説明

画像符号化装置、画像復号化装置、画像符号化・復号化システム及びその方法

【課題】復元用のデータサイズを削減し、復元後の画像における画質劣化の差異を発生させない。
【解決手段】元画像及び透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部11と、画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部12aと、元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部12bと、第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部13aと、第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部14aと、差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部14bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、元画像と透かし画像とを合成した透かし入り画像を符号化して符号化画像を生成する画像符号化装置と、画像符号化装置により生成された符号化画像を復号化して復元画像を生成する画像復号化装置とを備えた画像符号化・復号化システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像符号化・復号化システムでは、入力した画像の圧縮符号化を行うにあたり、圧縮前の元画像の指定領域をダミー画像に置換して可逆圧縮符号化を行い、復号化処理を行う際に、このダミー画像を復号化した画像の指定領域を再置換することによって、可視付加情報の影響の残らない元画像を得ることを可能にしていた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示される画像符号化・復号化システムでは、置換前の元画像とダミー画像のピクセル差分値を、元画像が復元できるように、画像全体に電子透かしとして埋めこむ方法を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−228876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される従来の画像符号化・復号化システムでは、画像同士のピクセル差分値を元画像の復元用データとしているので、ダミー画像が大きくなればなるほど、復元用データのデータサイズが膨大になるという課題があった。
【0006】
また、ダミー画像の差分値をとる対象が符号化前の元画像であるため、電子透かしとして埋めこんだピクセル差分値とダミー画像のピクセル値を用いて復元される画像は、当然のことながら符号化前の元画像になる。一方で、復元対象となっていない、すなわち元々ダミー画像に置き換わっていない画像領域の部分については、符号化後の劣化した画像となるため、復元後の画像全体を見た場合、ダミー画像に置き換わっている領域と置き換わっていない領域との画質劣化の差が目に付くことになり、かえって主観的な画質の劣化を感じさせてしまうことになりかねないという課題があった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、復元用のデータサイズを削減し、なおかつ、復元後の画像における画質劣化の差異を発生させない復元を行うことができる画像符号化装置、画像復号化装置、画像符号化・復号化システム及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る画像符号化装置は、元画像及び透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部と、第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上記のように構成したので、元画像と透かし入り画像の差異部分のデータのみ抽出して圧縮符号化することにより復元用のデータを生成するようにしたので、復元用のデータサイズを削減することができ、なおかつ、復元後の画像における画質劣化の差異を発生させない復元を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像符号化装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像符号化装置による符号化処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1における画像合成部による画像合成の一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1における画像合成部による画像合成の他の例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1における画像合成部による画像合成のさらに他の例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるMCUを説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1における差異抽出部による差異部分抽出方法を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る画像符号化装置の別の例を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る画像復号化装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る画像復号化装置による復号化処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態3に係る画像符号化装置を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る画像符号化装置による符号化処理を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態3における差異抽出部による差異部分抽出方法を説明する図である。
【図14】この発明の実施の形態3に係る画像復号化装置を示す構成図である。
【図15】この発明の実施の形態3に係る画像復号化装置による復号化処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態4に係る画像符号化装置を示す構成図である。
【図17】この発明の実施の形態4に係る画像符号化装置による符号化処理を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施の形態4に係る画像復号化装置を示す構成図である。
【図19】この発明の実施の形態4に係る画像復号化装置による復号化処理を示すフローチャートである。
【図20】この発明の実施の形態5に係る画像符号化装置を示す構成図である。
【図21】この発明の実施の形態5に係る画像復号化装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像符号化・復号化システムの画像符号化装置10を示す構成図である。以下、この画像符号化装置10により生成する符号化画像の対象として、JPEG画像を用いた場合について説明する。
画像符号化装置10は、図1に示すように、画像合成部11、DCT(Discrete Cosine Transformation)変換・量子化部12a,12b、差異抽出部13a及びエントロピー符号化部14a,14bから構成される。
【0012】
画像合成部11は、元画像と、この元画像に可視透かしとして挿入するための可視透かし画像とを入力し、この元画像データに可視透かし画像を重畳させる等によって合成して透かし入り画像を生成するものである。この画像合成部11により生成された透かし入り画像はDCT変換・量子化部12aに送信される。
【0013】
DCT変換・量子化部(第1の周波数変換・量子化部)12aは、画像合成部11から送信された透かし入り画像をDCT変換(周波数変換)して、さらに量子化して、量子化DCT係数を算出するものである。このDCT変換・量子化部12aにより算出された透かし入り画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異抽出部13a及びエントロピー符号化部14aに送信される。
