説明

画像濃度制御方法及び画像形成装置

【課題】現像スリーブ一周分手前の領域がベタ画像であったとしても、画像形成領域全体に亘って均一な濃度を得ることができ、常に安定した画像品質を得ることができる画像濃度制御方法を提供する。
【解決手段】画像領域における現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率を取得し、その画像面積率に応じて現像スリーブ一周分目以降の領域の現像ポテンシャルを増加させる。例えば帯電バイアスを低下させることにより現像ポテンシャルを増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像濃度制御方法、該画像濃度制御方法を実施するための機能を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置では、常に安定した画像濃度が得られるようにするために、感光体等の像担持体上に濃度検知用トナーパッチ(以下、「トナーパターン」、「濃度パターン」又は「濃度検知用パターン」ともいう)を作成し、そのパッチ濃度を光学的検知手段により検知し、その検知結果に基づいて現像ポテンシャルを変更(具体的には、LDパワー、帯電バイアス、現像バイアスの変更)するようになっている。
また、二成分現像剤を担持して回転する現像スリーブにより像担持体上の静電潜像を可視像化する二成分現像方式の場合には、現像器内のトナー濃度制御目標値を変更することにより最大目標付着量(目標IDを得るための付着量)が狙いの値となるような画像濃度制御を行っている。
【0003】
このような濃度検知用パッチ検出手段としては、発光素子(発光手段)としてLEDを、受光素子(受光手段)としてPD(フォトダイオード)又はPTr(フォトトランジスタ)を組み合わせた反射型センサが一般的に知られている。
そのセンサ構成としては、図9に示すように、正反射光のみを検出するタイプ(特開2001‐324840号公報等参照)、図10に示すように、拡散反射光のみを検出するタイプ(特開平5‐249787号公報、特許第3155555号公報等参照)、図11に示すように、両者を検出するタイプ(特開2001‐194843号公報等参照)の3つのタイプがある。図9、図10、図11において、符号50A、50B、50Cは素子ホルダを、51はLEDを、52は正反射受光素子を、53は検知対象面を、54は検知対象面上のトナーパッチを、55は拡散反射受光素子をそれぞれ示している。
【0004】
近年においては、図12に示すように、発光側、受光側の光路にビームスプリッタを設けたタイプ(特許第2729976号公報、特開平10‐221902号公報、特開2002‐72612号公報等参照)も多く用いられるようになってきた。
図12において、符号56はLEDを、57、58はビームスプリッタを、59はP波光(正反射光)に対する受光手段としてのフォトダイオードを、60はS波光(拡散反射光)に対する受光手段としてのフォトダイオードをそれぞれ示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二成分現像方式では、後述するように、ベタ現像時に、現像スリーブ一周後のトナー濃度が低下する。
そのため、例えば紙間(記録媒体間)にトナーパッチを形成してトナー付着量を検知し、検知されたトナー付着量に基づいてトナー濃度を制御するトナー濃度制御において、トナーパターンに対応する現像スリーブ一周前の領域がベタ画像の場合、ベタ画像でない場合に比べてトナーパターン付着量が低くなってしまう。
トナーパターン付着量が低く検知されると、トナー濃度を高くする制御がなされ、画像濃度が高くなって濃度不安定となり画像品質が低下する。
一つの画像形成領域(印刷画像領域)においても、現像スリーブ一周目以降の領域のトナー濃度が低下し、一つの印刷画像領域の中で位置によって画像濃度が異なるという問題があった。
この問題は、トナーパッチを形成してトナー付着量を検知し、トナー濃度の制御を行っても画像形成領域の中で生じるため、解消できなかった。