説明

画像表示装置付きギター

【課題】手本となるギター奏者の正確な運指を自習で身につけることができる学習機能付ギターを提供する。
【解決手段】ギターのフィンガーボード部13とピッキング部16に画像表示装置1、2を配置し、演奏の手本となる運指動画像を表示する。すなわち、右利きの場合、フィンガーボード部13全体の画像パネルに左手の運指画像、ピッキング部16の画像パネルに右手の運指の画像を同時に表示し、演奏者は画像表示装置1,2に表示された手本となる運指動画像を見て演奏することにより、ギター奏者の運指を自習で身につけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギターを演奏するときの手本となる運指動画像を演奏者に提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
弦楽器の演奏学習法として(1)インストラクターについて直接個人指導を受ける方法、(2)テレビ、ビデオ等の媒体を利用した学習法が知られている。
【0003】
演奏したい楽曲について、演奏者のレベルによって(3)楽譜、タブ譜(ギター用の楽譜)を参考にする方法、(4)自分の耳でメロディをコピーする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平5−46073
【0005】
【特許文献2】 特開平9−274427
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)直接インストラクターに個人指導をうけるのが正確な演奏法を身につけるのに一番良い。しかし個人指導はレッスン料が高く、また地域によっては適当なインストラクターがいないので利用できない場合もある。(2)の方法は地域差なく利用できるが、手本となる演奏のテンポが学習者のゆっくりとしたテンポと一致しないことがあるため、手指の正確な使いを身につけることが難しく、自己流となりがちである。(3)、(4)の方法は演奏者のレベルに依存される為、技術習得に時間が必要である。また、どの指で弦を押圧するべきか分からないという欠点がある。
【0007】
そこで本発明は、ギター演奏の正確な運指を自習でも身につけることができる学習機能付ギターを提供する。これによれば、演奏者は画像表示装置に表示された手本となる運指動画像を見て演奏することにより、ギター奏者の運指を自習で身につけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、ギターにおいて手本となる演奏者の演奏中の運指が動画像表示される画像パネルを設けたことを特徴とする学習機能付ギターである。これによれば、演奏者は画像表示装置に表示された手本となる運指動画像を見て演奏することにより、ギター奏者の運指を自習で身につけることができる。
【0009】
画像表示装置は少なくともフィンガーボード部に設ける。画像表示装置をさらにピッキング部にも設けてピッキング側の運指を併せて動画像表示することもできる。また、動画像の進行速度を変更可能にすることもできる。このようにすれば、演奏者が自己の学習レベルに合わせて演奏のテンポを決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本実施例のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施例のギターの構成を示す正面図である。
【図3】 図2のA−A断面図である。
【図4】 図2のB−B断面図である。
【図5】 弦を外して示した図2のギターの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において記憶装置11は手本となる演奏運指動画像データと、この手本となる演奏によって奏でられたメロディデータを記憶したハードディスク等の記憶装置である。
【0012】
動画像データはビデオカメラにより撮影された運指動画像そのもの、あるいは運指動画像からモーションキャプチャー技術により作成されたコンピュータアニメーション等で構成される。
【0013】
図2は本実施例による電気ギターを拡大して示す。この電気ギターは弦15を張った通常の電気ギターに画像表示部1、2を配して構成される。1はネック部22に配置された画像表示部である。画像表示部1はネック部22の運指範囲(フィンガーボード部13)全域にわたり構成されている。画像表示部1は図3のようにネック部22の表面側に液晶デバイス等の画像表示装置17、その上に透明カバー板18があり最上部にフレット21が組み込まれて構成されている。右利きの場合は通常左手の手本となる一流の演奏家の押圧運指操作の様子(指の動きを示す動画像)が該当する位置に表示される。弦15の画像を併せて表示することもできる。
【0014】
2はボディ部14に配置された画像表示部である。画像表示部2はボディ部14のピッキング部16に構成されている。画像表示部2は図4のようにボディ部14の表面側に液晶デバイス等の画像表示装置19、その上に透明カバー板20が組み込まれていている。右利きの場合は、通常右手の手本となる一流の演奏家のピッキング操作の様子(指の動きを示す動画像)が表示される。弦15の画像を併せて表示することもできる。図5は弦15を外して示した図2のギターである。画像表示部1,2に弦と演奏する手の画像が表示されている。
【0015】
5はテンポ切替スイッチであり、学習者のレベルに合わせて動画像及びメロディのテンポを切り替える。
【0016】
4は中央処理装置(CPU)であり、ROM6に記憶されている制御プログラムに従って電気ギターの各部を制御するものである。記憶装置11から読み出される左右の手の運指動画像データは画像表示制御装置3を介して画像表示部1,2に供給される。記憶装置11から読み出されるメロディデータは動画像情報に同期して音源8へ供給される。
【0017】
6はROMであり、中央処理装置(CPU)4を作動させるための制御プログラムが記憶されているものである。