【0014】
DCT変換・量子化部(第2の周波数変換・量子化部)12bは、入力した元画像をDCT変換して、さらに量子化して、量子化DCT係数を算出するものである。このDCT変換・量子化部12bにより算出された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異抽出部13aに送信される。
【0015】
差異抽出部13aは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データ及びDCT変換・量子化部12bから送信された元画像の量子化DCT係数データに基づいて、両者の量子化DCT係数を比較して、差異部分に該当する元画像の量子化DCT係数を抽出するものである。この差異抽出部13aにより抽出された量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データはエントロピー符号化部14bに送信される。
【0016】
エントロピー符号化部(第1の圧縮符号化部)14aは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データに基づいて、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化(圧縮符号化)を行い符号化画像データを算出するものである。
【0017】
エントロピー符号化部(第2の圧縮符号化部)14bは、差異抽出部13aから送信された差異部分の元画像の量子化DCT係数データに基づいて、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化を行い符号化画像データ(拡張データ)を算出するものである。
【0018】
次に、上記のように構成される画像符号化装置10の動作について説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係る画像符号化装置10による符号化処理を示すフローチャートである。
この画像符号化装置10による符号化処理では、図2に示すように、まず、画像合成部11は透かし入り画像を生成する(ステップST21)。すなわち、画像合成部11は、入力した元画像に可視透かし画像を重畳させて合成することにより透かし入り画像を生成する。
【0019】
図3〜5はこの発明の実施の形態1における画像合成部11による画像合成の例を示す図である。ここで、元画像は非圧縮のビットマップ画像であり、可視透かし画像は元画像と同サイズで非圧縮のビットマップ画像である。この可視透かし画像は、挿入するロゴが含まれた領域(図3〜5に示す灰色の領域)のみ画素値が0ではなく、その他の領域は画素値が0となっている。
画像合成部11は、図3に示すように、元画像の各画素値に、可視透かし画像の対応する位置の画素値を加算していくことで、透かし入り画像を生成する。例えば、元画像のある位置の画素値をPとして、可視透かし画像の元画像の画素値Pに対応する位置の画素値をQとした場合、透かし入り画像の元画像の画素値Pに対応する位置の画素値はP+Qとなる。
【0020】
または、図4に示すように、0<α<1である定数値αを用いて、α×P+(1−α)×Qを透かし入り画像の元画像に対応する位置の画素値とすることで、透過的な透かし入り画像を生成することもできる。
【0021】
また、可視透かし画像は必ずしも元画像と同サイズである必要はなく、例えば、図5に示すように、可視透かし画像をロゴを挿入する領域のみの画像サイズとし、元画像における挿入位置座標(例えばロゴ領域の左上座標)を画像合成部11に別途指定する方法により透かし入り画像を生成してもよい。
この画像合成部11により生成された透かし入り画像はDCT変換・量子化部12aに送信される。
【0022】
次いで、DCT変換・量子化部12aは透かし入り画像の量子化DCT係数を算出する(ステップST22)。すなわち、DCT変換・量子化部12aは、画像合成部11から送信された透かし入り画像をDCT変換して、さらに量子化を行うことにより量子化DCT係数を算出する。具体的には、この実施の形態1では、符号化画像のフォーマットはJPEGであるので、DCT変換・量子化部12aは、透かし入り画像を横8画素×縦8画素のブロック単位で区切った上で、ブロック毎にDCT変換を行い、所定の量子化テーブルに従ってDCT係数を量子化した量子化DCT係数を算出する。このDCT変換・量子化部12aにより算出された透かし入り画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異抽出部13a及びエントロピー符号化部14aに送信される。
【0023】
一方、DCT変換・量子化部12bは元画像の量子化DCT係数を算出する(ステップST23)。すなわち、DCT変換・量子化部12bは、入力した元画像をDCT変換して、さらに量子化を行うことにより量子化DCT係数を算出する。具体的には、DCT変換・量子化部12bは、元画像を横8画素×縦8画素のブロック単位で区切った上で、ブロック毎にDCT変換を行い、所定の量子化テーブルに従ってDCT係数を量子化した量子化DCT係数を算出する。このDCT変換・量子化部12bにより算出された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異抽出部13aに送信される。
【0024】
次いで、差異抽出部13aは差異部分を抽出する(ステップST24)。すなわち、差異抽出部13aは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、DCT変換・量子化部12bから送信された元画像の量子化DCT係数データとを比較し、その差異部分に該当する元画像の量子化DCT係数を抽出する。
【0025】
ここで、JPEGフォーマットの場合、量子化DCT係数はMCU(Minimum Coded Unit)という単位でまとめられている。このMCUは、図6に示すように、横8画素×縦8画素のブロックを近隣4ブロック分集めた横16画素×縦16画素のブロック単位で、輝度Y成分、2つの色差Cb,Cr成分の量子化DCT係数をまとめたデータ単位である。
【0026】
この差異抽出部13aによるMCUを用いた差異部分抽出方法としては、例えば図7に示すように、MCU単位で、透かし入り画像の量子化DCT係数と元画像の量子化DCT係数との比較を行い、異なる量子化DCT係数を有する元画像のMCUのみを集めて抽出する方法がある。なお、図示はしていないが、差異抽出部13aは、どの部分のMCUを抽出したのかを示すMCUの位置情報を、抽出した量子化DCT係数データに付加情報として付随する。
この差異抽出部13aにより抽出された差異部分の元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データはエントロピー符号化部14bに送信される。
【0027】
次いで、エントロピー符号化部14aは符号化画像を生成する(ステップST25)。すなわち、エントロピー符号化部14aは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化を行うことによって、透かし入り画像をJPEG画像として圧縮させた符号化画像を生成する。なお、この画像符号化装置10では、JPEGヘッダを生成する部分に対する処理については説明を省略する。
【0028】
一方、エントロピー符号化部14bは拡張データを生成する(ステップST26)。すなわち、エントロピー符号化部14bは、差異抽出部13aから送信された差異部分の元画像の量子化DCT係数データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化を行うことによって拡張データを生成する。この拡張データは、元画像に相当する復元画像を生成するのに必要なデータとなる。
【0029】
なお、ステップST21はこの発明の画像合成ステップに対応し、ステップST22はこの発明の第1のDCT変換・量子化ステップに対応し、ステップST23はこの発明の第2のDCT変換・量子化ステップに対応し、ステップST24はこの発明の差異抽出ステップに対応し、ステップST25はこの発明の第1の圧縮符号化ステップに対応し、ステップST26はこの発明の第2の圧縮符号化ステップに対応する。
