説明

画像表示システム

ヘッドマウントディスプレイシステムにおいて、視野に入るシーンが、検出器(14)に入射する前に、見ている人の周辺視野に現れる画像の周辺領域が、中央領域より大きく圧縮されるように、光学的に圧縮される(12)。該画像はディスプレイ(16)に転送され、ディスプレイ(16)で逆の光学的拡大が施され(18)、これによって、比較的小さなディスプレイから、中央部の解像度が高い、広い視野が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、および関連する、画像データの表示および/または圧縮の方法に関する。本発明は、特に、広い視野が要求される用途の表示システムに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイが通常の視線内で固定位置の透明ディスプレイであるヘッドアップディスプレイまたはヘッドダウンディスプレイ、および、表示領域がユーザの頭とともに動くヘルメットマウントディスプレイまたは他の頭部連動ディスプレイのような航空用ディスプレイの役割には、フラットパネルディスプレイが一般的に使用されている。他の用途として、暗視ゴーグルや、他の、着用者の頭部に装着される機器がある。そのような機器では、広い視野にわたって情報を表示する能力を有することが重要である。広い視野にわたって非常に細かな描写を行うには、通常は、非常に多くの画素数が必要であり、このことは、ディスプレイ技術にとどまらず、通信、記憶、および処理の各技術に不利な影響を及ぼす。多くの場合、民生用に開発されたディスプレイを利用するのが望ましく、現時点でのそのようなディスプレイの実用上の上限は約100万画素である(たとえば、SXGA 1280×1024画素は、現時点では非常に高い解像度のディスプレイであり、これに関連して高い計算能力が要求される)。
【0003】
人間の視力の精度は、ほぼ1分の角度であり、これによって、表示画素の好ましい視覚が決まる。画素当たり1分の角度の高解像度画像が提示されるようSXGAディスプレイを使用した場合、SXGAディスプレイによってサポートされる領域は、21°強に限定され、これは、広い視野とはいえず、多くの用途で必要とされる60°の視野の、大まかに1/3のサイズである。60°の視野を埋めるようとすると、各画素が、目の場所で約3分の角度を定め、これは明らかに粗い画素分解であり、画像の重要な中央領域におけるディテールまたは解像度が顕著に不足する。
【0004】
前述の分析から、民生用ディスプレイが、ディスプレイ全体にわたる広い視野を高解像度でサポートすることが不可能であるのは明らかであろう。実際、この分野のこれまでの研究によれば、理想的なディスプレイは1000メガピクセル(SXGAディスプレイのサイズの約1000倍)が必要であると言われている。現時点では、好適な形態のそのようなディスプレイは入手不可能であり、たとえ入手可能であったとしても、既存のセンサ、データ、および処理によって容易に対応またはサポートできるものではない。
【0005】
したがって、一態様では、ヘッドアップディスプレイまたはヘッドマウントディスプレイの必要を満たすために、広い表示視野を、許容できる解像度で提供するシステムが必要とされている。
【0006】
本発明者らの研究では、ユーザの、ヘッドマウントディスプレイまたは他の頭部連動ディスプレイの使い方によって、ならびに、目の細胞が円錐状および棒状の構造であることから、人間の目には視野の全体にわたって、良好な解像度を有すると、知覚される、広い視野のセンサを既存の民生用ディスプレイから提供することが可能であることが示された。人間の視覚は、網膜の中央に位置する円錐状受容器細胞によって仲介される。これらの細胞の密度は、注視の中心からの角度の関数として、劇的に低下する。これは、中心窩にある円錐状受容器細胞の中央グループが、高い精度の視覚を仲介しない棒状受容器細胞に囲まれているためである。同様に、目の光学的特性は網膜からの角度とともに低下するため、注視点からの角距離に伴う、ある程度の画質低下は、許容できるだけでなく、気づかない可能性がある。実際、目視検査は、対象野にわたって注視点の方向を変える連続的な注視による、注意方向の変更を伴う。これは、ユーザが注視するであろう領域にわたってのみ解像度が維持されなければならないことを意味する。このことは、ヘッドアップディスプレイのような固定位置ディスプレイの場合には、ディスプレイの全領域を意味するように考えがちであるが、実際には、観察者は、探索作業ではディスプレイのエッジ方向を注視することが少ないため、周辺領域の解像度はそれほど高くなくてもよい。
【0007】