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、現像スリーブ一周分手前の領域がベタ画像であったとしても、画像形成領域全体に亘って均一な濃度を得ることができ、常に安定した画像品質を得ることができる画像濃度制御方法の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、像担持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像担持体を画像情報に基づいて露光し静電潜像を形成する露光装置と、現像スリーブを備え二成分系現像剤により前記静電潜像を可視化する現像装置とを有し、可視像を記録媒体に直接に又は中間転写体を介して転写する画像形成装置における画像濃度制御方法であって、画像領域における前記現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率を取得し、その画像面積率に応じて前記現像スリーブ一周分目以降の領域の現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像濃度制御方法において、予め求められた、前記現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率と、トナー付着量低下率との関係のデータテーブルを記憶しておき、該データテーブルを用いて、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、前記像担持体の帯電バイアスを低下させることにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、現像バイアスを増加させることにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、露光量を増加させることにより前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、前記像担持体の帯電バイアスを低下させること、現像バイアスを増加させること、露光量を増加させること、のうちのいずれかの組み合わせにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜6のいずれか1つの画像濃度制御方法を実施する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成領域中にベタ画像等の高画像面積率の領域が存在しても、濃度低下を来たすことなく画像形成領域全体に亘って均一な濃度を得ることができ、常に安定した画像品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ベタ画像の現像時にトナー濃度が低下するメカニズムを説明するための図である。
【図2】画像形成領域におけるトナー付着状態を示す模式図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率とトナー付着量の低下割合との関係を示す特性図である。
【図5】帯電バイアスを低下させて現像ポテンシャルを増加させる濃度制御を示す特性図である。
【図6】第2の実施形態における、現像バイアスを増加させて現像ポテンシャルを増加させる濃度制御を示す特性図である。
【図7】第3の実施形態における、露光量を増加させて現像ポテンシャルを増加させる濃度制御を示す特性図である。
【図8】画像形成装置としてのカラーレーザプリンタの概要構成図である。
【図9】正反射光のみを検出するタイプの光学的検知手段の構成図である。
【図10】拡散反射光のみを検出するタイプの光学的検知手段の構成図である。
【図11】正反射光と拡散反射光を同時に検出するタイプの光学的検知手段の構成図である。
【図12】正反射光と拡散反射光を同時に検出するタイプで、ビームスプリッタを用いた光学的検知手段の構成図である。
【図13】画像濃度を適正化するためにプロセスコントロール動作のフローチャートである。
【図14】トナーパターンとしての階調パターンを示す平面図である。
【図15】画像形成装置の他例としてのカラー画像形成装置の概要構成図である。
【図16】画像形成装置のさらに他例としてのカラー画像形成装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図8に基づいて、各実施形態に共通の画像形成装置としての4連タンデム直接転写方式のカラーレーザプリンタの概略構成を説明する。
カラーレーザプリンタは、1つの手差しトレイ36、2つの給紙カセット34(第1給紙トレイ)、34(第2給紙トレイ)の3つの給紙トレイを有しており、手差しトレイ36より給紙されたシート状記録媒体としての図示しない転写紙は給紙コロ37により最上のものから順に1枚ずつ分離され、レジストローラ対23へ向けて搬送される。
第1給紙トレイ34又は第2給紙トレイ34から給紙された転写紙は、給紙コロ35により最上のものから順に1枚ずつ分離され、搬送ローラ対39を介してレジストローラ対23へ向けて搬送される。
給紙された転写紙は、レジストローラ対23で一旦停止され、スキューを修正された後、後述する最上流に位置する像担持体としての感光体ドラム14Y上に形成された画像の先端と転写紙の搬送方向の所定位置とが一致するタイミングで、図示しないレジストクラッチのオン制御によるレジストローラ対23の回転動作により検知対象面としての転写ベルト18へ向けて搬送される。