【0030】
また、図8に示すように、図1に示す画像符号化装置10の構成に、エントロピー符号化部14aにより生成された符号化画像と、エントロピー符号化部14bにより生成された拡張データとを1つにまとめたJPEG画像ファイルを生成する画像出力部15を設けてもよい。この場合、例えば、JPEGフォーマットのAPPnセグメント(アプリケーションデータ)に拡張データを格納するという方式が考えられる。
【0031】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、元画像と可視透かし画像とを合成して生成した透かし入り画像に対してDCT変換・量子化を行い、エントロピー符号化することにより符号化画像を生成する一方、透かし入り画像の量子化DCT係数との差異部分に該当する元画像の量子化DCT係数をエントロピー符号化するように構成したので、符号化画像から元画像に相当する復元画像を生成するのに必要な拡張データを生成することが可能になる(復元の方法については、次の実施の形態にて記載する)。この際、透かし入り画像との差異部分に該当する元画像の量子化DCT係数のみを抽出した上でエントロピー符号化しているため、拡張データのデータサイズを削減することができる。
【0032】
なお、実施の形態1に係る画像符号化装置10では、JPEG圧縮を例に挙げたが、この画像符号化装置10による各処理は必ずしもこの記載にとどまるものではない。例えば、画像合成部11は、画像合成の手法として各画素値の単純加算や透過的加算に限定されるものではなく、DCT変換・量子化部12a,12bは、周波数変換の手法としてDCT変換のみに限定されるものではなく、差異抽出部13aは、MCU単位のデータ比較に限定されるものではなく、エントロピー符号化部14a,14bは、圧縮符号化の手法としてハフマン符号を用いたエントロピー符号化のみに限定されるものではない。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1では、透かし入り画像をエントロピー符号化した符号化画像及びこの符号化画像から元画像を復元するための拡張データを生成する画像符号化装置10について示したが、実施の形態2では、この符号化画像及び拡張データを用いて元画像に相当する復元画像を生成する画像復号化装置20について示す。
図9はこの発明の実施の形態2に係る画像符号化・復号化システムの画像復号化装置20を示す構成図である。
画像復号化装置20は、図9に示すように、エントロピー復号化部21a,21b、差異復元部22a及び逆量子化・DCT逆変換部23から構成される。
【0034】
エントロピー復号化部(第1の圧縮復号化部)21aは、入力した符号化画像に対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化(圧縮復号化)を行うものである。このエントロピー復号化部21aにより生成された透かし入り画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異復元部22aに送信される。
【0035】
エントロピー復号化部(第2の圧縮復号化部)21bは、入力した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行うものである。このエントロピー復号化部21bにより生成された差異部分の元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異復元部22aに送信される。
【0036】
差異復元部22aは、エントロピー復号化部21aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、エントロピー復号化部21bから送信された差異部分の元画像の量子化DCT係数データとに基づいて、元画像の量子化DCT係数を生成するものである。この差異復元部22aにより生成された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは逆量子化・DCT逆変換部23に送信される。
【0037】
逆量子化・DCT逆変換部(逆量子化・周波数逆変換部)23は、差異復元部22aから送信された元画像の量子化DCT係数データに対して、逆量子化した後に、DCT逆変換(周波数逆変換)を行うことにより元画像に相当する復号画像を生成するものである。
【0038】
次に、上記のように構成された画像復号化装置20の動作について説明する。図10はこの発明の実施の形態2に係る画像復号化装置20による復号化処理を示すフローチャートである。
画像復号化装置20による復号化処理では、図10に示すように、まず、エントロピー復号化部21aは符号化画像の復号化を行う(ステップST101)。すなわち、エントロピー復号化部21aは、入力した符号化画像に対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行うことによって、透かし入り画像の量子化DCT係数を生成する。このエントロピー復号化部21aにより生成された量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異復元部22aに送信される。
【0039】
一方、エントロピー復号化部21bは拡張データの復号化を行う(ステップST102)。すなわち、エントロピー復号化部21bは、入力した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行うことによって、差異部分の元画像の量子化DCT係数を生成する。このエントロピー復号化部21bにより生成された量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異復元部22aに送信される。
【0040】
次いで、差異復元部22aは元画像の量子化DCT係数を復元する(ステップST103)。すなわち、差異復元部22aは、エントロピー復号化部21aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、エントロピー復号化部21bから送信された差異部分の元画像の量子化DCT係数データに基づいて、元画像の量子化DCT係数を生成する。具体的には、差異復元部22aは、拡張データに付随されたMCUの位置情報をもとに、元画像の量子化DCT係数と差異部分である透かし入り画像の量子化DCT係数に対して、対応する差異部分の元画像の量子化DCT係数を置き換える。この差異復元部22aにより生成された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは逆量子化・DCT逆変換部23に送信される。
【0041】
次いで、逆量子化・DCT逆変換部23は復号画像を生成する(ステップST104)。すなわち、逆量子化・DCT逆変換部23は、差異復元部22aから送信された元画像の量子化DCT係数データに対して、逆量子化を行いDCT係数に戻した後、DCT逆変換を施すことで、元画像に相当する復号画像を生成する。なお、この実施の形態2に係る画像復号化装置20において対象とするJPEGは非可逆圧縮を想定しているため、復号画像は元画像と必ずしも全く同一にはならない。
【0042】
なお、ステップST101はこの発明の第1の圧縮復号化ステップに対応し、ステップST102はこの発明の第2の圧縮復号化ステップに対応し、ステップST103はこの発明の差異復元ステップに対応し、ステップST104はこの発明の逆量子化・DCT逆変換ステップに対応する。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、符号化画像及び拡張データをエントロピー復号化し、透かし画像の量子化DCT係数データの対応する位置の量子化DCT係数を差異部分の元画像の量子化DCT係数で置き換えるように構成したので、可視透かし画像を挿入前の元画像、正確には元画像をJPEG圧縮した画像データを復号することができる。また、従来の画像復号化装置のように、可視透かし画像に相当する領域とそれ以外の領域とで画質の劣化の度合いが異なる現象が発生することはなくなり、劣化の差異による主観的な画質の劣化を感じさせることもなくなる。
【0044】
実施の形態3.
