説明

画像表示システム、情報機器、表示制御装置、表示制御方法、表示制御プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】表示用画像データの転送処理と、表示用画像データの回転処理とを並行して行うことで、回転処理済の表示用画像データの描画更新を高速化させる。
【解決手段】本発明の画像表示システムは、表示用データ生成装置300から転送された表示用画像データをRAM210に書き込むホストIF240と、上記RAM210上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理部250とを備えた液晶コントローラ200を有する。液晶コントローラ200は、上記回転処理部250による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、上記表示用データ生成装置300から転送された表示用画像データを上記RAM210に書き込むように上記ホストIF240を制御する。これにより、表示用画像データの回転処理と転送処理とを並列に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に画像出力可能な情報機器に関し、特に、アプリケーションが作成する画像を回転して表示する必要のある情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置に画像出力可能な情報機器として、例えば携帯電話機を挙げることができる。
【0003】
図8は、携帯電話機に搭載された画像表示システムの概略構成ブロック図示す。
【0004】
上記画像表示システムは、図8に示すように、表示装置である液晶表示装置1100と、液晶表示装置1100に表示用画像データを送信する液晶コントローラ1200と、表示用画像データを生成する表示用データ生成装置1300とを備えている。
【0005】
上記表示用データ生成装置1300は、ホストCPU1310及びRAM1320を備えており、該ホストCPU1310上で実行されるアプリケーションによって表示用画像データが生成される。
【0006】
ところで、近年の携帯電話機においては、画像を表示する表示部を本体装置に対して回転させる機能を有しているものが存在する。
【0007】
例えば、上記のアプリケーションが生成する画像の向きと、液晶表示装置1100の走査方向が一致している場合には問題にならないが、一致しない場合には、一致させるように、画像を回転させる必要がある。つまり、アプリケーションが生成する表示用画像データに対して、液晶表示装置1100の走査方向に合わせる処理(回転処理)を施す必要がある。
【0008】
図8に示す画像表示システムにおいて、表示用画像データに対して回転処理を施すのは、表示用データ生成装置1300、液晶コントローラ1200の何れかになる。
【0009】
表示用データ生成装置1300側で表示用画像データに対して回転処理を施す場合、ホストCPU1310上で動くソフトウェアにより表示用画像データの生成段階において回転処理を行うことになる。この場合、上記ソフトウェアが、表示用データ生成装置1300内において、表示用画像データの回転に伴って変更されるRAMのアドレスを求めるための演算処理、この回転処理に伴う、表示用画像データへの多数のランダムアクセスによって、回転処理された表示用画像データを得るまでに時間を要し、この結果、描画更新に非常に長い時間がかかり、高速に描画更新できないという問題が生じる。
【0010】
この問題を解消するために、表示用データ生成装置1300のホストCPU1310から液晶コントローラ1200への回転処理済みの表示用画像データの転送速度を速めることで高速に描画更新することが考えられる。例えば、特許文献1には、効率的に画像データ転送制御を行ない、ホストCPUから高速にデータ転送する方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、表示用データ生成装置1300側で表示用画像データを回転処理させた状態で生成している以上、表示用画像データの生成に時間を要し、データ転送を高速にするだけでは、描画更新を高速に行うことができないという問題が生じる。
【0012】
一方、液晶コントローラ1200側で表示用画像データに対して回転処理を施す場合、既に生成された表示用画像データに対して回転処理を施すだけなので、表示用データ生成装置1300側で表示用画像データに対して回転処理を施す場合に比べて、描画更新を高速にできる。
【0013】
例えば、特許文献2には、画像表示装置の表示制御装置(液晶コントローラ1200に相当)側で表示用画像データの回転処理を行うことで、描画更新を高速にする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−149141号公報(2002年5月24日公開)