転写紙は、転写ベルト18とこれに当接した紙吸着ローラ41とで構成される紙吸着ニップを通過する際、紙吸着ローラ41に印加されるバイアスにより転写ベルト18に静電力で吸着され、プロセス線速125mm/secにて搬送される。
【0013】
転写ベルト18に吸着された転写紙には、転写ベルト18を挟んで各色の感光体ドラム14B、14C、14M、14Yと対向した位置に配置された転写ブラシ21B、21C、21M、21Yにトナーの帯電極性(マイナス)と逆極性の転写バイアス(プラス)が印加されることにより、各感光体ドラム14B、14C、14M、14Yに作像された各色のトナー像がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(Bk)の順で転写される。
各色の転写工程を経た転写紙は、下流側の駆動ローラ19部位で転写ベルト18から曲率分離され、定着装置24へ搬送される。
定着装置24における定着ベルト25と加圧ローラ26により構成される定着ニップを通過することにより、トナー像が熱と圧力により転写紙に定着される。
定着がなされた転写紙は、片面印刷モードの場合には、装置本体上面に形成されたFD(フェイスダウン)トレイ30へと排出される。
予め両面印刷モードが選択されている場合には、定着装置24を出た転写紙は、図示しない反転ユニットへ送られ、該ユニットにて表裏を反転されてから転写ユニット下部に位置する両面搬送ユニット33に搬送される。
転写紙は該両面搬送ユニット33から再給紙され、搬送ローラ対39を経てレジストローラ対23へ搬送される。以降は、片面印刷モード時と同様の動作を経て定着装置24を通過し、FDトレイ30へと排出される。
【0014】
次に、上記カラーレーザプリンタの画像形成部における構成及び作像動作を詳細に説明する。
画像形成部は、各色共に同様の構成及び動作を有しているのでイエロー画像を形成する構成及び動作を代表して説明し、その他については各色に対応する符号を付して説明を省略する。
転写紙搬送方向の最上流側に位置する感光体ドラム14Yの周囲には、帯電バイアス印加手段としての帯電ローラ42Y、クリーニング手段43Yを有する作像ユニット12Yと、現像装置としての現像ユニット13Y、露光装置としての光書き込みユニット16等が設けられている。
画像形成時、感光体ドラム14Yは図示しないメインモータにより時計回り方向に回転駆動され、帯電ローラ42Yに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により除電され、その表面電位が略‐50vの基準電位となる。
【0015】
次に、感光体ドラム14Yは、帯電ローラ42YにACバイアスを重畳したDCバイアスを印加することによりほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電され、その表面電位がほぼ‐500v〜‐700v(目標帯電電位はプロセス制御部により決定される)に帯電される。
プリント画像として図示しないコントローラ部より送られてきたデジタル画像情報は、各色毎の2値化されたLD発光信号に変換され、シリンダレンズ、ポリゴンモータ、fθレンズ、第1〜第3ミラー、及びWTLレンズ等を有する光書き込みユニット16により感光体ドラム14Y上に露光光16Yが照射される。
照射された部分のドラム表面電位が略‐50vとなり、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0016】
感光体ドラム14Y上のイエロー画像情報に対応した静電潜像は、現像ユニット13Yにより可視像化される。
現像ユニット13Yの現像スリーブ44YにACバイアスを重畳したDC(‐300〜‐500v)が印加されることにより、書き込みにより電位が低下した画像部分にのみトナー(Q/M:‐20〜‐30μC/g)が現像され、トナー像が形成される。
作像された各色の感光体ドラム14B、14C、14M、14Y上のトナー画像は、転写ベルト18上に吸着された転写紙上に上記転写バイアスにより転写される。
【0017】
なお、本実施形態におけるカラーレーザプリンタでは、上記のような画像形成モードとは別に、電源投入時、またはある所定枚数通紙後に各色の画像濃度を適正化するためにプロセスコントロール動作(以下「プロコン動作」と略す)が実行される。このプロコン動作の流れは図13に示す通りである。