実施の形態1は、画像符号化装置10において透かし入り画像の量子化DCT係数との差異部分である元画像の量子化DCT係数を抽出することにより拡張データを生成するものであるが、実施の形態3は、透かし入り画像の量子化DCT係数と元画像の量子化DCT係数の差分値を用いて拡張データを生成するものである。
図11はこの発明の実施の形態3に係る画像符号化・復号化システムの画像符号化装置10を示す構成図である。図11に示す実施の形態3に係る画像符号化装置10は、図1に示す実施の形態1に係る画像符号化装置10の構成の差異抽出部13aを差分抽出部13bに変更し、エントロピー符号化部14bをエントロピー符号化部14cに変更したものであり、その他の構成は同様であり同一の符号を付しその説明を省略する。
【0045】
差分抽出部13bは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データ及びDCT変換・量子化部12bから送信された元画像の量子化DCT係数データに基づいて、両者の量子化DCT係数を比較して、差分値を算出して抽出するものである。この差分抽出部13bにより算出された差分値を示す差分値データはエントロピー符号化部14cに送信される。
【0046】
エントロピー符号化部(第3の圧縮符号化部)14cは、差分抽出部13bから送信された差分値データに基づいて、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化を行い拡張データを算出するものである。
【0047】
次に、上記のように構成された画像符号化装置10の動作について説明する。図12はこの実施の形態3に係る画像符号化装置10による符号化処理を示すフローチャートである。
この図12に示す実施の形態3に係る画像符号化装置10による符号化処理において、図2に示す実施の形態1に係る画像符号化装置10による符号化処理と同様の処理については同一の符号を付し説明を簡略化する。
【0048】
画像符号化装置10による符号化処理では、図12に示すように、まず、画像合成部11は透かし入り画像を生成する(ステップST21)。次いで、DCT変換・量子化部12aは透かし入り画像の量子化DCT係数を算出し、DCT変換・量子化部12bは元画像の量子化DCT係数を算出する(ステップST22,ST23)。
【0049】
次いで、差分抽出部13bは差分値データを算出する(ステップST121)。すなわち、差分抽出部13bは、DCT変換・量子化部12aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、DCT変換・量子化部12bから送信された元画像の量子化DCT係数データとを比較し、図13に示すように、MCU単位で、元画像の量子化DCT係数のバイト値から、透かし入り画像の量子化DCT係数のバイト値を減算した差分値を算出する。そして、差分値が全て0であったMCU(差異のないMCU)は無視し、0ではない差分値を含むMCUのみを抽出する。なお、図示はしていないが、差分抽出部13bは、どの部分のMCUを抽出したのかを示すMCUの位置情報を、抽出した量子化DCT係数データに付加情報として付随する。
この差分抽出部13bにより算出された差分値を示す差分値データはエントロピー符号化部14cに送信される。
【0050】
次いで、エントロピー符号化部14aは符号化画像を生成する(ステップST25)。
一方、エントロピー符号化部14cは拡張データを生成する(ステップST122)。すなわち、エントロピー符号化部14cは、差分抽出部13bから送信された差分値データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー符号化を行うことによって拡張データを生成する。この拡張データは、元画像に相当する復元画像を生成するのに必要なデータとなる。
【0051】
次に、上記の画像符号化装置10により符号化された符号化画像及び拡張データを用いて、元画像に相当する復号画像を生成する画像復号化装置20について説明する。
図14はこの発明の実施の形態3に係る画像符号化・復号化システムの画像復号化装置20を示す構成図である。図14に示す実施の形態3に係る画像復号化装置20は、図9に示す実施の形態2に係る画像復号化装置20の構成の差異復元部22aを差分復元部22bに変更したものであり、その他の構成は同様であり同一の符号を付しその説明を省略する。
【0052】
なお、エントロピー復号化部21bは、受信した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行い差分値データを生成する。このエントロピー復号化部21bにより生成された差分値データは差分復元部22bに送信される。
【0053】
差分復元部22bは、エントロピー復号化部21aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、エントロピー復号化部21bから送信された差分値データとに基づいて、元画像の量子化DCT係数を生成するものである。この差分復元部22bにより生成された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは逆量子化・DCT逆変換部23に送信される。
【0054】
次に、上記のように構成される画像復号化装置20の動作について説明する。図15はこの実施の形態3に係る画像復号化装置20による復号化処理を示すフローチャートである。この図15に示す実施の形態3に係る画像復号化装置20による復号化処理において、図10に示す実施の形態2に係る画像復号化装置20による復号化処理と同様の処理については同一の符号を付し説明を簡略化する。