しかしながら、ヘルメットマウントディスプレイのように、ユーザの頭部とともに動くディスプレイの場合には、見ることに関して、2つの固有の条件が提起される。第1に、多くのそのようなディスプレイは透明であり、表示画像は、外側世界の視野の上に重ね合わせられて見られる。第2に、そして、これは特に周辺部の解像度の低下に関連することであるが、ディスプレイの「フレーム」は頭部と連動しているため、ユーザの頭部が動いても、ディスプレイはユーザの前に存在し続ける。画像またはシンボロジが頭部に引っ張られると、ヘッドマウントディスプレイは、ディスプレイ自体より広いデータ世界にわたって動く「ウィンドウ」として機能するため、頭部によるポインティングは、目によってなされる動きを、自然な視覚であるように補足する。自然な視覚では、目の動きは相対的に制限されており、最も大きな目の動きは、休止位置から15°以内にしかずれない。休止位置から30°を超える目の動きは、起こるものではあるが、頭部が自由に動く場合には維持されない。言い換えると、頭部が自由に動き、表示内容が頭部に引っ張られる頭部連動ディスプレイでは、注視は、ディスプレイの中心を向いている場合がほとんどであり、アレイの周辺部を向くことはまれである。
【発明の開示】
【0008】
以上を鑑みて、本発明者らが開発した画像表示システムは、画像を表示するまえに画像データに光変換またはデジタル変換を施す。これは、視力の精度が最も高くなる、表示画像の中央部で高解像度を維持し、周辺領域の解像度を犠牲にして、視力の精度が高くない領域の視野を広くすることを可能にすることによって、所与の解像度のディスプレイを使用して、比較的広い視野を、比較的高い、見かけの解像度で提供することを可能にするためである。見る人の、通常の視野に対する視力を反映するように、表示画像の解像度を修正することにより、所与のサイズおよび解像度のディスプレイから、より広い視野を達成することが可能であり、全体の見かけの画質または視覚的解像度は、表示画像の中央部の解像度によって決定される。変換は、画像の取り込み前に光学的に施されるか、画像がコンピュータによって生成される場合は、取り込み後にデジタル的に施されることが可能である。
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、
入射画像を視野から受け取り、対応する画像データを生成するセンサと、
前記視野に入るシーンからの放射線が前記センサに入射する前に、前記放射線に入力光変換を施す入力光変換手段と、
前記センサから画像データを受け取り、前記センサに入射した画像とほぼ一致する画像を表示するディスプレイと、を備え、
前記入力光変換は、前記入射画像の選択された部分を、少なくとも一次元において、光学的に圧縮する、画像表示システムを提供する。
【0010】
このようにして、センサに取り込まれることが可能な有効視野が広がる。
【0011】
本システムは、好ましくは、ユーザへの提示のために前記ディスプレイに表示された画像に出力光変換を施す出力光変換手段をさらに含み、前記出力光変換は、前記入力光変換手段によって圧縮された画像へ表示画像の一部を光学的に拡大し、これにより、視野に入るシーンの画像と一致する表示画像を少なくとも部分的には回復する。
【0012】
多くの実施形態では、前記入力光変換は、前記視野に入るシーンの周辺領域を光学的に圧縮し、その他の領域をほぼ非圧縮のままにする。したがって、入力光変換手段は、ほぼ中央の領域の周囲に広がる周辺境界領域を光学的に圧縮することが可能である。代替として、前記視野に入るシーンがほぼ矩形である場合、前記入力光変換手段は、前記視野に入るシーンの対向する端部領域だけを光学的に圧縮することが可能である。前記入力光変換手段は、1つ以上のレンズを備えるアナモルフィック(anamorphic)レンズシステム、または同様の変換を与えるミラーの構成、または、フレネル(Fresnel)レンズシステムのような、1つ以上の屈折性装置を備えてもよい。前記入力光変換は、バレルディストーション(barrel distortion)またはこれの修正を含んでもよく、前記出力光変換は、ピンクッション(pin cushion)ディストーションを含んでもよい。前記入力光変換手段は、前記選択された領域を、一次元または二次元において光学的に圧縮してもよい。
【0013】
一実施形態では、前記ディスプレイ手段は、ディスプレイを、使用時にユーザの頭部に装着してユーザの頭部と連動するようにするヘッドマウントディスプレイ装着手段を備える。センサは、センサ画素の矩形配列を備えてもよく、同様に、前記ディスプレイは、ディスプレイ画素の矩形配列を備えてもよい。各センサ画素は、各ディスプレイ素子と1対1のマッピングで対応してもよく、別のマッピングがあってもよい。
【0014】
別の態様では、本発明は、
表示されるべき画像に対応する画像信号データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段から前記画像データを受け取り、対応する画像を表示するディスプレイと、
前記表示された画像の選択された部分が光学的に拡大される出力光変換を前記表示された画像に施す出力光変換手段と、を備え、
前記画像生成手段は、前記出力変換手段によって変換されたときに、表示されるべき画像に対応する画像を生成するように動作可能である、画像表示システムを提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、記憶および/または送信のために画像データを圧縮する画像圧縮方法を提供し、この方法は、