図14に示す所定階調パターン(=濃度検知用パターン(トナーパターン)、以下Pパターンと略す)70を、各色毎に帯電バイアス、現像バイアスを適当なタイミングで順次切り換えることにより転写ベルト18上に作像し(STEP2)、これらPパターンの出力電圧を、駆動ローラ19の近傍における転写ベルト18の外部に配置された光学的検知手段としての濃度検知センサ(以下、「Pセンサ」と略す)40により検知し(STEP3)、その出力電圧を付着量変換アルゴリズム(粉体付着量変換方法)により付着量変換して(STEP4〜5)、現在の現像能力を表す(現像γ、現像開始電圧Vk)の算出を行い(STEP6)、この算出値に基づき、現像バイアス値及びトナー濃度制御目標値の変更を行い(STEP7)、計算値(現像γ、現像開始電圧Vk、感度補正係数α、γ)を後述する制御手段(カラーレーザプリンタのメインコントローラが兼ねることができる)のメモリに保存する(STEP8)ような処理を行っている。
ここで、所定階調パターンとは、所定数のパッチ数を有する通常の濃度検知用パターンを意味する。以下、単に「階調パターン」ともいう。
【0018】
Pセンサ40の構成は、図11に示す通りのものであり、またその諸元については既述した通りである。
ここでは受光素子としてPTr(フォトトランジスタ)を用いたが、PD(フォトダイオード)などの受光素子を用いても良い。
【0019】
以下、図1乃至図5に基づいて第1の実施形態を説明する。図示しないが、現像スリーブ44内には、潜像担持体(感光体ドラム)に形成された静電潜像の可視像化に供せられる二成分系現像剤の磁気ブラシを現像スリーブ表面上に形成する主極と、潜像担持体の移動方向に対して前記主極よりも下流側に位置する現像スリーブ表面上の二成分系現像剤を、現像スリーブの回転と協働して搬送し、該二成分系現像剤を現像ケースの側に戻す搬送極が備えられている。なお、以下の説明においては現像スリーブ44を単に「スリーブ」と略す。
【0020】
図1に示すように、二成分現像方式では、ベタ現像時に、(1)〜(4)のメカニズムによりスリーブ一周後のトナー濃度が低下する。
(1)ベタ現像時、現像電界が矢印方向にかかるため、スリーブ近傍の剤のトナー濃度が下がりトナー帯電量が上がる。
(2)ベタ現像後の剤はトナー帯電量が高いため、剤離れ部で剤離れしない。
(3)剤離れしなかった剤は、スリーブ上の現像剤の層厚みを規制するドクタブレード45の裏の抱え込み剤と混ざり合ってスリーブと感光体が対向する現像ニップへ搬送される。
(4)ベタ現像時に(1)〜(3)を経た剤は、地肌部の剤よりもトナー帯電量が上がっているため、スリーブ一周後は粉体濃度(トナー濃度)が低下する。
【0021】
そのため、全ベタ現像時は、図2に示すように、画像形成領域600において、画像の先端601からスリーブ一周長602に相当ずる部分(領域)603の濃度が正常で、スリーブ一周目以降の領域604では濃度が低くなってしまうという課題があった。
この問題を解消すべく、本発明では、全ベタ等の高画像面積率の画像を形成する場合に、濃度が薄くなってしまうスリーブ一周目以降の領域の現像ポテンシャルを増加させることにより、画像濃度を一定に制御するようにした。
図2において、矢印Sは転写紙の搬送方向、すなわち転写ベルト18の移動方向を示している。
具体的には、印刷スタート領域のスリーブ一周分手前の領域603の画像面積率を求め、その画像面積率に応じてスリーブ一周目以降の領域604の現像現像ポテンシャルを増加させた。
図3に示すように、領域603の画像面積率は、従来の画像処理手段である画像面積率取得手段605により取得される。
領域603の画像面積率は、画像面積率取得手段605からの画像データに基づいてトナー濃度制御手段としての制御手段606により算出するようにしてもよい。
画像面積率取得手段605はページ単位での画像面積率を取得できるとともに、領域603のように特定の局所的な領域の画像面積率を取得する機能を有している。
【0022】
補正には、予め測定してある「スリーブ一周分手前の画像面積率と、トナー付着量低下率との関係のデータテーブル」をメモリ(例えば図3に示すROM607)に記憶しておき、このデータを用いた。
例えば、スリーブ一周分手前の画像面積率x=90%の場合に、トナー付着量が75%まで低下することが予め分かっていたとして、
補正したいトナー付着量
=目標付着量0.45[mg/cm](1−1/(75%/100))
=0.15[mg/cm
この付着量を得るために必要な現像ポテンシャル増加量は、そのときの現像能力が1.0[mg/cm/−kV]として
必要な現像ポテンシャル増加量
=0.15×1.0
=0.15[−kV]
=150[−V]
となる。
【0023】
制御手段606は領域603の画像面積率が所定値(例えば図4における80%)よりも高い場合には、図5に示すように帯電バイアスを低下させる制御を行う。