【0055】
画像復号化装置20による復号化処理では、図15に示すように、まず、エントロピー復号化部21aは符号化画像の復号化を行う(ステップST101)。
一方、エントロピー復号化部21bは拡張データの復号化を行う(ステップST151)。すなわち、エントロピー復号化部21bは、受信した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行うことによって差分値データを生成する。このエントロピー復号化部21bにより生成された差分値データは差分復元部22bに送信される。
【0056】
次いで、差分復元部22bは元画像の量子化DCT係数を復元する(ステップST152)。すなわち、差分復元部22bは、エントロピー復号化部21aから送信された透かし入り画像の量子化DCT係数データと、エントロピー復号化部21bから送信された差分値データに基づいて、元画像の量子化DCT係数を生成する。具体的には、差分復元部22bは、拡張データに付随されたMCUの位置情報をもとに、元画像の量子化DCT係数と差異部分である透かし入り画像の量子化DCT係数に対して、対応する差分値を加算する。この差分復元部22bにより生成された元画像の量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは逆量子化・DCT逆変換部23に送信される。
次いで、逆量子化・DCT逆変換部23は復号画像を生成する(ステップST104)。
【0057】
なお、ステップST121はこの発明の差分抽出ステップに対応し、ステップST122はこの発明の第3の圧縮符号化ステップに対応し、ステップST152はこの発明の差分復元ステップに対応する。
【0058】
以上のように、この発明の実施の形態3によれば、透かし入り画像をDCT変換し量子化してエントロピー符号化することにより符号化画像を生成する一方、差異部分の透かし入り画像の量子化DCT係数と元画像の量子化DCT係数との差分値をエントロピー符号化するように構成したので、元画像を復元するのに必要な拡張データを生成することが可能になる。
【0059】
また、この際、差異部分の透かし入り画像の量子化DCT係数と元画像の量子化DCT係数との差分値のみを抽出した上でエントロピー符号化しているため、拡張データのデータサイズを削減することができる。
この方法は、画像合成部11における画像合成において、図3に示したような透過的な加算による重畳を行う場合に特に効果が高い。透過的加算の場合は、合成後の透かし入り画像に元画像の影響が多分に残るため、元画像と透かし入り画像との各々の量子化DCT係数同士の値が一致する、あるいは比較的近い値になる部分が多く発生することが予想される。そのため、その差分値データについては、0または0に近い値が多く発生する可能性が高く、このような場合にエントロピー符号化を行うとその圧縮効果が大きく得られる可能性が高いため、データ削減効果が大きくなる。
【0060】
なお、この実施の形態3に係る画像符号化装置10では、JPEG圧縮を例に挙げた場合を示したものであるが、この画像符号化装置10による各処理は必ずしもこの記載にとどまるものではないことは、実施の形態1と同様である。
【0061】
実施の形態4.
実施の形態1では、差異抽出部により量子化DCT係数の差異部分を抽出することにより拡張データを生成し、実施の形態3では、差分抽出部により量子化DCT係数の差分値を算出することより拡張データを生成したが、実施の形態4は、差異抽出部による処理及び差分抽出部による処理をデータ量に基づいて選択するものである。
図16はこの発明の実施の形態4に係る画像符号化・復号化システムの画像符号化装置10を示す構成図である。図16に示す実施の形態4に係る画像符号化装置10は、図1に示す実施の形態1に係る画像符号化装置10の構成に差分抽出部13b、エントロピー符号化部14c及びデータ選択部16を追加したものであり、その他の構成は同様であり同一の符号を付しその説明を省略する。
【0062】
データ選択部16は、エントロピー符号化部14bから送信された差異部分の量子化DCT係数データに基づく拡張データと、エントロピー符号化部14cから送信された差分値データに基づく拡張データとを比較し、データ量の小さい方を選択して出力するものである。
【0063】
次に、上記のように構成された画像符号化装置10による符号化処理について説明する。
図17はこの実施の形態4に係る画像符号化装置10による符号化処理を示すフローチャートである。この図17に示す実施の形態4に係る画像符号化装置10による符号化処理において、図2に示す実施の形態1に係る画像符号化装置10による符号化処理及び図12に示す実施の形態3に係る画像符号化装置10による符号化処理と同様の処理については同一の符号を付し説明を簡略化する。
【0064】
画像符号化装置10による符号化処理では、図17に示すように、まず、画像合成部11は透かし入り画像を生成する(ステップST21)。次いで、DCT変換・量子化部12aは透かし入り画像の量子化DCT係数を算出し、DCT変換・量子化部12bは元画像の量子化DCT係数を算出する(ステップST22,ST23)。このDCT変換・量子化部12a,12bにより算出された量子化DCT係数を示す量子化DCT係数データは差異抽出部13a及び差分抽出部13bに送信される。
次いで、差異抽出部13aは差異部分を抽出する(ステップST24)。一方、差分抽出部13bは差分値データを算出する(ステップST121)。なお、ステップST24,ST121は並列的に処理される。