圧縮された画像データを得るために、前記画像の選択された部分がその他残りの部分に対して圧縮される変換に対応する変換を、前記画像、または前記画像を表すデータに施すことと、
前記圧縮された画像データを、その他残りの画像データとともに、記憶または送信することと、
圧縮されたデータと元の画像データとを使用して、前記元の画像を復元することと、を備える。
【0016】
本発明はまた、前述のシステムで使用される光学的圧縮装置に拡張され、前記光学的圧縮装置は、
入射画像を受け取り、記憶または送信のための画像データを生成するセンサと、
視野に入るシーンからの放射線が前記センサに入射する前に、前記放射線に不均一な光変換を施し、1つ以上の周辺領域に、その他残りの部分より大きな光学的圧縮を選択的に施す光変換手段と、を備える。
【0017】
さらに、本発明は、前述のシステムで使用される拡大装置に拡張され、前記拡大装置は、現実画像または非現実画像に不均一な変換が施されている圧縮画像を表す画像データを表示する手段を備え、前記拡大装置はさらに、前記ディスプレイに表示される前、または、表示された後に拡大変換を施して、前記元の現実画像または非現実画像の再生が、見る人に提示されるようにする手段を含む。
【0018】
ここまで、本発明について説明してきたが、本発明は、本明細書に記載の特徴の任意の発明的組み合わせにも拡張される。
【0019】
本発明は、様々なかたちで実施されることが可能であり、以下では、あくまで例示として、種々の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
まず図1および2を参照すると、第1の実施形態では、カメラまたは他の好適なセンサ14への画像取り込みが行われる前に、視野に入るシーン10に、プリディストーション処理または光変換が12において施される。カメラ14からの表示画像は、直接送られるか、保存場所から取り出されて、画像ディスプレイ16において表示される。画像ディスプレイ16において表示される画像は、画像復元ステップ18で、ディストーションを施されることによって、センサの前に施されたディストーションが取り消されてから、見る人に提示される。この処理では、18におけるディスプレイディストーションは、12におけるプリディストーションに対して光学的にまったく逆であり、これによって、見る人20によって視野に入る画像は、視野に入るシーンの、ディストーションがない再生であるように見える。
【0021】
画像取り込み装置14およびディスプレイ16は、いずれも画素分解された機器であり、ディスプレイは、典型的には、1280×1024画素の解像度を有することが可能である。12におけるプリディストーションの機能は、画像の外側周辺領域を、取り込み装置14への入射時に、選択的に、光学的に圧縮し、その一方で、画像の中央領域をほぼ不変のままに残すことである。これらが結合された効果として、画像の外側周辺領域の光学的解像度は、画像の中央部における光学的解像度より低い。なぜならば、ディスプレイの中央部における各画素が、外側周辺領域における各画素より、小さい角度に対応するためである。ディスプレイの使われ方、および人間の目の視覚特性により、周辺部の解像度が低いことは、見る人の、視野に入るシーンの印象に、大きな影響を及ぼさない。したがって、周辺部の圧縮によって、センサに入射する画像の周辺部のサイズが縮小され、取り込まれる画像をより広範囲にわたって増大させることが可能になるため、所与のサイズのセンサで、より広い視野を取り込むことが可能になる。
【0022】
ここで、画像処理について、より詳細に言及すると、この特定の実施形態では、カメラ12(もしくはセンサと称される)における画像処理と、ディスプレイ16における画像処理は、いずれも光学的に行われる。そこで、図4(a)を参照すると、視野に入るシーンの単純化された表現が示されており、このシーンは、ここでは、連続する光変換を例示することのみのために選択されたメッシュパターンで構成される。第1の光変換では、画像の外側周辺部を圧縮し、中央領域をほぼ非圧縮のままにする作用を有するレンズおよび/またはミラーシステムを使用して、負拡大またはバレル(barrel)ディストーションを施し(図4(b))、変換された画像を、センサ14に入射させる(図4(c))。この画像によって定められた角度が小さくなり、したがって、これは、このようにしない場合にセンサによって取り込まれるであろう画像視野を大きくする作用を有することが理解されよう。図4(c)の画像の中央部におけるメッシュの格子を、図4(a)の画像の中央部におけるメッシュの格子と比較すると、中央領域のサイズおよび解像度は1:1であり、周辺部だけが圧縮されている。図4(c)では、プリディストーションを施された画像が、(暗い色の線のX−Yグリッドで概略的に示された)正則(regular)アレイマトリックスを有するセンサ14に取り込まれる。この正則グリッドと明るい色の斜めのメッシュを比較すると、ディストーションが明らかになる。センサ14は、従来の方法で電子画像データを生成し、このデータは、後で取り出されるために保存されてもよいし、本実施形態のように、センサ14で認識された画像を再生するディスプレイ16に直接転送されてもよい。