必要な現像ポテンシャル増加量を得るための帯電バイアスの低下量は、取得された領域603の画像面積率に基づいて上記データテーブルから抽出する。
【0024】
図6に示すように、必要な現像ポテンシャル増加量を得るために、現像バイアスを増加させる制御を行ってもよい(第2の実施形態)。この場合には制御手段606は像担持体と現像装置の間の現像電位を変更する電位制御手段としてなり、上記と同様のテーブル制御を行う。
図7に示すように、必要な現像ポテンシャル増加量を得るために、露光量を増加させる制御を行ってもよい(第3の実施形態)。この場合も上記と同様のテーブル制御を行う。
さらに、帯電バイアス低下制御、現像バイアス増加制御、露光量増加制御のうちいずれかを組み合わせた制御としてもよい。
また、上記各実施形態では、画像形成領域をスリーブ一周分手前の領域とそれ以降の領域に分ける例を示したが、部分的(スポット的)な領域の画像面積率を取得してこれに対応する領域の濃度補正を上記と同様に行うようにしてもよい。
【0025】
図15に基づいて画像形成装置の他例としてのタンデム型のカラー複写機の構成及び動作の概要を説明する。
カラー複写機1は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する画像読取部1Cを有している。
画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する転写体としての中間転写ベルト2が配置されており、該中間転写ベルト2の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。本例では、中間転写ベルト2が検知対象面となり、Pセンサ40は中間転写ベルト2に対向して配置されている。
すなわち、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による像を担持可能な像担持体としての感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト2の転写面に沿って並置されている。
【0026】
各感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bはそれぞれ同じ反時計回り方向に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電手段としての帯電装置4、各感光体ドラム3Y、3M、3C、3B上に画像情報に基づいて電位VLの静電潜像を形成するための露光手段としての光書込装置5、各感光体ドラム3上の静電潜像を該静電潜像と同極性のトナーで現像する現像手段としての現像装置6、一次転写手段としての転写バイアスローラ7、印加電圧部材15、クリーニング装置8が配置されている。
各符号に付記しているアルファベットは、感光体ドラム3と同様、トナーの色別に対応している。各現像装置6にはそれぞれのカラートナーが収容されている。
中間転写ベルト2は、複数のローラ2A〜2Cに掛け回されて感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bとの対峙位置において同方向に移動可能な構成を備えている。
転写面を支持するローラ2A、2Bとは別のローラ2Cは、中間転写ベルト2を挟んで2次転写装置9に対向している。
図15中、符号10は中間転写ベルト2を対象としたクリーニング装置を示している。
【0027】
感光体ドラム3Yの表面が帯電装置4Yにより一様に帯電され、画像読取部1Cからの画像情報に基づいて感光体3ドラムY上に静電潜像が形成される。
該静電潜像はイエローのトナーを収容した二成分(キャリアとトナー)現像装置6Yによりトナー像として可視像化され、該トナー像は第1の転写工程として、中間転写ベルト2上に、転写バイアスローラ7Yに印加された電圧による電界で引き付けられて転写される。
印加電圧部材15Yは感光体ドラム3Yの回転方向における転写バイアスローラ7Yの上流側に設けられている。
印加電圧部材15Yにより、中間転写ベルト2に感光体ドラム3Yの帯電極性と同極性で且つ絶対値がベタ時VLより大きい電圧を印加し、転写領域にトナー像が入る以前に感光体ドラム3Yから中間転写ベルト2へトナーが転写することを防止して、感光体ドラム3Yから中間転写ベルト2へのトナーの転写時のチリによる乱れを防止する。
【0028】
他の感光体ドラム3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト2上に順に転写されて重ね合わせられる。
転写後感光体ドラム3上に残留したトナーはクリーニング装置8により除去され、また、転写後図示しない除電ランプにより感光体ドラム3の電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