【特許文献2】特開昭63−63281号公報(1988年3月19日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献2では、ホストCPUとハンドシェークして通信し、回転処理をしている間通信を停止させている。つまり、特許文献2に開示された技術では、表示用画像データの転送処理と、表示用画像データの回転処理とが並行して行われずに、逐次処理となっているため、回転処理済みの表示用画像データの高速な描画更新が望めないという問題が生じる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示用画像データの転送処理と、表示用画像データの回転処理とを並行して行うことで、回転処理済の表示用画像データの描画更新を高速化させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像表示システムは、上記課題を解決するために、画像を表示する表示部が回転可能な表示装置と、上記表示用画像データを格納したメモリから必要な表示用画像データを読み出して上記表示部に転送する表示制御装置と、上記表示用画像データを生成して上記表示制御装置に転送する表示用画像データ生成装置とを含んだ画像表示システムにおいて、上記表示制御装置は、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むライト部と、上記メモリ上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理部とを備え、上記回転処理部による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むように上記ライト部を制御することを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、表示制御装置によって、回転処理部による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むように上記ライト部を制御することで、回転処理部が表示用画像データに対して回転処理を行っている間に、ライト部によって上記メモリに転送された表示用画像データを書き込むことができる。
【0018】
これにより、回転処理部による表示用画像データに対する回転処理と、表示用画像データの転送処理とを並列に行うことができるので、従来のように、回転処理中にデータの転送を停止させる場合よりも、回転処理済の表示用画像データの描画更新を高速化させることが可能となる。
【0019】
上記表示制御装置は、上記ライト部に、上記表示用画像データ生成装置が生成した表示用画像データを、複数ライン単位で上記メモリに書き込ませ、上記回転処理部に、上記メモリに書き込まれた順序で表示用画像データに対して回転処理をさせるようにしてもよい。
【0020】
これにより、複数ライン単位で回転処理と、データの転送処理とを並列して行うことができる。
【0021】
上記メモリの表示用データ格納領域をダブルバッファ構成としてもよい。
【0022】
これにより、使用メモリを最小化してコストの増大を最小化し、また制御を単純化して制御のオーバーヘッドを最小化することが可能となる。
【0023】
上記表示制御装置は、同期制御部による所定のタイミングの同期信号に従って、上記メモリに格納された表示用画像データを読み出して、上記表示装置に転送するリード部と、上記回転処理部が回転処理した表示用画像データを、上記メモリの上記リード部が読み込む表示用画像データ格納領域に、当該リード部が読み込む走査方向と同一方向に一括してコピーするコピー手段とを備えていてもよい。
【0024】
これにより、回転後の画像データのメモリ上のアドレス方向が、表示装置の走査方向すなわちデータ転送方向と直交関係にあっても、更新画像全体を処理した後に表示装置の走査方向と同一方向にコピーでき、また、同期制御部のタイミング(同期信号)を参照する事により、表示装置に転送する表示用画像データを読み込むリード部が、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分を、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生せず、結果として、表示に走査方向の境界線を見え無くすることができるので、表示品位を確保できる。
【0025】
上記回転処理部は、CPUとローカルRAMを備え、上記メモリに書き込まれた表示用画像データの一部あるいは全部をローカルRAMに転送し、上記ローカルRAMに転送された表示用画像データに対して上記CPUにて回転処理を施し、回転処理した表示用画像データを上記メモリの上記リード部がデータを読み出す領域に書き込むようにしてもよい。
【0026】
これにより、回転処理部に汎用のCPUを用いる事ができ、他の画像処理等の目的にも本CPUを使用できるため、汎用性が高くなるというメリットを有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る画像表示システムは、以上のように、表示制御装置は、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むライト部と、上記メモリ上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理部とを備え、上記回転処理部による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むように上記ライト部を制御することで、回転処理済の表示用画像データの描画更新を高速化させることが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の一実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
【0029】
図1は、本発明の画像表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【0030】
上記画像表示システムは、図1に示すように、液晶表示装置100、液晶コントローラ(表示制御装置)200、表示用データ生成装置300を含んだ構成となっている。
【0031】