ディスプレイ16は、センサのように、正則画素マトリックスを使用し、画像コンテンツは、ディストーションを施されたままであることがわかる(図4(d))。次に、表示された画像に光変換を施す。この変換は、表示された画像を観察者に提示する前に、この画像に、図4(b)で施されたディストーションと逆のディストーションを施すものである。これの作用により、ディスプレイマトリックスにディストーションが施されるが、画像のジオメトリが復元される。バレルディストーションの逆のディストーションは、ピンクッションディストーションであり(図3(c))、これによって、画像が、中心からの距離とともに漸増的に拡大される。図4(e)の、観察者に提示される画像からわかるように、(明るい色の斜めのメッシュで表された)画像コンテンツは、復元されて、図4(a)の画像を提示し、その画質は、中央部では最適であるが、周辺部の解像度はより低くなっている。(暗い色の線で表された)ディスプレイマトリックスは、もはや正則ではなく、周辺部が拡大されているが、もちろん、これはユーザには見えない。
【0023】
結果として、視野が広くなり、視野のエッジに向かって画像解像度が低下する。画像のジオメトリが復元され、ディスプレイマトリックスはディストーションを施されている。
【0024】
したがって、この実施形態が与える構成によって、容易に入手できるディスプレイ装置を使用して、これまでより広い視野を提供し、同時に、中央部で良好な解像度を維持し、低い解像度が、ユーザによって知覚される画像にほとんど、或いはまったく、影響しない周辺部の解像度を低くすることが可能である。これは特に、表示画像の周辺部における解像度の低下が、人間の目の解像度の低下と対応する頭部連動ディスプレイに使用されるディスプレイの場合に有利であるが、この場合のみには限定されない。
【0025】
実際には、この効果を達成するために、別の様々なタイプの光変換を施すことが可能である。必須ではまったくないが、ディスプレイに表示された画像に施される光変換は、視野に入るシーンが検出器に入射する前に、視野に入るシーンに施された変換の逆であることが好ましい。図5(a)および(b)、ならびに図6(a)および(b)は、変換が、段階を踏んで行われても、連続的に変化してもよいことを示すために、圧縮変換および拡大変換のそれぞれの、いくつかの例を示す。これらの実施形態では、圧縮および拡大に作用する光変換は、ひとえに幾何学的である。
【0026】
この実施形態は、低解像度ディスプレイの使用を可能にして、コストおよび計算の要件に有利な影響を及ぼすという効果だけでなく、使用画素数のわりに、知覚される画質が比較的高いという効果があることを理解されたい。したがって、この実施形態は、低解像度ディスプレイを許容するだけでなく、さらに、所与の知覚解像度を有する画像を記憶するために必要なデジタルデータの量を減らすことを可能にする。したがって、同様の手法を用いて、画像の保存または送信に必要なデジタルデータの量を減らすデータ圧縮を提供することが可能であり、本発明は、そのような装置および方法まで拡張される。
【0027】
たとえば、画像の周辺領域をデジタル的に圧縮し、中央領域を非圧縮のままにするデジタル変換を、高解像度デジタル画像に施すことが可能である。これは、画像のデジタルサイズを減らして、記憶装置要件または送信時間を減らす。その画像が表示される際に、元のデジタルディストーションを取り消す変換が施される。これは、有意の空間ディストーションを引き起こすことなく元の画像を再生するために、画像データの画素をディスプレイ画素にマッピングするデジタル変換によって、デジタル的になされることが可能であり、あるいは、画像データをディスプレイに適用して、元のデジタル変換によってディストーションを施された画像を表示し、その画像を光学的に変換して元の画像を再現することによって、光学的になされることが可能である。
【0028】
図1〜6の実施形態では、入力画像は、鏡またはレンズによって、アナモルフィックに変換される。図7は、直交配置された2つの円柱レンズ22、24がそれぞれ垂直圧縮および水平圧縮を施す構成を示す。画像を光学的に変換することの最も重要な利点は、有意な処理遅延がない実時間処理ということであり、また、計算要件を増やさないという利点もあるが、もちろん、他の状況で、画像データをデジタル変換して同様の効果を得ることも可能である。これは、たとえば、センサの画素数がディスプレイよりも格段に多く、たとえば、デジタル変換によって、複数のセンサ画素からの出力を結合して1つのディスプレイ画素にマッピングすることが可能な場合には、適切であろう。
【0029】
さらに、コンピュータで生成されたシンボロジが表示される場合には、画像のデジタル変換が必要になる場合がある。したがって、図8(a)に示されるような画像をコンピュータで生成することが可能であり、この画像は、図8(b)に示されるように、ディスプレイに送られる前に、デジタル変換されて、ディスプレイでは、前の実施形態の場合と同様に、ミラーおよび/またはレンズシステムを使用して左側および右側の領域を圧縮するために、図8(c)に示されるように、元の形態に復元される。この情報のデジタル変換が、図1〜4に従って取り込まれ、処理された、カメラからのデータに重ね合わせられることが可能であることは、もちろん理解されよう。