2次転写装置9は、帯電駆動ローラ9A及び従動ローラ9Bに掛け回されて中間転写ベルト2と同方向に移動する転写ベルト9Cを有している。
転写ベルト9Cを帯電駆動ローラ9Aにより帯電させることで、中間転写ベルト2に重畳された多色画像あるいは担持されている単一色の画像をシート状記録媒体としての用紙28に転写することができる。
【0029】
2次転写位置には給紙部1Bから用紙28が給送されるようになっている。
給紙部1Bには用紙28が積載収容される複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1に収容された用紙28を最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する給紙コロ1B2と、搬送ローラ対1B3と、2次転写位置の上流に位置するレジストローラ対1B4等が設けられている。
給紙カセット1B1から給紙された用紙28は、レジストローラ対1B4で一旦停止され、斜めずれ等を修正された後、中間転写ベルト2上のトナー像の先端と搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイイングでレジストローラ対1B4により2次転写位置に送られる。
装置本体の右側には起倒可能に手差しトレイ29が設けられており、該手差しトレイ29に収容された用紙28は給紙コロ31により給送された給紙カセット1B1からの用紙搬送路と合流する搬送路によりレジストローラ対1B4に向けて送られる。
【0030】
光書込装置5では、画像読取部1Cからの画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光が制御されて感光体ドラム3Y、3M、3C、3Bに対して画像情報に応じた書き込み光を出射して静電潜像を形成するようになっている。
画像読取部1Cは、自動原稿給送装置1C1と、原稿載置台としてのコンタクトガラス80を有するスキャナ1C2等を有している。
自動原稿給送装置1C1は、コンタクトガラス80上に繰り出される原稿を反転可能な構成を有し、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
光書込装置5により形成された感光体ドラム3上の静電潜像は現像装置6によって可視像処理され、中間転写ベルト2に1次転写される。
中間転写ベルト2に対して各色毎のトナー像が重畳転写されると、2次転写装置9により用紙28上に一括して2次転写される。
2次転写された用紙28は定着装置11へ送られ、ここで熱と圧力により未定着画像を定着される。
2次転写後の中間転写ベルト2上の残留トナーは、クリーニング装置10により除去される。
【0031】
定着装置11を通過した用紙28は、定着装置11の下流側に設けられた搬送路切り換え爪12により、排紙トレイ27に向けた搬送路と反転搬送路RPとに選択的に案内される。
排紙トレイ27に向けて搬送された場合には、排紙ローラ対32により排紙トレイ27上に排出され、スタックされる。
反転搬送路RPへ案内された場合には反転装置38により反転され、再度レジストローラ対1B4に向けて送られる。
【0032】
以上の構成により、カラー複写機1では、コンタクトガラス80上に載置された原稿を露光走査することにより、あるいはコンピュータからの画像情報により、一様に帯電された感光体ドラム3に対して静電潜像が形成され、該静電潜像が現像装置6によって可視像処理された後、トナー像が中間転写ベルト2に1次転写される。
中間転写ベルト2に転写されたトナー像は、単一画像の場合にはそのまま給紙部1Bから繰り出された用紙28に転写される。
多色画像の場合には1次転写が繰り返されることにより重畳された後、用紙28に一括して2次転写される。
2次転写後の用紙28は定着装置11により未定着画像を定着された後、排紙トレイ27に排出され、あるいは反転されて両面画像形成のために再度レジストローラ対1B4に向けて送られる。本実施形態では、検知対象面を転写体としての中間転写ベルト2としたが、各感光体ドラムを検知対象面としてもよい。
この場合、Pセンサ40は各感光体ドラムに対向して設けられる。
【0033】
また、1つ感光体ドラムとリボルバー方式の現像装置を用いて各色のトナー像を形成し、各トナー像を中間転写体に重ね合わせ転写した後、シート状記録媒体としての転写紙上に一括転写する方式のカラー画像形成装置においても同様に実施することができる。
その一例を図16に示す。本例では、図14に示す濃度検知用のPパターンが中間転写体としての中間転写ベルト426上に形成され、これを駆動ローラ444の近傍に配置されたPセンサ40により検出する。すなわち、本例では中間転写ベルト426を検知対象面としている。