上記液晶表示装置100は、液晶パネル110と、液晶ドライバ120とを含んでいる。
【0032】
上記液晶コントローラ200は、RAM210、リード部220、同期制御部230、ホストIF240、回転処理部250、割り込み処理部260、状態通知部270を含んでいる。
【0033】
上記表示用データ生成装置300は、ホストCPU310、RAM320を含んでいる。
【0034】
上記液晶コントローラ200は、上述のように、表示用画像データを保持するRAM210を備え、液晶表示装置100に逐次表示用画像データを転送して表示を行わせるようになっている。
【0035】
上記同期制御部230は、液晶表示装置100に表示用画像データを転送するタイミングを図るためのタイミング情報を生成するようになっている。
【0036】
上記リード部220は、上記同期制御部230のタイミング情報に従い、上記RAM210に保持された表示用画像データを逐次読み出し、所定のフォーマットで液晶表示装置100にデータを転送するようになっている。
【0037】
上記液晶表示装置100は、上述のように、液晶ドライバ120を備えており、該液晶ドライバ120は、転送された表示用画像データをA/D変換し、また、同期制御部230からのタイミング情報から、液晶パネル110に必要なタイミング信号を生成し、該液晶パネル110を駆動し、所定の画像を表示するようになっている。
【0038】
上記表示用画像データは、表示用データ生成装置300内のホストCPU310上で実行されるアプリケーションソフトで作成されて液晶コントローラ200に転送される。
【0039】
上記ホストCPU310で作成された表示用画像データは、一旦、ホストCPU310に接続されているRAM320に保管される。ホストCPU310は、描画更新する時に、該RAM320から表示用画像データを読み出して、液晶コントローラ200内のホストIF240を介して液晶コントローラ200内部のRAM210に転送する。該RAM210は、新たに転送された表示用画像データによって、上書き保存、すなわち描画更新される。
【0040】
上記液晶コントローラ200は、上述のように、回転処理部250と、該回転処理部250と上記表示用データ生成装置300のホストCPU310との連携を行うための割り込み処理部260及び状態通知部270が備えられている。
【0041】
上記状態通知部270は、ホストCPU310からライトでき、且つ回転処理部250がリードできるレジスタと、回転処理部250がライトでき、且つホストCPU310がリードできるレジスタを備えている。
【0042】
上記割り込み処理部260は、ホストCPU310がレジスタにライトする事により回転処理部250に割り込みを通知する機能と、回転処理部250がレジスタにライトする事によりホストCPU310に割り込みを通知する機能とを有する。
【0043】
図2は、上記構成の画像表示システムを搭載した情報機器の一つである携帯電話機の概略を示す図である。
【0044】
携帯電話機本体は、図2に示すように、上筐体1と下筐体2の2つの筐体に別れ、それぞれヒンジ部3を介して、下筐体2側のボタン等の配置した操作部2aと、上筐体1側の液晶パネル110等を配置した表示部1aとを対向させて折りたたむ事ができるようになっている。
【0045】
なお、液晶パネル110は、短辺方向にソースドライバ、長辺方向にゲートドライバが配置され、液晶の走査方向は左上から右上、さらに順次上から下へ走査していく方向となる。走査方向とは、液晶に表示されるデータを、液晶コントローラ200が液晶表示装置100に送信するデータの順序である。
【0046】
また、本携帯電話機は、図2の右側に示すように、折りたたみを開いた時、上筐体1は、さらに表示部1aの裏側に施されたレール(図示せず)、あるいは第2のヒンジ(図示せず)を介して、図2の左側に示す状態から、右に90度倒して横長状態にすることができ、横長画像を横長状態にて表示させることができる。なお、液晶パネル110は、短辺方向にソースドライバ、長辺方向にゲートドライバが配置されているため、右に90度倒した状態においては、液晶の走査方向は、右上から右下、さらに順次右から左へ走査していく方向である。
【0047】
ここで、図2の左側の携帯電話機の表示部1aと右側の携帯電話機の表示部1aは、同じ動画像を表示させているが、好ましくはどちらの状態でも同じアプリケーションソフトにて動画像のデコード、表示用画像データの生成を行なうべきであり、そのため、携帯電話機の状態(主に、表示部1aの回転状態)に応じて、生成した表示用画像データを回転せずに液晶パネル110に表示させたり、回転させて液晶パネル110に表示させたりする必要がある。
【0048】
このために、表示用画像データに対して回転処理を行うのが、液晶コントローラ200の回転処理部250である。
【0049】
図3は、回転処理部250の概略構成を示すブロック図である。
【0050】
上記回転処理部250は、各種の処理を行なうCPU251と、液晶コントローラ200内の表示用画像データを格納するRAM210とのインターフェースであるバスIF252と、回転処理のために一時的にデータを格納するローカルRAM253と、上記バスIF252を介してグローバルバスと接続されたRAM210とローカルRAM253とのデータ転送を行なうDMAコントローラ(DMAC)254とで構成される。
【0051】
上記CPU251は、外部からの割り込み信号を受け付け、処理を分岐させる割り込み処理機能を有している。このときの割り込み信号は、液晶コントローラ200内の割り込み処理部260から通知された割り込み信号を含む。すなわち、表示用データ生成装置300のホストCPU310がレジスタにライトしたことを通知するための割り込み信号である。