【0030】
各種実施形態では、元の画像のほぼ忠実な再生となるように画像を復元することが好ましいが、圧縮された周辺領域を完全に復元することが必須でない場合もある。さらに、ディストーションを施された画像を何ら復元せずに表示して、見る人の脳が、押しつぶされた、または、圧縮された外側周辺領域を適切に解釈することが可能な場合もある。一次元または二次元の画像を圧縮するデジタル情報は、比較的単純明快であり、これについては、ここでは詳しく説明しない。中心からの距離によって変化する係数で、画像を変倍することを選択することも可能である。
【0031】
前述の実施形態は、画像データが、実時間で取り込みおよび/または生成され、ディスプレイを介してユーザに提示されるシステムに関して説明されてきたが、別の実施形態では、これらの同じ手法を用いて、画像の記憶に必要なデジタルデータの量を圧縮することも可能である。したがって、たとえば、データ量を減らすこと、および/またはインターネットから画像をダウンロードする速度を上げるために、元の画像を、比較的高い解像度の中央領域と、より低い解像度で記憶される外側周辺領域とを与えるように、デジタル変換して、記憶される画素の数を減らすことが可能である。表示用に画像をダウンロードするか、取り出す場合、装置は、画像の中央領域に対して外側周辺領域が元のサイズまで拡大するように、画像をデジタル的または光学的に変換して広げる。
【0032】
ヘッドアップディスプレイの場合と同様に、この手法は、ユーザが、見ているフレームを、画像の端から端までパン(pan)して、フレームを厳重な検査のための関心領域の中心に位置付けることが可能な場合に、特に有利であるが、これのみに限定されない。本方法は、特に、関心対象をディスプレイの中央に持ってくることが可能な(すなわち、頭部連動ディスプレイと同様の)任意の用途、たとえば、手動または自動追跡機能を有するCCTVシステム、他の同等の監視システム、および他の形態の追跡カメラ/ウェブカメラに適する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態に含まれるステップを示すフロー図である。
【図2】本発明の前記第1の実施形態に必要なコンポーネントを示す概略図である。
【図3】(a)、(b)、および(c)は、基準グリッド(ディストーションなし)と、同じグリッドにネガティブ(バレル)ディストーションを施したものと、同じグリッドにポジティブ(ピンクッション)ディストーションを施したものと、を、それぞれ示す図である。
【図4A】(a)〜(e)は、本発明の実施形態に組み込まれた、段階的な方法を示す図である。
【図4B】(a)〜(e)は、本発明の実施形態に組み込まれた、段階的な方法を示す図である。
【図5】それぞれ圧縮/拡大の特性を示す図であって、段階的な特性と、連続的に変化する特性と、をそれぞれ示している。
【図6】それぞれ圧縮/拡大の特性を示す図であって、段階的な特性と、連続的に変化する特性と、をそれぞれ示している。
【図7】シーンがセンサにイメージングされるときにシーンに圧縮を施す光学的構成の概略図である。
【図8】見る人への表示のための、コンピュータで生成されたシンボロジのデジタルプリディストーションを示すシーケンスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射画像を視野(10)から受け取り、対応する画像データを生成するセンサ(14)と、
前記視野に入るシーンからの放射線が前記センサ(14)に入射する前に、前記放射線に入力光変換を施す入力光変換手段(12)と、
前記センサ(14)から画像データを受け取り、前記センサに入射した画像とほぼ一致する画像を表示するディスプレイ(16)と、を備える画像表示システムであって、
前記入力光変換は、前記入射画像の選択された部分を、少なくとも一次元において、光学的に圧縮する、画像表示システム。
【請求項2】
ユーザ(20)への提示のために前記ディスプレイ(16)によって表示された画像に出力光変換を施す出力光変換手段(18)をさらに含み、前記出力光変換は、前記入力光変換手段(12)によって圧縮された画像とほぼ一致する表示画像の一部を光学的に拡大し、視野に入るシーンの画像と一致する表示イメージを少なくとも部分的には回復する、請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記入力光変換手段(12)は、前記視野に入るシーンの周辺領域を光学的に圧縮する、請求項1または請求項2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記入力光変換手段(12)は、ほぼ中央の領域の周囲に広がる周辺境界領域を光学的に圧縮する、請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