検知方式、動作(検知データの取り扱い等)は上記実施形態と同様である。
【0034】
図16に示す画像形成装置としてのカラー複写機の構成の概要を説明する。
カラー複写機において、露光手段としての書き込み光学ユニット400は、カラースキャナ200からのカラー画像データを光信号に変換して原稿画像に対応した光書き込みを行い、像担持体である感光体ドラム402上に静電潜像を形成する。
該書き込み光学ユニット400は、レーザーダイオード404、ポリゴンミラー406とその回転用モータ408、fθレンズ410や反射ミラー412等により構成されている。
感光体ドラム402は、矢印で示すように反時計回りの向きに回転され、その周囲には、感光体クリーニングユニット414、除電ランプ416、電位センサ420、回転式現像装置422のうちの選択された現像器、現像濃度パターン検知器424、中間転写体としての中間転写ベルト426等が配置されている。
【0035】
回転式現像装置422は、ブラック用現像器428、シアン用現像器430、マゼンタ用現像器432、イエロー用現像器434と、各現像器を回転させる図示しない回転駆動部を有している。
各現像器は、キャリアとトナーとの混合現像剤が入った、いわゆる二成分現像方式の現像器であり、上記実施形態で示した現像装置4と同様の構成を有している。
磁性キャリアの条件や仕様等も同様である。
待機状態では、回転式現像装置422は、ブラック現像の位置にセットされており、コピー動作が開始されると、カラースキャナ200で所定のタイミングからブラック画像のデータの読み取りがスタートし、この画像データに基づいてレーザ光による光書き込み・静電潜像(ブラック潜像)の形成が始まる。
【0036】
このブラック潜像の先端部から現像するために、ブラック用現像器428の現像位置に潜像先端部が到達する前に、現像スリーブを回転開始してブラック潜像をブラックトナーで現像する。感光体ドラム402にはマイナス極性のトナーが作像される。
そして、以後、ブラック潜像領域の現像動作を続けるが、潜像後端部がブラック現像位置を通過した時点で、速やかにブラックのための現像位置から次の色の現像位置まで、回転式現像装置422が回転する。当該動作は、少なくとも、次の画像データによる潜像先端部が到達する前に完了させる。
像形成サイクルが開始されると、まず、感光体ドラム402は矢印で示すように反時計回りの向きに、中間転写ベルト426は時計回りの向きに、図示しない駆動モータによって回転させられる。
中間転写ベルト426の回転に伴って、ブラックトナー像形成、シアントナー像形成、マゼンタトナー像形成、イエロートナー像形成が行われ、最終的にブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に、中間転写ベルト426上に重ねられ(1次転写)、トナー像が形成される。
【0037】
中間転写ベルト426は、感光体ドラム402に対向する1次転写電極ローラ450、駆動ローラ444、2次転写ローラ454に対向する2次転写対向ローラ446、中間転写ベルト426の表面を清掃するクリーニング手段452に対向するクリーニング対向ローラ448Aの各支持部材間に張架されており、図示しない駆動モータにより駆動制御されるようになっている。
感光体ドラム402に順次形成されるブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像が中間転写ベルト426上で正確に順次位置合わせされ、これによって4色重ねのベルト転写画像が形成される。
このベルト転写画像は2次転写対向ローラ446により用紙に一括転写される。
【0038】
給紙バンク456内の各記録紙カセット458、460、462には装置本体内のカセット464に収容された用紙のサイズとは異なる各種サイズの用紙が収容されており、これらのうち、指定されたサイズ紙の収容カセットから、該指定された用紙が給紙コロ466によってレジストローラ対470方向に給紙・搬送される。
図16において、符号468はOHP用紙や厚紙等のための手差し給紙トレイを示す。
像形成が開始される時期に、用紙は上記いずれかのカセットの給紙口から給送され、レジストローラ対470のニップ部で待機する。
そして、2次転写対向ローラ446に中間転写ベルト426上のトナー像の先端がさしかかるときに、丁度用紙先端がこの像先端に一致するようにレジストローラ対470が駆動され、用紙と像のレジスト合わせが行われる。
【0039】
このようにして、用紙が中間転写ベルト426と重ねられて、トナーと同極性の電圧が印加される2次転写対向ローラ446の下を通過する。このとき、トナー画像が用紙に転写される。続いて、用紙は除電され、中間転写ベルト426から剥離して紙搬送ベルト472に移る。