【0052】
つまり、上記回転処理部250は、上記割り込み信号の送受信により、表示用データ生成装置300のホストCPU310と連携をとることで、表示用データ生成装置300から液晶コントローラ200への表示用画像データの転送と、液晶コントローラ200内での表示用画像データの回転処理とを並列して行うことを可能にしている。
【0053】
図4は、ホストCPU310と回転処理部250とが連携して画像データの転送と回転処理とを行なう様子を示した概略図である。以下の説明において、(1)〜(4)は、図4に示す(1)〜(4)にそれぞれ対応している。
【0054】
まず、ホストCPU310上で実行されるアプリケーションによって生成された、表示用画像データは、表示用データ生成装置300内のホストCPU310に接続されているRAM320に、矩形画像データに変換されて保存される。
【0055】
(1):RAM320に保存された矩形画像データを、画像の上から順に2ラインずつの横長の領域に分割し、液晶コントローラ200内部のRAM210に配置されたダブルバッファに、2ラインずつ転送する。この際、ホストCPU310に接続されているRAM320がDRAMであった場合、横方向、すなわち、DRAMのアドレスが連続する方向へのリードは高速で行なう事ができる。
【0056】
(2):ホストCPU310と回転処理部250は、状態通知部270を介してハンドシェークし、ホストCPU310がダブルバッファへ画像データを転送した事を通知すると、回転処理部250は、DMAコントローラ254を利用してダブルバッファの2ライン分の画像データを一度回転処理部250のローカルRAM253へ転送する。今、液晶コントローラ200内部のRAM210がDRAMで構成されているとしても、ダブルバッファのリード動作は、アドレスの連続する方向へのリードであるので、高速に動作する。
【0057】
(3):次に、回転処理部250は、ローカルRAM253にコピーした2ライン分の表示用画像データを、液晶コントローラ200内のRAM210の一部に配置されたコピーバッファにソフトで2画素ずつライトして、回転させる。
【0058】
(4)すべての矩形画像データをRAM210に転送、そして回転処理が終了すると、回転処理部250は同期制御部230のタイミング情報を参照し、リード部220が液晶表示装置100へ転送している表示用画像データに上書きコピーする。この時、矩形画像データをコピーすべき位置の縦方向座標をリード部220がリードした直後にコピーを開始して、矩形画像データをコピーする。これにより、液晶表示装置100に転送する表示用画像データを読み込むリード部220が、書き込みが終了していないRAM210のメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分を、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生せず、表示に走査方向の境界線が見えなくする事ができ、表示品位を確保できる。
【0059】
以上、図4を参照しながら、ホストCPU310と回転処理部250との連携回転処理について概略を説明したが、以下において、ホストCPU310側での処理、回転処理部250側での処理について詳細に説明する。
【0060】
ここで、上記状態通知部270には、ホストCPU310から回転処理部250へ状態を通知する2つのレジスタ(ホストステータスAレジスタとホストステータスBレジスタ)を、回転処理部250からホストCPU310へ状態を通知する2つのレジスタ(回転ステータスAレジスタと回転ステータスBレジスタ)を、配置するものとする。なお、レジスタの禁止状態とは、データのリード及びライトを禁止している状態をいい、レジスタの許可状態とは、データのリード及びライトを許可している状態をいう。
【0061】
図5は、ホストCPU310側の連携回転処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
まず、連携回転処理が起動すると、状態通知部270内のホストステータスAレジスタを禁止状態にし(ステップS1)、ホストステータスBレジスタを禁止状態とする(ステップS2)。
【0063】
次に、状態通知部270内の回転ステータスAレジスタをポーリングし、許可状態になるまで待つ(ステップS3)。
【0064】
ステップS3において、回転ステータスAレジスタが許可状態となると、ホストステータスAレジスタを禁止状態にし(ステップS4)、ホストステータスBレジスタを許可状態とする(ステップS5)。
【0065】
そして、全データの転送終了を判定する(ステップS6)。ここで、全データの転送とは、液晶コントローラ200の回転処理部250において一度に回転処理すべき表示用画像データの全てをいう。
【0066】
ここで、全データが転送終了していると判定されれば、状態通知部270の回転ステータスBレジスタが許可状態であるか否かを判定し(ステップS7)、回転ステータスBレジスタが許可状態であれば、ホストステータスBレジスタを禁止状態にし(ステップS8)、処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS6において、全データが転送終了していないと判定されれば、RAM210内のダブルバッファのうちのA面のダブルバッファへ2ライン分の画像データを転送する(ステップS9)。
【0068】
次に、状態通知部270内の回転ステータスBレジスタをポーリングし、許可状態になるまで待つ(ステップS10)。
