まれた場合、後述する制御装置からの制御指令に基づいて分離ローラ11Aをシート搬送方向に回転駆動させ、分離ローラ11Bをシート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させるという従来技術を用いて、シートの分離が可能となる。図4は、図1に示す画像消去装置1の分離ローラ11A,11Bの構造を示す断面図である。
【0019】
第2の給紙ローラ12A,12Bは、一対の分離ローラ11A,11Bよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、回転駆動によってシートをシート搬送方向に搬送する一対のローラである。図5は、図1に示す画像消去装置1の第2の給紙ローラ12A,12Bの構造を示す断面図である。
【0020】
第1の搬送検出センサ13は、第2の給紙ローラ12A,12Bの近傍またはシート搬送方向の下流側に設けられ、シートが分離ローラ11A,11Bの間を通過したことを検知するセンサであって、反射型、あるいは透過型のフォトセンサ、更に厚さを検知するセンサ、あるいはこれらの組み合わせなどを用いることが出来る。
【0021】
第2の搬送検出センサ14は、第1の搬送検出センサ13よりもシート搬送方向の下流側に設けられ、シートの通過を検出するとともに、第1の搬送検出センサ13と協働してシートの分離完了を検知するセンサである。この第2の搬送検出センサ14には、第1の搬送検出センサ13と同種のセンサを用いることが出来る。
【0022】
加熱装置15は、第2の搬送検出センサ14よりも下流側に設けられ、搬送されたシートを現像剤の消色温度以上に加熱し、シートに形成された画像を消去する装置である。加熱装置15はシート搬送装置20の両側に一対設けられるものとする。加熱装置15は、シート上の現像剤の色が消える温度である消色温度までシートを加熱する。例えば、現像剤としてロイコ染料などの消色インクが用いられるが、この消色インクは、加熱によって一定の温度(例えば80〜100℃)以上になると消色する。
【0023】
スキャナ16A、16Bは、加熱装置15のシート搬送方向下流に設けられ、光学的にシートの画像を読み取る装置である。スキャナ16A、16Bはシート搬送装置20の両側に一対設けられる。後述する制御装置は、スキャナ16A、16Bの出力に基づいて、シートの画像消去が成功したか否かを判定する。
【0024】
シート搬送装置20は、シート積載トレイ9と積載装置22A,22B,22Cをそれぞれ結ぶシート搬送経路上に複数対設けられた搬送ローラ20A,20Bと、搬送経路を切り替える切り替え装置21からなり、画像消去装置1内でシートを搬送する。
【0025】
切り替え装置21は、ステイプルされていないシートをシートのサイズごとに仕分けて積載装置22Aまたは積載装置22Bに、ステイプルされているシート束を積載装置22Cに積載する。尚、画像消去の成否によってシートの蓄積先を更に分類してもよい。
【0026】
図6は、図1に示す画像消去装置1の構成を示すブロック図である。図6に示すように、画像消去装置1の制御装置501には、メモリ502、シート搬送装置20、加熱装置15、スキャナ16A,16B、搬送検出センサ13,14、ローラ昇降装置32がそれぞれ接続されており、各装置の制御をおこなう。制御装置501としては、CPU(Central Processing Unit)や、CPUと同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)などを用いることができる。
【0027】
制御装置501は、第1の搬送検出センサ13の出力に基づいてシートの搬送を検知した場合、一対の分離ローラ11A,11Bの一方をシート搬送方向に回転駆動、他方をシート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させる制御を行う。搬送距離は任意に変更可能である。
【0028】
また、制御装置501は、一対の分離ローラ11A,11Bによるシート分離処理を開始してから所定時間経過しても第1の搬送検出センサ13において重送状態が解除されず、第2の搬送検出センサ14においてシートの通過が検出されない場合には、重送されたシート束はステイプル処理が施されたものであると判定する。この場合、制御装置501は、ローラ昇降装置32によって分離ローラ11A,11Bおよび一対の第2の給紙ローラ12A,12Bを駆動し、分離ローラ11A,11Bを搬送対象のシート束から離間するとともに、シート束を一対の第2の給紙ローラ12A,12Bで挟み込んで、搬送を行う。
【0029】
更に、制御装置501は、シート搬送装置20によるシート搬送や加熱装置15のON/OFFおよび加熱温度の制御なども行う。
【0030】
メモリ502は、画像消去装置1による各処理を実行するためのプログラムや各種のセンサの検出値などを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ502は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができる。
【0031】