【0065】
次いで、エントロピー符号化部14aは符号化画像を生成する(ステップST25)。
一方、エントロピー符号化部14bは差異抽出部13aから送信された差異部分の元画像の量子化DCT係数データをエントロピー符号化して拡張データを生成する(ステップST26)。このエントロピー符号化部14bにより生成された拡張データはデータ選択部16に送信される。
一方、エントロピー符号化部14cは差分抽出部13bから送信された差分値データをエントロピー符号化して拡張データを生成する(ステップST122)。このエントロピー符号化部14cにより生成された拡張データはデータ選択部16に送信される。
なお、ステップST26,ST122は並列的に処理される。
【0066】
次いで、データ選択部16は拡張データを選択する(ステップST171)。すなわち、データ選択部16は、エントロピー符号化部14bとエントロピー符号化部14cとで並列的に処理された拡張データを受信し、両者の拡張データのデータ量をMCU単位で比較して、よりデータ量の少ない拡張データを選択して出力する。
なお、図示はしていないが、データ選択部16は、選択した拡張データが差異部分の元画像の量子化DCT係数データまたは差分値データのどちらであるかを示す選択情報を、選択した拡張データに付加情報として付随する。
【0067】
次に、上記の画像符号化装置10により符号化された符号化画像及び拡張データを用いて、元画像に相当する復号画像を生成する画像復号化装置20について説明する。
図18はこの発明の実施の形態4に係る画像符号化・復号化システムの画像復号化装置20を示す構成図である。図18に示す実施の形態4に係る画像復号化装置20は、図9に示す実施の形態1に係る画像復号化装置20の構成に、差分復元部22b及びデータ判定部24を追加したものであり、その他の構成は同様であり同一の符号を付しその説明を省略する。
【0068】
なお、エントロピー復号化部21bは、受信した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行い量子化DCT係数データまたは差分値データを生成する。このエントロピー復号化部21bにより生成されたデータはデータ判定部24に送信される。
【0069】
データ判定部24は、拡張データに付与されている付加情報に含まれる選択情報に基づいて、エントロピー復号化部21bから送信されたデータが差異部分の元画像の量子化DCT係数データまたは差分値データのどちらであるかを判定する。データ判定部24は、エントロピー復号化部21bから送信されたデータが差異部分の元画像の量子化DCT係数データであると判定した場合には、このデータを差異復元部22aに送信する。一方、データ判定部24は、エントロピー復号化部21bから送信されたデータが差分値データであると判定した場合には、このデータを差分復元部22bに送信する。
【0070】
次に、上記のように構成される画像復号化装置20の動作について説明する。図19はこの実施の形態4に係る画像復号化装置20による復号化処理を示すフローチャートである。この図19に示す実施の形態4に係る画像復号化装置20による復号化処理において、図10に示す実施の形態2に係る画像復号化装置20による復号化処理及び図15に示す実施の形態3に係る画像復号化装置20による復号化処理と同様の処理については同一の符号を付し説明を簡略化する。
【0071】
画像復号化装置20による復号化処理では、図19に示すように、まず、エントロピー復号化部21aは符号化画像の復号化を行う(ステップST101)。一方、エントロピー復号化部21bは拡張データの復号化を行う(ステップST191)。すなわち、エントロピー復号化部21bは、受信した拡張データに対して、ハフマン符号を用いたエントロピー復号化を行うことによって、差異部分の元画像の量子化DCT係数データまたは差分値データを生成する。このエントロピー復号化部21bにより生成されたデータはデータ判定部24に送信される。
【0072】
次いで、データ判定部24は受信したデータが量子化DCT係数データであるかを判定する(ステップST192)。すなわち、データ判定部24は、拡張データに付与されている付加情報に含まれる選択情報に基づいて、エントロピー復号化部21bから送信されたデータが差異部分の元画像の量子化DCT係数データであるか否かを判定する。
【0073】
このステップST192において、データ判定部24が受信したデータは差異部分の元画像の量子化DCT係数データであると判定した場合には、このデータを差異復元部22aに送信し、次いで、差異復元部22aは元画像の量子化DCT係数を復元する(ステップST103)。
一方、ステップST192において、データ判定部24が受信したデータは差分値データであると判定した場合には、このデータを差分復元部22bに送信し、次いで、差分復元部22bは元画像の量子化DCT係数を復元する(ステップST152)。
次いで、逆量子化・DCT逆変換部23は復号画像を生成する(ステップST104)。
【0074】
なお、ステップST171はこの発明のデータ選択ステップに対応し、ステップST192はこの発明のデータ判定ステップに対応する。
【0075】
以上のように、この実施の形態4によれば、画像符号化装置10において符号化を行う際に、差異部分の元画像の量子化DCT係数データと差分値データのうちのデータ量の小さいデータを拡張データとして選択するように構成したので、実施の形態1〜3の効果に加えて、拡張データのさらなるデータ削減を行うことができる。
【0076】
実施の形態5.