【0069】
ステップS10において、回転ステータスBレジスタが許可状態になると、ホストステータスBレジスタを禁止状態にし(ステップS11)、ホストステータスAレジスタを許可状態とする(ステップS12)。
【0070】
そして、全データの転送終了を判定する(ステップS13)。ここで、全データの転送とは、液晶コントローラ200の回転処理部250において一度に回転処理すべき表示用画像データの全てをいう。
【0071】
ここで、全データが転送終了していると判定されれば、状態通知部270の回転ステータスAレジスタが許可状態であるか否かを判定し(ステップS14)、回転ステータスAレジスタが許可状態であれば、ホストステータスAレジスタを禁止状態にし(ステップS15)、処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS13において、全データが転送終了していないと判定されれば、RAM210内のダブルバッファのうちのB面のダブルバッファへ2ライン分の画像データを転送し(ステップS16)、ステップS3に移行する。
【0073】
以上のように、全画像データを転送終了すると、直近に転送した方のダブルバッファの回転ステータスレジスタをポーリングし、許可状態になるまで待つ。その回転ステータスレジスタが許可状態になると、そのホストステータスレジスタを禁止状態として、処理を終了する。
【0074】
次に、回転処理部250側の連携回転処理について説明する。
【0075】
図6は、回転処理部250のCPU251における連携回転処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
ここでは、連携回転処理が開始される前に、あらかじめホストCPU310から、回転処理する画像のサイズ、表示している画像に上書きする位置情報、その他ダブルバッファやコピーバッファや表示用画像データのRAM上のアドレス等の情報が、設定情報として回転処理部250に通知される。
【0077】
その後、連携回転処理の開始を通知されると、回転処理部250内のCPU251は、状態通知部270の回転ステータスAレジスタを許可状態にし(ステップS21)、回転ステータスBレジスタを許可状態にする(ステップS22)。
【0078】
次に、ホストステータスAレジスタをポーリングし、許可状態になるまで待つ(ステップS23)。
【0079】
ステップS23において、ホストステータスAレジスタが許可状態となると、回転ステータスAレジスタを禁止状態とし(ステップS24)、ダブルバッファのA面の回転処理を行なう(ステップS25)。すなわち、ダブルバッファのA面をローカルRAM253へDMAコントローラ254を使用してコピーし、ソフトにてコピーバッファへ回転させた状態で保存する。
【0080】
次に、A面の回転処理が終わると、回転ステータスAレジスタを許可状態とする(ステップS26)。
【0081】
そして、全データの回転処理の終了を判定する(ステップS27)。ここで、全データの回転処理とは、液晶コントローラ200の回転処理部250において一度に回転処理すべき表示用画像データの全てを回転させることをいう。
【0082】
ここで、全データの回転処理が終了していると判定されれば、ステップS33に移行し、全データの回転処理が終了していなければ、状態通知部270のホストステータスBレジスタをポーリングし、許可状態になるまで待つ(ステップS28)。
【0083】
ステップS28において、ホストステータスBレジスタが許可状態となると、回転ステータスBレジスタを禁止状態とし(ステップS29)、ダブルバッファのB面の回転処理を行なう(ステップS30)。すなわち、ダブルバッファのB面をローカルRAM253へDMAコントローラ254を使用してコピーし、ソフトにてコピーバッファへ回転させた状態で保存する。
【0084】
次に、B面の回転処理が終わると、回転ステータスBレジスタを許可状態とする(ステップS31)。
【0085】
続いて、全データの回転処理の終了を判定する(ステップS32)。ここで、全データの回転処理とは、液晶コントローラ200の回転処理部250において一度に回転処理すべき表示用画像データの全てを回転させることをいう。
【0086】
ここで、全データの回転処理が終了していなければ、ステップS23に移行し、全データの回転処理が終了していれば、CPU251は、同期制御部230のタイミング情報を参照し、回転後の矩形画像データをコピーすべき位置の縦方向座標をリード部220がリードした直後になるまで待つ(ステップS33)。
【0087】
所定のタイミングが通知されれば、DMAコントローラ254を起動して、矩形画像データをRAM210の表示画像データ領域にコピーする(ステップS34)。
【0088】
そして、コピー処理が終了すると、ホストCPU310に連携回転処理の終了を通知し(ステップS35)、処理を終了する。
【0089】
以上、ホストCPU310側での連携回転処理と、回転処理部250側での連携回転処理との説明を別々に行ったが、以下では、連携回転処理における全体の流れについて説明する。
【0090】
図7は、ホストCPU310の処理と回転処理部250の処理の全体の連携処理の流れを示すシーケンス図である。図7において、回転処理CPUとは、回転処理部250内のCPU251を示す。
【0091】
まず、ホストCPU310は、表示更新したい画像データを生成すると、連携回転処理の設定情報を回転処理部250に通知し、連携回転処理の開始通知を行なう。その後、ホストCPU310は、ダブルバッファA面に表示用画像データを転送する。