中間転写ベルト426から4色重ねトナー像を一括転写された用紙は、紙搬送ベルト472によりベルト定着方式の定着装置470へ搬送され、この定着装置470で熱と圧力によりトナー像を定着される。
定着を終えた用紙は排出ローラ対480で機外へ排出され、図示しないトレイにスタックされる。これにより、フルカラーコピーが得られる。
本実施形態では、検知対象面を転写体としての中間転写ベルト426としたが、感光体ドラム402を検知対象面としてもよい。この場合、Pセンサ40は感光体ドラム402に対向して設けられ、現像濃度パターン検知器424がこれに相当する。
【符号の説明】
【0040】
13 現像装置としての現像ユニット
14 像担持体としての感光体ドラム
16 露光装置としての光書き込みユニット
42 帯電装置(帯電バイアス印加手段)としての帯電ローラ
44 現像スリーブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2001‐194843号公報
【特許文献2】特許第2729976号公報
【特許文献3】特開2002‐72612号公報
【特許文献4】特開2001‐215850号公報
【特許文献5】特開2000‐39746号公報
【特許文献6】特開2000‐66463号公報
【特許文献7】特開2000‐227692号公報
【特許文献8】特開2000‐231254号公報
【特許文献9】特開2000‐250286号公報
【特許文献10】特開2000‐275167号公報
【特許文献11】特開2001‐34027号公報
【特許文献12】特開2001‐215762号公報
【特許文献13】特開2001‐312115号公報
【特許文献14】特開2002‐40746号公報
【特許文献15】特開平8‐123110号公報
【特許文献16】特開平8‐21990号公報
【特許文献17】特開平8‐271230号公報
【特許文献18】特開平9‐73215号公報
【特許文献19】特開平10‐221902号公報
【特許文献20】特開平11‐174753号公報
【特許文献21】特開平11‐249373号公報
【特許文献22】特許第2577354号公報
【特許文献23】特開平5‐249787号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像担持体を画像情報に基づいて露光し静電潜像を形成する露光装置と、現像スリーブを備え二成分系現像剤により前記静電潜像を可視化する現像装置とを有し、可視像を記録媒体に直接に又は中間転写体を介して転写する画像形成装置における画像濃度制御方法であって、
画像領域における前記現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率を取得し、その画像面積率に応じて前記現像スリーブ一周分目以降の領域の現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像濃度制御方法において、
予め求められた、前記現像スリーブ一周分手前の領域の画像面積率と、トナー付着量低下率との関係のデータテーブルを記憶しておき、該データテーブルを用いて、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、
前記像担持体の帯電バイアスを低下させることにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、
現像バイアスを増加させることにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、
露光量を増加させることにより前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の画像濃度制御方法において、
前記像担持体の帯電バイアスを低下させること、現像バイアスを増加させること、露光量を増加させること、のうちのいずれかの組み合わせにより、前記現像ポテンシャルを増加させることを特徴とする画像濃度制御方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つの画像濃度制御方法を実施する機能を有していることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−164544(P2011−164544A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30416(P2010−30416)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】