実施の形態1は、元画像と透かし入り画像と元画像との差異部分の量子化DCT係数の抽出することによって拡張データを生成するものであるが、実施の形態5は、このデータを暗号化するものである。
図20はこの発明の実施の形態5に係る画像符号化・復号化システムの画像符号化装置10を示す構成図である。図20に示す実施の形態5に係る画像符号化装置10において、図1に示す実施の形態1に係る画像符号化装置10の構成に、エントロピー符号化部14bから送信された拡張データを暗号化するデータ暗号化部17を追加したものである。
【0077】
また、図21はこの発明の実施の形態5に係る画像符号化・復号化システムの画像復号化装置20を示す構成図である。図21に示す実施の形態5に係る画像復号化装置20において、図9に示す実施の形態2に係る画像復号化装置20の構成に、入力した拡張データが暗号化されている場合にこの暗号化の解除を行う暗号化復号部25を追加したものである。
【0078】
なお、この実施の形態5に係る画像符号化装置10のデータ暗号化部17及び画像復号化装置20の暗号化復号部25は、実施の形態1に係る画像符号化装置10及び実施の形態2に係る画像復号化装置20だけでなく、実施の形態3、4に係る画像符号化装置10及び画像復号化装置20に対しても、同様に適用可能である。
【0079】
以上のように、この発明の実施の形態5によれば、拡張データを暗号化するように構成したので、透かし入り画像による元画像の復元を制限することが可能である。すなわち、例えば暗号の復号に必要な鍵を持つ限られたユーザのみが元画像を復元することができ、その他のユーザによる元画像への復元を禁止することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 画像符号化装置、11 画像合成部、12a DCT変換・量子化部(第1の周波数変換・量子化部)、12b DCT変換・量子化部(第2の周波数変換・量子化部)、13a 差異抽出部、13b 差分抽出部、14a エントロピー符号化部(第1の圧縮符号化部)、14b エントロピー符号化部(第2の圧縮符号化部),14c エントロピー符号化部(第3の圧縮符号化部)、15 画像出力部、16 データ選択部、17 データ暗号化部、20 画像復号化装置、21a エントロピー復号化部(第1の圧縮復号化部) 21b エントロピー復号化部(第2の圧縮復号化部)、22a 差異復元部、22b 差分復元部、23 逆量子化・DCT逆変換部(逆量子化・周波数逆変換部)、24 データ判定部、25 暗号化復号部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像及び透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部と
を備える画像符号化装置。
【請求項2】
元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータから前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータを減算したデータを抽出する差分抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差分抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化部と
を備える画像符号化装置。
【請求項3】
元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部と、
前記第2の周波数変換・量子化部によるデータから前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを減算したデータを抽出する差分抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部と、
前記差分抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化部と、
前記第2の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータと前記第3の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータとを比較し、データ量の小さいデータを選択するデータ選択部と
を備える画像符号化装置。
【請求項4】
前記差異抽出部または前記差分抽出部により抽出されたデータを暗号化するデータ暗号化部を備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像符号化装置。
【請求項5】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータのうち、前記透かし入り画像と異なる部分を圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化部によるデータに置き換える差異復元部と、
前記差異復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部と
を備える画像復号化装置。
【請求項6】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータから、前記透かし入り画像を周波数変換して量子化したデータを減算して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化部によるデータを加算する差分復元部と、
前記差分復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部と
を備える画像復号化装置。
【請求項7】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータのうち、前記透かし入り画像と異なる部分を圧縮符号化した符号化画像、または、前記元画像のデータから、前記透かし入り画像を周波数変換して量子化したデータを減算して圧縮符号化した符号化画像を、圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮複合化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮複合化されたデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化部によるデータに置き換える差異復元部と、
前記第1の圧縮復号化部によるデータのうち、前記第2の圧縮復号化部によるデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化部によるデータを加算する差分復元部と、
第2の圧縮復号化部によるデータに基づいて、前記差異復元部または前記差分復元部による処理を選択するデータ判定部と、
前記差異復元部または前記差分復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部と
を備える画像復号化装置。
【請求項8】
前記符号化画像が暗号化されている場合に当該暗号化を解除する暗号化復号部を備え、
前記第2の圧縮復号部は、前記暗号化復号部により暗号化が解除された符号化画像を圧縮復号化する
ことを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか1項記載の画像符号化装置。
【請求項9】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像を符号化して符号化画像を生成する画像符号化装置と、前記画像符号化装置により生成された符号化画像を復号化して復元画像を生成する画像復号化装置とを備えた画像符号化・復号化システムにおいて、
前記画像符号化装置は、
前記元画像及び透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部とを備え、
前記画像復号化装置は、
前記第1の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータを圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記第2の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータを圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化部によるデータに置き換える差異復元部と、
前記差異復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部とを備える
ことを特徴とする画像符号化・復号化システム。
【請求項10】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像を符号化して符号化画像を生成する画像符号化装置と、前記画像符号化装置により生成された符号化画像を復号化して復元画像を生成する画像復号化装置とを備えた画像符号化・復号化システムにおいて、
前記画像符号化装置は、
前記元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータから前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータを減算したデータを抽出する差分抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差分抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化部とを備え、
前記画像復号化装置は、
前記第1の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータを圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記第3の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータを圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮復号化されたデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化部によるデータを加算する差分復元部と、