【0092】
ハンドシェークを行なった後、ダブルバッファB面の表示用画像データがホストCPU310から転送されると同時に、回転処理部250は、既に、ダブルバッファA面に転送されている表示用画像データの回転処理を行なう。
【0093】
ハンドシェークにより、回転処理部250において、ダブルバッファB面への表示用画像データ転送と、ダブルバッファA面に転送された表示用画像データの回転処理が共に終了すると、ダブルバッファA面の表示用画像データをホストCPU310から転送されると同時に、回転処理部はダブルバッファB面に転送されている画像データの回転処理を行なう。
【0094】
全表示用画像データの回転処理部250の回転処理が終了すると、ホストCPU310側の連携回転処理は終了するが、回転処理部250は、引き続き処理を継続し、同期制御部230からのタイミング情報を参照して、RAM210の表示画像領域へのコピー処理を行なう。コピー処理が終了すると、回転処理部250からホストCPU310へ、連携回転処理が終了したことと、次の連携回転処理を起動して良いことが通知される。
【0095】
これにより、ホストCPU310からの表示用画像データの液晶コントローラ200への転送処理と、液晶コントローラ200内部での回転処理が、ほぼ並列に動作するため、回転表示するためのオーバーヘッドを無くす事ができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、上述のように、同期制御部230からのタイミング情報を参照して、RAM210の表示画像領域へのコピー処理を行うことで、表示品位を保っているが、表示品位よりも描画更新レートを優先したい場合には、同期制御部230のタイミングを待たなくても良い。また、複数の矩形画像データを1つの表示画像に埋め込んで描画更新した場合は、複数の矩形画像データについて連携回転処理を行なった後に、一括して上記のコピー処理を行なっても良い。
【0097】
また、本実施の形態では、連携回転処理の設定情報通知、起動通知、終了通知に関して、割り込みを使用しているため、回転処理部250は、連携回転処理をしていない時は、別の処理を実行しておく事も可能となる。ホストCPU310は、転送処理が終了した後、コピーが終了するまでの間、他の処理を実行する事もできる。なお、これらの通知方法は、割り込みでなくても、他の方法を用いても良い。例えば、上記の通知をレジスタによって行う場合には、回転処理部250は、回転処理が終了した後、次の連携回転処理の起動をレジスタポーリングにより待つこともできる。ホストCPU310は、次の連携回転処理を起動する際、前回の連携回転処理の終了をレジスタポーリングにより待ってから起動すれば良い。
【0098】
さらに、本実施の形態では、連携回転処理中の転送処理状態、回転処理状態に関して、状態通知部270を用いて、レジスタポーリングしているため、1つの矩形画像データを連携回転処理する間に発生する多数回のハンドシェークのオーバーヘッドを最小化する事ができる。なお、ハンドシェークによるオーバーヘッドの最小化よりも、低消費電力を優先したい場合には、本ハンドシェーク情報に割り込みを使用し、ホストCPU310または回転処理部250のCPU251のいずれか、あるいは両方を、クロックを停止する等の低消費電力状態に落として、転送処理と回転処理のどちらか速い方のCPUを、こまめに低消費電力状態に落とす事もできる。
【0099】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
最後に、液晶コントローラ200の各ブロック、特に回転処理部250は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
すなわち、液晶コントローラ200は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである液晶コントローラ200の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記液晶コントローラ200に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0102】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0103】
また、液晶コントローラ200を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の画像表示システムは、主に、表示部が回転可能な携帯電話機に用いられるが、表示部における走査方向と、表示用画像データの走査方向とが一致しない場合に、一致させるように表示用画像データを回転させる必要のある情報機器であればどのような機器でにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の画像表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像表示システムを搭載した携帯電話機の概略を示す図である。
【図3】図1に示す画像表示システムに備えられた回転処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】ホストCPUと回転処理部とが連携して画像データの転送処理と回転処理とを行なう様子を示した概略図である。