以下、上記のように構成せれた画像消去装置1におけるシート搬送方法を図7および図8に基づいて説明する。
【0032】
図7は、シートがステイプルされていない場合のシート搬送方法を説明する図である。ここでは、シートP1およびシートP2からなるシート束が重送された場合を例に説明する。
【0033】
先ず、ユーザが操作ボタン(図示省略する)等によって画像消去要求を行うと、制御装置501は、第1の給紙ローラ10を矢印m方向に回転駆動し、シート積載トレイ9から再利用するシートの搬送を開始する(図7(a))。
【0034】
次に、シート束の先頭部分は、一対の分離ローラ11A,11Bの間を通過し、一対の第2の給紙ローラ12A,12Bの間に達する(図7(b))。この時、第1の搬送検出センサ13は、第2の給紙ローラ12A,12Bの近傍に設けられているため、シート束の先頭部分が分離ローラ11A,11Bを通過したことを検出できる。このとき、第1の搬送検出センサ13は、シートの通過信号を制御装置501側へ出力する。
【0035】
次に、制御装置501は、第1の搬送検出センサ13の出力に基づいてシートの通過を検知した場合、シート束の上面側に設けられている分離ローラ11Aをシート搬送方向(矢印m方向)に回転駆動、シート束の下面側に設けられている分離ローラ11Bをシート搬送方向とは逆方向(矢印t方向)に一定距離だけ回転駆動させる制御を行う(図7(c))。尚、一定距離とは重送された用紙を十分に分離できる距離をいう。例えば、一対の分離ローラ11A,11Bのニップ位置から第2の搬送検出センサ14の位置までが10mmとすると15mm程度、すなわち、約1.5倍程度の距離だけ逆方向に搬送する。また、第2の搬送検出センサ14が、搬送方向に移動したシートP1の到達を検出すると、制御装置501は、分離ローラ11Bを下方向に移動してシートP2から離間する。
【0036】
そして、制御装置501は、第2の搬送検出センサ14からシート通過信号を検知するとともに、一対の分離ローラ11A,11Bから離間されたシートP1を第2の給紙ローラ12A,12Bとシート搬送ローラ20A,20Bによって引き続き搬送する。また、シートP2はシート積載トレイ9の方向へ移動する(図7(d))。
【0037】
このような駆動制御を行うことにより、分離ローラ11A、11Bに複数枚のシートが重送されてきた場合であっても、シート毎に分離が可能となるため、ジャムの発生を防止することができる。
【0038】
図8は、シートがステイプルされている場合のシート搬送方法を説明する図である。ここでは、シートP1およびシートP2がステイプル処理されたシート束が搬送された場合を例に説明する。尚、図中の符号Sはステイプルの位置を表している。
【0039】
先ず、ユーザが操作ボタン(図示省略する)等によって画像消去要求を行うと、制御装置501は、第1の給紙ローラ10を矢印m方向に回転駆動し、シート積載トレイ9から再利用するシートの搬送を開始する(図8(a))。
【0040】
次に、シート束の先頭部分は、一対の分離ローラ11A,11Bの間を通過し、一対の第2の給紙ローラ12A,12Bの間に達する(図8(b))。この時、第1の搬送検出センサ13は、第2の給紙ローラ12A,12Bの近傍に設けられているため、シート束の先頭部分が分離ローラ11A,11Bを通過したことを検出できる。また、第1の搬送検出センサ13は、シートの通過信号を制御装置501側へ出力する。
【0041】
次に、制御装置501は、第1の搬送検出センサ13の出力に基づいてシートの通過を検知した場合、シート束の上面側に設けられている分離ローラ11Aをシート搬送方向(矢印m方向)に回転駆動、シート束の下面側に設けられている分離ローラ11Bをシート搬送方向とは逆方向(矢印t方向)に一定距離だけ回転駆動させる制御を行う。しかし、ステイプル処理が施されている場合には、シート束はシート搬送方向の上流および下流方向に引っ張られる。このため、シートの分離がうまく行かずに、複数枚のシート束が第1の搬送検出センサ13の近くに滞ることになる。
【0042】
したがって、制御装置501は、一対の分離ローラ11A,11Bによるシート分離処理を開始してから所定時間経過しても第1の搬送検出センサ13におけるシートの重送状態が解除されず、第2の搬送検出センサ14においてシートの通過が検出されないため、搬送対象はステイプル処理が施されたシート束であると判定する(図8(c))。このとき、第2の搬送検出センサ14は、シートの重送検出信号およびステイプルの検出信号を制御装置501側へ出力する。
【0043】
次に、制御装置501は、第1の搬送検出センサ13および第2の搬送検出センサ14の出力に基づいてシートの重送およびステイプルの存在を検知した場合、ローラ昇降装置32によって分離ローラ11Bを下方、第2の給紙ローラ12Bを上方へ駆動する。搬送対象のシート束を一対の第2の給紙ローラ12A,12Bの間に挟み込んで、搬送を行うと、シート束の先頭は第2の搬送検出センサ14に達する(図8(d))。
【0044】
そして、制御装置501は、第2の搬送検出センサ14からシート通過信号を検知するとともに、シート束を給紙ローラ12A,12Bとシート搬送ローラ20A,20Bによって引き続き搬送する(図8(e))。