前記差分復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部とを備える
ことを特徴とする画像符号化・復号化システム。
【請求項11】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像を符号化して符号化画像を生成する画像符号化装置と、前記画像符号化装置により生成された符号化画像を復号化して復元画像を生成する画像復号化装置とを備えた画像符号化・復号化システムにおいて、
前記画像符号化装置は、
前記元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化部と、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化部と、
前記第2の周波数変換・量子化部により算出されたデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化部により算出されたデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出部と、
前記第2の周波数変換・量子化部によるデータから前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを減算したデータを抽出する差分抽出部と、
前記第1の周波数変換・量子化部によるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化部と、
前記差異抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化部と、
前記差分抽出部により抽出されたデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化部と、
前記第2の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータと前記第3の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータとを比較し、データ量の小さいデータを選択するデータ選択部とを備え、
前記画像復号化装置は、
前記第1の圧縮符号化部により圧縮符号化されたデータを圧縮復号化する第1の圧縮復号化部と、
前記データ選択部により選択されたデータを圧縮復号化する第2の圧縮復号化部と、
前記第1の圧縮復号化部により圧縮複合化されたデータのうち、前記第2の圧縮復号化部により圧縮複合化されたデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化部によるデータに置き換える差異復元部と、
前記第1の圧縮復号化部によるデータのうち、前記第2の圧縮復号化部によるデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化部によるデータを加算する差分復元部と、
第2の圧縮復号化部によるデータに基づいて、前記差異復元部または前記差分復元部による処理を選択するデータ判定部と、
前記差異復元部または前記差分復元部によるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換部とを備える
ことを特徴とする画像符号化・復号化システム。
【請求項12】
元画像及び透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップにおいて生成した透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化ステップと、
前記第2の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出ステップと、
前記第1の周波数変換・量子化ステップにおけるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化ステップと、
前記差異抽出ステップにおいて抽出したデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化ステップと
を有する画像符号化方法。
【請求項13】
元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップにおいて生成した透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化ステップと、
前記第2の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータから前記第1の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータを減算したデータを抽出する差分抽出ステップと、
前記第1の周波数変換・量子化ステップにおけるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化ステップと、
前記差分抽出ステップにおいて抽出したデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化ステップと
を有する画像符号化方法。
【請求項14】
元画像と透かし画像を合成して透かし入り画像を生成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップにおいて生成した透かし入り画像を周波数変換して量子化する第1の周波数変換・量子化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化する第2の周波数変換・量子化ステップと、
前記第2の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータのうち、前記第1の周波数変換・量子化ステップにおいて算出したデータと異なる部分のデータを抽出する差異抽出ステップと、
前記第2の周波数変換・量子化ステップにおけるデータから前記第1の周波数変換・量子化ステップにおけるデータを減算したデータを抽出する差分抽出ステップと、
前記第1の周波数変換・量子化ステップにおけるデータを圧縮符号化する第1の圧縮符号化ステップと、
前記差異抽出ステップにおいて抽出したデータを圧縮符号化する第2の圧縮符号化ステップと、
前記差分抽出ステップにおいて抽出したデータを圧縮符号化する第3の圧縮符号化ステップと、
前記第2の圧縮符号化ステップにおいて圧縮符号化したデータと前記第3の圧縮符号化ステップにおいて圧縮符号化したデータとを比較し、データ量の小さいデータを出力するデータ選択ステップと
を有する画像符号化方法。
【請求項15】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータのうち、前記透かし入り画像と異なるステップ分を圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第2の圧縮復号化ステップと、
前記第1の圧縮復号化ステップにおいて圧縮復号化したデータのうち、前記第2の圧縮復号化ステップにおいて圧縮復号化したデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化ステップにおけるデータに置き換える差異復元ステップと、
前記差異復元ステップにおけるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換ステップと
を有する画像復号化方法。
【請求項16】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータから、前記透かし入り画像を周波数変換して量子化したデータを減算して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第2の圧縮復号化ステップと、
前記第1の圧縮復号化ステップにおいて圧縮復号化したデータのうち、前記第2の圧縮復号化ステップにおいて圧縮復号化したデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化ステップにおけるデータを加算する差分復元ステップと、
前記差分復元ステップにおけるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換ステップと
を有する画像復号化方法。
【請求項17】
元画像及び透かし画像を合成した透かし入り画像について、周波数変換して量子化して圧縮符号化した符号化画像を圧縮復号化する第1の圧縮復号化ステップと、
前記元画像を周波数変換して量子化したデータのうち、前記透かし入り画像と異なる部分を圧縮符号化した符号化画像、または、前記元画像のデータから、前記透かし入り画像を周波数変換して量子化したデータを減算して圧縮符号化した符号化画像を、圧縮復号化する第2の圧縮復号化ステップと、
前記第1の圧縮復号化ステップにおいて圧縮複合化したデータのうち、前記第2の圧縮復号化ステップにおいて圧縮複合化したデータに対応する部分のデータを、当該第2の圧縮復号化ステップにおけるデータに置き換える差異復元ステップと、
前記第1の圧縮復号化ステップにおけるデータのうち、前記第2の圧縮復号化ステップにおけるデータに対応する部分のデータに、当該第2の圧縮復号化ステップにおけるデータを加算する差分復元ステップと、
第2の圧縮復号化ステップにおけるデータに基づいて、前記差異復元ステップまたは前記差分復元ステップによる処理を選択するデータ判定ステップと、
前記差異復元ステップまたは前記差分復元ステップにおけるデータを逆量子化・周波数逆変換する逆量子化・周波数逆変換ステップと
を有する画像復号化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−114770(P2011−114770A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271488(P2009−271488)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】