記視野に入るシーンがほぼ矩形であって、前記入力光変換手段(12)は、前記視野に入るシーンの対向する端部領域を光学的に圧縮する、請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記入力光変換手段(12)は、1つ以上のレンズを備えるアナモルフィックレンズシステムを備える、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記入力光変換は、バレルディストーションを含む、請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記出力光変換は、ピンクッションディストーションを含む、請求項2に従属する場合の請求項7に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記入力光変換手段(12)は、前記選択された領域を二次元において光学的に圧縮する、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項10】
前記ディスプレイ手段(16)は、前記ディスプレイを、使用時にユーザの頭部に装着して前記ユーザの頭部と連動するようにするヘッドマウントディスプレイ装着手段を備える、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項11】
前記センサ(14)は、センサ画素の矩形配列を備える、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項12】
前記ディスプレイ(16)は、ディスプレイ画素の矩形配列を備える、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像表示システム。
【請求項13】
各センサ素子は、それぞれに各ディスプレイ素子と対応する、請求項11に従属する場合の請求項12に記載の画像表示システム。
【請求項14】
表示されるべき画像に対応する画像信号データを生成する画像生成手段(14)と、
前記画像生成手段から前記画像データを受け取り、対応する画像を表示するディスプレイ(16)と、
前記表示された画像の選択された部分が光学的に拡大される出力光変換を前記表示された画像に施す出力光変換手段(18)と、を備える画像表示システムであって、
前記画像生成手段(14)は、前記出力変換手段によって変換されたときに、表示されるべき画像に対応する画像を生成するように動作可能である、画像表示システム。
【請求項15】
記憶および/または送信のために画像データを圧縮する画像圧縮方法であって、
圧縮された画像データを得るために、前記画像の選択された部分がその他残りの部分に対して圧縮される変換に対応する変換を、前記画像、または前記画像を表すデータに施すことと、
前記圧縮された画像データを、前記その他残りの画像データとともに、記憶または送信することと、
前記圧縮されたデータと元の画像データとを使用して、前記元の画像を復元することと、を備える、画像圧縮方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のシステムで使用される光学的圧縮装置であって、
入射画像を受け取り、記憶または送信のための画像データを生成するセンサ(14)と、
視野に入るシーンからの放射線が前記センサ(14)に入射する前に、前記放射線に不均一な光変換を施すことによって、1つ以上の周辺領域に、その他残りの部分より大きな光学的圧縮を選択的に施す光変換手段(12)と、を備える、光学的圧縮装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載のシステムで使用される拡大装置であって、現実画像または非現実画像に不均一な変換が施されている圧縮画像を表す画像データを表示する手段(16)を備え、前記拡大装置は、前記ディスプレイに表示される前、または、表示された後に拡大変換を施して、前記元の現実画像または非現実画像の再生が、見る人に提示されるようにする手段をさらに含む、拡大装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−510540(P2009−510540A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541835(P2008−541835)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004077
【国際公開番号】WO2008/053166
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(390038014)ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− (74)
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
【Fターム(参考)】