【0045】
このような駆動制御を行うことにより、ステイプル処理されたシート束が搬送されてきた場合であっても分離ローラ11A,11Bおよび第2の給紙ローラ12A,12Bの回転方向および昇降駆動を制御することで、シートの搬送不良を防止できる。また、加熱装置15においてはシート束単位での画像消去が可能となる。
【0046】
<第2の実施態様>
次に、本発明の第2の実施態様について説明する。本実施態様では、第1の搬送検出センサ13として超音波センサを利用し、シートの通過だけでなく、シートの重送についても同時に判定する。
【0047】
以下、図8を参照しつつ、第1の実施態様との違いを説明する。図8は、シートがステイプルされている場合のシート搬送方法を説明する図である。ここでは、シートP1およびシートP2がステイプル処理されたシート束が搬送された場合を例に説明する。尚、図中の符号Sはステイプルの位置を表している。
【0048】
先ず、ユーザが操作ボタン(図示省略する)等によって画像消去要求を行うと、制御装置501は、第1の給紙ローラ10を矢印m方向に回転駆動し、シート積載トレイ9から再利用するシートの搬送を開始する(図8(a))。
【0049】
次に、シート束の先頭部分は、一対の分離ローラ11A,11Bの間を通過し、一対の第2の給紙ローラ12A,12Bの間に達する(図8(b))。この時、第1の搬送検出センサ13は、第2の給紙ローラ12A,12Bの近傍に設けられているため、シート束の先頭部分が分離ローラ11A,11Bを通過したことを検出できる。また、超音波センサである第1の搬送検出センサ13は、搬送されたシートが複数枚のシート束であることを検出し、シートの通過信号と併せてシート束の検出信号(重送信号)を制御装置501側へ出力する。
【0050】
次に、制御装置501は、第1の搬送検出センサ13の出力に基づいてシート束の通過と重送を検知した場合、シート束の上面側に設けられている分離ローラ11Aをシート搬送方向(矢印m方向)に回転駆動、シート束の下面側に設けられている分離ローラ11Bをシート搬送方向とは逆方向(矢印t方向)に一定距離だけ回転駆動させる制御を行う。しかし、ステイプル処理が施されている場合には、シート束はシート搬送方向の上流および下流方向に引っ張られる。このため、シートの分離が上手く行かずに、複数枚のシート束が第1の搬送検出センサ13の近くに滞ることになる。
【0051】
制御装置501は、一対の分離ローラ11A,11Bによるシート分離処理を開始してから所定時間経過しても第1の搬送検出センサ13においてシートの重送状態が解除されないため、搬送対象はステイプル処理が施されたシート束であると判定する(図8(c))。このとき、第2の搬送検出センサ14は、シートの重送検出信号およびステイプルの検出信号を制御装置501側へ出力する。次に、制御装置501は、第1の搬送検出センサ13および第2の搬送検出センサ14の出力に基づいてシートの重送およびステイプルの存在を検知した場合、ローラ昇降装置32によって分離ローラ11Bを下方、第2の給紙ローラ12Bを上方へ駆動する。搬送対象のシート束を一対の第2の給紙ローラ12A,12Bの間に挟み込んで、搬送を行うと、シート束の先頭は第2の搬送検出センサ14に達する(図8(d))。
【0052】
そして、制御装置501は、第2の搬送検出センサ14からシート通過信号を検知するとともに、シート束を給紙ローラ12A,12Bとシート搬送ローラ20A,20Bによって引き続き搬送する(図8(e))。
【0053】
このように、本実施形態では第1の搬送検出センサ13として超音波センサを用いることによって、第1の搬送検出センサ13を通過した時点で、シートの重送を物理的に判断することができるため、シート重送の検出を迅速に行えるという利点がある。
【0054】
図9は、本発明の応用例に係る画像消去装置の要部の概略構成図である。ここでは、第1の給紙ローラ10と分離ローラ11A,11Bの間および分離ローラ11A,11Bと第2の給紙ローラ12A,12Bの間にシートにかかる力を検出する撓み検出センサ30を配置している。撓み検出センサ30が所定のしきい値以上の圧力を検出した場合、シートから一対の分離ローラ11A,11Bを速やかに離間させるものとする。
【0055】
このように、撓み検出センサ30を更に設けることによって、シートの重送およびステイプル処理の有無を物理的に判断することができる。この場合、シートに余分なダメージを与えることなく分離を停止する事が可能となる利点がある。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…画像消去装置
9…シート積載トレイ
10…第1の給紙ローラ
11A,11B…分離ローラ
12A,12B…第2の給紙ローラ
13…第1の搬送検出センサ
14…第2の搬送検出センサ
20…シート搬送装置
15…加熱装置
22A,22B,22C…積載装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像消去を行うシートを供給するシート積載トレイと、
前記シート積載トレイから前記シートを取り込む第1の給紙ローラと、