【0018】
7はRAM(ランダムアクセスメモリ)であり、CPU4のワークエリアとなる。
【0019】
8は音源である。音源8はメロディデータに応じて生成された楽音信号を増幅器9に供給し、スピーカー10からその楽音を発声させる。
【0020】
12はバス(データやプログラムを転送するための、情報転送用の共通路)である。
【0021】
以上が本実施例の構成に関しての概略についての説明である。
【0022】
次に本実施例の利用方法について説明する。学習者はあらかじめ手本となるギター演奏操作が記憶されている曲の中から練習しようとする曲を操作パネル(図示していない)のボタンを押して選び、テンポ切替スイッチ5を切り替えて、自分が滑らかに弾くことができるテンポとしておく。
【0023】
操作パネルのスタートボタンを押すと記憶装置11から左右の手の運指画像データが順次読み出され画像表示部1と画像表示部2にその曲の手本となるギター奏者の運指が該当する位置に動画表示される。学習者は画像表示部1,2の手本となる動きを見て真似ながらギター演奏をする。
【0024】
学習者が実際に演奏すると画像表示部1,2の手本となる動画像は隠れてしまうので、動画像を見るのと実際の演奏を交互に行って練習することもできる。すなわち数秒の間フィンガーボード部13およびピッキング部16から手を離して手本となる動画像を見て手本の演奏を記憶し、次いで動画像を止めて、記憶した手本の演奏を真似して演奏し、また、数秒の間手本となる動画像を見る練習を繰り返して行うこともできる。
【0025】
本実施例の画像表示部1と画像表示部2に表示される画像は、実際の人間の手指の大きさで該当する位置(運指すべき位置)に表示されるので手や指のフィンガーボードに対する角度など熟練者の動きを正確に学習することが出きる。なお画像表示パネルに表示する手指の大きさを学習者の手指の大きさに合わせて変更表示するようにしてもよい。
【0026】
本実施例の画像表示部1は通常右利きの場合、左手の画像が表示される。押圧している指を他の指とは異なった色で表示すれば5本の指のうち、どの指でどのポジションを押圧すべきかを特定することができる。また、画像表示部2は右利きの場合、右手の画像が表示される。右手のピッキングすべき指とピッキングしない指を異なった色で表示すれば、演奏すべき指を特定することができる。また、画像表示部1に弦15を併せて表示する場合には、押圧する弦と押圧しない弦を異なった色で表示すれば押圧すべき弦を特定することができる。また、画像表示部2に弦15を併せて表示する場合にはピッキングする弦とピッキングしない弦を異なった色で表示すればピッキングすべき弦を特定することができる。
【0027】
ギターの演奏方法として必要な、オルタネイトピッキング、プリング・オフ、ハンマリング・オン、ビブラート、チョーキング等があり楽譜等では表現が困難であるが、本発明は動画表示するため、表現が容易である。
【0028】
また、ギターの演奏では、通常右利きの場合左手が画像表示部1を操作し、右手が画像表示部2を操作するが、特殊な演奏方法で右手が画像表示部1上を操作する場合がある。そこで、このような演奏方法を行う場合に画像表示部1に左手、右手を同時に表示すれば正確にこの演奏方法を習得することができる。
【0029】
ギターにおいて通常のチューニングは開放弦(何も押えていない状態で弦を鳴らす。)チューニングである。この場合6弦はミ(E)、5弦はラ(A)、4弦はレ(D)、3弦はソ(G)、2弦はシ(B)、1弦はミ(E)である。しかし特殊なチューニングとして、オープンチューニングや変則チューニングがあるので通常のチューニングとは違った音程で各弦をチューニングする場合には、画像表示部1の各弦15に対応する位置(例えばフィンガーボード部13のヘッド寄りの位置)に各弦15の音程を示す文字・記号等を併せて表示すればチューニングの音程を特定することもできる。
【0030】
以上説明した実施の形態では電気ギターについて説明したが、本発明はアコースティックギターにも適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1:画像表示部
2:画像表示部
3:画像表示制御装置
4:CPU
5:テンポ切替スイッチ
6:ROM
7:RAM
8:音源
9:増幅器
10:スピーカー
11:記憶装置
12:バス
13:フィンガーボード部
14:ボディ部
15:弦
16:ピッキング部
17、19:画像表示装置
18、20:透明カバー
21:フレット
22:ネック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンガーボード部の前面に画像表示装置を配置し、フィンガーボード部における演奏の手本となる運指動画像をこの画像表示装置に表示する画像表示装置付ギター。
【請求項2】
ボディ部のピッキング部の前面に画像表示装置をさらに配置し、ピッキング部における演奏の手本となる運指動画像をこの画像表示装置に表示する請求項1に記載の画像表示装置付ギター。
【請求項3】
ピッキングする指および弦とピッキングしない指および弦を異なる色で表示する請求項2記載の画像表示装置付ギター。
【請求項4】
弦を押える指と弦から離す指を異なる色で表示する請求項1から3のいずれか1つに記載の画像表示装置付ギター。
【請求項5】
運指動画像の進行速度を変更するテンポ切替手段を具えてなる請求項1から4のいずれか記載の画像表示装置付ギター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221472(P2011−221472A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99247(P2010−99247)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(510114088)
【Fターム(参考)】