【図5】ホストCPU側の連携回転処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】回転処理部側の連携回転処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ホストCPUと回転処理部との連携回転処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】従来の画像表示システムの要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0106】
1 上筐体
1a 表示部
2 下筐体
2a 操作部
3 ヒンジ部
100 液晶表示装置
110 液晶パネル
120 液晶ドライバ
200 液晶コントローラ(表示制御装置)
210 RAM(メモリ)
220 リード部
230 同期制御部
240 ホストIF(ライト部)
250 回転処理部
251 CPU
252 バスIF
253 ローカルRAM
254 DMAコントローラ(コピー手段)
260 割り込み処理部
270 状態通知部
300 表示用データ生成装置
310 ホストCPU
320 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部が回転可能な表示装置と、上記表示用画像データを格納したメモリから必要な表示用画像データを読み出して上記表示部に転送する表示制御装置と、上記表示用画像データを生成して上記表示制御装置に転送する表示用画像データ生成装置とを含んだ画像表示システムにおいて、
上記表示制御装置は、
上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むライト部と、
上記メモリ上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理部とを備え、
上記回転処理部による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、上記表示用画像データ生成装置から転送された表示用画像データを上記メモリに書き込むように上記ライト部を制御することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
上記表示制御装置は、
上記ライト部に、上記表示用画像データ生成装置が生成した表示用画像データを、複数ライン単位で上記メモリに書き込ませ、
上記回転処理部に、上記メモリに書き込まれた順序で表示用画像データに対して回転処理をさせることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
上記メモリの表示用データ格納領域をダブルバッファ構成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
上記表示制御装置は、
同期制御部による所定のタイミングの同期信号に従って、上記メモリに格納された表示用画像データを読み出して、上記表示装置に転送するリード部と、
上記回転処理部が回転処理した表示用画像データを、上記メモリの上記リード部が読み込む表示用画像データ格納領域に、当該リード部が読み込む走査方向と同一方向に一括してコピーするコピー手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
上記回転処理部は、
CPUとローカルRAMを備え、
上記メモリに書き込まれた表示用画像データの一部あるいは全部をローカルRAMに転送し、上記ローカルRAMに転送された表示用画像データに対して上記CPUにて回転処理を施し、回転処理した表示用画像データを上記メモリの上記リード部がデータを読み出す領域に書き込むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の画像表示システムを備えたことを特徴とする情報機器。
【請求項7】
外部から取り込んだ表示用画像データを格納するメモリを備え、表示用画像データを格納したメモリから必要な表示用画像データを読み出して表示部に転送する表示制御装置において、
外部から取り込んだ表示用画像データを上記メモリに書き込むライト部と、
上記メモリ上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理部とを備え、
上記回転処理部による表示用画像データの回転処理の開始のタイミングで、外部から取り込んだ表示用画像データを上記メモリに書き込むように上記ライト部を制御することを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
外部から取り込んだ表示用画像データを格納メモリから必要な表示用画像データを読み出して表示部に転送する表示制御方法において、
外部から取り込んだ表示用画像データを上記メモリに書き込むデータ書き込み工程と、
上記メモリ上の表示用画像データに対して回転処理を行う回転処理工程とを含み、
上記回転処理工程が実行されるタイミングで、上記データ書き込み工程を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項7に記載の表示制御装置の各手段として機能させる表示制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の表示制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−115858(P2009−115858A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285527(P2007−285527)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】