前記第1の給紙ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、前記シートを分離する一対の分離ローラと、
前記一対の分離ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられ、前記シートを前記シート搬送方向に搬送する一対の第2の給紙ローラと、
前記一対の第2の給紙ローラの近傍に設けられ、前記シートの通過を検知する搬送検出センサと、
前記シートを搬送するシート搬送装置と、
前記搬送検出センサよりも前記シート搬送方向の下流側に設けられ、前記シートを現像剤の消色温度以上に加熱し、前記シートに形成された画像を消去する加熱装置と、
前記画像消去された前記シートを積載する積載装置と、
前記搬送検出センサの出力に基づいて前記シートの重送を検知した場合、前記一対の分離ローラの一方を前記シート搬送方向、他方を前記シート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させる制御装置と、
を備えることを特徴とする画像消去装置。
【請求項2】
前記搬送検出センサは、
前記一対の第2の給紙ローラの近傍または前記シート搬送方向の下流側に設けられ、前記シートが前記第2の給紙ローラを通過したことを検知する第1の搬送検出センサと、
前記第1の搬送検出センサよりも前記シート搬送方向の下流側に設けられ、前記シートの通過および前記シートの分離完了を検知する第2の搬送検出センサと、
からなることを特徴とする請求項1記載の画像消去装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の搬送検出センサおよび前記第2の搬送検出センサの出力のタイムラグに基づいて搬送対象となるシートがステイプル処理の施されたシート束か否かを判定することを特徴とする請求項2記載の画像消去装置。
【請求項4】
前記一対の第2の給紙ローラを昇降させるローラ昇降装置を更に備え、
前記制御装置が前記搬送対象となるシートは前記ステイプル処理の施されたシート束であると判定した場合に、前記ローラ昇降装置は、前記シート搬送方向へ回転駆動している前記一対の第2の給紙ローラで前記シート束を挟み込むことを特徴とする請求項3記載の画像消去装置。
【請求項5】
前記第1の搬送検出センサは、前記シートが前記第2の給紙ローラを通過したことおよび前記シートの重送を検知する超音波センサであることを特徴とする請求項4記載の画像消去装置。
【請求項6】
前記第1の給紙ローラと前記一対の分離ローラの間に設けられ、前記前記分離ローラから前記シートに加わる力を検出する撓み検出センサを更に備え、
前記撓み検出センサが所定のしきい値以上の力を検知した場合、前記ローラ昇降装置は、前記一対の分離ローラを前記シートから離間させることを特徴とする請求項4記載の画像消去装置。
【請求項7】
前記加熱装置よりも前記シート搬送方向の下流側に設けられ、搬送対象となる前記シートのサイズ、前記画像消去の成否、またはシート枚数に基づいて搬送経路を切り替える切り替え装置を更に備えることを特徴とする請求項4記載の画像消去装置。
【請求項8】
前記制御装置が搬送対象は前記ステイプル処理の施されたシート束であると判定した場合に、前記切り替え装置は前記シートの搬送経路をシート束用に切り替えることを特徴とする請求項7記載の画像消去装置。
【請求項9】
制御装置からの制御指令に基づいて第1の給紙ローラが、画像消去を行うシートを積載する前記シート積載トレイから前記シートを取り込むステップと、
前記第1の給紙ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられた一対の分離ローラが、前記制御装置からの制御指令に基づいて前記取り込まれたシートを分離するステップと、
前記一対の分離ローラよりもシート搬送方向の下流側に設けられた一対の第2の給紙ローラが、前記制御装置からの制御指令に基づいて前記分離されたシートを前記シート搬送方向に搬送するステップと、
前記一対の第2の給紙ローラの近傍に設けられた搬送検出センサが、前記一対の第2の給紙ローラから搬送された前記シートの通過および前記シートの重送を検知するステップと、
前記制御装置が、前記搬送検出センサの出力に基づいて前記シートの重送を検知した場合、前記一対の分離ローラの一方を前記シート搬送方向、他方を前記シート搬送方向の逆方向に一定距離だけ回転駆動させて前記シートを分離するステップと、
前記制御装置が、前記搬送検出センサの出力に基づいて前記シートの分離完了を検知した場合、前記搬送検出センサよりも前記シート搬送方向の下流側に設けられた加熱装置で、前記シートを現像剤の消色温度以上に加熱し、前記シートに形成された画像を消去するステップと、
を有することを特徴とする画像消去装置における用紙搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−184201(P2011−184201A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47599(P2011−47599)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】